JP4091396B2 - フラットパネルディスプレー製造用剥離液及びそれを使用するフラットパネルディスプレー用アルミニウム電極形成方法 - Google Patents

フラットパネルディスプレー製造用剥離液及びそれを使用するフラットパネルディスプレー用アルミニウム電極形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板からマスクを剥離させるためのフラットパネルディスプレー製造用剥離液と、それを用いるフラットパネルディスプレー用アルミニウム電極形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フラットパネルディスプレー(以下、FPDと略記)は、基板上に微小な電極が配列された構成を有する。例えば、FPDの一種であるプラズマディスプレーパネル(以下、PDPと略記)は、ガラス基板上に放電電極やアドレス電極といった電極を配列して形成されている。これらの電極は、エッチング技術やフォトリソグラフィ技術によって従来形成されてきたが、近年、リフトオフ技術による形成方法が知られるようになってきた(例えば特許文献1)。
【0003】
リフトオフ技術では、基板にアルカリ可溶性のフォトレジストでマスクを形成し、蒸着やスパッタリングといった方法で金属膜を形成した後、アルカリ性の溶液を含んだ剥離液によってマスクを剥離させることで電極を形成する。この方法は、エッチングと剥離の2工程で廃液が発生するエッチング技術に較べて廃液の量が少ない点や、金属粉末を含んだ感光性樹脂を基板に塗布して露光を行なうフォトリソグラフィ技術に較べて金属膜の厚い電極を形成できる点で好ましい。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−160879号公報(第4頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
FPD電極の材料には、アルミニウムを適用することが、材料の価格の点で好ましい。しかしながら、上記特許文献1の場合には、アルミニウムのような両性金属で電極を形成する場合、マスクの剥離によって高濃度のアルミニウムイオンを含んだ廃液が発生し、この廃液の処理に高い経費を要するため、結果としてFPDが高価になるという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、マスクを剥離するときに高濃度で金属イオンを含んだ廃液を発生させることなくフラットパネルディスプレー用アルミニウム電極を形成できるようにして、安価にフラットパネルディスプレーを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、基板からアルカリ可溶性のマスクを剥離させるためのフラットパネルディスプレー製造用剥離液であって、
水とアルカリとキレート剤と水溶性酸化防止剤とを含み、
前記キレート剤は、ピロガロール及びカテコールの少なくとも一方を含み、
前記アルカリは、アルカリ金属の水酸化物、第4級アンモニウム塩、メタ珪酸ナトリウムから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、フラットパネルディスプレー製造用剥離液は、水とアルカリとキレート剤と水溶性酸化防止剤とを含み、キレート剤はピロガロール及びカテコールの少なくとも一方を含む。このことにより、基板にアルカリ可溶性のマスクを設け、アルミニウムのような両性金属の膜でフラットディスプレーパネルの電極を形成する場合、剥離液でマスクを剥離する時には、キレート剤が膜の表面で両性金属と錯体を形成することで、両性金属の膜が保護される。
また、ピロガロールやカテコールは、両性金属と反応してアルカリ不溶性の錯体を容易に形成するため、アルカリに対して両性金属の膜を効果的に保護する。よって、剥離液への両性金属の溶出を抑制することで、マスクを剥離した後の剥離液の処理に係る経費を軽減できる。
【0009】
それに加えて、剥離液が水溶性酸化防止剤を含むことで、ピロガロールやカテコールが酸化により黒色化して基板を汚染することが防止される。よって、マスクを剥離した後の基板の洗浄が容易となる。
これらのことにより、両性金属の電極等を有する基板を、安価に作製できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフラットパネルディスプレー製造用剥離液において、
前記水溶性酸化防止剤は、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムの少なくとも1種を含むことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、基板にアルカリ可溶性のマスクを形成し、次いでアルミニウム膜を形成した後、剥離液で前記マスクを剥離させてアルミニウム電極を形成するフラットパネルディスプレー用アルミニウム電極形成方法であって、
前記剥離液として、水とアルカリとキレート剤と水溶性酸化防止剤とを含み、前記キレート剤は、ピロガロール及びカテコールの少なくとも一方を含むフラットパネルディスプレー製造用剥離液を用いることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明によれば、アルカリ可溶性のマスクが形成され、次いでアルミニウム膜が形成された基板から、請求項1に記載のフラットパネルディスプレー製造用剥離液で処理してマスクを剥離させることで、基板にアルミニウム電極が形成される。このとき、剥離液にキレート剤が含まれていることで、マスク剥離後の剥離液中のアルミニウム濃度が低く抑えられる。よってマスク剥離に伴なって発生する廃液の処理を安価に行なうことができる。また、剥離液に含まれる水溶性酸化防止剤によってキレート剤の酸化による黒色化が防止されるので、マスク剥離時の基板の汚染が防止されて基板の洗浄を容易にすることができる。これらのことにより、フラットパネルディスプレー用アルミニウム電極を安価に作製できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のフラットパネルディスプレー製造用剥離液(以下、剥離液と略記)は、FPDの基板上にアルカリ可溶性のマスクとして設けられる感光性樹脂フィルムを、両性金属膜形成後に剥離するためものであって、水を主成分として、アルカリとキレート剤と水溶性酸化防止剤とを含む。
【0013】
基板は、両性金属膜を形成可能であれば特に限定しないが、光透過性の点から、ガラスやプラスチックが好ましい。また、両性金属としては、アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛が挙げられるが、電気特性、膜形成の容易さ、価格等の点からアルミニウムが好ましい。
感光性樹脂フィルムは、光重合性ポリマーと架橋剤と光重合開始剤とを含む。工程の簡便さの点で、感光性樹脂フィルムはドライフィルムが好ましく、この場合周知のラミネータなどで基板上に密着させて設ける。また、フィルム材料と溶媒とを含む組成物を基板表面にスクリーン印刷、ロールコーター、スピンナー等で塗布後、溶媒を除去しフィルム化することで、基板上に設けてもよい。
基板上に形成された感光性樹脂フィルムは、フォトマスクを被った状態で露光することで所定箇所のみ光硬化する。次いで弱アルカリ水溶液等の現像液で現像することで硬化部分以外が溶解して除かれ、所定形状のフォトレジストパターン(以下、パターンと略記)が形成される。このパターンが、基板に両性金属膜を形成する際にマスクとして機能する。パターンはアルカリ可溶性であり、両性金属膜形成後、後述する剥離液によって除去される。
【0014】
感光性樹脂フィルムの光重合性ポリマーとしては、アルカリ可溶性であること、基板との接着性がよいこと、現像液によって容易に除去できること等の要件を満たすものが適用可能である。このような光重合性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレートなどのセルロース誘導体、アクリル酸又はメタクリル酸共重合体等を挙げることができる。アクリル酸又はメタクリル酸共重合体を適用する場合、共重合体の共重合成分としては、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、ソルビン酸、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、スチレン、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、エチレングリコールモノメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、ジペンタエリトリトールモノアクリレート、ジペンタエリトリトールモノメタクリレート、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることができる。
光重合性ポリマーはアルカリ可溶性であることから、その酸価は50〜200mgKOH/gであることが好ましい。この観点から、アクリル酸又はメタクリル酸共重合性にあっては共重合成分としてアクリル酸、メタクリル酸は必須成分となる。
【0015】
また感光性樹脂フィルムに含まれる架橋剤は、光重合開始剤の存在下で活性光源により光重合性ポリマーを架橋し、現像液に対して不溶な架橋ポリマーを形成する化合物である。架橋剤は、生成した架橋ポリマーが現像液に対しては不溶性であり、強アルカリ性の剥離液に対しては可溶性となる化合物として、例えばエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1ヶ所以上有する化合物が適用可能である。上記化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシアクリレート、フェノキシメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら化合物は、アルカリ可溶性ポリマー100質量部に対して25〜75質量部加えることが好ましい。
上記化合物の量が25質量部を下回る場合には、露光によって光重合性ポリマーが十分に架橋しないため、現像液中でパターンが溶解してしまう。一方、上記化合物の量が75質量部を上回る場合には、光重合性ポリマーの架橋が進みすぎるため、パターンが剥離液中で効率的に剥離できなくなる。
【0016】
感光性樹脂フィルムに含まれる光重合開始剤としては光分解型、水素移動型等が使用できる。具体例としては、ビスイミダゾール、1−クロロアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4,6−(トリハロメチル)トリアジン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。光重合開始剤は、架橋剤100質量部に対して0.005〜30質量部添加することが好ましい。
光重合開始剤の量が0.005質量部を下回る場合には、光照射によって効率的に光重合性ポリマーが架橋されないため、パターンが現像液に溶解する。一方、光重合開始剤の量が30質量部を上回る場合には、光照射の際に架橋反応を制御できなくなり、光重合性ポリマーの架橋が進みすぎるため、剥離液中でパターンが効率的に剥離しなくなる。
【0017】
感光性樹脂フィルムは、上述の成分の他に、光吸収剤、光重合促進剤、発色剤等が添加されることとしてもよい。
光吸収剤は、感光性樹脂フィルムに照射され、基板で反射した紫外線を吸収することで、フォトマスクにより覆われた部分の光重合開始剤の活性化により起こるハレーションを防止して、パターンの精度を高める。光吸収剤に適用可能な化合物としては、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、ベンゾフェノン系染料、トリアジン系染料、ベンゾトリアゾール系染料、アントラキノン系染料等が挙げられる。
【0018】
発色剤は、水素移動型の光重合開始剤から水素原子を引き抜くことにより発色し、光吸収剤として作用する化合物であり、ロイコ染料等が適用可能である。
光重合促進剤は、水素移動型の光重合開始剤に対して水素原子を供給することで、重合速度を向上させる。光重合促進剤としては、アミン化合物やアルカノールアミン化合物といった活性水素供与体が適用可能である。
【0019】
本発明の剥離液は、水とアルカリとキレート剤と水溶性酸化防止剤とを含んで構成される。剥離液は、パターンが形成され、次いで両性金属膜が形成された基板からパターンを剥離させる。
【0020】
アルカリは、剥離液をアルカリ性にして、パターンをなすポリマーが溶解可能な状態にする。
アルカリとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属の水酸化物や、第4級アンモニウム塩、メタケイ酸ナトリウムから選択される少なくとも1種を含む。アルカリとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属の水酸化物が、パターンをなすポリマーの溶解速度の点で好ましい。
アルカリの量は、水100質量部に対して1質量部〜15質量部とすることが好ましい。アルカリの量が1質量部を下回る場合には、効率的にパターンの剥離が進行しない。一方、アルカリの量が15質量部を超える場合には、アルカリ可溶性マスクの剥離と併行して、基板が侵食されるという問題が生じる。
【0021】
キレート剤は、両性金属膜の表面の原子と結合することで、アルカリ不溶性の錯体からなる被膜を形成して両性金属膜を保護する。
キレート剤としては、ピロガロール及びカテコールの少なくとも一方を含むことを要するが、その他のキレート剤として、例えばレゾルシノール等の2価フェノール、ヒドロキシヒドロキノン、フロログルシノール等の3価フェノールが適用可能である。
キレート剤の量は、アルカリ100質量部に対して、0.1質量部〜15質量部とすることが好ましい。キレート剤の量が0.1質量部を下回る場合、両性金属膜が錯体によって十分に保護されず、剥離液の両性金属の濃度が高くなる。一方、キレート剤の量が15質量部を超える場合には、剥離時間が長くなり、剥離の能率が低下するという問題が生じる。キレート剤の量は、アルカリ100質量部に対して、1質量部〜10質量部とすることがさらに好ましい。
【0022】
水溶性酸化防止剤は、キレート剤が酸化され、黒色化して基板を汚染することを防止する。水溶性酸化防止剤は、水溶性で、高い還元力を有し、且つ酸化物が無色である化合物が適用可能である。水溶性酸化防止剤としては、例えばアスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムの少なくとも1種を含む。水溶性酸化防止剤は、これらの化合物を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
水溶性酸化防止剤の量は、キレート剤100質量部に対して、1質量部〜25質量部とすることが好ましい。水溶性酸化防止剤の量が1質量部を下回る場合、キレート剤の酸化を効果的に防ぐことができず、基板が汚染される。一方、キレート剤の量が25質量部を超える場合には、剥離時間が長くなるという問題が生じる。水溶性酸化防止剤の量は、キレート剤100質量部に対して、2質量部〜20質量部とすることがさらに好ましい。
上記成分の他、剥離液は有機溶媒等を含んでもよい。
【0023】
次に、本発明の剥離液を使用するFPD用アルミニウム電極形成方法について説明する。ここで、FPDは、PDP、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレーパネル、液晶ディスプレーパネルを含む。
FPD用アルミニウム電極の形成に適用される技術としては、リフトオフ技術やエッチング技術及びフォトリソグラフィ技術があり、リフトオフ技術及びエッチング技術で剥離液を使用する。その内、リフトオフ技術は、エッチング技術に較べて廃液の発生する工程が少ない点で好ましい。よって、本明細書ではリフトオフ技術を例に取ってFPD用アルミニウム電極形成方法を説明する。
【0024】
まず、基板上に感光性樹脂フィルムを接着する。感光性樹脂フィルムは、例えば上述の組成のものを剥離フィルム上に形成し、これを基板表面に重ね合わせ、ホットロールラミネーター等によって基板に熱圧着することで接着される。
感光性樹脂フィルムを接着後、アルミニウム電極の形状に対応したフォトマスクを感光性樹脂フィルム上にかぶせて露光を行なう。露光後、感光性樹脂フィルムを現像液で処理することで、架橋部だけが基板上に残り、パターンが形成される。
【0025】
パターン形成後、アルミニウム膜を基板上に形成する。アルミニウム膜形成方法としては、蒸着とスパッタリングがあるが、密着性や精度の点でスパッタリングが好ましい。
アルミニウム膜の形成後、基板を本発明の剥離液に浸漬することで、基板を剥離液と接触させる。ここで、アルミニウム膜形成の際、パターン形状によっては、パターンがガラス基板と接触する裾部にアルミニウム膜が付くため、パターンが剥離液と十分に接触せず、剥離するのが難しくなる場合がある。よって、パターンの形状は断面視略逆台形状とするのが好ましい。
ここで、スパッタリング法を採用する場合、基板が150〜200℃に加熱されることに伴なってパターンにクラックが形成されるので好ましい。剥離液はクラックや裾部でパターンと接触することで、パターンを形成する架橋ポリマーを溶解するして、基板からパターンを剥離させる。こうして基板上に、アルミニウム電極が形成される。
【0026】
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0027】
【実施例】
1.感光性樹脂フィルム調製
感光性樹脂フィルム調整のため、まずアルカリ可溶性ポリマーを調製した。
イソメチルメタクリレート20質量部、メチルメタクリレート50質量部、ヒドロキシプロピルアクリレート10質量部、メタクリル酸20質量部、メチルエチルケトン(以下、MEKと略記)225質量部を三口フラスコに入れた後、窒素ガスバブリングで溶存酸素を除去した。溶存酸素除去後、液温を70℃に保ちながら、2、2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)(商品名V−65、和光純薬(株)製、熱重合開始剤)1.5質量部をMEK10質量部に溶解させた溶液を滴下した。滴下後、液温を70℃に保ったまま重合を2時間行ない、その後液温をMEK沸点(75℃)に上昇させ、12時間還流させて熱重合開始剤を分解することで、光重合性ポリマー懸濁液(固形分45%)を得た。光重合性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は7万だった。
【0028】
上記懸濁液24.4質量部に、架橋剤として、テトラエチレングリコールジアクリレート2.5質量部とテトラエチレングリコールジアクリレート2.5質量部を加え、攪拌、混合した。
【0029】
架橋剤を加えた懸濁液に、ジメチルアミノベンゾフェノン(重合促進剤、光吸収剤)溶液(ジメチルアミノベンゾフェノン0.02質量部をMEK2質量部に溶解)を加え、引き続いてビスイミダゾール(光反応開始剤)−ロイコ染料(増感剤)溶液(ビスイミダゾール0.4質量部とロイコ染料0.04質量部をテトラヒドロフラン3質量部に溶解)を加えて感光液を調製した。
上記感光液をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ20μm)上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるようにして塗布し、乾燥することで感光性樹脂フィルムを得た。
【0030】
2.剥離液調整
純水98質量部にL−アスコルビン酸(水溶性酸化防止剤)10質量部を溶解させ、引き続いて水酸化ナトリウム(アルカリ)2質量部及びピロガロール(キレート剤)5質量部を溶解させることで、剥離液を得た。
【0031】
3.パターン形成及びアルミニウム膜形成
パターン形成のため、まず感光性樹脂フィルムを基板に接着した。ここで、基板には、ガラス基板を適用した。
80℃に予熱した基板に、感光性樹脂フィルムを圧着した。圧着の条件は、温度105℃、ラミネート圧290kPa、ラミネートスピード1m/minとした。
感光性樹脂フィルムを圧着し、冷却した後、PETフィルムを剥してから露光を行なった。感光性樹脂フィルムにフォトマスクをかぶせた後、超高圧水銀灯(2kW、平行光)を用いて露光した。照射量は60mJ/cm2であった。
【0032】
露光後、現像液を感光性樹脂フィルムに噴射して現像を行なった。現像液には1%炭酸ナトリウム水溶液を用い、噴射圧は150kPa、現像温度30℃、現像時間24秒とした。現像により、線幅70μm、ピッチ150μmのパターンが得られた。
現像後、基板表面に厚さ1μmのアルミニウム膜をスパッタリングにより形成した。
【0033】
4.パターン剥離
上述の様にしてアルミニウム膜の形成された基板を用い、剥離時間と、剥離後の剥離液中のアルミニウム濃度を測定した。ここで、剥離時間とは、基板を剥離液に浸漬し初めてから、感光性樹脂フィルムが基板から完全に剥離したことを目視による観察で確認するまでの時間である。
上述の様にして調製された剥離液を40℃に保ち、基板を浸漬した。剥離時間は60秒であった。剥離後の剥離液中のアルミニウム濃度は250ppb以下であった。また、剥離後、剥離液はほぼ無色であり、基板は汚染されなかった。
【0034】
〔比較例1〕
剥離液として、実施例の剥離液からL−アスコルビン酸及びピロガロールを除いた組成の溶液を用い、他の条件は実施例とそろえて剥離時間を測定した。その結果、剥離時間は45秒であり、剥離後のアルミニウム濃度は10ppmであった。また、剥離後の剥離液はほぼ無色であり、基板は汚染されなかった。
【0035】
〔比較例2〕
剥離液として、実施例の剥離液からL−アスコルビン酸を除いた組成の溶液を用い、他の条件は実施例とそろえて剥離時間を測定した。その結果、剥離時間は58秒であり、剥離後のアルミニウム濃度は250ppb以下であった。
剥離中に、ピロガロールの酸化によって剥離液が黒色化し、基板が汚染された。
【0036】
〔比較例3〕
剥離液として、実施例の剥離液からピロガロールを除いた組成の溶液を用い、他の条件は実施例とそろえて剥離時間を測定した。その結果、剥離時間は46秒であり、剥離後のアルミニウム濃度は15ppmであった。剥離後の剥離液はほぼ無色であり、基板は汚染されなかった。
【0037】
実施例及び比較例1〜3の結果から明らかなように、アルカリを含む剥離液にキレート剤としてピロガロールを加えることにより、アルミニウムの剥離液への溶出が抑制される。また、剥離液に水溶性酸化防止剤としてL−アスコルビン酸を加えることにより、キレート剤の酸化に伴なう基板の汚染が防止される。
【0038】
なお、本発明に係るFPD製造用剥離液は上述の実施例に限らない。キレート剤としては、カテコールを用いても良いし、ピロガロールとカテコールを併用しても良いし、カテコールやピロガロールと、他のキレート剤とを組み合わせて用いてもよい。
また、水溶性酸化防止剤には、L−アスコルビン酸の他にも、D−アスコルビン酸や水溶性のアルデヒド等を適用しても良いし、2種類以上の酸化防止剤を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
また、本発明に係るFPD製造用剥離液は、エッチング技術を用いたFPD用アルミニウム電極形成方法にも適用可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、アルミニウムのような両性金属でフラットパネルディスプレーの電極を形成する場合に、フラットパネルディスプレー製造用剥離液に含まれるキレート剤により、マスクの剥離の段階で発生する廃液の金属イオン濃度を低く抑えることができる。また、フラットパネルディスプレー製造用剥離液が水溶性酸化防止剤を含むことで、キレート剤酸化に伴なう基板の汚染を防止できる。これらのことにより、フラットパネルディスプレーを安価に提供できる。

Claims (3)

  1. 基板からアルカリ可溶性のマスクを剥離させるためのフラットパネルディスプレー製造用剥離液であって、
    水とアルカリとキレート剤と水溶性酸化防止剤とを含み、
    前記キレート剤は、ピロガロール及びカテコールの少なくとも一方を含み、
    前記アルカリは、アルカリ金属の水酸化物、第4級アンモニウム塩、メタ珪酸ナトリウムから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするフラットパネルディスプレー製造用剥離液。
  2. 前記水溶性酸化防止剤は、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のフラットパネルディスプレー製造用剥離液。
  3. 基板にアルカリ可溶性のマスクを形成し、次いでアルミニウム膜を形成した後、剥離液で前記マスクを剥離させてアルミニウム電極を形成するフラットパネルディスプレー用アルミニウム電極形成方法であって、
    前記剥離液として、水とアルカリとキレート剤と水溶性酸化防止剤とを含み、前記キレート剤は、ピロガロール及びカテコールの少なくとも一方を含むフラットパネルディスプレー製造用剥離液を用いることを特徴とするフラットパネルディスプレー用アルミニウム電極形成方法。
JP2002297208A 2002-10-10 2002-10-10 フラットパネルディスプレー製造用剥離液及びそれを使用するフラットパネルディスプレー用アルミニウム電極形成方法 Expired - Fee Related JP4091396B2 (ja)

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