JP4087379B2 - シストリックアレイを実施するための処理方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、処理方法および装置、特に、シストリックアレイ状の構造を実施するためのスケーラブルVLIW(超長命令語)プロセッサまたは粗粒再構成可能(coarse−grained reconfigurable)プロセッサに関する。
プログラム可能プロセッサまたは再構成可能プロセッサは、それに対して発せられた命令またはコンフィギュレーションのそれぞれに基づいて特定の機能を果たすために組み立て後にカスタマイズできる組み立て式の装置である。これらの命令またはコンフィギュレーションは、プロセッサ内で実行される際に、プロセッサリソース(例えば、演算論理回路(ALU)、レジスタファイル、相互接続、メモリ等)を制御して、時間的に(すなわち、順次に)または空間的に(すなわち、パラレルに)特定の演算を行なう。一般に、構成可能プロセッサは、プログラム可能プロセッサよりも空間的に多くの演算を行なう。一方、プログラム可能プロセッサは、構成可能プロセッサよりも時間的に多くの演算を行なう。
デジタル信号プロセッサ(DSP)におけるアルゴリズム−シリコン設計方法論が開発され、それにより、DSP設計者の設計生産力を飛躍的に高めることができ、また、その結果として生まれるチップの設計を更に最適化できるようになった。前記方法論は、最初に、実施独立方式でアルゴリズムを取得することを伴う。その後、評価器および解析器のセットを用いて、固定小数点の実施においてアルゴリズムを調節して最適化することができる。満足できる動作に達すると、固定小数点仕様をターゲットVLIW状アーキテクチャに対してマッピングするために、インタラクティブな合成エンジンのセットを適用することができる。このマッピング処理は、非常に柔軟性があり且つ高速であるため、非常に短い時間で多くの選択肢を試みることができる。一般に、そのようなVLIW状プロセッサアーキテクチャの非常に多くの例は、そのマイクロコードメモリ内の各制御ワードがコンフィギュレーションである粗粒再構成可能プロセッサとして見ることができる。このような解釈は、対応するVLIW命令のサイズに起因して可能であり、そのため、多くのパラレル演算を行なうことができ、したがって、主に空間的な演算を行なうことができる。
VLIWプロセッサは、アプリケーションで利用可能な命令レベル並列(ILP)を利用するために使用される。ILPを利用するため、VLIW命令では、データ独立演算が同時にスケジュールに組まれる。
図1は、処理アプリケーションおよびアプリケーションの対応するプログラム可能プロセッサ構造を示す概略図を示している。この場合、ループボディを表わすデータフローグラフが左側に示されている。図1において、円20は演算を表わしており、矢印は、演算同士の間のデータ依存を表わしている。破線の矢印は、ループ繰り返しにおいて消費され或いは生じる入力値または出力値をそれぞれ表わしている。右側には、4−発行スロットVLIWプロセッサ10が示されている。このプロセッサは、4つのALU A1〜A4と、ALU A1〜A4の演算を制御するための4つの発行スロットI1〜I4とを備えている。この場合、VLIWプロセッサ10は、示されたループ処理アプリケーションの1つの繰り返しを5つのサイクルで計算することができる。この場合、各サイクルで2演算、4演算、2演算、1演算、1演算をそれぞれ行なうシーケンスを実行する。1サイクル毎の演算数は、同時に又はパラレルで処理できる演算数、すなわち、処理アプリケーションの1つの水平ライン内に示される演算数によって決まる。処理アプリケーションの部分領域30は、第2のサイクルにおける状態を示している。この第2のサイクルにおいては、VLIWプロセッサ10の1つのサイクル内で、4つの演算がパラレルに実行される。
なお、ILPは、ループの1つの繰り返しのためループボディ内で利用される。ループ繰り返しにわたってILPを利用するために、ソフトウェアパイプライニングの技術を使用することができるが、これらの技術は、一般に、実施することが難しく、殆どの場合、簡単なループおよび小さなループ、例えば1つのベーシックブロックにおいてしか有効ではない。
しかしながら、カスタムハードウェアは、ループの全ての繰り返しの実行を重ね合わせ、それにより、全てのサイクルにおいて殆どのコンピューティングリソースをビジー状態に維持する。この種の実施は、データローカリティおよびパイプライニングを極端なまでに利用する。それは、シストリックアレイとして知られている。図2は、デジタルフィルタアプリケーション、例えば全てのサイクルで出力サンプルを生成することができるFIR(有限インパルス応答)フィルタの最後の2つのタップのシストリックアレイの実施を表わす概略図を示している。灰色のブロックはクロックレジスタRを示している。全ての機能ユニットFUも、全てのサイクルにおいてビジー状態にある。入力データiは、「脈動(pulsating)」アセンブリラインの場合と同様に、それが「パイプ」を右へと下がると、出力データoを生成するため局所的に処理される。ラインaccは、部分累積を含んでいる。レジスタcは、乗算器に対して係数を含んでいる。したがって、このアーキテクチャは、「シストリック」アレイと称される。シストリックアレイによれば、高スループットを得る非常に高い並列利用が可能になる。
Zapataらによる「高速ハートレイ変換およびフーリエ変換のためのVLSIコンスタントジオメトリアーキテクチャ」(パラレルシステムおよび分散システムに関するIEEE報告書、第3巻、NO.1、58頁〜70頁、1992年1月)においては、シストリックデータフローを容易にし且つ複雑なデータ移動および変換のアドレスシーケンスを直接的な方法で実施できるようにするため、プロセッサメモリの編成が先入れ先出し待ち行列に基づいている。これは、ハードウェア・コントロールを使用して、簡単な多重化演算によって行なわれる。
したがって、基本的には、シストリックアレイをVLIWプロセッサ上にマッピングすることができる。この場合、シストリックアレイ内の各機能ユニットFUは、VLIWプロセッサ内の等価なユニット(例えば、ALU、乗算器、MAC等)に対応しており、また、1つの発行スロットが割り当てられる。図2のシストリックアレイにおいては、4つの機能ユニットFUのために、VLIWプロセッサ内に4つの発行スロットが必要とされる。また、シストリックアレイ内の遅延線に対応する各レジスタ移動のため、その対応する発行スロットを用いて、VLIWプロセッサ内に1つのレジスタ移動ユニットが必要とされる。図2のシストリックアレイにおいては、遅延線に対応する7つのレジスタ移動が与えられている。したがって、その追加の7つの発行スロットを用いて、VLIWプロセッサ内に7つのレジスタ移動ユニットが必要とされる。このように、実際の演算に対してよりも、レジスタ移動に対応して、多くの発行スロット、したがって、制御信号および対応する回路が存在する。また、他の機能ユニットによってアクセスされる必要がある同じレジスタに対して移動ユニットがアクセスする必要があり、VLIW設計においてアーキテクチャが複雑になる。この全てにより、シストリックアレイのVLIW実施が非実用的なものになる。なお、この点で、当初のシストリックアレイにおいては、明示的制御無くして遅延線を実施できるレジスタのFIFOラインにより、レジスタ移動が空間的にエンコードされる。
本発明の目的は、プログラム可能プロセッサによってシストリックアレイ構造を実施できるようにすることである。
この目的は、請求項1に記載された処理装置および請求項8に記載された処理方法によって達成される。
したがって、シストリックアレイを実施するためのプログラム可能プロセッサテンプレートは、処理ユニットの入力部にデプス構成可能(depth−configurable)レジスタ手段を設けることにより達成することができる。例えばVLIWプロセッサ等のプログラム可能プロセッサによるシストリックアレイ構造の実施により、良く知られたプロセッサパラダイムの自由度およびプログラム可能性を保ちつつ、ビデオストリーミング等のメディアインテンシブアプリケーションに対してハードウエハのような性能、主にスループットを与えることができる。明示的なハードウェア設計の必要無くして「シストリックアレイ状の」命令スケジュールを自動的に生成するコンパイラを得ることさえも可能である。この方向でコンパイル技術を広げることができる。
したがって、シストリック構造のマッピングのために費用効率が高いVLIWテンプレートを与えることができる。このテンプレートにより、遅延線に対応する全てのレジスタ移動演算を明示的に制御するための現在の要求により作り出されるオーバーヘッドがかなり減少する。
レジスタ手段は、処理手段の複数の機能ユニットの各入力端子に設けられた分散されたレジスタファイルを備えていても良い。特に、分散されたレジスタファイルは、個々のレジスタ毎にアドレス可能なデプス構成可能FIFOレジスタファイルを備えていても良い。利用できる物理的なレジスタの数は、ハードウェアによって決定される。この場合、命令データから得られる制御信号に基づいてFIFOレジスタファイルの最後の論理レジスタを決定するために、レジスタ制御手段が設けられても良い。
また、命令データを記憶するために、少なくとも1つの発行スロットが設けられても良い。少なくとも1つの発行スロット内に記憶された命令データのビットパターンの一部を使用してレジスタ手段のデプスを制御するために、レジスタ制御手段が設けられても良い。
他の有利な更なる変形例は、従属請求項に記載されている。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態を、VLIWプロセッサアーキテクチャに基づいて、説明する。
図3において、図2のシストリックアレイは、これをVLIWアーキテクチャにおいて実施できるように再構成されている。発行スロットI1〜I4が明確に示されており、複数のレジスタRを備えた先入れ先出し(FIFO)遅延線がALU等の機能ユニットFUの入力端子に保たれている。破線のボックスは、ハードウェアで利用できるが図示のシストリック構成では使用されない物理的なレジスタを表わしている。このように描かれることで、理論体系は、シストリック構造を効率的にマッピングできるVLIWテンプレートを提案する。図3に示される直感的な概念は、機能ユニットFUの各入力部に分散されたレジスタファイルを与えることにより、一般化できる。
図4は、シストリック構造を効率的にマッピングできるVLIWテンプレートとしての好適な実施形態に係るプログラム可能プロセッサアーキテクチャを示している。特に、各機能ユニットFUの各入力部毎に1つ、分散されたレジスタファイルDCFが与えられる。また、幾つかの2地点間ラインから成る相互接続ネットワークが与えられ、また、この相互接続ネットワークは、入力マルチプレクサまたは出力マルチプレクサ50により、機能ユニットの各入力部に対して接続される。これにより、所定の1つの機能ユニットFUによって2地点間ラインへの書き込みが可能になる。図4は完全な接続性を提案しているが、相互接続バスが完全に接続される必要はない。また、機能ユニットFUの各入力部は、個々のレジスタ毎にアドレス可能な標準レジスタファイルRFに接続されても良い。なお、図4においては、簡単のため、各機能ユニットFUの右側の一方の入力部だけが対応する標準レジスタファイルRFに接続されて示されている。複数の読み取り/書き込みポートを有するレジスタファイルも可能である。
テンプレートは、集中された構造を全く有していないため、すなわち、全てのリソースが分散されているため、スケーラブルであり、大きなシストリックアレイ、例えば16−タップFIRフィルタまたは大きなマトリクス乗算器によって非常に多くの発行スロットが必要とされる可能性がある。
好適な実施形態においては、各機能ユニットFUの各入力部にデプス(Depth)構成可能レジスタファイルDCFが配置される。デプス構成可能レジスタファイルDCFは、その最後の論理レジスタを制御信号によって決定できるFIFOメモリにより実施されても良い。しかしながら、任意の他のアドレス可能または制御可能なメモリ、あるいは、制御信号またはアドレス信号に基づいて遅延線における最後の論理記憶位置を決定できるレジスタ構造を使用して、デプス構成可能レジスタファイルDCFを実施することができる。
N個の物理的なレジスタのデプス構成可能FIFOにおいては、FIFOの出力をレジスタN,N−1,N−2,...1にあるようにプログラムすることができる。FIFOのデプスを制御することにより、FIFOがエミュレートする遅延線の数を制御することができる。図3においては、例えば、最も左側のFIFOが4つの物理的レジスタRを有していた場合、図4の最も左側のデプス制御されたレジスタファイルDCFは、最も左側の発行スロットI1における制御信号によって制御されることにより、その出力端子が第2のレジスタ(N−2,N=4)に配置され、一方、その下の2つのレジスタ(N,N−1)は未使用のままとなる。したがって、デプス制御されたレジスタファイルDCFのデプスを制御する制御信号は、対応する発行スロットI1〜I4におけるビットパターンの一部である。
要約すると、シストリックアレイを実施するためのプログラム可能プロセッサテンプレートは、各機能ユニットFUの入力端子にデプス構成可能メモリまたはレジスタファイルDCFを設けることにより得ることができる。デプス構成可能レジスタファイルDCFのデプスは、例えば対応する発行スロット内でロードされる各ビットによって制御される。この追加物を用いると、アレイの遅延線を構成するレジスタ移動を実施するための演算を明示的に発行する必要なく、シストリックアレイをVLIWプロセッサ等のプログラム可能プロセッサ上にマッピングすることができる。提案されたテンプレートは、様々なシストリックアレイを実施できるように構成することができる。このテンプレートは、プロセッサのプログラム可能性を保ちつつハードウェアのようなデータスループットを可能にする粗粒再構成可能構造を与える。
なお、本発明は、このような好適な実施形態に限定されず、シストリックまたは他のパイプラインアーキテクチャを実施するために任意のプログラム可能または再構成可能処理アーキテクチャにおいて使用することができる。
処理アプリケーションおよび対応するプログラム可能プロセッサ構造の概略図である。 シストリックアレイアーキテクチャの概略図である。 本発明に係るプログラム可能プロセッサ内で図2のシストリックアレイアーキテクチャを実施するための原理アーキテクチャを示している。 シストリックアレイを実施するための好適な実施形態に係るプログラム可能プロセッサアーキテクチャを示している。

Claims (8)

  1. シストリックアレイ型の構造を実施するための処理装置であって、
    データを入力するための入力手段と、
    前記入力データを所定のシーケンスで記憶するためのレジスタ手段と、
    命令データから生成される制御信号に基づいて、前記レジスタ手段から受けたデータを処理するための処理手段と、
    前記命令データにしたがって前記レジスタ手段のデプスを制御するためのレジスタ制御手段と、
    を備え
    前記レジスタ手段は、前記処理手段の複数の機能ユニットの入力端子に設けられた分散されたレジスタファイルを備え、
    前記分散されたレジスタファイルは、個々のレジスタ毎にアドレス可能なデプス構成可能FIFOレジスタファイルを含み、
    前記レジスタ制御手段は、前記命令データから得られた制御信号に基づいて前記FIFOレジスタファイルの最後の論理レジスタを決定する
    、処理装置。
  2. 前記命令データを記憶するための少なくとも1つの発行スロットを更に備えている、請求項1に記載の装置。
  3. 前記レジスタ制御手段は、前記少なくとも1つの発行スロット内に記憶された前記命令データのビットパターンの一部を使用して前記レジスタ手段の前記デプスを制御するために設けられている、請求項2に記載の装置。
  4. 前記プログラム可能処理装置は、スケーラブルVLIWプロセッサまたは粗粒再構成可能プロセッサである、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
  5. 前記分散されたレジスタファイルは、複数の2地点間接続ラインから成る相互接続ネットワークに接続されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
  6. 前記2地点間相互接続ラインが1つのソースを有している、請求項5に記載の装置。
  7. 前記相互接続ネットワークが部分的に接続されている、請求項5に記載の装置。
  8. シストリックアレイ型構造を実施するための処理方法であって、
    前記入力データを所定のシーケンスでレジスタファイル内に記憶するステップと
    命令データから生成される制御信号に基づいて、前記レジスタファイルから受けたデータを処理するステップと、
    前記命令データにしたがって前記レジスタファイルのデプスを制御するステップと、を備え
    前記レジスタファイルは、分散されており、また、個々のレジスタ毎にアドレス可能なデプス構成可能FIFOレジスタファイルを含み、
    さらに、前記命令データから得られた制御信号に基づいて前記FIFOレジスタファイルの最後の論理レジスタを決定するステップを備える、方法。
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