JP4103961B2 - 電子放出電圧を著しく低減した電子源及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子放出電圧を著しく低減したリン添加ダイヤモンド膜、その製造方法及びそれを用いた電子源に関し、炭素終端構造のダイヤモンド電子源は、フラットパネルディスプレイ、放電管、ランプ、X線や紫外線の励起源や真空マイクロ/ナノデバイスなど各種産業機器、家電機器などの分野の電子線発生装置として用いることが出来る。
本発明によるリン添加ダイヤモンド電子源は、小型化および低消費電力化が実現でき、既存の電子放出源に置き換わるばかりでなく、新たな産業分野への展開が期待される。
微細加工技術や薄膜形成技術によって、各種冷陰極の開発がおこなわれ、フラットパネルディスプレイ、放電管、ランプ、真空マイクロ/ナノデバイスなど電子線発生装置への応用が研究されている。冷陰極の特徴を生かした、半導体固体デバイスでは実現が困難な電子デバイス、電子機器の実現が期待されている。このような応用の実現には、低電圧において大電流が得られることが必要不可欠である。そのために、材料的観点と構造的観点から研究・開発が進められている。
材料的観点からは、仕事関数の小さな材料が有望であり、酸化ジルコニウムなどの酸化物や窒化チタンや窒化アルミニウムなどの窒化物、ダイヤモンドやダイヤモンド状炭素などの炭素系材料の探索や開発がおこなわれている。一方、従来から知られているモリブデンやタングステンなどの冷陰極材料に効率良く低電圧で高電流が得られるように、先鋭な針やコーン形状を形成する必要があり、最近の進歩がめざましいナノテクノロジーによる作製も併用されている。
ダイヤモンドは、バンドギャップが5.5eVと広いが、表面での電子親和力が負であるため、優れた冷陰極材料であると示唆されていた(特許文献1参照)また、同様に電子親和力が負である窒化アルミニウムや窒化ホウ素も、優れた冷陰極材料であることが期待されている(特許文献2参照)このような負の電子親和力材料において、材料合成や制御性が優れており、ナノ加工技術も発展している(特許文献3参照)、ダイヤモンドが最も有望であるとされている。他の物性、つまり高硬度、熱伝導性、化学的安定性においても、共有結合であり単原子材料であるダイヤモンドは、電子放出材料として、最も優れている。
ダイヤモンドの負の電子親和力は、水素、チタン、ニッケルなどで終端された場合に出現し、このような表面を利用することで、従来の金属や半導体材料に比べて、低電圧で電子放出が観測されることが報告されている(非特許文献1参照)このような表面の特徴を最大限に引き出すために、伝導帯に電子を励起もしくは注入する必要があり、ドナーとなる不純物である窒素やリンを高濃度に添加することで、より低電圧での動作が確認されている(非特許文献2参照)しかし、実際に負の電子親和力の特徴を引き出した電子放出に関しては、表面をセシウム化した場合において観測されているが(非特許文献3参照)、産業応用上扱いの困難なセシウムを利用することは、環境的観点からも問題である。また、セシウムは反応性が高く、長期安定性が実現できない。一方、水素終端表面に関しても負の電子親和力が観測され、大気中ではこの終端構造は安定であるが、電子線源動作の安定性の観点からは超高真空中もしくは水素雰囲気中での動作が必要であるため、基礎特性は優れているものの素子動作に問題が残されている。
ダイヤモンドにドナーとなる,もしくはn型の電気伝導性を示すような不純物を添加することで,安定な表面構造である酸素終端ダイヤモンドが,負の電子親和力表面である水素終端構造に比べて低電圧化が報告されている(非特許文献2参照).
これに対し、我々はダイヤモンドの優れた物性、表面の安定性を実現し、優れた電子放出特性を示す構造として、ダイヤモンド表面を高温熱処理し、再構成表面の様に炭素で終端された構造が安定であり、電子放出特性も負の電子親和力表面である水素終端表面に比べて、低い電圧で観測されることを明らかにした。(特許文献4) これによって動作電圧は大きく低減できた。 しかし,実際の動作には,できうればさらなる低電圧化が望ましい。

特開2002-15658号公報 特開2002-352694号公報 特開平10-312735号公報 特願2005-188963 P. K. Baumann et al、 Surface Science 409 (1998) 320。 K. Okano et al、 Nature 381 (1996) 140。 M. W. Geis et al、 Applied Physics Letters 67 (1995) 1328。
従来材料では動作電圧が高いことや熱陰極に比べて十分な放出電流が得られず、電流が不安定であるという課題があり、負の電子親和力で期待の大きいダイヤモンドにおいても、動作電圧が低減されているものの、先端を先鋭化する必要があり、大電流化には適さないという課題があった。さらに、リンなどドナーとなる不純物を高濃度に添加して、電子濃度を高くすることで、低電圧化が試みられているが、実用化レベルまでの低電圧化には2桁近くおよんでいなかった。また表面構造を高温熱処理し、炭素終端にすることで動作電圧を大きく低減できることもわかったが、動作電圧のさらなる低電圧化が望まれていた。
本発明は、リンの不純物源を検討し、ターシャルブチルリンを不純物源とすることで、従来のダイヤモンドからの電子放出と比べて極めて低い電圧での電子放出開始が可能な、ダイヤモンド電子源及びその製造方法を見いだした。
本発明者らはこれまでの課題に対して鋭意検討を行い、リンの不純物源を検討し、ターシャルブチルリンを不純物源としたリン添加ダイヤモンドを用いた電子源を提案する。
これは、低電圧駆動可能なダイヤモンド冷陰極作製に関して、従来と異なる不純物源を用いることで合成したリン添加ダイヤモンド電子源であり、電子放出電圧を著しく低減することを可能にする。
本発明は、電子放出電圧を著しく低減したリン添加ダイヤモンド膜を用いた電子源、およびその製造方法に関しする。すなわち、本発明は電極とn型ダイヤモンド膜を設けた基板からなり、電極と基板の間に電圧が印加されたとき、n型ダイヤモンド膜から電子線を放出する電子源において、ダイヤモンド膜として、リンの添加源としてターシャルブチルリンを用い、リンを濃度1015cm-3以上含有し、より好ましくは1018cm-3以上添加されている抵抗率が107Ωcm以下であるダイヤモンド膜を用いることを特徴とするダイヤモンド電子源である。
また、本発明の電子源は、ダイヤモンド膜表面を、酸素、炭素又は水素で一部もしくは全てが終端されたダイヤモンドとすることができる。
さらに、本発明の電子源は、ダイヤモンド膜を(111)、(100)、(110)面の結晶構造の単結晶膜若しくは多結晶膜とすることができる。
また、本発明の電子源は、ダイヤモンド基板上に、マイクロ波CVD法によってメタンと水素のガス及びリン雰囲気中で、ダイヤモンド膜を成長させるに際して、リン添加源として、ターシャルブチルリンを用い、リンを濃度1016cm-3以上(1018cm-3以上)含有し、抵抗率が107Ωcm以下であることを特徴とするリン添加ダイヤモンド膜の製造方法である。
また、本発明においてはダイヤモンドの合成を、マイクロ波CVD法によって行うことができる。
さらに本発明は、本発明の電子源で用いるダイヤモンド膜を成長させるに際して、メタン/水素比が0.02〜1%、ターシャルブチルリン/メタン比が300ppm〜10000ppmとすることができる。
また、本発明においてはダイヤモンド基板が、(111)、(100)、(110)面の結晶構造の単結晶基板若しくは多結晶基板であるリン添加ダイヤモンド膜を用いる電子源の製造方法とすることができる。
本発明のリンの添加源としてターシャルブチルリンを用いたリン添加ダイヤモンド膜を用いる電子源は、リンを濃度1016cm-3以上(1018cm-3以上)含有し、抵抗率が107Ωcm以下であり、電子放出開始電圧が30V以下とすることができる。
さらに、本発明の電子源は、リンの添加源としてターシャルブチルリンを用いたリン添加ダイヤモンド膜が、実際の冷陰極動作において、低電圧で高電流を得ることができるので、従来の電子線を用いる電子機器の低消費電力化と小型化、エネルギー高効率化が実現できる。
さらに、半導体固体デバイスでは実現困難な、耐環境性電子デバイスへの応用も可能である。このため、将来のエネルギー問題を解決する一つの方法であり、フラットパネルディスプレイ、放電管、ランプ、真空マイクロ/ナノデバイスなど、各種産業機器、家電機器などの分野の電子線発生装置として産業応用上きわめて有効である。
リン添加ダイヤモンドの特性を十分に利用するためには,安定な表面構造を形成する必要があり,実際の動作環境を考慮すると酸素で終端された構造が望ましい.または,炭素終端構造,炭素の再構成表面も好ましい.
本発明で用いるリン添加ダイヤモンドは、CVD法によって合成されたもの、高温高圧法により得られたものがあるが、いずれもリンの濃度が1016cm-3以上添加されており、より好ましくは1018cm-3以上添加されているダイヤモンドである。
本件発明の製造方法によるターシャルブチルリンをリンの添加源として合成された高濃度リン添加ホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜は、リンを濃度1016cm-3以上(1018cm-3以上)含有し、電極とダイヤモンド膜を設けた基板からなる電子源において、電極と基板の間に電圧が印加されたとき、電子放出開始電圧が通常の添加源により合成された高濃度リン添加ホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜の1/30である約20V〜30V以下であるのが、大きな特徴である。
本発明の電子放出電圧を著しく低減したリン添加ダイヤモンド膜の典型例としては、ターシャルブチルリンを不純物源として用い,電子濃度が1015cm-3以上のリン添加ホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜(111)がある。これは、室温での抵抗率が107Ωcm以下を示す。
本発明において,ダイヤモンドの安定な表面では,一部もしくは全てが酸素,水素,炭素で終端された表面,または再構成表面,それらの複合表面があるが,実際の動作環境を考慮して,一部もしくは全てが酸素で終端された表面が好ましい。また、結晶面方位は(111)に限らず(100)や(110)など他の面方位のものや多結晶膜を用いることが出来る。
試料としては、合成時の反応槽内の炭素に対するリンの濃度が、900ppmで合成した、リン添加ホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜(111)を用いた。ダイヤモンド膜は,マイクロ波CVD法によって,メタンと水素のガス雰囲気中で,ターシャルブチルリンをリンの添加源として,合成された.合成条件は,メタン/水素比が0.05%,ターシャルブチルリン/メタン比が900ppmとしている.基板には高温高圧合成Ib(111)を用いた.
リン添加ダイヤモンド膜の電気的特性は,ホール効果測定によりn型の電気伝導性を示し,室温での電子濃度と抵抗率は,それぞれ1015cm-3台および105Ωcm台であった.
酸素終端構造は,化学溶液処理によりおこなった.条件は,硫酸と硝酸を3:1の比率で混合した溶液中で,ダイヤモンドを220℃,60分間の煮沸する.その後,超純水中で,10分間以上の煮沸をおこなう.
1x10-9Torrの真空中で、電子放出特性を測定した。試料を接地電極に固定し、直径20μmの半球状に加工したタングステンをアノードとして用いた。アノードとダイヤモンド表面の距離を50μmとした。アノード電極に電圧を増加させ、観測されたエミッション電流を測定した。電子放出開始電圧が20V程度と,著しく低くなることが明らかとなった(図1)。
試料としては、合成時の反応槽内の炭素に対するリンの濃度が、9000ppmで合成した、リン添加ホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜(111)を用いた。ダイヤモンド膜は,マイクロ波CVD法によって,メタンと水素のガス雰囲気中で,ターシャルブチルリンをリンの添加源として,合成された.合成条件は,メタン/水素比が0.05%,ターシャルブチルリン/メタン比が9000ppmとしている.基板には高温高圧合成Ib(111)を用いた.
リン添加ダイヤモンド膜の電気的特性は,ホール効果測定によりn型の電気伝導性を示し,室温での電子濃度と抵抗率は,それぞれ1018cm-3台および102 cm台であった.
酸素終端構造は,化学溶液処理によりおこなった.条件は,硫酸と硝酸を3:1の比率で混合した溶液中で,ダイヤモンドを220℃,60分間の煮沸する.その後,超純水中で,10分間以上の煮沸をおこなう.
1x10-9Torrの真空中で、電子放出特性を測定した。試料を接地電極に固定し、直径20μmの半球状に加工したタングステンをアノードとして用いた。アノードとダイヤモンド表面の距離を50μmとした。アノード電極に電圧を増加させ、観測されたエミッション電流を測定した。電子放出開始電圧が20V程度と,著しく低くなることが明らかとなった(図1)。
これらの実施例に対して、下記比較例に示すように、従来の負の電子親和力やナノテクノロジーという技術に比べ著しく低い電子放出開始電圧を実現できた。

比較例1:
従来技術では、典型的なリンの不純物源であるホスフィンを用いて合成した高濃度リン添加ダイヤモンドと比較した.
ホスフィンを不純物源とした高濃度リン添加ダイヤモンドの合成は、合成時の反応僧内の炭素に対するリンの濃度が、0.9〜1%で合成した、高濃度リン添加ホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜(111)を用いた。
酸素終端構造は,化学溶液処理によりおこなった.条件は,硫酸と硝酸を3:1の比率で混合した溶液中で,ダイヤモンドを220℃,60分間の煮沸する.その後,超純水中で,10分間以上の煮沸をおこなう.
1x10-9Torrの真空中で、電子放出特性を測定した。試料を接地電極に固定し、直径20μmの半球状に加工したタングステンをアノードとして用いた。アノードとダイヤモンド表面の距離を50μmとした。アノード電極に電圧を増加させ、観測されたエミッション電流を測定した。
実施例2による高濃度リン添加ホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜は、比較例1による高濃度リン添加ホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜に比して、電子放出特性は.従来技術(1450V)に比べて,30分の1程度と著しく低下していることが明らかである.(図3)。
比較例2:
ダイヤモンドからの電子放出の報告例の中で、p型半導体ダイヤモンド表面が、低い電子放出開始電圧であることが知られている。さらに、従来のシリコンや金属の冷陰極の様にナノ構造を形成することで、材料的観点と構造的観点から優れた特性が示されるp型ダイヤモンド半導体ウイスカー状ナノチップアレイの水素終端構造(図4)とも比較した。
ナノ構造は、プラズマエッチングにより形成し、水素終端構造は、ダイヤモンド合成用の熱フィラメントCVD装置にておこなった。代表的な条件は、フィラメント温度:2100℃、基板温度:800℃、水素雰囲気圧力:100Torr、時間:10分である。
1x10-9Torrの真空中で、電子放出特性を測定した。試料を接地電極に固定し、直径20μmの半球状に加工したタングステンをアノードとして用いた。アノードとダイヤモンド表面の距離を50μmとした。アノード電極に電圧を増加させ、観測されたエミッション電流を測定した。

実施例2による高濃度リン添加ホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜は、比較例2によるダイヤモンドウィスカー状ナノチップアレイに比して、電子放出特性は.従来技術(1500V)に比べて,30分の1程度と著しく低下していることが明らかである.(図4)。
本発明の製造方法による炭素終端構造は、低電圧での電子放出が実現されているナノ構造ダイヤモンドに比べて、平坦構造であり、大電流化にふさわしい構造を有している。さらに、負の電子親和力表面に比べ、電子放出開始電圧が著しく低い。そのため、電子線の放射角が狭く、放出電子のエネルギー幅も狭いことが予測される。これは、フィールドエミッションディスプレイなどの表示機器応用に、優れていることを意味している。さらに、電子線を利用した分析・評価装置、例えば電子顕微鏡応用に発展でき、従来の装置に比べ、精度が高くなることから、分析・評価への新たな発展や発見が期待できる。
本発明の特性図 本発明の特性図 従来例との比較特性図 従来技術により作製したダイヤモンドウイスカー状ナノチップアレイ 従来例との比較特性図

Claims (8)

  1. 電極とn型ダイヤモンド膜を設けた基板からなり、電極と基板の間に電圧が印加されたとき、n型ダイヤモンド膜から電子線を放出する電子源において、ダイヤモンド膜として、リンの添加源としてターシャルブチルリンを用い、リンを濃度1015cm-3以上含有し、抵抗率が107Ωcm以下であるダイヤモンド膜を用いることを特徴とするダイヤモンド電子源。
  2. ダイヤモンド膜表面が酸素、炭素又は水素で一部もしくは全てが終端されたダイヤモンドであることを特徴とする請求項1に記載したリンが添加されているダイヤモンド電子源。
  3. 電子源の基板が、半導体若しくは金属である請求項1又は請求項2に記載されたダイヤモンド電子源。
  4. ダイヤモンド膜が(111)、(100)、(110)面の結晶構造の単結晶膜若しくは多結晶膜である請求項1ないし請求項3のいずれかひとつに記載されたダイヤモンド電子源。
  5. ダイヤモンド基板上に、化学気相成長法(CVD法)によってメタンと水素のガス及びリン雰囲気中で、ダイヤモンド膜を成長させるに際して、リン添加源として、ターシャルブチルリンを用い、リンを濃度1015cm-3以上含有し、抵抗率が107Ωcm以下であることを特徴とするリン添加ダイヤモンド膜を用いる電子源の製造方法。
  6. ダイヤモンドの合成が、マイクロ波CVD法によって行われる請求項5に記載したリン添加ダイヤモンド膜を用いる電子源の製造方法。
  7. ダイヤモンド膜を成長させるに際して、メタン/水素比が0.02〜1%、ターシャルブチルリン/メタン比が300〜10000ppmとした請求項5または請求項6に記載したリン添加ダイヤモンド膜を用いる電子源の製造方法。
  8. ダイヤモンド基板が、(111)、(100)、(110)面の結晶構造の単結晶基板若しくは多結晶基板である請求項5または請求項6に記載したリン添加ダイヤモンド膜を用いる電子源の製造方法。
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