JP4098563B2 - 電源装置 - Google Patents

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敦士 小関
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チョッパ回路に接続された負荷を制御する電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電源として交流電圧を平滑した電源を使用し、この電源の出力電圧をチョッパ回路により所定の電圧に変換して負荷に供給し、例えばHIDランプ点灯回路等を定電力制御、定電圧制御、あるいは、定電流制御する場合がある。図6はチョッパ回路として降圧チョッパ回路を用いた電源装置の一例を示す回路図である。
【0003】
図6に示すように、電源E1に降圧チョッパ回路CHが接続され、この降圧チョッパ回路CHにランプドライブ回路LD、定電力演算回路Mが接続されている。降圧チョッパ回路CHは、スイッチング素子Q1、リアクトルL1、ダイオ−ドD1、コンデンサC1により構成され、スイッチング素子Q1は定電力演算回路Mの出力パルスによりドライブ回路TDを介してオン、オフされる。ランプドライブ回路LDはHIDランプLAを駆動し、ランプドライブ回路LDの入力電圧Vla、抵抗Ri1により検出されるランプドライブ回路LDの入力電流Ilaが定電力演算回路Mに入力される。
【0004】
図6に示す電源装置の動作を図7の波形図により説明する。図7(a)に示すように、定電力演算回路Mから駆動パルスが出力されると、ドライブ回路TDによりスイッチング素子Q1がオンされ、リアクトルL1に流れる電流IL1は図7(b)に示すように時間tの経過とともに次第に上昇する。そして、ランプドライブ回路LDの入力電圧Vlaと抵抗Ri1により検出されたランプドライブ回路Dの入力電流Ilaとの演算結果が所定値になると、図7(a)に示すように、定電力演算回路Mからのパルスがなくなって、演算結果出力端子の出力がローとなるので、スイッチング素子Q1がオフし、リアクトルL1に流れる電流IL1は、図7(b)に示すように、ピ−ク値から時間tの経過とともに降下する。このようにして、スイッチング素子Q1のオン時間が適宜設定されることにより、スイッチング素子Q1のデューティ制御が行われ、ランプLAには所定の電力が供給される。
【0005】
図6に示す電源装置において、検出抵抗Ri1により検出される電流は図7(b)に示すような波形となり、このようにランプドライブ回路LDに流れる電流を検出すると、ランプ電流が大きいHIDランプ等では、検出抵抗Ri1での電力損失が大きくなるため、抵抗ロスを低減する目的と、定電力制御を従来よりも更に電流ピーク型で行う目的で、図8に示すような電源装置も使用されている。この電源装置では、ダイオードD1と接地間に電流検出抵抗Ri2が設けられており、この検出抵抗Ri2による検出電流は図7(c)に示すようにスイッチング素子Q1のオン時のみの波形となるので、抵抗Ri2による電力損失が少なくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなチョッパ回路を用いた電源装置には、従来上記のような回路が用いられているが、上記で説明したように、図6に示す電源装置では、電流検出抵抗による電力損失が大きいという問題がある。一方、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ等の高輝度放電ランプ(HIDランプ)は、始動直後のアーク放電に移行した初期には水銀等の蒸気圧が低いので、ランプ電圧が低い値になり、図9に示すように、水銀蒸気圧の上昇に伴ってランプ電圧が上昇する。したがって、チョッパ回路を用いた電源装置をHIDランプ点灯回路に使用した場合、少なくともランプ始動時、すなわち、ランプの始動から時間t1の間はリアクトルL1を流れる電流IL1は図7(d)に示すように、電流が連続する状態となる。このように、リアクトルL1を流れる電流IL1が連続した状態になると、スイッチング素子Q1のターンオン時にダイオードD1が導通しており、スイッチング素子Q1を流れる電流IQ1には、図7(e)に示すように、スイッチング素子Q1のターンオン時に大きな貫通電流が流れる。このため、図8に示す電源装置をHIDランプ点灯回路に使用した場合、電流検出抵抗による電力損失は小さいが、電流検出抵抗Ri2が上記の貫通電流を検出して定電力演算回路Mがスイッチング素子Q1をオフするので、ランプLAのチラツキが生じたり、始動失敗が起こって電力を供給できない状況が起こるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、電流検出抵抗での電力損失を低減するとともに、スイッチング素子の貫通電流の影響を除去することができる電源装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は、スイッチング素子を備えたチョッパ回路と、前記スイッチング素子のオン時のみの電流を検出して前記チョッパ回路のスイッチング素子をオン、オフ制御する演算回路とを備えた電源装置において、前記スイッチング素子の各スイッチング周期の内、スイッチング素子のオン直後の所定期間、前記演算回路がスイッチング素子がオフするのを阻止する回路を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る本発明は、スイッチング素子を備えたチョッパ回路と、前記スイッチング素子のオン時のみの電流を検出して前記チョッパ回路のスイッチング素子をオン、オフ制御する演算回路とを備えた電源装置において、発振回路と、前記発振回路の出力と前記演算回路の出力によりセット、リセットされ、前記スイッチング素子をオン、オフ制御するフリップフロップ回路と、前記スイッチング素子の各スイッチング周期の内、スイッチング素子のオン直後の所定期間、前記フリップフロップ回路のリセットを阻止する回路とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明では、スイッチング素子のオン時の電流を検出しており、電流検出抵抗の電力損失が小さいので、熱損失が少なく、また、スイッチング素子がオンしてから所定の期間スイッチング素子がオフするのを阻止するので、スイッチング素子に流れる貫通電流の影響を受けることを防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は実施の形態に係る電源装置を示す回路構成図であり、図2は図1の電源装置の駆動信号および出力電流波形を示す図である。
【0012】
図1において、E1は交流電圧を平滑した電源、CHはチョッパ回路、Q1はスイッチング素子、D1、D2はダイオード、L1はリアクトル、C1はコンデンサ、R1は電流検出抵抗、LDはランプドライブ回路、LAはランプ、Mは定電力演算回路、OSCは発振回路、FFはフリップフロップ回路、INはインバータ、TDはスイッチング素子Q1を駆動するドライブ回路である。スイッチング素子Q1にはMOSFET等を使用することができる。
【0013】
電源E1に降圧チョッパ回路CHが接続され、この降圧チョッパ回路CHにランプドライブ回路LD、定電力演算回路Mが接続されている。降圧チョッパ回路CHは、スイッチング素子Q1、リアクトルL1、ダイオ−ドD1、コンデンサC1により構成され、スイッチング素子Q1はフリップフロップ回路FFの出力パルスによりドライブ回路TDを介してオン、オフされる。ランプドライブ回路LDはHIDランプLAを駆動し、ランプドライブ回路LDの入力電圧及び抵抗R1により検出されるスイッチング素子Q1のオン時の電流が定電力演算回路Mに入力される。フリップフロップ回路FFは発振回路OSCの出力パルスによりセットされるとともに、定電力演算回路Mの出力パルスによりリセットされる。インバータINには発振回路OSCの出力パルスが入力され、発振回路OSCからパルスが出力されている間、インバータINの出力がローになり、定電力演算回路MからのリセットパルスがダイオードD2を介して引き抜かれる。
【0014】
次に、図1の電源装置の作用を図2の波形図を用いて説明する。発振回路OSCから図2(a)に示すようなパルスが出力されると、フリップフロップ回路FFがセットされ、ドライブ回路TDを介してスイッチング素子Q1のゲートに図2(b)に示すようなゲート電圧が供給され、スイッチング素子Q1がオンする。スイッチング素子Q1がオンすると、リアクトルL1に流れる電流IL1は時間tの経過とともに次第に上昇し、検出抵抗R1に流れる電流が図2(c)に示すように次第に上昇する。そして、この電流値とランプドライブ回路LDの入力電圧から演算された電力値が設定値になると、定電力演算回路Mの演算結果出力端子から図2(d)に示すような、リセットパルスが出力され、フリップフロップ回路FFがリセットされる。したがって、図2(b)に示すようにゲート電圧もローになり、スイッチング素子Q1がオフし、リアクトルL1に流れる電流IL1は、ピ−ク値から時間の経過と共に降下する。
このように、スイッチング素子Q1のオン時間が定電力演算回路Mによって適宜設定されることにより、スイッチング素子Q1のデューティ制御が行われ、ランプLAには所定の電力が供給される。
【0015】
一方、ランプ始動時等に、図7(d)に示すようにリアクトルL1を流れる電流IL1が連続する状態となった場合、リアクトルL1を流れる電流IL1が連続しているため、スイッチング素子Q1のオン時にダイオードD1が導通しており、スイッチング素子Q1を流れる電流IQ1には、図2(e)に示すように、スイッチング素子Q1のオン時に大きな貫通電流が流れる。この貫通電流によって、定電力演算回路Mは図2(f)の破線で示すパルスP´を発生するが、このとき、発振回路OSCの出力がハイであり、インバータINの出力がローであるので、ダイオードD2を介してこのパルスP´が引き込まれ、フリップフロップ回路FFはリセットされない。
したがって、スイッチング素子の貫通電流の影響を受けずに、負荷の定電力制御を行うことができる。
【0016】
上記の実施の形態では、定電力演算回路により検出抵抗に流れる電流の電流値とランプドライブ回路の入力電圧から電力値を演算し、この演算値が設定値になったとき、スイッチング素子をオフして定電力制御を行ったが、検出抵抗に流れる電流の電流値と設定電圧とを直接電圧比較器で比較し、検出電流が設定値になったとき、スイッチング素子をオフすることにより、定電流制御を行うこともでき、図3はこのような定電流制御を行う場合の実施の形態を示す図である。
【0017】
図3において、COは電圧比較器であり、検出抵抗R1によって検出された電流値を設定電圧E2と比較し、電流値が設定値E2より大きくなったとき、信号を出力する。また、貫通電流区間停止回路STは発信回路OSCからパルスが出力されてから設定された所定の期間ゲート回路Gに信号を送り、ゲート回路Gは貫通電流区間停止回路STからの信号を受けている間、電圧比較器COの出力がフリップフロップ回路FFのリセット端子RSTに入力されるのを阻止する。その他の回路は、図1の電源装置と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0018】
図3に示す電源装置においては、検出抵抗R1に流れる電流の電流値と設定電圧E2とを直接電圧比較器COで比較し、検出電流値が設定値になったとき、スイッチング素子Q1をオフすることにより負荷LOの定電流制御を行うが、検出抵抗R1に貫通電流が流れる期間は、貫通電流区間停止回路ST及びゲート回路Gが、電圧比較器COの出力がフリップフロップ回路FFのリセット端子RSTに入力されるのを阻止するので、スイッチング素子Q1に流れる貫通電流の影響を受けることなく、負荷LOの定電流制御を行うことができる。
【0019】
以上のように、本発明によれば、スイッチング素子のオン、オフを制御するために、電力演算回路や電流値比較器に入力する電流値を検出する抵抗を、スイッチング素子がオンするときの電流のみが流れる位置に配置したので、電流検出抵抗の電力損失を少なくすることができ、また、スイッチング素子がオンしてから所定の期間、電力演算回路や電流値比較器の出力がスイッチング素子をオフするのを阻止するようにしたので、スイッチング素子の貫通電流の影響を除去して制御を行うことができる。
【0020】
以上の実施の形態では、フリップフロップ回路及び阻止回路を用いて貫通電流によりスイッチング素子がオフされるのを阻止したが、定電力演算回路において、スイッチング素子がオンしてから所定時間電流を検出しないようにしたり、あるいは電力を演算しないようにして、貫通電流によりスイッチング素子がオフされるのを阻止することもできる。さらに、以上の実施の形態では、チョッパ回路として、降圧チョッパ回路を使用しているが、チョッパ回路として図4に示すような昇圧チョッパ回路、あるいは図5に示すような昇降圧チョッパ回路を使用することもできる。また、本発明の電源回路はHIDランプ点灯回路に限らず、種々の用途に使用することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、電流検出抵抗での電力損失を低減して熱損失を少なくすることができるとともに、スイッチング素子の貫通電流の影響を除去することができる。したがって、本発明の電源回路をHIDランプ点灯回路に使用した場合、ランプ始動時に、スイッチング素子に大きな貫通電流が流れても、貫通電流によってスイッチング素子がオフされることがなく、ランプのチラツキや始動失敗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電源装置を示す図である。
【図2】図1に示す電源装置の駆動信号、電流波形を示す図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る電源装置を示す図である。
【図4】降圧チョッパ回路を示す図である。
【図5】昇降圧チョッパ回路を示す図である。
【図6】従来の電源装置を示す図である。
【図7】図6に示す電源装置の駆動信号、電流波形を示す図である。
【図8】従来の他の電源装置を示す図である。
【図9】HIDランプの電圧特性を示す図である。
【符号の説明】
E1 電源
Q1 スイッチング素子
D1、D2 ダイオード
L1 リアクトル
C1 コンデンサ
R1、Ri1、Ri2、 電流検出抵抗
M 定電力演算回路
LD ランプドライブ回路
LA ランプ
TD ドライブ回路
OSC 発振回路
FF フリップフロップ回路
IN インバータ
CO 電圧比較器
ST 貫通電流区間停止回路
G ゲート回路
LO 負荷

Claims (2)

  1. スイッチング素子を備えたチョッパ回路と、前記スイッチング素子のオン時のみの電流を検出して前記チョッパ回路のスイッチング素子をオン、オフ制御する演算回路とを備えた電源装置において、前記スイッチング素子の各スイッチング周期の内、スイッチング素子のオン直後の所定期間、前記演算回路がスイッチング素子をオフするのを阻止する回路を設けたことを特徴とする電源装置。
  2. スイッチング素子を備えたチョッパ回路と、前記スイッチング素子のオン時のみの電流を検出して前記チョッパ回路のスイッチング素子をオン、オフ制御する演算回路とを備えた電源装置において、発振回路と、前記発振回路の出力と前記演算回路の出力によりセット、リセットされ、前記スイッチング素子をオン、オフ制御するフリップフロップ回路と、前記スイッチング素子の各スイッチング周期の内、スイッチング素子のオン直後の所定期間、前記フリップフロップ回路のリセットを阻止する回路とを備えたことを特徴とする電源装置。
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