JP4087699B2 - Pre-coated steel sheet with excellent environmental harmony, sliding-part peel resistance and corrosion resistance - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成型加工などにおける塗膜の損傷が極めて少ない、すなわち耐塗膜剥離性に優れるとともに、プレコート鋼板の基本性能である耐食性や曲げ加工性にも優れた環境調和型プレコート鋼板に関するものである。本発明のプレコート鋼板は、例えば家電製品や建材用途などに好適であり、また自動車用としても使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
鋼板を成型加工後に塗装するポストコート方式に対し、プレコート方式は予め塗装された鋼板を成型加工する方式であり、これに使用される塗装された鋼板はプレコート鋼板と呼ばれる。プレコート鋼板には、成型加工において塗膜の傷や剥がれなどが生じない高度の成型加工性と、塗膜膨れなどが生じない優れた耐食性が求められる。現在使用されているプレコート鋼板は、耐食性及び密着性を確保するために、クロムを含有する化成処理を施すとともに、下塗り塗膜中にクロム系の防錆顔料を含有させているものが多い(例えば、特許文献1参照)。しかし、昨今、環境規制物質であるクロムの使用を規制することが望まれており、このためプレコート鋼板についても化成処理皮膜や塗膜中にクロムを使用しない技術の開発が望まれている。
【0003】
クロムフリーのプレコート鋼板やプレコート鋼板用塗料組成物に関する従来技術としては、例えば、塩基性亜リン酸塩系防錆顔料を下塗り塗膜中に含有させることにより、耐食性に優れたプレコート鋼板が得られるとしているもの(特許文献2参照)、イソシアネート化合物及びリン酸系防錆顔料を下塗り塗膜中に含有させることにより、耐食性に優れたプレコート鋼板が得られるとしているもの(特許文献3参照)、リン酸塩系防錆顔料とカルシウムイオン交換シリカの混合物を含有する塗料組成物(特許文献4参照)、特定の樹脂原料と非クロム系防錆添加剤の組合わせにより良好な耐食性が得られるとしているもの(特許文献5参照)、水性樹脂、タンニン酸、微粒シリカ等からなる特定の下地処理層を設けることにより塗膜密着性に優れたプレコート鋼板が得られるとしているもの(特許文献6参照)、タンニン酸、シランカップリング剤、微粒シリカなどからなる特定の下地処理層を設けることにより密着性に優れたプレコート鋼板が得られるとしているもの(特許文献7参照)、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂成分と、シランカップリング剤、平均粒径1μm以下の微粒子からなる特定の下地処理層を設けることにより密着性に優れたプレコート鋼板が得られるとしているもの(特許文献8参照)などがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−316497号公報
【特許文献2】
特開平8−319437号公報
【特許文献3】
特開平8−11257号公報
【特許文献4】
特開平9−12931号公報
【特許文献5】
特開2000−198963号公報
【特許文献6】
特開2000−167482号公報
【特許文献7】
特開2001−89868号公報
【特許文献8】
特開2001−81392号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したクロムフリーのプレコート鋼板に関する従来技術は、その殆どが耐食性に着目したものであり、しかも、その耐食性、特に切断端面部の耐食性はクロム系顔料を使用したものに較べて劣っている。また、塗膜密着性に着目した従来技術(例えば、特許文献6)は、平面部や曲げ部での塗膜密着性が改善される程度のものであり、実成形において要求される高度な塗膜密着性を満足するものではない。
【0006】
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、皮膜や塗膜中にクロムを含有しないプレコート鋼板であって、実成形加工において塗膜剥離などの損傷を生じない優れた成形加工性(摺動部耐塗膜剥離性)を有するとともに、プレコート鋼板の基本性能である耐食性及び曲げ加工性にも優れた環境調和型のプレコート鋼板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決し、優れた性能を示すプレコート鋼板を得るために検討を重ねた結果、亜鉛系めっき鋼板の表面に特定の表面調整処理層を形成し、さらに必要に応じて化成処理皮膜を形成し、その上層に、特定のポリエステル樹脂とエポキシ樹脂を反応させて得られた変性ポリエステル樹脂及び硬化剤を主成分樹脂とし、これに複数種の特定の防錆添加成分を複合添加した下塗り塗膜を形成し、さらにその上層に上塗り塗膜を形成することにより、耐塗膜剥離性に優れ、しかもクロムフリーでありながら優れた耐食性を有するプレコート鋼板が得られることを見い出した。
【0008】
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
[1]亜鉛系めっき鋼板の表面に表面調整処理層が形成され、その上層に下塗り塗膜が形成され、さらにその上層に上塗り塗膜が形成されたプレコート鋼板であって、
前記表面調整処理層は、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、Wの中から選ばれる金属の金属塩の1種以上を主成分として添加した処理液をめっき面に塗布し、水洗、乾燥することにより形成された処理層であって、金属換算の付着量が20〜150mg/m2であり、
前記下塗り塗膜に含まれる樹脂が、数平均分子量が12000〜26000、ガラス転移温度が0〜30℃のポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との反応によって得られた変性ポリエステル樹脂(C)と、硬化剤(D)とを主成分とする樹脂であり、前記ポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)の配合比(モル比)がA/B=1.0/1.2〜1.0/4.0であり、
前記下塗り塗膜はカルシウムイオン交換シリカ系防錆添加剤(E)と、リン酸塩系防錆添加剤及び/又は亜リン酸塩系防錆添加剤(F)を含有し、その含有量が塗膜固形分中における質量%で、3%≦E≦25%、15%≦F≦35%、20%≦E+F≦50%であり、
前記下塗り塗膜及び上塗り塗膜はクロム系化合物を含有しないことを特徴とする、環境調和性、摺動部耐塗膜剥離性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。
【0009】
[2]亜鉛系めっき鋼板の表面に表面調整処理層が形成され、その上層に化成処理皮膜が形成され、その上層に下塗り塗膜が形成され、さらにその上層に上塗り塗膜が形成されたプレコート鋼板であって、
前記表面調整処理層は、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、Wの中から選ばれる金属の金属塩の1種以上を主成分として添加した処理液をめっき面に塗布し、水洗、乾燥することにより形成された処理層であって、金属換算の付着量が20〜150mg/m2であり、
前記下塗り塗膜に含まれる樹脂が、数平均分子量が12000〜26000、ガラス転移温度が0〜30℃のポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との反応によって得られた変性ポリエステル樹脂(C)と、硬化剤(D)とを主成分とする樹脂であり、前記ポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)の配合比(モル比)がA/B=1.0/1.2〜1.0/4.0であり、
前記下塗り塗膜はカルシウムイオン交換シリカ系防錆添加剤(E)と、リン酸塩系防錆添加剤及び/又は亜リン酸塩系防錆添加剤(F)を含有し、その含有量が塗膜固形分中における質量%で、3%≦E≦25%、15%≦F≦35%、20%≦E+F≦50%であり、
前記化成処理皮膜、下塗り塗膜及び上塗り塗膜はクロム系化合物を含有しないことを特徴とする、環境調和性、摺動部耐塗膜剥離性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。
【0010】
[3] 上記[1]又は[2]のプレコート鋼板において、下塗り塗膜中に含まれるリン酸塩系防錆添加剤及び/又は亜リン酸塩系防錆添加剤(F)が、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸マグネシウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、リン酸マグネシウム、亜リン酸亜鉛の中から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、環境調和性、摺動部耐塗膜剥離性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。
[4] 上記[2]又は[3]のプレコート鋼板において、化成処理皮膜が、シリカ微粒子とその結合剤とを含む皮膜であり、SiO2換算の皮膜付着量が10〜300mg/m2であることを特徴とする、環境調和性、摺動部耐塗膜剥離性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。
[5] 上記[4]のプレコート鋼板において、化成処理皮膜中に含まれるシリカ微粒子が乾式シリカであることを特徴とする、環境調和性、摺動部耐塗膜剥離性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細とその限定理由を説明する。
本発明のプレコート鋼板は、亜鉛系めっき鋼板の表面に特定の表面調整処理層を形成し、その上層に必要に応じて化成処理皮膜を形成した上で、特定の下塗り塗膜及び上塗り塗膜を形成したプレコート鋼板である。ここで、本発明のプレコート鋼板は、上記化成処理皮膜、下塗り塗膜及び上塗り塗膜中に、クロム系防錆成分等のクロム系化合物を含有しない。
下地鋼板となる亜鉛系めっき鋼板としては、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛合金めっき鋼板、溶融Zn−A1合金めっき鋼板(例えば、溶融Zn−5%A1合金めっき鋼板、溶融Zn−55%A1合金めっき鋼板に代表される溶融Zn−A1合金めっき鋼板)などの各種亜鉛系めっき鋼板を用いることができる。
【0012】
これらの亜鉛系めっき鋼板の表面に形成される表面調整処理層は、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、W、これら金属の1種以上の金属酸化物、及びこれら金属の1種以上の金属水酸化物の中から選ばれる1種以上からなる皮膜である。
クロメート皮膜を有するプレコート鋼板の場合には、めっき鋼板の表面調整処理は密着性を向上させる目的で行われるが、本発明者らは、特に皮膜や塗膜中にクロムを含まないプレコート鋼板の場合には、表面調整処理は耐食性、とりわけ切断端面部の耐食性を向上させる効果が大きいこと、そして、特に上記のような特定の組成の表面調整処理層をめっき鋼板の表面に形成することにより、切断端面部の塗膜膨れの抑制効果(耐食性)が著しく向上することを見出した。
【0013】
通常、この表面調整処理層は、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、Wの中から選ばれる金属の金属塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物塩、アンモニウム塩など)の1種以上を主成分として添加し、さらに必要に応じてpH緩衝剤、錯化剤などを添加した処理液を任意の方法でめっき面に塗布し、水洗、乾燥することにより形成される。この表面調整処理層は、めっき表面に均一な層となっていることが好ましいが、島状や網目状に形成されていても構わない。
表面調整処理層を形成するための上記処理液としては、酸性処理液、アルカリ性処理液のいずれを使用してもよい。例えば、酸性溶液としては、日本パーカライジグ(株)製「PL−211」、「PL−4015」、「PL−4036」(いずれも商品名)、日本ペイント(株)製「NPコンディショナー700」(商品名)などが使用できる。また、アルカリ性溶液としては、日本ペイント(株)製「NPコンディショナー200」(商品名)などが使用できる。また、これら市販の薬剤以外でも、上記金属の塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物塩、アンモニウム塩など)、pH緩衝剤(例えば、ホウ酸、シュウ酸塩、フタル酸塩、炭酸塩、アルカリ金属塩など)、錯化剤(例えば、EDTAなどのポリアミノカルボン酸類、クエン酸などのポリオキシカルボン酸類、縮合リン酸塩、ロッシェル塩など)などを組み合わせて処理液を調整することも可能である。
【0014】
上記処理液のめっき鋼板表面への塗布は、例えば、浸漬法やスプレー法などにより行うことができ、これらの方法で処理液をめっき鋼板面に塗布した後、水洗、乾燥することにより表面調整処理層を形成する。その際、処理液濃度を調整することにより、付着量を制御することができる。
表面調整処理層の付着量は、上記金属の金属換算の付着量で20〜150mg/m2とする。付着量が20mg/m2未満では切断端面部の耐食性の向上効果が顕著には認められず、一方、150mg/m2を超えても付着量に見合う効果が期待でないだけでなく、処理液の使用時間がZnスラッジの増加によって短くなり、また、加工性や加工部耐食性も劣化するため好ましくない。また、耐食性の向上効果および加工性の点から、さらに好ましい付着量の範囲は50〜100mg/m2である。
【0015】
上記表面調整処理層の上層には、必要に応じて化成処理皮膜が形成される。この化成処理皮膜は、クロメートを含有しない皮膜であれば特に限定されるものではないが、なかでも、シリカ微粒子とその結合剤とを含む化成処理皮膜が好ましく、そのなかでも特にシリカ微粒子として乾式シリカ微粒子を含む化成処理皮膜が好ましい。
上記シリカ微粒子としては、例えば、一次粒径が約1〜100nmの湿式シリカ(コロイダルシリカ)、乾式シリカ(ヒュームドシリカ:例えば、日本アエロジル社製の商品名「アエロジル#200」、「アエロジル#300」)の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることができるが、特に乾式シリカが好ましい。このようなシリカ微粒子、とりわけ乾式シリカ微粒子を化成処理皮膜中に配合することにより、化成処理皮膜上層の下塗り塗膜との密着性、耐スクラッチ性を高めることができる。
【0016】
また、上記結合剤としては、例えば水溶性又は水分散性有機高分子成分、酸素酸塩(但し、クロム酸塩は除く)の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。上記水溶性又は水分散性有機高分子成分としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルアルコールなどを例示できる。また上記酸素酸塩としては、例えば、リン酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、バナジン酸塩などを例示できる。このような結合剤を化成処理皮膜中に配合することにより、シリカ微粒子どうしの結合性(皮膜の耐凝集破壊性)、シリカ微粒子の素地金属(及び表面調整処理層)との密着性を高めることができる。
【0017】
また、上記化成処理皮膜を形成するための処理液には、Zr化合物、Ti化合物、Hf化合物(例えばフルオロ錯塩など)の1種又は2種以上を添加剤として添加し、それらを化成処理皮膜中に含有させることができる。
化成処理皮膜中でのシリカ微粒子と結合剤の配合割合は、固形分質量比でシリカ微粒子/結合剤=1/0.01〜1/10の範囲とすることが望ましい。シリカ微粒子の配合量:1に対する結合剤の配合割合が0.01未満であると、シリカ微粒子どうしの結合性(皮膜の耐凝集破壊性)、シリカ微粒子の素地金属(及び表面調整処理層)との密着性が劣る。また、シリカ微粒子の配合量:1に対する結合剤の配合割合が10超であると、化成処理皮膜上層の下塗り塗膜との密着性、耐スクラッチ性が劣る。
【0018】
化成処理皮膜の付着量は、成分として含まれるシリカ微粒子のSiO2換算量で10〜300mg/m2の範囲とすることが好ましい。この付着量が10mg/m2未満では下塗り塗膜との密着性が劣り、一方、300mg/m2超では加工性が劣る。
化成処理皮膜を形成するための処理方法に特に制約はないが、一般に化成処理液をロールコーター塗装し、その後、乾燥させる。この乾燥では、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの加熱手段により、通常、50〜150℃程度の到達板温で皮膜を乾燥させる。
【0019】
次に、上記表面調整処理層又は化成処理皮膜の上層に形成される下塗り塗膜について説明する。
下塗り塗膜は、数平均分子量が12000〜26000、ガラス転移温度が0〜30℃のポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との反応によって得られる変性ポリエステル樹脂(C)と、硬化剤(D)とを主成分樹脂とする塗料を塗布して形成された塗膜である。
前記変性ポリエステル樹脂(C)を得るためのポリエステル樹脂(A)は、主に多塩基酸と多価アルコールとのエステル化合物である。
上記多塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、無水マレイン酸などの二塩基酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの三価以上の多塩基酸などが用いられ、これらの多価塩基酸成分を2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0020】
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタジオール、ネオペンチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族又は脂環族の二価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じて、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの三価以上の多価アルコールを併用して用いることもできる。以上の多価アルコールは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0021】
ポリエステル樹脂(A)は、数平均分子量が12000〜26000、ガラス転移温度が0〜30℃である必要がある。また、ポリエステル樹脂(A)のより好ましい数平均分子量は14000〜21000、ガラス転移温度は5〜25℃である。ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量が12000未満では塗膜の伸びが不十分となり、曲げ加工性が低下する。一方、数平均分子量が26000を超えると塗膜の強靭性が低下するため、後述のエポキシ樹脂による変性を行った後でも摺動部の耐塗膜剥離性が不十分となる。さらに、塗料組成物が高粘度となるため過剰な希釈溶剤が必要となり、塗装作業性、環境調和性などの点から好ましくない。また、ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が30℃を超えると塗膜の伸びが不十分となり、曲げ加工性が低下する。一方、ガラス転移温度が0℃未満では塗膜の強靭性が低下し、十分な耐塗膜剥離性が得られない。
【0022】
上記ポリエステル樹脂(A)と反応させるためのエポキシ樹脂(B)は、下地との密着性を向上させるために配合するものであり、本発明で用いるのに適したエポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類とエピハロヒドリン或いはβメチルエピハロヒドリンとの反応で得られるエポキシ化合物、又はこれらの共重合物であるビスフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂(B)としては数平均分子量が500以上のものを用いることが好ましい。エポキシ樹脂の数平均分子量が500未満では密着性が低下する。また、エポキシ樹脂の数平均分子量が5000を超えると樹脂粘度が高くなり、塗料としての相溶性が低下しやすいので、数平均分子量は5000以下が好ましい。
【0023】
エポキシ樹脂(B)によりポリエステル樹脂(A)を変性する方法としては、ポリエステル樹脂の合成の際にエポキシ樹脂を組込む方法、アミン触媒存在下でポリエステル樹脂とエポキシ樹脂とを反応させる方法などがある。これらの変性方法のうち、塗膜の柔軟性を損なわずに高度の密着性を得るという観点からは、ポリエステル樹脂の合成後にアミン触媒存在下でエポキシ樹脂と反応させる方法が好ましい。
また、変性ポリエステル樹脂(C)を得るためのポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)の配合比(モル比)は、A/B=1.0/1.2〜1.0/4.0であることが必要である。ポリエステル樹脂(A):1.0に対してエポキシ樹脂(B)が1.2未満であると耐塗膜剥離性が不十分となり、一方、4.0を超えると曲げ加工性が低下する。
【0024】
上記硬化剤(D)としては、アミノ樹脂又は/及びポリイソシアネート化合物を用いることができる。
上記アミノ樹脂としては、尿素、ベンゾグアナミン、メラミンなどとホルムアルデヒドとの縮合反応で得られる生成物の一部又は全てをメタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコールによりアルキルエーテル化した樹脂である。具体的には、メチル化尿素樹脂、n−ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂、iso−ブチル化メラミン樹脂などを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
上記ポリイソシアネート化合物としては、一般的製法で得られるイソシアネート化合物を用いることができる。その中でも特に、1液型塗料としての使用が可能である、フェノール、クレゾール、芳香族第二アミン、第三級アルコール、ラクタム、オキシムなどのブロック剤でブロック化されたポリイソシアネート化合物が好ましい。このブロック化ポリイソシアネート化合物を用いることにより1液での保存が可能となり、塗料としての使用が容易となる。
【0026】
また、さらに好ましいポリイソシアネート化合物としては、非黄変性のヘキサメチレンジイソシアネート及びその誘導体、トリレンジイソシアネート及びその誘導体、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート及びその誘導体、キシリレンジイソシアネート及びその誘導体、イソホロンジイソシアネート及びその誘導体、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びその誘導体、水添トリレンジイソシアネート及びその誘導体、水添4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート及びその誘導体、水添キシリレンジイソシアネート及びその誘導体などを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0027】
下塗り塗膜中における変性ポリエステル樹脂(C)と硬化剤(D)の配合割合は、固形分質量比で変性ポリエステル樹脂(C)/硬化剤(D)=90/10〜65/35であることが好ましい。変性ポリエステル樹脂(C)の割合が90/10超では十分な硬化性が得られず、耐傷付き性、耐溶剤性が低下し、一方、変性ポリエステル樹脂(C)の割合が65/35未満では、過剰の硬化剤どうしの或いは硬化剤と変性ポリエステル樹脂(C)との副反応が生じて、加工性、加工部密着性が低下する傾向がある。
【0028】
下塗り塗膜中には、カルシウムイオン交換シリカ系防錆添加剤(E)と、リン酸塩系防錆添加剤及び/又は亜リン酸塩系防錆添加剤(F)が配合される。
上記カルシウムイオン交換シリカ系防錆添加剤(E)は、腐食の起こりやすい環境において溶出することで早期に保護膜を形成し、それ以上腐食が進行するのを抑制する働きがあると考えられる。カルシウムイオン交換シリカ系防錆添加剤は、無定形シリカの表面シラノール基にカルシウム原子をイオン交換したものである。この防錆添加剤は、有害な物質を含まず且つ塗膜の耐食性を高める作用がある。塗膜固形成分中におけるカルシウムイオン交換シリカ系防錆添加剤(E)の含有量は3〜25質量%とする。含有量が3質量%未満では十分な防食効果が得られない。また、カルシウムイオン交換シリカ系防錆添加剤は粒径が大きいため(通常、約3μm)、その含有量が25質量%超では塗膜が剛直となり、成形加工時など摺動を受けた場合や曲げ加工した場合などに凝集破壊が起こりやすくなる。
【0029】
上記リン酸塩系防錆添加剤及び/又は亜リン酸塩系防錆添加剤(F)は、溶出金属(例えば、めっき成分である亜鉛)との間で保護膜を形成する働きがあり、これにより防錆効果を発揮するものと考えられる。使用するリン酸塩系防錆添加剤及び/又は亜リン酸塩系防錆添加剤の種類は特に限定しないが、防錆効果の点からは、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸マグネシウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、リン酸マグネシウム、亜リン酸亜鉛の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることが特に好ましい。塗膜固形分中におけるリン酸塩系防錆添加剤及び/又は亜リン酸塩系防錆添加剤(F)の含有量は15〜35質量%とする。含有量が15質量%未満では耐食性が劣り、一方、35質量%超では、溶出成分が過多となるため耐湿性などのプレコート鋼板の基本性能が低下するほか、塗膜剥離性も劣化しやすくなる。
【0030】
これら下塗り塗膜に配合される防錆添加剤は、有害な物質を含まず且つ塗膜の耐食性を高める作用があるが、特にこれらの防錆添加成分を複合添加することにより耐食性が顕著に向上するのは、カルシウムイオン交換シリカ系防錆添加剤(E)とリン酸塩系防錆添加剤及び/又は亜リン酸塩系防錆添加剤(F)を複合添加した場合、これらの成分から形成される保護皮膜の安定性が特異的に高いことによるものと考えられる。また、これらの防錆添加剤の配合比を特定の範囲に規定することにより、先に述べた樹脂組成物との組合わせにおいて、耐塗膜剥離性と耐食性を高度に両立できる。
【0031】
塗膜固形分中における上記カルシウムイオン交換シリカ系防錆添加剤(E)とリン酸塩系防錆添加剤及び/又は亜リン酸塩系防錆添加剤(F)の合計含有量は20〜50質量%とする。これらの合計含有量が20質量%未満では十分な耐食性が得られず、一方、50質量%を超えると耐塗膜剥離性や加工性、加工部耐食性などが低下してしまう。また、含有量のより好適な範囲は30〜45質量%である。
また、下塗り塗膜中には、上記防錆添加剤(防錆顔料)以外に、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、酸化チタン、酸化鉄、タルク、シリカ、硫酸バリウム、マイカ、弁柄、マンガンブルー、カーボンブラック、アルミニウム粉、パールマイカなどの顔料を目的に応じて配合することができる。
下塗り塗膜の膜厚(乾燥膜厚)は2〜20μmの範囲とすることが好ましい。さらに好ましい範囲は4〜15μmである。膜厚が2μm未満では十分な耐食性が得られず、一方、20μm超では曲げ加工性が不十分である。
【0032】
また、下塗り塗膜用の塗料組成物には、上述した樹脂、防錆添加剤、顔料以外に、必要に応じて硬化触媒、その他消泡剤、流れ止め剤などの各種添加剤を添加することができる。
上記硬化触媒は、樹脂成分(主樹脂および硬化剤)の硬化反応を促進するために必要に応じて使用するものであり、使用可能な硬化触媒としては、酸またはその中和物が挙げられ、例えば、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸及びこれらのアミン中和物、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジラウレート、2−エチルへキソエート鉛などの硬化触媒が代表的なものとして挙げられる。
【0033】
下塗り塗膜を形成するための塗料組成物を実際に使用するにあたっては、これらを有機溶剤に溶解して使用する。使用する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、シクロヘキサノン、ソルベッソ100(商品名、エクソン化学社製)、ソルベッソ150(商品名、エクソン化学社製)、ソルベッソ200(商品名、エクソン化学社製)、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサ、ミネラルスピリットなどが挙げられ、適用する樹脂種に応じてこれらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0034】
塗料組成物を調整するに当っては、サンドグラインドミル、ボールミル、ブレンダーなどの通常の分散機や混練機を選択して使用し、各成分を配合することができる。
下塗り塗膜の塗装方法に特に制約はないが、好ましくは塗料組成物をロールコーター塗装、カーテンフロー塗装などの方法で塗布するのがよい。上記した表面調整処理層又は化成処理皮膜が形成された亜鉛系めっき鋼板の表面に下塗り塗膜用の塗料組成物を塗装後、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの加熱手段により、通常、180〜260℃程度の到達板温で約30秒〜1分間程度の焼付処理を行う。
【0035】
次に、上記下塗り塗膜の上層に形成される上塗り塗膜について説明する。
本発明においては、上塗り塗膜の構成については特別な制約はなく、樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂などの1種又は2種以上を用いることができる。これらの樹脂にアミノ樹脂、イソシアネート化合物などの架橋剤を併用してもよい。
また、上塗り塗膜には、目的や用途に応じてワックスを適量配合することができる。このワックスとしては、天然ワックス及び/又は合成ワックスを用いることができる。
【0036】
また、上塗り塗膜用の塗料組成物には目的や用途に応じて、p−トルエンスルホン酸、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジラウレート、2−エチルヘキソエート鉛などの硬化触媒;炭酸カルシウム、カオリン、クレー、酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、マイカ、弁柄、マンガンブルー、カーボンブラック、アルミニウム粉、パールマイカなどの顔料;その他、消泡剤、流れ止め剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。
この上塗り塗膜の膜厚(乾燥膜厚)は10〜20μmとすることが好ましい。膜厚が10μm未満では上塗り塗膜としての総合的な塗膜性能が十分に得られない恐れがあり、一方、膜厚が20μmを超えると発泡やわきの原因となり好ましくない。
【0037】
上塗り塗膜を形成するための塗料組成物を実際に使用するに当っては、これらを有機溶剤に溶解して使用する。使用する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ソルベッソ100(商品名、エクソン化学社製)、ソルベッソ150(商品名、エクソン化学社製)、ソルベッソ200(商品名、エクソン化学社製)、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサなどが挙げられる。
上塗り塗膜用の塗料組成物を調整するに当っては、サンドグラインドミル、ボールミル、ブレンダーなどの通常の分散機や混練機を選択して使用し、各成分を配合することができる。上塗り塗膜の塗装方法に特に制約はないが、好ましくは塗料組成物をロールコーター塗装、カーテンフロー塗装などの方法で塗布するのがよい。
【0038】
上述した下塗り塗膜の上に上塗り塗膜用の塗料組成物を塗装後、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの加熱手段により塗膜を焼き付け、樹脂を架橋させて硬化塗膜を得る。上塗り塗膜を加熱硬化させる際の焼付処理は、通常、到達板温を180〜260℃程度とし、この温度範囲で約30秒〜3分程度の焼付処理を行う。
なお、本発明のプレコート鋼板は、上塗り塗膜の上にさらに塗膜(例えば、クリアー塗膜)を形成し、3コート・3べークで使用してもよい。
【0039】
【実施例】
[下塗り塗膜用の塗料組成物]
(1.1) 下塗り塗料用ポリエステル樹脂の合成
・ ポリエステル樹脂合成例1
テレフタル酸215.8重量部(1.3モル)、イソフタル酸182.6重量部(1.1モル)、アジピン酸189.8重量部(1.3モル)、エチレングリコール124重量部(2.0モル)、ネオペンチルグリコール166.4重量部(1.6モル)、「エピクロン850」(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)30.4重量部、及びジオクチル錫オキサイド0.1重量部を、窒素気流中240℃で2時間エステル化反応を行った。その後、1時間かけて1mmHgまで減圧し、さらに260℃で1時間反応を行い、ソルベッソ150に溶解して、不揮発分35%、数平均分子量20000、ガラス転移温度10℃のポリエステル樹脂(A1)を得た。
【0040】
・ ポリエステル樹脂合成例2
テレフタル酸215.8重量部(1.3モル)、イソフタル酸182.6重量部(1.1モル)、アジピン酸189.8重量部(1.3モル)、エチレングリコール124重量部(2.0モル)、ネオペンチルグリコール166.4重量部(1.6モル)、「エピクロン850」(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)30.4重量部、及びジオクチル錫オキサイド0.1重量部を、窒素気流中240℃で2時間エステル化反応を行った。その後、1時間かけて1mmHgまで減圧し、さらに260℃で20分反応を行い、ソルベッソ150に溶解して、不揮発分35%、数平均分子量16000、ガラス転移温度15℃のポリエステル樹脂(A2)を得た。
【0041】
(1.2) 下塗り塗料用樹脂組成物の調製
ポリエステル樹脂として、上記ポリエステル樹脂(A1),(A2)(いずれも不揮発分35%)、市販ポリエステル樹脂(A3),(A4)のいずれかを用い、このポリエステル樹脂にエポキシ樹脂(B1)(商品名:大日本インキ化学工業(株)製「エピクロン4050」)又はエポキシ樹脂(B2)(商品名:大日本インキ化学工業(株)製「エピクロン9050」)を表1に示す割合で配合し、さらにトリエチルアミン0.5重量部を添加して窒素気流中、140℃で2時間かけて反応を行い、変性ポリエステル樹脂(C)を得た。これに表1に示す配合割合で硬化剤を配合し、樹脂組成物(R1)〜(R12)を得た。なお、樹脂組成物(R8)については、エポキシ樹脂によるポリエステル樹脂の変性は行わず、ポリエステル樹脂と硬化剤のみを用いた。
(1.3) 下塗り塗膜用の塗料組成物の調製
上述した樹脂組成物(R1)〜(R12)に、表2〜表4に示す配合割合で防錆添加剤を配合し、防錆添加剤の粒度が10μ以下になるまでサンドミルで分散させ、塗料組成物(P1)〜(P23)を得た。なお、各塗料組成物は、溶剤を使用して不揮発分40%に調整した。
【0042】
[塗装鋼板の調製]
下地鋼板である板厚0.6mmの溶融亜鉛めっき鋼板(片面当りのめっき付着量:50g/m2)を脱脂後、表5に示す表面調整処理液を用いてスプレー処理を行い、その後水洗、乾燥を行うことにより、金属、金属酸化物、金属水酸化物の1種以上からなる表面調整処理層(表6,8,10に金属種と金属換算の付着量を示す)を形成した。次いで、一部の材料については、上記表面調整処理層の上層に、シリカ成分として「アエロジル#300」(商品名、日本アエロジル社製):5質量部、オルソリン酸アンモニウム:1質量部、ポリアクリル酸:1質量部、水:93質量部の組成の化成処理液を所定の付着量(SiO2換算の付着量)になるように塗布した後、到達板温80℃の乾燥処理を行って化成処理皮膜を形成した。また、表6のNo.11については、上記化成処理液のシリカ成分である「アエロジル#300」に代えてコロイダルシリカ(商品名:日産化学工業(株)製「スノーテックスOS」)を配合したもの、同じくNo.12については、上記化成処理液においてシリカ成分を添加しないものを、それぞれ上記と同様の条件で塗布・乾燥させて化成処理皮膜を形成した。
【0043】
上記表面調整処理層を形成しためっき鋼板又はその上層に化成処理皮膜を形成しためっき鋼板に、表2〜表4に示す組成に調整した下塗り塗膜用の塗料組成物(P1)〜(P23)を乾燥膜厚が5μmになるように塗布した後、焼付温度(到達温度)215℃、焼付時間60秒の焼付処理を行って下塗り塗膜を形成し、さらに、その上にポリエステル系上塗り塗料(商品名:日本ファインコーティングス社製「SRF05」)を乾燥膜厚が15μmになるように塗布した後、焼付温度(到達温度)230℃、焼付時間60秒の焼付処理を行って上塗り塗膜を形成し、本発明例および比較例のプレコート鋼板を得た。
【0044】
これらプレコート鋼板の皮膜・塗膜構成と性能を表6〜表11に示す。
以下に、プレコート鋼板の性能試験の試験方法と評価方法について示す。
(1)摺動部耐塗膜剥離性
先端径1mmRのビードを幅30mmの試験片に対して200kgfの荷重で押し付けた状態でビード引き抜き試験を行い、その外観(塗膜剥離程度)により下記基準で評価した。
◎:塗膜剥離無し
○:塗膜剥離率5%以下(実用上問題なし)
△:塗膜剥離率5%超、50%以下(実用上問題あり)
×:塗膜剥離率50%超(実用上問題あり)
【0045】
(2)耐食性
先端径1mmRのビードを幅30mmの試験片に対して200kgfの荷重で押し付けた状態でビード引き抜き試験を行い、この試験片に対してJIS Z 2371記載の塩水噴霧試験(SST試験)を240時間実施した後、摺動部の塗膜の状態を、下記により評価した。
○:塗膜に異常無し
△:軽微な膨れのみ(塗膜膨れ面積率10%未満)
×:塗膜膨れ面積率10%以上
【0046】
(3)切断端面部耐食性
70mm×150mmの試験片を、左端面が下バリ、右端面が上バリになるように切り出し、上下端面をテープシールした後、JIS Z 2371記載の塩水噴霧試験(SST試験)を240時間実施した。試験後、バリ部に発生した塗膜膨れのエッジからの最大幅を測定し、下記により評価した。
◎:最大膨れ幅1mm以下
○:最大膨れ幅1mm超、2mm以下
△:最大膨れ幅2mm超、4mm以下
×:最大膨れ幅4mm超
【0047】
(4)曲げ加工性
試験片の2T折り曲げ部に粘着テープを粘着・剥離し、2T折り曲げ部の塗膜の剥離程度(剥離面積%)を測定し、下記により評価した。
◎:塗膜剥離無し
○:塗膜剥離率10%以下
△:塗膜剥離率10%超、50%以下
×:塗膜剥離率50%超
【0048】
(5)耐湿性
相対湿度98%以上、試験温度50℃の恒温高湿試験機に試験片を240時間暴露し、試験後の塗膜表面の膨れ程度をJIS K5600−8−2に基づき観察し、下記により評価した。
○:膨れ大きさ等級1以下、密度等級1以下を同時に満足するもの
△:膨れ大きさ等級2以下、密度等級2以下を同時に満足するもの
×:上記以外の膨れレベル
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】
【表9】
【0058】
【表10】
【0059】
【表11】
【0060】
【発明の効果】
以上述べたように本発明のプレコート鋼板は、切断端面部の耐食性に優れ、しかも成型加工等における塗膜の損傷が極めて少ない、すなわち耐塗膜剥離性に優れるとともに、プレコート鋼板の基本性能である耐食性及び曲げ加工性にも優れた環境調和型プレコート鋼板である。このため家電製品、建材、自動車等の用途において、高度の環境調和性、成形加工性、耐食性が求められる部位に用いられるプレコート鋼板として極めて有用である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an environmentally conscious precoated steel sheet that has extremely little damage to the coating film during molding processing, that is, excellent in peel resistance, and excellent in corrosion resistance and bending workability, which are basic properties of the precoated steel sheet. is there. The precoated steel sheet of the present invention is suitable for home appliances and building materials, for example, and can be used for automobiles.
[0002]
[Prior art]
In contrast to the post-coating method in which a steel plate is coated after forming, the pre-coating method is a method in which a pre-coated steel plate is molded, and the coated steel plate used for this is called a pre-coated steel plate. The precoated steel sheet is required to have a high degree of moldability that does not cause scratches or peeling of the coating film during molding and excellent corrosion resistance that does not cause swelling of the coating film. In order to ensure corrosion resistance and adhesion, the pre-coated steel plates currently used are subjected to a chemical conversion treatment containing chromium, and many of them contain a chromium-based rust preventive pigment in the undercoat film (for example, , See Patent Document 1). However, recently, it is desired to regulate the use of chromium, which is an environmentally regulated substance, and for this reason, development of a technology that does not use chromium in a chemical conversion treatment film or a coating film is also desired for pre-coated steel sheets.
[0003]
As a conventional technique related to a chromium-free precoated steel sheet or a coating composition for a precoated steel sheet, for example, a precoated steel sheet having excellent corrosion resistance can be obtained by containing a basic phosphite-based anticorrosive pigment in the undercoat film. (See Patent Document 2), a precoated steel sheet having excellent corrosion resistance can be obtained by containing an isocyanate compound and a phosphoric acid-based anticorrosive pigment in the undercoat (see Patent Document 3), phosphorus A coating composition containing a mixture of an acid salt anticorrosive pigment and calcium ion exchanged silica (see Patent Document 4), and a combination of a specific resin raw material and a non-chromium anticorrosive additive is said to provide good corrosion resistance. Coating film adhesion by providing a specific base treatment layer composed of a resin (see Patent Document 5), aqueous resin, tannic acid, fine silica, etc. It is said that a precoated steel sheet having excellent adhesion can be obtained by providing a specific base treatment layer composed of tannic acid, a silane coupling agent, fine silica, etc. Excellent adhesion by providing a specific base treatment layer consisting of a resin component such as an existing resin (see Patent Document 7), urethane resin, epoxy resin, acrylic resin, silane coupling agent, and fine particles having an average particle size of 1 μm or less In addition, there are some that pre-coated steel sheets are obtained (see Patent Document 8).
[0004]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 7-316497 [Patent Document 2]
JP-A-8-319437 [Patent Document 3]
JP-A-8-11257 [Patent Document 4]
JP 9-12931 A [Patent Document 5]
JP 2000-198963 A [Patent Document 6]
JP 2000-167482 A [Patent Document 7]
JP 2001-89868 A [Patent Document 8]
Japanese Patent Laid-Open No. 2001-81392
[Problems to be solved by the invention]
Most of the above-described conventional techniques related to the chromium-free precoated steel sheet focus on corrosion resistance, and the corrosion resistance, particularly the corrosion resistance of the cut end face portion, is inferior to that using a chromium-based pigment. In addition, the conventional technology (for example, Patent Document 6) that focuses on the adhesion of the coating film is one that improves the adhesion of the coating film at the flat portion or the bent portion, and is a high-level coating required in actual molding. It does not satisfy the film adhesion.
[0006]
Accordingly, the object of the present invention is to solve such problems of the prior art, and is a pre-coated steel sheet that does not contain chromium in the film or coating film, and is excellent in forming that does not cause damage such as coating film peeling in the actual forming process. An object of the present invention is to provide an environmentally conscious precoated steel sheet that has workability (sliding part coating film peeling resistance) and is excellent in corrosion resistance and bending workability, which are basic performances of the precoated steel sheet.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
As a result of repeated studies to solve the above-mentioned problems and to obtain a pre-coated steel sheet exhibiting excellent performance, the present inventors formed a specific surface conditioning treatment layer on the surface of the zinc-based plated steel sheet, and if necessary, A chemical conversion film is formed, and the upper layer is composed of a modified polyester resin obtained by reacting a specific polyester resin and an epoxy resin, and a curing agent as the main component resin, and multiple types of specific anti-rust additive components are combined with this. It was found that by forming the added undercoat film and further forming an overcoat film on the upper layer, a precoated steel sheet having excellent corrosion resistance but excellent corrosion resistance while being chromium-free can be obtained. .
[0008]
The present invention has been made based on such findings, and the features thereof are as follows.
[1] A precoated steel sheet in which a surface conditioning layer is formed on the surface of a zinc-based plated steel sheet, an undercoat film is formed on the upper layer, and an upper coat film is further formed on the upper layer.
The surface conditioning treatment layer is applied to the plating surface with a treatment solution containing one or more metal salts of metals selected from Ni, Co, Fe, Cu, Sn, Mo, W as a main component, washed with water, It is a processing layer formed by drying, and the adhesion amount in terms of metal is 20 to 150 mg / m 2 ,
The resin contained in the undercoat coating film is a modified polyester resin (C) obtained by reaction of a polyester resin (A) having a number average molecular weight of 12,000 to 26000 and a glass transition temperature of 0 to 30 ° C. and an epoxy resin (B). ) And a curing agent (D) as main components, and the blending ratio (molar ratio) of the polyester resin (A) and the epoxy resin (B) is A / B = 1.0 / 1.2 to 1.0 / 4.0,
The undercoat coating film contains a calcium ion exchange silica-based rust preventive additive (E), a phosphate-based rust preventive additive and / or a phosphite-based rust preventive additive (F). 3% ≦ E ≦ 25%, 15% ≦ F ≦ 35%, 20% ≦ E + F ≦ 50% by mass% in the solid content of the coating film,
The precoat steel sheet excellent in environmental harmony, sliding part coating film peeling resistance and corrosion resistance, characterized in that the undercoat film and the topcoat film do not contain a chromium-based compound.
[0009]
[2] A precoat in which a surface adjustment treatment layer is formed on the surface of a zinc-based plated steel sheet, a chemical conversion treatment film is formed on the upper layer, an undercoat film is formed on the upper layer, and an upper coat film is further formed on the upper layer A steel plate,
The surface conditioning treatment layer is applied to the plating surface with a treatment solution containing one or more metal salts of metals selected from Ni, Co, Fe, Cu, Sn, Mo, W as a main component, washed with water, It is a processing layer formed by drying, and the adhesion amount in terms of metal is 20 to 150 mg / m 2 ,
The resin contained in the undercoat coating film is a modified polyester resin (C) obtained by reaction of a polyester resin (A) having a number average molecular weight of 12,000 to 26000 and a glass transition temperature of 0 to 30 ° C. and an epoxy resin (B). ) And a curing agent (D) as main components, and the blending ratio (molar ratio) of the polyester resin (A) and the epoxy resin (B) is A / B = 1.0 / 1.2 to 1.0 / 4.0,
The undercoat coating film contains a calcium ion exchange silica-based rust preventive additive (E), a phosphate-based rust preventive additive and / or a phosphite-based rust preventive additive (F). 3% ≦ E ≦ 25%, 15% ≦ F ≦ 35%, 20% ≦ E + F ≦ 50% by mass% in the solid content of the coating film,
A precoated steel sheet excellent in environmental harmony, sliding part coating film peeling resistance and corrosion resistance, characterized in that the chemical conversion film, the undercoat film and the topcoat film do not contain a chromium-based compound.
[0010]
[3] In the precoated steel sheet of [1] or [2] above, the phosphate-based rust preventive additive and / or the phosphite-based rust preventive additive (F) contained in the undercoat film is phosphoric acid. Environmentally friendly, characterized by being one or more selected from zinc, calcium phosphate, aluminum phosphate, calcium metaphosphate, magnesium metaphosphate, aluminum dihydrogen tripolyphosphate, magnesium phosphate, zinc phosphite Pre-coated steel sheet with excellent contact properties, sliding part peel resistance and corrosion resistance.
[4] In the precoated steel sheet of [2] or [3] above, the chemical conversion coating is a coating containing silica fine particles and a binder, and the coating amount in terms of SiO 2 is 10 to 300 mg / m 2 . A pre-coated steel sheet excellent in environmental harmony, sliding part coating film peeling resistance and corrosion resistance.
[5] In the precoated steel sheet according to [4], the silica fine particles contained in the chemical conversion film are dry silica, and the precoat has excellent environmental harmony, sliding part coating film peeling resistance and corrosion resistance steel sheet.
[0011]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The details of the present invention and the reasons for limitation will be described below.
The pre-coated steel sheet of the present invention forms a specific surface conditioning treatment layer on the surface of a zinc-based plated steel sheet, forms a chemical conversion treatment film on the upper layer as necessary, and then applies a specific undercoat film and topcoat film. It is the formed precoat steel plate. Here, the precoated steel sheet of the present invention does not contain a chromium-based compound such as a chromium-based anticorrosive component in the chemical conversion treatment film, the undercoat film, and the topcoat film.
Examples of the galvanized steel sheet to be the base steel sheet include a hot dip galvanized steel sheet, an alloyed hot dip galvanized steel sheet, an electrogalvanized steel sheet, an electrogalvanized steel sheet, a hot-dip Zn-A1 alloy-plated steel sheet (for example, hot-dip Zn-5% A1). Various zinc-based plated steel sheets such as an alloy-plated steel sheet and a molten Zn-A1 alloy-plated steel sheet typified by a hot-dip Zn-55% A1 alloy-plated steel sheet can be used.
[0012]
The surface conditioning layer formed on the surface of these galvanized steel sheets is made of Ni, Co, Fe, Cu, Sn, Mo, W, one or more metal oxides of these metals, and one or more of these metals. It is a film | membrane which consists of 1 or more types chosen from these metal hydroxides.
In the case of a pre-coated steel sheet having a chromate film, the surface conditioning treatment of the plated steel sheet is performed for the purpose of improving the adhesion, but the present inventors are particularly interested in the case of a pre-coated steel sheet that does not contain chromium in the film or coating film. The surface conditioning treatment has a great effect of improving the corrosion resistance, particularly the corrosion resistance of the cut end surface portion, and in particular, the surface conditioning treatment layer having a specific composition as described above is formed on the surface of the plated steel sheet. It has been found that the effect of suppressing the swelling of the coating film at the end face (corrosion resistance) is remarkably improved.
[0013]
Usually, this surface conditioning layer is one kind of metal salt of metal selected from Ni, Co, Fe, Cu, Sn, Mo, W (for example, sulfate, nitrate, chloride salt, ammonium salt, etc.). The above is added as a main component, and a treatment liquid to which a pH buffering agent, a complexing agent and the like are added as necessary is applied to the plated surface by any method, washed with water, and dried. The surface conditioning layer is preferably a uniform layer on the plating surface, but may be formed in an island shape or a mesh shape.
As the treatment liquid for forming the surface adjustment treatment layer, either an acidic treatment liquid or an alkaline treatment liquid may be used. For example, as the acidic solution, “PL-211”, “PL-4015”, “PL-4036” (all trade names) manufactured by Nippon Parker Jig Co., Ltd., “NP Conditioner 700” manufactured by Nippon Paint Co., Ltd. (product) Name) etc. can be used. As the alkaline solution, “NP Conditioner 200” (trade name) manufactured by Nippon Paint Co., Ltd. can be used. In addition to these commercially available drugs, salts of the above metals (for example, sulfates, nitrates, chlorides, ammonium salts, etc.), pH buffers (for example, boric acid, oxalates, phthalates, carbonates, It is also possible to adjust the treatment liquid by combining alkali metal salts), complexing agents (for example, polyaminocarboxylic acids such as EDTA, polyoxycarboxylic acids such as citric acid, condensed phosphates, Rochelle salts, etc.) is there.
[0014]
Application of the treatment liquid to the surface of the plated steel sheet can be performed, for example, by a dipping method or a spray method. After the treatment liquid is applied to the surface of the plated steel sheet by these methods, the surface is adjusted by washing and drying. Form a layer. At this time, the amount of adhesion can be controlled by adjusting the treatment liquid concentration.
The adhesion amount of the surface adjustment treatment layer is 20 to 150 mg / m 2 in terms of the adhesion amount of the above metal in terms of metal. If the adhesion amount is less than 20 mg / m 2 , the effect of improving the corrosion resistance of the cut end face is not remarkably observed. On the other hand, if it exceeds 150 mg / m 2 , not only the effect corresponding to the adhesion amount is expected, but also the treatment liquid The use time is shortened by an increase in Zn sludge, and workability and corrosion resistance of the processed part are also deteriorated. Moreover, the range of the more preferable adhesion amount is 50-100 mg / m < 2 > from the point of the corrosion-resistant improvement effect and workability.
[0015]
A chemical conversion treatment film is formed on the surface adjustment treatment layer as necessary. The chemical conversion coating is not particularly limited as long as it does not contain chromate, and among these, a chemical conversion coating including silica fine particles and a binder thereof is preferable, and dry silica as silica fine particles is particularly preferable. A chemical conversion film containing fine particles is preferred.
Examples of the silica fine particles include wet silica (colloidal silica) having a primary particle size of about 1 to 100 nm, dry silica (fumed silica: for example, trade names “Aerosil # 200” and “Aerosil # 300” manufactured by Nippon Aerosil Co., Ltd. 1) or two or more selected from “)” can be used, and dry silica is particularly preferable. By blending such silica fine particles, especially dry silica fine particles, in the chemical conversion treatment film, the adhesion to the undercoat film of the chemical conversion treatment film upper layer and scratch resistance can be improved.
[0016]
Moreover, as said binder, the 1 type (s) or 2 or more types chosen from water-soluble or water-dispersible organic polymer components and oxyacid salt (however, except chromate) can be used, for example. Examples of the water-soluble or water-dispersible organic polymer component include poly (meth) acrylic acid and polyvinyl alcohol. Examples of the oxyacid salt include phosphate, molybdate, tungstate, and vanadate. By incorporating such a binder into the chemical conversion coating, the bonding between the silica particles (cohesion resistance of the coating) and the adhesion of the silica particles to the base metal (and the surface conditioning layer) are improved. Can do.
[0017]
Further, one or more of Zr compounds, Ti compounds, and Hf compounds (for example, fluoro complex salts) are added as additives to the treatment liquid for forming the chemical conversion coating, and these are added to the chemical conversion coating. Can be contained.
The compounding ratio of the silica fine particles and the binder in the chemical conversion coating is desirably in the range of silica fine particles / binder = 1 / 0.01 to 1/10 in terms of solid mass ratio. When the blending ratio of the binder with respect to the blending amount of silica fine particles is less than 0.01, the binding properties of the silica fine particles (cohesive fracture resistance of the coating), the base metal of the silica fine particles (and the surface conditioning layer), The adhesion of is poor. Further, when the blending ratio of the binder with respect to the blending amount of silica fine particles: 1 is more than 10, the adhesion with the undercoat film of the chemical conversion coating upper layer and the scratch resistance are inferior.
[0018]
The adhesion amount of the chemical conversion coating is preferably in the range of 10 to 300 mg / m 2 in terms of SiO 2 of silica fine particles contained as a component. If the adhesion amount is less than 10 mg / m 2 , the adhesion with the undercoat film is inferior, whereas if it exceeds 300 mg / m 2 , the workability is inferior.
Although there is no restriction | limiting in particular in the processing method for forming a chemical conversion treatment film, Generally, a chemical conversion liquid is applied with a roll coater, and it is made to dry after that. In this drying, the film is usually dried at a reaching plate temperature of about 50 to 150 ° C. by heating means such as hot air heating, infrared heating, induction heating and the like.
[0019]
Next, the undercoat coating film formed on the surface adjustment treatment layer or the chemical conversion treatment layer will be described.
The undercoat film has a modified polyester resin (C) obtained by a reaction between a polyester resin (A) having a number average molecular weight of 12,000 to 26000 and a glass transition temperature of 0 to 30 ° C. and an epoxy resin (B), and a curing agent ( D) and a coating film formed by applying a paint having a main component resin.
The polyester resin (A) for obtaining the modified polyester resin (C) is mainly an ester compound of a polybasic acid and a polyhydric alcohol.
Examples of the polybasic acid include dibasic acids such as terephthalic acid, isophthalic acid, succinic acid, adipic acid, sebacic acid, fumaric acid and maleic anhydride, trivalent or higher polyvalent acids such as trimellitic anhydride and pyromellitic anhydride. A basic acid or the like is used, and two or more of these polybasic acid components can be used in combination.
[0020]
Examples of the polyhydric alcohol include ethylene glycol, diethylene glycol, propylene glycol, dipropylene glycol, polypropylene glycol, neopentyl glycol, 3-methylpentadiol, neopentylene glycol, 1,4-butanediol, and 1,5-pentanediol. 1,4-hexanediol, 1,6-hexanediol, 1,4-cyclohexanedimethanol and other aliphatic or alicyclic dihydric alcohols are mainly used, and if necessary, glycerin, trimethylol Trivalent or higher polyhydric alcohols such as ethane, trimethylolpropane, trimethylolbutane, hexanetriol, pentaerythritol, and dipentaerythritol can also be used in combination. These polyhydric alcohols can be used in combination of two or more.
[0021]
The polyester resin (A) needs to have a number average molecular weight of 12000 to 26000 and a glass transition temperature of 0 to 30 ° C. The more preferred number average molecular weight of the polyester resin (A) is 14,000 to 21000, and the glass transition temperature is 5 to 25 ° C. If the number average molecular weight of the polyester resin (A) is less than 12000, the elongation of the coating film becomes insufficient and the bending workability is lowered. On the other hand, if the number average molecular weight exceeds 26000, the toughness of the coating film is lowered, so that the coating film peel resistance of the sliding portion becomes insufficient even after modification with an epoxy resin described later. Furthermore, since the coating composition has a high viscosity, an excessive dilution solvent is required, which is not preferable from the viewpoint of coating workability and environmental harmony. On the other hand, when the glass transition temperature of the polyester resin (A) exceeds 30 ° C., the coating film is insufficiently stretched and bending workability is lowered. On the other hand, if the glass transition temperature is less than 0 ° C., the toughness of the coating film decreases, and sufficient peel resistance cannot be obtained.
[0022]
The epoxy resin (B) for reacting with the polyester resin (A) is blended in order to improve the adhesion to the base. Examples of the epoxy resin suitable for use in the present invention include bisphenol. Examples thereof include epoxy compounds obtained by reaction of bisphenols such as A, bisphenol F, and bisphenol S with epihalohydrin or β-methyl epihalohydrin, or bisphenol-type epoxy resins that are copolymers thereof.
It is preferable to use an epoxy resin (B) having a number average molecular weight of 500 or more. If the number average molecular weight of the epoxy resin is less than 500, the adhesiveness is lowered. Moreover, when the number average molecular weight of an epoxy resin exceeds 5000, resin viscosity will become high and the compatibility as a coating material will fall easily, so that a number average molecular weight is 5000 or less.
[0023]
As a method of modifying the polyester resin (A) with the epoxy resin (B), there are a method of incorporating an epoxy resin in the synthesis of the polyester resin, a method of reacting the polyester resin and the epoxy resin in the presence of an amine catalyst, and the like. Among these modification methods, from the viewpoint of obtaining a high degree of adhesion without impairing the flexibility of the coating film, a method of reacting with an epoxy resin in the presence of an amine catalyst after the synthesis of the polyester resin is preferable.
Moreover, the compounding ratio (molar ratio) of the polyester resin (A) and the epoxy resin (B) for obtaining the modified polyester resin (C) is A / B = 1.0 / 1.2 to 1.0 / 4. Must be zero. Polyester resin (A): When the epoxy resin (B) is less than 1.2 with respect to 1.0, the coating film peeling resistance becomes insufficient, while when it exceeds 4.0, the bending workability is lowered.
[0024]
An amino resin or / and a polyisocyanate compound can be used as the curing agent (D).
The amino resin is a resin obtained by alkyl etherifying a part or all of a product obtained by condensation reaction of urea, benzoguanamine, melamine and the like with formaldehyde with alcohol such as methanol, ethanol, butanol. Specific examples include methylated urea resins, n-butylated benzoguanamine resins, methylated melamine resins, n-butylated melamine resins, iso-butylated melamine resins, and the like. Can be used.
[0025]
As said polyisocyanate compound, the isocyanate compound obtained by a general manufacturing method can be used. Among them, a polyisocyanate compound blocked with a blocking agent such as phenol, cresol, aromatic secondary amine, tertiary alcohol, lactam, oxime and the like, which can be used as a one-pack type paint, is particularly preferable. By using this blocked polyisocyanate compound, it is possible to store in one liquid, and the use as a paint becomes easy.
[0026]
More preferred polyisocyanate compounds include non-yellowing hexamethylene diisocyanate and derivatives thereof, tolylene diisocyanate and derivatives thereof, 4,4′-diphenylmethane diisocyanate and derivatives thereof, xylylene diisocyanate and derivatives thereof, isophorone diisocyanate and derivatives thereof. Derivatives, trimethylhexamethylene diisocyanate and its derivatives, hydrogenated tolylene diisocyanate and its derivatives, hydrogenated 4,4'-diphenylmethane diisocyanate and its derivatives, hydrogenated xylylene diisocyanate and its derivatives, etc. Species or two or more can be used.
[0027]
The blending ratio of the modified polyester resin (C) and the curing agent (D) in the undercoat coating film is a modified polyester resin (C) / curing agent (D) = 90/10 to 65/35 in terms of solid mass ratio. Is preferred. When the ratio of the modified polyester resin (C) exceeds 90/10, sufficient curability cannot be obtained, and the scratch resistance and the solvent resistance decrease. On the other hand, when the ratio of the modified polyester resin (C) is less than 65/35, The side reaction between the excessive curing agents or between the curing agent and the modified polyester resin (C) occurs, and the workability and the processed part adhesion tend to be lowered.
[0028]
In the undercoat coating film, a calcium ion exchange silica-based rust preventive additive (E), a phosphate-based rust preventive additive and / or a phosphite-based rust preventive additive (F) are blended.
The calcium ion exchange silica-based rust preventive additive (E) is considered to have a function of forming a protective film at an early stage by eluting in an environment where corrosion is likely to occur, and suppressing further progress of corrosion. The calcium ion exchange silica-based rust preventive additive is obtained by ion exchange of calcium atoms with the surface silanol group of amorphous silica. This rust preventive additive does not contain harmful substances and has the effect of enhancing the corrosion resistance of the coating film. The content of the calcium ion exchange silica-based rust preventive additive (E) in the solid component of the coating film is 3 to 25% by mass. If the content is less than 3% by mass, a sufficient anticorrosive effect cannot be obtained. In addition, since the calcium ion exchange silica-based rust preventive additive has a large particle size (usually about 3 μm), if its content exceeds 25% by mass, the coating film becomes rigid and is subject to sliding such as during molding. Cohesive failure is likely to occur when bent.
[0029]
The phosphate-based rust preventive additive and / or the phosphite-based rust preventive additive (F) has a function of forming a protective film with an eluting metal (for example, zinc as a plating component), This is considered to exert a rust prevention effect. The type of phosphate-based rust-preventive additive and / or phosphite-based rust-preventive additive to be used is not particularly limited, but in terms of rust-preventing effect, zinc phosphate, calcium phosphate, aluminum phosphate, calcium metaphosphate It is particularly preferable to use one or more selected from magnesium metaphosphate, aluminum dihydrogen tripolyphosphate, magnesium phosphate, and zinc phosphite. The content of the phosphate-based anticorrosive additive and / or the phosphite-based anticorrosive additive (F) in the solid content of the coating film is 15 to 35% by mass. If the content is less than 15% by mass, the corrosion resistance is inferior. On the other hand, if it exceeds 35% by mass, the elution component is excessive, so that the basic performance of the precoated steel sheet such as moisture resistance is lowered, and the peelability of the coating film is easily deteriorated. .
[0030]
The anticorrosive additive blended in these undercoating films does not contain harmful substances and has the effect of enhancing the anticorrosion properties of the coating film, but the corrosion resistance is significantly improved by adding these anticorrosive additive components in combination. When a calcium ion exchange silica-based anticorrosive additive (E) and a phosphate-based anticorrosive additive and / or a phosphite-based anticorrosive additive (F) are added in combination, from these components This is considered to be due to the specifically high stability of the protective film formed. Further, by defining the blending ratio of these rust preventive additives within a specific range, the coating film peeling resistance and the corrosion resistance can be highly compatible in combination with the resin composition described above.
[0031]
The total content of the calcium ion exchange silica-based anticorrosive additive (E) and the phosphate anticorrosive additive and / or the phosphite anticorrosive additive (F) in the solid content of the coating film is 20 to 20%. 50% by mass. When the total content is less than 20% by mass, sufficient corrosion resistance cannot be obtained. On the other hand, when the total content exceeds 50% by mass, the coating film peeling resistance, workability, and processed part corrosion resistance are deteriorated. Moreover, the more suitable range of content is 30-45 mass%.
In addition, in the undercoat film, in addition to the anticorrosive additive (antirust pigment), calcium carbonate, kaolin, clay, titanium oxide, iron oxide, talc, silica, barium sulfate, mica, petal, manganese blue, Pigments such as carbon black, aluminum powder, and pearl mica can be blended depending on the purpose.
The film thickness (dry film thickness) of the undercoat coating film is preferably in the range of 2 to 20 μm. A more preferable range is 4 to 15 μm. If the film thickness is less than 2 μm, sufficient corrosion resistance cannot be obtained, while if it exceeds 20 μm, the bending workability is insufficient.
[0032]
In addition to the above-mentioned resins, rust preventive additives, and pigments, various additives such as curing catalysts, other antifoaming agents, and flow inhibitors may be added to the coating composition for the undercoat film as necessary. Can do.
The curing catalyst is used as necessary to accelerate the curing reaction of the resin components (main resin and curing agent). Examples of usable curing catalysts include acids or neutralized products thereof. For example, curing catalysts such as p-toluenesulfonic acid, dodecylbenzenesulfonic acid, dinonylnaphthalenesulfonic acid, dinonylnaphthalenedisulfonic acid and neutralized amines thereof, tin octoate, dibutyltin dilaurate, lead 2-ethylhexoate Is a typical example.
[0033]
In actually using the coating composition for forming the undercoat film, these are dissolved in an organic solvent and used. Examples of the organic solvent used include methyl ethyl ketone, methyl isobutyl ketone, methanol, ethanol, cyclohexanone, Solvesso 100 (trade name, manufactured by Exxon Chemical), Solvesso 150 (trade name, manufactured by Exxon Chemical), and Solvesso 200 (trade name). Exxon Chemical Co., Ltd.), toluene, xylene, methyl cellosolve, butyl cellosolve, cellosolve acetate, butyl cellosolve acetate, carbitol, ethyl carbitol, butyl carbitol, ethyl acetate, butyl acetate, petroleum ether, petroleum naphtha, mineral spirit, etc. Depending on the resin type to be applied, one or more of these can be used.
[0034]
In preparing the coating composition, an ordinary disperser or kneader such as a sand grind mill, a ball mill, or a blender can be selected and used, and each component can be blended.
Although there are no particular restrictions on the method of applying the undercoat film, the coating composition is preferably applied by a method such as roll coater coating or curtain flow coating. After coating the coating composition for the undercoat film on the surface of the zinc-based plated steel sheet on which the above-described surface conditioning layer or chemical conversion coating is formed, it is usually 180 by heating means such as hot air heating, infrared heating and induction heating. A baking process is performed for about 30 seconds to 1 minute at an ultimate plate temperature of about ~ 260 ° C.
[0035]
Next, the top coat film formed on the upper layer of the undercoat film will be described.
In the present invention, there is no particular restriction on the configuration of the top coat film, and as the resin, one or more of polyester resin, acrylic resin, fluororesin, urethane resin and the like can be used. These resins may be used in combination with a crosslinking agent such as an amino resin or an isocyanate compound.
Further, an appropriate amount of wax can be blended in the top coat film depending on the purpose and application. As this wax, natural wax and / or synthetic wax can be used.
[0036]
In addition, the coating composition for the top coat film may be a curing catalyst such as p-toluenesulfonic acid, tin octoate, dibutyltin dilaurate, or 2-ethylhexoate lead; calcium carbonate, kaolin, Clay, titanium oxide, talc, barium sulfate, mica, petal, manganese blue, carbon black, aluminum powder, pigments such as pearl mica; and other additives such as antifoaming agents and anti-flow agents it can.
The film thickness (dry film thickness) of the top coat film is preferably 10 to 20 μm. If the film thickness is less than 10 μm, there is a risk that the overall coating performance as a top coat film may not be sufficiently obtained. On the other hand, if the film thickness exceeds 20 μm, foaming and side walls are not preferable.
[0037]
In actually using the coating composition for forming the top coat film, these are dissolved in an organic solvent and used. Examples of the organic solvent to be used include methyl ethyl ketone, methyl isobutyl ketone, cyclohexanone, Solvesso 100 (trade name, manufactured by Exxon Chemical), Solvesso 150 (trade name, manufactured by Exxon Chemical), and Solvesso 200 (trade name, Exxon Chemical). Manufactured), toluene, xylene, methyl cellosolve, butyl cellosolve, cellosolve acetate, butyl cellosolve acetate, carbitol, ethyl carbitol, butyl carbitol, ethyl acetate, butyl acetate, petroleum ether, petroleum naphtha and the like.
In preparing the coating composition for the top coat film, an ordinary dispersing machine or kneader such as a sand grind mill, a ball mill, or a blender is selected and used, and each component can be blended. Although there are no particular restrictions on the method of applying the top coat film, the coating composition is preferably applied by a method such as roll coater coating or curtain flow coating.
[0038]
After coating the coating composition for the topcoat film on the above-described undercoat film, the coating film is baked by a heating means such as hot air heating, infrared heating, induction heating, etc., and the resin is crosslinked to obtain a cured coating film. The baking treatment for heat-curing the top coat film is usually performed at a final plate temperature of about 180 to 260 ° C., and a baking treatment of about 30 seconds to about 3 minutes is performed in this temperature range.
In addition, the precoat steel plate of this invention may form a coating film (for example, clear coating film) further on top coat film, and may be used by 3 coat * 3 bake.
[0039]
【Example】
[Coating composition for undercoat film]
(1.1) Synthesis of polyester resin for undercoat paint ・ Polyester resin synthesis example 1
215.8 parts by weight (1.3 moles) of terephthalic acid, 182.6 parts by weight (1.1 moles) of isophthalic acid, 189.8 parts by weight (1.3 moles) of adipic acid, 124 parts by weight of ethylene glycol (2. 0 mol), neopentyl glycol 166.4 parts by weight (1.6 mol), “Epiclon 850” (trade name, manufactured by Dainippon Ink & Chemicals, Inc.) 30.4 parts by weight, and dioctyltin oxide 0.1 Part by weight was subjected to esterification reaction at 240 ° C. for 2 hours in a nitrogen stream. Thereafter, the pressure is reduced to 1 mmHg over 1 hour, and further reacted at 260 ° C. for 1 hour, dissolved in Solvesso 150, and a polyester resin (A1) having a nonvolatile content of 35%, a number average molecular weight of 20000, and a glass transition temperature of 10 ° C. Obtained.
[0040]
・ Polyester resin synthesis example 2
215.8 parts by weight (1.3 moles) of terephthalic acid, 182.6 parts by weight (1.1 moles) of isophthalic acid, 189.8 parts by weight (1.3 moles) of adipic acid, 124 parts by weight of ethylene glycol (2. 0 mol), neopentyl glycol 166.4 parts by weight (1.6 mol), “Epiclon 850” (trade name, manufactured by Dainippon Ink & Chemicals, Inc.) 30.4 parts by weight, and dioctyltin oxide 0.1 Part by weight was subjected to esterification reaction at 240 ° C. for 2 hours in a nitrogen stream. Thereafter, the pressure is reduced to 1 mmHg over 1 hour, and further reacted at 260 ° C. for 20 minutes, dissolved in Solvesso 150, and a polyester resin (A2) having a nonvolatile content of 35%, a number average molecular weight of 16000, and a glass transition temperature of 15 ° C. Obtained.
[0041]
(1.2) Preparation of resin composition for undercoat paint As the polyester resin, any one of the above polyester resins (A1) and (A2) (both non-volatile content 35%) and commercially available polyester resins (A3) and (A4) are used. Epoxy resin (B1) (trade name: “Epicron 4050” manufactured by Dainippon Ink & Chemicals, Inc.) or epoxy resin (B2) (trade name: “Epicron 9050” manufactured by Dainippon Ink & Chemicals, Inc.) ) At a ratio shown in Table 1, 0.5 parts by weight of triethylamine was further added, and the reaction was carried out in a nitrogen stream at 140 ° C. for 2 hours to obtain a modified polyester resin (C). The hardening | curing agent was mix | blended with the mixture ratio shown in Table 1 to this, and resin composition (R1)-(R12) was obtained. In addition, about the resin composition (R8), modification | denaturation of the polyester resin by an epoxy resin was not performed, but only the polyester resin and the hardening | curing agent were used.
(1.3) Preparation of coating composition for undercoat film Rust preventive additive is blended with the above-described resin compositions (R1) to (R12) at the blending ratios shown in Tables 2 to 4, and Dispersion was performed with a sand mill until the particle size became 10 μm or less to obtain coating compositions (P1) to (P23). Each coating composition was adjusted to a non-volatile content of 40% using a solvent.
[0042]
[Preparation of coated steel sheet]
After degreasing a hot-dip galvanized steel sheet with a thickness of 0.6 mm, which is the base steel sheet (plating adhesion amount per side: 50 g / m 2 ), it is sprayed using the surface conditioning treatment liquid shown in Table 5, and then washed with water. By performing drying, a surface adjustment treatment layer (shown in Tables 6, 8, and 10 indicating the metal species and the metal conversion amount) composed of one or more of metal, metal oxide, and metal hydroxide was formed. Next, with regard to some materials, “Aerosil # 300” (trade name, manufactured by Nippon Aerosil Co., Ltd.): 5 parts by mass, ammonium orthophosphate: 1 part by mass, polyacrylic as a silica component on the surface adjustment treatment layer After applying a chemical conversion treatment liquid having a composition of acid: 1 part by mass and water: 93 parts by mass to a predetermined adhesion amount (adhesion amount in terms of SiO 2 ), a drying treatment is performed at an ultimate plate temperature of 80 ° C. A treated film was formed. In Table 6, No. No. 11 was prepared by blending colloidal silica (trade name: “Snowtex OS” manufactured by Nissan Chemical Industries, Ltd.) instead of “Aerosil # 300” which is the silica component of the chemical conversion treatment liquid. For No. 12, a chemical conversion treatment film was formed by applying and drying the chemical conversion treatment liquid to which no silica component was added under the same conditions as described above.
[0043]
Coating compositions (P1) to (P23) for the undercoat coated on the plated steel sheet on which the surface conditioning layer is formed or on the plated steel sheet on which the chemical conversion film is formed on the plated layer, and adjusted to the compositions shown in Tables 2 to 4 Is applied so that the dry film thickness is 5 μm, and then a baking treatment (attainment temperature) of 215 ° C. and a baking time of 60 seconds is performed to form an undercoat film, and a polyester-based topcoat ( Product name: “SRF05” manufactured by Nihon Fine Coatings Co., Ltd.) was applied so that the dry film thickness was 15 μm, followed by baking at a baking temperature (attainment temperature) of 230 ° C. for a baking time of 60 seconds. It formed and the precoat steel plate of this invention example and the comparative example was obtained.
[0044]
Tables 6 to 11 show the film / coating composition and performance of these precoated steel sheets.
Below, it shows about the test method and evaluation method of the performance test of a precoat steel plate.
(1) Sliding part anti-coating peeling resistance A bead pull-out test is performed in a state where a bead with a tip diameter of 1 mmR is pressed against a test piece with a width of 30 mm with a load of 200 kgf. It was evaluated with.
◎: No peeling of coating film ○: Coating film peeling rate of 5% or less (no problem in practical use)
Δ: Coating film peeling rate over 5%, 50% or less (practical problem)
X: Coating film peeling rate of more than 50% (problem in practical use)
[0045]
(2) Corrosion resistance A bead pull-out test is performed in a state where a bead having a tip diameter of 1 mmR is pressed against a test piece having a width of 30 mm with a load of 200 kgf, and a salt spray test (SST test) described in JIS Z 2371 is performed on the test piece. After 240 hours, the state of the coating film on the sliding portion was evaluated as follows.
○: No abnormality in the coating film Δ: Only slight swelling (less than 10% of the coating swelling area ratio)
×: Swelling area ratio of the coating film is 10% or more.
(3) Cut end surface portion corrosion resistance A 70 mm × 150 mm test piece was cut so that the left end surface was a lower burr and the right end surface was an upper burr, and the upper and lower end surfaces were tape-sealed, followed by a salt spray test (SST described in JIS Z 2371). Test) was conducted for 240 hours. After the test, the maximum width from the edge of the film swelling generated in the burr portion was measured and evaluated according to the following.
◎: Maximum swollen width 1 mm or less ○: Maximum swollen width 1 mm or more, 2 mm or less Δ: Maximum swollen width 2 mm or more, 4 mm or less ×: Maximum swollen width 4 mm or more
(4) The adhesive tape was adhered and peeled to the 2T bent part of the bending workability test piece, and the degree of peeling (peeling area%) of the coating film of the 2T bent part was measured and evaluated as follows.
◎: No peeling of coating film ○: Coating film peeling rate of 10% or less △: Coating film peeling rate of more than 10%, 50% or less ×: Coating film peeling rate of more than 50%
(5) Moisture resistance Relative humidity is 98% or more, test piece is exposed to constant temperature and high humidity tester with test temperature of 50 ° C for 240 hours, and the degree of swelling of the coating surface after the test is observed based on JIS K5600-8-2. The evaluation was as follows.
○: Blowing size class 1 or less and density class 1 or less at the same time Δ: Blowing size class 2 or less and density class 2 or less at the same time ×: Bulge level other than the above
[Table 1]
[0050]
[Table 2]
[0051]
[Table 3]
[0052]
[Table 4]
[0053]
[Table 5]
[0054]
[Table 6]
[0055]
[Table 7]
[0056]
[Table 8]
[0057]
[Table 9]
[0058]
[Table 10]
[0059]
[Table 11]
[0060]
【The invention's effect】
As described above, the precoated steel sheet of the present invention is excellent in corrosion resistance of the cut end face part, and also has very little damage to the coating film during molding processing, that is, excellent in coating film peeling resistance and is a basic performance of the precoated steel sheet. It is an environmentally friendly pre-coated steel sheet that is also excellent in corrosion resistance and bending workability. For this reason, it is extremely useful as a pre-coated steel sheet used for parts requiring high environmental harmony, formability, and corrosion resistance in applications such as home appliances, building materials, and automobiles.
Claims (5)
前記表面調整処理層は、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、Wの中から選ばれる金属の金属塩の1種以上を主成分として添加した処理液をめっき面に塗布し、水洗、乾燥することにより形成された処理層であって、金属換算の付着量が20〜150mg/m2であり、
前記下塗り塗膜に含まれる樹脂が、数平均分子量が12000〜26000、ガラス転移温度が0〜30℃のポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との反応によって得られた変性ポリエステル樹脂(C)と、硬化剤(D)とを主成分とする樹脂であり、前記ポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)の配合比(モル比)がA/B=1.0/1.2〜1.0/4.0であり、
前記下塗り塗膜はカルシウムイオン交換シリカ系防錆添加剤(E)と、リン酸塩系防錆添加剤及び/又は亜リン酸塩系防錆添加剤(F)を含有し、その含有量が塗膜固形分中における質量%で、3%≦E≦25%、15%≦F≦35%、20%≦E+F≦50%であり、
前記下塗り塗膜及び上塗り塗膜はクロム系化合物を含有しないことを特徴とする、環境調和性、摺動部耐塗膜剥離性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。A surface-treated layer is formed on the surface of the galvanized steel sheet, an undercoat film is formed on the upper layer, and a precoat steel sheet on which an upper coat film is further formed.
The surface conditioning treatment layer is applied to the plating surface with a treatment solution containing one or more metal salts of metals selected from Ni, Co, Fe, Cu, Sn, Mo, W as a main component, washed with water, It is a processing layer formed by drying, and the adhesion amount in terms of metal is 20 to 150 mg / m 2 ,
The resin contained in the undercoat coating film is a modified polyester resin (C) obtained by reaction of a polyester resin (A) having a number average molecular weight of 12,000 to 26000 and a glass transition temperature of 0 to 30 ° C. and an epoxy resin (B). ) And a curing agent (D) as main components, and the blending ratio (molar ratio) of the polyester resin (A) and the epoxy resin (B) is A / B = 1.0 / 1.2 to 1.0 / 4.0,
The undercoat coating film contains a calcium ion exchange silica-based rust preventive additive (E), a phosphate-based rust preventive additive and / or a phosphite-based rust preventive additive (F). 3% ≦ E ≦ 25%, 15% ≦ F ≦ 35%, 20% ≦ E + F ≦ 50% by mass% in the solid content of the coating film,
The precoat steel sheet excellent in environmental harmony, sliding part coating film peeling resistance and corrosion resistance, characterized in that the undercoat film and the topcoat film do not contain a chromium-based compound.
前記表面調整処理層は、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、Wの中から選ばれる金属の金属塩の1種以上を主成分として添加した処理液をめっき面に塗布し、水洗、乾燥することにより形成された処理層であって、金属換算の付着量が20〜150mg/m2であり、
前記下塗り塗膜に含まれる樹脂が、数平均分子量が12000〜26000、ガラス転移温度が0〜30℃のポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との反応によって得られた変性ポリエステル樹脂(C)と、硬化剤(D)とを主成分とする樹脂であり、前記ポリエステル樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)の配合比(モル比)がA/B=1.0/1.2〜1.0/4.0であり、
前記下塗り塗膜はカルシウムイオン交換シリカ系防錆添加剤(E)と、リン酸塩系防錆添加剤及び/又は亜リン酸塩系防錆添加剤(F)を含有し、その含有量が塗膜固形分中における質量%で、3%≦E≦25%、15%≦F≦35%、20%≦E+F≦50%であり、
前記化成処理皮膜、下塗り塗膜及び上塗り塗膜はクロム系化合物を含有しないことを特徴とする、環境調和性、摺動部耐塗膜剥離性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。This is a pre-coated steel sheet in which a surface conditioning layer is formed on the surface of the zinc-based plated steel sheet, a chemical conversion film is formed on the upper layer, an undercoat film is formed on the upper layer, and an upper coat film is formed on the upper layer. And
The surface conditioning treatment layer is applied to the plating surface with a treatment solution containing one or more metal salts of metals selected from Ni, Co, Fe, Cu, Sn, Mo, W as a main component, washed with water, It is a processing layer formed by drying, and the adhesion amount in terms of metal is 20 to 150 mg / m 2 ,
The resin contained in the undercoat coating film is a modified polyester resin (C) obtained by reaction of a polyester resin (A) having a number average molecular weight of 12,000 to 26000 and a glass transition temperature of 0 to 30 ° C. and an epoxy resin (B). ) And a curing agent (D) as main components, and the blending ratio (molar ratio) of the polyester resin (A) and the epoxy resin (B) is A / B = 1.0 / 1.2 to 1.0 / 4.0,
The undercoat coating film contains a calcium ion exchange silica-based rust preventive additive (E), a phosphate-based rust preventive additive and / or a phosphite-based rust preventive additive (F). 3% ≦ E ≦ 25%, 15% ≦ F ≦ 35%, 20% ≦ E + F ≦ 50% by mass% in the solid content of the coating film,
A precoated steel sheet excellent in environmental harmony, sliding part coating film peeling resistance and corrosion resistance, characterized in that the chemical conversion film, the undercoat film and the topcoat film do not contain a chromium-based compound.
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