JP4095696B2 - 鳥類腸管リンパ組織への取込目的物搬送用の微粒子及び搬送方法 - Google Patents

鳥類腸管リンパ組織への取込目的物搬送用の微粒子及び搬送方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、鳥類の腸管リンパ組織に取込目的物を取り込ませるのに用いられる微粒子、及びその取込目的物を搬送させる方法に関し、例えば、免疫反応を喚起させる抗原を取込目的物として、これを鳥類に経口的に投与して腸管リンパ組織に効率よく取り込ませることができる微粒子と、その搬送方法に関する。
【0002】
【発明の背景および従来の技術】
一般に、病原体による感染症の疾病から生体を防御する目的で用いられるワクチンには弱毒生ワクチンと不活化ワクチンがあり、これらは、通常は注射によって生体に投与されている。
【0003】
しかし、注射法に依存する方法では、接種部位での炎症やワクチンの遺残、さらに投与の簡便性に欠けるなどの問題がある他、多頭羽飼育されているニワトリなどでは注射時の労力が大きな問題となっている。
【0004】
このような問題を解決するために、弱毒ワクチンを用いた経口投与型のものが開発されているが、これはニューカッスル病ワクチンなどの特殊なものに限定されており、またニワトリの不活化ワクチンで経口投与型のものは提案されていない。
【0005】
この経口投与型のワクチンは、リンパ組織が豊富に存在する腸管粘膜をワクチンの標的の場として捉えるものである。すなわち、多くの病原微生物の侵入門戸である粘膜面には、その侵入を阻止するための防御機構が備わっており、その機構の一つに粘膜面で産生され抗原に特異的に作用する分泌型IgAがあり、その誘導は微生物感染を予防する手段として利用される。粘膜面での局所性の免疫系は、全身性の免疫系とは独立して存在し、通常、不活化抗原の場合、全身性の免疫を誘導するために行われる筋肉内あるいは皮内接種はこの系には効果的でない。局所免疫の誘導には、粘膜面に存在するリンパ組織を抗原で直接、刺激することが必要なためである。
【0006】
ところで、不活化抗原を経口免疫の免疫原とし、生体の局所性の免疫系を動かすためには、通常、大量の抗原が必要とされる。これは経口投与された抗原が胃を通過する際に酸の作用を受けること、あるいは腸管管腔内に存在する酵素の作用を受けることによって抗原性が変性することが考えられるためであり、腸管に達し有効にリンパ組織の免疫系を刺激するのに必要な抗原量の確保が問題となることを意味する。
【0007】
以上のことからすれば、経口ワクチンの投与により消化管の免疫応答を惹起させる方法では、投与された抗原を変性させずに消化管部位に到達させること、腸管管腔内に到達した抗原を免疫担当細胞が存在するリンパ組織に効率よく取り込ませること、取り込んだ抗原によりリンパ組織を刺激すること、の各段階がそれぞれ重要であることがわかる。
【0008】
ところで、上述したような消化管免疫の誘導およびその問題を解析するための研究が哺乳類を対象としてなされており、その一つの方法として、酸および酵素による分解作用から抗原を保護できる素材を用いて微粒子(マイクロスフエアー(MS))化した搬送用担体(ビヒクル)を形成し、これにより抗原性を保持したまま腸管に抗原を到達させ、腸管管腔内からリンパ組織に取り込ませ、やがてビヒクルから放出された抗原によりリンパ組織を刺激するというメカニズムで、経口ワクチンを用いて免疫応答を惹起させることが試みられている(なお本明細書中で用いているマイクロスフェアー(MS)の用語は、固体の性状を示す粒子をいい、従ってISCOMやリポソームのような膜構造をもつものは含まない)。MSの経口ワクチンへの応用は、それらは哺乳類についての研究に係わるものであって、動物種が異なる鳥類について抗原をマイクロスフェアー(MS)化する素材を用いてビヒクルとし、これを経口投与することに関する報告はなく、従って効率よく腸管リンパ組織に取り込まれるMSの素材についてもニワトリでは不明である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
鳥類について抗原をマイクロスフェアー(MS)化し、経口投与して局所免疫の誘導を行う技術が未だ提案されていない理由は、鳥類における局所性の免疫応答は、哺乳類において認められている免疫応答と比べると、組織学的構造や免疫応答のメカニズムが違っているために哺乳類で報告されている知見がそのままあてはまらないためと考えられる。
【0010】
すなわち、哺乳類における腸管免疫の誘導組織はパイエル氏板であり、これを覆う上皮細胞間に存在するM細胞を介して腸管管腔内の抗原が取り込まれ、下部のリンパ組織を抗原刺激することから免疫応答が開始される。M細胞は10μm以下の粒子状物質を比較的効率よく取り込むという性質があることが報告されている(Eldridge,J.H. ら;J.Controlled Rel.,11,205〜214,1990)。
【0011】
これに対し鳥類では、例えば、腸管の主要なリンパ組織であるパイエル氏板が哺乳類と比較して未発達であるという大きな違いがあり、哺乳類で得られた知見がそのままあてはまらない。
【0012】
具体的には、哺乳類のウサギをモデルとした研究において、乳酸とグリコール酸の重合比(L/G比)が50:50、平均分子量2万のポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体を構成主剤としたマイクロスフェアー(MS)がパイエル氏板に取り込まれることが報告されている(Jepson,M.A.,ら:J.Drug Targeting,245〜249,1993)。また、同じ素材を用いてマウスで免疫応答が惹起されることが報告されている(Challacombe,S.J.ら: Immunology,76,164〜168,1992)。なおこのポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体(以下「PLGA」と略記する)は、生適合性であるとともに生体内分解性の性質を持つことから薬剤の搬送坦体(ビヒクル)素材として有力視されているものの一つである。
【0013】
しかし、鳥類において行ったポリスチレン・ラテックスMSを用いて行った粒子取り込みの確認試験では、哺乳類の場合と一部同様の知見、すなわち、腸管管腔内からリンパ組織への取り込まれかつその取り込み量は粒径の小さいほど良好であるという知見が得られたが、ウサギにおいてパイエル氏板への取り込みが確認されている重合比(L/G比)が50:50、平均分子量2万のPLGAで作製した粒子径5μm以下を主体とするMSを用いたニワトリの取り込み確認試験では、腸管のリンパ組織に殆ど取り込まれないことが知見されたのである。
【0014】
この確認試験の結果は、鳥類に関して腸管リンパ組織の免疫応答を刺激するための経口ワクチンの提案が未だないことの理由を示しているとも言える。
【0015】
本発明は、以上のような従来技術の実状の下で、鳥類における局所性の免疫応答を実現するために必要な微粒子の腸管リンパ組織への取り込みが可能な搬送用担体(ビヒクル)の提供を課題とするものである。
【0016】
また本発明は、上記課題の解決を通じて鳥類におけるMS化したビヒクルが取り込まれる免疫担当部位を明らかにするものでもある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する本願請求項1の発明の特徴は、分子量4万から12万のポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体(PLGA)を粒子の構成主剤として、鳥類腸管リンパ組織の取込目的物を含んで調製された微粒子であって、鳥類への経口投与により該取込目的物を腸管リンパ組織に取り込ませるために用いられるニワトリ等の鳥類の腸管リンパ組織への取込目的物搬送用の微粒子を提案するところにある。
【0018】
上記微粒子は、取込目的物を含んだ状態で平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm以下に形成されたものであることがよい。
【0019】
また本願請求項4の鳥類腸管リンパ組織への取込目的物の搬送方法の発明は、鳥類の腸管リンパ組織に取り込ませる取込目的物を、分子量4万から12万のポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体と混合して粒子化し、鳥類に経口投与することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
上記構成にいう取込目的物(被搬送物)は、鳥類、代表的にはニワトリの疾病に対してワクチンとなる物質、具体的には、不活化ワクチン,ペプチドワクチン,DNAワクチン等の抗原を挙げることができるが、これに限定されるものではない。さらに抗原と共にアジュバントなどを当該搬送用の微粒子に含有させることができる。
【0021】
なおここで「含む(含有)」というのは、消化器系を搬送される途中で酸等からの作用を受けて抗原等が変性しないように該抗原等の取込目的物を包接(被包)する状態とすることをいい、一般的には、上記PLGAと抗原等とを混合することによって含有の状態とさせることができる。
【0022】
本発明において上記構成が採用される理由は次のことによる。
【0023】
上記したように、ポリスチレン・ラテックス(PL)のMSを用いた哺乳類及び鳥類の腸管リンパ組織への取り込み試験では、取り込みが行われること、および、より小さい粒径のものほど取り込み数が多いことが確認されている一方で、重合比(L/G比)が50:50で平均分子量2万のポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体(PLGA)をMSの構成主剤として調製したMSは、哺乳類の場合には経口投与することで腸管リンパ組織に取り込まれるものの、鳥類においては腸管リンパ組織に取り込まれないことが上述の通り確認されている。
【0024】
しかし、本発明者が鳥類のMS化したビヒクルが取り込まれる免疫担当部位を明らかにする研究を進めた過程において、常識的には上記ポリスチレン・ラテックス(PL)の取り込みで知見されている事実とは相反する実に驚くべき事実を知見した。
【0025】
すなわち、分子量が4万〜12万のPLGAを用いて作製した本発明のマイクロスフェアー(MS)は、粒子径が5μm以上のものが多く含まれているため、粒子径が5μm以下を主体とした分子量2万のPLGAで作製したMSでさえ取り込まれず、またポリスチレン・ラテックス(PL)でみられる小さなMSの取り込み性がよりよいという知見からして、全く取り込まれないと予想されたにもかかわらず、驚くべきことに、分子量2万のPLGAを構成主剤とした小さな粒径主体のMSでは認められない優れた取り込み性を示すことが知見されたのである。
【0026】
このような予想に反した特定分子量のPLGA主剤のMSの取り込みが現れる理由は、免疫応答部位である腸管リンパ組織が哺乳類と鳥類という動物種により異なることや、M細胞を含めたパイエル氏板の組織構造学的な違い、あるいは搬送用担体(ビヒクル)としてのMSの構成主剤であるPLGAの疎水性の度合等に関連する乳酸とポリグリコール酸の重合比及び分子量の違いなどが考えられるが必ずしも明らかではない。
【0027】
【実施例】
以下に、参考例、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明をする。
【0028】
参考例1
(ニワトリの腸管における取込み部位の検討)
ウサギあるいは齧歯類で詳細に検討されている微粒子(MS)の腸管リンパ組織への取り込み、あるいはその性状はニワトリでは不明な部分が多い。そこで、ポリスチレン・ラテックスMSを用いて、ニワトリの腸管のどの部位のリンパ組織に取り込まれるかの確認試験を行った。
【0029】
すなわち、蛍光物質であるFITCを含有したポリスチレン・ラテツクス(PL)のMS(粒子径0.75μm,2.0μm,4.5μmの3種:ポリサイエンス社製)を用いて、ニワトリ腸管リンパ組織への取り込み試験を次のようにして行った。
【0030】
上記MSをリン酸緩衝食塩水に懸濁し、ゾンデを用いて3回連日食道内に投与し、最終投与後2日目に各部腸管を採取し、O.C.T.コンパウンドに包埋後急速凍結し、作製した凍結切片を蛍光顕微鏡で観察して蛍光を発する粒子の所在を見ることで取り込みを判定した。1回の投与に用いたMSの量は12.5mgとした。
【0031】
検索した腸管の部位は0.75μmPLのMS投与群については、下行および上行十二指腸中央部、空腸開始部、空腸開始部とメッケル憩室の中間部、メッケル憩室、メッケル憩室近傍の空腸、メッケル憩室と回腸開始部の中間部、回腸開始部、回腸開始部とパイエル氏板の中間部、パイエル氏板、パイエル氏板と回盲部の中間部、回腸終末部、盲腸扁桃、盲腸末端部、直腸中央部、ファブリキウス嚢の以上l6箇所である。その他のMSを投与した群については、0.75μmPLのMSの取り込みの効率の良かつた部位について検索した。結果を下記表1に示した。なお、取り込み効率の評価は、切片を作製してリンパ組織に取り込まれた粒子数をカウントし、10切片の合計粒子数によって行った(以下において同じ)。
【0032】
【表1】
Figure 0004095696
【0033】
0.75μmPLのMSを3回連日投与しその2日後の腸管各部でのMSの取り込みを観察したところ、哺乳類で報告されているように、ニワトリにおいてもパイエル氏板での取り込みが認められたが、観察されたMSの分布の様子は哺乳類のものとは少し異なっていた。すなわち、哺乳類での報告では、MSは管腔側の粘膜固有層であるドーム領域、あるいは体腔側に分布するというものに対し、ニワトリのパイエル氏板においては粘膜固有層に散在する他、一部リンパ濾胞への集簇像も認められた。そして、この部位でのMSの分布はパイエル氏板に限局され、リンパ組織のない腸絨毛の粘膜には見られなかった。パイエル氏板以外でのMSの取り込みがみられたのは、メッケル憩室およびその近傍の空腸、あるいは空腸開始部とメッケル憩室の中間部であるが、その頻度はパイエル氏板よりも低いものであった。ファブリキウス嚢を含めたその他の検索した部位での取り込みは認められないか、極めて少ないものであった。特に、リンパ組織の非常に発達した盲腸扁桃および盲腸末端部では管腔にMSが存在するにも拘わらず、パイエル氏板で見られたような取り込みはなかった。
【0034】
2.0μmあるいは4.5μmPLのMSについても同様に投与し、パイエル氏板での取り込みの有無を観察した。これらのMSにおいてもパイエル氏板への取り込みは確認されたが、0.75μmのPLのMSよりも頻度は低く、また粒子径が増すほど取り込み頻度が低くなる傾向がみられた(表1参照)。
【0035】
実施例及び比較例
ニワトリにおけるPLのMSが取り込まれる腸管リンパ組織の部位をふまえて、PLGAを構成主剤として作製したMSのパイエル氏板における取り込み試験を行った。すなわち、広範囲の分子量を網羅する3種類のポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体(PLGA)を構成主剤とし、蛍光色素を含有したMSを以下のようにして作製し、ニワトリの腸管リンパ組織の取り込み試験を行った。
【0036】
(PLGAによるMSの作製)
MSの作製に用いたPLGAは、重合比(L/G比)が50:50で平均分子量20000(以下「PLGA20」という:和光純薬工業社製)の比較例、平均分子量60100(40000〜75000,以下「PLGA60」という:シグマ社製)の実施例1、及びL/G比が75:25で平均分子量99800(75000〜120000,以下「PLGAl00」という:シグマ社製)の実施例2の3種である。
【0037】
蛍光物質であるクマリン6(アクロス社製)を上記3種のPLGAに含有させてMSを液中乾燥法により作製した。
【0038】
すなわち、PLGAおよびクマリン6をジクロロメタンに溶かし、これを13000rpmで攪拌しているポリビニルアルコール中に滴下して粒子形成を行い(4℃,5分間)、その後、スターラーでゆっくり攪拌し、ジクロロメタンを液中で揮発させて固化させた(室温で一昼夜)。形成された粒子は遠心操作により回収し、蒸留水で洗浄後、凍結乾燥を行い試験に用いた。作製されたMSの粒子径は、比較例のMS(PLGA20)は5μm前後以下、実施例1(PLGA60)のMSおよび実施例2(PLGAl00)のMSは15μm前後ないしそれ以下が主体であった。
【0039】
なお、作製方法は本例の方法に限定されず、例えば相分離法あるいはスプレードライ法などの他の方法によっても良い。
【0040】
(MSの経口投与試験)
ニワトリヘの経口投与は、各例のMS50mgを1日間隔2回行い、その2日後の腸管を採材した。観察は、ポリスチレン・ラテックス(PL)のMS取り込みの見られたパイエル氏板について行った。結果を下記表2に示した。
【0041】
【表2】
Figure 0004095696
【0042】
この表2に示されるように、調べた3例のPLGAのMS全てについて同じような取り込みがみられるものではなかった。とくにPLGA20で作製した比較例のMSは、5μm前後以下の粒子径であってPLのMSの取り込み成績から考えてパイエル氏板への取り込み粒子の大きさに問題がないにも拘わらず、パイエル氏板への取り込みは極めて効率が悪かった。なお、このPLGA20のMSはウサギのパイエル氏板では取り込まれることが報告されているものであり、このことは、パイエル氏板への取り込みは動物種により異なること示すものであると考えられる。
【0043】
上記のように比較例(PLGA20)のMSが取り込まれなかったのに対し、実施例1(PLGA60)のMS、あるいは実施例2(PLGAl00)のMSでは、ニワトリ・パイエル氏板への取り込みがみられ、PLのMSでみられたのと同様に、粘膜固有層に散在するとともにリンパ濾胞に集簇する像も認められた。
【0044】
以上の結果から、PLGAには種々の分子量のものがあり叙放性に影響を与えることが知られているが、叙放性ばかりでなく腸管リンパ組織への取り込みにも大きく影響を与えることが示された。すなわち、ウサギのパイエル氏板への取り込みが報告されているPLGA20では、ニワトリのパイエル氏板への取り込み効率は極めて悪く、従って、これを素材としたMSでの経口ワクチンは、ニワトリなどの鳥類には不適当であると考えられるが、他方、分子量40000以上のPLGA60あるいはPLGAl00で作製したMSは、ニワトリ・パイエル氏板リンパ組織への取り込みが確認された。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば鳥類における腸管リンパ組織の局所性の免疫応答を実現する抗原等の取込目的物を、腸管の免疫担当細胞に取り込み可能とした搬送用微粒子、及び該取込目的物を搬送する方法を提供することができ、ニワトリ等の鳥類用経口ワクチンの開発等に有効である。

Claims (4)

  1. 分子量4万から12万のポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体を粒子の構成主剤として、鳥類腸管リンパ組織の取込目的物を含んで調製された微粒子であって、鳥類への経口投与により該取込目的物を腸管リンパ組織に取り込ませるために用いられる鳥類腸管リンパ組織への取込目的物搬送用の微粒子。
  2. 微粒子が、取込目的物を含んだ状態で平均粒子径が10μm以下に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の鳥類腸管リンパ組織への取込目的物搬送用の微粒子。
  3. 鳥類がニワトリであることを特徴とする請求項1又は2に記載の鳥類腸管リンパ組織への取込目的物搬送用の微粒子。
  4. 鳥類の腸管リンパ組織に取り込ませる取込目的物を分子量4万から12万のポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体と混合して粒子化したものを、鳥類に経口投与することを特徴とする鳥類腸管リンパ組織への取込目的物の搬送方法。
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