JP4096041B2 - 透明な窓付き容器とその成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願の発明は、容器内の内容物の存在や残量、あるいは、色や形状等を確認することができる覗き窓が設けられた中空容器に係わるもので、特に、熱可塑性合成樹脂の射出成形により成形された中空容器の胴壁の一部に熱可塑性合成樹脂からなる透明フィルムからなる覗き窓を設けて形成した、容器内の内容物の状態を確認できるようにした窓付き容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
中空容器内に各種の内容物が収容された状態で消費者に提供される商品は、消費者の注意を引きつけやすくするために、一般には中空容器として多種、多様な色付きの不透明な容器が用いられているので、必要な時に消費者が内容物の形や色、内容物の存在等を確認しようとしても、透明な容器が使用されているもの以外のものは確認することは非常に困難であるから、使用に際して不便を感ずることがしばしばある。
このような不便さを解消して、容器の中身を確認することができるようにした中空容器として、特開平9−301388号や特開2001−287720号公報等に記載するような容器が提案されている。
【0003】
上記した特開平9−301388号公報に見るような構造にして中身が確認できる中空容器を成形するには、透明部分を形成する熱可塑性樹脂と不透明部分を形成する熱可塑性樹脂とを共押し出し成形する成形装置が必要であり、また、同じく特開2001−287720号公報に記載するような発明は、不透明な容器本体を形成する部分と透明な表示窓となる部分とを別体に成形した後に、両方の部分を一体化せしめてから中空容器に成形したものであり、両部材の接合部間に隙間が生じて内容物が漏洩する恐れもあるから、これらの中空容器はいずれのものに於いても、その製造コストを低減するにはそれぞれに困難な点がある。
【0004】
また、従来から用いられている各種容器には、その表面に消費者の目を引きつけるために色々な模様や装飾が施されたり、内容物の品質の表示や注意書き等が記載されたラベル等の各種の表示体が貼着されたものが多用されている。
そして、このように各種の表示体が施された中空容器は、その表示体が遮光の役割をして、内容物の変色や変質等の劣化をある程度は防ぐことができるので、透明または半透明の合成樹脂を用いて容器本体を成形して、表示体を貼着して内容物を収容した容器は、内容物を極端に変質させるような恐れはない。
【0005】
そのような理由から、透明または半透明の合成樹脂を用いて成形された容器本体の表面に貼着する表示体23を、その接合端部23aに僅かの隙間を設けるようにして貼着することにより、図4に示すように、容器内に収容されている内容物が外部から目視できるように工夫して、容器の胴壁部22にスリット状の透明な壁面22aを設けた構造の中空容器21が使用されている。
そのような構造をしたような中空容器21を形成するには、図5に示すように、容器本体の表面に貼着するのに適した形状の表示体23を展開した状態に形成したものを、射出成形金型25の外型25a内にセットして成形金型を閉じてから、内型25bに設けた射出ランナー26を通して射出成形機27から溶融樹脂28を射出、注入せしめて、合成樹脂製の容器の表面に表示体23をインモールド成形することにより貼着した中空容器21に成形される。
【0006】
このようにして成形された容器21は、前記した発明のような構造にした窓付きの容器等に比べて安価に製造することができるが、しかし、スリット状の透明な胴壁22a部分を除いて容器本体の全表面に表示体23を貼着した構造にしなければならず、また、容器本体を透明または半透明の合成樹脂により形成しなければならず、他の色に着色された樹脂を用いて成形することはできない等の制約がある。
従って、容器本体を色々な色に着色した合成樹脂で形成することができると共に、必要な部分のみに各種の表示を行うことができて、且つ、容器内の内容物を外部から目で容易に確認することができるようにすると共に、簡単で安価に製造できるようにした中空容器の出現が望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本願の発明は、上記したような問題点を解消して、容器内の内容物を外部から目で容易に確認することができるように創案されたものであって、各種の色をした中空容器の胴壁部に透明な覗き窓を形成すると共に、容器本体の表面の必要な部分のみに各種の表示体を貼着できるようにした中空容器を形成して、透明な覗き窓部から内容物が漏洩することがなくて、簡単に、且つ、安価に製造することができるようにした透明な窓付きの中空容器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、前記した課題を解決するために、透明な合成樹脂フィルムを射出成形金型内に装着して、透明な覗き窓部を形成する部分を内型の中子面に押圧せしめた状態にして、溶融した着色合成樹脂を射出せしめて射出成形金型内でインモールド成形することにより、容器本体の胴壁部に透明な樹脂フィルムを貼着すると共に、容器本体の胴壁部の一部に透明な樹脂フィルムからなる覗き窓部を形成して、容器内の内容物を外部から目視できるようにした透明な窓付きの熱可塑性合成樹脂からなる中空容器を形成する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本願発明は、内容物の表示や使用法等を記したラベルや容器の胴壁部を保護、強化する被覆体をも兼ねた透明な合成樹脂フィルムを、射出成形金型内に装着、固定して成形金型を閉じる。
続いて、外型に摺動可能に設けられた押圧ロッドを前進させて、透明な合成樹脂フィルムをロッドの先端部により内型の中子面に押圧、密着せしめてから、射出成形機により溶融した着色合成樹脂を射出成形金型内に射出する。
射出成形金型内に射出された溶融樹脂は、ランナーから成形金型のキャビティ内へと流動して、成形内型の中子面と樹脂フィルム面との空間部を満たしながらキャビティ全体に充填されて所定形状に成形されると同時に、前記樹脂フィルムがインモールド成形された中空容器に成形される。
【0010】
このようにして成形された中空容器を冷却して成形金型から取り出すことにより、押圧ロッドの先端部により透明な樹脂フィルムが中子面に押圧された部分が透明な覗き窓に形成された中空容器を得ることができる。
このように成形した中空容器は、内部に中身を充填してから開口部が密封された後、包装されて商品となるが、このような商品は、内部にどのような内容物が入ったものであるか、また、どのような色をしたものがどれくらい入っているのかが、開封することなしに透明な覗き窓から容易に確認することができる。
【0011】
【実施例】
以下に、本願発明の透明な窓付き容器について、最適な一つの実施例に基づいて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本願発明の透明な窓付きの中空容器1は、図1に示すように、熱可塑性の合成樹脂からなる略円筒形状をした容器本体2の胴壁2aの一部に透明な樹脂フィルム3で形成された透明な窓4が設けられたものである。
そして、前記透明な窓4は、合成樹脂フィルムに内容物等を表示したラベルまたは容器の胴壁部に被覆して保護する合成樹脂フィルムからなる被覆体等の一部に透明な部分が設けられたフィルム、あるいは、全体が透明なフィルムから構成されたもので、容器本体の胴壁部と同等な強度を有している。
【0012】
上記した図1に見るような透明な窓(覗き窓)4が設けられた中空容器1を成形するには、図2に示すように、上下(または左右)に開いた射出成形金型11の外型(下型)12内に透明樹脂フィルム3を挿入して所定位置に固定する。
続いて、前記成形金型を閉じると共に、図3に示したように、前記外型12に摺動可能に設けられた押圧ロッド14を前進せしめて前記樹脂フィルム3を内型(上型)13の中子面13aに押し付けてから、各種の色に着色して溶融された熱可塑性合成樹脂16を射出成形機15により外型12の底部に設けられたゲート部12aから成形キャビィティー内に射出する。
【0013】
上記のようにして成形外型12のゲート部12aから成形金型11内に射出された溶融樹脂16は、前記樹脂フィルム3と中子面13aとの間を流動してキャビティーに充填されるが、その際に前記押圧ロッド14の先端で中子面13aに樹脂フィルム3が押し付けられた部分では、溶融樹脂は押圧ロッド14の先端部の回りを囲むように流動して所定形状の容器に成形されると同時に、前記樹脂フィルム3はインモールド成形される。
【0014】
上記のようにしてインモールド成形される際に、前記透明樹脂フィルム3は、押圧ロッド14で中子面13aに押圧されていない部分は溶融樹脂と一体化され、そして、押圧ロッド14の先端部で押圧されていた部分が、中空容器1の胴壁部2aの一部が透明な胴壁となった透明窓4に形成される。
そして、上記のようにして射出成形されて中空容器を冷却した後に、前記押圧ロッド14を後退させてから成形金型11を開けば、所定形状に成形された中空容器1が取り出される。
【0015】
このようにして成形された中空容器1は、内部に収容すべき内容物が充填されてから、開口部が密封可能な蓋部材により完全に密封されて製品となるが、このような製品は、容器の胴壁部の一部に透明な窓部4が形成されているので、容器の内部にはどのような内容物やどのような色をしたものが収容されているかを、前記透明な窓から覗くことにより簡単に確認することができて、また、前記窓部4を形成する樹脂フィルムにより容器の強度を高めることもできる。
【0016】
上記した実施例に於いて、透明樹脂フィルム3は、容器の胴壁2の全外周面にインモールド成形する大きさのものを用いたが、本願発明は、このようなものに限定されるものではなくて、透明な窓4が設けられる部分とその近傍を覆う程度の適当な大きさをした樹脂フィルムを用いて、容器の胴壁部2に部分的にインモールドまたはインサート成形して透明な窓を成形することも可能であり、前記透明樹脂フィルム3は容器本体を形成する樹脂と相互に溶融性を有する樹脂からなることが望ましい。
【0017】
本願発明は、上記したように中空容器の胴壁部の一部に透明な窓部を設けるのに、容器本体部に透明な樹脂フィルムをインモールドまたはインサート成形して設けたものであるから、中空容器の本体部分を色々なで着色された合成樹脂により成形される着色容器や発泡性樹脂により成形される容器にも、簡単に透明窓を設けることがてきる。
また、上記した実施例は、中空容器としてカップ状をした底深の円筒容器であったが、本願発明は、このような容器に限定されるものではなくて、ボトル状またはその他の形状をした中空容器であっても、その胴壁部に簡単に透明窓を設けることがてきる。
【0018】
【発明の効果】
本願発明の窓付き容器は、射出成形金型内に装着、固定した透明な樹脂フィルムの一部、あるいは、樹脂フィルムからなるラベル等の貼着体の透明部分を、押圧ロッドにより成形型の中子面に押圧、密着せしめた状態で熱可塑性合成樹脂を射出成形して、前記樹脂フィルムをインモールド成形せしめて所定形状に成形することにより、中空容器の胴壁部の一部に透明な胴壁を形成したものであるから、従来のものに比べて透明な窓部を簡単に形成することができるので、容器の製造コストを低減することができる。
また、本願発明の容器を形成するには、インモールド成形される樹脂フィルムは覗き窓部分だけが透明であればよいので、着色した容器にも簡単に透明な窓部を設けることができて、また、成形される容器は樹脂フィルムにより強化されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の発明である透明な窓付き容器を示す斜視図である。
【図2】図1に示す窓付き容器を成形する射出成形装置の断面図である。
【図3】中空容器の胴壁部に窓部を形成する工程を示す断面図である。
【図4】従来の窓付き容器を示す斜視図である。
【図5】図4に示す窓付き容器を成形する工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1. 中空容器
2. 容器本体
2a. 胴壁
3. 樹脂フィルム
4. 透明な窓
11. 成形金型
12. 外型
12a. ゲート部
13. 内型
13a. 中子面
14. 押圧ロッド
15. 射出成形機
16. 溶融樹脂
Claims (2)
- 射出成形金型内に装着して外型面に固定された透明樹脂フィルムの一部を、外型に摺動可能に設けられた押圧ロッドの先端部で内型の中子面に押し付けてから、射出成形機により溶融された熱可塑性合成樹脂をキャビティー内に射出せしめて、所定形状の中空容器に成形すると同時に前記樹脂フィルムをインモールド成形して、中空容器の胴壁部に内容物を確認可能にした透明な窓部を形成することを特徴とする透明な窓付き容器の成形方法。
- 射出成形金型内に装着して外型面に筒状に固定されたラベル等の樹脂フィルムからなる貼着体に設けられた透明な部分を、外型に摺動可能に設けられた押圧ロッドの先端部で内型の中子面に押し付けてから、射出成形機により溶融された熱可塑性合成樹脂をキャビティー内に射出せしめて、所定形状の中空容器に成形すると同時に前記樹脂フィルムをインモールド成形して一体化せしめて、該容器の胴壁部に内容物を確認可能にした透明な窓部を形成することを特徴とする透明な窓付き容器の成形方法。
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