本発明は、光ファイバ素線が複数本結束され、少なくとも一端が複数の端部に分岐した分岐型光ファイババンドルを製造するための分岐型光ファイババンドル製造用ボビン及び分岐型光ファイババンドル製造方法に関する。
近年、情報通信においては、その高速化、大規模化等に伴い、光ファイバが多用されている。
その一方、光ファイバの伝送機能と可とう性を利用した照明器具も存在する。
この照明器具は、ライトガイドと呼ばれ、複数本の光ファイバを結束させることにより構成された光ファイババンドルを用いたものである。
光ファイババンドルは、その製造段階において、その端部を分岐させることが可能であり、このようにして作製された分岐型光ファイババンドルは、光の分岐や合成、つまり同一の光源から入射された光を複数の出射端部から均等に分配して出射させることの他、複数の光源から入射された光を合成して単一の出射端部から出射させることができる。
さらに近年、分岐型光ファイババンドルは、半導体製造用のステッパに関する技術をはじめとする様々な技術分野に応用されている。
上記の分岐型光ファイババンドルにおいては、分岐していない端部(以下、“非分岐端部”とする)から入射され、他方の分岐した端部(以下、“分岐端部”とする)に伝播する光の光量分布を均一にするために、其々の分岐端部を構成する光ファイバの本数を均等にする必要がある。
また、光ファイババンドルの端面をただ単に分岐させることにより分岐型光ファイババンドルを作製した場合、例えば、光ファイババンドルの端部を単に上下に二分割することにより2分岐型光ファイババンドルを作製すると、光が入射される非分岐端部(光の入射端部)の上部に位置する光ファイバの他端部に第1の分岐端部(光の出射端部)が形成され、非分岐端部の下部に位置する光ファイバの他端部に第2の分岐端部(光の出射端部)が形成される。
この場合、例えば、光源自体に光の明暗分布等が存在し、非分岐端部の上部と下部とで入射光量に差がある場合、入射光の明暗パターンが出射光に反映され、第1の分岐端部と第2の分岐端部の其々を構成する光ファイバの本数を均等にしていようとも、出射光量に差が生じてしまう。
このような明暗分布の影響は、例えば、非分岐端部の上部に位置する長さの等しい光ファイバ素線を複数束に分け、その片側を結束・固定し、非分岐端部の下部から数本から数十本の光ファイバ素線を取り上げ、二つの束を束ね、これを反復することにより複数の分岐端部を形成せしめることで防止可能である。
上記のような分岐型光ファイババンドルは、手作業の他、光ファイバカプラを
用いる方法(例えば、特許文献1参照)やボビンを用いる方法(例えば、特許文献2参照)により製造される。
特開平5−88042号公報
特開平8−121907号公報
しかしながら、上記のような分岐型光ファイババンドルを製造するにあたっては、以下に示すような解決すべき課題が存在する。
まず、分岐型光ファイババンドルを手作業により製造する場合は、作業効率性に問題があり、これに付随してコストの上昇を招いており、さらに、品質管理の面でも問題がある。
また、光ファイバカプラを用いる場合は、光を均等に分岐させることが可能であるが、作業性及びコストの面で問題がある。
また、ボビンを用いる場合は、光ファイバ素線をトラバースしながらファイバガイドを有するボビンに巻きとるため、効率的ではあるが、光ファイバ素線の位置決めは、この光ファイバ素線にかかる張力によりなされるため、光ファイバ素線の位置や本数等に偏りが起こりやすい。
さらに、ボビンに巻き取られた光ファイバ素線はボビンの表面からその外側に向けて上乗せされていくため、前記のとおり、非分岐端部(光の入射端部)の上部(ボビンの外側)に位置する光ファイバ素線により第1の分岐端部が形成され、非分岐端部の下部(ボビンの表面側)に位置する光ファイバ素線により第2の分岐端部が形成され、さらに光源自体に光の明暗分布等が存在し、非分岐端部の上部と下部とで入射光量に差がある場合、入射光の明暗パターンが出射光に反映され、第1の分岐端部と第2の分岐端部の出射光量に差が生じてしまう。
また、特に前記のステッパにおいて光の伝送を行う際に、1個あるいは複数個の光源を用い、且つ複数の製造ラインを同時に稼動させる場合、光の入射端部と出射端部の長さや出射端部其々の長さが異なる分岐型光ファイババンドルを用いる必要がある。
また、分岐型光ファイババンドルの分岐数が増加するにつれて、使用される光ファイバ素線の本数も数千本から数万本へと増加し、要求される製造精度も高いものとなる。
上記のような各部の長さが異なる分岐型光ファイババンドルの製造方法としては、分岐端部を作製した後に、これを所定の長さに切断する方法や、長さが異なる複数種類の光ファイバを用意し、これらを手作業にて編みこむ方法が挙げられるが、前者はコストの増加を招き、後者にはさらに作業の煩雑さが伴うため、品質を保証することには困難が伴い、いずれにせよ改善の余地が残されている。
このような事情に鑑み本発明は、光ファイバ素線が均等に分布し、且つ光量分布が均一化され、さらに分岐端部の長さが異なる分岐型光ファイババンドルを簡易的且つ正確に製造するための分岐型光ファイババンドル製造用ボビン及び分岐型光ファイババンドル製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の本発明は、光ファイバ素線が複数本結束され、少なくとも一端が複数の端部に分岐した分岐型光ファイババンドルを製造するにあたって光ファイバ素線を巻き重ねる分岐型光ファイババンドル製造用ボビンであって、湾曲面を有する本体と、湾曲面上に湾曲面の湾曲方向と直交する方向に沿って設けられた複数の突起部からなる第1の突起部列と、湾曲面上の第1の突起部列と離隔した位置に湾曲方向と直交する方向に沿って設けられた複数の突起部からなる第2の突起部列とを備え、突起部により湾曲面上に光ファイバ素線を複数の束として巻き重ねるための複数の空間部が形成され、本体の形状が湾曲方向と直交する方向に沿って変化していることを要旨とする。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、湾曲面上に湾曲方向と直交する方向に沿って設けられ、湾曲面上に巻き重ねられた光ファイバ素線の束を結束するにあたっての結束位置を規定する結束用溝部を備えることを要旨とする。
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の発明において、湾曲面上に湾曲方向と直交する方向に沿って設けられ、湾曲面上に巻き重ねられた光ファイバ素線の束を切断するにあたっての切断位置を規定する切断用溝部を備えることを要旨とする。
請求項4に記載の本発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、空間部の個数は、製造される分岐型光ファイババンドルの端部の個数の整数倍であることを要旨とする。
請求項5に記載の本発明は、光ファイバ素線が複数本結束され、少なくとも一端が複数の端部に分岐した分岐型光ファイババンドルを製造するにあたって光ファイバ素線を巻き重ねる分岐型光ファイババンドル製造方法であって、湾曲面を有する本体と、湾曲面上に湾曲面の湾曲方向と直交する方向に沿って設けられた複数の突起部からなる第1の突起部列と、湾曲面上の第1の突起部列と離隔した位置に湾曲方向と直交する方向に沿って設けられた複数の突起部からなる第2の突起部列とを備え、突起部により湾曲面上に光ファイバ素線を複数の束として巻き重ねるための複数の空間部が形成され、本体の形状が湾曲方向と直交する方向に沿って変化している分岐型光ファイババンドル製造用ボビンを用いて光ファイバ素線を巻き重ねる光ファイバ巻き重ね工程と、湾曲面上に巻き重ねられた光ファイバ素線の束を結束する光ファイバ結束工程と、湾曲面上に巻き重ねられた光ファイバ素線の束を切断する光ファイバ切断工程と、光ファイバ結束工程において結束され、且つ光ファイバ切断工程において切断された光ファイバ素線の束同士をさらに結束させることにより複数の端部を作製する分岐端部作製工程とを有することを要旨とする。
請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の発明において、光ファイバ巻き重ね工程においては、湾曲面上に湾曲方向と直交する方向に沿って設けられた第1の溝部をさらに備える分岐型光ファイババンドル製造用ボビンを用い、光ファイバ結束工程において、第1の溝部により光ファイバ素線の結束位置を規定することを要旨とする。
請求項7に記載の本発明は、請求項5又は6に記載の発明において、光ファイバ巻き重ね工程においては、湾曲面上に湾曲方向と直交する方向に沿って設けられた第2の溝部をさらに備える分岐型光ファイババンドル製造用ボビンを用い、光ファイバ切断工程において、第2の溝部により光ファイバ素線の切断位置を規定することを要旨とする。
請求項8に記載の本発明は、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の発明において、光ファイバ巻き重ね工程においては、空間部の個数が製造される分岐型光ファイババンドルの端部の個数の整数倍である分岐型光ファイババンドル製造用ボビンを用いることにより光ファイバ素線を複数の束として巻き重ねることを要旨とする。
請求項9に記載の本発明は、請求項5乃至8のいずれか1項に記載の発明において、分岐端部作製工程においては、一方の光ファイバ素線の束を捻転させた後に他方の光ファイバ素線の束と結束させることを要旨とする。
請求項10に記載の本発明は、請求項5乃至9のいずれか1項に記載の発明において、分岐端部作製工程においては、隣接する2本の光ファイバ素線の束を結束することを要旨とする。
請求項11に記載の本発明は、請求項5乃至10のいずれか1項に記載の発明において、分岐型光ファイババンドル製造用ボビンを複数個用い、光ファイバ巻き重ね工程を複数個の分岐型光ファイババンドルの全てにおいて同時に実行することを要旨とする。
本発明においては、分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの本体の湾曲面上に複数の突起部からなる第1の突起部列と第2の突起部列とを設け、これらの突起部により複数の空間部を形成させ、これらの空間部其々に光ファイバ素線を巻き重ね、巻き重ねられた複数の光ファイバ素線の束に対して結束及び切断を行い、この光ファイバ素線の束同士をさらに結束させることにより複数の端部(分岐端部)を作製する。このため、分岐型光ファイババンドルにおける光ファイバ素線の分布の均等化を容易に行えるとともに分岐端部における光量分布を均一化できる。
また、本体の形状は、これの湾曲方向と直交する方向に沿って変化しているため、分岐した複数の端部(非分岐端部)の長さを異なるものとすることができる。
また、本体の湾曲面上に光ファイバ素線の束の結束位置を規定するための結束用溝部を備えるため、光ファイバ素線の束の結束作業を容易且つ確実に行うことができる。
また、本体の湾曲面上に光ファイバ素線の束の切断位置を規定するための切断用溝部を備えるため、光ファイバ素線の束の切断作業を容易且つ確実に行うことができる。
また、上記の空間部の個数が製造されるべき分岐型光ファイババンドルの端部の個数の整数倍であり、これらの空間部により光ファイバ素線を複数の束として巻き重ね、巻き重ねられた複数の束をさらに結束することにより分岐端部を作製するため、分岐型光ファイババンドルにおける光ファイバ素線の分布の均等化を容易に行えるとともに分岐端部における光量分布を均一化できる。
また、分岐端部を作製するにあたっては、一方の光ファイバ素線の束を捻転させた後に他方の光ファイバ素線の束と結束させるため、入射光の明暗パターンが出射光に反映されることを防止でき、分岐端部における光量分布を均一化できる。
また、分岐端部を作製するにあたっては、隣接する2本の光ファイバ素線の束を結束させるため、入射光の明暗パターンが出射光に反映されることを防止でき、分岐端部における光量分布を均一化できる。
また、分岐型光ファイババンドル製造用ボビンを複数個用い、複数個の分岐型光ファイババンドルの全てにおいて同時に光ファイバの巻き重ねを行わせるため、製造作業を効率良く行うことができる。
以上の点から、光ファイバ素線が均等に分布し、且つ光量分布が均一化され、さらに分岐端部の長さが異なる分岐型光ファイババンドルを簡易的且つ正確に製造するための分岐型光ファイババンドル製造用ボビン及び分岐型光ファイババンドル製造方法を提供することが可能となる。
以下、図面を用いつつ本発明の分岐型光ファイババンドル製造用ボビン及び分岐型光ファイババンドル製造方法についての説明を行う。
本発明においては、光ファイバ製造用ボビンに新たな機能を付与し、これを用いることにより光ファイバ素線が均等に分布し、且つ光量分布の均一化が可能な分岐型光ファイババンドルを製造可能とするが、以下の実施例は、あくまでも本発明の説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば、これらの各要素又は全要素を含んだ各種の実施例を採用することが可能であるが、これらの実施例も本発明の範囲に含まれる。
また、実施例を説明するための全図において、同一の要素には同一の符号を付与し、これに関する反復説明は省略する。
図1(a)は、本発明の第1の実施例(実施例1)に係る分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aの正面図であり、図1(b)は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aの上面図であり、図1(c)は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aの側断面図であり、図2は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aの斜視図である。
分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aは、光ファイバ素線が複数本結束され、両端が2個の端部(分岐端部)に分岐し、互いに長さが異なる2本の2×2分岐型光ファイババンドルを製造するにあたって、光ファイバ素線を巻き重ねるためのものであり、本体100Aと、側面部材5及び6と、14個の突起部7と、切断用溝部4と、結束用溝部8、9、10及び11とを有する。
本体100Aは、光ファイバ素線を巻き重ねるための湾曲面を有する2個の巻き重ね用部材2及び3から構成され、これらの断面形状は楕円形である。
また、図1(c)に示すように、巻き重ね用部材2及び3のY軸方向における最大長は等しいが、X軸方向の長さは異なるため、これらの形状は互いに異なる。つまり、本体100Aの形状は、前記の湾曲面と直交する方向に沿って変化している。
また、上記の巻き重ね用部材2及び3、つまり本体100Aの側面には、自身を回転させるためのシャフトを貫通させるための孔部が設けられている。
側面部材5及び6は、本体100Aの側面に接合され、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aの側壁を形成する。また、その中央には、本体100Aと同様にシャフトを貫通させるための孔部が設けられている。
14個の突起部7の内、7個は、本体100Aの湾曲面上に、その湾曲方向と直交する方向に沿って設けられており、これらの突起部7により第1の突起部列、換言すれば第1の櫛状部分が形成されている。
また、残り7個の突起部7は、本体100Aの外周面上の第1の突起部列とは離隔した位置に、その湾曲方向と直交する方向に沿って設けられており、これらの突起部7により第2の突起部列、換言すれば第2の櫛状部分が形成されている。
上記の側面部材5及び6と、櫛の歯の部分に相当する突起部7とにより、本体100Aの湾曲面上の突起部7の間、ならびに側面部材5及び6と突起部7との間には、光ファイバ心線を収容するための複数(本実施例においては16個の)空間部が形成されており、これらの空間部により光ファイバ素線を本体100Aの外周面上に複数の束として巻き重ねることが可能となる。
なお、この光ファイバ素線の巻き重ね動作の詳細については後述する。
結束用溝部8、9、10及び11は、巻き重ね用部材2及び3に巻き重ねられた光ファイバ素線の束を結束するためのものであり、これらの内、結束用溝部8及び10は、巻き重ね用部材2の湾曲面上に設けられ、結束用溝部9及び11は、巻き重ね用部材3の湾曲面上に設けられている。
また、結束用溝部10及び11は、図1(a)に示すように、正面から目視した場合、これらが一つの直線として視認されるように位置の調整がなされている。
また、結束用溝部8及び9は、結束用溝部10及び11の反対側に設けられ、前記の場合と同様に、前述の正面方向とは反対の方向から目視した場合、これらの結束用溝部8及び9が一つの直線として視認されるように位置の調整がなされている。
切断用溝部4は、巻き重ね用部材2及び3に巻き重ねられた光ファイバ素線の束を切断するためのものであり、巻き重ね用部材2及び3の湾曲面上に設けられている。
また、結束用溝部8及び9と結束用溝部10及び11は、上記の突起部7に隣接し、且つ切断用溝部4を介して対向する位置に設けられている。
なお、上記の切断用溝部4と、結束用溝部8から11の機能の詳細については後述する。
また、以上のような分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aの材質は、アルミニウム等の金属又はプラスチック等の樹脂である。
また、光ファイバ素線を巻き重ねる際には、この光ファイバ素線の端部を分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aに固定する必要があり、このための手段を適宜設けることができる。前記の手段の一例としては、側面部材5又は6に設けられ、光ファイバ素線の端部を本体100Aの外周面側から側面部材5又は6の外側面に通す孔部と、この外側面上に設けられ、前記の孔部に通された光ファイバ素線の端部を固定するクリップとが挙げられる。
また、上記のクリップを本体100Aの外周面上に設けてもよい。
次に、図1及び図2に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aを用いた分岐型光ファイババンドル製造方法について説明する。
図3は、図1及び図2に示した本体100Aの外周面を平面として示した図であり、前記の突起部7により形成された16個の空間部の内、結束用溝部10及び11側に位置する8個を13A、14A、15A、16A、17A、18A、19A及び20Aで示し、また、結束用溝部8及び9側に位置する8個を13B、14B、15B、16B、17B、18B、19B及び20Bで示している。
光ファイバ素線12を巻き重ねるにあたっては、前記のように光ファイバ素線12の端部を固定し、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aを回転させ、まず、光ファイバ素線12を空間部13Aを始点として、この空間部13A及び13Bに巻きつけ、次に光ファイバ素線12を移動させ、空間部13A及び14Bに巻きつける。
このように分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aを回転させつつ光ファイバ素線12の移動を繰り返すことにより光ファイバ素線12を空間部13Aを始点として空間部20Bまで巻きつける。
次に、光ファイバ素線12をさらに移動させることにより巻き重ね動作の始点を空間部14Aとして、先の空間部13Aを始点とした場合と同様の巻き重ね動作を行い、これが完了すると、空間部15Aを始点として動作を行うというように結束用溝部10及び11側の空間部全てを始点として巻き重ね動作を行う。この際、光ファイバ素線12は、切断用溝部4付近で交差しながら巻き重ねられていくこととなる。
上記の一連の動作は、光ファイバ素線12が全ての空間部に所定本数(所定回数)巻き重ねられるまで反復して実行される。
なお、以上の工程は請求項に記載の光ファイバ巻き重ね工程に含まれる。
つまり、上記の動作によって光ファイバ素線12は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1A(本体部100A)の外周面上に複数本の束として巻き重ねられ、これにより分岐型光ファイババンドルにおける光ファイバ素線の分布の均等化を容易に行えるとともに分岐端部において出射光量の差が生じることを防止でき、光量分布を均一化できる。
次に、光ファイバ素線12が巻き重ねられると、これが動かないように光ファイバ素線12の束の其々が結束される。
前記の結束動作においては、まず、結束用溝部10及び11の底面と光ファイバ素線12との間に合計8本の結束用ワイヤを通し、空間部13Aから20Aに巻き重ねられた8本の光ファイバ素線12の束其々に対して結束を行う。
また、もう一方の結束用溝部8及び9の底面と光ファイバ素線12との間にも合計8本の結束用ワイヤを通し、空間部13Bから20Bに巻き重ねられた8本の光ファイバ素線12の束其々に対しても結束を行う。
なお、上記の工程は、請求項に記載の光ファイバ結束工程に含まれる。
このように、結束用溝部8から11を用いて光ファイバ素線12の束の結束位置を規定することにより、結束動作を簡易且つ確実に行うことが可能となる。
上記のように、光ファイバ素線12の結束が完了すると、これの切断が行われる。この切断動作においては、切断用溝部4の底面と光ファイバ素線12との間にカッター等を通し、これを上方向、つまり本体100Aの外周方向に移動させることにより光ファイバ素線12を切断する。
なお、上記の工程は、請求項に記載の光ファイバ切断工程に含まれる。
このように、切断用溝部4を用いて光ファイバ素線12の束の切断位置を規定することにより、切断動作を簡易且つ確実に行うことが可能となる。
上記の巻き重ね動作、結束動作及び切断動作により光ファイバ素線12は、図4に示す2本の光ファイバ素線束21及び22となる。
光ファイバ素線束21は巻き重ね用部材3に巻き重ねられたものであり、光ファイバ素線束22は巻き重ね用部材2に巻き重ねられたものであるが、前記のとおり、巻き重ね用部材2と3は互いに形状が異なる、つまり外周長が異なるため、光ファイバ素線束21と光ファイバ素線束22とでは長さが異なる。
また、上記の光ファイバ素線束21は、一端が211A、212A、213A及び214Aの4本の束に分岐し、他端が211B、212B、213B及び214Bの4本の束に分岐している。
また、上記の光ファイバ素線束22は、一端が221A、222A、223A及び224Aの4本の束に分岐し、他端が221B、222B、223B及び224Bの4本の束に分岐している。
次に、上記の光ファイバ素線束21及び22から互いに長さが異なる2本の2×2分岐型光ファイババンドルを製造するにあたっての手順を説明する。なお、以降の説明においては、光ファイバ素線の束211Bから214Bならびに221Bから224Bを例として行う。
図5(a)は、図4の光ファイバ素線の束211Bから214Bならびに221Bから224Bの先端面を示す図であり、其々の束の“U”は、その上半分の部分を示し、“L”は、その下半分の部分を示している。
分岐端部を作製するにあたっては、図5(b)に示すように、1本の束を介して隣接する2本の束同士を結束、換言すれば編み込むことにより1本の分岐端部を作製し、これを全ての束に対して行うことにより光ファイバ素線束21及び22の其々において2本(両端で計4本)の分岐端部を作製する。
より具体的にいえば、光ファイバ素線束21においては、束212Bを介して隣接する束211Bと束213Bとを結束し、束213Bを介して隣接する束212Bと束214Bとを結束する。
また、光ファイバ素線束22においては、束222Bを介して隣接する束221Bと束223Bとを結束し、束223Bを介して隣接する束222Bと束224Bとを結束する。
また、この際、図5(c)に示すように、結束される2本の束の一方(本実施例においては、束213B、214B、223B及び224B)を捻転させ、さらに反対側に移動させることにより上下を反転させ、捻転ならびに移動された束のLの部分ともう一方の束のUの部分とを接触させ、捻転ならびに移動された束のUの部分ともう一方の束のLの部分を接触させ、両者を結束する。つまり、図5(a)及び図5(b)に示した捻転ならびに移動前の束の左側同士を接触させ、両者を結束する。
以上のような結束動作を行うことにより、図5(c)及び図5(d)に示すように、光ファイバ素線束21においては、束213Bと束211Bとにより分岐端部215Bが作製され、束214Bと束212Bとにより分岐端部216Bが作製される。
また、図4に示した束211Aと束212A、束213Aと束214Aを結束することにより2本の分岐端部が作製される。なお、この際には上記のような束の捻転ならびに移動は行われない。
一方、光ファイバ素線束22においては、図5(c)及び図5(d)に示すように、束223Bと束221Bとにより分岐端部225Bが作製され、束224Bと束222Bとにより分岐端部226Bが作製される。
また、図4に示した束221Aと束222A、束223Aと束224Aを結束することにより2本の分岐端部が作製される。なお、この際には上記のような束の捻転ならびに移動は行われない。
以上の動作を行うことにより互いに長さが異なる2本の2×2分岐型光ファイババンドルを製造することができる。
また、上記のような結束動作を行うことにより分岐端部215B、216B、225B及び226Bの其々において、光ファイバ素線12をランダムに配列することができる。
また、上記の工程は、請求項に記載の分岐端部作製工程に含まれる。
また、分岐端部の作製を光ファイバ素線束21及び22の両端において同時に行うことができるため、作業時間等を短縮することが可能である。
また、片方の束を一本に結束することにより片方の端部が分岐していない1×4分岐型光ファイババンドルを作製することも可能である。
また、本実施例においては、2本の2×2分岐型光ファイババンドルを製造し、また、これにあたって2本の束で1本の分岐端部を作製する場合を想定しているため、図1及び図2に示した本体100Aは、その湾曲面上の結束用溝部8及び9側と結束用溝部10及び11側の其々に8個(作製されるべき分岐端部の数の2倍)、つまり合計16個(作製されるべき分岐端部の数の4倍)の空間部を備える場合を示したが、突起部7及びこれにより形成される空間部の個数は、製造しようとする分岐型光ファイババンドルの分岐端部の数ならびに1本の分岐端部を何本(3以上の数)の束で作製するかによって任意に変更可能である。
つまり、空間部の個数は、製造される分岐型光ファイババンドルの分岐端部の数の整数倍であればよく、このように空間部の個数を定めることにより、分岐型光ファイババンドルにおける光ファイバ素線の分布の均等化を容易に行えるとともに分岐端部において出射光量の差が生じることを防止でき、光量分布を均一化できる。
また、本実施例においては、4本の分岐端部の其々を作製するにあたって、1本の束を介して隣接する2本の束同士を結束する場合を示したが、これに限定されない。
つまり、1本の分岐端部を作製するにあたっては、他の光ファイバ素線の束を介さずに隣接する2本の光ファイバ素線の束を結束してもよい。
以上のように、1本の分岐端部を作製するにあたっては、隣接する2本の束の一方を捻転させ、さらに反対側に移動させることにより上下を反転させ、その後に両者を結束することにより光ファイバ素線をランダムに配列させる。このため、入射光の明暗パターンが出射光に反映されることを防止でき、分岐端部における光量分布を均一化できる。
また、上記のとおり、光ファイバ素線12を本体100Aの外周面上に巻き重ねていくと、巻き重ねられた光ファイバ素線12の内周と外周とでは、その長さに差が生じる。
また、上記の光ファイバ素線の束の其々においては、例えば、図3の空間部13A及び13Bに巻き重ねられた部分と空間部13A及び16Bに巻き重ねられた部分とでは長さに差が生じる。
このような長さの差は、上記の切断若しくは分岐端部の作製の後に、光ファイバ素線12の束をさらに切断して長さの調整を行うことにより解消できる。
このようなファイバ長の長さの調整は、分岐型光ファイババンドルの製造完了後に行うことができるため、敷設場所の状況等に応じて、分岐型光ファイババンドルの長さを場所や時期を選ばずに自由に調整することができ、敷設作業等の効率化を図ることができる。
次に、本発明の第2の実施例(実施例2)に係る分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bについて説明する。
図6(a)は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bの正面図であり、図6(b)は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bの上面図であり、図6(c)は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bの側断面図であり、図7は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bの斜視図である。
分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bは、光ファイバ素線が複数本結束され、一端が4個の分岐端部に分岐し、これら4個の分岐端部の長さが互いに異なる1×4分岐型光ファイババンドルを製造するにあたって、光ファイバ素線を巻き重ねるためのものであり、本体100Bと、側面部材5及び6と、14個の突起部7と、切断用溝部4と、結束用溝部27、28、29、30及び31とを有する。
本体100Bは、光ファイバ素線を巻き重ねるための湾曲面を有する4個の巻き重ね用部材23、24、25及び26から構成され、これらの断面形状は楕円形である。
また、図6(c)に示すように、巻き重ね用部材23から26のY軸方向における最大長は等しいが、X軸方向の長さは異なるため、これらの形状は互いに異なる。
さらに、巻き重ね用部材23から26は、一方の面(本実施例では結束用溝部27側の面)の位置が同一となるようその形状及び位置が調整されており、これにより、本体100Bの結束用溝部27側においては単一の湾曲面が形成され、その反対側(結束用溝部28から31側)においては4個の独立した湾曲面が形成されている。
また、実施例1においては、本体100Aが2個の巻き重ね用部材2及び3を有する構成とすることにより、この本体100Aの形状をその湾曲面と直交する方向に沿って変化させていたが、本実施例においては、本体100Bが上記の構成を有する4個の巻き重ね用部材23から26を有する構成とすることにより、この本体100Bの形状をその湾曲面と直交する方向に沿って変化させている。
また、上記の巻き重ね用部材23から26、つまり本体100Bの側面には、自身を回転させるためのシャフトを貫通させるための孔部が設けられている。
側面部材5及び6は、本体100Bの側面に接合され、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bの側壁を形成する。また、その中央には、本体100Bと同様にシャフトを貫通させるための孔部が設けられている。
14個の突起部7の内、7個は、本体100Bの湾曲面上に、その湾曲方向と直交する方向に沿って設けられており、これらの突起部7により第1の突起部列、換言すれば第1の櫛状部分が形成されている。
また、残り7個の突起部7は、本体100Bの外周面上の第1の突起部列とは離隔した位置に、その湾曲方向と直交する方向に沿って設けられており、これらの突起部7により第2の突起部列、換言すれば第2の櫛状部分が形成されている。
上記の側面部材5及び6と、櫛の歯の部分に相当する突起部7とにより、本体100Bの湾曲面上の突起部7の間、ならびに側面部材5及び6と突起部7との間には、光ファイバ心線を収容するための複数(本実施例においては16個の)空間部が形成されており、これらの空間部により光ファイバ素線を本体100Bの外周面上に複数の束として巻き重ねることが可能となる。
なお、この光ファイバ素線の巻き重ね動作の詳細については後述する。
結束用溝部27、28、29、30及び31は、巻き重ね用部材23から26に巻き重ねられた光ファイバ素線の束を結束するためのものであり、これらの内、結束用溝部27は、巻き重ね用部材23から26の湾曲面上に設けられ、結束用溝部28は、巻き重ね用部材23の湾曲面上に設けられ、結束用溝部29は、巻き重ね用部材24の湾曲面上に設けられ、結束用溝部30は、巻き重ね用部材25の湾曲面上に設けられ、結束用溝部31は、巻き重ね用部材26の湾曲面上に設けられている。
また、結束用溝部28から31は、図6及び図7に示すように、図6(b)における上側、換言すれば図6(c)における右側から目視した場合、これらが一つの直線として視認されるように位置の調整がなされている。
切断用溝部4は、巻き重ね用部材23から26に巻き重ねられた光ファイバ素線の束を切断するためのものであり、巻き重ね用部材23から26の湾曲面上に設けられている。
また、結束用溝部27と結束用溝部28から31は、上記の突起部7に隣接し、且つ切断用溝部4を介して対向する位置に設けられている。
なお、上記の切断用溝部4と、結束用溝部27から31の機能の詳細については後述する。
また、以上のような分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bの材質は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aと同様にアルミニウム等の金属又はプラスチック等の樹脂である。
また、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bには、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Aと同様に光ファイバ素線の端部を固定するための手段を設けてもよく、上記のクリップを本体100Bの外周面上に設けてもよい。
次に、図6及び図7に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bを用いた分岐型光ファイババンドル製造方法について説明する。
図8は、図6及び図7に示した本体100Bの外周面を平面として示した図であり、前記の突起部7により形成された16個の空間部の内、結束用溝部27側に位置する8個を33A、34A、35A、36A、37A、38A、39A及び40Aで示し、また、結束用溝部28から31側に位置する8個を33B、34B、35B、36B、37B、38B、39B及び40Bで示している。
光ファイバ素線12を巻き重ねるにあたっては、前記のように光ファイバ素線12の端部を固定し、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bを回転させ、まず、光ファイバ素線12を空間部33Aを始点として、この空間部33A及び33Bに巻きつけ、次に光ファイバ素線12を移動させ、空間部33A及び34Bに巻きつける。
このように分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bを回転させつつ光ファイバ素線12の移動を繰り返すことにより光ファイバ素線12を空間部33Aを始点として空間部40Bまで巻きつける。
次に、光ファイバ素線12をさらに移動させることにより巻き重ね動作の始点を空間部34Aとして、先の空間部33Aを始点とした場合と同様の巻き重ね動作を行い、これが完了すると、空間部35Aを始点として動作を行うというように結束用溝部27側の空間部全てを始点として巻き重ね動作を行う。この際、光ファイバ素線12は、切断用溝部4付近で交差しながら巻き重ねられていくこととなる。
上記の一連の動作は、光ファイバ素線12が全ての空間部に所定本数(所定回数)巻き重ねられるまで反復して実行される。
なお、以上の工程は請求項に記載の光ファイバ巻き重ね工程に含まれる。
つまり、上記の動作によって光ファイバ素線12は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1B(本体部100B)の外周面上に複数本の束として巻き重ねられ、これにより分岐型光ファイババンドルにおける光ファイバ素線の分布の均等化を容易に行えるとともに分岐端部において出射光量の差が生じることを防止でき、光量分布を均一化できる。
次に、光ファイバ素線12が巻き重ねられると、これが動かないように光ファイバ素線12の束の其々が結束される。
前記の結束動作においては、まず、結束用溝部27の底面と光ファイバ素線12との間に合計8本の結束用ワイヤを通し、空間部33Aから40Aに巻き重ねられた8本の光ファイバ素線12の束其々に対して結束を行う。
また、もう一方の結束用溝部28から31の底面と光ファイバ素線12との間にも合計8本の結束用ワイヤを通し、空間部33Bから40Bに巻き重ねられた8本の光ファイバ素線12の束其々に対しても結束を行う。
なお、上記の工程は、請求項に記載の光ファイバ結束工程に含まれる。
このように、結束用溝部27から31を用いて光ファイバ素線12の束の結束位置を規定することにより、結束動作を簡易且つ確実に行うことが可能となる。この点は上記の実施例1と同様である。
上記のように、光ファイバ素線12の結束が完了すると、これの切断が行われる。この切断動作においては、切断用溝部4の底面と光ファイバ素線12との間にカッター等を通し、これを上方向、つまり本体100Bの外周方向に移動させることにより光ファイバ素線12を切断する。
なお、上記の工程は、請求項に記載の光ファイバ切断工程に含まれる。
このように、切断用溝部4を用いて光ファイバ素線12の束の切断位置を規定することにより、切断動作を簡易且つ確実に行うことが可能となる。この点は上記の実施例1と同様である。
上記の巻き重ね動作、結束動作及び切断動作により光ファイバ素線12は、図9に示す光ファイバ素線束41となる。
この光ファイバ素線束41は、一端が411A、412A、413A、414A、415A、416A、417A及び418Aの8本の束に分岐し、他端が411B、412B、413B、414B、415B、416B、417B及び418Bの8本の束に分岐している。
上記の16本の束の内、束411B及び412Bは巻き重ね用部材26に巻き重ねられたものであり、束413B及び414Bは巻き重ね用部材25に巻き重ねられたものであり、束415B及び束416Bは巻き重ね用部材24に巻き重ねられたものであり、束417B及び束418Bは巻き重ね用部材23に巻き重ねられたものである。
また、前記のとおり、巻き重ね用部材23から26の形状は互いに異なる、つまり外周長が異なり、さらに、其々の巻き重ね部材が図6(c)に示すような位置関係をもって配置されているため、巻き重ね用部材26に巻き重ねられた束(411B及び412B)、巻き重ね用部材25に巻き重ねられた束(413B及び414B)、巻き重ね用部材24に巻き重ねられた束(415B及び416B)及び巻き重ね用部材23に巻き重ねられた束(417B及び418B)では長さが異なる。
次に、上記の光ファイバ素線束41から分岐端部の長さが異なる1×4分岐型光ファイババンドルを製造するにあたっての手順を説明する。
分岐型光ファイババンドルの非分岐端部(光の入射端部)は、光ファイバ素線の束411Aから418Aを1本に結束、換言すれば編み込むことにより作製される。
また、分岐型光ファイババンドルの4本の分岐端部(光の出射端部)は、光ファイバ素線の束411Bから418Bを基に作製される。以下にこの詳細を示す。
図10(a)は、図4の光ファイバ素線の束411Bから418Bの先端面を示す図であり、其々の束の“U”は、その上半分の部分を示し、“L”は、その下半分の部分を示している。
分岐端部を作製するにあたっては、図10(b)に示すように、隣接する2本の束同士を結束、換言すれば編み込むことにより1本の分岐端部を作製し、これを全ての束に対して行うことにより4本の分岐端部を作製する。
より具体的にいえば、束411Bと束412Bとを結束し、束413Bと束414Bとを結束し、束415Bと束416Bとを結束し、束417Bと束418Bとを結束する。
また、この際、図10(c)に示すように、結束される2本の束の一方(本実施例においては、束412B、414B、416B及び418B)を捻転させ、さらに反対側に移動させることにより上下を反転させ、捻転ならびに移動された束のLの部分ともう一方の束のUの部分とを接触させ、捻転ならびに移動された束のUの部分ともう一方の束のLの部分を接触させ、両者を結束する。つまり、図10(a)及び図10(b)に示した捻転ならびに移動前の束の左側同士を接触させ、両者を結束する。
以上のような結束動作を行うことにより、図10(c)及び図10(d)に示すように、束412Bと束411Bとにより分岐端部419Bが作製され、束414Bと束413Bとにより分岐端部420Bが作製され、束416Bと束415Bとにより分岐端部421Bが作製され、束418Bと束417Bとにより分岐端部422Bが作製される。
これにより、4個の分岐端部の長さが互いに異なる1×4分岐型光ファイババンドルを製造することができる。
また、上記のような結束動作を行うことにより分岐端部419B、420B、421B及び422Bの其々において、光ファイバ素線12をランダムに配列することができる。
なお、上記の工程は、請求項に記載の分岐端部作製工程に含まれる。
また、前述の非分岐端部と分岐端部の作製を同時に行うことができるため、作業時間等を短縮することが可能である。
なお、本実施例においては、光ファイバ素線の束411Aから418Aを基に非分岐端部を作製し、光ファイバ素線の束411Bから418Bを基に4本の分岐端部を作製する場合を示したが、これに限定されず、光ファイバ素線の束411Bから418Bを基に非分岐端部を作製し、光ファイバ素線の束411Aから418Aを基に4本の分岐端部を作製することもできる。
また、両方の端部が4本に分岐した4×4分岐型光ファイババンドルを作製することも可能である。
また、本実施例においては、1×4分岐型光ファイババンドルを製造し、また、これにあたって2本の束で1本の分岐端部を作製する場合を想定しているため、図6及び図7に示した本体100Bは、その湾曲面上の結束用溝部27側と結束用溝部28から31側の其々に8個(作製されるべき分岐端部の数の2倍)、つまり合計16個(作製されるべき分岐端部の数の4倍)の空間部を備える場合を示したが、突起部及びこれにより形成される空間部の個数は、製造しようとする分岐型光ファイババンドルの分岐端部の数ならびに1本の分岐端部を何本(3以上の数)の束で作製するかによって任意に変更可能である。
つまり、空間部の個数は、上記の実施例1と同様に、製造される分岐型光ファイババンドルの分岐端部の数の整数倍であればよく、このように空間部の個数を定めることにより、分岐型光ファイババンドルにおける光ファイバ素線の分布の均等化を容易に行えるとともに分岐端部において出射光量の差が生じることを防止でき、光量分布を均一化できる。
以上のように、本実施例においては、上記の実施例1と同様に、1本の分岐端部を作製するにあたって、隣接する2本の束の一方を捻転させるとともに反対側に移動させることにより上下を反転させ、その後に両者を結束することにより光ファイバ素線をランダムに配列させる。このため、入射光の明暗パターンが出射光に反映されることを防止でき、分岐端部における光量分布を均一化できる。
また、上記のとおり、光ファイバ素線12を本体100Bの外周面上に巻き重ねていくと、上記の実施例1と同様に、巻き重ねられた光ファイバ素線12の内周と外周とでは、その長さに差が生じる。
また、上記の光ファイバ素線の束の其々においては、例えば、図8の空間部33A及び33Bに巻き重ねられた部分と空間部33A及び40Bに巻き重ねられた部分とでは長さに差が生じる。
このような長さの差は、上記の切断若しくは分岐端部の作製の後に、光ファイバ素線12の束をさらに切断して長さの調整を行うことにより解消できる。
このようなファイバ長の長さの調整は、分岐型光ファイババンドルの製造完了後に行うことができるため、敷設場所の状況等に応じて、分岐型光ファイババンドルの長さを場所や時期を選ばずに自由に調整することができ、敷設作業等の効率化を図ることができる。この点は上記の実施例1と同様である。
次に、本発明の第3の実施例(実施例3)に係る分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Cについて説明する。
図11(a)は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Cの正面図であり、図11(b)は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Cの上面図であり、図11(c)は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Cの側断面図であり、図12は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Cの斜視図である。
分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Cは、前記の分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bと同様に、4個の分岐端部の長さが互いに異なる1×4分岐型光ファイババンドルを製造するためのものであり、前記の本体100Bに代えて本体100Cを有する。
この本体100Cは、略円錐形であり、その湾曲面と直交する方向に沿って形状が変化している。
また、その湾曲面上に切断用溝部4と、上記の結束用溝部と同様の機能を有する結束用溝部43及び44とが設けられている。
これらの結束用溝部43及び44は、切断用溝部4を介して隣接している。
また、結束用溝部43の近傍には1個の切り欠き部が設けられており、結束用溝部44の近傍には湾曲面と直行する方向に沿って4個の切り欠き部が設けられている。
また、16個の突起部7を有し、これらの内、8個が結束用溝部43近傍の切り欠き部上に配置されており、これら8個の突起部7により第1の突起部列、換言すれば第1の櫛状部分が形成されている。
また、残りの突起部7は、2個ずつが結束用溝部44近傍の切り欠き部上に配置されており、これら8個の突起部7により第2の突起部列、換言すれば第2の櫛状部分が形成されている。
また、上記の第1の突起部列及び第2の突起部列の其々は、切断用溝部4を介して対向する位置に設けられている。
また、上記の分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bと同様に、突起部7及びこれにより形成される空間部の個数等は任意に変更可能である。
また、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Cの材質は、アルミニウム等の金属又はプラスチック等の樹脂である。
分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Cの構成は以上のとおりであり、これを用いて分岐型光ファイババンドルを製造するにあたっては、図8で示した方法により光ファイバ素線12が巻き重ねられ、巻き重ねられた光ファイバ素線12が結束及び切断され、これにより得られた光ファイバ素線束41(図9)に対して、図10で示した方法により分岐端部が作製される。
上記の手順をもって製造された分岐型光ファイババンドルは、上記の分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Bにより製造された分岐型光ファイババンドルと同様の構造を有し、且つ同様の効果を奏する。
次に、本発明の第4の実施例(実施例4)に係る分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Dについて説明する。
図13(a)は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Dの正面図であり、図13(b)は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Dの上面図であり、図13(c)は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Dの側断面図であり、図14は、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Dの斜視図である。
分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Dは、前記の分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1B及び1Cと同様に、4個の分岐端部の長さが互いに異なる1×4分岐型光ファイババンドルを製造するためのものであり、前記の本体100B又は100Cに代えて本体100Dを有する。
この本体100Dは、その湾曲面と直交する方向に沿って形状が変化しており、断面形状が円形である巻き重ね部材45、46、47及び48からなる。
これらの巻き重ね部材45から48は其々直径が異なり、図13(c)に示すように離心円を形成するように配置されている。
また、巻き重ね部材45から48には上記の切断用溝部と同様の機能を有する切断用溝部55から58が設けられている。
また、切断用溝部55から58を介して対向する位置に上記の結束用溝部と同様の機能を有する結束用溝部49と、結束用溝部50から53とが設けられている。
また、14個の突起部7を有し、これらの内、7個が結束用溝部49の近傍に配置されており、これら7個の突起部7により第1の突起部列、換言すれば第1の櫛状部分が形成されている。
また、残りの突起部7が結束用溝部50から53の近傍に配置されており、これら7個の突起部7により第2の突起部列、換言すれば第2の櫛状部分が形成されている。
また、上記の第1の突起部列及び第2の突起部列の其々は、切断用溝部55から58を介して対向する位置に設けられている。
また、上記の分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1B及び1Cと同様に、突起部7及びこれにより形成される空間部の個数等は任意に変更可能である。
また、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Dの材質は、アルミニウム等の金属又はプラスチック等の樹脂である。
分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1Dの構成は以上のとおりであり、これを用いて分岐型光ファイババンドルを製造するにあたっては、図8で示した方法により光ファイバ素線12が巻き重ねられ、巻き重ねられた光ファイバ素線12が結束及び切断され、これにより得られた光ファイバ素線束41(図9)に対して、図10で示した方法により分岐端部が作製される。
上記の手順をもって製造された分岐型光ファイババンドルは、上記の分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1B及び1Cにより製造された分岐型光ファイババンドルと同様の構造を有し、且つ同様の効果を奏する。
次に、図15を参照しつつ、本発明の第5の実施例(実施例5)に係る分岐型光ファイババンドル製造装置101について説明する。
分岐型光ファイババンドル製造装置101は、上記の分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1A、1B、1C及び1D(以下、これらを“分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1”と総称する)を用いたものである。
この分岐型光ファイババンドル製造装置101は、作業台66と、光ファイバ素線リール59A、59B、59C、59D及び59Eと、リール駆動部60と、光ファイバ素線ガイド部材61A、61B、61C、61D、61E、62A、62B、62C、62D及び62Eと、ガイド部材駆動部63と、5個の分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1と、ボビン駆動部64と、制御部65を有する。
光ファイバ素線リール59Aから59Eの其々は、図3及び図8に示した光ファイバ素線12と同様の光ファイバ素線12Aから12Eの其々を予め巻き取っており、これらの全てには回転用のシャフトが貫通している。
分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1の全てには、回転用のシャフトが貫通しており、このシャフトは、ボビン駆動部64により回転され、これにより分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1の全てが同時に回転され、光ファイバ素線12Aから12Eが巻き重ねられる。
光ファイバ素線ガイド部材61Aから61Eは、光ファイバ素線12Aから12Eの垂直位置を規定する。これにより光ファイバ素線12Aから12Eを分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1に適切に巻き重ねることができる。
光ファイバ素線ガイド部材62Aから62Eは、光ファイバ素線12Aから12Eの水平位置を規定する。また、これらの全てはガイド部材駆動部63により同時に水平移動され、これにより図3及び図8に示したように光ファイバ素線12(12Aから12E)を空間部から別の空間部へと移動させる。以上の構成をとることにより光ファイバ素線12Aから12Eを分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1に適切に巻き重ねることができる。
なお、上記の光ファイバ素線ガイド部材61Aから61Eを同時に垂直移動させる駆動部をさらに設けてもよい。これにより、光ファイバ素線12Aから12Eの空間部間の移動をさらに確実に行うことが可能となる。
リール駆動部60は、前記のシャフトを回転させることにより光ファイバ素線リール59Aから59Eの全てを同時に回転させるものであり、光ファイバ素線12Aから12Eの巻き重ね及び切断が終了した後に光ファイバ素線12Aから12Eの余剰分を光ファイバ素線リール59Aから59Eに巻き戻す場合などに用いられる。
制御部65は、リール駆動部60、ガイド部材駆動部63及びボビン駆動部64を自動制御する。
また、上記の各構成要素の他に、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1における光ファイバ素線12Aから12Eの巻き重ね回数(巻き重ね本数)を測定するセンサ等を設けることもできる。
以上のように、分岐型光ファイババンドル製造装置101は、複数個(本実施例では5個)の分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1を備え、これら全てにおいて同時に光ファイバ素線12の巻き重ね等を行うため、図4の光ファイバ素線束21及び22ならびに図9の光ファイバ素線束41を複数本作製することができ、其々の光ファイバ素線束において分岐端部並びに非分岐端部を作製することにより複数本の分岐型光ファイババンドルを同時若しくは短時間で製造することができるため、作業効率性に優れている。
また、複数本の光ファイバ素線束を1本に束ねることにより分岐型光ファイババンドルを製造することもできる。この場合においても、複数本の光ファイバ素線束を同時に作製することができるため、作業効率性に優れている。
なお、上記のように複数本の光ファイバ素線束から1本の分岐型光ファイババンドルを製造する場合、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1の数が多くなると、分岐型光ファイババンドルの直径が増大し、入射光の明暗パターンが出射光に反映される確率が増大するため、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1の個数、これにおける巻き重ね回数(巻き重ね本数)等は、上記の反映確率が増大しないように調整される。
また、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1の個数は、上記の反映確率が増大しなければ、2個、3個あるいは6個以上でもよく、また、無論1個でもよい。
また、本実施例においては、光ファイバ素線12を巻き重ねるにあたって、これ自身を水平方向に移動させる場合を示したが、分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1を水平方向に移動させることにより、光ファイバ素線12を空間部から別の空間部に移動させる構成とすることもできる。
また、分岐型光ファイババンドル製造用ボビンを回転させ、光ファイバ素線12あるいは分岐型光ファイババンドル製造用ボビン1を水平方向に往復移動させるだけで光ファイバ素線12の巻き重ねを行えるため、自動制御が容易であり、また、作業効率性に優れており、工数や人件費等のコストを削減することが可能である。
(a)は、本発明の実施例1に係る分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの正面図であり、(b)は、(a)に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの上面図であり、(c)は、(a)に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの側断面図である。
図1に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの斜視図である。
図1及び図2に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンにおける光ファイバ素線の巻き重ね方法を説明するための図である。
図1及び図2に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンによって製造された光ファイバ素線束を示す図である。
図4に示した光ファイバ素線束における分岐端部の作製方法を説明するための図である。
(a)は、本発明の実施例2に係る分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの正面図であり、(b)は、(a)に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの上面図であり、(c)は、(a)に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの側断面図である。
図6に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの斜視図である。
図6及び図7に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンにおける光ファイバ素線の巻き重ね方法を説明するための図である。
図6及び図7に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンによって製造された光ファイバ素線束を示す図である。
図9に示した光ファイバ素線束における分岐端部の作製方法を説明するための図である。
(a)は、本発明の実施例3に係る分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの正面図であり、(b)は、(a)に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの上面図であり、(c)は、(a)に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの側断面図である。
図11に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの斜視図である。
(a)は、本発明の実施例4に係る分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの正面図であり、(b)は、(a)に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの上面図であり、(c)は、(a)に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの側断面図である。
図13に示した分岐型光ファイババンドル製造用ボビンの斜視図である。
本発明の実施例5に係る分岐型光ファイババンドル製造用ボビンを用いた分岐型光ファイババンドル製造装置の構成を示す図である。
符号の説明
1、1A、1B、1C、1D 分岐型光ファイババンドル製造用ボビン
2、3、23、24、25、26、42、45、46、47、48 巻き重ね用部材
4、55、56、57、58 切断用溝部
5、6 側面部材
7 突起部
8、9、10、11、27、28、29、30、31、43、44、49、50、51、52、53 結束用溝部
12 光ファイバ素線
21、22、41 光ファイバ素線束
59A、59B、59C、59D、59E 光ファイバ素線リール
60 リール駆動部
61A、61B、61C、61D、61E、62A、62B、62C、62D、62E
光ファイバ素線ガイド部材
63 ガイド部材駆動部
64 ボビン駆動部
65 制御部
66 作業台
100A、100B、100C、100D 本体
101 分岐型光ファイババンドル製造装置
215B、216B、225B、226B、419B、420B、421B、422B
分岐端部