JP4092330B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明はアンテナ装置に関する。
特許文献1に記載されたアンテナ装置では、有限地板に設置されたアンテナの一部がスイッチを介して有限地板に接続されている。スイッチが理想的な無損失のスイッチである場合には、特許文献1に記載された装置は、共振周波数を変更することができる。
しかし、実際には、無損失のスイッチというものは存在せず、スイッチはオフ状態であっても或る抵抗成分を有する。従って、実際のアンテナ装置にスイッチを用いた場合、電力損失が発生する。特許文献1に記載された装置は、スイッチによって共振周波数を切り替えることができるが、実際のスイッチでは、大きな損失が発生するために効率が劣化してしまう。
一方、電流の流れが小さい位置にスイッチを配備すると、電力損失を低下させることはできる。しかし、アンテナの電流分布が変化しないために共振周波数を切り替えることができなくなってしまう。
特開2001−136019号公報
そこで、共振周波数または放射パターンを切替えるために実際のスイッチを用い、尚且つ、電力損失が従来よりも小さいアンテナ装置を提供する。
本発明に係る実施形態に従ったアンテナ装置は、導体からなる有限地板と、前記有限地板上に設けられた給電点と、一端が前記給電点に接続され、他端が前記有限地板に対して電気的に開放された第1の線状導体と、一端が前記第1の線状導体のうちの前記給電点近傍、あるいは、該給電点に接続され、前記第1の線状導体の2倍の長さを有する第2の線状導体と、前記第2の線状導体の他端と前記有限地板との間に設けられたスイッチとを備えている。
本発明に係る他の実施形態に従ったアンテナ装置は、導体からなる有限地板と、前記有限地板上に設けられた給電点と、一端が前記給電点に接続され、他端が前記有限地板に対して電気的に短絡された第1の線状導体と、一端が前記第1の線状導体のうち前記給電点近傍、あるいは、該給電点に接続され、前記第1の線状導体と同程度の長さを有する第2の線状導体と、前記第2の線状導体の他端と前記有限地板との間に設けられた第1のスイッチとを備えている。
本発明に係るさらに他の実施形態に従ったアンテナ装置は、導体からなる有限地板と、前記有限地板上に設けられた給電点と、一端が前記給電点に接続され、他端が前記有限地板に対して電気的に開放された第1の線状導体と、一端が前記第1の線状導体のうちの前記給電点近傍、あるいは、該給電点に接続され、前記第1の線状導体を含む平面において該第1の線状導体を取り囲むように成形されている第2の線状導体と、前記第2の線状導体の他端と前記有限地板との間に設けられたスイッチとを備えている。
本発明に係るさらに他の実施形態に従ったアンテナ装置は、導体からなる有限地板と、前記有限地板上に設けられた給電点と、一端が前記給電点に接続され、他端が前記有限地板に対して電気的に短絡された第1の線状導体と、一端が前記第1の線状導体のうち前記給電点近傍、あるいは、該給電点に接続され、前記第1の線状導体を含む平面において該第1の線状導体を取り囲むように成形されている第2の線状導体と、前記第2の線状導体の他端と前記有限地板との間に設けられた第1のスイッチとを備えている。
本発明によるアンテナ装置は、共振周波数および放射パターンを切替えるために実際のスイッチを用い、尚且つ、電力損失を従来よりも小さくすることができる。
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る第1の実施形態に従ったアンテナ装置100のアンテナ部分の概略的な斜視図である。アンテナ装置100は、有限地板10と、第1の線状導体21と、第2の線状導体22と、スイッチ30とを備えている。第1の線状導体21は、一端が有限地板10上の給電点40に接続され、他端が有限地板10に対して電気的に開放されている。第2の線状導体22の一端は、給電点40の近傍にある第1の線状導体21のノードNに接続されている。この第2の線状導体22の一端は、給電点40に直接接続されていてもよい。第2の線状導体22は、第1の線状導体21の約2倍の長さを有する。第1の線状導体21および第2の線状導体22がアンテナとして機能する。
スイッチ30は、第2の線状導体22の他端と有限地板10との間に設けられている。スイッチ30は、オンすることによって第2の線状導体22の他端を有限地板10に電気的に短絡させ、また、オフすることによって第2の線状導体22の他端を有限地板10から電気的に開放する。
理想的なスイッチ30を用いた場合、スイッチ30がオフ状態であるときの第2の線状導体22の長さLoffは、スイッチ30がオン状態であるときの第2の線状導体22の長さLonと幾分異なる。即ち、長さLoffは、ノードNからスイッチ30までの第2の線状導体22の長さとなり、長さLonは、ノードNからスイッチ30を介して有限地板10までの第2の線状導体22の長さとなる。しかし、実際のスイッチ30は、オフ状態であっても或る抵抗成分を有する。よって、実際のスイッチ30を用いた場合、長さLoffは長さLonと等しくなる。この長さは、ノードNからスイッチ30を介して有限地板10までの第2の線状導体22の長さとなる。
有限地板10は導体の平板である。スイッチ30は、PINダイオード、MESFET等を用いた高周波スイッチである。スイッチ30は、理想的には高周波信号の遮断/通過を切り替え、電力損失の無いスイッチである。しかし、実際には、スイッチ30は、電力損失を生じる抵抗成分を有する。
次に、アンテナ装置100の動作について説明する。
[スイッチ30の開放時]
電気影像の影響により、第1の線状導体21には、第1の線状導体21の長さを約1/4波長とする周波数fの信号が共振する。即ち、周波数fの信号の波長をλとすると、第1の線状導体21の長さは、約λ/4となる。このとき、給電点40からみた第1の線状導体21のインピーダンスは低く、大きな電流が第1の線状導体21へ流れる。
一方、第2の線状導体22の長さは、第1の線状導体21の約2倍の長さ、即ち、約λ/2となる。スイッチ30が開放されているので、第2の線状導体22の両端は、周波数fの信号に対して高周波的に開放状態となる。これにより、給電点40からみた第2の線状導体22のインピーダンスは第1の線状導体21のインピーダンスよりも非常に大きくなる。さらに、第2の線状導体22は、給電点40の近傍または給電点40において第1の線状導体21から分岐している。従って、給電点40からの電流の大半は、第1の線状導体21へ流れ、第2の線状導体22には流れない。
実際のスイッチ30は或る程度の電力損失を有する。よって、スイッチ30が開放状態(オフ状態)であるとき、スイッチ30は高抵抗素子として作用する。しかし、第2の線状導体22は、λ/2の長さを有し、尚且つ、第1の線状導体21の給電点近傍あるいは給電点40に直接接続されている。これにより、第2の線状導体22にとって、給電点40は電流の節に該当する。その結果、スイッチ30が第2の線状導体22を有限地板10から完全に開放していない場合であっても、電流は、ほとんど第2の線状導体22へ流れない。その結果、スイッチ30を流れる電流は非常に小さくなるので、スイッチ30での電力損失が小さく、アンテナ装置100の効率の劣化が抑制される。
[スイッチ30の短絡時]
スイッチ30が短絡状態(オン状態)である場合には、第2の線状導体22の終端が有限地板10へ接続される。これにより、電流は、第1の線状導体21および第2の線状導体22の両方に流れる。その結果、周波数λの信号は、第1の線状導体21および第2の線状導体22の両方において共振するので、電波の放射パターンが変化する。
例えば、第1の線状導体21はモノポールアンテナである。スイッチ30が開放されていたときには、周波数λの信号は、モノポールアンテナである第1の線状導体21のみに共振するので、電波は無指向性(Omnidirectional)となる。一方で、スイッチ30が短絡されたときには、周波数λの信号は、第1の線状導体21および第2の線状導体22の両方に共振する。これにより、第1の線状導体21からの電波と第2の線状導体22からの電波とが干渉し、電波は指向性(Directional)を有し得る。このように、本実施形態は、電力損失が小さく、スイッチ30の切換えによって、電波の放射パターンを変更することができる。
(第2の実施形態)
図2は、本発明に係る第2の実施形態に従ったアンテナ装置200のアンテナ部分の概略的な斜視図である。第1の線状導体21は、給電点40に接続された一端とは反対側の他端が有限地板10に対して電気的に短絡されている。第1の線状導体21の長さは、周波数fの電波に共振するようにλ/2に等しい。即ち、第1の線状導体21の長さは、第2の線状導体22の長さと同じくλ/2である。第2の実施形態の他の構成は、第1の実施形態と同様でよい。第2の線状導体22は、図2に示すように方形の形状を有する。
次に、アンテナ装置200の動作を説明する。
[スイッチ30の開放時]
第1の線状導体21には、周波数fの電波が共振する。このとき、給電点40からみた第1の線状導体21のインピーダンスは低く、大きな電流が第1の線状導体21へ流れる。
一方、スイッチ30が開放されているので、λ/2の長さを有する第2の線状導体22の両端は、周波数fの信号に対して高周波的に開放状態となる。これにより、第1の実施形態で説明したように、給電点40からみた第2の線状導体22のインピーダンスは、第1の線状導体21のインピーダンスに比べて非常に大きくなる。従って、給電点40からの電流のほとんどは、第1の線状導体21に流れ、第2の線状導体22には流れない。その結果、スイッチ30での電力損失が小さくなり、アンテナ装置100の効率の劣化が抑制される。
[スイッチ30の短絡時]
スイッチ30が短絡すると、第2の線状導体22の他端が有限地板10へ接続される。これにより、電流は、第1の線状導体21および第2の線状導体22の両方に流れる。その結果、周波数λの信号は、第1の線状導体21および第2の線状導体22の両方において共振するので、電波の放射パターンが変化する。その結果、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を有する。
また、第2の実施形態では、第1および第2の線状導体21および22の他端はともに有限地板10に短絡されている。よって、第1および第2の線状導体21および22が有限地板10からほぼ同じの高さで実装される場合には、共振周波数fの電波の入力インピーダンスは、第1の線状導体21と第2の線状導体22とについてほぼ同じになる。よって、第2の実施形態は、2つの線状導体21および22のインピーダンスを整合させやすいという利点を有する。
(第3の実施形態)
図3は、本発明に係る第3の実施形態に従ったアンテナ装置300のアンテナ部分の概略的な斜視図である。第2の線状導体22は、第1の線状導体21が延伸する平面において第1の線状導体21を取り囲むように成形されている。第3の実施形態の他の構成は、第1の実施形態と同様でよい。
第2の線状導体22は、第1の導体部分C1、第2の導体部分C2、第3の導体部分C3、および、第4の導体部分C4からなる方形の形状をした線状導体である。第1の導体部分C1は、第1の線状導体21または給電点40から離れる方向へ延伸する。第2の導体部分C2は、第1の導体部分C1の先端から、有限地板10から離れる方向へ第1の線状導体21に対して平行に延伸する。第3の導体部分C3は、第2の導体部分C2の先端から、第1の線状導体21の上を亘って第1の導体部分C1に対して平行に延伸する。第4の導体部分は、第3の導体部分C3の先端から、有限地板10に向かう方向へ第1の線状導体C1に対して平行に延伸し、スイッチ30を介して有限地板10に接続されている。
第1の線状導体21から第2の導体部分C2までの距離および第1の線状導体21から第4の導体部分C4までの距離は、λ/10〜λ/100の範囲である。よって、実際には、第1の導体部分C1および第3の導体部分C3は、第2の導体部分C2および第4の導体部分C4に比較して非常に短く、第2の線状導体22の長さは、第1の線状導体21の長さの2倍に近い。ここで、第2の線状導体22の長さは、λ/2から僅かにずれたλ’/2(λ’=λ±Δλ)とする。波長λ’の電波の周波数f’は、f’=f±Δfである。波長λの電波の周波数はfである。例えば、ΔλおよびΔfは、それぞれλおよびfの20%以下である。
次に、アンテナ装置300の動作を説明する。
[スイッチ30の開放時]
スイッチ30の開放時には、第1の線状導体21の長さをλ/4とする周波数fの信号が共振する。このとき、給電点40からみた第1の線状導体21のインピーダンスは低く、大きな電流が第1の線状導体21へ流れる。
一方、第2の線状導体22の長さλ’/2は第1の線状導体21の長さの2倍(λ/2)に近いが、λ/2から多少ずれている。この場合、第2の線状導体22は、高周波的には完全に開放状態にならないため、電流は、第2の線状導体22内を給電点40からスイッチ30へ流れようとする。この電流を電流I1とする。
しかし、第2の線状導体22の大半を占める第2の導体部分C2および第4の導体部分C4が、第1の線状導体21の近傍を平行に延びている。これにより、第2の導体部分C2および第4の導体部分C4は、インダクタンスのように作用し、第1の線状導体21に流れる電流と反対方向へ電流を流そうとする。即ち、第1の線状導体21内では、電流I0は有限地板10から離れる方向へ流れるので、第2の導体部分C2および第4の導体部分C4内では、電流は限地板10に向かう方向へ流れようとする。この電流をI2とする。
電流I1およびI2は、第4の導体部分C4内で互いに逆方向に流れようとする。これにより、第2の線状導体22の長さがλ/2から多少ずれたλ’/2であったとしても、第2の線状導体22にはほとんど電流が流れない。その結果、スイッチ30の低電力損失は保たれ、アンテナ装置300の高効率が維持され得る。
[スイッチ30の短絡時]
スイッチ30が短絡すると、周波数fの電波は第1の線状導体21に共振し、周波数f’の電波は第2の線状導体22に共振する。即ち、アンテナ装置300は、周波数fの電波および周波数f’の電波の両方を高効率で送受信することができる。
また、Δfは、20%以下と僅かであるため、周波数fの電波が第1の線状導体21に共振しているとき、電流は、第2の線状導体22にも多く流れる。従って、スイッチ30が開放状態のときと比較して、電流分布が変化する。その結果、スイッチ30の切換えによって、周波数fの電波の放射パターンが変化する。
このように、第3の実施形態は、スイッチ30の切換えによって、共振周波数および放射パターンを同時に切り替えることができる。また、第2の線状導体22の長さがλ/2からずれているものの、スイッチ30の開放時には、上述のとおり、第2の線状導体22に流れる電流は抑制されるので、電力損失が小さい。即ち、第3の実施形態は、高効率で共振周波数および放射パターンを同時に切り替えることができる。
また、第3の実施形態の構成は、第1の実施形態の構成に比べ、第2の線状導体22の長さの変化に対するスイッチ30の電力損失の増加率が小さい。従って、第3の実施形態では、第2の線状導体22の長さがλ/2から多少ずれていたとしても、電力損失を比較的小さくすることができる。
(第4の実施形態)
図4は、本発明に係る第4の実施形態に従ったアンテナ装置400のアンテナ部分の概略的な斜視図である。第4の実施形態による第1の線状導体21は、第2の実施形態のそれと同様の構成を有する。第4の実施形態による第2の線状導体22は、第3の実施形態のそれと同様の構成を有する。
よって、第1の線状導体21の先端は、有限地板10に短絡している。第2の線状導体22は、第1の線状導体21が延伸する平面において第1の線状導体21を取り囲むように成形されている。また、第2の線状導体22は、第3の実施形態と同様に、第1の導体部分C1から第4の導体部分C4を含む。第1の線状導体21および第2の線状導体22は、ともに方形の形状を有する。
第1の導体部分C1は、第1の線状導体21または給電点40から離れる方向へ延伸する。第2の導体部分C2、第3の導体部分C3および第4の導体部分は、第1の線状導体21からλ/10〜λ/100の距離を保持しつつ、第1の線状導体21と平行に延伸している。
第3の実施形態と同様に、実際には、第1の導体部分C1および第3の導体部分C3は、第2の導体部分C2および第4の導体部分C4に比較して非常に短い。よって、第2の線状導体22の長さは、第1の線状導体21の長さの2倍に近いが、多少ずれている。そこで、第2の線状導体22の長さを、λ/2から僅かにずれたλ’/2(λ’=λ±Δλ)とする。
次に、アンテナ装置400の動作を説明する。
[スイッチ30の開放時]
スイッチ30の開放時には、第1の線状導体21の長さをλ/2とする周波数fの信号が共振する。このとき、給電点40からみた第1の線状導体21のインピーダンスは低く、大きな電流I0が第1の線状導体21内を有限地板10から離れる方向へ流れる。
一方、第2の線状導体22の長さλ’/2は第1の線状導体21の長さλ/2から多少ずれている。従って、第3の実施形態と同様に、電流I1が、第2の線状導体22内を給電点40からスイッチ30へ流れようとする。
しかし、第2の導体部分C2および第4の導体部分C4のインダクタンス成分により、第3の実施形態と同様に、第2の導体部分C2および第4の導体部分C4内では、電流I2は限地板10に向かう方向へ流れようとする。
第2の導体部分C2では、電流I1およびI2は互いに逆方向に流れようとするので、第2の線状導体22の長さがλ/2から多少ずれたλ’/2であったとしても、第2の線状導体22にはほとんど電流が流れない。その結果、スイッチ30の低電力損失は保たれ、アンテナ装置400の高効率が維持され得る。
[スイッチ30の短絡時]
スイッチ30が短絡すると、周波数fの電波は第1の線状導体21に共振し、周波数f’の電波は第2の線状導体22に共振する。即ち、アンテナ装置300は、周波数fの電波および周波数f’の電波の両方を高効率で送受信することができる。
また、Δfは、20%以下と僅かであるため、周波数fの電波が第1の線状導体21に共振しているとき、電流は、第2の線状導体22にも多く流れる。従って、スイッチ30が開放状態のときと比較して、電流分布が変化する。その結果、スイッチ30の切換えによって、周波数fの電波の放射パターンが変化する。
このように、第4の実施形態は、第3の実施形態と同様に、高効率で共振周波数および放射パターンを同時に切り替えることができる。さらに、第4の実施形態は、第1の線状導体21および第2の線状導体22のインピーダンスを整合させやすいという第2の実施形態と同様の効果を有する。
(第5の実施形態)
図5は、本発明に係る第5の実施形態に従ったアンテナ装置500のアンテナ部分の概略的な斜視図である。アンテナ装置500は、第1の実施形態における第2の線状導体22と同様に成形された第3の線状導体23をさらに備えている。アンテナ装置500は、さらに、第3の線状導体23と有限地板10との間に設けられた第2のスイッチ33をさらに備えている。第5の実施形態の他の構成は、第1の実施形態と同様でよい。
第3の線状導体23の一端は、給電点40近傍における第1の線状導体21に接続されている。第3の線状導体23の一端は、給電点40に直接接続されていてもよい。第3の線状導体23の長さは、第2の線状導体22の長さとほぼ同じであり、第1の線状導体21の約2倍の長さを有する。第2のスイッチ33は、第1のスイッチ30と同じ構成でよい。
次に、アンテナ装置500の動作について説明する。
[スイッチ30、33の開放時]
スイッチ30、33の開放時には、アンテナ装置500は、アンテナ装置100と同様に動作する。このとき、第2の線状導体22および第3の線状導体23の長さは、ともに約λ/2であるので、第2の線状導体22および第3の線状導体23は、ともに周波数fの信号に対して高周波的に開放状態となる。従って、給電点40からの電流の大半は、第1の線状導体21へ流れ、第2の線状導体22には流れない。その結果、スイッチ30を流れる電流は非常に小さくなるので、スイッチ30での電力損失が小さく、アンテナ装置100の効率の劣化が抑制される。
[スイッチ30が短絡、スイッチ33が開放]
このとき、アンテナ装置500は、第1の実施形態におけるスイッチ30の短絡時と同様に動作をする。よって、このときの動作の説明は省略する。
[スイッチ30および33の短絡時]
スイッチ30および33がともに短絡すると、周波数λの信号は、第1の線状導体21および第2の線状導体22だけでなく、第3の線状導体23においても共振する。これにより、電波の放射パターンがさらに変化する。
このように、第5の実施形態では、スイッチ30および33の切換えによって、電波の放射パターンを2段階で変更することができる。即ち、アンテナ装置500は、3つの放射パターンを有することができる。
第5の実施形態では、第3の線状導体23およびスイッチ33を1つずつ追加した。しかし、このような線状導体およびスイッチをさらに多数追加してもよい。これにより、電波の放射パターンを多段階で変更することができる。
また、第2実施形態において、第3の線状導体23およびスイッチ33を1つずつ、あるいは、複数ずつ同様に追加してもよい。
(第6の実施形態)
図6は、本発明に係る第6の実施形態に従ったアンテナ装置600のアンテナ部分の概略的な斜視図である。第6の実施形態における第1の線状導体21および第2の線状導体22は、第4の実施形態における第1の線状導体21および第2の線状導体22と同様の構成をそれぞれ有する。しかし、第6の実施形態における第1の線状導体21および第2の線状導体22は、給電点40およびスイッチ30の近傍から折り曲げられ、有限地板10に対してほぼ平行に延伸している点で第4の実施形態におけるそれらと異なる。
第1の線状導体21および第2の線状導体22のうち有限地板10に対してほぼ平行に延伸している部分は、互いに同一平面内に配置されている。第1の線状導体21および第2の線状導体22は、ともに細長い長方形状である。第1の線状導体21および第2の線状導体22は、有限地板10のコーナー近傍に設けられている。給電点40および有限地板10の短絡点41、42は互いに近接している。
有限地板10は、例えば、携帯電話の基板のように2:1の縦横比を有する導体である。第1の線状導体21および第2の線状導体22は、有限地板10の短辺に沿って、有限地板10に対して低姿勢に配置されている。第6の実施形態の他の構成は、第4の実施形態と同様である。
第6の実施形態は、第4の実施形態と同様に、スイッチ30の切替えにより、共振周波数および放射パターンを切り替えることができるという効果を有する。
一般に、アンテナを図4に示すように折返構造、例えば、メアンダ型にすると、共振周波数における入力インピーダンスが高くなる。また、有限地板に対するアンテナの高さを低くすると、共振周波数における入力インピーダンスが低くなる。
本実施形態では、第1の線状導体21および第2の線状導体22は、給電点40から延び、地点Dで折り返したのちに、給電点40近傍の短絡点41、42に戻る構造を有する。このように、第1の線状導体21および第2の線状導体22は折返構造を有するので、共振周波数における入力インピーダンスは高く(例えば、140オーム)なる。しかし、第1の線状導体21および第2の線状導体22は、有限地板10に対して低姿勢であるので、共振周波数における入力インピーダンスを(例えば、50オーム)に低下させることができる。
さらに、第1の線状導体21および第2の線状導体22を有限地板10に対して低姿勢にし、かつ、近接して平行させることによって、第1の線状導体21および第2の線状導体22、即ち、アンテナが占有する面積および体積を小さくすることができる。その結果、アンテナ装置(例えば、携帯電話)を小型化することができる。
図7は、電波の周波数に対するアンテナ装置600の効率を示したグラフである。この効率とは、電力透過係数に放射効率を乗じた値である。電力透過係数は、アンテナ装置本体から給電点40に供給する電力のうち、給電点40を透過して第1の線状導体21および第2の線状導体22へ供給された電力の比率である。また、放射効率は、第1の線状導体21および第2の線状導体22へ供給された電力のうち、第1の線状導体21および第2の線状導体22から放射された電波の電力の比率である。
スイッチ30としてMESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)を用いている。スイッチ30は、短絡時の抵抗が1オームであり、開放時の抵抗が1キロオームとする。スイッチ30の短絡時のグラフは、実線で示されている。スイッチ30の開放時のグラフは、破線で示されている。このグラフから分かるように、750MHz、830MHzおよび885MHzにおいて0.8以上の高効率が得られている。
8第1から第6の実施形態では、理解を容易にするため、便宜上、第1の線状導体21および第2の線状導体22がそれぞれ独立に動作し、それぞれの長さに基づく周波数の信号が共振するとした。しかし、給電点40を含まない電流経路でも共振が発生する。85MHzにおいて効率が高いのは、このためである。
例えば、図1に示した第1実施形態では、第1の線状導体21の先端からノードN、第2の線状導体22およびスイッチ30を介して有限地板10までの長さを1/4波長とする周波数の信号が共振する。同様に、第2から第6の実施形態においても給電点を含まない経路に対応する共振周波数が存在する。
図8(A)および図8(B)は、効率の高かった周波数における第1の線状導体21および第2の線状導体22の電流分布を示すグラフである。図8(A)は、スイッチ30が短絡状態で、周波数が750MHzであるときの電流分布を示す。図8(B)は、スイッチ30が開放状態で、周波数が830MHzであるときの電流分布を示す。横軸は、図6に示す第1の線状導体21および第2の線状導体22上の地点A(給電点40)、地点B(短絡点42)、地点C(短絡点41)および地点Dを示す。
スイッチ30の短絡時には、図8(A)に示すように、電流は、第1の線状導体21よりも第2の線状導体22に多く流れている。一方、スイッチ30の開放時には、図8(B)に示すように、電流は、第2の線状導体22よりも第1の線状導体21に多く流れている。
このように、電流の多く流れる線状導体は、スイッチ30の状態(共振周波数)によって切り替わる。従来、特に損失が大きかったスイッチ30の開放時に、第2の線状導体22上の地点B(スイッチ30近傍)における電流が小さい。これは、スイッチ30の開放時の効率が改善していることを意味する。
図9は、図6の破線枠Eの部分の具体例を示す構成図である。有限地板10のうち11がメタル領域であり、12が樹脂領域である。第2の線状導体22は、地点Bおよびキャパシタ80aを介してスイッチ素子30の端子の1つに接続されている。スイッチ素子30の他の端子の1つは、キャパシタ80bを介して有限地板10に接続されている。スイッチ素子30の他の端子の2つはそれぞれインダクタ70を介して直流電源に接続されている。
キャパシタ80aおよび80bは、所望の高周波信号を透過し、直流信号を阻止する電気容量を有する。インダクタ70は、直流信号を透過し、所望の高周波信号を阻止する誘導係数を有する。スイッチ素子30は、MESFET (MEtal Semiconductor Field Effect Transistor) のSPST (Single Pole Single Throw) 型スイッチである。スイッチ素子30は、キャパシタ80aおよび有限地板10に接続する2つの端子間を高周波的に短絡/開放することができる。スイッチ素子30の切替えは、直流電源により印加される電圧値によって実行される。
図9では、スイッチ30の一例としてMESFETのSPST型スイッチを用いた。しかし、これに限定されるものではなく、スイッチ30は、SPDT型スイッチ等の他の方式のスイッチであってもよい。また、スイッチ30は、PINダイオード、バリキャップダイオードまたはMEMS等の他のスイッチでもよい。
図9では、給電点40に用いられる給電線の一例として同軸線路45を示している。しかし、この給電線は、マイクロストリップライン、ストリップライン、スロットラインあるいはコプレーナ線路であってもよい。
第1の線状導体21および第2の線状導体22からなるアンテナと、スイッチ30を備えた基板と、給電点40に用いられる給電線は、それぞれ独立に製造し、その後、これらを組み合わせることができる。これにより、アンテナ装置の製造が容易になる。さらに、アンテナ、スイッチ30および給電点40は有限地板10上にコンパクトに設けることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明に係る第1の実施形態に従ったアンテナ装置100のアンテナ部分の概略的な斜視図。 本発明に係る第2の実施形態に従ったアンテナ装置200のアンテナ部分の概略的な斜視図。 本発明に係る第3の実施形態に従ったアンテナ装置300のアンテナ部分の概略的な斜視図。 本発明に係る第4の実施形態に従ったアンテナ装置400のアンテナ部分の概略的な斜視図。 本発明に係る第5の実施形態に従ったアンテナ装置500のアンテナ部分の概略的な斜視図。 本発明に係る第6の実施形態に従ったアンテナ装置600のアンテナ部分の概略的な斜視図。 電波の周波数に対するアンテナ装置600の効率を示したグラフ。 効率の高かった周波数における第1の線状導体21および第2の線状導体22の電流分布を示すグラフ。 図6の破線枠Eの部分の具体例を示す構成図。
符号の説明
100 アンテナ装置
10 有限地板
21 第1の線状導体
22 第2の線状導体
30 スイッチ
40 給電点

Claims (12)

  1. 導体からなる有限地板と、
    前記有限地板上に設けられた給電点と、
    一端が前記給電点に接続され、他端が前記有限地板に対して電気的に開放された第1の線状導体と、
    一端が前記第1の線状導体のうちの前記給電点近傍、あるいは、該給電点に接続され、前記第1の線状導体の2倍の長さを有する第2の線状導体と、
    前記第2の線状導体の他端と前記有限地板との間に設けられたスイッチとを備えたアンテナ装置。
  2. 導体からなる有限地板と、
    前記有限地板上に設けられた給電点と、
    一端が前記給電点に接続され、他端が前記有限地板に対して電気的に短絡された第1の線状導体と、
    一端が前記第1の線状導体のうち前記給電点近傍、あるいは、該給電点に接続され、前記第1の線状導体と同程度の長さを有する第2の線状導体と、
    前記第2の線状導体の他端と前記有限地板との間に設けられた第1のスイッチとを備えたアンテナ装置。
  3. 前記スイッチがオフ状態であるとき、前記第2の線状導体の他端は前記有限地板から開放され、前記第1の線状導体の長さを1/4波長とする電波に関して、該第2の線状導体のインピーダンスは前記第1の線状導体のインピーダンスよりも大きく、
    前記スイッチがオン状態であるとき、前記第2の線状導体の他端は前記有限地板に短絡され、前記電波に関して、該第2の線状導体のインピーダンスは前記第1の線状導体のインピーダンス以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記スイッチがオフ状態であるとき、前記第2の線状導体の他端は前記有限地板から開放され、前記給電点からの電流は、前記第2の線状導体へ流れず、前記第1の線状導体へ流れ、
    前記スイッチがオン状態であるとき、前記第2の線状導体の他端は前記有限地板に短絡され、前記給電点からの電流は、前記第1の線状導体および前記第2の線状導体の両方へ流れることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  5. 一端が前記第1の線状導体のうち給電点近傍、あるいは、該給電点に接続され、前記第1の線状導体の約2倍の長さを有する第3の線状導体と、
    前記第3の線状導体の他端と前記有限地板との間に設けられた第2のスイッチとを備えたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  6. 前記第1の線状導体および前記第2の線状導体は、前記給電点および前記スイッチの近傍から折り曲げられ、前記有限地板に対して平行に延伸していることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
  7. 導体からなる有限地板と、
    前記有限地板上に設けられた給電点と、
    一端が前記給電点に接続され、他端が前記有限地板に対して電気的に開放された第1の線状導体と、
    一端が前記第1の線状導体のうちの前記給電点近傍、あるいは、該給電点に接続され、前記第1の線状導体を含む平面において該第1の線状導体を取り囲むように成形されている第2の線状導体と、
    前記第2の線状導体の他端と前記有限地板との間に設けられたスイッチとを備えたアンテナ装置。
  8. 導体からなる有限地板と、
    前記有限地板上に設けられた給電点と、
    一端が前記給電点に接続され、他端が前記有限地板に対して電気的に短絡された第1の線状導体と、
    一端が前記第1の線状導体のうち前記給電点近傍、あるいは、該給電点に接続され、前記第1の線状導体を含む平面において該第1の線状導体を取り囲むように成形されている第2の線状導体と、
    前記第2の線状導体の他端と前記有限地板との間に設けられた第1のスイッチとを備えたアンテナ装置。
  9. 前記第1の線状導体は、前記有限地板から離れる方向へ延伸し、
    前記第2の線状導体は、
    前記第1の線状導体または前記給電点から前記有限地板に対して平行に延伸する第1の導体部分と、
    前記第1の導体部分の先端から、前記有限地板から離れる方向へ前記第1の線状導体に対して平行に延伸する第2の導体部分と、
    前記第2の導体部分の先端から、前記第1の線状導体の上を亘って前記第1の導体部分に対して平行に延伸する第3の導体部分と、
    前記第3の導体部分の先端から、前記有限地板に向かう方向へ前記第1の線状導体に対して平行に延伸し、前記スイッチを介して前記有限地板に接続された第4の導体部分とを含むことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のアンテナ装置。
  10. 前記第2の導体部分と前記第1の線状導体との距離は、前記第4の導体部分と前記第1の線状導体との距離と等しいことを特徴とする請求項9に記載のアンテナ装置。
  11. 前記第1の線状導体の長さは、所定の周波数を有する信号の1/4波長に等しいことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  12. 前記第1の線状導体の長さは、所定の周波数を有する信号の1/2波長に等しいことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
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