JP4095849B2 - ヒータ制御装置およびガス検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感ガス体を目標温度に加熱・維持するためにヒータの通電制御を行うヒータ制御装置、およびそのようなヒータ制御装置を備えるガス検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、SnO2 やWO3 等の酸化物半導体などを用いて構成される感ガス体(ガスセンサ素子)は、活性化温度(例えば、200[℃]〜400[℃])以上になると特定ガス(例えば、COやNO2 など)の濃度変化に応じて抵抗値が変化するという特徴があり、このような感ガス体を備えるガス検出装置が知られている。また、このような感ガス体を早期に活性化させるためにヒータを用いる場合があり、感ガス体を加熱・維持するようにヒータの発熱量を制御するヒータ制御装置がある。
【0003】
そして、感ガス体を加熱するためのヒータとしては、一般に電流の通電により発熱する構造のヒータが多く用いられており、ヒータ制御装置は、例えば、ヒータへの供給電力をDUTY制御することで、感ガス体の温度を略一定に維持するようにヒータの発熱量を制御することができる。
【0004】
また、感ガス体は、例えば、被測定ガス中における特定ガスの濃度変化の検出に用いられており、一例としては、自動車用空調機器(カーエアコン)での外気導入と内気循環を切り換えるフラップの開閉制御において、外気の汚れ具合(COやNO2 濃度変化など)の測定に用いられることがある。
【0005】
このように、感ガス体が自動車に搭載される場合には、ヒータ制御装置は、車載電源装置(車載バッテリ)が出力する電源電圧をヒータに印加してヒータを発熱させると共に、ヒータへの印加電圧のDUTY制御を行うことでヒータの発熱量を制御する。
【0006】
なお、自動車には、感ガス体を加熱するヒータの他にも、車載バッテリからの電力供給により駆動する複数の電気機器が搭載されており、これら複数の電気機器と車載バッテリとを接続するための電力供給経路(電力供給ケーブル)が、自動車各部に配設されている。
【0007】
そして、各電気機器のオン・オフ状態の変化に起因して電力供給経路に流れる電流値が瞬時的に大きく変化すると、電力供給経路の周囲の磁界が変化して、誘導起電力としてのサージ電圧が電力供給経路に発生することがある。このサージ電圧は、数10[kV]以上の高電圧になる場合があり、電力供給経路に接続される電気機器のうち許容最大電圧が低いものについては、許容最大電圧を超えるサージ電圧に耐えられず破損する虞がある。特に、ヒータは、僅かな時間であっても、許容最大電圧を超える電圧が印加されると、破損してしまう。
【0008】
なお、許容最大電圧は、電気機器への印加電圧のうち、電気機器が動作可能な電圧範囲の最大値であり、一般に、電気機器は、実使用環境で印加される定格電圧が許容最大電圧よりも低くなるように構成されている。
そして、高電圧印加による電気機器の破損という問題に対しては、例えば、保護対象となる電気機器の許容最大電圧よりも低いツェナー電圧であるツェナーダイオードを、保護対象の電気機器に並列となるように電力供給経路とグランドとの間に接続することで、電気機器を保護するサージ電圧対策方法がある。つまり、サージ電圧が発生した場合には、ツェナーダイオードがツェナー降伏して電力供給経路の電圧上昇をツェナー電圧以下に抑えることで、電気機器への印加電圧が許容最大電圧を上回るのを防止して、電気機器を高電圧による破損から保護するのである。
【0009】
なお、各電気機器への印加電圧を許容最大電圧よりも低い電圧に制限する電圧制限手段としては、ツェナーダイオードの他にバリスタなどを用いることもできる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ヒータへの印加電圧が許容最大電圧より低い電圧に制限される場合であっても、ヒータの定格電圧よりも大きい電圧が印加されてヒータへの供給電力が過剰になると、過熱によりヒータが破損する虞がある。
【0011】
つまり、ヒータへの印加電圧を制限する印加電圧制限手段(ツェナーダイオードやバリスタなど)を用いて、ヒータへの印加電圧を許容最大電圧以下に制限する場合であっても、ヒータの定格電圧を超える電圧がヒータに印加される場合があり得る。そして、このような定格電圧を超える電圧の印加によりヒータへの供給電力が過剰になりヒータの許容最大電力を超えると、ヒータの破損に至ることから、印加電圧制限手段では、過剰な電力供給による破損を防止することができない。
【0012】
なお、許容最大電力は、電気機器への供給電力のうち、電気機器が動作可能な電力範囲の最大値であり、一般に、電気機器は、定格電圧の印加時に供給される定格電力が許容最大電力よりも小さくなるように構成されている。
そこで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、通電により発熱するヒータを通電制御するヒータ制御装置において、過剰な電力供給によるヒータの破損を防止できるヒータ制御装置、およびこのようなヒータ制御装置を備えるガス検出装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、通電により発熱するヒータに対して出力可能な最大出力電圧がヒータの許容最大電圧よりも低い電圧に制限されて、ヒータに対して電力供給を行う電力供給手段と、電力供給手段からヒータに供給される電力量を制御することでヒータの通電制御を行う通電制御手段と、を備え、特定ガスを検出するための感ガス体を、目標温度に加熱・維持するようにヒータの通電制御を行うヒータ制御装置であって、ヒータへの印加電圧値を検出する保護用印加電圧検出手段と、ヒータへの電力供給経路を通電状態または遮断状態に切り換える保護用スイッチング手段と、電力供給経路を遮断状態にするための判定に用いる判定基準電圧は、ヒータの定格電圧よりも高い電圧範囲で、かつ、電力供給手段の最大出力電圧以下の電圧範囲において定められており、保護用印加電圧検出手段にて検出されたヒータへの印加電圧値が判定基準電圧以上になる場合において、判定基準電圧以上の電圧のヒータへの印加時間が、最大出力電圧の印加時にヒータが正常動作可能な最大時間である許容最大印加時間を超える前に、保護用スイッチング手段を用いて電力供給経路を遮断状態に制御するヒータ保護制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
つまり、このヒータ制御装置は、ヒータに対する判定基準電圧以上の電圧の印加時間が許容最大印加時間を超える前に、ヒータ保護制御手段が、電力供給経路を遮断状態に制御するよう構成されており、ヒータに対して過剰な電力が供給されるのを防止している。このため、ヒータへの供給電力が許容最大電力を上回るのを防止でき、過剰な電力供給によるヒータの破損を防止することができる。
【0015】
なお、ヒータへの供給電力が許容最大電力を超えるまでの所要時間に関しては、ヒータへの印加電圧値が高くなるに従い単位時間あたりの供給電力が増大することから、ヒータへの印加電圧値が高くなるほど所要時間は短くなる。また、このヒータ制御装置では、ヒータへの印加電圧値は、電力供給手段の最大出力電圧以下に制限されている。このため、ヒータへの供給電力が許容最大電力を超えるまでの所要時間は、電力供給手段の最大出力電圧が印加される場合に最短となり、印加電圧値が低くなるに従い長くなる。
【0016】
そして、このヒータ制御装置では、電力供給経路を遮断状態にするための判定に用いる判定基準電圧以上の電圧のヒータへの印加時間(判定基準時間)を、電力供給手段からの最大出力電圧の印加時にヒータが正常動作可能な最大時間である許容最大印加時間以下としている。これにより、ヒータへの印加電圧値が電力供給手段の最大出力電圧よりも低い場合においても、判定基準電圧以上の電圧の印加時間が許容最大印加時間を超える前に電力供給経路を遮断でき、ヒータへの供給電力が許容最大電力を超過するのを確実に防止できる。
【0017】
また、このヒータ制御装置は、電力供給手段の最大出力電圧がヒータの許容最大電圧よりも低い電圧に制限されていることから、ヒータへの印加電圧値が許容最大電圧を超えることによるヒータの破損が発生しないよう構成されている。
よって、本発明(請求項1)のヒータ制御装置によれば、通電により発熱するヒータを通電制御するにあたり、許容最大電圧を上回る電圧印加によるヒータの破損を防止できると共に、許容最大電力を超える過剰な電力供給によるヒータの破損を防止することができる。
【0018】
なお、判定基準電圧は、ヒータの定格電圧よりも高い電圧範囲で、かつ、電力供給手段の最大出力電圧以下の電圧範囲において、ヒータの種類や用途などの諸条件に応じた任意の電圧値に設定するとよい。
そして、上述のヒータ制御装置は、例えば、コンパレータなどを備えるアナログ回路を用いてヒータ保護制御手段などの各手段を構成することができる。
ところで、サージ電圧の発生期間が長くなり、上記のヒータ制御装置によるヒータへの通電停止時間が長くなると、感ガス体の温度が低下してしまい、感ガス体の抵抗値がその温度低下の影響を受けて変化してしまい、その結果、感ガス体から取得される検出信号が特定ガスの濃度変化に拘わらず変化することになる。
また、感ガス体から所定サイクル時間ごとに取得される検出信号を用いて特定ガスの濃度変化を検出するガス検出装置としては、過去の検出信号の履歴データを用いて基準値を設定し、基準値と現在の検出信号とを用いてガス濃度検出を行う構成のものがある。このように検出信号の履歴データを用いてガス濃度検出を行うガス検出装置においては、感ガス体の温度低下に伴う検出信号の変化によって基準値が不適切な値に設定されてしまい、ガス濃度の検出精度が低下することになる。なお、「現在の検出信号」とは、所定サイクル時間ごとに順に得られた時系列の値のうち、考察している時点またはその時点よりも過去に得られた値のうち、直近に得られた値を指す。
そこで、こうした問題に対しては、本発明のように、感ガス体から所定サイクル時間ごとに取得される検出信号の履歴データに基づき基準値を設定し、現在の検出信号と基準値とを用いて特定ガスの濃度変化を検出するガス検出装置に備えられるヒータ制御装置であって、ヒータ保護制御手段によりヒータへの電力供給経路が遮断状態となる通電遮断時間を計測し、通電遮断時に感ガス体が目標温度よりも低い温度まで低下するのに要する温度低下所要時間と通電遮断時間とを比較し、通電遮断時間が温度低下所要時間よりも長いか否かを判断する不活性化判定手段と、不活性化判定手段により通電遮断時間が温度低下所要時間よりも長いと判断されると、ガス検出装置で用いられる検出信号の履歴データの初期化を指令するためのデータ初期化指令を、ガス検出装置に対して通知するデータ初期化指令手段を備えたヒータ制御装置を用いると良い。
本願発明者の検討により、ヒータへの電力供給経路を遮断状態とした場合でも、遮断直後から感ガス体の温度低下が即座に起こらないことが判った。そこで、ヒータへの電力供給経路の遮断状態が、所定時間(感ガス体の温度が目標温度を維持する期間)を経過した場合に限り、データ初期化指令を通知して、ガス検出装置に対して感ガス体から取得される検出信号の変動が、感ガス体の温度低下によるものであることを通知するのである。なお、ヒータ制御装置は、例えば、データ初期化指令信号をガス検出装置に対して出力することで、データ初期化指令をガス検出装置に通知するように構成すると良い。
これにより、ガス検出装置は、データ初期化指令が通知された場合には、感ガス体の温度低下に対応するための温度低下対応処理を実行することで、ガス検出精度の低下を防ぐことができる。なお、温度低下対応処理は、蓄積されている履歴データを全て消去(初期化)して、感ガス体が活性化状態になった後に、再び履歴データの蓄積を開始する処理として実現することができる。
よって、本発明のヒータ制御装置によれば、長期間にわたりヒータへの電力供給を遮断した場合に、感ガス体の温度低下に起因して基準値が不適切な値に設定されるのを防止でき、また、瞬間的にヒータへの電力供給を遮断した場合には、データ初期化指令を通知せずに、検出信号の履歴データを有効に利用して、特定ガスの濃度変化を検出することができるので、ガス検出精度の低下を抑制することができる。
【0019】
また、上述のヒータ制御装置は、例えば、請求項2に記載のように、ヒータ保護制御手段が、マイクロコンピュータにおいて周期的に実行される内部処理として備えられ、この内部処理が、許容最大印加時間よりも短くなるよう定められた周期で実行されるように構成してもよい。
【0020】
つまり、ヒータ制御装置には、マイクロコンピュータ(以下、マイコンともいう)を備えるものがあり、マイコンの内部処理として各手段を構成することで、アナログ回路を用いて各手段を構成する場合に比べて、回路基板上の部品点数の増加を抑えることができる。
【0021】
そして、ヒータ保護制御手段としての内部処理の実行周期を、許容最大印加時間よりも短くなるよう定められた周期に設定することで、許容最大印加時間内に判定基準電圧以上の電圧を認識して電力供給を遮断状態にすることができ、ヒータへの供給電力が過剰となるのを防止できる。
【0022】
なお、内部処理の実行周期は、許容最大印加時間から、保護用印加電圧検出手段により検出された検出電圧値のA/D変換処理に要する変換所要時間や、保護用スイッチング手段を通電状態から遮断状態に駆動制御するのに要する駆動制御所要時間などを含む各種所要時間を差し引いた時間よりも短い時間に設定すると良い。
【0023】
よって、本発明(請求項2)のヒータ制御装置によれば、部品点数の増大を抑えて装置の大型化を抑制しつつ、過剰な電力供給によるヒータの破損を防止できるヒータ制御装置を実現することができる。
そして、上述(請求項1または請求項2)のヒータ制御装置は、請求項3に記載のように、通電制御手段が、電力供給手段によりヒータに印加される電圧値を制御基準電圧値とした場合において、ヒータへの印加電圧値のDUTY制御に用いる制御基準電圧値を設定するために、電力供給手段によりヒータに印加される電圧値を検出するDUTY制御用印加電圧検出手段と、ヒータへの電力供給経路を通電状態または遮断状態に切り換えるDUTY制御用スイッチング手段と、DUTY制御用印加電圧検出手段にて検出された印加電圧値により設定される制御基準電圧値に基づき、DUTY制御用スイッチング手段を用いてヒータへの印加電圧値をDUTY制御することで、感ガス体を加熱・維持するDUTY制御手段と、を備えて構成され、保護用スイッチング手段とDUTY制御用スイッチング手段とが、同一のスイッチング手段で構成されているとよい。
【0024】
つまり、通電制御手段が、DUTY制御用スイッチング手段を用いてヒータへの印加電圧値をDUTY制御するよう構成されている場合において、保護用スイッチング手段とDUTY制御用スイッチング手段とを、同一のスイッチング手段で構成するのである。そして、ヒータ保護制御手段およびDUTY制御手段が、ヒータへの電力供給経路を通電状態または遮断状態に切り換えるにあたり、同一のスイッチング手段を用いて電力供給経路の状態を切り換えるように、ヒータ制御装置を構成するのである。
【0025】
なお、この場合、ヒータ保護制御手段およびDUTY制御手段の双方が同時にスイッチング手段を通電状態に制御する制御指令を行う場合には、スイッチング手段を通電状態に制御し、ヒータ保護制御手段またはDUTY制御手段の少なくとも一方がスイッチング手段を遮断状態に制御する制御指令を行う場合には、スイッチング手段を遮断状態に制御するように、ヒータ制御装置を構成すると良い。例えば、ヒータ保護制御手段およびDUTY制御手段からの制御指令に基づいて、上記のようにスイッチング手段を制御する合成制御手段を備えると良い。
【0026】
これにより、保護用スイッチング手段とDUTY制御用スイッチング手段とをそれぞれ別個に備える場合に比べて、スイッチング手段の個数を削減することができる。
よって、本発明(請求項3)によれば、スイッチング手段の個数を削減することができるため、スイッチング手段の設置スペースを縮小できると共にヒータ制御装置の小型化を図ることができ、更に、コストの上昇を抑えることができる。
【0027】
また、上述(請求項3)のガス検出装置においては、請求項4に記載のように、保護用印加電圧検出手段とDUTY制御用印加電圧検出手段とが、同一の電圧検出手段で構成されているとよい。
つまり、通電制御手段が、検出した電圧値(電力供給手段によりヒータに印加される電圧値)に基づき制御基準電圧値を設定してヒータへの印加電圧値をDUTY制御するよう構成されている場合において、保護用印加電圧検出手段とDUTY制御用印加電圧検出手段とを、同一の電圧検出手段で構成するのである。そして、ヒータ保護制御手段およびDUTY制御手段が、同一の電圧検出手段を用いて、ヒータへの印加電圧値を検出するようにヒータ制御装置を構成するのである。
【0028】
これにより、保護用印加電圧検出手段とDUTY制御用印加電圧検出手段とを、それぞれ別個独立に備える場合に比べて、電圧検出手段の個数を削減することができる。
よって、本発明(請求項4)によれば、電圧検出手段の個数を削減することができるため、電圧検出手段の設置スペースを縮小できると共にヒータ制御装置の小型化を図ることができ、更に、コストの上昇を抑えることができる。
【0035】
次に、上記目的を達成するためになされた請求項5に記載の発明は、感ガス体を、目標温度に加熱・維持するためにヒータの通電制御を行うヒータ制御手段を備え、感ガス体から所定サイクル時間ごとに取得される検出信号の履歴データに基づき基準値を設定し、現在の検出信号と基準値とを用いて特定ガスの濃度変化を検出するガス検出装置であって、ヒータ制御手段が、請求項1から請求項4のいずれかに記載のヒータ制御装置で構成されていることを特徴とする。
【0036】
つまり、ヒータ制御手段を備えて構成されるガス検出装置においては、サージ電圧の発生によるヒータの破損を防止する必要があり、その際には、許容最大電圧を超える過大電圧の印加による破損や、許容最大電力を超える過剰な電力供給による破損を防止する必要がある。
【0037】
そのため、ヒータ制御手段を、上述(請求項1から請求項4のいずれか)のヒータ制御装置で構成することで、過大電圧の印加や過剰電力の供給によるヒータの破損を防止することができる。
また、ヒータ制御手段を、上述(請求項3または請求項4)のヒータ制御装置で構成することで、スイッチング手段や電圧検出手段の個数を削減でき、ガス検出装置の小型化やコスト上昇の抑制を図ることができる。
【0038】
また、請求項1に記載のヒータ制御装置を備えるガス検出装置は、ヒータへの通電停止期間が長くなり温度低下によって感ガス体の検出信号が変化する場合であっても、ヒータ制御装置から通知されるデータ初期化指令に基づいて、検出信号の変化が温度低下によるものであると判断することができる。そして、このガス検出装置は、ヒータ制御装置からデータ初期化指令が通知される場合には、感ガス体の温度低下に対応するための温度低下対応処理を実行することにより、検出信号の履歴データに基づくガス検出における検出精度の低下を防ぐことができる。なお、温度低下対応処理は、上述したように、蓄積されている履歴データを全て消去(初期化)して、感ガス体が活性化状態になった後に、再び履歴データの蓄積を開始する処理として実現することができる。
【0039】
よって、本発明(請求項5)のガス検出装置によれば、通電により発熱するヒータを通電制御するヒータ制御装置を備える場合に、許容最大電圧を超える過大電圧の印加による破損や、許容最大電力を超える過剰な電力供給による破損を防止することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例として、本発明が適用されたヒータ制御装置およびガス検出装置を備える車両用外気導入制御システムについて、図面と共に説明する。まず、図1に、本発明が適用されたヒータ制御装置およびガス検出装置に備えられる一体型ガスセンサ素子10の概略構成図を示す。図1に示すように、一体型ガスセンサ素子10は、還元性ガス用ガスセンサ素子2、酸化性ガス用ガスセンサ素子3およびヒータ4が、単一のセラミック基板1に形成されて構成されている。
【0041】
このうち、還元性ガス用ガスセンサ素子2(以下、単にG素子2ともいう)は、SnO2 を主成分とする酸化物半導体からなる抵抗体であり、主としてCO、HC(ハイドロカーボン)等の還元性ガスに反応してその抵抗値(以下、Gセンサ抵抗値Rgともいう)が変化する性質を有している。また、酸化性ガス用ガスセンサ素子3(以下、単にD素子3ともいう)は、WO3 を主成分とする酸化物半導体からなる抵抗体であり、主としてNOx等の酸化性ガスに反応してその抵抗値(以下、Dセンサ抵抗値Rdともいう)が変化する性質を有している。
【0042】
なお、G素子2およびD素子3は、常温ではガスに反応することはなく、活性化温度(例えば、約200〜400[℃]程度)以上になることで、それぞれ還元性ガスあるいは酸化性ガスに反応する活性化状態となる。そして、活性化状態となったG素子2は、還元性ガスの濃度の上昇に伴いGセンサ抵抗値Rgが低下する方向に変化することから、Gセンサ抵抗値Rgの変化に基づいて還元性ガスの濃度変化を検出することができる。また、活性化状態となったD素子3は、酸化性ガスの濃度の上昇に伴いDセンサ抵抗値Rdが上昇する方向に変化することから、Dセンサ抵抗値Rdの変化に基づいて酸化性ガスの濃度変化を検出することができる。
【0043】
また、ヒータ4は、セラミック基板1に形成された抵抗配線からなり、所定の電圧が印加されると発熱するよう構成されており、G素子2およびD素子3を活性化温度以上の目標温度に加熱・維持して活性化状態とするために備えられている。なお、ヒータ4は、少なくともG素子2およびD素子3が活性化温度以上まで加熱できるように、抵抗値などの特性が選択されて構成されている。
【0044】
そして、図1に示す一体型ガスセンサ素子10においては、D素子端子5が後述するマイクロコンピュータ101(図2参照)の第2AD変換入力端子103に接続され、G素子端子6が後述するマイクロコンピュータ101(図2参照)の第1AD変換入力端子102に接続され、ヒータ端子7が後述する電源装置191(図2参照)の正極に接続され、基準端子8が後述する電源装置191(図2参照)の負極と同電位のグランドに接続される。
【0045】
次に、図2に、本発明が適用されたヒータ制御装置130およびガス検出装置150を備える車両用外気導入制御システム100の構成を表す構成図を示す。なお、車両用外気導入制御システム100は、ガス検出装置150により外気中に含まれる酸化性ガス濃度および還元性ガス濃度の変化を検出し、その検出結果に基づいて外気導入用フラップ174(以下、単に、フラップ174ともいう)を開閉制御するものである。
【0046】
そして、車両用外気導入制御システム100は、定電圧(約12[V]。以下、バッテリ電圧VBともいう)を出力する電源装置191(以下、単にバッテリ191ともいう)と、マイクロコンピュータ101(以下、マイコン101ともいう)と、G素子2のGセンサ抵抗値Rgの変化に応じた電圧を出力するG素子回路110と、D素子3のDセンサ抵抗値Rdの変化に応じた電圧を出力するD素子回路120と、G素子2およびD素子3を活性化温度に加熱・維持するためのヒータ4と、ヒータ4の通電制御を行うヒータ回路131と、駆動電圧Vcc(5[V])を供給するレギュレータ回路140と、フラップ174を制御する電子制御アセンブリ160と、を備えて構成されている。
【0047】
なお、車両用外気導入制御システム100のうち、電源装置191、ヒータ回路131およびマイコン101がヒータ制御装置130を構成しており、また、電源装置191、G素子回路110、D素子回路120、ヒータ回路131およびマイコン101がガス検出装置150を構成している。
【0048】
電源装置191は、バッテリ電圧VBを出力する電圧出力部192と、アノードが電圧出力部192の負極と同電位のグランドに接続されると共にカソードが電圧出力部192の正極に接続されたツェナーダイオード193を備えて構成されており、出力可能な最大出力電圧が40[V]に制限されている。つまり、40[V]を超えるサージ電圧が、電源装置191から装置各部に至る電力供給経路に発生する場合には、ツェナーダイオード193がツェナー降伏して、電力供給経路の電圧値を40[V]以下に制限している。
【0049】
電子制御アセンブリ160は、自動車室内に繋がるダクト171に二股状に接続された内気取り入れ用ダクト172と外気取り入れ用ダクト173とを切り替えるフラップ174を制御するものである。なお、外気導入用フラップ174は、自動車に備えられる空調システムのうち車室内につながるダクト171に設けられており、車室内への送風の循環状態を外気導入あるいは内気循環に切り替えるために備えられている。
【0050】
また、電子制御アセンブリ160は、フラップ制御回路161と、アクチュエータ162を備えて構成されている。このうち、フラップ制御回路161は、マイコン101の出力端子106(OUT端子106)に接続されており、出力端子106からのアセンブリ制御信号(フラップ開閉信号Sf)に従いアクチュエータ162を駆動して、フラップ174を回動することで、内気取り入れ用ダクト172および外気取り入れ用ダクト173のいずれかをダクト171に接続する。なお、ダクト171の内部には、空気を車室内側に向けて圧送するファン175が備えられている。
【0051】
そして、例えば、フラップ174が、図2において実線で示すように、外気取り入れ用ダクト173を塞ぐ位置に配置されると、外気の室内への進入が阻止されてダクト171は内気取り入れ用ダクト172と連通して、車室内の空気を循環させる内気循環状態となる。反対に、フラップ174が、図2において破線で示すように、内気取り入れ用ダクト172を塞ぐ位置に配置されると、ダクト171は外気取り入れ用ダクト173と連通して、車室外の空気を車室内に取り入れる外気導入状態となる。
【0052】
次に、マイコン101は、詳細は図示しないが、公知の構成を有し、演算を行うマイクロプロセッサ、プログラムやデータを一時記憶するRAM、プログラムやデータを保持するROM、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路などを含んで構成されている。なお、A/D変換回路は、第1AD変換入力端子102、第2AD変換入力端子103、第3AD変換入力端子104から入力されるアナログ信号を、マイクロプロセッサなどで使用可能なデジタル信号に変換する。また、マイコン101は、ヒータ回路131に対してPWM信号を出力するPWM端子105を備えている。
【0053】
さらに、レギュレータ回路140は、レギュレータ141によって、バッテリ電圧VBの変動に拘わらず、常に一定の駆動電圧Vcc(5[V])を出力するよう構成されており、マイコン101、G素子回路110、D素子回路120等に対して駆動電圧Vccを出力することで、電力供給を行う。なお、マイコン101は、受電端子107(Vcc端子)にて駆動電圧Vccを受電する。
【0054】
また、G素子回路110は、G素子2と抵抗値Raの第1抵抗111とで駆動電圧Vccを抵抗分圧する回路であり、G素子2と第1抵抗111との分圧点(以下、動作点Pgともいう)が、マイコン101の第1AD変換入力端子102に接続されている。そして、動作点Pgの電位(以下、G素子電圧Vgともいう)は、Gセンサ抵抗値Rgの変化に応じて値が変化しており、具体的には、還元性ガス(CO、HCなど)の濃度が上昇すると、G素子電圧Vgは低下する。
【0055】
同様に、D素子回路120は、D素子3と抵抗値Rbの第2抵抗121とで駆動電圧Vccを抵抗分圧する回路であり、D素子3と第2抵抗121との分圧点(以下、動作点Pdともいう)が、マイコン101の第2AD変換入力端子103に接続されている。そして、動作点Pdの電位(以下、D素子電圧Vdともいう)は、Dセンサ抵抗値Rdの変化に応じて値が変化しており、具体的には、酸化性ガス(NOxなど)の濃度が上昇すると、D素子電圧Vdは上昇する。
【0056】
そして、マイコン101は、後述するガス検出処理を実行することで、第1AD変換入力端子102および第2AD変換入力端子103に入力されたG素子電圧VgおよびD素子電圧Vdの変化に応じて、還元性ガスや酸化性ガスの濃度変化を検出する。また、マイコン101は、還元性ガスや酸化性ガスの検出結果に基づき、フラップ開閉信号Sfを電子制御アセンブリ160に対して出力し、ダクト171の内部に備えられるフラップ174の切り替え制御処理を行う。
【0057】
また、ヒータ回路131は スイッチング回路132と、電圧検出回路180とを備えて構成されている。
このうち、電圧検出回路180は、バッテリ191からヒータ4への印加電圧値(換言すれば、バッテリ電圧VB)を抵抗181,182で4分の1に分圧し、その分圧した分圧バッテリ電圧VEをマイコン101の第3AD変換入力端子104に入力するよう構成されている。つまり、電圧検出回路180は、ヒータ4への印加電圧値を、マイコン101の第3AD変換入力端子104に入力可能な電圧レベルに変換して、マイコン101に対して出力するよう構成されている。
【0058】
また、スイッチング回路132は、マイコン101からのパルス指令信号Shに基づき、ヒータ4への電力供給経路を通電状態あるいは遮断状態に切り替え可能に構成されている。つまり、スイッチング回路132は、マイコン101からのパルス指令信号Shが抵抗134を通じてトランジスタ135のベースに入力されるよう構成されており、トランジスタ135は、パルス指令信号Shの状態に応じてオン状態(通電状態)またはオフ状態(遮断状態)に設定される。なお、抵抗136は、バイアス抵抗である。このようなトランジスタ135の状態変化により、抵抗137および抵抗138の接続点に接続するpチャネルMOSFET133のゲート電位が変化して、MOSFET133は、パルス指令信号Shの状態に応じてオン状態(通電状態)またはオフ状態(遮断状態)に設定される。
【0059】
つまり、スイッチング回路132は、マイコン101からのパルス指令信号Shに応じて、ヒータ4への通電・遮断を切り替えることで、ヒータ4への印加電圧値をDUTY制御するよう構成されている。
なお、パルス指令信号Shは、ヒータ4がG素子2およびD素子3を活性化温度以上の目標温度に加熱・維持するために必要な電力量に応じて設定されたDUTY比を有する信号である。また、DUTY比は、マイコン101の内部処理(後述するサージ検出処理)において設定されており、サージ検出処理では、検出したバッテリ電圧VBを制御基準電圧値とし、この制御基準電圧値からヒータ4に5[V]相当の電圧が印加されるようなDUTY比を算出し、そのDUTY比をパルス指令信号ShのDUTY比として設定する。
【0060】
次に、マイコン101において実行されるガス検出処理について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、マイコン101は、後述するサージ電圧検出処理も実行している。
また、マイコン101では、G素子2にて検出する還元性ガスのガス検出処理、およびD素子3にて検出する酸化性ガスのガス検出処理をそれぞれ実行しており、以下の説明では、G素子2にて検出する還元性ガスのガス検出処理について説明する。なお、D素子3にて検出する酸化性ガスのガス検出処理についても、基本的な処理内容は、還元性ガスのガス検出処理と同様である。
【0061】
そして、ガス検出処理は、車両用外気導入制御システム100が起動されると共に処理が開始され、車両用外気導入制御システム100が停止するまで処理を継続する。
ガス検出処理が開始されると、まず、S110(Sはステップを表す)では、RAM動作の初期化処理などを含むイニシャライズ処理を行う。
【0062】
次に、S120では、後述するサージ検出処理の割り込み実行を許可する割り込み許可フラグをセット状態に設定する処理を行う。なお、サージ検出処理は、割り込み許可フラグがセット状態の場合には、他の制御処理よりも優先して実行され、割り込み許可フラグがクリア状態の場合には、他の制御処理の実行中は実行されず、他の制御処理が終了して実行権利が与えられるまで待機する。
【0063】
続くS130では、ヒータ4による加熱によりG素子2およびD素子3が活性化状態になるまでのウォーミングアップ時間をカウントするウォーミングアップ処理を行う。つまり、車両用外気導入制御システム100の起動直後は、G素子2およびD素子3の温度は低く、安定して特定ガスの濃度に応じた抵抗変化を示すことができるようになるまでには時間がかかるため、所定のウェーミングアップ時間が経過するまでは測定を待機するのである。
【0064】
なお、ヒータ4への電力供給を制御する処理は、後述するサージ検出処理に含まれており、サージ検出処理は、車両用外気導入制御システム100が起動されると共に処理が開始される。
次のS140では、ガス検出処理において使用する各変数を初期化する処理を行う。具体的には、サージ検出フラグfc、検出信号であるセンサ出力値S(n)、基準値であるベース値B(n)にそれぞれ0を代入することで、各変数を初期化する。
【0065】
続くS150では、サージ検出フラグfcがセット状態(fc=1)であるか否かを判断しており、肯定判定されるとS140に移行し、否定判定されるとS160に移行する。なお、サージ検出フラグfcは、後述するサージ検出処理においてセット状態(fc=1)に設定されるフラグであり、具体的には、温度低下所要時間よりも長い期間にわたり継続してサージ電圧が発生した場合にセット状態(fc=1)に設定される。
【0066】
そして、S150で肯定判定されると再びS140に移行し、S140では、上述したように各変数を初期化する処理を行う。
また、S150で否定判定されてS160に移行すると、S160では、G素子回路110が出力するG素子電圧Vgに基づいて検出されるガス濃度をセンサ出力値S(n)として取得する処理を行う。このとき取得されるセンサ出力値S(n)は、ガス濃度が高濃度に変化するほど値が小さくなり、ガス濃度が低濃度に変化するほど値が大きくなる。
【0067】
なお、D素子3を用いて酸化性ガスを検出するガス検出処理においては、S160での処理として、D素子回路120が出力するD素子電圧Vdに基づいて検出されるガス濃度をセンサ出力値S(n)として取得する処理を行う。
続くS170では、直前のS160での処理が変数初期化後の初めてのセンサ出力値S(n)の取得であるか否かを判断し、肯定判定する場合にはS180に移行し、否定判定する場合にはS190に移行する。つまり、S170では、過去に取得したセンサ出力値S(n)の履歴データが1個である場合には肯定判定し、履歴データが2個以上である場合には否定判定する。
【0068】
そして、S170で肯定判定されてS180に移行すると、S180では、前回のベース値B(n)に現在のセンサ出力値S(n)の値を代入する(すなわち、B(1)=S(1)とする)。そして、このS180の処理後、S260に移行する。
【0069】
また、S170で否定判定されてS190に移行すると、S190では、濃度高信号が発生しているか否かを判断して、肯定判定する場合にはS210に移行し、否定判定する場合にはS200に移行する。なお、濃度高信号は、後述するS240またはS250において、発生状態あるいは停止状態のいずれかに設定される。
【0070】
そして、S190にて否定判定されてS200に移行すると、ベース値B(n)を次の数式[数1]に基づいて設定する。
【0071】
【数1】
【0072】
また、S190にて肯定判定されてS210に移行すると、ベース値B(n)を次の数式[数2]に基づいて設定する。
【0073】
【数2】
【0074】
ただし、[数1]および[数2]における係数k1および係数k2は、0<k1<1および0<k2<k1<1の関係を有する。
そして、S200またはS210での処理が終了すると、S220に移行し、S220では、ベース値B(n)からセンサ出力値S(n)を差し引いた差分値D(n)を算出する処理を実行する。なお、D素子3を用いて酸化性ガスを検出するガス検出処理においては、S220での処理として、センサ出力値S(n)からベース値B(n)を差し引いた差分値D(n)を算出する処理を実行する。
【0075】
続くS230では、S220で算出した差分値D(n)が閾値Tよりも大きいか否かを判断し、肯定判定する場合にはS240に移行し、否定判定する場合にはS250に移行する。なお、閾値Tは、用途や装置構成などの諸条件に応じた適切な値に設定すると良い。
【0076】
そして、S230にて肯定判定されて、S240に移行すると、S240では、濃度高信号を発生状態に設定する処理を行う。また、S230にて否定判定されて、S250に移行すると、濃度高信号を停止状態に設定する処理を行う。
S180、S240またはS250での処理が終わると、S260に移行し、S260では、今回の一連の処理で算出したベース値B(n)を記憶する処理を行う。記憶されたベース値B(n)は、次回の一連の処理において、前回のベース値B(n-1)として使用される。
【0077】
次のS270では、A/Dサンプリングタイムに達したか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS150に移行し、否定判定する場合には繰り返し処理を実行することで待機する。なお、本実施例では、S160におけるセンサ出力値S(n)の取得処理(サンプリング処理)が、所定サイクル時間毎に、より具体的には、400[mSec]周期で実行されるように、S270において判定するA/Dサンプリングタイムが設定されている。
【0078】
そして、S270にて肯定判定されると、再びS150に移行する。
このあと、サージ検出フラグfcがクリア状態(fc=0)である間は、S150からS270までの一連の処理が、400[mSec]周期で繰り返し実行される。また、サージ検出フラグfcがセット状態(fc=1)になると、S150で肯定判定されてS140での変数初期化処理が実行され、その後、S150からS270までの一連の処理が実行される。
【0079】
このように、ガス検出処理は、センサ出力値S(n)の履歴データに基づきベース値B(n)を設定(更新)して、センサ出力値S(n)とベース値B(n)との差分値D(n)が閾値Tよりも大きいか否かを判断することで、ガス濃度検出を行っている。
【0080】
なお、このガス検出処理では、ガス濃度検出に用いるベース値B(n)を、センサ出力値S(n)の履歴データに基づき設定していることから、G素子2またはD素子3の温度によりセンサ出力値S(n)が変化すると、ベース値B(n)が不適切な値に設定されることになる。例えば、サージ電圧の発生期間が長くなり、ヒータ4を保護するためにヒータ4への電力供給を強制的に停止する時間が長くなると、G素子2やD素子3の温度が低下してセンサ出力値S(n)が変化することがある。このような場合には、後述するサージ検出処理においてサージ検出フラグfcがセット状態(fc=1)に設定されるため、S150で肯定判定されて、S140にて各変数を初期化する処理を行う。このため、ベース値B(n)は、適正な値のセンサ出力値S(n)の履歴データに基づき再び設定されることになり、ガス検出の判定において誤判定されるのを防止することができる。
【0081】
また、このガス検出処理は、濃度高信号が発生状態であるか停止状態であるかによって、ベース値B(n)を更新するための数式を切り替えることで、ガス濃度検出の検出精度を向上させている。具体的には、濃度高信号が発生状態となる場合には、濃度高信号が停止状態となる場合に比べて係数の値が小さい数式[数2]を用いてベース値B(n)を緩慢に変化させている。なお、ガス濃度が低い状態の場合には、センサ出力値S(n)の単位時間あたりの変化は、外気温や湿度といった外乱の影響を受け易いのに対し、ガス濃度が高い状態の場合には、センサ出力値S(n)の単位時間あたりの変化は、外乱の影響よりも特定ガスによる影響の方が明らかに大きい。このことから、上述のようにベース値B(n)を更新することで、ガス濃度の状態に応じた適切なベース値B(n)を設定することができ、ガス検出の精度を高めることができる。
【0082】
次に、マイコン101において実行されるサージ検出処理について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。なお、サージ検出処理は、車両用外気導入制御システム100が起動された後、130[μSec]毎に周期的に繰り返し実行される。
【0083】
そして、サージ検出処理が開始されると、まず、S410では、電圧検出回路180から出力される分圧バッテリ電圧VEを取り込み、取り込んだ分圧バッテリ電圧VEと抵抗181,182の分圧比とに基づきヒータ4への印加電圧値であるバッテリ電圧VBを検出(算出)する処理を行う。
【0084】
次に、S420では、S410で検出したバッテリ電圧VBが、ヒータ4の定格電圧(5[V])に応じて設定された判定基準電圧(本実施例では、16[V])以上であるか否かを判断し、肯定判定する場合にはS450に移行し、否定判定する場合にはS430に移行する。つまり、S420では、検出したバッテリ電圧VBに基づいて、サージ電圧が発生したか否かを判断しており、サージ電圧が発生した場合(肯定判定の場合)にはS450に移行し、サージ電圧が発生していない場合(否定判定の場合)にはS430に移行する。
【0085】
なお、S420における判定基準電圧は、ヒータ4の定格電圧よりも高く、電源装置191の最大出力電圧以下の範囲内において、ヒータ4の種類や用途などに応じた値に設定すればよく、16[V]に限定されるものではない。
本実施例のヒータ4は、許容最大電圧が60[V]であるため、瞬時的であっても印加電圧が60[V]を超えると破損に至り、また、印加電圧が40[V]の場合における許容最大印加時間が500[μSec]であるため、印加電圧が40[V]の状態が500[μSec]を超えると破損に至る。
【0086】
そして、S420で否定判定されてS430に移行すると、ヒータの温度低下を判定するためのタイマのカウント値をリセットする処理を行う。具体的には、ローレベルをカウントするカウンタのカウント値を0に設定する処理を行う。
S430での処理の後、S440に移行すると、S440では、スイッチング回路132に対して、所定のDUTY比でハイレベルまたはローレベルを切り替えてパルス指令信号Shを出力し、所定のDUTY比でヒータ4への通電・遮断を切り替えることで、ヒータ4への印加電圧値をDUTY制御して、5[V]相当の電圧が印加されるように電力制御する処理を行う。具体的には、まず、S410で検出したバッテリ電圧VBを制御基準電圧値とし、この制御基準電圧値からヒータ4に5[V]相当の電圧が印加されるように、DUTY比を計算式またはマップを用いて算出し、そのDUTY比をパルス指令信号ShのDUTY比として設定する。そして、ハイレベル時間とローレベル時間との比率が、設定したDUTY比と等しくなるようにパルス指令信号Shを出力して、スイッチング回路132を駆動制御することで、ヒータ4への印加電圧値をDUTY制御する。
【0087】
一方、S420での処理において肯定判定されてS450に移行すると、パルス指令信号Shを強制的にローレベルに設定する処理を行う。つまり、パルス指令信号Shをローレベルに設定することで、スイッチング回路132によってヒータ4への電力供給経路を遮断状態に設定して、ヒータ4への電力供給を停止するのである。これにより、サージ電圧がヒータ4に印加されるのを防ぐことができる。
【0088】
次のS460では、ローレベルのカウント値をインクリメントするカウントアップ処理を行う。
続くS470では、ローレベルのカウント数が50回連続してカウントされたか否かを判断しており、肯定判定するとS480に移行し、否定判定すると本サージ検出処理を終了する。なお、S470では、ローレベルのカウント数が50回連続してカウントされたか否かを判断しているものであるが、本サージ検出処理は130[μsec]毎に繰り返される関係から、このS470は、パルス指令信号Shのローレベル状態が6500[μsec](=130[μsec]×50)連続して続いているかを判断していることと同等の処理を実行している。この6500[μsec]という時間が、特許請求の範囲に記載の温度低下所要時間に相当するものである。
【0089】
そして、S470にて肯定判定されてS480に移行すると、S480では、サージ検出フラグfcをセット状態(fc=1)に設定する。
S440での処理が終了するか、S470で肯定判定されるか、S480での処理が終了すると、本サージ検出処理は終了する。
【0090】
つまり、サージ検出処理は、ヒータ4への印加電圧値が判定基準電圧未満である場合にはDUTY制御によりヒータ4の通電制御を行い、サージ電圧が発生してヒータ4への印加電圧値が判定基準電圧以上である場合にはヒータ4への通電(電力供給)を停止する処理を行う。また、サージ検出処理は、ヒータ4への通電停止期間が温度低下所要時間よりも大きくなる場合には、サージ検出フラグfcをセット状態(fc=1)に設定することで、別途実行されているガス検出処理に対して、センサ出力値S(n)の変動が、ヒータ4への通電遮断によるG素子2またはD素子3の温度変化に起因するものであることを通知する。
【0091】
以上説明したように、本実施例の車両用外気導入制御システム100に備えられるヒータ制御装置130は、ヒータ4への印加電圧値(バッテリ電圧VB)が判定基準電圧以上になる場合に、スイッチング回路132を制御して、電源装置191からヒータ4に向かう電力供給経路を遮断状態に設定する。
【0092】
そして、ヒータ制御装置130は、ヒータ4に判定基準電圧以上の電圧が印加された時点から電力供給経路が遮断状態に設定されるまでの保護動作所要時間が500[μSec]未満となるように、A/D変換回路やスイッチング回路132などが選択されると共にサージ検出処理のステップ数や実行周期(130[μSec])が設定されて構成されている。
【0093】
なお、保護動作所要時間は、詳細には、ヒータ4への判定基準電圧以上の電圧の印加時点を起点として、電圧検出回路180およびサージ検出処理のS410による検出電圧(バッテリ電圧VB)に基づき、マイコン101(サージ検出処理)がスイッチング回路132を制御して、電力供給経路が遮断状態に設定されるまでの所要時間の最大時間である。
【0094】
そして、ヒータ制御装置130における保護動作所要時間の最短時間は、A/D変換回路における変換所要時間や、サージ検出処理において電圧検出からパルス指令信号Shのローレベル出力までに要する判定所要時間や、サージ検出処理によるパルス指令信号Shのローレベル出力からスイッチング回路132を遮断状態に駆動制御するまでの駆動制御所要時間などを合計した各種所要時間に略等しくなる。また、ヒータ制御装置130における保護動作所要時間の最長時間は、各種所要時間に対してサージ検出処理の実行周期を加算した合計時間に略等しくなる。
【0095】
このように、ヒータ制御装置130は、保護動作所要時間が500[μSec]未満に設定されており、ヒータ4への印加電圧値が40[V]以上となる期間がヒータ4の許容最大印加時間(500[μSec])を超える前に、電力供給経路を遮断状態に制御することができる。このため、ヒータ4への供給電力が、ヒータ4の許容最大電力を上回るのを防止でき、過剰な電力供給によるヒータ4の破損を防止できる。
【0096】
また、ヒータ制御装置130は、電源装置191の最大出力電圧(40[V])がツェナーダイオード193によりヒータ4の許容最大電圧(60[V])よりも低い電圧に制限されていることから、ヒータ4への印加電圧値が許容最大電圧を超えることによるヒータの破損が発生しないよう構成されている。
【0097】
よって、本実施例のヒータ制御装置130によれば、通電により発熱するヒータ4を通電制御するにあたり、許容最大電圧を上回る電圧印加によるヒータ4の破損を防止できると共に、許容最大電力を超える過剰な電力供給によるヒータ4の破損を防止することができる。
【0098】
なお、ヒータ制御装置130は、ヒータ4への印加電圧値が判定基準電圧以上となる場合に電力供給経路を遮断状態に設定するためのサージ検出処理を、マイコン101の内部処理として実行している。このように構成したヒータ制御装置130は、ヒータ4への印加電圧値が判定基準電圧以上となる場合に電力供給経路を遮断状態に設定するためのアナログ回路を備える構成に比べて、回路基板上の部品点数の増加を抑えることができる。
【0099】
そして、ヒータ制御装置130は、スイッチング回路132が、ヒータ4をDUTY制御するためのDUTY制御用スイッチング手段として機能すると共に、ヒータ4をサージ電圧から保護するための保護用スイッチング手段としても機能するよう構成されている。このため、保護用スイッチング手段とDUTY制御用スイッチング手段とをそれぞれ別個に備える場合に比べて、スイッチング手段の個数を削減することができることから、スイッチング手段の設置スペースを縮小できると共にヒータ制御装置の小型化を図ることができ、更に、コストの上昇を抑えることができる。
【0100】
また、ヒータ制御装置130は、電圧検出回路180が、ヒータ4への印加電圧がサージ電圧か否かを判定するためにヒータ4への印加電圧値を検出する保護用印加電圧検出手段として機能すると共に、ヒータ4への印加電圧値のDUTY制御に用いる制御基準電圧値を設定するために、ヒータ4への印加電圧値を検出するDUTY制御用印加電圧検出手段としても機能するよう構成されている。これにより、保護用印加電圧検出手段とDUTY制御用印加電圧検出手段とを、それぞれ別個独立に備える場合に比べて、電圧検出手段の個数を削減することができるため、電圧検出手段の設置スペースを縮小できると共にヒータ制御装置の小型化を図ることができ、更に、コストの上昇を抑えることができる。
【0101】
さらに、ヒータ制御装置130は、マイコン101で実行されるサージ検出処理において、ヒータ4への通電停止時間が温度低下所要時間よりも長くなる場合には、サージ検出フラグfcをセット状態(fc=1)に設定するよう構成されている。つまり、ヒータ制御装置130は、サージ検出フラグfcをセット状態に設定することで、ガス検出装置150(詳細には、ガス検出処理)に対して、G素子2およびD素子3の温度低下に起因して、G素子電圧VgおよびD素子電圧Vdが変動していることを通知している。
【0102】
そして、サージ検出フラグfcがセット状態に設定されると、ガス検出装置150のガス検出処理では、各変数を初期化する処理(S140)を行い、ベース値B(n)が不適切な値に設定されるのを防止して、ガス検出の検出精度が低下するのを防止している。そして、サージ電圧が終了し、ヒータ4への印加電圧値が適正な値になると、ガス検出処理では、再び、センサ出力値S(n)の履歴データに基づきベース値B(n)を設定(更新)して、センサ出力値S(n)とベース値B(n)との差分値D(n)が閾値Tよりも大きいか否かを判断することで、ガス検出を行う。
【0103】
なお、ガス検出処理では、サージ検出フラグfcがセット状態であることを検出(S150で肯定判定)すると、S140においてサージ検出フラグfcをクリア状態(fc=0)に設定する処理を行うが、サージ電圧が継続して発生している間は、サージ検出処理によって130[μSec]毎にサージ検出フラグfcがセット状態に設定される。そして、サージ検出処理によるサージ検出フラグfcの更新周期は、ガス検出処理でのS150からS270までの一連の処理の実行周期(400[mSec])よりも短いことから、サージ電圧が解消するまでは、ガス検出処理のS150の実行時には、サージ検出フラグfcはセット状態に設定されている。つまり、サージ電圧が解消してサージ検出フラグfcがクリア状態(fc=0)になるまでは、ガス検出処理において、センサ出力値S(n)の履歴データに基づくベース値B(n)の設定(更新)は行われない。このため、ベース値B(n)は、適正な値のセンサ出力値S(n)の履歴データに基づき設定されることになり、ガス検出の判定において誤判定がなされるのを防止できる。
【0104】
これらのことから、車両用外気導入制御システム100は、サージ電圧による各部の破損を抑えることができ、また、ガス検出精度の低下を抑制することができるため、適切なフラップ制御が可能となる。
なお、上記実施例においては、電源装置191が特許請求の範囲に記載の電力供給手段に相当し、電圧検出回路180,スイッチング回路132およびマイコン101で実行されるサージ検出処理におけるS410およびS440が通電制御手段に相当し、G素子2およびD素子3が感ガス体に相当し、電圧検出回路180が保護用印加電圧検出手段およびDUTY制御用印加電圧検出手段に相当し、スイッチング回路132が保護用スイッチング手段およびDUTY制御用スイッチング手段に相当する。
【0105】
また、マイコン101で実行されるサージ検出処理におけるS410〜S430、S450〜S480がヒータ保護制御手段に相当し、マイコン101で実行されるサージ検出処理におけるS410およびS440がDUTY制御手段に相当し、マイコン101で実行されるサージ検出処理におけるS420,S430,S460,S470が不活性化判定手段に相当し、マイコン101で実行されるサージ検出処理におけるS480がデータ初期化指令手段に相当する。
【0106】
さらに、サージ検出フラグfcは、データ初期化指令を通知するための前述のデータ初期化指令信号として用いられており、ガス検出処理におけるS140およびS150は、前述の温度低下対応処理として実行されている。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0107】
例えば、上記実施例では、ガス検出処理において、サージ検出フラグfcがセット状態であることを検出すると、各変数を初期化する処理を行うよう構成されているが、より長い期間にわたりヒータへの通電遮断状態が続いた場合には、S110から処理を再開するようにしてもよい。つまり、過度に長い期間にわたりヒータの通電が停止されると、感ガス体の温度が大幅に低下しており、ヒータへの通電再開直後からガス検出を行うことは困難となる場合がある。そのような場合には、車両用外気導入制御システム100の起動直後の状態と等しい状態になることから、ガス検出処理を最初のステップであるS110から再度実行することで、ガス検出に関する処理をイニシャライズを含めて再度実行すると良い。
【0108】
また、電圧検出回路180は、抵抗182に並列接続されるコンデンサを備えることで、バッテリ電圧VBの急峻な変動の影響を抑えて、バッテリ電圧VBを検出することが可能となる。
さらに、サージ電圧は、車両に配設される電力供給経路に限らず、車両以外の装置等に配設される電力供給線においても発生することがあり、車両以外の装置に備えられるヒータ制御装置においても、本発明を適用することができる。
【0109】
また、アナログ回路の設置スペースを大きく確保できるヒータ制御装置においては、上記のヒータ制御装置130におけるサージ検出処理に代えて、図5に示すヒータ保護制御回路201を備えてもよい。なお、図5は、ヒータ保護制御回路201、ヒータ4、スイッチング回路132、電圧検出回路180および電源装置191の接続状態を表す構成図であり、ヒータのDUTY制御処理を行うマイコン101については図示を省略している。
【0110】
ヒータ保護制御回路201は、エミッタがグランドに接地された制御用トランジスタ203と、出力端子が抵抗素子209を介して制御用トランジスタ203のベースに接続されたコンパレータ205と、を備えて構成されている。
制御用トランジスタ203は、コレクタがマイコン101のPWM端子105とトランジスタ135のベース(詳細には、抵抗134)との接続点に接続されており、コンパレータ205の出力信号がハイレベルとなると、オン状態(短絡状態)になることでトランジスタ135のベース電位を強制的にローレベルに設定する。なお、制御用トランジスタ203のベースとエミッタとを接続する抵抗素子207は、バイアス抵抗である。
【0111】
また、コンパレータ205は、反転入力端子(−)に駆動電圧Vccを抵抗素子211および抵抗素子213で分圧した判定基準用分圧電圧Vj(=1.6[V])が入力されており、非反転入力端子(+)に電圧検出回路180から出力される分圧バッテリ電圧VEが入力されている。
【0112】
なお、図5に示す電圧検出回路180は、バッテリ電圧VBを10分の1に低下させた分圧バッテリ電圧VEを出力するよう構成されている。
このため、コンパレータ205は、バッテリ電圧VBが判定基準電圧(16[V])以上になると(換言すれば、分圧バッテリ電圧VEが1.6[V]以上になると)、出力信号をハイレベルに設定して制御用トランジスタ203をオン状態に駆動制御し、トランジスタ135を強制的にオフ状態に設定する。
【0113】
このように構成されたヒータ保護制御回路201は、バッテリ電圧VBが16[V]以上になると、トランジスタ135を強制的にオフ状態に設定することで、マイコン101のPWM端子105からPWM信号が出力される場合であっても、ヒータ4への電力供給を強制的に停止する。
【0114】
なお、ヒータ保護制御回路201は、アナログ回路であり、バッテリ電圧VBの検出を一定周期毎ではなく常時継続して行うことから、ヒータ4に判定基準電圧(この実施例では、16[V])以上の電圧が印加された時点から電力供給経路が遮断状態に設定されるまでの保護動作所要時間が、上記のヒータ制御装置130よりも短くなる。
【0115】
したがって、ヒータ保護制御回路201を備えるヒータ制御装置は、ヒータ4への印加電圧が40[V]以上となる期間がヒータ4の許容最大印加時間(500[μSec])を超える前に、電力供給経路を遮断状態に制御できる。つまり、ヒータ保護制御回路201を備えるヒータ制御装置は、ヒータ4への供給電力が許容最大電力を上回るのを防止することで、過剰な電力供給によるヒータ4の破損を防止できる。また、ヒータ保護制御回路201を備えることで、マイコンにおいてサージ検出処理を行う必要が無くなるため、マイコンでの内部処理の処理負荷の上昇を抑制できるという利点がある。
【0116】
また、ヒータ制御装置130やヒータ保護制御回路201を備えるヒータ制御装置は、判定基準電圧が16[V]に設定されているが、判定基準電圧は、16[V]に限ることはなく、ヒータの種類や用途に応じて適切な値に設定すれば良く、例えば、25[V]や35[V]に設定してもよい。つまり、判定基準電圧は、ヒータの定格電圧よりも高い電圧範囲で、かつ、電力供給手段の最大出力電圧以下の電圧範囲において、ヒータの種類や用途などの諸条件に応じた任意の電圧値に設定することで、ヒータを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒータ制御装置およびガス検出装置に備えられる一体型ガスセンサ素子の概略構成図である。
【図2】 ヒータ制御装置およびガス検出装置を備える車両用外気導入制御システムの構成を表す構成図である。
【図3】 マイクロコンピュータ(マイコン)において実行されるガス検出処理の処理内容を表すフローチャートである。
【図4】 マイクロコンピュータ(マイコン)において実行されるサージ検出処理の処理内容を表すフローチャートである。
【図5】 ヒータ保護制御回路、ヒータ、スイッチング回路、電圧検出回路および電源装置の接続状態を表す構成図である。
【符号の説明】
2…還元性ガス用ガスセンサ素子(G素子)、3…酸化性ガス用ガスセンサ素子(D素子)4…ヒータ、10…一体型ガスセンサ素子、100…車両用外気導入制御システム、101…マイクロコンピュータ(マイコン)、110…G素子回路、120…D素子回路、130…ヒータ制御装置、131…ヒータ回路、132…スイッチング回路、150…ガス検出装置、180…電圧検出回路、191…電源装置(バッテリ)。
Claims (5)
- 通電により発熱するヒータに対して出力可能な最大出力電圧が前記ヒータの許容最大電圧よりも低い電圧に制限されて、前記ヒータに対して電力供給を行う電力供給手段と、
前記電力供給手段から前記ヒータに供給される電力量を制御することで前記ヒータの通電制御を行う通電制御手段と、を備え、
特定ガスを検出するための感ガス体を、目標温度に加熱・維持するように前記ヒータの通電制御を行うヒータ制御装置であって、
前記ヒータへの印加電圧値を検出する保護用印加電圧検出手段と、
前記ヒータへの電力供給経路を通電状態または遮断状態に切り換える保護用スイッチング手段と、
前記電力供給経路を遮断状態にするための判定に用いる判定基準電圧は、前記ヒータの定格電圧よりも高い電圧範囲で、かつ、前記電力供給手段の最大出力電圧以下の電圧範囲において定められており、
前記保護用印加電圧検出手段にて検出された前記ヒータへの印加電圧値が前記判定基準電圧以上になる場合において、前記判定基準電圧以上の電圧の前記ヒータへの印加時間が、前記最大出力電圧の印加時に前記ヒータが正常動作可能な最大時間である許容最大印加時間を超える前に、前記保護用スイッチング手段を用いて前記電力供給経路を遮断状態に制御するヒータ保護制御手段と、
を備えるヒータ制御装置であり、
前記感ガス体から所定サイクル時間ごとに取得される検出信号の履歴データに基づき基準値を設定し、現在の該検出信号と該基準値とを用いて前記特定ガスの濃度変化を検出するガス検出装置に備えられるヒータ制御装置であって、
前記ヒータ保護制御手段により前記ヒータへの電力供給経路が遮断状態となる通電遮断時間を計測し、通電遮断時に前記感ガス体が前記目標温度よりも低い温度まで低下するのに要する温度低下所要時間と前記通電遮断時間とを比較し、前記通電遮断時間が前記温度低下所要時間よりも長いか否かを判断する不活性化判定手段と、
前記不活性化判定手段により前記通電遮断時間が前記温度低下所要時間よりも長いと判断されると、前記ガス検出装置で用いられる前記検出信号の履歴データの初期化を指令するためのデータ初期化指令を、前記ガス検出装置に対して通知するデータ初期化指令手段を備えたこと、
を特徴とするヒータ制御装置。 - 前記ヒータ保護制御手段は、マイクロコンピュータにおいて周期的に実行される内部処理として備えられ、
当該内部処理は、前記許容最大印加時間よりも短くなるよう定められた周期で実行されること、
を特徴とする請求項1に記載のヒータ制御装置。 - 前記通電制御手段は、
前記電力供給手段により前記ヒータに印加される電圧値を制御基準電圧値とした場合において、前記ヒータへの印加電圧値のDUTY制御に用いる前記制御基準電圧値を設定するために、前記電力供給手段により前記ヒータに印加される電圧値を検出するDUTY制御用印加電圧検出手段と、
前記ヒータへの電力供給経路を通電状態または遮断状態に切り換えるDUTY制御用スイッチング手段と、
前記DUTY制御用印加電圧検出手段にて検出された前記印加電圧値により設定される前記制御基準電圧値に基づき、前記DUTY制御用スイッチング手段を用いて前記ヒータへの印加電圧値をDUTY制御することで、前記感ガス体を加熱・維持するDUTY制御手段と、を備えて構成され、
前記保護用スイッチング手段と前記DUTY制御用スイッチング手段とが、同一のスイッチング手段で構成されていること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒータ制御装置。 - 前記保護用印加電圧検出手段と前記DUTY制御用印加電圧検出手段とが、同一の電圧検出手段で構成されていること、
を特徴とする請求項3に記載のヒータ制御装置。 - 前記感ガス体を、目標温度に加熱・維持するために前記ヒータの通電制御を行うヒータ制御手段を備え、前記感ガス体から所定サイクル時間ごとに取得される検出信号の履歴データに基づき基準値を設定し、現在の該検出信号と該基準値とを用いて前記特定ガスの濃度変化を検出するガス検出装置であって、
前記ヒータ制御手段が、請求項1から請求項4のいずれかに記載のヒータ制御装置で構成されていること、
を特徴とするガス検出装置。
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