JP4089713B2 - 波形データ再生装置および記録媒体 - Google Patents
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Description
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、伸縮率nに応じて聴感上の拍位置すなわちピーク位置を最適な位置に設定する波形データ再生装置および記録媒体を提供することを目的としている。
請求項1記載の波形データ再生装置にあっては、原波形データを複数の区間(1r〜12r)に分割する区切り位置と、前記各区間のピークレベルが生じるピーク位置とが既知である前記原波形データを再生する波形データ再生装置であって、前記原波形データを再生する再生手段と、前記各区間毎に前記原波形データの開始位置から当該区間の開始に対応する区切り位置までの時間を開始時間Tsとし、該区切り位置から当該区間のピーク位置までの時間を立上り時間Ttとし、前記原波形データに対する再生時のテンポの伸縮率をnとし、前記原波形データの再生を開始した後、「n(Ts+Tt)−Tt」の時間が経過した時に前記区切り位置以降の原波形データの再生を開始するように前記再生手段における前記原波形データの再生を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
また、請求項2記載の波形データ再生装置にあっては、原波形データを複数の区間に分割する区切り位置と、前記各区間のピークレベルが生じるピーク位置とが既知である前記原波形データを記憶した記憶手段と、自動演奏のテンポクロックが供給されると、該テンポクロックをカウントするカウント手段と、前記各区間毎に、前記原波形データの開始位置から当該区間の開始に対応する区切り位置までの時間を開始時間Tsとし、該区切り位置から当該区間のピーク位置までの時間を立上り時間Ttとし、前記原波形データの録音時のテンポに対する前記供給されたテンポクロックのテンポの伸縮率をnとし、前記原波形データの再生を開始した後、「n(Ts+Tt)−Tt」の時間が経過した時に前記区切り位置以降の原波形データの再生を開始するよう再生タイミングを設定する設定手段と、前記原波形データを分割した前記複数の区間の波形データ各々の再生開始タイミングを、前記カウント手段によるカウント結果と、前記設定された再生タイミングとに基づいて検出し、従前に再生されていた波形データの再生を終了しつつ、当該検出した再生開始タイミングに係る区間の波形データを再生する再生手段とを有し、これによって前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも速い場合は前記分割された各区間の原波形データの一部を順次再生する一方、前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも遅い場合は前記分割された各区間の原波形データの全てを順次再生することを特徴とする。
また、請求項3記載の波形データ再生装置にあっては、原波形データを複数の区間に分割する区切り位置と、前記各区間のピークレベルが生じるピーク位置とが既知である前記原波形データを記憶した記憶手段と、前記分割された原波形データの各区間の各々に対応する複数の追加区間の波形データを生成し、前記各区間の原波形データと該追加区間の波形データとを結合した複数の結合波形データを生成する手段と、自動演奏のテンポクロックが供給されると、該テンポクロックをカウントするカウント手段と、前記各区間毎に、前記原波形データの開始位置から当該区間の開始に対応する区切り位置までの時間を開始時間Tsとし、該区切り位置から当該区間のピーク位置までの時間を立上り時間Ttとし、前記原波形データの録音時のテンポに対する前記供給されたテンポクロックのテンポの伸縮率をnとし、再生を開始した後、「n(Ts+Tt)−Tt」の時間が経過した時に前記区切り位置以降の結合波形データの再生を開始するよう再生タイミングを設定する設定手段と、前記原波形データを分割した前記複数の区間に対応する前記複数の結合波形データの各々の再生開始タイミングを、前記カウント手段によるカウント結果と、前記設定された再生タイミングとに基づいて検出し、従前に再生されていた波形データの再生を終了しつつ、当該検出した再生開始タイミングに係る区間の波形データを再生する再生手段とを有し、これによって前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも速い場合は前記各結合波形データのうち前記分割された各区間の原波形データの一部を順次再生する一方、前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも遅い場合は前記各結合波形データのうち前記分割された各区間の原波形データの全てと前記追加区間の波形データの一部とを順次再生することを特徴とする。
また、請求項4記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体にあっては、原波形データを複数の区間(1r〜12r)に分割する区切り位置と、前記各区間のピークレベルが生じるピーク位置とが既知である前記原波形データを再生する波形データ再生装置に適用される記録媒体であって、前記原波形データを再生する再生過程と、前記各区間毎に前記原波形データの開始位置から当該区間の開始に対応する区切り位置までの時間を開始時間Tsとし、該区切り位置から当該区間のピーク位置までの時間を立上り時間Ttとし、前記原波形データに対する再生時のテンポの伸縮率をnとし、前記原波形データの再生を開始した後、「n(Ts+Tt)−Tt」の時間が経過した時に前記区切り位置以降の原波形データの再生を開始するように前記再生過程における前記原波形データの再生を制御する制御過程とを前記波形データ再生装置に実行させるプログラムを記録したことを特徴とする。
また、請求項5記載の記録媒体にあっては、原波形データを複数の区間に分割する区切り位置と、前記各区間のピークレベルが生じるピーク位置とが既知である前記原波形データを記憶した記憶手段を有する波形データ再生装置に適用される記録媒体であって、自動演奏のテンポクロックが供給されると、該テンポクロックをカウントするカウント過程と、前記各区間毎に、前記原波形データの開始位置から当該区間の開始に対応する区切り位置までの時間を開始時間Tsとし、該区切り位置から当該区間のピーク位置までの時間を立上り時間Ttとし、前記原波形データの録音時のテンポに対する前記供給されたテンポクロックのテンポの伸縮率をnとし、前記原波形データの再生を開始した後、「n(Ts+Tt)−Tt」の時間が経過した時に前記区切り位置以降の原波形データの再生を開始するよう再生タイミングを設定する設定過程と、前記原波形データを分割した前記複数の区間の波形データ各々の再生開始タイミングを、前記カウント過程によるカウント結果と、前記設定された再生タイミングとに基づいて検出し、従前に再生されていた波形データの再生を終了しつつ、当該検出した再生開始タイミングに係る区間の波形データを再生する再生過程とを前記波形データ再生装置に実行させ、これによって前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも速い場合は前記分割された各区間の原波形データの一部を順次再生する一方、前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも遅い場合は前記分割された各区間の原波形データの全てを順次再生させるプログラムを記録したことを特徴とする。
また、請求項6記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体にあっては、原波形データを複数の区間に分割する区切り位置と、前記各区間のピークレベルが生じるピーク位置とが既知である前記原波形データを記憶した記憶手段を有する波形データ再生装置に適用される記録媒体であって、前記分割された原波形データの各区間の各々に対応する複数の追加区間の波形データを生成し、前記各区間の原波形データと該追加区間の波形データとを結合した複数の結合波形データを生成する過程と、自動演奏のテンポクロックが供給されると、該テンポクロックをカウントするカウント過程と、前記各区間毎に、前記原波形データの開始位置から当該区間の開始に対応する区切り位置までの時間を開始時間Tsとし、該区切り位置から当該区間のピーク位置までの時間を立上り時間Ttとし、前記原波形データの録音時のテンポに対する前記供給されたテンポクロックのテンポの伸縮率をnとし、再生を開始した後、「n(Ts+Tt)−Tt」の時間が経過した時に前記区切り位置以降の結合波形データの再生を開始するよう再生タイミングを設定する設定過程と、前記原波形データを分割した前記複数の区間に対応する前記複数の結合波形データの各々の再生開始タイミングを、前記カウント過程によるカウント結果と、前記設定された再生タイミングとに基づいて検出し、従前に再生されていた波形データの再生を終了しつつ、当該検出した再生開始タイミングに係る区間の波形データを再生する再生過程とを前記波形データ再生装置に実行させ、これによって前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも速い場合は前記各結合波形データのうち前記分割された各区間の原波形データの一部を順次再生する一方、前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも遅い場合は前記各結合波形データのうち前記分割された各区間の原波形データの全てと前記追加区間の波形データの一部とを順次再生させるプログラムを記録したことを特徴とする。
次に、本発明の一実施例の波形編集システムのハードウエア構成を図1を参照し説明する。なお、本波形編集システムは、汎用パーソナルコンピュータ上で動作するアプリケーションプログラムおよびドライバ等によって構成されている。
図において2は通信インタフェースであり、インターネット等の外部ネットワークを介して波形データ等のやりとりを行う。4は入力装置であり、キーボード、マウス等から構成されている。6は演奏操作子であり、鍵盤および打楽器を模擬するパッド操作子等によって構成されている。
次に、本実施例の動作を説明する。
まず、パーソナルコンピュータの電源が投入されると、ROM12に格納されたイニシャルプログラムローダが実行され、オペレーティングシステムが立上る。このオペレーティングシステムにおいて所定の操作を行うと、本実施例の波形編集アプリケーションプログラムが起動される。
波形編集アプリケーションプログラムにおいてユーザが所定の操作を行うと、波形取込インタフェース22を介して、処理対象の原波形データがRAM14ないしハードディスク24に取り込まれる。なお、原波形データは、通信インタフェース2あるいは記憶媒体20を介して取得してもよい。
2.2.1.トリミング処理(SP2,SP4)
原波形データが取得された後、所定の操作が行われると、波形編集アプリケーションプログラムにおいて図4に示すプログラムが起動される。まず、原波形データには、その開始部分および終了部分に無音区間が存在する場合がある。そこで、処理がステップSP2に進むと、両無音区間が自動的にトリミング(削除)される。但し、その際、録音した原波形データの演奏テンポ等に応じて、小節長の所定数倍(自然数倍)になるようにトリミングするとよい。
次に、処理がステップSP6に進むと、ユーザによって、制御ポイント検出のための各種パラメータが指定される。指定されるパラメータには、以下のようなものがある。
(1)波形タイプ:このパラメータは、例えば波形データの種別を指定するものであり、「パーカッション系」、「持続系」等に大別され、さらに様々な楽器の原波形データに適した複数のバリエーションに分類されている。この波形タイプに基づいて、閾値等、後述する他のパラメータのデフォルト値が決定される。
(2)小節数:このパラメータは、波形データ(トリミング後の波形データ、以下同)が何小節の波形データであるかを指定するものであり、例えば「1」〜「8」小節の範囲の自然数で指定される。
(4)分解能:このパラメータは、強拍および弱拍の制御ポイントを検出するために1小節あたりどの程度の分解能で波形データを検索するかを指定するパラメータである。例えば、「拍子」が「4/4」であるとき、「分解能」は「4分」、「4分+3」、「8分」、「8分+3」、「16分」、「16分+3」または「32分」の何れかを指定可能である(但し、「+3」は3連符への分割を示す)。ここで、「4分」は1小節を4分するタイミング(4分音符のタイミング)、「4分+3」は12分するタイミング、「8分」は8分するタイミング(8分音符のタイミング)、「8分+3」は24分するタイミング、「16分」は16分するタイミング、「16分+3」は48分するタイミング、「32分」は32分するタイミングにおいて、波形データが検索されることになる。
トリミングされた波形データには様々な周波数成分が含まれているが、この中には制御ポイント検出のために障害になる成分(不要帯域)も含まれている。そこで、次に処理がステップSP8に進むと、これら不要帯域を除去するためにフィルタ処理が施される。このフィルタ処理は、バンドカット処理およびハイパス処理の2種類に大別されるが、不要帯域が分布している態様は楽曲や楽器に応じて異なるため、フィルタ処理の内容は上記「波形タイプ」に応じて決定すると好適である。すなわち、波形タイプに応じて、バンドカット処理およびハイパス処理の双方あるいは何れか一方のみが実行され、フィルタ処理のパラメータも波形タイプに応じて決定される。
まず、波形データの中、メロディ等の音程を持った成分は、制御ポイントの検出に際して障害になる可能性が高い。各種の楽曲を解析した結果、このような成分すなわちボーカルやベース等の持続部分の成分は「80Hz〜8kHz」の帯域に多く現れ、特に「100Hz〜300Hz」の帯域に多く現れる。そこで、バンドカット処理においては、「80Hz〜8kHz」の帯域を減衰させ、特に「100Hz〜300Hz」の帯域を強く減衰させるようなフィルタ処理が行われる。なお、ボーカルやベース等のアタック部(子音やアタックノイズ等)は、当該帯域以外にも広がっているため、フィルタ処理を行ったとしても、制御ポイントは検出可能である。
「制御ポイント」とは、上述したように、波形データの編集処理を行う基準となる位置である。
ステップSP10においては、デフォルトの制御ポイントを設定する手法として、単純決定モードまたは解析モードの何れかの動作モードがユーザによって指定される。次に、処理がステップSP12に進むと、指定された動作モードに応じて、デフォルトの制御ポイントが自動的に決定される。ここで、「単純決定モード」においては、拍単位に制御ポイントが設定される。例えば、1小節、拍子が4/4拍子であれば、波形データを4等分する位置に制御ポイントが設定され、また2小節であれば8等分する位置に設定される。
図6において処理がステップSP102に進むと、不要帯域が除去された波形データに対してダウンサンプル処理が施される。これは、制御ポイントを決定するために必要なサンプリング周波数は、鑑賞用のオーディオデータのサンプリング周波数と比較してはるかに低いため、その後の処理を高速化させるためにサンプリング周波数を低下させることが好適だからである。
(2)絶対値化処理(SP104)
次に、処理がステップSP104に進むと、ダウンサンプルされた波形データの絶対値が求められる。なお、図5(b)の波形に対応して得られた絶対値の例を図7(a)に示す。
次に、処理がステップSP106に進むと、図7(a)の絶対値波形に対して、エンベロープフォロア処理が行われる。これは、絶対値波形のエンベロープ波形を求める処理であるが、絶対値波形の立ち上がりに対してエンベロープ波形を急峻に立ち上げ、絶対値波形の立ち下がりに対してエンベロープ波形を徐々に立ち下げる点に特徴がある。ここで、エンベロープフォロア処理のアルゴリズムを等価な回路ブロックによって表現した例を図8に示す。これは、回路としては入力の上昇時と下降時で異なる係数を使用するようなローパスフィルタである。
図6において次に処理がステップSP108に進むと、コンプレッサ処理が実行される。すなわち、エンベロープフォロア処理結果に基づくエンベロープレベルの平均値が算出され、その平均値よりも高いレベルは低く、また平均値よりも低いレベルは高くなるようにエンベロープレベルが修正される。かかる処理の結果を図7(d)に示す。
図6において次に処理がステップSP110に進むと、エッジ検出フィルタ処理が実行される。これは、エンベロープレベルに対する立ち上がりおよび立下がりを強調する処理である。ここで、エッジ検出フィルタ処理のアルゴリズムを等価な回路ブロック(コムフィルタ)によって表現した例を図9(a)に示す。
図9(a)において72は遅延回路であり、コンプレッサ処理の施されたエンベロープレベルを入力信号とし、これをnサンプリング周期(nは2以上の自然数)遅延させて出力する。74は減算器であり、現サンプリング周期の入力信号から、nサンプリング周期前の入力信号を減算し、その結果をエッジ検出フィルタ処理結果として出力する。同図(b)に入力信号例、同図(c)にこれをnサンプリング周期遅延させ反転した信号例、同図(c)にフィルタ出力信号例(同図(b),(c)の波形の減算結果)を示す。また、かかる処理を図7(d)の波形に施した結果を図10(a)に示す。
図6において次に処理がステップSP112に進むと、エッジ開始位置/ピーク位置検出処理が実行される。エッジ検出フィルタ処理結果を入力信号として、該入力信号の立ち上がりエッジとピーク位置とを検出する処理である。この処理の概要を図11を参照し説明する。同図(a)は、入力信号の一部を時間軸上で拡大した図を示している。この図において、入力信号は所定の閾値Thと比較され、入力信号が閾値Thを超えた時刻をエッジ開始位置(時刻t1)とする。
図6において次に処理がステップSP114に進むと、強拍抽出処理が実行される。
まず、上述したパラメータ設定処理(SP6)においては、ユーザによって「拍子」のパラメータが指定された。強拍抽出処理においては、この指定された拍子に応じて、検出窓が決定される。この検出窓は、拍子に応じて分割される1小節内の各区間(以下、推定強拍区間という)の先頭を基準位置とし、これら推定強拍区間の1/8〜1/2の幅を有する。なお、1/8〜1/2の範囲のうち具体的にどの値を採用するかは「波形タイプ」のパラメータに応じて決定される。
図6において次に処理がステップSP116に進むと、弱拍抽出処理が実行される。
この処理においては、上述したパラメータ設定処理(SP6)において指定された「分解能」のパラメータに基づいて、各小節を分割する位置に検出窓の基準位置が設定される。但し、先のステップSP114において既に強拍が検出された検出窓に対応する基準位置は、本ステップにおいては除かれる。
次に、処理がステップSP118に進むと、必要な場合には、これまでにエッジ情報が検出されなかった検出窓の基準位置に制御ポイントが強制的に設定される。「必要な場合に」とは、具体的には波形タイプとして「持続系」が指定されていた場合である。このような設定を行う理由は、「持続系」の波形のエンベロープは規則的に減衰している(単純減衰である)訳ではないので、立上がりが検出されなかった位置に関しても強制的に制御ポイントを設定した方が音楽的に適切な時間軸制御を行えるからである。
次に、処理がステップSP14に進むと、このデフォルトの制御ポイントがユーザによって編集される。具体的には、上記ウィンドウ上で、必要に応じて制御ポイントが追加、削除または移動される。
上述したように、波形データの始点、終点および制御ポイントによって区切られた区間を、本明細書においては「オリジナルセクション」と呼ぶ。図2(a)のように制御ポイントが決定されたのであれば、同図(b)の上側の長方形列に示されるように、波形データは12個のオリジナルセクション1r〜12rに分割されることになる。
(1)図13(a)に示すように、対応するオリジナルセクションnr(但し、n=1〜12)の次の波形データ(n+1)rをそのままコピーしたもの、あるいは、
(2)同図(b)に示すように対応するオリジナルセクションnrの波形データを時間軸上で反転した波形データ
のうち何れかが選択される。
ここで、デフォルトの状態では、波形タイプが「持続系」である場合は同図(a),パーカッション系である場合は同図(b)の波形データが選択される。その理由について説明しておく。
まず、持続系の音においては、オリジナルセクションnrと挿入セクションni=(n+1)rとは元々連続したセクションであるため、オリジナルセクションnrから挿入セクション(n+1)rへの滑らかな接続が保証されている。ここで、該挿入セクション(n+1)r以外のセクションを挿入セクションとして用いることも可能であるが、持続系の音ではアタックの無い部分(持続系の波形の途中)に制御ポイントが設定されることもある(ステップSP118を参照)ため、考慮が必要である。すなわち、この場合、オリジナルセクションnrと該挿入セクションとの位相が合っていなかった場合には、耳障りなノイズが発生するため、両者間で位相合わせを行う必要が生じ、処理が煩雑になる。一方、上述した例のように、オリジナルセクションnrの次のセクション(n+1)rを挿入セクションとして用いれば、挿入セクションの波形データは、より安定した波形データに基づいて作成することができる。
次に、パーカッション系の音においては、元々ノイズ的な成分が多いため、オリジナルセクションnrから挿入セクションniへの接続部で目立ったノイズは発生しないことが多い。しかし、当該オリジナルセクションnrまたは次のオリジナルセクション(n+1)r等をそのまま挿入セクションniとして用いると、波形の先頭部分のアタックノイズが多少耳障りになる場合がある。そこで、オリジナルセクションnrの波形データを時間軸上で反転した波形データを挿入セクションniとして用いることにより、かかる不具合を解消することができる。さらに、オリジナルセクションnrと挿入セクションniの接続部分をクロスフェードすると、さらに両者を滑らかに接続することが可能になる。なお、反転した波形データを最後まで読み出すと、該反転波形データの終端部分にアタックノイズが再生され、多少耳障りになることがある。かかる場合は、反転波形データの途中のポイント(例えば先頭から2/3程度の長さのポイント)において、該反転波形データを折り返して(時間軸上でさらに反転させて)読み出すとよい。
次に、処理がステップSP18に進むと、挿入セクション1i〜12iのエンベロープ波形が決定される。その決定方法を図14を参照し説明する。図においてあるオリジナルセクションnrのエンベロープレベルの最大値をL1とし、オリジナルセクションnrの終端のエンベロープレベルをL2とし、この最大値L1が現れてからオリジナルセクションnrの終端までの時間をTとする。この期間内においてエンベロープレベルの減衰率drは、
dr=(L1/L2)1/T
によって求めることができる。
ところで、上述した処理においては、録音された波形データに対して拍子と小節数とを定め、これによって最大クロック数maxcountが決定された。また、波形データの長さの絶対時間は既知であるから、逆算すれば「録音時のテンポ」を定めることができる。
この録音時のテンポに拘らず、ユーザは、演奏処理の前に、あるいは演奏処理の途中で適宜再生テンポを設定/変更することができる。ここで、設定されたテンポが録音時のテンポに等しければ、先に求めたクロック数(図16参照)をそのまま用いればよい。しかし、再生時のテンポが録音時のテンポとは異なる場合は、先に図3(a)において説明したように、「もたれ」が生じることになる。
次に、上記結合セクション1t〜12tの波形データを用いて自動演奏を行う処理を、図17を参照し説明する。上述したように自動演奏時においては、4分音符の「1/64」の間隔でテンポクロックが生成され、該テンポクロックが生成される毎に図17に示すプログラムが実行される。
以上のように、本実施例によれば、波形データに対してフィルタ処理を施して制御ポイントを検出するから、個々の波形データの特徴に応じた最適な制御ポイントを抽出することができる。
さらに、本実施例においては、オリジナルのエッジ開始時間Tsおよび立上り時間Ttと、再生時のテンポ(テンポの伸縮率n)との関係に応じて、生成開始クロック数を補正することにより、「n(Ts+Tt)−Tt」のタイミングで各オリジナルセクションの再生を開始させることができるから、テンポの伸縮率nと聴感上の拍タイミングとの整合性を確保することができる。
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
(1)上記各実施例はパーソナルコンピュータ上で動作するアプリケーションプログラムによって波形編集システムを実現したが、同様の機能を各種の電子楽器、携帯電話器、アミューズメント機器、その他楽音を発生する装置に使用してもよい。また、上記実施例に用いられるソフトウエアをCD−ROM、フレキシブルディスク等の記録媒体に格納して頒布し、あるいは伝送路を通じて頒布することもできる。
Claims (6)
- 原波形データを複数の区間に分割する区切り位置と、前記各区間のピークレベルが生じるピーク位置とが既知である前記原波形データを再生する波形データ再生装置であって、
前記原波形データを再生する再生手段と、
前記各区間毎に前記原波形データの開始位置から当該区間の開始に対応する区切り位置までの時間を開始時間Tsとし、該区切り位置から当該区間のピーク位置までの時間を立上り時間Ttとし、前記原波形データに対する再生時のテンポの伸縮率をnとし、前記原波形データの再生を開始した後、「n(Ts+Tt)−Tt」の時間が経過した時に前記区切り位置以降の原波形データの再生を開始するように前記再生手段における前記原波形データの再生を制御する制御手段と
を有することを特徴とする波形データ再生装置。 - 原波形データを複数の区間に分割する区切り位置と、前記各区間のピークレベルが生じるピーク位置とが既知である前記原波形データを記憶した記憶手段と、
自動演奏のテンポクロックが供給されると、該テンポクロックをカウントするカウント手段と、
前記各区間毎に、前記原波形データの開始位置から当該区間の開始に対応する区切り位置までの時間を開始時間Tsとし、該区切り位置から当該区間のピーク位置までの時間を立上り時間Ttとし、前記原波形データの録音時のテンポに対する前記供給されたテンポクロックのテンポの伸縮率をnとし、前記原波形データの再生を開始した後、「n(Ts+Tt)−Tt」の時間が経過した時に前記区切り位置以降の原波形データの再生を開始するよう再生タイミングを設定する設定手段と、
前記原波形データを分割した前記複数の区間の波形データ各々の再生開始タイミングを、前記カウント手段によるカウント結果と、前記設定された再生タイミングとに基づいて検出し、従前に再生されていた波形データの再生を終了しつつ、当該検出した再生開始タイミングに係る区間の波形データを再生する再生手段と
を有し、これによって前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも速い場合は前記分割された各区間の原波形データの一部を順次再生する一方、前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも遅い場合は前記分割された各区間の原波形データの全てを順次再生することを特徴とする波形データ再生装置。 - 原波形データを複数の区間に分割する区切り位置と、前記各区間のピークレベルが生じるピーク位置とが既知である前記原波形データを記憶した記憶手段と、
前記分割された原波形データの各区間の各々に対応する複数の追加区間の波形データを生成し、前記各区間の原波形データと該追加区間の波形データとを結合した複数の結合波形データを生成する手段と、
自動演奏のテンポクロックが供給されると、該テンポクロックをカウントするカウント手段と、
前記各区間毎に、前記原波形データの開始位置から当該区間の開始に対応する区切り位置までの時間を開始時間Tsとし、該区切り位置から当該区間のピーク位置までの時間を立上り時間Ttとし、前記原波形データの録音時のテンポに対する前記供給されたテンポクロックのテンポの伸縮率をnとし、再生を開始した後、「n(Ts+Tt)−Tt」の時間が経過した時に前記区切り位置以降の結合波形データの再生を開始するよう再生タイミングを設定する設定手段と、
前記原波形データを分割した前記複数の区間に対応する前記複数の結合波形データの各々の再生開始タイミングを、前記カウント手段によるカウント結果と、前記設定された再生タイミングとに基づいて検出し、従前に再生されていた波形データの再生を終了しつつ、当該検出した再生開始タイミングに係る区間の波形データを再生する再生手段と
を有し、これによって前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも速い場合は前記各結合波形データのうち前記分割された各区間の原波形データの一部を順次再生する一方、前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも遅い場合は前記各結合波形データのうち前記分割された各区間の原波形データの全てと前記追加区間の波形データの一部とを順次再生することを特徴とする波形データ再生装置。 - 原波形データを複数の区間に分割する区切り位置と、前記各区間のピークレベルが生じるピーク位置とが既知である前記原波形データを再生する波形データ再生装置に適用される記録媒体であって、
前記原波形データを再生する再生過程と、
前記各区間毎に前記原波形データの開始位置から当該区間の開始に対応する区切り位置までの時間を開始時間Tsとし、該区切り位置から当該区間のピーク位置までの時間を立上り時間Ttとし、前記原波形データに対する再生時のテンポの伸縮率をnとし、前記原波形データの再生を開始した後、「n(Ts+Tt)−Tt」の時間が経過した時に前記区切り位置以降の原波形データの再生を開始するように前記再生過程における前記原波形データの再生を制御する制御過程と
を前記波形データ再生装置に実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 原波形データを複数の区間に分割する区切り位置と、前記各区間のピークレベルが生じるピーク位置とが既知である前記原波形データを記憶した記憶手段を有する波形データ再生装置に適用される記録媒体であって、
自動演奏のテンポクロックが供給されると、該テンポクロックをカウントするカウント過程と、
前記各区間毎に、前記原波形データの開始位置から当該区間の開始に対応する区切り位置までの時間を開始時間Tsとし、該区切り位置から当該区間のピーク位置までの時間を立上り時間Ttとし、前記原波形データの録音時のテンポに対する前記供給されたテンポクロックのテンポの伸縮率をnとし、前記原波形データの再生を開始した後、「n(Ts+Tt)−Tt」の時間が経過した時に前記区切り位置以降の原波形データの再生を開始するよう再生タイミングを設定する設定過程と、
前記原波形データを分割した前記複数の区間の波形データ各々の再生開始タイミングを、前記カウント過程によるカウント結果と、前記設定された再生タイミングとに基づいて検出し、従前に再生されていた波形データの再生を終了しつつ、当該検出した再生開始タイミングに係る区間の波形データを再生する再生過程と
を前記波形データ再生装置に実行させ、これによって前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも速い場合は前記分割された各区間の原波形データの一部を順次再生する一方、前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも遅い場合は前記分割された各区間の原波形データの全てを順次再生させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 原波形データを複数の区間に分割する区切り位置と、前記各区間のピークレベルが生じるピーク位置とが既知である前記原波形データを記憶した記憶手段を有する波形データ再生装置に適用される記録媒体であって、
前記分割された原波形データの各区間の各々に対応する複数の追加区間の波形データを生成し、前記各区間の原波形データと該追加区間の波形データとを結合した複数の結合波形データを生成する過程と、
自動演奏のテンポクロックが供給されると、該テンポクロックをカウントするカウント過程と、
前記各区間毎に、前記原波形データの開始位置から当該区間の開始に対応する区切り位置までの時間を開始時間Tsとし、該区切り位置から当該区間のピーク位置までの時間を立上り時間Ttとし、前記原波形データの録音時のテンポに対する前記供給されたテンポクロックのテンポの伸縮率をnとし、再生を開始した後、「n(Ts+Tt)−Tt」の時間が経過した時に前記区切り位置以降の結合波形データの再生を開始するよう再生タイミングを設定する設定過程と、
前記原波形データを分割した前記複数の区間に対応する前記複数の結合波形データの各々の再生開始タイミングを、前記カウント過程によるカウント結果と、前記設定された再生タイミングとに基づいて検出し、従前に再生されていた波形データの再生を終了しつつ、当該検出した再生開始タイミングに係る区間の波形データを再生する再生過程と
を前記波形データ再生装置に実行させ、これによって前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも速い場合は前記各結合波形データのうち前記分割された各区間の原波形データの一部を順次再生する一方、前記テンポクロックのテンポが前記原波形データの録音時のテンポよりも遅い場合は前記各結合波形データのうち前記分割された各区間の原波形データの全てと前記追加区間の波形データの一部とを順次再生させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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