JP4102517B2 - プランター装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物を栽培するためのプランターを建物の窓の直下の壁等に吊り下げて使用するプランター装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アパートやマンション等の狭い空間、例えば、ベランダや窓等を利用して草花、野菜等を育てたり、栽培するためにFRP製のプランターを使用した装置が用いられている。プランター装置にはベランダ等に定置されるものや、窓や建物の壁面を利用して吊り下げる方式のものがある。プランターの容量も小さいものから大きいものまでいろいろなサイズのものが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のプランター装置においては、未だ解決すべき以下のような問題があった。
特に、横長で大型のプランター(例えば、幅360mm、深さ400mm、長さ1850mm)に用土を入れた場合には、総重量が100kg以上となるため、ベランダ等に定置している場合にはそれほど問題にならないが、例えば、出窓や建物の壁面に吊り下げる場合には、出窓や壁面の強度が小さい場合や、プランター自体がプラスチックからなって剛性が小さい場合には、落下の危険があってこの吊り下げ方式を採用することができないという問題があった。
また、出窓や壁面の強度や、プランター自体の剛性に問題が無い場合でも、取付けた状態で、強い風雨に対して強固に保持することができず、取り外されてしまうという問題もあった。さらに、プランター装置の取付け時に時間を要し、施工性が良くないという問題もあった。更には従来のプランターでは、底に溜まる水の量が少ないので、乾燥に弱く、そのため天気の良い日には毎日水を補給する必要があった。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、プランターを出窓や壁面等に吊り下げる場合、プランターを強固に保持することができ、また施工性や景観性の良好なプランター装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係るプランター装置は、上向きフックを有し、複数のねじによって建物の壁に水平に取付けられる固定側金具と、該固定側金具の前記上向きフックに掛合する下向きフックが上部に形成された吊り下げ金具が手前側の側壁に固定された横長のプランターとを有し、しかも、前記下向きフックは折り曲げ形成された板材からなり、更に、前記固定側金具は下向き開口の箱状となって、前記上向きフックは奥側の箱側壁の下部を内側に折り曲げて形成され、その両側には、掛止した前記下向きフックの脱落を防止する取り外し可能なストッパーが設けられた盲板をそれぞれ備えている。従って、プランターを取付けた吊り下げ金具の下向きフックを、建物の壁に取付けられた固定側金具の上向きフックに掛合することができる。
【0006】
ここで、下向きフックは板材からなると共に、固定側金具は箱状に形成されているので、軽量でかつ剛性を大きくすることができる。また、掛合部が箱状内部に位置するので外から見えない。
また、プランターの側壁の中間位置には水抜き孔を備え、その下部位は水溜となって、その上部に空気部を介して多孔部材からなる用土受け部材が設けられ、更に用土受け部材には、水吸い上げ部材を挿通することもでき、これによって水吸い上げ部材を介して水溜の水を用土に吸い上げて、用土の水分を適度に維持することができる。
プランターの手前側を除く側壁上部には、断面筒状の補強部材を一体的に形成することもでき、この結果、プランターの剛性をアップすることができる。
なお、本発明のプランター装置のプランターの材料は、FRP等十分強度を有するものを使用している。
【0007】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係るプランター装置の斜視図、図2は同プランター装置の一部省略側断面図、図3は同プランター装置に使用するプランターの正面図、図4は同プランター装置に使用するプランターの側断面図、図5は同プランター装置に使用する固定側金具の正面図、図6は同プランター装置に使用する吊り下げ金具の正面図、図7は同プランター装置に使用する継ぎ板の正面図、図8は本発明の他の実施の形態に係るプランター装置の一部省略斜視断面図である。
【0008】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施の形態に係るプランター装置10は、上向きフック11を有し、複数のねじ12によって建物の壁13に水平に取付けられる固定側金具14と、固定側金具14の上向きフック11に掛合する下向きフック15が上部に形成された吊り下げ金具16が手前側(建物の壁13側)の側壁17に固定された横長のプランター18とを有して構成されている。以下、これらについて詳しく説明する。
【0009】
図3及び図4に示すように、プランター18は、FRP製の上方に矩形状の開口部を有する容器であって、建物の壁13側の側壁17以外の3つの側壁19、20、21の上端部には、水平に突出した補強部材22、23、24が形成されている。プランター18内には、図2及び図4に示すように、側壁17、19に沿ってパイプ状の受け座25、26が固定して配置され、受け座25、26の上に、用土受け部材27が載置可能な構造となっている。用土受け部材27は矩形状の平板からなり、水通し孔28が多数形成されている。用土受け部材27上には、数種類の土29、30が積層された用土31が収納されるようになっている。
図2に示すように、プランター18の側壁17の上端部は、吊り下げ金具16の下端部と複数のボルト32、ナット33によって連結されている。図2中の符号34は座金を表しており、符号35は図7に示す継ぎ板を表している。継ぎ板35は図7に示すように、棒状の薄板からなり、所定のピッチでボルト32が挿通する挿通孔36が形成されている。
【0010】
図2及び図6に示すように、吊り下げ金具16は、プランター18と連結する略垂直に配置された固定部38と、固定部38の上端で前方に略水平方向に突出した中間部39と、中間部39の先端に上側に接続された下向きフック15とを備えている。吊り下げ金具16の下端部がプランター18と複数のボルト32、ナット33によって連結されるように、固定部38には所定のピッチで挿通孔37が形成されている。固定部38及び中間部39の長さは、継ぎ板35の長さと同じとしており、下向きフック15の長さは固定部38及び中間部39の長さより少し長く形成している。下向きフック15は、中間部39の先端に連結された垂直部40と、垂直部40の上端に前方に下方に傾斜して設けられた当接部41を備えている。吊り下げ金具16は固定部38、中間部39、垂直部40、当接部41は別々に製作したものを溶接等で一体的に構成することもできるし、その一部又は全部は板材を折り曲げて形成することもできる。
【0011】
図2及び図5に示すように、固定側金具14は、建物の壁13に複数のねじ12によって取付けられる固定部42と、固定部42の上端で前方に水平方向に取付けられた中間部43と、中間部43の先端に取付けられた上向きフック11と、固定部42の下端で前方に水平方向に取付けられた補強部44とを備えており、下向きの開口部45を有する断面箱状となっている。上向きフック11は、下向きフック15の当接部41に接触する当接部46を先端に備えた垂直部47(奥側の箱側壁)を有し、垂直部47の下部先端の内側(壁側)に当接部46が連結されている。固定側金具14も吊り下げ金具16と同様に、固定部42、中間部43、補強部44、当接部46、垂直部47を別々に製作したものを溶接等で一体的に構成することもできるし、その一部又は全部は板材を折り曲げて形成することもできる。
【0012】
図5に示すように、固定部42には、建物の壁13にねじ12によって取付けるために、取付け用の長孔48が所定のピッチで形成されている。なお、図2に破線で示すように、固定側金具14の両側にはそれぞれ、上向きフック11に掛止された下向きフック15の脱落を防止するために、取り外し可能なストッパーの一例であるボルト(図示せず)が螺合する雌ねじ49が形成された盲板50、51が設けられている。前記ボルトを雌ねじ49に取付けることによって、前記ボルトの先端部が下向きフック15の垂直部40の前面側に当接して脱落を防止できる。図2中の符号53は、建物の壁13に接着剤等で固定された、ゴム等の弾性材からなるプランター受座を、また、符号54は建物の壁13に埋め込まれた、樹脂からなるねじ取付け具を表しており、それぞれプランター18の長手方向に所定のピッチで設けられている。符号55は用土受け部材27の下方に形成された水溜兼空気部を表している。
【0013】
次に、本発明の一実施の形態に係るプランター装置10を用いたプランターの取付け作業について、主に図2を参照しながら説明する。
建物の壁13の所定位置に、所要数のねじ取付け具54及びプランター受座53を取付ける。内部に受け座25、26が固定された空のプランター18に吊り下げ金具16を、継ぎ板35を介してボルト32、ナット33によって連結する。固定側金具14を建物の壁13に、ねじ12及びねじ取付け具54を介して固定する。
【0014】
空のプランター18を取付けた吊り下げ金具16の下向きフック15を下方から上方に移動させて、固定側金具14の開口部45から内部に挿入し、下向きフック15を上向きフック11に掛合する。この際、図2に示すように、ナット33が建物の壁13に接することなく、プランター18の側壁17の下端部がプランター受座53に当接する。固定側金具14の両端の盲板50、51に形成された雌ねじ49にボルトを取付けて、下向きフック15が上端部を中心にして時計方向に回転して上向きフック11との掛合が外れないようにする。
プランター18の受け座25、26に多孔部材からなる用土受け部材27を配置し、用土受け部材27上に用土31を装入して作業を終了する。
【0015】
従って、本発明の一実施の形態に係るプランター装置10においては、固定側金具14の上向きフック11に、プランター18を取付けた吊り下げ金具16の下向きフック15を下方から上方に移動させて簡単に掛合することができると共に、下向きフック15及び上向きフック11の掛合長さが長いので、プランター18を強固に支持できる。また、下向きフック15及び上向きフック11との掛合部を、プランター18の正面側から見た場合、下向きフック15の垂直部40及び上向きフック11の垂直部47が見えて、掛合部が見えないので、景観性に優れている。
【0016】
図8に示す本発明の他の実施の形態に係るプランター装置60について説明する。なお、プランター装置10と同一の構成要素については同一の符号を用い、類似の構成要素については同一の符号にアルファベットを付して詳しい説明を省略する。
プランター装置60がプランター装置10と異なる点は、プランター18aの両端の側壁20a(21aは図示せず)の中間位置には水抜き孔61が形成されると共に、水抜き孔61の下部位(図8中破線より下を指す)は水溜62している。水抜き孔61の上方には、用土受け部材27aとの間に空気部63が形成されており、用土受け部材27aには水通し孔28が多数形成されて、水溜62に溜まった水を吸収可能な水吸い上げ部材の一例である布64、65が水通し孔28に挿通されている。さらに、用土受け部材27a上には、水通し孔28を覆うようにして図示しない敷布が配置されていおり、この敷布によって用土受け部材27a上の用土が水通し孔28を通って水溜62に落下しないように構成している。
【0017】
従って、雨水や給水によってプランター18a内の用土を通して水溜62に溜まった水は水抜き孔61によって排出されて所定のレベルを維持することができる。また、布64、65によって水溜62に溜まった水は上方の用土に吸い上げられて、用土は適度の水分に維持できる。
【0018】
さらに、プランター装置60においては、プランター18aの手前側(建物の壁側)を除く側壁19(側壁20a、21aも同じ)の上部には、図8に示すように、断面筒状の補強部材22aが一体的に形成されている。即ち、補強部材22aは側壁19と同じ厚みで構成され、側壁19の上端で外側に水平に折り曲げられ、次いで、垂直に折り曲げられ、さらに内側に水平に折り曲げられた後、側壁19に沿って下方に折り曲げられている。下方に折り曲げられた部分は接着剤等によって、側壁19に一体的に固着されている。なお、断面筒状の補強部材22a内には、FRP加工性が容易であるので、スポンジ66(又は発泡スチロール、木)が挿入されている。
【0019】
従って、プランター18aは、従来の補強部材22(23、24も同じ)を備えたプランター18に比べて剛性がアップするので、プランター18aの変形を抑えることができ、また、より多くの用土を収納できると共に、容積の大きい空気部63及び水溜62を形成することができる。
なお、プランター装置60を用いたプランターの取付け作業については、プランター装置10と略同じゆえに、説明を省略する。
【0020】
前記実施の形態においては、プランターの形状を矩形として説明したが、これに限定されず、三角形又は五角形以上、さらに円弧状とすることもできる。
上向きフック及びこれに掛合する下向きフックの断面形状をV字状としたが、状況に応じてU字状としたり、その他の形状とすることもできる。
固定側金具及び吊り下げ金具共、板材を折り曲げ加工して形成したが、場合によっては数個のピースを並べて、溶接等で一体的に構成することもできる。
掛合された吊り下げ金具の脱落防止用にストッパーとして、盲板に形成された雌ねじに螺合するボルトについて説明したが、この構成に限定されない。
プランターの側壁上部に設けた補強部材の断面形状を四角形としたが、三角形、五角形以上又は円形、楕円等とすることもできる。
【0021】
【発明の効果】
請求項1〜3記載のプランター装置においては、プランターを取付けた吊り下げ金具の下向きフックを、建物の壁に取付けられる固定側金具の上向きフックに掛合することができるので、プランターを空中に簡単に保持することができると共に、プランターを容易に取り外すこともできる。
また、吊り下げ金具の下向きフックは板材からなると共に、固定側金具は箱状に形成され、両側には、掛止した下向きフックの脱落を防止する取り外し可能なストッパーが設けられているので、軽量でかつ剛性を大きくすることができまた、強風等に対しても強固にプランターを保持することができる。さらに、掛合部が箱状内部に位置して外から見えないので、景観性に優れている。
【0022】
請求項2記載のプランター装置においては、水吸い上げ部材を介して水溜の水を用土に吸い上げて、用土の水分を適度に維持することができるので、草花の成育が良好となる。この水溜の部分を大容量とすることによって、長期間の水の保存を確保できる。
請求項3記載のプランター装置においては、補強部材によってプランターの剛性をアップすることができるので、コンパクトで安価な装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプランター装置の斜視図である。
【図2】同プランター装置の一部省略側断面図である。
【図3】同プランター装置に使用するプランターの正面図である。
【図4】同プランター装置に使用するプランターの側断面図である。
【図5】同プランター装置に使用する固定側金具の正面図である。
【図6】同プランター装置に使用する吊り下げ金具の正面図である。
【図7】同プランター装置に使用する継ぎ板の正面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係るプランター装置の一部省略斜視断面図である。
【符号の説明】
10:プランター装置、11:上向きフック、12:ねじ、13:壁、14:固定側金具、15:下向きフック、16:吊り下げ金具、17、17a:側壁、18、18a:プランター、19、20、20a、21:側壁、22、22a、23、24:補強部材、25、26:受け座、27、27a:用土受け部材、28:水通し孔、29、30:土、31:用土、32:ボルト、33:ナット、34:座金、35:継ぎ板、36、37:挿通孔、38:固定部、39:中間部、40:垂直部、41:当接部、42:固定部、43:中間部、44:補強部、45:開口部、46:当接部、47:垂直部、48:長孔、49:雌ねじ、50、51盲板、53:プランター受座、54:ねじ取付け具、55:水溜兼空気部、60:プランター装置、61:水抜き孔、62:水溜、63:空気部、64、65:布(水吸い上げ部材)、66:スポンジ
Claims (3)
- 上向きフックを有し、複数のねじによって建物の壁に水平に取付けられる固定側金具と、該固定側金具の前記上向きフックに掛合する下向きフックが上部に形成された吊り下げ金具が手前側の側壁に固定された横長のプランターとを有し、しかも、前記下向きフックは折り曲げ形成された板材からなり、更に、前記固定側金具は下向き開口の箱状となって、前記上向きフックは奥側の箱側壁の下部を内側に折り曲げて形成され、その両側には、掛止した前記下向きフックの脱落を防止する取り外し可能なストッパーが設けられた盲板をそれぞれ備えていることを特徴とするプランター装置。
- 請求項1記載のプランター装置において、前記プランターの側壁の中間位置には水抜き孔を備え、その下部位は水溜となって、その上部に空気部を介して多孔部材からなる用土受け部材が設けられ、更に該用土受け部材には、水吸い上げ部材が挿通していることを特徴とするプランター装置。
- 請求項1又は2記載のプランター装置において、前記プランターの手前側を除く側壁上部には、断面筒状の補強部材が一体的に形成されていることを特徴とするプランター装置。
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