JP4098840B2 - 車両用センサ信号処理装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用電装品、例えばカーナビゲーション装置（以下カーナビと言う）等のシステムにおける車載の各種センサ、例えば車輪速センサ（回転数センサ）等からの信号を処理する装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
今日の車両は、カーエレクトロニクスの進展に伴い、電子制御噴射装置（ＥＦＩ）、アンチロックブレーキ装置（ＡＢＳ）、カーナビ等の高級な電装品が搭載され、それらの電装品には数多くの各種のセンサが必要であり、そのセンサの数は増加の一途にある。今日の車載電装品とそれに必要な車載センサの一例を示せば、図５のとおりである。図中、各電装品の横方向の“〇”に該当するセンサがその電装品に必要なセンサである。
【０００３】
このような状況の下、各電装品（ＥＦＩ、ＡＢＳ等）には、図４に示すように、その各々に対し、必要となるセンサ（車輪速センサ等）をワイヤーハーネスａによって接続するのが一般的であり、各電装品において、各センサ信号の処理を行って各種の制御を行っている。図中、Ｓｎは必要なセンサが適宜に設けられる意であり、ａ_n はそのワイヤーハーネスである（以下、同じ）。
【０００４】
このとき、各電装品が同じセンサ信号を必要としても、一センサから各電装品にはそれぞれワイヤーハーネスを介して接続している。また、各電装品にそれぞれ必要なセンサを接続をもしている。すなわち、同一機能のセンサを重複して設けている場合（重複装着）もある。
【０００５】
しかしながら、上述のように、今日の車載電装品の増加に伴い、各センサからのワイヤーハーネスａもその電線数が増加して複雑化している。このワイヤーハーネスａの複雑化は、ハーネス配策径路の確保難を招いている。また、上記センサの重複装着は無駄である。
【０００６】
その問題を解決するものとして、特開平７−１２３４８３号公報には、複数のセンサと制御機器（電装品）が選択的に接続された複数の局が多重通信ラインによって結合され、その複数の局のうち少なくとも１つの局に前記各センサを集中して接続したシステムが開示されている。すなわち、このシステムは、各センサから各局（電装品）へのワイヤーハーネスが省略できるため、上記問題が解決し、コストの低減を図り得る。
【０００７】
しかしながら、このシステムにおいては、各センサが集中接続される電装品は、例えば、エンジンルーム内に配置された各センサをその信号を必要とするＥＦＩに接続し、そのＥＦＩ内においてパラメータ（センサ信号）供給装置を構成し、この装置から、その集ったセンサ信号をそれを必要とする他の電装品に供給するものである。この場合、ＥＦＩは、各電装品に、センサ信号を必要処理の後、供給する以外に、本来の機能であるエンジン制御を行わねばならず、そのため、その集まった信号の処理に限界がある。また、その両者の処理を円滑に行おうとすれば、ＣＰＵの能力をあげねばならず、コストアップにつながる。
【０００８】
この発明は、上記の実情の下、現状の電装品のコストアップを最小限におさえつつ、ワイヤーハーネスの簡素化を図ることを課題とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、請求項１記載の発明は、車両用電装システムにおける複数の車載センサ信号の処理装置であって、複数のセンサ信号をその信号処理のみを行う特定の電子制御ユニットにそれぞれ入力し、この電子制御ユニットに、前記各センサ信号を必要とする種々の電装品をディジタル通信システムで接続し、前記電子制御ユニットにおいて、その電子制御ユニット自身でもって前記各センサ信号に基づく各電装品の必要とする判断・計算の前処理及びそのディジタル変換を行い、その処理情報を、前記ディジタル通信システムを介して前記各電装品に分配し、その分配には、一の同一の処理情報の複数の電装品への分配を含む構成としたのである。前記前処理としては、タイヤ空気圧、走行方向、走行速度、走行加速度、走行角速度、走行角加速度、タイヤスリップ度、走行距離、車両旋回角などの判断・計算が考えられる。
【００１０】
このように、センサ信号のみの処理用電子制御ユニット（ＥＣＵ）を設け、このＥＣＵによってセンサ信号を処理して各電装品にその必要センサ信号を分配するので、ＥＣＵの処理能力も十分に得ることができ、このため、その処理も高度化し得る。また、その各センサ信号は、ＥＣＵから各電装品へのワイヤーハーネスのみによって通信し得るため、センサ信号通信用ワイヤーハーネスを削減し得る。
【００１１】
請求項２記載の発明は、請求項１記載の発明において、上記複数のセンサ信号が前後両輪の各回転速度信号であって、上記電装品が、カーナビゲーション装置、アンチロックブレーキ装置又は異常表示器（メータ）である構成としたのである。
【００１２】
このように、前輪、後輪の計４個の回転速度信号をＥＣＵに入力すれば（図２参照）、各車輪（タイヤ）の回転数の差をとることにより、タイヤ空気圧の良否や車両の走行方向を判断し得る。すなわち、例えば、図３に示すように、一定速直進時の各車輪の回転数を、Ｃ１、Ｃ２、Ｃ３、Ｃ４として、｛｛（Ｃ１＋Ｃ４）−（Ｃ２＋Ｃ３）｝／（Ｃ１＋Ｃ２＋Ｃ３＋Ｃ４）｝▲１▼を計算し、全てのタイヤ圧が等しいならば、ある車両（走行）速度において、各車輪の回転数は等しくなる。よって、式▲１▼の値は０となる。仮に、Ｃ１で表されるタイヤの空気圧が減少した場合、中心から地面までの半径が減少し、同一の走行速度において、他の車輪よりも回転数が多くなるから、式▲１▼の値は０とならず、空気圧不良が判定できる。このとき、実際には、各タイヤには、磨耗、適正な範囲での空気圧のバラツキ、スリップ等があるため、これら諸要因を考慮して、タイヤ空気圧の不良を判定する。タイヤ空気圧の不良は異常表示器に送ってその旨を表示する。
【００１３】
また、車両が直進している場合、各車輪の回転数は等しいが（Ｃ１＝Ｃ２＝Ｃ３＝Ｃ４）、車両が旋回すると、内側の車輪に比べ、外側の車輪のほうが、より長い距離を走るため、車輪の回転数が増加する。例えば、図３において、Ｃ１＜Ｃ２となり、左旋回したことがわかる。これらの差を求めて、旋回角度を算出し、この旋回角度に基づき、車両進行方向を判断する。このとき、実際には、タイヤの磨耗、スリップ、空気圧不良等があるため、これらの諸要因を考慮して、車両旋回角（旋回角度）を算出する。この車両進行方向がわかれば、カーナビ等におけるジャイロセンサの代用とし得る（請求項３、４）。
【００１４】
【発明の実施の形態】
図１に一実施形態を示し、図５に示した車載センサの所要なものを所要位置に配置し、その各センサをワイヤーハーネスａによって、ＥＣＵに接続した。ＥＣＵでは、その各センサ信号に基づき、上述のタイヤ空気圧の良否、車両進行方向等の前処理を行なうとともに、センサ信号及び前処理値を多重通信可能なディジタル信号に変換し、ＥＦＩ、カーナビ、メータ等に伝送する。その多重通信は、前記公開公報、特開昭６１−２２９１９５号公報等に記載の周知の適宜な手段を採用する。
【００１５】
このとき、センサ信号、前処理値は、ＥＣＵから各電装品（ＡＢＳ等）にそれぞれ直接に伝送しなくても、図２に示すように、他の電装品から伝送するようにしてもよい。同図ではメータに、カーナビを介して車両走行方向を、ＡＢＳを介して空気圧を、それぞれ伝送するようにしている。このようにすれば、それらの情報のＥＣＵからメータへの通信径路が削減し得る。ＡＢＳ及びカーナビとメータとはその内容表示のために、その間の通信径路を必要とする場合が多い。
【００１６】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成し、センサ信号処理専用のＥＣＵを設けたので、各電装品と各センサを結ぶワイヤーハーネスの大幅な削減を図ることができる。
【００１７】
また、四輪車速をＥＣＵに入力して、各種の処理を行い、その処理データをＡＢＳ、カーナビ、メータに分配すれば、一輪の車速を用いていたＡＢＳ等に比べて、より精度の高い作用を、ワイヤーハーネスの増加なしに行い得る（図２参照）。
【図面の簡単な説明】
【図１】一実施形態の概略図
【図２】他の実施形態の概略図
【図３】四輪車速検知作用説明図
【図４】従来例の概略図
【図５】車載センサと車載電装品の関係表
【符号の説明】
ＥＣＵ 電子制御ユニット
ＡＢＳ アンチロックブレーキ装置
ＥＦＩ 電子制御燃料噴射装置
Ｃ１、Ｃ２、Ｃ３、Ｃ４ 車輪回転速度
ａ ワイヤーハーネス

Claims (4)

1. 車両用電装システムにおける複数の車載センサ信号の処理装置であって、複数のセンサ信号をその信号処理のみを行う特定の電子制御ユニットにそれぞれ入力し、この電子制御ユニットに、前記各センサ信号を必要とする種々の電装品をディジタル通信システムで接続し、前記電子制御ユニットにおいて、その電子制御ユニット自身でもって前記各センサ信号に基づく各電装品の必要とする判断・計算の前処理及びそのディジタル変換を行い、その処理情報を、前記ディジタル通信システムを介して前記各電装品に分配し、その分配には、一の同一の処理情報の複数の電装品への分配を含むことを特徴とする車両用センサ信号処理装置。
2. 上記複数のセンサ信号が前後両輪の各回転速度信号であって、上記電装品が、カーナビゲーション装置、アンチロックブレーキ装置又は異常表示器であることを特徴とする請求項１に記載の車両用センサ信号処理装置。
3. 上記電子制御ユニットにおいて、上記前後両輪の各回転速度信号により、タイヤ空気圧を演算して、そのタイヤ空気圧の異常を上記異常表示器に伝送表示するようにしたことを特徴とする請求項２記載の車両用センサ信号処理装置。
4. 上記電子制御ユニットにおいて、上記前後両輪の各回転速度信号により、車の走行方向を判別して、その処理情報を上記カーナビゲーション装置に伝送するようにしたことを特徴とする請求項２記載の車両用センサ信号処理装置。

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