JP4086115B2 - ロック機構付自転車用ハブ及び自転車用錠前装置 - Google Patents
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Description
(1)特開2003−11864号公報に示す自転車用盗難防止システムは、自転車用ハブを用いるものであって、自転車の前かごに重量物を搭載した状態で自転車を駐輪した時に、ハンドルと共に前輪が回動することがあるのを防止するハンドルのロック装置と、自転車用ハブをロックする装置を制御ケーブルで連結させたものである。しかしながら、このハブ軸に装着されたロッド部材を移動させると連動手段によって回転規制手段がハブ軸方向に移動するような構成からなる装置は、複雑な機構からなり、非常に高価なものとなっている。また、特開2003−11864号公報で開示しているハンドル部の固定についてのロック手段は、「着脱自在な鍵と鍵により揺動する揺動体とを含む錠前、及び揺動体の揺動に連動して移動する移動体を有し、操作体が規制位置にあるとき、移動体により規制位置で操作体をロックする」とあり、従来形式の着脱自在な鍵を差込んで操作する錠前であるので、外部から錠前を操作されやすく盗難防止に対して大きな弱点を有している。
(2)特開2000−128039号公報に示す錠前装置にリモコンを用いるものは、ハブダイナモ(ハブ発電機)を採用しているものの、これで発電された電力を自転車走行センサーとして使用するものであり、制御系の動力源には電池が用いられているので、電池の交換が煩雑であり、リモコン操作に支障が発生する場合がある。
(3)特開平9−175459号公報、又は特開平7−300086号公報に示すスタンドを立てる(降ろす)ことでハブ内で施錠することができる機構からなるものは、鍵掛忘れの防止を行うことができるものの、開錠するのに記号ロック方式や、合鍵方式が用いられているので、外部から錠前を操作されやすく盗難防止に対して大きな弱点を有している。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、ロック機構付自転車用ハブを用いて自転車の走行中のロック機構作動防止や、鍵掛忘れや、盗難を防止でき、かつ安価な自転車用錠前装置を提供することを目的とする。
従って、無線の要求信号によって受動部に係合するようにアクチュエータによって制動体が駆動されると、制動体によってブレーキ力が発揮されて施錠状態となり、逆に無線の要求信号によって受動部から外れるようにアクチュエータによって制動体が駆動されると開錠状態となる。
本発明に係る自転車用錠前装置においてもそのロック機構の作用は、請求項1に記載のロック機構付自転車用ハブと同様であり、請求項2乃至請求項6に記載の自転車用錠前装置においても同様である。
ここに、図1(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係るロック機構付自転車用ハブの説明図、図2は本発明の一実施の形態に係る自転車用錠前装置の説明図、図3は同自転車用錠前装置のシステム構成図、図4は同自転車用錠前装置の施錠方法のフローチャート、図5(A)〜(D)はそれぞれ同自転車用錠前装置のスタンドの説明図、図6は同自転車用錠前装置の開錠方法のフローチャート、図7(A)、(B)はそれぞれ同自転車用錠前装置の無線発信機の説明図、図8は同自転車用錠前装置のバッテリーが切れた時の開錠方法のフローチャートである。
すなわち、バネ22、ソレノイド15及び永久磁石16でいわゆる自己保持型のソレノイドとして機能している。このバネ22は伸ばした際に縮む方向に力が働く引きバネである。なお、本願では、バネ22、ソレノイド15及び永久磁石16をもって、アクチュエータとしている。この自己保持ソレノイドユニットの動作については後述する。アクチュエータとしては、自己保持型ソレノイドに限定するものではなく、電気エネルギーを機械的な直線運動あるいは場合によっては円運動や螺旋運動に変換するような構造を備えて、制動体としてのロックピンなどを駆動し、ピン受け穴のような受動部に導入することで制動可能な機構であればよい。
まず、施錠されていない状態、すなわちロックピン14の回転ローラー18がピン受け穴17に係合していない状態において、この制動体19を作動させるために、円筒体11の内部に設けられた要求信号受信部23で、無線信号である第1の要求信号を受信すると、要求信号受信部23はソレノイド15に第1の指令信号を出し、ソレノイド15には永久磁石16の磁極の向きと同一の向きとなるような磁極となるべくコンデンサバッテリー21から供給される電流が流れる。このため、ロックピン14はバネ22に抗して、ソレノイド15と永久磁石16に引き出されて、回転ローラー18がピン受け穴17に係合され施錠される。一旦施錠の状態になれば、電流を遮断しても永久磁石16のみの力によって状態が保持される。
一方、開錠する場合には、要求信号受信部23で、無線信号である第2の要求信号を受信することで、同じくソレノイド15に第2の指令信号を出し、ソレノイド15に永久磁石16の磁力を打ち消すような磁極を形成するようにコンデンサバッテリー21から電流が供給される。この場合には、引きバネとして作用するバネ22によって、ロックピン14は軸心13側に引き寄せられ開錠される。一旦開錠された場合には、電流を遮断しても永久磁石16の磁力よりもバネ22の引張力が大きいため開錠の状態が保持される。
図1に示す本実施の形態では要求信号受信部23を円筒体11からなる本体内部に収納している。これはもちろん要求信号を受信して、ソレノイド15を動作容易にするためであるが、このように円筒体11の内部に限定するものではなく、可能であれば円筒体11の外部に設けてもよい。
なお、本実施の形態においては、ロックピン14の先端部に回転ローラー18を備えたものを用いて説明したが、ロックピン14の端部自体が制動部材を備えていたり、そのような部材を備えなくとも構造的に制動可能であれば、特に回転ローラー18を使用しなくともよい。また、電気的駆動源として、コンデンサバッテリー21を用いた場合を説明したが、バッテリーの種類はコンデンサ型に限定するものではなく、可能であれば、後述するアンチモンバッテリー、鉛バッテリー、カルシウムバッテリー等の自動車用や、ニカドバッテリー、ニッケル水素バッテリー等の電動自転車用等のバッテリーを用いてもよい。
自転車錠前装置30の停止確認手段は、制御部32であり、この制御部32に含まれる発電信号受信部24とスイッチ信号受信部25が対応する。
具体的には、図4に示されるとおり、自転車が停止して前車輪34、又は後車輪37の中心部のハブ内に設けられたハブ発電機20に起電力が発生し電流が流れていることを検知して発電信号を発信する発電検知部26が、発電信号を発していないことと、自転車のフレーム31に回転自在に装着され自転車の後車輪37近傍のフレーム31に固定して装着されるスタンド38の回動自在の支持体39が降りたことをスイッチ42によって電気的に検知することの両方で停止を確認することになる。
もちろん、いずれか一方でもよいし、これらの両方によって確認するようにしてもよいし、さらに停止を確認するセンサなどを追加して適宜組み合わせて確認手段としてもよい。
また、本実施の形態における変形例として、無線発信機36からの要求信号受信部35への要求信号なしで、すなわち、発電検知部26からの発電信号を発電信号受信部24が受信していないという停止確認の条件と、スタンド38のスイッチ42からのスイッチ信号をスイッチ信号受信部25が受信しているという停止確認の条件の2つのみで施錠のための指令信号を制御部32からソレノイド15に発信するようにしてもよい。
このとき自転車の使用者が無線発信器36から第1の要求信号を発することが施錠に対する必須条件ではないため、自転車が停車して、スタンド38の支持体39を立てれば、停止確認がなされて施錠がなされることになり、施錠忘れを防ぐことができる。
さらに、制御部32において、ハブ発電機20に電流が流れていないことが検知されるのみで自転車の停車を確認するとした場合には、自転車の使用者が無線発信器36から第1の要求信号を発し、これが要求信号受信部35で感知されると、施錠手段が作動することによって、スタンド38の支持体39が立てられることを条件とせずに施錠することになるが、これはスタンドが不要な駐輪場や何かに立てかけて駐輪する場合には有効であると考えられる。このように自転車の停車が確認され、スタンドが立てられるか、第1の要求信号が発せられれば、施錠されることで、施錠忘れを防ぐ効果が期待でき、かつスタンドを立てない場合にも対応が可能となる。
さらに、制御部32から無線発信機36に警告信号を送り、自転車使用者に施錠忘れを警告する方法も有効である。この場合、同様に制御部32に予め所定の時間を記憶させたタイマーを設けておき、発電信号受信部24で発電検知部26からの発電信号を当該所定の時間受信しない場合に、自動的に無線発信機36へ警告信号を発信するようにすればよい。
自転車用錠前装置30には、前車輪34の中心部に設けられているハブ発電機20で発電された電力を蓄電するためのメインのバッテリー43を、例えば、フレーム31に固定してサドル33の下部の制御部32の近傍に有している。
自転車用錠前装置30の施錠手段は、制御部32からの指令信号に基づき、このバッテリー43と、例えば、ロック機構付自転車用ハブ10の円筒体11内部にコンデンサバッテリー21を有する場合には、このコンデンサバッテリー21を含める電源を用いる電気的駆動力で稼動する制動体19を、前車輪34又は後車輪37の中心部に設けられたロック機構付自転車用ハブの円筒体11内部に有している。
そして、施錠手段は、この制動体19の物理的なブレーキ力の作動、例えば、ロックピン14とピン受け穴20を用いる方法や、クラッチを用いる方法や、ブレーキを用いる方法や、あるいは、ハブ発電機20をショートさせる方法等で前車輪34、又は後車輪37の回転を回転不能としている。そして、施錠手段は、スタンド38の支持体39が降りたことを電気的に検知しているスイッチ回路を遮断するようにしている。この回路を遮断するということは、自転車が停車中に何らかの理由でスタンド38の支持体39が軸31を支点として上げた(横にした)り、降ろした(立てた)たりした状態になってもスイッチ42が入る状態とはならないようにしてバッテリー43や、コンデンサバッテリー21の放電を防止することができる。
バッテリーは、コンデンサバッテリー21と、メインのバッテリー43を使い分けることで、メインのバッテリー43の蓄電サイクルを長くすることができる。なおバッテリーはメインのバッテリーだけでも作動可能であることはいうまでもない。
図6及び7に示すように、自転車用錠前装置30の開錠手段は、先ず、自転車を使用しようとする人の無線発信機36の開錠用ボタン36bを押すことで発せられる開錠用の第2の要求信号を、例えば、制御部32が収納されているボックス内に制御部32の近傍に固定されて有する要求信号受信部35で感知する。要求信号受信部35は、その第2の要求信号を制御部32に転送し、第2の要求信号を受信した制御部32の指令によってスタンド38の支持体39が降りたことを電気的に検知しているスイッチ回路を再接続する。スイッチ回路が再接続されると前述と同様に、内蔵された発信回路からスイッチ信号を発信し、そのスイッチ信号はスイッチ信号受信部25によって受信される。
このような動作によって、スタンド38の支持体39が降りているという条件と使用者が開錠を意図しているという条件が確認される。
そして、この2つの条件が確認されると開錠手段は、制御部32の指令信号によって、例えば、ロック機構付自転車用ハブ10のロック機構に設けられている制動体19の物理的なブレーキ力の作動、例えば、ロックピン14とピン受け穴17を用いる方法や、クラッチを用いる方法や、ブレーキを用いる方法や、あるいは、ハブ発電機20をショートさせる方法等の作動力を開放することで前車輪34、又は後車輪37の回転を回転可能としている。なお、自転車用錠前装置30の蓄電電力は、コンデンサバッテリー21を補助的に用いる場合には、制御部32がハブ発電機20に電流が流れていることを検知して更にハブ発電機20で発電されてコンデンサバッテリー21の蓄電が一定時間なされた後、自転車の各部に供給する電源をメインのバッテリー43からコンデンサバッテリー21に変換するようにするのがよい。
本実施の形態においては、開錠手段として、無線発信機36、要求信号受信部35、スイッチ42、スイッチ信号受信部25、制御部32及びロック機構として説明したが、特に、この組合せに限定するものではなく、施錠手段と同様に、スイッチ42やスイッチ信号受信部25、制御部32を備えていないものや、発電検知部26と発電信号受信部24を加えたもの、あるいはこれらの中から施錠手段の組合せに併せて適宜組み合わせたものなどが概念される。
また、ソレノイド15と図3に示される制御部32や要求信号受信部35が電気的に接続されている場合には、ソレノイド15に接続された外部接続端子44の電源をこれらの動力源としても使用することも可能としておくとよい。もちろん、制御部32は要求信号受信部35に外部接続端子44を接続した場合でも、外部接続端子44の電源をそれぞれで利用可能とし、かつ、接続された装置以外の装置に対しても給電が可能とすることも可能である。さらに、制御部32を構成する発電信号受信部24やスイッチ信号受信部25が単独で設けられている場合も同様である。
なお、ソレノイド15と制御部32あるいは要求信号受信部35が離れて設置されており、しかも電気的にそれぞれが接続されておらず、なおかつ蓄電電力が不足することが想定される場合には、外部接続端子44のみならず、リード線を備えた別個の接続端子を1乃至複数備えるなどしてアクチュエータ側の電力のみならず制御部32や要求信号受信部35の電力をも同時に供給可能としてもよい。
外部接続端子44は、例えば、不必要時には内部に収納(図7(A)参照)されており、必要時に内部から引き出す(図7(B)参照)ような形態のものでよい。無線発信機36の電源は、乾電池等で構成されており、乾電池等の電源切れが発生したとしても比較的容易に手に入れることができるものなので、対処を容易に行うことができる。なお、この無線発信機36には、第1の要求信号を発することで施錠を行うための施錠用ボタン36aを併せて設けられている。また、無線発信機36の第1、及び第2の要求信号には、赤外線、電磁波、音波等のあらゆる種類の無線信号を用いることができる。
なお、外部接続端子44は、アクチュエータとしてのソレノイド15に設けられた端子の他にも、要求信号受信部35や制御部32、あるいはコンデンサバッテリー21やバッテリー43に設けられた端子に接続されるようにしてもよい。さらに、発電信号受信部24やスイッチ信号受信部25が制御部32に設けられていない場合には、これらの構成要素に端子を設けて接続されるようにしてもよい。
Claims (7)
- 自転車のフレームに回転自在に装着される前車輪又は後車輪の中心部に設けられ、円筒体からなる本体内部にロック機構を備えるロック機構付自転車用ハブであって、
前記円筒体内壁に形成された受動部に係合して物理的なブレーキ力を有する制動体と、この制動体に外挿され電磁コイルの磁気作用によってその出し入れを制御するソレノイドとこのソレノイドの一端に設置される永久磁石と前記ソレノイドの他端に設置される引きバネからなるアクチュエータとを備え、前記前車輪又は後車輪の車軸に固定されるロック機構と、
作動用の要求信号を無線で受信して前記アクチュエータを駆動する要求信号受信部を有することを特徴とするロック機構付自転車用ハブ。 - 自転車のフレームに回転自在に装着される前車輪又は後車輪の中心部に円筒体からなる本体内部にロック機構を備えたロック機構付自転車用ハブを設ける自転車用錠前装置であって、
前記円筒体内壁に形成された受動部に係合して物理的なブレーキ力を有する制動体と、この制動体に外挿され電磁コイルの磁気作用によってその出し入れを制御するソレノイドとこのソレノイドの一端に設置される永久磁石と前記ソレノイドの他端に設置される引きバネからなるアクチュエータとを備え、前記前車輪又は後車輪の車軸に固定されるロック機構と、
このロック機構を作動させるための無線の要求信号を発信する要求信号発信機と、この要求信号発信機からの要求信号を無線で受信して前記アクチュエータを駆動する要求信号受信部を有することを特徴とする自転車用錠前装置。 - 前記円筒体内部に設けられ自転車の前車輪又は後車輪の回転によって発電を行なうハブ発電機と、
前記ハブ発電機の起電力を検知して無線の発電信号を発信する発電検知部と、
前記要求信号受信部と前記発電検知部からの発電信号を受信する発電信号受信部とを有する制御部とを有し、
前記制御部は、前記発電信号を発電信号受信部が受信していないという条件と前記要求信号を前記要求信号受信部が受信しているという条件の双方が満足された場合に前記アクチュエータを駆動することを特徴とする請求項2記載の自転車用錠前装置。 - 前記自転車のスタンド部に設けられ、このスタンド部の使用を検知して停止信号を発生させるスイッチ部と、
前記円筒体内部に設けられ自転車の前車輪又は後車輪の回転によって発電を行なうハブ発電機と、
前記ハブ発電機の起電力を検知して発電信号を発信する発電検知部と、
前記要求信号受信部に代えて前記スイッチ部からの停止信号を受信するスイッチ信号受信部を備えた制御部とを有し、
前記制御部は、前記発電信号を発電信号受信部が受信していないという条件と前記停止信号を前記スイッチ信号受信部が受信しているという条件の双方が満足された場合に前記アクチュエータを駆動することを特徴とする請求項3記載の自転車用錠前装置。 - 前記アクチュエータに給電可能なバッテリーを備えることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の自転車用錠前装置。
- 前記要求信号発信機は、前記アクチュエータ又は前記要求信号受信部に接続及び給電可能な端子を備えることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の自転車用錠前装置。
- 前記要求信号発信機は、前記制御部に接続及び給電可能な端子を備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の自転車錠前装置。
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