JP4100920B2 - プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容量結合型プラズマ源を用いたプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置に関し、特にプラズマ中での高エネルギ電子の発生を抑制し電子エネルギを低く制御することにより、大面積における高品質な薄膜堆積および高精度なエッチング等を実現するプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
二つの平板電極を平行に設置した容量結合型プラズマ源はその機構の単純さから多くのプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置に用いられているが、プラズマが生成されることによって発生する電子のエネルギを外部からほとんど制御することができないという問題があった。
【0003】
したがって、容量結合型プラズマ源を用いたプラズマ処理においては、高エネルギ電子の発生を抑制することができず、高エネルギ電子から発生する高解離ラジカルによって、高品質な薄膜堆積や高精度なエッチングを行なうことが困難であった。
【0004】
たとえば、SiH4を用いたプラズマCVD法によるアモルファスシリコン薄膜堆積においては、プラズマ中における低解離ラジカルであるSiH3の密度に比べて高解離ラジカルであるSiH2の密度が大きい場合には、薄膜の電気的特性が低下し、光劣化の大きな薄膜が形成されることがあった。
【0005】
また、Si基板上に形成されたSiO2膜のエッチングにおいては、低解離ラジカルCF2はSiO2膜のエッチング終了後は露出したSi基板上に保護膜を形成するが、高解離ラジカルであるFはSi基板までエッチングすることから、エッチングの選択性が低下することがあった。
【0006】
従来から、高エネルギ電子の発生を抑制し電子エネルギを低く制御する技術としては、まず、プラズマ源を選択する方法があった。たとえば、容量結合型プラズマ源、誘導結合型プラズマ源およびECRプラズマ源においては、高エネルギ電子が多く発生し、表面波プラズマ源、マイクロ波プラズマ源およびVHF励起容量結合型プラズマ源においては、一般的に電子エネルギを低く制御することができるとされている。しかし、この方法ではプラズマ源の変更をするのに多くの労力が必要となり、また、製造プロセス上の制約等からプラズマ源の変更をすることができない場合があった。さらに近年では、処理基板の大型化に伴い、大面積で均一にプラズマを生成する技術が求められているが、誘導結合型およびECRプラズマ源はこれに不適であった。
【0007】
T.Mieno and S.Samukawa,Proc. of 12th Symp.Plasma Process Sendai,5(1995)では、プラズマ源に入射するRFパワーを時間変調することによりアフターグロー状態を作り出し電子エネルギの散逸を図る技術が開示されている。しかし、この技術では時間平均値としては電子エネルギが低下するが、パルスON直後には高エネルギ電子が発生して高解離ラジカルが生成し、高解離ラジカルの寿命が長い場合には、パルスOFF後にも高解離ラジカルが残存していることがあった。
【0008】
K.Kato.et.al.,Appl.Phys.Lett.65,816(1994)では、リモートプラズマから引き出された電子にグリッドを通過させ、ポテンシャルの差を利用してエネルギを減少させる技術が開示されている。しかし、この技術ではプラズマ源と成膜室とが離れているため膜堆積を行なう基板上において電子密度が低下し、ラジカルの発生量が減少するためプラズマ処理速度が遅いという問題があった。
【0009】
特開2000−223299公報においては、サイクロトロン運動におけるラーマ半径が高エネルギ電子ほど大きくなる性質を利用しており、プラズマ源から引き出される高エネルギ電子は容器壁に衝突して消滅させることにより、プラズマ源から引き出される電子のエネルギ選別を行なう技術が開示されている。また、特開平3−6203号公報においては、静電場を設けた電極の間に電子を通過させ、電子の軌道を静電場により変更させることにより電子のエネルギを選別するフィルタをプラズマ源に適用する技術が開示されている。しかし、これらの技術はいずれも小面積のプラズマ源にのみ適用されるものであり、また、電源や磁力線源を含む特別な機構を新たに追加する必要があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に鑑みて、本発明は、容量結合型プラズマ源を用いたプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置において、プラズマ中での高エネルギ電子の発生を抑制し電子エネルギを低く制御することにより、大面積における高品質な薄膜堆積および高精度なエッチング等を実現するプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、容量結合型プラズマ源を用いたプラズマ処理方法において、プラズマ中心部における電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度と、プラズマシース近傍における電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度と、を推定し、その推定に基づいて投入量が制御された微粒子をプラズマ中に投入することにより、プラズマシース近傍に微粒子を浮遊させてプラズマ中心部における抵抗加熱の割合に対するプラズマシース近傍における統計加熱の割合を減少させたプラズマを用いてプラズマ処理を行ない、プラズマ処理の停止前または停止後に微粒子を除去するプラズマ処理方法であることを特徴としている。
【0014】
また、本発明のプラズマ処理方法においては、微粒子として、樹脂、ガラス、Si多結晶、カーボングラファイトおよびダイヤモンドからなる群から選択された少なくとも1種の微粒子を用いることができる。また、本発明のプラズマ処理方法においては、微粒子の質量が10-18〜10-12gであることが好ましい。また、本発明のプラズマ処理方法においては、微粒子の粒径が0.01〜1μmであることが好ましい。また、本発明のプラズマ処理方法においては、電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度はそれぞれプラズマ発光量により推定することができる。
【0015】
また、本発明は、容量結合型プラズマ源によりプラズマを発生させる手段と、プラズマ中に微粒子を投入する手段と、プラズマ中心部における電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度を推定する手段と、プラズマシース近傍における電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度を推定する手段と、その推定に基づいて微粒子の投入量を制御する手段と、微粒子の除去手段と、を備えているプラズマ処理装置であることを特徴とする。また、本発明のプラズマ処理装置において、プラズマ中心部における電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度を推定する手段としてはプラズマ中心部におけるプラズマ発光量を測定する手段を用いることができ、プラズマシース近傍における電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度を推定する手段はプラズマシース近傍におけるプラズマ発光量を測定する手段を用いることができる。また、本発明のプラズマ処理装置において、容量結合型プラズマ源によりプラズマを発生させる手段として対向する一対の電極を備え、微粒子の除去手段は上記の電極間に備えられていてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(容量結合型プラズマ源)
本発明のプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置には、容量結合型プラズマ源が用いられる。容量結合型プラズマ源を用いた場合には、大面積におけるプラズマ処理をすることができ、近年の基板の大面積化の流れに対応することができる。ここで、容量結合型プラズマ源とは、二つの平板電極を平行に設置し、一方の電極を接地し、もう一方の電極に高周波を印加することによりプラズマを発生させるプラズマ源のことをいう。
【0019】
(微粒子)
容量結合型プラズマ源によって発生したプラズマ中には微粒子が投入される。微粒子としては、たとえば、アクリル等の樹脂、ガラス、Si多結晶、カーボングラファイト、ダイヤモンド等があり、好適にはSi多結晶、ダイヤモンドである。投入される微粒子は1種類であってもよく、2種類以上の微粒子を投入することもできる。
【0020】
微粒子はプラズマ中の電子を吸着し、巨大負イオンとして振舞うものと考えられ、微粒子がプラズマに投入されたとき、微粒子はプラズマシース近傍における電子の吸収端として作用するため、プラズマシース近傍における電子を固定束縛して電子の動きを極めて鈍くする。したがって、高エネルギ電子を発生させる統計加熱は抑制されることとなる。
【0021】
微粒子の質量としては、10-18〜10-12gであることが好ましく、さらに好適には10-15〜10-14gであることが好ましい。微粒子がプラズマシース近傍に浮遊しやすくなるためである。
【0022】
また、微粒子の粒径としては、0.01〜1μmであることが好ましく、さらに好適には0.05〜0.1μmであることが好ましい。微粒子に電子をより多く吸着させ、電子の動きを鈍くするためである。荷電粒子が電場に置かれたときに受ける静電気力は荷電粒子の電荷Qに比例し、その静電気力により受ける荷電粒子の加速度は荷電粒子の質量mに反比例するので、荷電粒子の動きやすさの指標は電荷質量比Q/mであると考えることができる。たとえば、上記粒径を有する微粒子は104〜105個程度の電子を吸着する。したがって、微粒子の電荷質量比Q/mは電子のそれに比べて1/105〜1/104程度になり、プラズマシース近傍の電子はほとんど動かなくなる。
【0023】
また、微粒子をプラズマ中に投入する手段としては、たとえば微粒子が充填されているタンクを振動させることによるもの、または微粒子が充填されているタンクの扉の開閉によるもの等がある。
【0024】
(統計加熱および抵抗加熱の割合の変化)
容量結合型プラズマ源には、プラズマシース近傍における統計加熱およびプラズマ中心部における抵抗加熱という2種類の加熱機構が存在する。このことは、M.Lieberman and A.Lichtenberg,Principle of Plasma Discharges and Material Processing,JOHN WILEY & SONS,INC(1994)等に記載されている。
【0025】
統計加熱はその加熱機構において無衝突であるため、非マックスウェル分布である高エネルギ電子を生成する。一方、抵抗加熱はその加熱機構において衝突が不可欠であるため、マックスウェル分布に沿った低温電子を生成する。したがって、高エネルギ電子を抑制するためにはプラズマシース近傍における統計加熱の割合を減少させて、プラズマ中心部における抵抗加熱の割合を増加させればよい。
【0026】
本発明のプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置においては、微粒子を導入して電子の移動度を減少させることにより、プラズマ中心部における抵抗加熱の割合に対するプラズマシース近傍における統計加熱の割合を相対的に減少させる。たとえば、上記微粒子を104cm-3程度導入したとき、微粒子に吸着される電子の密度は微粒子の投入前のプラズマ中に存在した電子密度とほぼ同じになる。すなわち、動きやすい電子をほとんど導入微粒子に固定束縛することにより統計加熱を抑制することができる。つまり、高エネルギ電子ひいては高解離ラジカルの発生を抑制することで、高品質のプラズマ処理が可能となる。
【0027】
(電子エネルギ、高エネルギ電子密度の測定)
また、容量結合型プラズマ源には、電子エネルギ、高エネルギ電子密度またはこれらの双方を測定する手段を設置することができる。好ましくはプラズマシース近傍とプラズマ中心部の2ヶ所の電子エネルギおよび高エネルギ電子密度の測定をすることができる手段を設置することである。この2ヶ所の電子エネルギおよび高エネルギ電子密度を比較することにより、プラズマシース近傍における高エネルギ電子の密度および平均的な電子エネルギが減少することを明確に判断することができる。
【0028】
電子エネルギ、高エネルギ電子密度を測定する手段としては、従来から公知の測定手段が用いられ得る。好適にはプラズマの発光スペクトルをフォトダイオード等の検知手段により検知するプラズマ発光測定法である。プラズマの発光量は電子エネルギおよび高エネルギ電子密度と正の相関を持っていることから、電子エネルギ、高エネルギ電子密度の増減が明確となる。
【0029】
また、電子エネルギ、高エネルギ電子密度を測定して得られた情報を演算する手段を備えていることが好ましい。また、この演算により統計加熱割合および抵抗加熱割合を推定することができる手段を備えていることがより好ましい。また、この推定を基に微粒子の投入量を制御、好適にはフィードバック制御することができる手段を備えていることがさらに好ましい。
【0030】
(プラズマシースに浮遊する微粒子の除去)
また、容量結合型プラズマ源には、プラズマシースに浮遊する微粒子を除去する手段を設置していることが好ましい。微粒子が基板上に堆積し、製品の歩留まりを悪化させることが考えられるためである。プラズマシースに浮遊する微粒子を除去する機構としては、微粒子に作用する静電気力を利用したもの、ガス流の粘性力を利用したもの等が考えられる。たとえば、WO 01/01467 A1に示されているような静電プローブ等を設置することができる。ここで、微粒子の除去はプラズマ停止後の行なうことが好ましく、除去時間としては5〜120秒で、好適には10〜50秒である。
【0031】
(本発明のプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置の適用)
上述した本発明のプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置は、従来から公知のプラズマ処理に適用され得る。たとえば、太陽電池等の製造プロセスにおける薄膜堆積、半導体発光素子等の製造プロセスにおけるドライエッチング等に適用され得る。
【0032】
【実施例】
(実施例および比較例に用いられる装置の概要)
図1に実施例および比較例の薄膜堆積に用いられるプラズマCVD装置を示す。図1において、堆積室13外壁はステンレス鋼で構成され電気的に接地されており、堆積室13内部にはアノード電極14とカソード電極15とが互いに対向するように配置されている。アノード電極14とカソード電極15との間には、リング状微粒子捕集電極27が設置されている。
【0033】
ここで、アノード電極14には基板11を挟持した導電性材料からなる基板ホルダ12が設置されており、温度調整用のヒータ(図示せず)が設置されている。また、カソード電極15は整合調整器17を介して高周波電源16が同軸線路で接続されており、堆積室13外壁と電気的に絶縁されている。整合調整器17により、微粒子堆積中は投入電力が堆積室13内部で最大限消費されるように調整される。また、リング状微粒子捕集電極27のリング内側には穴が開けられており、リング状微粒子捕集電極27に正のバイアスをリング状電極に印加することによって、負電荷に帯電する微粒子をこのリングの内側の穴へ誘導し除去することができる。
【0034】
堆積室13外部に設置されたガスシリンダ(図示せず)に接続されている配管を通して、堆積室13外壁に設けられているガス導入孔20から、材料ガスが堆積室13内部へ導入される。さらに、堆積室13内部を真空排気する排気機構(図示せず)が接続されており、堆積室13の内部圧力が所望の値になるようにガス排気孔21からのガスの排出量が調整される。
【0035】
堆積室13側部には、堆積室13内部が観察できるように透明石英製の窓22が設けられている。2つのフォトダイオード23および24が窓22を通してチャンバ外部に設けられている。フォトダイオード23はプラズマ中央部、フォトダイオード24はプラズマシース部を観測している。フォトダイオードの出力電流は電流演算器25に入力され、設定値と比較演算がなされる。フォトダイオード24の電流が設定値に減少するまで微粒子タンク19に直結された振動発生器26に信号が送られる。振動発生器26は微粒子タンク19に振動を加え、微粒子タンク19中の微粒子は投入口18を通じてプラズマ中に投入される。
【0036】
(実施例の作製と物性)
以下、本実施例のアモルファスシリコンの堆積方法について説明する。まず、5cm角で厚さ1.1mmのガラスからなる基板11を、ステンレス鋼製の基板ホルダ12に挟持し、堆積室13内部へ搬送する。次に基板ホルダ12をアノード電極14に設置し、堆積室13内部を10-5Pa程度にまで減圧する。
【0037】
そして、ガス導入孔20から原料ガスとしてSiH4を10SCCM、H2を10SCCMを導入し、ガス排気孔21によりガス排気量を調整して圧力を13Paとする。基板11の温度は200℃となるように設定し、高周波電源16により周波数13.56MHzの高周波がカソード電極15に供給されると放電が生じ、プラズマを発生させる。ここで、投入電力は30Wとした。
【0038】
次に、プラズマ発生と同時に直径0.1ミクロンの石英製微粒子をプラズマ内に投入し、30分間堆積を継続した。その後、リング状微粒子捕集電極27にバイアスを30秒間印加し、シース中に浮遊する微粒子を除去した後、プラズマを停止した。
【0039】
ここで、フォトダイオード23および24によって、プラズマ中心部とプラズマシース近傍のプラズマ発光強度の時間変化を測定した。その結果を図2に示す。図2においては、プラズマ発光強度が大きいほど高エネルギ電子の密度が高く、平均的な電子エネルギが高いことを意味している。
【0040】
図2に示すように、プラズマ中心部においては、微粒子の投入後もプラズマ発光強度に時間的な変化は見られない。これは主にプラズマ中心部で生じる抵抗加熱によるパワー入射に変化がないこと、すなわち高エネルギ電子の密度および電子エネルギに変化がないことを意味する。
【0041】
一方、プラズマシース近傍においては、プラズマ点灯10秒後に5×104個程度の微粒子を投入したとき、プラズマ発光強度はプラズマ点灯100秒後には約1/5に減少していた。これは主にプラズマシース近傍で生じる統計加熱によるパワー入射が微粒子の投入によって減少し、高エネルギ電子の密度および電子エネルギも減少したことを意味する。
【0042】
このようにして堆積された実施例の薄膜の導電率測定と赤外線吸収特性の測定を行なった。その結果、膜厚は210nm、光導電率/暗導電率は2×106、SiH結合分率は10.2原子%、SiH2結合分率は1.5原子%であった。
【0043】
(比較例の作製と物性)
比較例においては、石英製微粒子をプラズマ内に投入しなかったこと以外は、実施例と同じ条件で薄膜堆積を行なった。比較例の薄膜の導電率測定と赤外線吸収特性の測定の結果、膜厚は300nm、光導電率/暗導電率は5×105、SiH結合分率は10.3原子%、SiH2結合分率は4.1原子%であった。
【0044】
(実施例と比較例との比較)
実施例の薄膜は、比較例の薄膜と比べ、光導電率/暗導電率が4倍程度に増大し、SiH2結合分率は1/2.5程度に減少した。したがって、石英製微粒子をプラズマ内に投入することにより、薄膜の構造的電気特性が改善されることを確認することができた。また、プラズマシース近傍における電子の統計加熱が抑制されていることも確認することができた。
【0045】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0046】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、容量結合型プラズマ源において、プラズマ中での高エネルギ電子の発生を抑制し電子エネルギを低く制御することができることから、高品質な薄膜堆積および高精度なエッチング等の実現が可能となり、太陽電池、TFTおよびIC等の性能を向上させることができる。また、プラズマ処理を大面積で行なうことができることから、これらを安価に製造することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例および比較例の薄膜堆積に用いられるプラズマCVD装置の模式的な概略図である。
【図2】 実施例の薄膜堆積におけるプラズマシース近傍のプラズマ発光強度の時間変化を表わす図である。
【符号の説明】
11 基板、12 基板ホルダ、13 堆積室、14 アノード電極、15 カソード電極、16 高周波電源、17 整合調整器、18 投入口、19 微粒子タンク、20 ガス導入孔、21 ガス排気孔、22 窓、23,24 フォトダイオード、25 電流演算器、26 振動発生器、27 リング状微粒子捕集電極。
Claims (8)
- 容量結合型プラズマ源を用いたプラズマ処理方法において、プラズマ中心部における電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度と、プラズマシース近傍における電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度と、を推定し、前記推定に基づいて投入量が制御された微粒子をプラズマ中に投入することにより、プラズマシース近傍に前記微粒子を浮遊させてプラズマ中心部における抵抗加熱の割合に対するプラズマシース近傍における統計加熱の割合を減少させたプラズマを用いてプラズマ処理を行ない、前記プラズマ処理の停止前または停止後に前記微粒子を除去することを特徴とするプラズマ処理方法。
- 前記微粒子として、樹脂、ガラス、Si多結晶、カーボングラファイトおよびダイヤモンドからなる群から選択された少なくとも1種の微粒子が用いられることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理方法。
- 前記微粒子の質量が10-18〜10-12gであることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理方法。
- 前記微粒子の粒径が0.01〜1μmであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプラズマ処理方法。
- 前記電子エネルギおよび/または前記高エネルギ電子密度はそれぞれプラズマ発光量により推定されることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のプラズマ処理方法。
- 容量結合型プラズマ源によりプラズマを発生させる手段と、プラズマ中に微粒子を投入する手段と、プラズマ中心部における電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度を推定する手段と、プラズマシース近傍における電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度を推定する手段と、前記推定に基づいて微粒子の投入量を制御する手段と、微粒子の除去手段と、を備えていることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 前記プラズマ中心部における電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度を推定する手段は前記プラズマ中心部におけるプラズマ発光量を測定する手段であり、前記プラズマシース近傍における電子エネルギおよび/または高エネルギ電子密度を推定する手段は前記プラズマシース近傍におけるプラズマ発光量を測定する手段であることを特徴とする、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
- 前記容量結合型プラズマ源によりプラズマを発生させる手段は対向する一対の電極を備えており、前記微粒子の除去手段は前記電極間に備えられていることを特徴とする、請求項6または7に記載のプラズマ処理装置。
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