JP4097045B6 - 管腔解剖構造の閉鎖、管腔解剖構造への取付部の形成、及び管腔解剖構造への吻合部の形成のうち少なくともいずれか1つを行うための経管腔的方法及び装置 - Google Patents

管腔解剖構造の閉鎖、管腔解剖構造への取付部の形成、及び管腔解剖構造への吻合部の形成のうち少なくともいずれか1つを行うための経管腔的方法及び装置 Download PDF

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発明の技術分野
本発明は一般に医療装置及び医療方法に関し、より詳しくは、i)解剖構造の管腔を閉鎖するため、ii)別々の解剖構造間に(又は同じ解剖構造の隣接させた部分間に)吻合部を形成するため、及び/又はiii)物品(例:管腔内、管腔外、又は経管腔グラフト)又は他の装置を解剖構造の壁に取り付けるために、取付装置(例:接続装置、ステープル等)又は接続材(例:縫合糸、ワイヤ、ひも、フィラメント、モノフィラメント等)を管腔解剖構造(例:血管や他の管の構造をしたもの等)の壁の中へ通過させるか又は壁を貫通させる管腔内装置及び方法に関する。
発明の背景
現在の診療において、i)解剖構造の管腔を閉鎖するため、ii)別々の解剖構造間に(又は同じ解剖構造の隣接させた部分間に)吻合部を形成するため、及び/又は物品(例:管腔内、管腔外、又は経管腔グラフト)又はiii)他の装置を構造の壁に取り付けるために、取付装置(例:接続装置、ステープル等)又は接続材(例:縫合糸、ワイヤ、ひも、フィラメント、モノフィラメント等)を管腔解剖構造(例:血管や他の管の構造をしたもの等)の壁の中へ通過させるか又は壁を貫通させることがしばしば望ましい。この種の医療処置のいくつかを以下に簡潔に述べた。
i.血管を初めとする管状構造の管腔を完全に又は部分的に閉鎖する手術
血管の管腔を閉鎖することが望ましい手術の例には、a)血管の動脈瘤(例:大脳動脈瘤)へ入る血流を減小させるか又は遮断することを目的とする手術、b)末梢の静脈の一部から出た側枝を(例えばインサイトゥバイパス管として使用する静脈部分を調製するために)閉塞することを目的とした手術、c)拡張蛇行静脈を閉塞することを目的とした手術、d)米国特許出願番号第08/730,327号及び第08/730,496号に述べられているように閉塞、疾患、又は損傷した動脈にバイパス形成するための、カテーテルに基づく経管的手術、e)腫瘍へ流れる血流を遮断するか又は減小させることを目的とした手術、f)先天的又は後天的な動静脈異常を閉鎖することを目的とした手術、g)血管内にインプラント又は装置を配置する(例えば動脈瘤治療のための血管内グラフトの配置又は他の治療上の介入)補助的手段として血管を流れる血流を一時的又は永続的に遮断することを目的とした手術、及び他の手術を行う場合に使用するよう形成された間隙穿刺管又はフィステルを閉鎖することを目的とした手術が含まれる。同時係属している出願番号第08/730,327号に述べられたカテーテルに基づく動脈パイパス法には冠動脈バイパス術が含まれ、この冠動脈バイパス術では、通路形成カテーテルが管状動脈構造の中を経管腔的に進められ、組織貫通要素が、カテーテルから外へ出ると共に、1以上の血流通路(例:穿通管又は間隙トンネル)を形成すべくカテーテルが配置された閉塞した冠動脈と隣接する冠静脈との間の位置において血管壁を通過する。すると、動脈血は閉塞した冠動脈から隣接する冠静脈へと流れる。この手法の1変法において、1つの動静脈通路(即ち「第1の」血流通路)が形成され、冠静脈の管腔はそのような第1の血流通路に隣接した状態で閉塞又は閉鎖され、動脈血は静脈に入り静脈を逆行方向に流れるように強いられる。このように、閉塞した動脈からの動脈血は冠静脈を通って心筋中を逆向きに潅流する可能性がある。この手術の別の変法において、1以上の第2の動静脈(例えば穿刺管又は間隙トンネル)が、動脈血が短絡されている冠静脈と、閉塞した動脈又は他の冠動脈との間に形成される。これらの第2の動静脈により、新しい経路で送られた動脈血は動脈閉塞部位を迂回した後で、冠動脈の枝に再び流入することが可能となる。このような第2の血流通路が形成された場合、新しい経路で送られた動脈血を再び動脈構造へ所望の通りに流入させるようにするため、そのような第2の血流通路の末端側の位置で冠静脈の管腔を更に閉塞又は閉鎖してもよい。
ii.管腔解剖構造の壁への吻合部の形成を必要とする手術
向かい合った横断端部同士又は解剖管(例:血管、腸等)に形成された開口部同士を接続するために、又は解剖管に並んで形成された開口部を別の解剖構造へ接続するために、様々な種類の吻合部が管腔解剖構造内にしばしば形成される。並列された端部同士又は1つの横断した解剖管の開口部同士を接続する場合、又は2つの(2)異なる解剖管の並列された端部又は開口部同士を接続する場合、このような接続部分は、1)端部と端部、2)端部と側面、又は3)側面と側面のいずれかの吻合によって得られる。どの種類の吻合を形成するかに関わらず、通常の外科的手法では、管腔の解剖通路は、同解剖通路の端部又は開口部同士が一列に並ぶように、近接に誘導されると共に当接する並列部分に配置される必要がある。その後、縫合糸、ステープル、又は他の接続装置が並置された解剖通路の壁に通され、それらの壁の間に所望の吻合部が形成される。この種の吻合術は、疾患又は損傷した解剖通路(例:血管、腸等)の部分を切除及び除去してから、続いて通路の対向する切除端部を再接続(端部と端部、側面と側面、又は端部と側面の吻合)し、体液又は他の物質が通路の中を絶え間なく流れるのを可能にする外科的手術の間しばしば行われる。
iii.グラフト又は他の物品を管腔解剖構造に取り付ける手術
グラフト又は他の装置を血管壁又は他の管腔解剖通路に固定する又は取り付けることが望ましい手術の例には特定の血管内移植術が含まれるが、この血管内移植手術において、管状グラフトは動脈瘤を有する血管の管腔内に配置され、該動脈瘤を通る新しい管腔又は人工的な流路を形成する。その結果、動脈瘤に作用する血圧を除去し、次いで動脈瘤の空間を肉芽組織で満たすことが可能となる。このような血管内移植術はこれまで腹大動脈の動脈瘤治療に利用されると同時に、下行胸大動脈の動脈瘤治療に利用されてきた。これまでに利用されてきたこのような手術に対する血管内グラフトは、一般に1以上の放射状に拡張可能なステントと結合するか又は組み合わされる。該ステントは管状グラフトを動脈瘤の上流及び下流の部位で血管壁に対して固定するために、インサイトゥで(元の場所で)放射状に拡張可能である。しかしながら、このようなステントが血管壁と摩擦によってしっかりと係合できない場合、グラフトが望ましくないことに移動したり滑ったり、又は血液が動脈瘤嚢へと漏出したりする(これは「内部漏出(endoleak)」と呼ばれることもある)可能性がある。
このように、放射状に拡張可能なステントを用いてグラフト又は他の装置を血管(又は他の管腔解剖構造)の壁に対し摩擦によって固定させることに付随する上述の望ましくない複雑な問題を考慮すると、当該技術分野において、管腔内チューブグラフト(又は他の物品)の両端を血管の周囲壁又は他の管状解剖通路に対して縫合し、それによってグラフト又は他の物品の堅固で永続的な配置が保証される、新しい管腔内縫合装置を創り出す必要がある。また、上述の他の種類の手術を考慮すると、当該技術分野において、管腔解剖構造の管腔を閉鎖し、及び/又は管腔解剖構造内又は管腔解剖構造壁に吻合部を形成するための新しい経管腔的方法及び装置も創り出す必要がある。
発明の概要
本発明は、i)管腔解剖構造(例:血管)の管腔の完全又は部分的な閉鎖、ii)管腔解剖構造間への吻合部の形成又は管腔解剖構造に対する接続部の形成、及びiii)管腔解剖構造の壁への管腔内、管腔外、又は経管腔グラフト若しくは他の装置の取付、の少なくともいずれか1つに利用可能な管腔内装置及び方法を提供する。
i.第1実施形態−時計ばね閉塞装置
本発明の第1実施形態によれば、あくまで便宜上「時計ばね」閉塞装置として本明細書に述べる閉鎖装置として、管腔解剖構造を閉塞するのに有用な管腔内装置が提供される。この装置は、管腔解剖構造に挿入可能な細長いカテーテルと、解剖構造の管腔を閉塞するためにカテーテルから出て管腔解剖構造の壁を少なくとも部分的に通過する弾性コイルとを備える。この弾性コイル上には、解剖構造の係合又は把持の機能を向上すると共に、コイルが貫通した通路を通って解剖構造壁に進入又は解剖構造壁の中に進められる際にコイルが貫通した通路の中で滑ったり引き戻されたりするのを防止するために、任意に1以上の係合部材(例:かかり又はフック)を形成してもよい。一般に、弾性コイルの第1端部はカテーテルから出て進められ、カテーテルが配置された管腔解剖構造(例:血管)の壁を少なくとも部分的に通過する。その後、コイルは更に解剖構造の壁の内部又は外部へ進められ、解剖構造の管腔は完全に又は部分的に取り囲まれるか又は包囲される(例:血管外膜表面周囲に摺動可能に進められる)。任意の係合部材(フック又はかかり)は、存在する場合、コイルが解剖構造内に形成した穿通路内で滑ったり引き戻されたりするのを防止したり、何らかの方法でコイルがほどけて解剖構造の管腔が解放された形態に戻されるのを防止するように、管腔解剖構造の壁に突出されるか、同構造の壁を把持するか、同構造の壁に付着するか、又は同構造の壁に係合する。
コイルが完全にカテーテルから出て進められると、カテーテルは引き抜かれて除去され、コイルは定位置に残される。コイルは巻かれた又は閉じた形態に付勢され、解剖構造の管腔を完全に又は部分的に閉じるよう内方へ(中心へ)向かって管腔解剖構造の壁を引き寄せる。
ii.第2実施形態 T字形閉塞装置/接続装置
本発明の第2実施形態によれば、管腔解剖構造を閉塞するか、若しくは吻合部又は取付部を形成するのに有用な別の管腔内装置が提供される。この第2実施形態は、カテーテルと、解剖構造を閉塞するか若しくは取付部又は吻合部を設けるためにカテーテルから出て管腔解剖構造の壁を少なくとも部分的に通って前進可能な閉塞/接続装置とを有する。あくまで便宜上、この閉塞/接続装置は以下に、T字形閉塞/接続装置と称する。一般に本実施形態は、カテーテルのから出て、解剖構造の壁を通って前進可能な中空の貫通部材(例:針)を有する細長いカテーテルを備える。1以上のT字形閉塞/接続装置が貫通部材の管腔に装填される。このようなT字形閉塞/接続装置の各々は一般に、その両端に形成された第1の係合部材及び第2の係合部材(例:横木、フランジ、フック、かかり、接着剤、クリップ等)を備えた細長いリンク(例:糸、ワイヤ、より糸、コード等)を有する。カテーテルが管腔解剖構造内の所望部位に進められた後、貫通部材はカテーテルから出て、第1位置において管腔解剖構造の壁を少なくとも部分的に通される。その後、T字形閉塞/接続装置の係合部材の最初の1つが貫通部材から出て進められ、第1位置において管腔解剖構造の壁に係合する。それから、貫通部材は解剖構造の管腔に引き込まれ、管腔内で移動されるか新しい方向へ向けられる。その後、貫通部材は進められ(2度目)、第2位置において管腔解剖構造の壁を少なくとも部分的に通過する。その後、T字形閉塞/接続装置の第2係合部材が貫通部材から排出され、第2位置において解剖構造の壁に係合する。この手順を繰り返して、所望の数のT字形閉塞/接続装置を、管腔解剖構造壁の周囲の所望の位置に設置することが可能である。この手順が完了すると、貫通部材及びカテーテルが除去され、予め設置されたT字形閉塞/接続装置が定位置に残される。特定の用途に応じて、T字形閉塞/接続装置のリンク部分は、剛性、柔軟性、弾性、非弾性、柔順性、非柔順性、引き込み式、又は非引き込み式の材料より形成し、所望量の内方へ引っ張る力を係合部材に作用させることができる。このように係合部材を内方へ引っ張ることにより、解剖構造の管腔に所望の閉塞部分が設けられるか、又は同構造の壁に吻合部か取付部が設けられる。
iii.第3実施形態−ねじりクリップ閉塞装置
本発明の第3実施形態によれば、あくまで便宜的に以下に「ねじりクリップ閉塞装置」と称する閉鎖装置として、解剖構造の管腔(例:血管)を閉塞するのに有用な管腔内装置が提供される。この装置は、一般に、カテーテル内に装填された内方に折り曲げ可能な(例:柔順性の)材料より形成された細長いねじり可能なクリップ部材であって、カテーテルから出て管腔解剖構造の壁を少なくとも部分的に通って前進可能なクリップ部材を有する、細長いカテーテルを備える。クリップ部材を解剖構造の壁の中又は周囲に進めた後、カテーテル(又は副次的なねじり用器具)を回転させることにより、クリップ部材を閉じた形態にねじり、管腔を完全又は部分的に閉じるように管腔解剖構造の壁を内方へ引き寄せることができる。
iv.第4実施形態 経管腔縫合装置
本発明の第4実施形態によれば、1以上の管腔解剖構造(例:血管、腸、導管、又は他の解剖通路)の壁に縫合糸、ステープル、又は他の接続装置を設置するための、カテーテルに基づく装置が提供される。あくまで便宜上、本発明のこれらの装置を「管腔内縫合装置」と称するが、様々な種類の接続材(例:ワイヤ、ステープル、吸収性縫合糸、非吸収性縫合糸等)をこれらの装置を使用して設置可能であることが理解されよう。
a.内部針型
本発明の管腔内縫合装置のある型のものは、管腔解剖構造の管腔内を前進可能な堅くても柔軟でもよいカテーテルであって、i)管腔解剖構造の壁の一部を侵入させる(すなわち下降させる、陥入させる、内方へ延ばす等)組織入口と、ii)縫合糸、ステープル、ワイヤ、又は他の接続材が取り付けられた軸方向に往復する貫通部材(例:針)とを有するカテーテルを備える。貫通部材はカテーテル内の組織入口に隣接させた状態で取り付けられ、カテーテルの長手方向の軸に対して概して平行であり、組織入口に突出した管腔解剖構造壁の一部を通って交互に前後に通過可能となっている。操作の際、この内部針型の装置を用いて、カテーテルを解剖構造の管腔内に進めて、解剖構造の壁の一部をカテーテルの組織入口に侵入させ、組織の一部を軸方向に往復する貫通部材の通りみちに配置することができる。貫通部材は、縫合糸、ステープル、又は他の接続材を取り付けたままで、組織の侵入部分に一度通される。縫合材又は他の接続材を解剖構造の壁に複数回通過させることが望ましい場合(例えば連続した縫合線を形成するために)、カテーテルを管腔解剖構造内の別の場所に移動し(例:回転させる及び/又は長手方向に進める及び/又は長手方向に引き込む)、解剖構造の壁の別の部分を組織入口に侵入させ、組織の一部が軸方向に往復する貫通部材の通りみちに配置する。貫通部材は、縫合糸、ステープル、又は他の接続材を取り付けたままで、再び組織の侵入部分に通される。この操作工程を、所望の吻合部又は接続部を形成するのに必要な回数繰り返す。
いくつかの応用において、縫合材又は他の接続材は「巾着縫合(輪状縫合)」という性質で、ピンと引っ張られると共に結び目が付けられ、解剖構造の壁を内方へ引っ張って解剖構造の管腔を完全に又は部分的に閉鎖する。この操作工程は、管腔解剖構造の壁に所望の吻合部又は接続部を形成するのに必要な多数の回数繰り返される。他の応用において、縫合材又は他の接続材はピンと引っ張らずに結び目を付けるかくくるか(1回以上)し、管腔解剖構造の壁に所望の吻合部又は取付部を形成する一方で、管腔は開放されたままにする。
b.外部針型
本発明の管腔内縫合装置のもう1つの型は、管腔解剖構造の管腔内を前進可能な堅くても柔軟でもよいカテーテルを一般に備え、このカテーテルは、i)貫通部材がカテーテルの側面に存在する第1開口部から出るまで通過し得る第1貫通部材管腔と、ii)貫通部材がカテーテルの側面に形成された第2開口部を通過してから入る第2の貫通部材管腔と、iii)a)第1管腔から、b)第1開口部を出て、c)管腔解剖構造の壁の隣接部分を通り、d)第2開口部に入り、d)第2管腔部へ入るように通行可能な予め成形された柔軟な貫通部材とを有する。上述のような縫合糸又は他の接続材は、組織を通って貫通部材によって引っ張られるように、貫通部材に取り付けられる。
操作の際、この外部針型の管腔内縫合装置を使用して、カテーテルを解剖構造の管腔内に前進させて、カテーテルの第1開口部と第2開口部を解剖構造の壁の第1部分に隣接した状態に配置する。貫通部材(及びそれに取り付けられる縫合糸や他の接続材)は第1管腔から、第1開口部を出て、組織の第1部分を通って、第2開口部から入り、第2管腔へと通される。縫合糸又は他の接続材を解剖構造の壁に繰り返し通過させることが望ましい応用(例:連続的な縫合線)において、カテーテルは位置を変えることにより(例:回転させる及び/又は長手方向に進める及び/又は長手方向に引き込む)、組織の第2部分をカテーテルの第1開口部及び第2開口部に隣接した状態に配置し、以上の手順の工程を繰り返す。
v.第5実施形態−取付部又は吻合部の形成に有用な装置
さらに本発明に従って、管腔解剖構造内に取付部又は吻合部を形成する装置が提供される。この装置は一般に、管腔解剖構造の管腔内に挿入可能な細長いカテーテルと、同カテーテル内に配置された中空の針とを備え、針は、鋭利な末端部先端と、針の長手方向に延びる管腔と、針の管腔と連通するように形成された出口とを備える。カテーテルが管腔解剖構造に挿入された後、針の鋭利な末端部の先端が解剖構造の壁を貫通し、針の出口が管腔解剖構造の外側に配置されるように、針はカテーテルから外に出て前進可能である。1以上の取付装置が針の管腔に先ず初めに装填される。各取付装置は一般に、第1係合部材と第2係合部材とがその両端に形成された可撓性リンクを備える。これらの係合部材は針の出口から外へ1度に1つ進めることが可能である。針の管腔内に装填されている間、係合部材は互いに対して鎖のように連結されており、それらはユニットとして進めたり引いたりすることができる。カテーテルが管腔解剖構造内に挿入された後、針は(一度目)カテーテルから外へ管腔解剖構造の壁上の第1位置に通して進められる。その後、1つの係合部材を針の出口から外へ通過させ、壁に係合するよう管腔解剖構造の壁の外側か内部で散開する。針は次にカテーテル内に引き込まれ、解剖構造の管腔内でのカテーテルの位置を変える。続いて、針は(二度目)カテーテルから外へ管腔解剖構造の壁上の第2位置に通して進められる。第2係合部材が針の出口から外へ進められ、解剖構造の壁の外側か又は内側で配備され、第2位置に隣接した状態で、壁に係合する。針は次にカテーテルから引かれ、2つ(2)の係合部材は解剖構造の壁上の第1位置と第2位置に当接係合したまま残され、係合部材のリンク部分はその間を横断する。所望の取付部又は吻合部を形成するのに必要な取付部材の数に依存して、この手順は1回以上繰り返される。所望の取付又は吻合を完了すると、カテーテル及び付随する針は体内から取り出され、予め設置した取付部材は定位置に残される。取付部材は、用途の性質に応じて、吸収性材料より形成してもよいし、非吸収性材料より形成してもよい。
本発明のこの実施形態は、様々な物品(例:管腔内グラフト、ステント)を解剖構造の壁に取り付けるために使用したり、又は1以上の解剖通路(例:血管の対向する切断端部、ファロピーオ管、尿管、尿道、膵管、総胆管、食道、腸、又は切断又は切除された他の管)の近接する端部間に吻合部を形成するために使用したりすることができる。更なる本発明の目的及び利点は、以下の詳細な説明及び添付図面を読んで理解されると、当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
図1は、静脈の管腔を閉鎖する本発明の時計ばね閉塞装置を設置するための管腔閉鎖装置を使用した、隣接する動脈及び静脈の部分縦断面図である。
図1aは、図1に示した装置の構成要素を形成する、本発明の好適な時計ばね閉塞装置の正面図である。
図2〜5は、血管の閉鎖を達成するための図1の装置の好適な使用方法を段階的に示した図である。
図6は、図5の6−6線における断面図である。
図7は、血管管腔を閉鎖するためにT字形閉塞装置を組み込んだ本発明の管腔内装置の部分斜視図である。
図8〜11は、弾性リンクを備えたT字形閉塞装置を用いて血管の管腔を閉鎖するための図7の装置の使用方法を段階的に示した図である。
図12〜17は、ねじり又は結び留め可能なリンクを備えたT字形閉塞装置を用いて血管の管腔を閉鎖するための図7の装置の使用方法を段階的に示した図である。
図18は、接続材(例:縫合糸)を管腔解剖構造の壁に通すために利用可能な、内部組織貫通要素を備えた本発明の管腔内縫合装置の斜視図である。
図18aは、図18の装置の部分縦断面図である。
図19a〜19bは、構造の管腔を結紮するために利用可能な連続的な「巾着の(輪状縫合)」縫合糸を配置する、図18−18aの装置の好適な使用方法を段階的に示した図である。
図20は、図18−18aの装置を、血管内の管腔内チューブグラフトの両端を縫合して動脈瘤に橋かけを形成するために使用する方法を示す血管の部分縦断面図である。
図21は、血管内に機能的に配置された図18−18aに示した装置の末端部の拡大縦断面図である。
図21aは、図18−18a及び21の装置の好適な針前進/後引要素のC形末端部を示す斜視図である。
図21bは、図21の21b−21b線における断面図である。
図21cは、図21の21c−21c線における断面図である。
図21dは、図21の21d−21d線における断面図である。
図22は、変形した前進/後引要素によって移動される内部組織貫通部材を備えた、本発明の別の管腔内縫合装置を示す斜視図である。
図23a〜23hは、外部組織貫通部材を備えた、本発明の管腔内縫合装置の好適な使用方法を段階的に示す部分縦断面図である。
図24aは、図23aの24a−24aにおける断面図である。
図24bは、図23aの24b−24bにおける断面図である。
図25は、図23−24に示した装置の針前進/後引部材の拡大部分側面図である。
図25aは、図25の針前進/後引部材を示す末端部の端面図である。
図26は、図23−24の装置の組織貫通部材の拡大部分側面図である。
図27は、変形したT字形接続装置を用いて管腔解剖構造壁に取付部又は吻合部を形成する本発明の装置の部分斜視図である。
図27aは、図27の装置を血管内に管腔内グラフトを固定するために使用する方法を示す血管の部分破断斜視図である。
図27bは、図27aの図の端部の斜視図である。
図27cは、横断されてから、図27の装置を用いて端部と端部を接した吻合により、再接続された管状構造を示す破断斜視図である。
図27dは、端部と側面を接した方法で準備され且つ接続されると共に、図27に示した装置の変形である断続的な接続バーにより吻合された2つ(2)の管状解剖通路を示す斜視図である。
図28aは、本発明の管腔内装置を用いて端部と側面の吻合により接続されつつある2つ(2)の解剖通路を示す縦断面図である。
図28bは、本発明の管腔内装置により端部と側面の吻合を行った後の、図28aの2つ(2)の解剖通路を示す縦断面図である。
図29aは、本発明の管腔内装置を用いて側面と側面の吻合により接続されつつある2つ(2)の解剖通路を示す縦断面図である。
図29bは、本発明の管腔内装置により側面と側面の吻合を行った後の、図29aの2つ(2)の解剖通路を示す縦断面図である。
好適な実施形態の詳細な説明
添付図面に関して以下に述べる詳細な説明は、本発明の現時点での好適な実施形態を単に説明することを意図しており、本発明を構成又は利用し得る唯一の形式のみを表すことを意図していない。この説明は、本発明の多くの現時点で好適な実施形態又は例示的な実施形態の構造的要素及び機能的要素について言及するものである。しかしながら、同じ又は均等な構造及び/又は機能を、以下に特に述べてはいないが本発明の精神及び範囲内に含まれることを意図した本発明の多くの別の実施形態によって達成可能であるとできることは言うまでもない。
i.第1実施形態−時計ばね閉塞装置
時計ばね閉塞装置20は、図2aによりはっきりと示されるが、第1の外向き端部20aと第2の内向き端部20bとを有する、概してらせん形のコイルを備える。時計ばね閉塞装置は更に多数の外側へ向かって延びる突出物又はかかり20cを初めとする係合部材を有する。該係合部材は、以下に述べられるように、血管を初めとする解剖構造の管腔を閉塞装置20がしっかりと把持して閉塞する能力を高める。
時計ばね閉塞装置20は図1に概略して示すように、カテーテル18の管腔の中に配備される。カテーテル18は血管16内に挿入され、カテーテル18の末端部に形成された側面開口部18aが血管を閉塞するのが望ましい位置において血管壁16の一部と一直線上に並置される。次に、時計ねじ閉塞装置20の第1の外向き端部20aがカテーテル18の側面開口部18a及び血管壁16の少なくとも一部を通って進められる。このような管壁16への貫通を容易にするために、装置20の外向き端部20aは任意に鋭利にしてもよい。それから、時計ねじ閉塞装置20は貫通部位の中を進められ、結果的に、閉塞装置20は血管管腔22を全部又は部分的に包囲すると同時に、血管壁に係合する。
閉塞装置20は、血管の壁を内方へ(中心へ)引き寄せるようコイル状に付勢され、図4に示すように所望の位置で血管の管腔を折り畳んだり閉鎖したりする。
時計ばね閉塞装置20が血管壁に係合し血管壁を引き寄せる能力を高めるために、1以上の外側へ突出するかかり20cを初めとする1以上の係合部材を閉塞装置20の上に形成し、血管の壁16を通って装置20が移動したり、滑ったり、又は抜けたりするのを防止することができる。一旦時計ばね閉塞装置20の全長を側壁開口部18aに通して前進させると、図5に示すようにカテーテル18は除去される。カテーテル18が除去された後、閉塞装置20は弾力的に自身の前もって形成されたコイル状の形態に弾力的に縮み、図6に更に示すように血管が閉じた「砂時計」形をとる。閉塞装置20のコイル状の形態の堅さは血管の管腔が必要に応じて全部閉塞されるか、部分的に閉塞されるかによって決まる。
ii.第2実施形態−T字形閉塞装置
図7〜11及び23〜23bは、血管を初めとする管腔解剖構造を結紮したり、管腔内グラフトや他の管腔内装置を管腔解剖構造(例:血管)の壁面に固定又は取り付けたりするのに有用な、経管腔装置24である第2実施形態を示す。
管腔内装置24である第2実施形態は、カテーテル26の中を長手方向に延びる第1の管腔26aと第2の管腔26bとを有する細長く堅くても柔軟でもよいカテーテル26を備える。中空の針28は、その末端部28aに隣接する一側面に形成された細長い溝28bを有し、カテーテル26の第1の管腔26aの中に摺動可能に配置され、図に示されるように、カテーテルから外へ前進可能である。第2の管腔26bはガイドワイヤの通過のために使用可能であり、カテーテル26を予め配置されたガイドワイヤ上に沿って前進させることができる。
T字形閉塞装置30又は30’は曲がった針28の中空の穴の中に配置される。T字形閉塞装置は一般に、柔軟なコード30cを初めとする細長いリンク部材と、コード30cの両端に取り付けられた第1の係合部材30a、30a’及び第2の係合部材30b、30b’とを備える。図面に示された特定の設計において、係合部材は30a、30a’、30b、30b’は横材(cross members)の形をしているが、これらの係合部材30a、30a’、30b、30b’を、閉塞される管腔解剖構造の壁に接続又は係合する任意の適当な種類の構造又は材料(例:突出部、フランジ、フック、かかり、接着剤、ステープル等)より形成してもよいことは理解されよう。示した特定の実施形態において、横材30a、30a’、30b、30b’は初めに、針28の中空の内部の穴の中にまっすぐ一直線上に並ぶように配置され、横材30a、30a’、30b、30b’が穴の中で直列に端部と端部とが向き合う配列をとり、針28の長手方向の軸とほぼ平行になるようにする。このように、図7に示すようにコード30cの一部又は全部が、針の側面に形成された細長い溝28bから突出し得る。
押し棒32は針28の穴の中に装填されたT字形閉塞装置30、30’の後ろの位置で、同穴の中にて摺動可能である。このように、押し棒28は第1の横材及び第2の横材30a、30a’、30b、30b’を針28の末端部28aから排出するために利用することができる。
図7〜11に示されたある設計において、コード30cは縮められた形態へと弾力的に付勢される弾性材より形成可能であり、その結果、コード30cにより横材30a、30bは共通の中心点又は中心位置へ向かって内方へ(中心へ)向かって引き寄せられる。図12〜15に示した別の設計において、コード30c’は巻き取り可能な材料(例:可塑的に変形、巻きつけ、ねじり可能な柔順性材料、又は結合したり結び留めしたりすることが可能な柔軟な材料から形成可能であり、コード30c’の長さを縮めることにより、横材30a、30bは共通の中心点又は中心位置へ向かって内方へと引き寄せられる。
通常の操作時、カテーテル26は血管内又は他の管腔解剖構造内を所望の位置まで進められる。カテーテル26の位置は任意の適当なイメージングシステム又はガイダンスシステムによって誘導又は確認される。任意に、光ファイバー内視鏡、超音波イメージングシステム、及び任意の他の実装されたイメージングシステムをカテーテルに組み込んで、観察ポート26b又はカテーテル26上の他のイメージング位置付近の領域のイメージを提供することもできる(図7を参照)。一旦カテーテル26が所望の位置に配置されると、針28はカテーテル26から出て進められ、針の末端部28aは第1位置において、管腔解剖構造壁を完全に又は部分的に通過する。次に押し棒32が針28の中を末端の方向へ進められ、第1のT字形閉塞装置30、30’の第1の係合部材30a、30a’が針28から排出され、第1位置付近で管腔解剖構造の壁に係合する。その後、図9に示すように、針28は解剖構造34の管腔内へと引き込まれ、カテーテルは移動される(例:約180度回転される)。その後針28が再び進められ、針28の末端部28aが、第1位置と対向する第2位置において、管腔解剖構造34の壁を完全に又は部分的に通過する(図10及び13参照)。押し棒32は再び末端の方向へと進められ、第2の係合部材30b、30b’が針の末端部28aから排出され、第2位置付近で解剖構造34の壁に係合される。
図7〜11の設計を上述の方法で取り付けた場合、弾性コード30cが弾力的に縮んで係合部材30a、30bを内方へ(中心へ)引き寄せると、解剖構造34の壁が折り畳まれ、望み通りに管腔を完全に又は部分的に閉鎖することができる。
図12〜15の設計を上述の方法で取り付けた場合、針28はカテーテル26から回収されるか又はカテーテル26内に引き込まれ、巻き取り具36が巻き取り可能なコード30c’と接触するようカテーテルから進められる。この巻き取り具36はフック(図に示すように)であってもよいし、コード30c’を形成する(例:可塑的に変形可能な又は折り曲げ可能な/結び留め可能な)材料の特定の種類に従ってコード30c’を巻き付け、変形、クリンピング、結びつけ、結び留め可能な他の任意の適切な装置であってもよい。この巻き取り具36は、コード30c’を縮めることによって係合部材30a’、30b’を内方へ引き寄せて、解剖構造34の壁を折り畳み、必要に応じて管腔を完全又は部分的に閉鎖するという方法で、コード30c’を巻き取る(即ち、可塑的に変形する、結ぶ、巻き付ける、結び留める)ために使用される。理解されるように、巻き取り具36は巻かれたコード30c’から外して除去されてもよいし、あるいは代わりにカテーテル26から離れて、巻かれたコード30c’内の所定位置に残されるように設計されてもよい。これについて、巻き取り具36は巻き取り具36内に弱く形成した「引き離し」部分の分離によってカテーテル36から離れるように形成することができ、その結果、十分な基端方向の力又は回転力が巻き取り具36の末端部に加えられている場合、末端部は離れるであろう。これに関して、巻き取り具36を破るのに必要な力は、フック部材36の周囲に巻かれた取付コード30c’からフック部材36を取り外すのに必要な力よりは小さいであろうことが理解される。
iii.第3実施形態−ねじりクリップ装置
ここで図16及び17を参照すると、血管を初めとする管腔解剖構造内の特定部位において血流を閉塞するための管腔内装置の第3実施形態が示される。図16に示すように、第3実施形態は、中空の管腔が長手方向に延びると共に末端部付近に側面開口部38aが形成された、細長い、堅くても柔軟でもよいカテーテル38を備え得る。カテーテル38の管腔内にはねじりクリップ42が配置されている。ねじりクリップ42は柔順性材料より形成され、第1の直線部分42aと、第1の直線部分42aに対して概ね垂直に延びる第2の部分28bとを備える。外側へ曲がった先端42cが第2の部分42bの末端部に形成される。図に示すように、ねじれクリップ42が、より詳しくは同クリップ42の外側へ曲がった先端42cが、まず初めに側面開口部38aから出て所定距離だけ前進され、血管壁40に貫通される。その後、図14に矢印で示すように、カテーテル38を回転させて、クリップ42を解剖構造40の壁の周囲に完全に又は部分的に進めると、図17に示されるように、解剖構造40の管腔は完全に又は部分的に閉鎖される。先端42cが外側へ曲がった形をしているために、クリップ42は管腔内の閉鎖を行うと同時に壁の外側に固定される。このように管腔内の閉鎖を形成した後、カテーテル38は管腔解剖構造40の管腔の中を軸方向に引き込まれ、ねじりクリップ42は図に示すように、カテーテル38から分離して解剖構造40の壁の内部か又は壁の周囲に固定されたままとなる。理解されるように、クリップに弱めた又は離れ易くした領域を形成して、十分な基端方向又は回転方向の力を加えた時にクリップ42が離れるようにすることによって、ねじれクリップ42はカテーテル38から離れるように形成可能である。これについて、ねじれクリップ42をカテーテル38から離すのに必要な力は、クリップ42を解剖構造40の壁から取り外すのに必要な張力よりも小さいことが理解されよう。
iii.第4実施形態−管腔内縫合装置
図18〜22bは内部貫通部材54、54’を備えた管腔内縫合装置50、50’に対するものであり、図23a〜26は外部貫通部材530を備えた別の管腔内縫合装置50”に対するものである。これらの管腔内縫合装置は、解剖通路内の裂け目又は破れ目を修復したり、解剖通路を閉塞したり(例えば以下に述べる図19a〜19b参照)、解剖通路の隣接させた部分同士を吻合又は接続したり(下記の図18a(AN線)及び/又は図28a〜29b参照)、又は解剖通路の壁に種々の物品(例:血管内グラフト)を固定したり又は取付けたり(下記の図20、27a、及び27b参照)するために使用することができる。
a.内部針の種類
図18〜21d及び22〜22cに示されるように、装置50、50’は細長い柔軟なカテーテル本体52,52’を備え、カテーテル本体52,52’は、基端部PE、末端部DE、及び本体を通って長手方向に延びる中空の管腔54,54’を有する。側面開口部56,56’はカテーテル本体52,52’の末端部DE付近において一側面上に形成される。バルーン58,58’又は他の適当な種類の側方に加圧部材(例:拡張可能な足部)を、カテーテル52,52’の外表面の側面開口部56,56’の位置とほぼ対向する位置において任意に取り付けてもよい。軸方向に移動可能な針前進/後引部材64、64’はカテーテル本体52,52’の管腔54,54’内に取り付けられる。針を初めとする組織貫通部材74、74’はカテーテル本体52,52’の管腔54,54’内に取り付けられ、針前進/後引部材64、64’により軸方向に前後に移動可能である。針74、74’はi)針74、74’が側面開口部56、56’の基端側に存在する第1位置と、ii)針74、74’が側面開口部56、56’の末端側に存在する第2位置との間を前後に往復移動可能である。
カテーテル本体52,52’が配置された管腔解剖構造(例:血管)の壁の第1の部分は、針74、74’が組織の侵入部分を通って前進又は引き込み可能となるよう側面開口部56、56’へ引っ張られるか、侵入(例:陥入、下降)される。このように、針74、74’に取り付けられる縫合糸を初めとする接続材88、所定長さの88’を、侵入組織に引っ張って通し、管腔解剖構造の壁に針目を形成する。縫合線が解剖構造を閉鎖又は閉塞するために使用される実施形態において、連続的な縫合糸88、88’は解剖構造の壁周囲の多数の位置に通され、縫合糸88、88’は「巾着」の性質でピンと張られた状態に引っ張られる。それによって、構造の壁は内方に折り畳まれ、管腔は必要に応じて完全に又は部分的に閉鎖される。縫合材88、88’が管腔解剖構造の壁に物品又は装置(例:管腔内チューブグラフト)を取付又は固定するために使用される他の応用において、このような物品又は装置は構造の壁付近に予め配置され、管腔内縫合装置は、物品/装置及び構造の壁を通って連続的又は断続的な針目を配置し、物品/装置を構造に望み通りに固定するために使用される。
図18〜18aに示した特定の実施形態において、針前進/後引部材64は細長いシャフト66を備え、同シャフト66は二叉に分けられた一般に「C」字形の末端部68を有する。示されるように、このC字形の末端部68は、ちょうどその両端に形成された針が当接する第1及び第2のへこみ72a、72bを備えた、概して「C」字形の部材70を備える。横材60は管状のカテーテル本体52の内部に形成されるか又はカテーテル本体52の対向する側面においてカテーテル本体52に取り付けられ、横材60はカテーテルの管腔54を側面開口部56の真下の位置で横断する。へこみ62は側面開口部56の真下において横材60の上部表面に形成される。針前進/後引部材64の「C」字形の末端部68は、図に示されるように、横材60の一部を包囲する。2つの先端を備えた針74は横材60上で管腔内に取り付けられる。針前進/後引部材64の「C」字形の末端部68の針当接面72a、72bは、軸方向に針74の鋭利な端部を受け取れるように、凹状の形をしていることが望ましい。このように、針前進/後引部材64を末端方向へ進めると、第1の針当接面72aにより針74が押されて側面開口部56を通過し、側面開口部56の末端側の前進位置まで来る。しかしながら、針74はカテーテル本体52の管腔54内に存在する。その後、針前進/後引部材64を基端方向へ引き込むと、第2の針当接面72bにより針が74が基端方向へと駆動され、側面開口部56を通過し、側面開口部56の基端側の後引位置まで来るが、針74は依然としてカテーテル本体52の管腔54内に存在する。
基端コネクタアセンブリ80はカテーテル本体52の基端部PEに取り付けられる。このような基端コネクタアセンブリ80には、針前進/後引部材64に接続された摺動可能な作動ノブ82が結合されており、作動ノブ82が末端方向へ進められた時は針前進/後引部材64が末端方向に進められ、作動ノブ82を基端方向へ引き戻した時は、針前進/後引部材64が基端方向へ引き戻される。さらに、好適な基端コネクタアセンブリ80はバルーン膨張ポート84を備え、同バルーン膨張ポート84は、カテーテル本体52の中を長手方向に延びると共に末端側がバルーン58内部で終端する、バルーン膨張管腔89を有する。このように、バルーン58を膨張及び収縮させるバルーン膨張ポート84を通じて、望み通りにバルーン膨張液を注入又は回収することができる。縫合糸通過孔75は側面開口部56の中心の真下の位置において横材を通って垂直に形成され、基端コネクタアセンブリ80の基端ポートへ延びる縫合材88の鎖(strand)は、カテーテル本体の縫合管腔53の中に続き、上方へ向かって横材60に形成された縫合糸通過孔75を通過し、針74の対向する鋭利な両端の間の位置であって、好ましくは針74の長手方向のぼぼ中心点の位置において、2つの先端を備えた針74に取り付けられる。
図18〜18aの装置は、柔軟なカテーテル本体52を患者の脈管構造に挿入し、側面開口部56が第1の針目が設けられる部位に配置されるまでカテーテル本体52を脈管構造内に通過させることによって、血管壁に縫合糸を配置するために利用可能である。ある例において、カテーテル本体52の直径は、血管壁の一部がカテーテル本体の側面開口部に自動的に侵入するように、血管の管腔の内径と同じ大きさにする。別の例において、カテーテル本体52の直径は血管の内径よりも小さく、カテーテルを血管壁に対して側方に加圧するために側面バルーン58を使用する。これに関して、シリンジがバルーン膨張ポート84に取り付けられ、バルーン膨張液(例:塩類溶液)をバルーン58に注入してバルーン58を膨張させるために利用される。膨張バルーン58は血管壁に接触し、カテーテル本体52はバルーン58の位置と反対側の血管壁に対して側方に駆動される。このように、側面開口部56は血管壁BVWに対して加圧され、血管壁BVWの組織の一部は側面開口部56に侵入(例:陥入又は下降)し、針74の通り道においてカテーテルの管腔54に侵入する。このような側面開口部56への血管壁BVWの侵入を容易にするには、カテーテル本体の管腔54に吸引を任意に施してもよい。
血管壁BVWを側面開口部56内へと内方へ侵入させた後、操作者は作動ノブ52を末端方向へ前進させて、針前進/後引部材64も同様に末端方向へ前進させる。このようにして、針前進/後引部材64の第2の針当接面72aが針74の第1の鋭利な端部に当接し、針が末端方向へ駆動され、カテーテル本体52の管腔54内に侵入している血管壁BVWの部分を通過する。針74が完全にその血管壁BVWのうちの侵入している組織を完全に通り抜けると、バルーン58を収縮(使用している場合)し、任意の吸引を終了する。その後、側面開口部56が血管壁BVW上の第2の位置に隣接して配置されるよう、カテーテル本体の位置を変える(例えばわずかに回転させたり、長手方向に移動したりする)。バルーン58を再び膨張して(必要な場合)、血管壁BVWの第2位置に対して側方にカテーテル52の側面開口部56を加圧する。血管壁BVWの別の部分が側面開口部56の中へ内方へ侵入するように吸引を任意に施してもよい。その後、操作者は作動ノブ82を引き戻して、針前進/後引部材64を基端方向へと引き込むが、それにより針74が基端方向に駆動され、側面開口部56を通って内包へ侵入させた血管壁BVWの第2の部分を通る。針74が完全にそのような侵入している組織を完全に通り抜けた後、バルーン58は再び収縮し(使用している場合)、任意の吸引を終了する。その後、カテーテル本体52の位置を再び変え、上述の手順を必要な回数繰り返すことにより、血管壁BVWに所望の縫合線を形成することが可能である。所望の針目又は縫合糸を設けた後、装置50を回収し、縫合材88に結び目を形成するために腹腔鏡手術に一般に使用される種類のノットプッシャー(knot pusher)を利用してもよい。血管の管腔を引っ張って閉鎖するのに縫合材88を使用することが望ましい応用において、縫合材88は巾着法でピンと張られた状態に引かれ、図19bに示したような方法で血管の管腔は折り畳まれ、閉鎖される。他の応用において、縫合材は断続的であっても連続的であってもよく、ノットプッシャーを用いて血管を縛ったり結び目を作ったりすることができる、管腔を引っ張って血管を閉鎖する必要はない。この手法は、図19〜19aに示されるように血管に径方向の巾着縫合閉鎖部又は吻合部を形成するのに使用可能である。また、この手法を、図20に示すように、動脈瘤ANに橋渡しをする管腔内グラフト90を初めとする物品又は装置を固定するために使用することができる。図20に示した手法は、血管壁BVWにグラフト90を摩擦により係合させる径方向に拡張可能なステントによって管腔内グラフトが定位置に保持され又は固定される従来技術の方法に勝る利点を提供する。これに関して、管腔内縫合装置50、50’、50”を柔軟なチューブグラフト(例:織ポリエステル又は発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE))の両端を血管壁BVWに縫い付けるために使用し、チューブグラフト90を所望の位置で固定及び保持することが可能である。この際、グラフト80を血管壁BVWに摩擦により係合又は固定するために必要な径方向に拡張可能なステントや他のハードウェアは不必要である。
図22、22a、22bは上述の実施携帯の変形を示し、管腔内縫合装置50’は変形したカテーテル本体52’を有し、同本体52’は基端部PE、末端部DE、及び本体の中を長手方向に延びるメイン管腔54’を備える。側面開口部56’はカテーテル本体52’の一側面の第1の位置においてメイン管腔54’内へ形成され、バルーン58’は側面開口部56’と対向する位置においてカテーテル本体52’に任意に形成され得る。上述の第4実施形態にあるように、バルーン膨張管腔89’はカテーテル本体52’を通って長手方向に延び、膨張液をバルーン58’に注入又はバルーン58’から回収するのを可能にする。この変形例において、針前進/後引部材64’は鋭利な末端側の先端67を有する。第1の針コネクタが末端部先端67付近において針前進/後引部材64’上に形成され、対応する第2の針コネクタ(例:切欠)102が針74’の基端部に隣接して形成される。また、針保持部材108が、側面開口部56’の末端側の位置においてカテーテル本体52’のメイン管腔54’内に形成され、このような針保持部材108は、針74’に摩擦によって係合すると共に、側面開口部56’の末端側の第2位置に存在する間、針74’の回転を防止するように形成される。縫合材88’は基端部107と末端部106との間の位置で針74’に取り付けられるが、針74’のほぼ中心点に取り付けられることが好ましい。
図22、22a、22bに示したこの第4の実施形態の変形を血管に縫合糸を配置するために使用する場合、カテーテル本体52’は、側面開口部56が血管壁を通って縫合糸を設けるのが好ましい部位に配置されるまで、脈管構造を通って経管腔的に進められる。その後、バルーン膨張液が(必要な場合)バルーン膨張管腔89’を通して注入され、バルーン58’が膨張されるが、それによって血管壁がメイン管腔54’に侵入するように血管壁上の第1位置に対して側面開口部56’が加圧される。任意に、吸引をメイン管腔54’に施して、組織を側面開口部56’を通じて内方へ引き寄せてもよい。その後、針前進/後引部材64’を末端方向へ前進させ、針74’を血管壁のうちの側面開口部56’の中へ引っ張られた部分に通して、側面開口部56’の末端側に配置された第2の位置へと駆動する。針をこの第2の位置へ進めた後、針保持部材108は摩擦によって針と係合すると共に針の回転を防止し、針前進/後引部材64’がわずかに回転して、第1の針コネクタ及び第2の針コネクタ100,102を互いに離脱させ、それによって針前進/後引部材64’が針74’から離れる。その後、針前進/後引部材は側面開口部56’の基端側の位置まで基端方向へ引き込まれる。その後、バルーン58’を収縮し(予め膨張させていた場合)、側面開口部56’が血管壁の第2の位置に隣接して配置されるようにカテーテル本体52’の位置を変える。それから、バルーン58’を再び膨張し(必要な場合)、所望の吸引を任意にメイン管腔54’に施して、血管壁の第2の部分を側面開口部56’を通ってメイン管腔54’へと引き寄せる。その後、針前進/後引部材64’が、侵入している組織を針前進/後引部材64’の鋭利な末端側先端67が通過できるように、末端方向へ進められる。針前進/後引部材64’を、自身の針コネクタ100が針74’の基端部に形成された針コネクタ102と一列に並置されるまで進めた後、針前進/後引部材64’をわずかに回転させ、針コネクタ部材100と針74’の針コネクタ102とを係合させる。これによって、針前進/後引部材64’は針74’と再び接続される。その後、針前進/後引部材64’は再び基端方向へと引き込まれ、針74’は組織を通って、針74’が側面開口部56’の基端側へ配置される第1位置へと引き戻される。その後、上述の工程を必要な回数繰り返すことにより、血管壁に所望の針目又は縫合線を形成することができる。
所望の針目又は縫合線を血管壁に設けた後、カテーテル52’は除去され、以上に詳細に述べたように、縫合糸は血管を結紮するために引っ張って閉鎖されるか、又は血管壁に物品又は装置を固定又は付着させるためにつながれるか、結び目が形成される。
b.外部針の種類:
図23a〜26は、本発明の別の管腔内縫合装置50”’を示し、この装置50”’は、カテーテル本体502から外へ延びる「外部」組織貫通部材又は針530を組み込んでおり、カテーテル本体502が挿入された血管を初めとする管腔解剖構造の壁の中に、縫合糸529を初めとする接続材を通過させることができる。このように装置50”’は、上述の装置50、50”の内部針の実施形態のように管腔解剖構造の壁の任意の部分がカテーテル本体に侵入されている必要がない。
示されるように、装置50”’は堅くても柔軟でもよい細長いカテーテル本体502を有し、カテーテル本体502は、カテーテル本体102の末端部内に形成された不規則な形のメイン管腔504を備える。示された実施形態において、メイン管腔502は概して砂時計形又はダンベル形の断面の形をしており、上部506、下部508、並びに上部506及び下部508の間に延びる接続チャネル510を形成する。メイン管腔504は全体としてカテーテル本体502の末端部にのみ形成されており、メイン管腔504の部分はすべて、末端方向へは閉じた末端部505に終結する。上部506及び接続チャネル510はカテーテル本体502の基端側が閉じた基端部507で終結するが、下部508はカテーテル本体502の基端部と、基端開口部(図示しない)とを通って続く。
針出口分岐管腔516はメイン管腔504の上部506から、カテーテル本体502の側面に形成された第1開口部へと延びる。針入口分岐管腔518はメイン管腔504の上部506から第1開口部の末端側に、好ましくは第1開口部と一直線上にカテーテル502の側面に形成された第2開口部まで延びる。また、弓形のくぼみADが、針出口分岐管腔516と針入口分岐管管腔518との間を通るメイン管腔504の部分に形成され得る。更に、図24bに示されるように、縫合糸通過スリット511が、針出口分岐管腔516と針入口分岐管腔518との間に位置するカテーテル本体502の部分に長手方向に形成される。このスリット511は、カテーテル本体502の上部表面から下方へメイン管腔504の上部506へと延びる幅の狭い縫合糸通過チャネルを提供する。
曲がった針530の初めとする前もって形成された弾力的な貫通部材が、まっすぐな形態で、メイン管腔504の上部506の中に摺動可能に配置される。図26に示されるように、好適な針530はまっすぐなシャフトSH、まっすぐなシャフトSHの末端部に接する曲がった部分CS、曲がった部分CSの末端部に接するまっすぐな部分SS、及び鋭利にした末端部先端DTを有する。
図25及び25aに示した種類の針前進/後引部材520はカテーテル本体502内に摺動可能に配置され、以下により詳細に述べるように、針530を交互に前進及び後引するために使用される。好適な針前進/後引部材520は、末端部に配置されたクリップ524と基端部に配置された操作ノブ522とを有する、細長いシャフト528を備える。操作ノブ522はシャフト528の中を延びる機械的結合部材(図示しない)によってクリップ524と接続される。
クリップ524は第1及び第2の側方に延びるアーム526a、526bを有し、それらの端部は旋回可能に結合ハブ528に取り付けられている。クリップは、カテーテル502のメイン管腔内504に摺動可能に存在し、ハブは下部508に配置され、アーム526a、526bは接続チャネル510を通って上部506へと針530の両側に延び、針530はアーム526a、526bの末端部の間に捕獲及び把持可能である。針前進/後引部材520のシャフト528は基端方向へと管腔の下部508を通って延びると共に基端側の管腔開口部(図示しない)から出るため、操作者は手術の間、操作ノブ522を利用することができる。
縫合糸528を初めとする所定長さの接続材は針530の基端部に接続され、下部管腔部分508の基端部を通って針前進/後引部材520のシャフト528に沿って延びる。
日常的な操作において、カテーテル502は末端部を先にして、本体の中に進められ、針出口分岐管腔516及び針入口分岐管腔518と連通する第1の開口部及び第2の開口部が血管を初めとする管腔解剖構造の壁面の第1の位置に隣接して配置される。図23aに示されるように、針530は先ず初めに、針出口分岐管腔516が分岐する位置より基端側で、上部管腔部506に配置される。また、図23aに示されるように、針前進/後引部材520は、その基端部付近でアーム526a、526bが針530を把持するように初めに配置され、散開される。
その後、図23bに示されるように、針前進/後引部材520及び針530は末端側の方向に進められる。針の末端側先端は自動的に針出口分岐管腔516に入り、示されるような第1の出口開口部から出るように形成又は偏倚される。
図23cに示されるように、針前進/後引部材520及び針530は針が管腔解剖構造の壁の組織を完全に又は部分的に通過するように、更に進められる。針が前進して、カテーテル502から出て組織を通ると、弾力的な針530は図26に示すように予め形成された形態をとる。針530の形をこのように予め形成することにより、末端部を図23cに示すように、再びカテーテル502に進入させて、針入口分岐管腔518に通すことが可能となる。カテーテル側面の第2の開口部において直径が最大となり、内部へ延びるにつれて連続的に狭くなるように、針入口分岐管腔518は面取りをしたりテーパ状にしたりしてもよい。これによって、針530の末端側先端DTが、示された方法で針入口分岐管腔518に配置され、同管腔518を通過する能力が向上する。
図23dを参照すると、操作ノブ522がアーム526a、526bを互いに離れるよう旋回する方向へ回転させることにより、針がクリップ524の把持から解放される。図24bに示すように、管腔504の接続チャネル510は十分広く、好ましくは幾分テーパ状になっており、クリップ524のアーム526a、526bはクリップ524の把持から針530を解放するのに十分な程度分離される。
図23dに示すように、針前進/後引部材520は次に、クリップ524が針の末端部に隣接して配置されるようになるまで(例:メイン管腔504と針入口分岐管腔518との接続点において)、更に末端方向に進められる。操作ノブ522を次に回転させるとクリップのアーム526a、526bが互いに向かって旋回し、その間に存在する針530の末端部が捕獲及び把持される。
図23eに示すように、クリップ524がメイン管腔504の末端部505に当接し、針530の基端部が引かれている縫合糸529により管腔504の末端部に引かれるまで、針前進/後引部材520は末端方向に更に進められる。
その後、図23fに示すように、操作ノブ522を回転させると、クリップ524が弛緩されると同時に、針530が解放され、針前進/後引部材520はクリップが針530の基端部に隣接して位置を変えられるまで基端方向へ引っ込められる。
その後、図23gに示すように、操作ノブ522をクリップ524を固定するために回転させると、クリップが再び針530を把持し、針前進/後引部材はさらに基端方向へ引き込まれる。
図23hに示すように、針前進/後引部材520は、針530が開始位置に戻るまで基端方向へ引き込まれる。縫合糸529がスリット511を通して共に引かれ、針530及び縫合し529は図23a〜23hに示した上記に概要した工程を繰り返すべく調製される。
カテーテルは回転により位置を変えても、又は長手方向に沿って位置を変えてもよく、上記に概要した工程を、解剖構造の壁に所望の数の針目を形成するのに必要なだけ繰り返すことが可能である。当該技術分野において公知の種類のノットプッシャー装置であって種々の内視鏡又はポートアクセス外科的手術において使用されている適当なノットプッシャー装置を用いて、1以上の結び目を縫合糸629に設け、針目を固定してもよい。
v.第5実施形態−管腔解剖構造への取付部又は吻合部の形成に利用可能な装置
図27〜27cに、図7〜11に示すと同時に上述したT字形閉塞装置30と類似の構造を備えた、取付部材208を利用する別の装置200を示す。この装置200は堅く構成されても柔軟に構成されてもよい経管腔カテーテル202と、カテーテル202から出て前進可能な、溝を付けた中空の針204とを備える。示した特定の実施形態において、溝を付けた中空の針204は弾性又は超弾性材より構成されると共に曲がった形態へ付勢され、針204の末端部はカテーテル202の末端開口部220から出て進められるように曲がった形態をとる。このように、鋭利な末端部先端214は解剖通路(例:血管)の壁を完全又は部分的に通り、同通路の中にカテーテル202の末端部は配置される。しかしながら、むしろ針204を曲げたり、カテーテル202の末端部よりもカテーテル202の側面に存在する開口部を通ってカテーテルを排出したりする場合には、様々な他のカテーテル及び針の設計を使用できることが理解されよう。好適な針204は、複数の取付部材208を有すると共に、管腔解剖構造(例:血管)の壁へのそのような取付部材208の設置を促進するように形成される。これに関して、細長い溝210を好ましくは針204の末端部の一側面のみに形成し、針の基端シャフトには手をつけずに溝を設けないままにする。1以上のこのような取付部材208を図27に示すような方法で針204の管腔内に装填する。各取付部材208は縫合糸、柔軟なフィラメント、プラスチック製の糸、又は他の適当な材料より形成された柔軟なリンク212を有する。係合部材209が各リンク212の対向する両端に形成される。示される特定の実施形態において、係合部材209は横材の性質を有しており、このような横材の各々は、リンク212の長手方向の軸LA−Lにほぼ垂直な長手方向の軸LA−Tを有する。いくつかの実施形態において、係合部材は互いに鎖様に接続されると同時に、針204の管腔内に装填されたままである。しかしながら、このような係合部材209は針204の末端部先端214から排出されると、隣接する係合部材209と接続しなくなる。図23〜23cに示した特定の横材様の係合部材209に関して、このような係合部材209の一端には第1コネクタ230が形成され、他端には第2コネクタ232が形成される。ある係合部材209の第1コネクタ230は針204の管腔内に存在する、隣接する係合部材209の第2コネクタ232と接続されるが、分離可能である。係合部材209がこのように連鎖又は接続しているため、係合部材が針204の管腔内に連続的に並んで充填されている間は、係合部材209を一斉に長手方向に移動させることが可能である。しかしながら、ある係合部材209を針204から排出して、隣接する係合部材209に対して同軸でないか及び/又は端部と端部とが一直線上に配列されない位置にする場合、係合部材209の第2コネクタ232は隣接する係合部材209の第1コネクタ230との連絡と断ってコネクタ230から分離する。このように、次の隣接する係合部材209は針204の管腔内に残り、図23に示されるように針の管腔内に存在する任意の後続の係合部材209と接続されたままとなる。係合部材209に形成されたコネクタ230、232は多くの適切な方法で構成及び形成され、様々な種類の適当な相互連絡(例:機械的、摩擦的、粘着性、及び磁性連絡等)を形成可能である。示した特定の実施形態において、各係合部材209の第1コネクタ230は、受け入れ孔236を備えた第1のノッチ234を有し、各係合部材209の第2コネクタ232は、一段高くした突起240(例:突起、柱、凸縁(舌)、ボス等)を備えた第2のノッチ238を有する。ある係合部材209の第2コネクタ232は隣接する係合部材209の第1コネクタ230の受け入れ孔236に収容され、係合部材209は針204の管腔内の連続的で隣接する配列のまま、接続又は連接される。このような相互接続された取付部材208のリンク212は、輪になった様式で、示されるように針204の溝210から突出する。
排出/引き込み部材(図示しない)は、針の管腔に装填された最も基端側の係合部材209よりも基端側において、針204の管腔を通過する。このような排出/引き込み部材は最も基端側の係合部材に接続されるか最も基端側の係合部材を把持し、ある係合部材209を一度に針204の末端部先端214から選択的に排出するのに有用である。操作の際、カテーテル202は、カテーテル202の末端部が管腔解剖構造の管腔内の吻合又は取付が行われる位置に配置されるまで、経管腔的に挿入及び前進される。次に針204は、針の鋭利な末端部先端214が管腔解剖構造の壁を完全又は部分的に通るまで、カテーテル202の末端部の孔220から出て進められる。その後、排出/引き込み部材(図示しない)が末端の方向へ進められ、係合部材209のうちの最初のもの(即ち最も末端側にあるもの)が針204の端部から排出される。最初の(第1の)係合部材209が針204の端部から出て通過すると、リンク212により加えられた力により、係合部材209はその第2コネクタ323が次の係合部材209の第1コネクタ230と接続しなくなるような位置をとる。排出/引き込み部材はそれから基端方向へ引き込まれ、隣接する係合部材209の任意の突出部分は針204の管腔内へ引き戻される。このように、最初に排出された係合部材209が管腔解剖構造から出て外で散開されると、同部材209は図23a、b、cに示されるように管腔解剖構造(例:血管外膜又は血管の層)の外側表面に当接するか又は係合する。針204は次にカテーテル202の中に引き込まれ、針204が管腔解剖構造の壁の第2位置に向けられるようにカテーテル202は位置を変えられる(即ち長手方向に移動したり、回転したり、その両方を行ったりする)。それから、針は再び管腔解剖構造の壁の中を進められ、第2の係合部材209を管腔解剖構造の外側の第2位置に配置するために上述の手順が繰り返される。これらの2つの係合部材209を接続しているリンク212は構造の管腔内を横切って通っている。この手順全体は、所望の縫合線又は取付部材208の列を設けて所望の取付部又は吻合部が形成されるまで1回以上繰り返される。少なくともいくつかの応用において、係合部材209は鎖のような様式で針204の管腔に初めから装填され、鎖の両端に存在する係合部材209を除くすべての係合部材209は、図に示すように係合部材209と接続する2つの(2)リンクを有する。これにより、係合部材は管腔解剖構造の壁に連続的な縫合線、取付部、又は吻合部を形成可能である。この装置200は多くの目的に利用することができ、それには例えば、a.)管腔解剖構造に対する管腔内グラフト、ステント、又は他の物品/装置の取付又は固定、b.)もう1つの管腔解剖構造への管腔解剖構造の接続、又は、c.)管腔解剖構造ともう1つの管腔解剖構造との間への又は同じ管腔解剖構造の2つの隣接させた切断端部(管腔解剖構造の以下の横断又は切除により生じるような)の間への吻合部の形成が含まれる。図23a及び23bは特に、管状管腔内グラフト300の端部を血管BVの壁に固定するための装置の利用方法の1つを示す。図27a及び27bに示されるように、管状グラフト300が血管BVの管腔内の所望の位置に配置される(例えば管状グラフト300が血管BVの動脈瘤の部分、疾患部分、又は損傷部分を通って延びるように)。次にカテーテル202が管腔解剖構造内を進められ、カテーテルの末端部の出口220がグラフト300の一端に隣接するように配置される。一連の取付部材208を次に管状に配列し、グラフト300の端部を血管BVの壁に固定する。同じ手順を繰り返して、チューブグラフト300の他端を同様に固定する。このように、グラフト300は定位置にしっかりと保持され、血管内での移動は防止される。血液がグラフトの外表面と血管壁との間の空間にしみ出したり又は同空間に滲入したりする(例えば「endoleak」)のを防止するためにグラフト300の端部を血管BVの壁に対してしっかりと保持するのが望ましい応用において、グラフトをそのようにしっかり接続するために取付部材208のリンク212を弾性材より形成したり、又はグラフトを血管壁に対してしっかりと引き寄せるためにリンク212を柔順性材料より形成して、縮められた形態へとねじったり又は変形したりしてもよい。また別に、封鎖用物質(例:生体適合性接着剤)又は空間充填部材(例:塞栓コイル、ビーズ、ゲルフォーム等)をグラフト300の端部周辺に施したり被覆したりして、グラフト周囲のこのような血液の漏れを防止してもよい。
図27cは、血管、導管、チューブ又は体の通路を初めとする解剖通路ACの横断端部TEの間に端部と端部を接した吻合部を形成するために装置200を利用する別の可能な応用を示す。この応用において、係合部材209は交互に違わせた径方向の配列(即ち吻合部周囲のジグザグの配列)に設けられるため、解剖通路ACの横断端部TEは近接して望ましい配列に接続される。係合部材209のこのような互い違いの配列は、カテーテルを前後に前進及び後引させると共に、その度に回転を漸増し、係合部材209を図27cに示すように吻合部の周囲且つ両側に設置することによって、達成可能である。
図27dは2つの解剖通路の間に端部と側面を接した吻合部を形成すべく、図27に示した装置と同様な装置が一連の断続的な取付部材208’を設置するために使用される別の可能な応用法を示す。この断続的な取付部材208’は図27〜27cに示した連続的な取付部材208とは異なり、隣接する取付部材209が両方に取り付けられた2つのリンク部分212を有するいくつかの係合部材209を備えるのではなく、単一のリンク部分212’が各係合部材209’に接続される。このように、取付部材208’は連続的な方法よりもむしろ断続的な方法で設置されることが当業者には理解されよう。
当業者にはさらに、2つ(2)の解剖通路の間に又は同じ解剖通路の2つ(2)の部分の間に吻合部を形成するのに有用なものとして以上開示してきた装置5、50’、50“及び200を、多くの種類の吻合部を形成するために利用可能であることが理解されると共に了承される。図18又は27cに特に示した端部と端部の接続のみに制限されるわけではない。むしろ、装置50、50’、50”、50”’又は200は更に図28aと28bとに概略的に示したような端部と側面の接続や、図29aと29bとに概略的に示したような側面と側面の接続に利用してもよい。
本発明は現時点での好適な特定の実施形態や例のみに関して以上述べてきたが、本発明を実施したり、本発明が物理的形状をとり得るすべての可能な実施形態や例を徹底的に述べることは試みなかったことを、更に了承及び理解されるべきである。実際、本発明の意図する精神及び範囲から逸脱することなく、上述の実施形態及び例については種々の付加、削除、修正、及び変更を行うことが可能である。従って、このような付加、削除、修正、及び変更は以下の請求の範囲内に含まれる。

Claims (5)

  1. 壁と前記壁によって実質的に形成される管腔とを有する解剖構造の管腔を完全に又は部分的に閉鎖するための装置であって、
    前記解剖構造の管腔内を経管腔的に前進可能であり、側面開口部を有するカテーテルと、
    先端部を有し、自身の上に1以上の係合部材を形成された細長い閉鎖部材であって、コイル状の形態に付勢される閉鎖部材と、を備え、
    前記閉鎖部材は、初めは前記カテーテル内に配置されるが、カテーテルを解剖構造の管腔の中に進めた後で、次いでカテーテルの側面開口部から出て配置され、
    a)閉鎖部材の端部は解剖構造の壁を通過して外方に前進し、b)閉鎖部材は解剖構造の管腔の周囲の外側の通路を少なくとも部分的に周方向に前進し、c)前記1以上の係合部材が解剖構造に係合し、d)閉鎖部材を付勢することにより閉鎖部材がコイル状の形態に付勢され、解剖構造の管腔を少なくとも部分的に閉鎖するようになっている、装置。
  2. 前記細長い閉鎖部材が柔順性材料より形成される請求項1に記載の装置。
  3. 前記1以上の係合部材がかかりを有する請求項1に記載の装置。
  4. 前記1以上の係合部材がフックを有する請求項1に記載の装置。
  5. 前記1以上の係合部材が突起を有する請求項1に記載の装置。
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