JP4089170B2 - レーザ・ダイオードの制御回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ・ダイオードの発振波長制御方式に係り、特に、レーザ・ダイオードの発振波長をロックするためにエタロンを用いた発振波長制御方式において、容易に発振波長をロックでき、レーザ・ダイオードの発振出力が経年変化などで変動しても同一発振波長にロック可能で、且つ、ロック波長に変動が生じた際に発出する警報の試験を容易に実施可能なレーザ・ダイオードの発振波長制御方式に関する。
【0002】
光通信が数々の段階を経て発達を続けてきた結果、公衆網又は私設網における光通信のインフラ・ストラクチャである光ファイバ・ネットワークは、ほぼ十分に敷設され終えたと思われていた。
【0003】
しかし、最近、音声情報のみならず画像情報、データ等を総合的に扱うマルチメディア通信、なかんずく、コンピュータ・ネットワークにおいてマルチメディア通信を行なうインターネットが予想を遙かに超える速度で普及してきたことにより、光ファイバ・ネットワークの一層の大容量化が焦眉の急となっている。
【0004】
一方、光ファイバ自体の広帯域化と電気・光変換回路及び光・電気変換回路の高速化の研究は様々な観点から進められており、又、現行の光強度変調方式とは異なる全く新しい光通信方式の研究も鋭意進められているが、残念ながら上記事態に当たって即戦力にはなり難いと言わざるを得ない状況である。(▲1▼)
又、大容量化のために新たな光ファイバ・ネットワークを敷設するためには新たにスペースと人と金と時間というリソースが必要になるので、光ファイバ・ネットワークの新規敷設によって急速な光通信需要の増加に即応することは容易ではない。(▲2▼)
更に、地球環境問題、特に、炭酸ガス排出量規制問題に鑑み、大量な光ファイバを生産して新たに敷設することを避け、既に敷設されている光ファイバ・ネットワークのリソースを活用しながら光通信の大容量化を推進することが肝要である。(▲3▼)
上記▲1▼、▲2▼、▲3▼の三点を考慮すると、急速な光通信需要の伸長に緊急に対処するには、既設の光ファイバ・ネットワークが供給する通信帯域を使いきりながら、既に実用化されている電気・光変換回路及び光・電気変換回路の技術を基本にする、所謂、波長分割多重光通信方式(英語では「Wavelength Division Multiplexing」、略して「WDM」である。)によるのが最も好ましい。
【0005】
ここで、波長分割多重光通信方式の実用化に欠くことができない波長可変型光送信回路において、送信光信号の出力パワーを安定化することと、多重化される波長数の一層の増加に対応しうるだけ正確なレーザ・ダイオードの発振波長の制御が重要な技術である。本発明は、波長可変型光送信回路に関するかかる重要技術のうち後者に関するものである。
【0006】
尚、本発明は波長分割多重光通信方式におけるレーザ・ダイオードの発振波長の制御を念頭になされたものであるが、単一波長による光通信方式においても適用できるものであることを付言しておきたい。
【0007】
【従来の技術】
図12は、従来の技術(その1)で、自動パワー制御によってレーザ・ダイオードの発振出力を一定に制御すると共に、自動温度制御によってレーザ・ダイオードの温度を一定に制御して発振波長を一定に制御するものである。
【0008】
図12において、1はレーザ・ダイオードの温度を検出して電圧を出力するサーミスタ部(図では「TH」と略記している。以降も、図では同様に記載する。)、2は第一の基準電圧源、3はサーミスタ部1が出力する電圧と第一の基準電圧源2が出力する電圧を比較して自動温度制御のための制御電圧を出力する自動温度制御部(図では「ATC」と略記している。以降も、図では同様に記載する。)、4はレーザ・ダイオードの温度を制御するペルチエ素子(一般的に熱・電気変換効果によって温度制御する素子をThermo-Electric Controler と呼ぶので、図ではその頭文字をとって「TEC」と略記している。以降も、図では同様に記載する。)、5は自動温度制御部3が出力する制御電圧に応ずる駆動電流をペルチエ素子4に供給するペルチエ素子ドライバ(図では、「TEC DRV」と略記している。このうち「DRV」は英語のDriverを略したものである。以降も、図では同様に記載する。)、6は電気信号を光信号に変換するレーザ・ダイオード(図では「LD」と略記している。以降も、図では同様に記載する。)、7はレーザ・ダイオード6のバック光を電気信号に再変換する第一のフォト・ダイオード部(図では、「PD#1」と略記している。以降も、図では同様に記載するが、一部の図では「PD1」の如く記載することもある。)、8は第二の基準電圧源、9はフォト・ダイオード部7が出力する電圧と第二の基準電圧源8が出力する電圧を比較して自動パワー制御のための制御電圧を出力する自動パワー制御部(図では「APC」と略記している。以降も、図では同様に記載する。)、10は自動パワー制御部9が出力する制御電圧に応じた駆動電流をレーザ・ダイオード6に供給するレーザ・ダイオード・ドライバ(図では、「LD DRV」と略記している。以降も、図では同様に記載する。)である。
【0009】
図12の構成では、電源投入当初は自動パワー制御部9を動作させず、自動温度制御部3によってレーザ・ダイオード6の温度を所定の値に制御した後に自動パワー制御部3を動作させて、レーザ・ダイオード6の出力パワーを一定に保つようにする。これは、電源投入当初にレーザ・ダイオード6の温度制御ができていないためにレーザ・ダイオード6の温度が異常に高い場合、自動パワー制御によって所定の出力パワーに制御するとレーザ・ダイオード6に過大な駆動電流を供給してレーザ・ダイオード6の破壊又は損傷に至らしめる恐れがあるのを避けるためである。
【0010】
その後は、自動温度制御部3がレーザ・ダイオード6の温度を制御し続け、自動パワー制御部9がレーザ・ダイオード6の出力パワーを制御し続け、レーザ・ダイオード6は温度によって決まる波長の光を一定のパワーで出力し続ける。
【0011】
図13は、従来の技術(その2)で、自動パワー制御によってレーザ・ダイオードの発振出力を一定に制御すると共に、波長特性を有する電圧を使用してレーザ・ダイオードの温度を自動温度制御することによって発振波長を一定に制御するものである。
【0012】
図13において、11はレーザ・ダイオードのバック光を電気変換してレーザ・ダイオードの発振波長に依存する電圧を出力する第三のフォト・ダイオード部で、典型的には、フォト・ダイオードとしてゲルマニウム・フォト・ダイオードを適用するものである。2は第一の基準電圧源、3は第三のフォト・ダイオード部11が出力する電圧と第一の基準電圧源2が出力する電圧を比較して自動温度制御のための制御電圧を出力する自動温度制御部、4はレーザ・ダイオードの温度を制御するペルチエ素子、5は自動温度制御部3が出力する制御電圧に応ずる駆動電流をペルチエ素子4に供給するペルチエ素子ドライバ、6は電気信号を光信号に変換するレーザ・ダイオード、7はレーザ・ダイオード6のバック光を電気信号に再変換する第一のフォト・ダイオード部、8は第二の基準電圧源、9は第一のフォト・ダイオード部7が出力する電圧と第二の基準電圧源8が出力する電圧を比較して自動パワー制御のための制御電圧を出力する自動パワー制御部、10は自動パワー制御部9が出力する制御電圧に応じた駆動電流をレーザ・ダイオード6に供給するレーザ・ダイオード・ドライバである。
【0013】
図13の構成では、電源投入当初は自動パワー制御部9を動作させず、自動温度制御部3によってレーザ・ダイオードの温度を所定の値に制御した後に自動パワー制御部9を動作させて、レーザ・ダイオード6の出力パワーを一定に保つようにする。これは、電源投入当初にレーザ・ダイオード6の温度が異常に高い場合にレーザ・ダイオード6の破壊又は損傷に至らしめる恐れがあるのを避けるためである。
【0014】
その後は、自動温度制御部3がレーザ・ダイオード6の発振波長に応じてレーザ・ダイオード6の温度を制御し続け、自動パワー制御部9がレーザ・ダイオード6の出力パワーを制御し続け、レーザ・ダイオード6は温度によって決まる波長の光を一定のパワーで出力し続ける。
【0015】
図14は、従来の技術(その3)で、自動パワー制御によってレーザ・ダイオードの発振出力を一定に制御し、自動温度制御によってレーザ・ダイオードの温度を一定に制御すると共に、エタロンを併用したフォト・ダイオード部によって発振波長依存性のある電圧を生成して発振波長を一定に制御するものである。
【0016】
図14において、1はレーザ・ダイオードの温度を検出して電圧を出力するサーミスタ部、2は第一の基準電圧源、3はサーミスタ部1が出力する電圧と第一の基準電圧源2が出力する電圧を比較して自動温度制御のための制御電圧を出力する自動温度制御部、4はレーザ・ダイオードの温度を制御するペルチエ素子、5は駆動電流をペルチエ素子4に供給するペルチエ素子ドライバ、6は電気信号を光信号に変換するレーザ・ダイオード、7はレーザ・ダイオード6のバック光を電気信号に再変換する第一のフォト・ダイオード部、8は第二の基準電圧源、9はフォト・ダイオード部7が出力する電圧と第二の基準電圧源8が出力する電圧を比較して自動パワー制御のための制御電圧を出力する自動パワー制御部、10は自動パワー制御部9が出力する制御電圧に応じた駆動電流をレーザ・ダイオード6に供給するレーザ・ダイオード・ドライバ、13は波長依存性がある光透過率を有するエタロン、14はエタロン13の透過光を電気変換する第二のフォト・ダイオード部、16−1乃至16−4は発振波長を可変にするために選択して使用する抵抗、15は抵抗16−1乃至16−4のいずれかを選択する第二のスイッチ、17は第三の基準電圧源、18は第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧と第三の基準電圧源17が出力する電圧を比較してレーザ・ダイオード6の発振波長を一定に制御するための制御電圧を出力する自動周波数制御部、12は自動温度制御部3の出力又は自動周波数制御部18の出力の一方を切り替えてペルチエ素子ドライバ5に供給する第一のスイッチである。
【0017】
図14の構成では、電源投入当初は第一のスイッチを自動温度制御部3側に接続した状態で、まず自動パワー制御部9を動作させずに自動温度制御部3によってレーザ・ダイオードの温度を所定の値に制御し、その後に自動パワー制御部9を動作させて、レーザ・ダイオード6の出力パワーを一定に保つようにする。これは、電源投入当初にレーザ・ダイオード6の温度が異常に高い場合、レーザ・ダイオード6の破壊又は損傷に至らしめる恐れがあるのを避けるためである。
【0018】
そして、レーザ・ダイオード6の温度と出力パワーが一定に制御された後に第一のスイッチ12を自動周波数制御部18側に接続して、第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧と第三の基準電圧源17が出力する電圧とを比較してレーザ・ダイオード6の発振波長が一定になるようにペルチエ素子ドライバ5とペルチエ素子4を制御する。
【0019】
ここで、エタロンとは、部分反射膜を形成した2枚の透明平板の間に光透過率が高い物質を封入し、該部分反射膜において反射せずに透過する光と部分反射膜間での多重反射光の干渉を利用して光の透過率に波長依存性を持たせたものである。
【0020】
図15は、エタロンの光透過率特性で、一方の縦軸はエタロンの光透過率、もう一方の縦軸は第二のフォト・ダイオード部14に配置されているフォト・ダイオードの電流、横軸は光波長である。
【0021】
エタロン内で多重反射する光は2枚の透明平板間の距離に応じて遅延するので、多重反射光とエタロン内で反射せずに透過する光が干渉することによってエタロンの光透過率は図15の如く光波長の正弦波関数となる。
【0022】
第二のフォト・ダイオード部14に配置されたフォト・ダイオードは上記光透過率に比例する電流を流して抵抗16−1乃至16−4のいずれかにおいて電圧を発生するので、第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧も光波長の正弦波関数になる。
【0023】
自動周波数制御部18は、第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧と第三の基準電圧源17が出力する電圧を比較してペルチエ素子ドライバ5に制御電圧を供給する。今、レーザ・ダイオード6の発振波長が所定の波長からなんらかの原因で変動すると、図15の特性に沿って第二のフォト・ダイオード部の出力電圧が変動して、自動周波数制御部18が出力する制御電圧が変動する。
【0024】
これによってペルチエ素子4の温度が変動してレーザ・ダイオード6の発振波長が変動し、レーザ・ダイオード6の発振波長の変動に伴ってエタロン13の透過率が変動して第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧が変動する。そして、レーザ・ダイオード6、エタロン13、第二のフォト・ダイオード部14、自動周波数制御部18、ペルチエ素子ドライバ5、ペルチエ素子4及びレーザ・ダイオード6より成る帰還ループでは負帰還をかけているので、最終的には第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧が第三の基準電圧源17が出力する電圧に等しくなるように制御される。従って、図14の構成によってレーザ・ダイオード6の発振波長は正確に所定の波長に制御される。尚、実際には、選択された抵抗を微調整することが必要である。
【0025】
そして、レーザ・ダイオード6の発振波長を異なる波長にしたい場合には、第二のスイッチによって抵抗16−1乃至16−4の異なる抵抗を選択すればよい。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図12乃至図14の構成にはそれぞれ問題があり、レーザ・ダイオードの発振波長は正確に制御することができない。
【0027】
図12の構成では、レーザ・ダイオード6の温度と出力パワーを一定に制御している。
【0028】
一般にレーザ・ダイオードの発振波長はレーザ・ダイオード自体の温度と一義的な関係にあるので、レーザ・ダイオード6の温度を所定値に制御すれば発振波長を一定に制御することができる。しかし、発振波長そのものを監視していないので、レーザ・ダイオード6自体の経年変化によって特定の温度における発振波長に変動が生じている場合には、図13の構成ではレーザ・ダイオード6の発振波長を正確に所望の値に制御することは不可能である。
【0029】
又、図13の構成では、レーザ・ダイオード6の温度を発振波長依存性を有する電圧によって一定に制御し、レーザ・ダイオード6の出力パワーを一定に制御している。しかし、図13の構成における第三のフォト・ダイオード部11に適用されるゲルマニウム・フォト・ダイオードの1・55ミクロン帯における受光感度の波長依存性は、発振波長の変動1000nm(ナノ・メートル。10-9メートルである。)に対して数%程度である。
【0030】
ここで、今後の波長多重光通信方式ではキャリアとしての光信号の波長の間隔を数十pm(ピコ・メートル。10-12 メートルである。)にする必要がある。従って、回路のオフセット特性や半導体部品のばらつきを考慮すると、レーザ・ダイオードの発振波長を少なくとも数pmの精度で制御する必要がある。言い換えると、レーザ・ダイオードの発振波長に許容される誤差が数pmということになる。
【0031】
従って、図13の構成における第三のフォト・ダイオード部11においては、レーザ・ダイオードの発振波長が数pm変動しただけで出力電圧が検出可能な値だけ変動しなければならない。これに対して、ゲルマニウム・フォト・ダイオードを使用した場合には数pmの波長変動に対する出力電圧の変動はせいぜい0.01%のオーダーであるので、これでは実質的にレーザ・ダイオードの発振波長の変動を検出して発振波長を制御することが不可能である。
【0032】
更に、図14の構成には、レーザ・ダイオード6の発振波長を制御するためにレーザ・ダイオード6の温度を制御する結果、レーザ・ダイオードに経年変化が生じた場合に自動パワー制御によってレーザ・ダイオード6の出力パワーを所定値に制御すると、これに伴ってエタロン13の温度にも変動が生じてロック波長が所望の波長からシフトするという問題が残る。即ち、エタロンの光透過率特性は2枚の平行平板間の距離と該平行平板間に充填されている物質の屈折率によって一義的に定まるので、エタロンに無用な温度変動がある場合に発振波長を所定値に制御することができなくなるのである。技術的には、エタロンに温度変動があっても2枚の平行平板間における多重反射特性を変化させないことは不可能ではないが、このためにエタロンのコストが大幅にアップするので実用性に問題がある。
【0033】
又、上記の如く厳しい精度でレーザ・ダイオードの発振波長を制御する場合、発振波長がシフトしたことを示す警報(よく、「AFC警報」と呼ばれる。)を発出する必要があり、製品の出荷前にはAFC警報発出の試験を行なう必要がある。
【0034】
これを行なうには抵抗16−1乃至16−4のいずれか使用している抵抗を再調整して発振波長をシフトさせて第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧の変動を監視しながらAFC警報発出の有無を確認すればよいが、レーザ・ダイオードの発振波長が所定値になった時に確定して固定した抵抗値を再び変化させるという矛盾を犯すことになる。即ち、実用的には図14の構成によってAFC警報発出試験を行なうことができない。
【0035】
しかも、図14の構成では複数の発振波長のいずれかを得るために複数の抵抗を第二のスイッチ15で選択しなければならず、回路の肥大化とコスト・アップの原因になる上に、自動調整が不可能である。更に、回路機能、回路性能などの仕様の変更に対して柔軟に対応できないというアナログ回路特有の問題もある。
【0036】
本発明は、かかる従来の技術の問題点に鑑み、レーザ・ダイオードの発振波長をロックするためにエタロンを用いた発振波長制御方式において、容易に発振波長をロックでき、レーザ・ダイオードの発振出力が経年変化などで変動しても同一発振波長にロック可能で、且つ、ロック波長に変動が生じた際に発出する警報の試験を容易に実施可能なレーザ・ダイオードの発振波長制御方式を提供することを目的とする。
【0037】
【課題を解決するための手段】
第一の発明は、レーザ・ダイオード(LD)が出力する光の発振波長を制御するLDの制御回路において、光波長に対して周期的な光透過率特性を有し、LDからの光を透過するエタロンと、エタロンの透過光を電気に変換する第1のフォト・ダイオードと、第1のフォト・ダイオードの出力に従い、LDの温度制御を行う素子を制御するドライバ部と、エタロンの温度検出結果と該レーザの発振波長を初期設定した時の設定波長毎の温度から温度変動を算出してエタロンの周期的な光透過率特性の波長変動に換算し、該レーザの発振波長を初期設定した時の該エタロンの出力特性の傾斜と該波長変動の積から計算した補正量をデジタル・アナログ変換して該第1のフォト・ダイオード部の出力電圧に加え、補正された該第1のフォト・ダイオード部の出力電圧と基準電圧を比較した電圧値をドライバ部に与える自動周波数制御部を備えることである。
【0038】
第二の発明は、第1の発明 LD の制御回路において、 LD の出力光を受光する第 2 のフォト・ダイオードと、第 2 のフォト・ダイオードの出力と処理部からの出力を基に LD 出力光パワーを制御するパワー制御部とを備えることである。
【0045】
【発明の実施の形態】
以降、図面を用いて本発明の技術を詳細に説明する。
【0046】
図1は、本発明の原理的構成(その1)である。
【0047】
図1において、1はレーザ・ダイオードの温度を検出して電圧を出力するサーミスタ部、19は中央処理ユニットの制御によって基準電圧を出力する第一のデジタル・アナログ変換回路(図では「D/A#1」と略記している。以降も、構成図においては同様に記載する。尚、一部の図においては「DAC1」の如く記載することもある。)、3はサーミスタ部1が出力する電圧と第一のデジタル・アナログ変換回路19が出力する電圧を比較して自動温度制御のための制御電圧を出力する自動温度制御部、4はレーザ・ダイオードの温度を制御するペルチエ素子、5は駆動電流をペルチエ素子4に供給するペルチエ素子ドライバ、6は電気信号を光信号に変換するレーザ・ダイオード、7はレーザ・ダイオード6のバック光を電気信号に再変換する第一のフォト・ダイオード部、22は中央処理ユニットの制御によって基準電圧を出力する第三のデジタル・アナログ変換回路、9は第一のフォト・ダイオード部7が出力する電圧と第三のデジタル・アナログ変換回路22が出力する電圧を比較して自動パワー制御のための制御電圧を出力する自動パワー制御部、10は自動パワー制御部9が出力する制御電圧に応じた駆動電流をレーザ・ダイオード6に供給するレーザ・ダイオード・ドライバ、13は波長依存性がある光透過率を有するエタロン、14はエタロン13の透過光を電気変換する第二のフォト・ダイオード部、20は中央処理ユニット23の制御によって基準電圧を出力する第二のデジタル・アナログ変換回路、21は第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧と第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力電圧とを加算する加算回路、17は第三の基準電圧源、18は加算回路21出力電圧と第三の基準電圧源17が出力する電圧を比較してレーザ・ダイオード6の発振波長を一定に制御するための制御電圧を出力する自動周波数制御部、12は中央処理ユニット23の制御によって自動温度制御部3の出力又は自動周波数制御部18の出力の一方を切り替えてペルチエ素子ドライバ5に供給する第一のスイッチである。
【0048】
そして、23は第一のデジタル・アナログ変換回路19、第二のデジタル・アナログ変換回路20、第三のデジタル・アナログ変換回路22を制御する中央処理ユニット、24は中央処理ユニット23が行なう演算のためのデータを格納するメモリ、25は中央処理ユニット23を動作させるためのクロックを供給するクロック発生回路である。
【0049】
尚、中央処理ユニット23と第一のデジタル・アナログ変換回路19、第二のデジタル・アナログ変換回路20、第三のデジタル・アナログ変換回路22及びメモリ24と中央処理ユニット23はバスで接続されるのが通常である。
【0050】
図1の構成では、電源投入当初は第一のスイッチを自動温度制御部3側に接続した状態で、まず自動パワー制御部9を動作させずに自動温度制御部3によってレーザ・ダイオードの温度を所定の値に制御し、しかる後に自動パワー制御部9を動作させて、レーザ・ダイオード6の出力パワーを一定に保つようにする。これは、電源投入当初にレーザ・ダイオード6の温度が異常に高い場合、レーザ・ダイオード6の破壊又は損傷に至らしめる恐れがあるのを避けるためである。
【0051】
そして、レーザ・ダイオード6の温度と出力パワーが一定に制御された後に第一のスイッチ12を自動周波数制御部18側に接続して、第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧と第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力電圧の和と第三の基準電圧源17が出力する電圧とを比較してレーザ・ダイオード6の発振波長が一定になるようにペルチエ素子ドライバ5とペルチエ素子4を制御する。
【0052】
図2は、図1の構成における初期波長制御を示すフローチャートで、特定の発振波長に一致させるための処理を示すものである。以降、図2の符号に沿って図1も参照しながら初期波長制御について説明する。
【0053】
S1.中央処理ユニット23は第一のスイッチ12(図2では、「SW#1」と略記している。)をATCモードに設定する。即ち、第一のスイッチ12を自動温度制御部3側に接続して、レーザ・ダイオード6の自動温度制御を行なうモードに設定する。
【0054】
S2.第一のデジタル・アナログ変換回路19の出力電圧を、所望の発振波長に対応する電圧に設定する。
【0055】
自動温度制御部3では、サーミスタ部1の出力電圧が第一のデジタル・アナログ変換回路19の出力電圧に等しくなるように制御をかけるが、異なるレーザ・ダイオードの発振波長に対して制御すべきレーザ・ダイオードの温度が異なるので、上記の設定を所望の波長毎に行なうのである。尚、上記設定のためのデータはメモリに格納されている。
【0056】
S3.自動温度制御部3をオンにして、レーザ・ダイオードの温度制御を開始する。
【0057】
尚、この時には自動パワー制御部9の制御動作はオフにしておき、レーザ・ダイオード6が駆動されないようにしている。これは、レーザ・ダイオード6の温度が異常に高い場合に自動パワー制御部9の制御によってレーザ・ダイオード6に過大な電流が流れないようにするためである。
【0058】
S4.例えば、自動温度制御部3の出力電圧の変動を監視していて、レーザ・ダイオード6の温度が所定の発振波長への引き込み範囲で安定になったか否か判定する。
【0059】
レーザ・ダイオード6の温度が安定になっていないと判定した場合(No)には、レーザ・ダイオード6の温度制御を継続する。
【0060】
尚、上記監視は自動温度制御部3の出力電圧を図示を省略しているアナログ・デジタル変換回路を介して中央処理ユニット23が行なえばよい。又、サーミスタ部1の出力電圧を図示していないアナログ・デジタル変換回路を介して直接監視してもよい。
【0061】
S5.ステップS4で、レーザ・ダイオード6の温度が安定したと判定した場合(Yes)には、自動パワー制御部9の制御動作をオンにして、レーザ・ダイオード6の出力パワーの制御を行なう。
【0062】
この時、第三のデジタル・アナログ変換回路22から所定の出力パワーを得るのに必要な電圧を出力する。
【0063】
S6.レーザ・ダイオード6の出力パワーが安定になったか否か判定する。
【0064】
レーザ・ダイオード6の出力パワーが安定化されていないと判定した場合(No)には、レーザ・ダイオード6の出力パワーの監視を継続して行なう。
【0065】
S7.ステップS6で、レーザ・ダイオード6の出力パワーが安定になったと判定した場合(Yes)には、中央処理ユニット23は第一のスイッチ12をAFCモードに設定する。即ち、第一のスイッチ12を自動周波数制御部18側に接続して、レーザ・ダイオード6の発振波長の波長制御を行なうモードに設定する。
【0066】
S8.自動周波数制御部18の制御動作をオンにする。
【0067】
S9.自動周波数制御部18の2つの入力電圧の残差が0であるか否か判定する。
【0068】
自動周波数制御部18の2つの入力電圧の残差が0である場合(Yes)には、第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力電圧の設定値(今の場合には0)をメモリに格納して一連の処理を終了する。
【0069】
S10.一方、ステップS9で、自動周波数制御部18の2つの入力電圧の残差が0ではないと判定した場合(No)には、中央処理ユニット23が第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力電圧を調整して自動周波数制御部18の2つの入力電圧の残差を0にする。
【0070】
これを行なうには、当該波長における第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧をメモリから読み出し、第三の基準電圧源17が出力する基準電圧との差の電圧を第二のデジタル・アナログ変換回路20から出力すればよい。そして、第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力電圧の設定値をメモリに格納して一連の処理を終了する。
【0071】
尚、上では、ステップS9で自動周波数制御部18の2つの入力電圧の残差が0であると判定した場合と、ステップS10で第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力電圧を調整した場合のいずれにおいても直ちに一連の処理を終了すると記載しているが、複数回にわたって自動周波数制御部18の2つの入力電圧の残差が0であるか否か判定して、所定回数連続して残差が0であると判定された時に一連の処理を終了するようにするのが好ましい。即ち、所謂保護の考え方を導入する訳である。
【0072】
図3は、レーザ・ダイオードの発振波長の制御を示す図で、上記制御をエタロンの特性とリンクして示したものである。
【0073】
図3において、縦軸は電圧で横軸は光波長である。そして、ロック・ポイントとしている波長が目標発振波長である。
【0074】
今、図1における第三の基準電圧源17の出力電圧Vref が図3の水平な直線(実線)の値であり、第二のフォト・ダイオード部14の当初出力が図3の破線の正弦波であるものとする。この時、発振波長は図3の水平な直線(実線)と図3の破線の正弦波の交点の波長になるので、発振波長は目標とする発振波長とは異なっている。
【0075】
そこで、目標発振波長における第二のフォト・ダイオード部14の当初出力をメモリから読み出し、第三の基準電圧源17の出力電圧との差電圧を求めて、この差電圧を第二のデジタル・アナログ変換回路20から出力させれば、ロック・ポイントにおける発振波長を目標とする発振波長に一致させることができる。
【0076】
上記の如くしてレーザ・ダイオード6の発振波長を所定の波長に合わせた後で、例えば周囲温度の変動によってレーザ・ダイオード6の発振波長が変化すると、自動周波数制御部18の負帰還作用によって常に第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力と第二のフォト・ダイオード部14の出力の和が第三の基準電圧源17が出力する基準電圧に等しくなるように制御され、レーザ・ダイオード6の発振波長は一定に保たれる。
【0077】
又、上記の如く、第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力を調整することによってレーザ・ダイオード6の発振波長を制御することが可能であるので、レーザ・ダイオード6の発振波長を波長計でモニタし、モニタされた波長と目標波長とを比較することによって、容易にレーザ・ダイオードの発振波長を自動的に制御することが可能になる。
【0078】
ここで、図1の構成では第三の基準電圧源17をレーザ・ダイオード6の動作とは独立な電源としているが、レーザ・ダイオード6の動作と関係のある電圧を基準電圧とすることも可能であり、第一のフォト・ダイオード部7の出力電圧VPD#1を基準電圧としてもよい。このようにすると、第一のフォト・ダイオード部7に配置されるフォト・ダイオードと第二のフォト・ダイオード部14に配置されるフォト・ダイオードの電流変換効率の誤差が同様な場合、自動周波数制御部18の入力端子において電流変換効率の誤差がキャンセルされるという利点が生ずる。
【0079】
図4は、2つのフォト・ダイオードの電流変換効率の誤差をキャンセルする構成である。
【0080】
図4において、6はレーザ・ダイオード、26はレーザ・ダイオード6が出力するバック光を集光するレンズ、27はレンズ26が集光したバック光を伝送する光導波路、28は光導波路を形成する基板、7は第一のフォト・ダイオード部、13はエタロン、14は第二のフォト・ダイオード部である。そして、第一のフォト・ダイオード部7の出力がVPD#1、第二のフォト・ダイオード部14の出力がVPD#2である。尚、この場合には第一のフォト・ダイオード部7、エタロン13及び第二のフォト・ダイオード部14は基板28上に実装しておくのが好ましく、更には、第一のフォト・ダイオード部7を構成するフォト・ダイオードと第二のフォト・ダイオード部14を構成するフォト・ダイオードとをモノリシックで形成しておくことが好ましい。
【0081】
上記の構成にすることによって第一のフォト・ダイオード部7を構成するフォト・ダイオードと第二のフォト・ダイオード部14を構成するフォト・ダイオードの電流変換効率の誤差をほぼ等しくすることができ、目標の発振波長近傍で双方のフォト・ダイオードの出力電圧をほぼ等しく設定すれば、第一のフォト・ダイオード部7の出力電圧と第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧の誤差がほぼ等しくなるので、双方のフォト・ダイオードの電流変換効率に誤差があってもキャンセルすることが可能であり、発振波長を所定の波長に制御することができる。
【0082】
尚、上では第一のフォト・ダイオード部7の出力を自動周波数制御部18の基準電圧とする場合について説明したが、第二のフォト・ダイオード部14の出力を自動周波数制御部18の基準電圧にしてもよいことは明らかである。
【0083】
更に、異なる発振波長に設定するには、先にも簡単に記載した如く、自動温度制御部18によって異なる発振波長の引き込み範囲にレーザ・ダイオードの温度を設定して、上記の如き波長制御を行なえばよい。これにより、レーザ・ダイオード6の温度を変えれば発振波長が変化してエタロンの出力特性の異なる傾斜部分に引き込み範囲が移動し、新たな引き込み範囲で発振波長が制御されることになるので、エタロンの出力特性の周期を必要な発振波長のステップに等しく設定しておけば、複数の所要の発振波長を得ることができる。通常の技術により、エタロンの出力特性の周期を50GHz程度に設計することが可能であるので、50GHz間隔で発振波長を制御することが可能である。
【0084】
次いで、図1の構成においてレーザ・ダイオードの出力パワー特性に経年変化があっても発振波長を正確に制御可能なことを説明する。
【0085】
レーザ・ダイオードに経年変化があると通常は出力パワーが低下する。自動パワー制御部は該レーザ・ダイオードの駆動電流を増加させて上記出力パワーの低下を補償するように作用する。このため、該レーザ・ダイオードの温度が上昇すると共に発振波長が変動する。これを自動周波数制御部が補償しようとするが、レーザ・ダイオードの温度変動はエタロンの温度変動の原因になるので、エタロンの出力特性に変動が生じてロック波長が所望の波長からシフトして、発振波長に誤差が生ずる。しかし、図1の構成において上記誤差を補償することができる。
【0086】
図5は、図1の構成におけるレーザ・ダイオードの経年変化の補償のフローチャートである。
【0087】
図5においては、細い実線で枠を記載してPに番号を付した符号を表示したステップと、太い実線で枠を記載してSに番号を付した符号を表示したステップとが示されているが、前者がレーザ・ダイオードの経年変化や自動周波数制御に伴って生ずる現象を表わし、後者が自動周波数制御のステップを表わしている。以降、図1も参照しながら、符号の順に現象と自動周波数制御のステップを説明する。
【0088】
S21.初期にレーザ・ダイオード6の発振波長を設定した時に、設定波長毎にサーミスタ部1の温度及びロック点におけるエタロン13の出力特性の傾斜を格納しておく。
【0089】
サーミスタ部1の温度は、図1では図示を省略しているアナログ・デジタル変換回路を介して計測すればよく、ロック点におけるエタロンの出力特性の傾斜は自動温度制御部3によってサーミスタ部1の温度を微小にシフトさせて波長変動と出力電圧の関係から求めればよい。
【0090】
P1.レーザ・ダイオード6に経年変化が生じて、レーザ・ダイオード6の出力パワーが低下する。
【0091】
S22.自動パワー制御によってレーザ・ダイオード6の電流が増加して、出力パワーが補償される。
【0092】
P2.ステップS22の制御の結果、レーザ・ダイオード6の温度が上昇し、発振波長が長波長側にシフトする。
【0093】
S23.自動周波数制御部18は上記波長変動を補償すべくペルチエ素子4を制御してレーザ・ダイオード6の温度を低下させて、レーザ・ダイオード6の温度を初期のロック波長に対応する温度に設定する。
【0094】
P3.ステップS23の制御により、エタロン13の温度も同時に低下する。
【0095】
一般にエタロンの出力特性には図16の如き温度特性があり、エタロンの温度変化に対応して出力特性の正弦波がシフトする。即ち、温度が高くなれば出力特性の正弦波は長波長側にシフトし、温度が低くなれば出力特性の正弦波は短波長側にシフトする。
【0096】
従って、レーザ・ダイオード6の温度を初期のロック波長に対応する温度に戻しても発振波長は経年変化前にロックしていた波長とは異なる波長にロックされる。
【0097】
S24.図1では図示を省略しているアナログ・デジタル変換回路を介してサーミスタ部1の出力からエタロン13の温度を検出する。
【0098】
S25.メモリ24から初期温度を読み出す。
【0099】
S26.ステップS24で検出した温度とステップS25で読み出した温度とから温度変動ΔTを算出して、波長変動Δλに換算する。
【0100】
S27.メモリ24からロック点におけるエタロン13の出力特性の傾斜kを読み出す。
【0101】
S28.第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力の補正量を計算する。
【0102】
これは、kとΔλの積から求められる。
【0103】
S29.第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力電圧をステップS28で求めた電圧だけ補正して一連の処理を終了する。
【0104】
図6は、レーザ・ダイオードの経年変化の補償を図で示したものである。
【0105】
図6において、縦軸は電圧、横軸は光波長で、▲1▼は図1のエタロン13の初期出力特性、▲2▼はレーザ・ダイオード6の経年変化に伴う制御後のエタロン13の出力特性、▲3▼はサーミスタ部1の温度変化から波長変動を算出して第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力電圧によって波長を補正した後のエタロン13の出力特性である。
【0106】
当初は、エタロン13の初期出力特性と基準電圧Vref の交点に発振波長が制御されており、ロック波長は所望の波長に一致していた。
【0107】
上記の如く、レーザ・ダイオード6に経年変化が生じた後の制御によってエタロン13の温度が低下するので、エタロン13の出力特性は短波長側にシフトし、ロック波長は図6のΔλだけ波長が短くなる。このΔλは上記の如く求めることができる。
【0108】
一方、初期データからエタロン13の出力特性のロック点における傾斜kが求められてメモリ24に格納されている。従って、第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力電圧をk・Δλに等しい電圧だけ低下させればエタロン13の出力特性が▲3▼のようにシフトして、初期のロック波長において基準電圧Vref と等しくなる。即ち、発振波長が初期のロック波長に戻される。
【0109】
尚、発振波長の変動Δλや第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力の補正量を見やすいように大きく図示しているが、実際にはこれらの量は微小量であるので上記の如く直線近似で十分正確に発振波長を制御することが可能である。この意味で、基本的には第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力電圧をステップS28で求めた電圧だけ補正すればよい。
【0110】
更に正確を期すためには、ステップS29の後でロック波長を確認して、万一誤差がある場合には第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力を微小に変化させてロック波長を所定の波長に合わせるという処理を行なってもよいが、本発明においては上記処理は実質的に不必要である。
【0111】
図7は、本発明の原理的構成(その2)である。
【0112】
図7において、1はレーザ・ダイオードの温度を検出して電圧を出力するサーミスタ部、19は中央処理ユニット23の制御によって基準電圧を出力する第一のデジタル・アナログ変換回路、3はサーミスタ部1が出力する電圧と第一のデジタル・アナログ変換回路19が出力する電圧を比較して自動温度制御のための制御電圧を出力する自動温度制御部、4はレーザ・ダイオードの温度を制御するペルチエ素子、5は駆動電流をペルチエ素子4に供給するペルチエ素子ドライバ、6は電気信号を光信号に変換するレーザ・ダイオード、7はレーザ・ダイオード6のバック光を電気信号に再変換する第一のフォト・ダイオード部、22は中央処理ユニット23の制御によって基準電圧を出力する第三のデジタル・アナログ変換回路、9は第一のフォト・ダイオード部7が出力する電圧と第三のデジタル・アナログ変換回路22が出力する電圧を比較して自動パワー制御のための制御電圧を出力する自動パワー制御部、10は自動パワー制御部9が出力する制御電圧に応じた駆動電流をレーザ・ダイオード6に供給するレーザ・ダイオード・ドライバ、13は波長依存性がある光透過率を有するエタロン、14はエタロン13の透過光を電気変換する第二のフォト・ダイオード部、29は第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧を受けて中央処理ユニットの制御によって第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧に比例する電圧を出力する第四のデジタル・アナログ変換回路、18は第一のフォト・ダイオード部7の出力電圧と第四のデジタル・アナログ変換回路29の出力電圧を比較してレーザ・ダイオード6の発振波長を一定に制御するための制御電圧を出力する自動周波数制御部、12は中央処理ユニット23の制御によって自動温度制御部3の出力又は自動周波数制御部18の出力の一方を切り替えてペルチエ素子ドライバ5に供給する第一のスイッチである。
【0113】
そして、23は第一のデジタル・アナログ変換回路19、第二のデジタル・アナログ変換回路20、第四のデジタル・アナログ変換回路29を制御する中央処理ユニット、24は中央処理ユニット23が行なう演算のためのデータを格納するメモリ、25は中央処理ユニット23を動作させるためのクロックを供給するクロック発生回路である。
【0114】
尚、中央処理ユニット23と第一のデジタル・アナログ変換回路19、第二のデジタル・アナログ変換回路20、第四のデジタル・アナログ変換回路29及びメモリ24と中央処理ユニット23はバスで接続されるのが通常である。
【0115】
図7の構成では、電源投入当初は第一のスイッチ12を自動温度制御部3側に接続した状態で、まず自動パワー制御部9を動作させずに自動温度制御部3によってレーザ・ダイオードの温度を所定の値に制御し、この後に自動パワー制御部9を動作させて、レーザ・ダイオード6の出力パワーを一定に保つようにする。これは、電源投入当初にレーザ・ダイオード6の温度が異常に高い場合、レーザ・ダイオード6の破壊又は損傷に至らしめる恐れがあるのを避けるためである。
【0116】
そして、レーザ・ダイオード6の温度と出力パワーが一定に制御された後に第一のスイッチ12を自動周波数制御部18側に接続して、第四のデジタル・アナログ変換回路29の出力電圧と第一のフォト・ダイオード部7の出力電圧とを比較してレーザ・ダイオード6の発振波長が一定になるようにペルチエ素子ドライバ5とペルチエ素子4を制御する。
【0117】
図7の構成の特徴は、自動周波数制御部18に入力される2つの電圧が共にレーザ・ダイオード6のバック光を電気変換した電圧であることにある。この構成にすることによって、レーザ・ダイオードの経年変化も含めてレーザ・ダイオード6の出力パワーが変動することがあっても、図7の構成によってレーザ・ダイオード6の発振波長の変動を回避することができる。
【0118】
図8は、出力パワー変動時も発振波長が一定に制御される様子を示す図で、図8(イ)は出力パワー正常時、図8(ロ)は出力パワー変動時の波長ロック特性を示す図である。
【0119】
図8(イ)において、縦軸は電圧、横軸は光波長、▲1▼は出力パワー正常時の図7における第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧、▲2▼は出力パワー正常時の第一のフォト・ダイオード部7の出力電圧、▲3▼は出力パワー正常時の第四のデジタル・アナログ変換回路29の出力電圧である。そして、この時には目標発振波長λに波長が制御されている。
【0120】
図8(ロ)において、縦軸は電圧、横軸は光波長、▲4▼は出力パワー変動時の第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧、▲5▼は出力パワー変動時の第一のフォト・ダイオード部7の出力電圧、▲6▼は出力パワー変動時の第四のデジタル・アナログ変換回路29の出力電圧である。この場合にはレーザ・ダイオードの出力パワーが低下した場合を想定しているので、出力パワー正常時に比較して第一のフォト・ダイオード部7の出力電圧も第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧も低下し、第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧に比例する第四のデジタル・アナログ変換回路29の出力電圧も低下する。
【0121】
さて、第一のフォト・ダイオード部7の出力電圧も第二のフォト・ダイオード部の出力電圧14も同一のレーザ・ダイオード6のバック光から生成されており、図4に示した構成にすることによってバック光の第一のフォト・ダイオード部7と第二のフォト・ダイオード部14への分岐比を固定にすることができる。従って、レーザ・ダイオード6の出力パワーが変化しても第一のフォト・ダイオード部7の出力電圧と第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧は同じ割合で変化する。
【0122】
しかも、第一のフォト・ダイオード部7の出力電圧と第四のデジタル・アナログ変換回路29の出力電圧が等しい時に所定のロック波長に設定されるようになっているので、レーザ・ダイオード6の出力パワーの変動に伴う第一のフォト・ダイオード部7の出力電圧と第四のデジタル・アナログ変換回路29の出力電圧の変動は必ず等しくなる。即ち、レーザ・ダイオード6の出力パワーに変動があっても、図7の構成によれば必ず元のロック波長にロックすることができる。従って、図7の構成によれば図5及び図6にて説明したような処理は不要になる。更に、図7の構成においては2つのフォト・ダイオードの電流変換効率が揃っていれば、電流変換効率の誤差によってロック波長が誤差を持つことはない。
【0123】
そして、その他の波長制御特性については図1の構成と全く同じである。
【0124】
図9は、図7の構成と等価な構成である。
【0125】
図9において、1はレーザ・ダイオードの温度を検出して電圧を出力するサーミスタ部、19は中央処理ユニット23の制御によって基準電圧を出力する第一のデジタル・アナログ変換回路、3はサーミスタ部1が出力する電圧と第一のデジタル・アナログ変換回路19が出力する電圧を比較して自動温度制御のための制御電圧を出力する自動温度制御部、4はレーザ・ダイオード6の温度を制御するペルチエ素子、5は駆動電流をペルチエ素子4に供給するペルチエ素子ドライバ、6は電気信号を光信号に変換するレーザ・ダイオード、7はレーザ・ダイオード6のバック光を電気信号に再変換する第一のフォト・ダイオード部、22は中央処理ユニット23の制御によって基準電圧を出力する第三のデジタル・アナログ変換回路、9は第一のフォト・ダイオード部7が出力する電圧と第三のデジタル・アナログ変換回路22が出力する電圧を比較して自動パワー制御のための制御電圧を出力する自動パワー制御部、10は自動パワー制御部9が出力する制御電圧に応じた駆動電流をレーザ・ダイオード6に供給するレーザ・ダイオード・ドライバ、13は波長依存性がある光透過率を有するエタロン、14はエタロン13の透過光を電気変換する第二のフォト・ダイオード部、30は中央処理ユニット23の制御により第二のフォト・ダイオード部14の出力電圧に比例する電圧を出力するデジタル・ポテンショ・メータ、18は第一のフォト・ダイオード部7の出力電圧とデジタル・ポテンショ・メータ30の出力電圧を比較してレーザ・ダイオード6の発振波長を一定に制御するための制御電圧を出力する自動周波数制御部、12は中央処理ユニット23の制御によって自動温度制御部3の出力又は自動周波数制御部18の出力の一方を切り替えてペルチエ素子ドライバ5に供給する第一のスイッチである。
【0126】
そして、23は第一のデジタル・アナログ変換回路19、第二のデジタル・アナログ変換回路20、第四のデジタル・アナログ変換回路29を制御する中央処理ユニット、24は中央処理ユニット23が行なう演算のためのデータを格納するメモリ、25は中央処理ユニット23を動作させるためのクロックを供給するクロック発生回路である。
【0127】
即ち、図9の構成は、図7の構成において第四のデジタル・アナログ変換回路29をデジタル・ポテンショ・メータ30に置換したものである。従って、図9の構成が図7の構成と等価であることは容易に理解できるので、これ以上の説明は省略したい。
【0128】
以上で、本発明の技術の基本的な事項の説明を終了して、最後に本発明のレーザ・ダイオードの発振波長制御方式の詳細な実施の形態についてその構成を中心に紹介する。
【0129】
図10は、本発明の第一の実施の形態で、図1の構成に準ずる構成である。
【0130】
図10において、1−1はサーミスタ、1−2は抵抗、1−3はボルテージ・フォロワ接続の演算増幅器で、以上の構成要素によって図1のサーミスタ部1を構成する。
【0131】
3−1は演算増幅器、3−2乃至3−5は抵抗で、図1の構成の自動温度制御部3を構成する。そして、サーミスタ1−1の出力電圧と後述する第一のデジタル・アナログ変換回路の出力電圧を比較してレーザ・ダイオードの自動温度制御を行なうようになっている。
【0132】
4はペルチエ素子である。
【0133】
5−1は演算増幅器、5−2乃至5−4は抵抗、5−5はコンデンサ、5−6はNPN型トランジスタ、5−7はPNP型トランジスタで、以上の構成要素によって図1のペルチエ素子ドライバ5を構成する。
【0134】
6はレーザ・ダイオードである。
【0135】
7−1はフォト・ダイオード、7−2は抵抗、7−3はボルテージ・フォロワ接続の演算増幅器で、以上の構成要素によって図1の第一のフォト・ダイオード部7を構成する。尚、レーザ・ダイオード6のバック光がフォト・ダイオード7−1に供給される。
【0136】
9−1は演算増幅器、9−2は抵抗、9−3はコンデンサで、以上の構成要素によって図1の自動パワー制御部9を構成する。そして、フォト・ダイオード7−1の出力電圧と後述する第三のデジタル・アナログ変換回路の出力電圧を比較してレーザ・ダイオード6の自動パワー制御を行なうようになっている。
【0137】
10−1はNPN型トランジスタ、10−2及び10−3は抵抗で、図1のレーザ・ダイオード・ドライバ10を構成する。
【0138】
12は第一のスイッチである。
【0139】
13はエタロンである。
【0140】
14−1はフォト・ダイオード、14−2は抵抗、14−3はボルテージ・フォロワ接続の演算増幅器で、以上の構成要素によって図1の第二のフォト・ダイオード部14を構成する。
【0141】
尚、レーザ・ダイオード6のバック光がエタロン13を介してフォト・ダイオード14−1に供給される。従って、フォト・ダイオード14−1に供給される光の強度は波長依存性を持っている。
【0142】
18−1は演算増幅器、18−2乃至18−6は抵抗で、以上の構成要素によって図1の自動周波数制御部18を構成する。即ち、フォト・ダイオード7−1の出力電圧が自動周波数制御部に与えられる基準電圧となっており、フォト・ダイオード14−1の出力電圧と第二のデジタル・アナログ変換回路20の出力電圧の和と該基準電圧を比較して発振波長の制御を行なう構成を示している。この構成によれば、2つのフォト・ダイオードの電流変換効率比が常に揃っていれば、電流変換効率の誤差によってロック波長に誤差が生ずることはない。
【0143】
19は第一のデジタル・アナログ変換回路、20は第二のデジタル・アナログ変換回路、22は第三のデジタル・アナログ変換回路で、いずれも後述する中央処理ユニットの制御を受けて電圧を出力する。
【0144】
23は中央処理ユニット、23−1は中央処理ユニット23のバスである。
【0145】
24はメモリである。
【0146】
25は中央処理ユニット23にクロックを供給するクロック発生回路である。
【0147】
最後に、31はフォト・ダイオード7−1の出力電圧を監視する第一のアナログ・デジタル変換回路、32はサーミスタ1−1の出力電圧を監視する第二のアナログ・デジタル変換回路、33はフォト・ダイオード14−1の出力電圧を監視する第三のアナログ・デジタル変換回路で、いずれも中央処理ユニット23の制御を受けて監視している電圧をデジタル変換して中央処理ユニット23に供給する。
【0148】
図1及び関連図面によって図1の構成の動作を詳細に説明しており、又、各々の部位を詳細構成には一般的な構成を適用しているので、図10の構成についてこれ以上説明することは省略したい。
【0149】
図11は、本発明の第二の実施の形態で、図7の構成に準ずる構成である。
【0150】
図11において、1−1はサーミスタ、1−2は抵抗、1−3はボルテージ・フォロワ接続の演算増幅器で、以上の構成要素によって図1のサーミスタ部1を構成する。
【0151】
3−1は演算増幅器、3−2乃至3−5は抵抗で、図1の構成の自動温度制御部3を構成する。そして、サーミスタ1−1の出力電圧と後述する第一のデジタル・アナログ変換回路の出力電圧を比較してレーザ・ダイオードの自動温度制御を行なうようになっている。
【0152】
4はレーザ・ダイオードの温度を制御するペルチエ素子である。
【0153】
5−1は演算増幅器、5−2乃至5−4は抵抗、5−5はコンデンサ、5−6はNPN型トランジスタ、5−7はPNP型トランジスタで、以上の構成要素によって図1のペルチエ素子ドライバ5を構成する。
【0154】
6は電気信号を光信号に変換するレーザ・ダイオードである。
【0155】
7−1はフォト・ダイオード、7−2は抵抗、7−3はボルテージ・フォロワ接続の演算増幅器で、以上の構成要素によって図1の第一のフォト・ダイオード部7を構成する。尚、レーザ・ダイオード6のバック光がフォト・ダイオード7−1に供給される。
【0156】
9−1は演算増幅器、9−2は抵抗、9−3はコンデンサで、以上の構成要素によって図1の自動パワー制御部9を構成する。そして、フォト・ダイオード7−1の出力電圧と後述する第三のデジタル・アナログ変換回路の出力電圧を比較してレーザ・ダイオードの自動パワー制御を行なうようになっている。
【0157】
10−1はNPN型トランジスタ、10−2及び10−3は抵抗で、図1のレーザ・ダイオード・ドライバ10を構成する。
【0158】
12は自動温度制御モードと自動周波数制御モードを切り替える第一のスイッチである。
【0159】
13はレーザ・ダイオード6のバック光の透過率に波長依存性を与えるエタロンである。
【0160】
14−1はフォト・ダイオード、14−2は抵抗、14−3はボルテージ・フォロワ接続の演算増幅器で、以上の構成要素によって図1の第二のフォト・ダイオード部14を構成する。
【0161】
尚、レーザ・ダイオード6のバック光がエタロン13を介してフォト・ダイオード14−1に供給される。従って、フォト・ダイオード14−1に供給される光の強度は波長依存性を持っている。
【0162】
18−1は演算増幅器、18−2乃至18−6は抵抗で、以上の構成要素によって図1の自動周波数制御部18を構成する。即ち、フォト・ダイオード7−1の出力電圧が自動周波数制御部に与えられる基準電圧となっており、フォト・ダイオード14−1の出力電圧と後述する第四のデジタル・アナログ変換回路出力電圧と該基準電圧を比較して発振波長の制御を行なう構成を示している。この構成によれば、2つのフォト・ダイオードの電流変換効率比が常に揃っていれば、電流変換効率の誤差によってロック波長に誤差が生ずることはない。
【0163】
19は第一のデジタル・アナログ変換回路、20は第二のデジタル・アナログ変換回路、22は第三のデジタル・アナログ変換回路で、いずれも後述する中央処理ユニットの制御を受けて電圧を出力する。
【0164】
23は中央処理ユニット、23−1は中央処理ユニット23のバスである。
【0165】
24はメモリである。
【0166】
25は中央処理ユニット23にクロックを供給するクロック発生回路である。
【0167】
29はフォト・ダイオード14−1の出力電圧を受けて、フォト・ダイオード14−1の出力電圧に比例する電圧を出力する第四のデジタル・アナログ変換回路である。このように、フォト・ダイオード14−1の出力電圧に比例する電圧を第四のデジタル・アナログ変換回路29が出力し、自動周波数制御部において第四のデジタル・アナログ変換回路29の出力電圧とフォト・ダイオード7−1の出力電圧を比較して自動周波数制御を行なうようになっているので、レーザ・ダイオードの経年変化を含めてレーザ・ダイオードの出力パワーに変動があってもロック波長に誤差を生ずることはない。
【0168】
最後に、31はフォト・ダイオード7−1の出力電圧を監視する第一のアナログ・デジタル変換回路、32はサーミスタ1−1の出力電圧を監視する第二のアナログ・デジタル変換回路、33はフォト・ダイオード14−1の出力電圧を監視する第三のアナログ・デジタル変換回路で、いずれも中央処理ユニット23の制御を受けて監視している電圧をデジタル変換して中央処理ユニット23に供給する。
【0169】
図7及び関連図面によって図7の構成の動作を詳細に説明しており、又、各々の部位を詳細構成には一般的な構成を適用しているので、図11の構成についてこれ以上説明することは省略したい。
【0170】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明により、レーザ・ダイオードの発振波長をロックするためにエタロンを用いた発振波長制御方式において、容易に発振波長をロックでき、レーザ・ダイオードの発振出力が経年変化などで変動しても同一発振波長にロック可能で、且つ、ロック波長に変動が生じた際に発出する警報の試験を容易に実施可能なレーザ・ダイオードの発振波長制御方式を実現することができる。
【0171】
即ち、第一の発明によれば、起動当初はレーザ・ダイオードの温度変動を検出して自動温度制御部にてレーザ・ダイオードの自動温度制御をした後に自動パワー制御を行ない、上記制御が終了した後にレーザ・ダイオードの発振波長の変動を検出して自動周波数制御部にてレーザ・ダイオードの自動温度制御を行なうと共に自動パワー制御を行なうことにより、レーザ・ダイオードの温度及び出力パワーが所定値になった後でレーザ・ダイオードの発振波長を所定値に制御することができる。その上、該自動周波数制御部に供給されるレーザ・ダイオードの発振波長の変動を検出した電圧又は基準電圧のいずれか一方に、レーザ・ダイオードの発振波長の変動に伴う検出電圧の変動を示すデータに基づく電圧を加算するので、複数の発振波長から所望の発振波長を選択する必要がある時に回路部品の選択や調整をする必要がなく、発振波長の変動を示す警報の発出試験も容易になる。
【0172】
又、第二の発明によれば、レーザ・ダイオードに経年変化の結果自動パワー制御によって生ずるレーザ・ダイオードの発振波長の変動を検出する素子の温度変動を求めてロック波長の変動に換算し、該ロック波長の変動に対応する電圧をレーザ・ダイオードの発振波長の変動に伴う検出電圧の変動を示すデータに基づいて求め、該自動周波数制御部に供給されるレーザ・ダイオードの発振波長の変動を検出した電圧又は基準電圧のいずれか一方に加算するので、レーザ・ダイオードの経年変化による発振波長の変動を補償することができる上、このために新たに回路部品を追加する必要がない。
【0173】
更に、第三の発明によれば、自動パワー制御のためのレーザ・ダイオードの出力パワーの変動を検出した電圧とレーザ・ダイオードの発振波長の変動を検出した電圧に比例する電圧とは共にレーザ・ダイオードの出力パワーに比例する。従って、レーザ・ダイオードの出力パワーが変動しても両者は同じ割合で変化するために、レーザ・ダイオードの出力パワーに変動があってもロック波長が変動することはなく、このために新たな回路部品を追加する必要がない。
【0174】
最後に、第四の発明によれば、該自動周波数制御部に供給される2つの電圧は共にレーザ・ダイオードの出力パワーに比例する電圧となるために、レーザ・ダイオードのバック光を電気変換するフォト・ダイオードの電気変換効率に誤差があっても発振波長に誤差を生ずることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理的構成(その1)。
【図2】 図1の構成における初期波長制御を示すフローチャート。
【図3】 レーザ・ダイオードの発振波長の制御を示す図。
【図4】 2つのフォト・ダイオードの電流変換効率の誤差をキャンセルする構成。
【図5】 図1の構成におけるレーザ・ダイオードの経年変化の補償のフローチャート。
【図6】 レーザ・ダイオードの経年変化の補償。
【図7】 本発明の原理的構成(その2)。
【図8】 出力パワー変動時も発振波長が一定に制御される様子。
【図9】 図7の構成と等価な構成。
【図10】 本発明の第一の実施の形態。
【図11】 本発明の第二の実施の形態。
【図12】 従来の技術(その1)。
【図13】 従来の技術(その2)。
【図14】 従来の技術(その3)。
【図15】 エタロンの光透過率特性。
【図16】 エタロンの光透過率の温度特性。
【符号の説明】
1 サーミスタ部
2 第一の基準電圧源
3 自動温度制御部(ATC)
4 ペルチエ素子(TEC)
5 ペルチエ素子ドライバ(TEC DRV)
6 レーザ・ダイオード
7 第一のフォト・ダイオード部(PD#1)
8 第二の基準電圧源
9 自動パワー制御部(APC)
10 レーザ・ダイオード・ドライバ(LD DRV)
11 第三のフォト・ダイオード部(PD#3)
12 第一のスイッチ
13 エタロン
14 第二のフォト・ダイオード部(PD#2)
15 第二のスイッチ
16−1、16−2、16−3、16−4 抵抗
17 第三の基準電圧源
18 自動周波数制御部(AFC)
19 第一のデジタル・アナログ変換回路(D/A#1)
20 第二のデジタル・アナログ変換回路(D/A#2)
21 加算回路
22 第三のデジタル・アナログ変換回路(D/A#3)
23 中央処理ユニット(CPU)
24 メモリ
25 クロック発生回路(CLK)
26 レンズ
27 光導波路
28 基板
29 第四のデジタル・アナログ変換回路(D/A#4)
30 デジタル・ポテンショ・メータ(デジタルポテンショ)
31 第一のアナログ・デジタル変換回路(A/D#1)
32 第二のアナログ・デジタル変換回路(A/D#2)
33 第三のアナログ・デジタル変換回路(A/D#3)

Claims (2)

  1. レーザ・ダイオード(LD)が出力する光の発振波長を制御するLDの制御回路において、
    光波長に対して周期的な光透過率特性を有し、該LDからの光を透過するエタロンと、
    該エタロンの透過光を電気に変換する第1のフォト・ダイオードと、
    該第1のフォト・ダイオードの出力に従い、該LDの温度制御を行う素子を制御するドライバ部と、
    該エタロンの温度検出結果と該レーザの発振波長を初期設定した時の設定波長毎の温度から温度変動を算出して該エタロンの周期的な光透過率特性の波長変動に換算し、該レーザの発振波長を初期設定した時の該エタロンの出力特性の傾斜と該波長変動の積から計算した補正量をデジタル・アナログ変換して該第1のフォト・ダイオード部の出力電圧に加え、補正された該第1のフォト・ダイオード部の出力電圧と基準電圧を比較した電圧値を該ドライバ部に与える自動周波数制御部
    を備えたことを特徴とするLDの制御回路。
  2. 請求項1記載のLDの制御回路において、
    該LDの出力光を受光する第2のフォト・ダイオードと、
    該第2のフォト・ダイオードの出力と該処理部からの出力を基に該LD出力光パワーを制御するパワー制御部とを備えたことを特徴とするLDの制御回路。
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