JP4084933B2 - Polyester resin and electrophotographic photosensitive member using the same - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有するポリエステル樹脂、および、そのポリエステル樹脂を感光層のバインダーとして用いた電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術は、高品質の画像が即時に得られることから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野にも広く応用されている。
電子写真技術に用いられる感光体(電子写真感光体)は、電子写真プロセス、すなわち、帯電,露光,現像,転写,クリーニング,除電等のサイクルで繰り返し使用されるため、その間に様々なストレスを受けて劣化する。この様な劣化としては、例えば、帯電器として普通に用いられているコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメージを与えたり、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れたり、除電光や外部からの光によって感光層組成物が分解されたりすることによる、化学的,電気的,光学的な劣化が挙げられる。また、別の例として、クリーニングブレードや磁気ブラシなどによる摺擦や、現像剤や紙との接触等による、感光層表面の摩耗,傷の発生,膜の剥がれといった機械的な劣化がある。
【0003】
特に、後者のような感光層表面に生じる損傷等の機械的劣化は、コピ−画像上に影響を及ぼしやすく、画像品質を直接損なうことになるため、感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。従って、高寿命の感光体を開発するためには、化学的,電気的,光学的な耐久性を高めることに加えて、機械的な負荷に対する強度を高めることが必須条件となる。
【0004】
積層型感光体の場合、一般にこうした機械的な負荷を受けるのは電荷移動層(以下、電荷輸送層と呼ぶ場合もある)である。電荷移動層は通常、バインダー樹脂と電荷移動物質(以下、電荷輸送物質と呼ぶ場合もある)とから構成されており、実質的にはバインダー樹脂が機械的な負荷に対する強度を決めることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電荷移動層に対する電荷移動物質の添加量は相当多いため、適切なバインダー樹脂を選択して感光体に十分な機械的強度を持たせることは容易ではない。
従来、電子写真感光体の電荷移動層のバインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル等のビニル重合体及びその共重合体,ポリカーボネート,ポリエステル,ポリスルホン,フェノキシ,エポキシ,シリコン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂が用いられている。
【0006】
こうした数あるバインダー樹脂のなかでは、ポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され、実用に供されている。例えば、特開昭50−98332号公報にはビスフェノールPタイプのポリカーボネートが、特開昭59−71057号公報にはビスフェノールZタイプのポリカーボネートが、特開昭59−184251号公報にはビスフェノールPおよびビスフェノールAの共重合タイプのポリカーボネートが、特開平5−21478号公報にはビス(4ーヒドロキシフェニル)ケトンタイプの構造を含むポリカーボネート共重合体が、それぞれバインダー樹脂として開示されている。
【0007】
ところが、こうしたポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂に用いた感光体を含め、従来の有機感光体の多くは、トナーによる現像,紙による摩擦,クリーニング部材(ブレード)による摺擦等の実用上の負荷によって、表面が摩耗したり表面に傷を生じたりする欠点を有しているため、現状では限られた印刷性能にとどまっている。
【0008】
一方、感光体の機械的強度を高めるために、芳香族ポリエステルをバインダー樹脂として用いた例もある。例えば、特開昭56−135844号公報には、商品名「U−ポリマー」として市販されているポリアリレート(芳香族ポリエステル)樹脂をバインダーとして用いた電子写真用感光体の技術が開示され、その中でポリカーボネートに比して特に感度が優れていることが示されている。また、特開平3−6567号公報では、ビスフェノール成分にテトラメチルビスフェノールF及びビスフェノールAを使用した構造のポリアリレート(芳香族ポリエステル)共重合体を含有することを特徴とする電子写真感光体が開示されている。
【0009】
しかし、これらの芳香族ポリエステルは、感光層の塗布溶媒に対する溶解性や溶液の安定性が不良であったり、これらを感光層のバインダーとして用いると電気特性が悪化したりするという欠点がある。特に、前者の公報に記載の技術では、耐摩耗性,感度の面で若干の向上が見られるものの、その塗布液の安定性が悪いために、塗布製造が不可能か、可能な場合でも滑り性が不良である。また、後者の公報に記載の技術では、耐摩耗性の面では従来のポリカーボネートに比べて向上が見られるが、滑り性の面ではポリカーボネートに比べ優位性が認められない。
【0010】
その他にも、感光体の機械的強度を高めるために、例えばオーバーコート層を設ける方法(特開昭61−72256号公報)、耐摩耗性の高いバインダーポリマーを使用する方法(特開昭63−148263号公報,特開平3−221962号公報)等が提案されているが、いずれも効果が十分でなかったり、電気特性等の特性に悪影響を及ぼすなどの問題を含んだりしているのが現状である。
【0011】
すなわち、上述した従来の技術はいずれも、電子写真感光体における充分な耐磨耗性(耐擦傷性)および表面滑り性の双方を同時に満足するものではない。そのため、電子写真感光体用のバインダー樹脂の材質として、耐摩耗性および滑り性がともに優れた物質が望まれている。
本発明の目的は、上記課題を解決し、耐摩耗性および滑り性がともに優れたポリエステル樹脂を感光層に使用した電子写真感光体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、感光層に使用するバインダー樹脂について詳細に検討した結果、特定構造の繰り返し単位を共重合または単独重合することにより製造したポリエステル樹脂が、非常に優れた滑り性および高い耐摩耗性を有する上に、非ハロゲン系溶媒にも高い溶解性を示すので塗布液の保存安定性も良好であることを見いだして、本発明に至った。
【0013】
すなわち本発明の要旨は、構造式中に下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含み、粘度平均分子量が1万〜20万であることを特徴とするポリエステル樹脂を感光層のバインダー樹脂として用いた電子写真感光体を提供することに存する。
【化4】
・・・一般式(1)
(一般式(1)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、Xはアルキレン基を、Yは2価の芳香族基を表す。)
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(ポリエステル樹脂)
本発明のポリエステル樹脂は、主に電子写真感光体のバインダー樹脂に用いられるが、他の用途として摺動材料、成型材料、光学材料、透明フィルム材料、コーティング材料、耐摩耗性付与剤、光機能性樹脂、レジスト材料等にも用いることが出来る。
【0015】
本発明のポリエステル樹脂は、一般式(1)で表される構造の繰り返し単位を有する。
一般式(1)中の2つの芳香環におけるR1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基である。置換基としては、本発明で目的とするポリエステル樹脂の特性を損なわないものが選択できるが、具体的には、それぞれ独立に、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,tert−ブチル基,n−ペンチル基,n−ヘキシル基,n−へプチル基,n−オクチル基などの炭素数1〜10程度のアルキル基、メトキシ基,エトキシ基などの炭素数1〜10程度のアルコキシ基、フッ素,塩素,臭素などのハロゲン基、ニトロ基などが挙げられる。しかし、最も好ましくは、R1〜R8いずれも水素原子である。言い換えれば、これら2つの芳香環は、最も好ましくはそれぞれ無置換の二価のベンゼン環ということになる。
【0016】
一般式(1)中のXは、単結合もしくは2価の連結基である。2価の連結基としては、本発明で目的とするポリエステル樹脂の特性を損なわないものが選択できる。具体的には、−O−,−S−などの2価の元素基や、−CH2−,−(CH2)2−,−(CH2)3−,
【化5】
などの、アルキレン基,シクロアルキレン基を含む2価の有機連結基が挙げられる。これらの2価の連結基の中でも、−CH2−、または
【化6】
が好ましい。
一般式(1)中のYは、2価の有機連結基であって、本発明で目的とするポリエステル樹脂の特性を損なわないものが選択できる。具体的には、例えば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、ナフチレン基などの2価の芳香族基、−CH2−、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−(CH2)5−、−(CH2)6−、−(CH2)7−、−(CH2)8−、−CH=CH−などの2価の脂肪族基が挙げられる。中でも、2価の芳香族基が好ましい。具体的には、好ましいものとして1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、ナフチレン基、−CH=CH−が、さらに好ましいものとして1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基が挙げられる。
最も好ましくは、一般式(1)の繰り返し単位は化学式(1)である。
【化7】
・・・化学式(1)
本発明のポリエステル樹脂の粘度平均分子量は1万〜20万であるが、好ましくは1万5千〜10万、さらに好ましくは1万8千〜5万である。粘度平均分子量が小さすぎると、機械的強度及び耐摩耗性が低下する。また、粘度平均分子量が大きすぎると、塗布溶液の粘度が高く塗布が困難になる。
【0017】
また、本発明のポリエステル樹脂全体に対する、一般式(1)で表される構造単位の含有率は1〜100重量%であるが、好ましくは5〜90重量%、さらに好ましくは10〜70重量%である。
本発明のポリエステル樹脂において、一般式(1)の繰り返し成分以外の構成成分である2価アルコール又は2価フェノールとしては、具体的には、芳香族ジオールとしてハイドロキノン、レゾルシノール、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン(BPF)、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン(BPE)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(TmBPF)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ)、ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPQ)、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン(Cof)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン(Ce)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(BPC)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン(Xe)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン(Tma)、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン(Xf)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BPP)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル(BPO)、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノールフタルレイン、4,4′−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビスフェノール、4,4′−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビス[2−メチルフェノール]などが挙げられる。これらの中で好ましい例としては、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン(BPF)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン(BPE)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(TmBPF)、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPQ)、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン(Cof)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン(Ce)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(BPC)ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(Tmf)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン(Xe)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン(Tma)、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン(Xf)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BPP)が挙げられる。特に好ましいのは、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(TmBPF)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(BPC)である。また、脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、ペンタメチレンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ヘキサメチレングリコール、1,5−ヘプタンジオール、ヘプタメチレンジオール、オクタメチレンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカメチレングリコール、1,6−シクロヘキサンジオール等が挙げられるが、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールが挙げられる。
【0018】
特に、本発明のポリエステル樹脂における一般式(1)の繰り返し成分以外の構成成分は、下記一般式(2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【化8】
・・・一般式(2)
(一般式(2)において、R'1〜R'8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、X'は単結合もしくは2価の連結基を、Y'は2価の有機連結基を表す。)
一般式(2)において、R'1〜R'8はそれぞれ独立に、水素原子または置換基である。置換基としては、本発明で目的とするポリエステル樹脂の特性を損なわないものが選択できるが、具体的には、一般式(1)のR1〜R8と同様に、それぞれ独立に炭素数1〜10程度のアルキル基、炭素数1〜10程度のアルコキシ基、ハロゲン基などが挙げられる。
【0019】
また、一般式(2)中のX’は、単結合もしくは2価の連結基である。2価の連結基としては、本発明で目的とするポリエステル樹脂の特性を損なわないものが選択できるが、具体的には、一般式(1)のXと同様に、−O−や−S−などの2価の元素基や、アルキレン基やシクロアルキレン基などの2価の有機連結基などが挙げられる。
【0020】
さらに、一般式(2)中のY'は、2価の有機連結基で、本発明で目的とするポリエステル樹脂の特性を損なわないものが選択できる。具体的には、一般式(1)のYと同様に、2価の芳香族基、2価の脂肪族基などが挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂全体に対する、一般式(1)の繰り返し単位以外の構成成分の含有率は、通常は1〜99重量%であるが、好ましくは10〜95重量%、さらに好ましくは30〜90重量%である。
【0021】
また、本発明のポリエステル樹脂は、他の樹脂との共重合体でも良い。その共重合形式は、ブロック,グラフト,マルチブロック共重合のいずれであっても良い。ここで共重合される他の樹脂構造としては、ポリスルホン,ポリエーテル,ポリケトン,ポリアミド,ポリシロキサン,ポリイミド,ポリスチレン,ポリオレフィン等の種々の樹脂が挙げられる。本発明のポリエステル以外の共重合成分である他の樹脂の量は、全共重合体中、通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下、最も好ましくは10モル%以下である。
【0022】
本発明のポリエステル樹脂は、他の樹脂と混合して電子写真感光体等に用いることも可能である。ここで混合される他の樹脂としては、ポリメチルメタクリレート,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル等のビニル重合体及びその共重合体,ポリカーボネート,ポリエステル,ポリスルホン,フェノキシ,エポキシ,シリコン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂が好ましい。本発明のポリエステル樹脂と併用する他の樹脂の量は、全バインダー樹脂に対して通常は50重量%以下、好ましくは30重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。また、本発明のポリエステル樹脂を表面滑り性改質剤や難燃性付与剤等として用いる場合には、全樹脂に対し50重量%以下、好ましくは20重量%以下、最も好ましくは5重量%以下を、ポリシロキサン構造を含まないポリエステルや他の樹脂に混合して用いても良い。
【0023】
本発明のポリエステル樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることが可能であるが、具体的には界面重合法,溶融重合法,溶液重合法などが挙げられる。
例えば、ポリエステル樹脂の界面重合法による製造の場合は、1種類以上の二官能性フェノール成分もしくはビスフェノール成分をアルカリ水溶液に溶解した溶液と、1種類以上の芳香族ジカルボン酸クロライド成分を溶解したハロゲン化炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。生産性の観点から、重合温度は通常0〜40℃の範囲、重合時間は2〜12時間の範囲が好ましい。重合終了後、水相と有機相とを分離し、有機相中に溶解しているポリマーを、公知の方法で洗浄,回収することにより、目的とする樹脂を得られる。
【0024】
ここで用いるアルカリ成分としては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができる。アルカリの使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.0〜3倍当量の範囲が好ましい。
また、ここで用いられるハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロルベンゼンなどを挙げることができる。
【0025】
触媒として用いられる四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩としては、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の三級アルキルアミンの塩酸,臭素酸,ヨウ素酸等の塩,ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド,ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド,ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド,テトラエチルアンモニウムクロライド,テトラブチルアンモニウムクロライド,テトラブチルアンモニウムブロマイド,トリオクチルメチルアンモニウムクロライド,テトラブチルホスホニウムブロマイド,トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド,N−ラウリルピリジニウムクロライド,ラウリルピコリニウムクロライドなどが挙げられる。
【0026】
二官能性フェノール成分もしくはビスフェノール成分の具体例としては、前述の芳香族ジオールなどが挙げられるが、これらの1種もしくは2種以上を混合して用いることも可能である。
また、重合の際に分子量調節剤として、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール類、o,m,p−フェニルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール等の一官能性のフェノール、酢酸クロリド、酪酸クロリド、オクチル酸クロリド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルフォニルクロリド、ベンゼンスルフィニルクロリド、スルフィニルクロリド、ベンゼンホスホニルクロリドやそれらの置換体等の一官能性酸ハロゲン化物を存在させても良い。
【0027】
重合後の樹脂の精製方法として、樹脂の溶液を、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等のアルカリ水溶液,塩酸,硝酸,リン酸等の酸水溶液,水等で洗浄した後、静置分離,遠心分離等により分液しても良い。また、生成した樹脂の溶液を樹脂が不溶の溶媒中に析出させる方法、樹脂の溶液を温水中に分散させ溶媒を留去する方法、或いは、樹脂溶液を吸着カラム等に流通させる方法等により、樹脂を精製しても良い。
【0028】
精製後の樹脂は、樹脂が不溶の水,アルコールその他有機溶媒中に析出させたり、樹脂の溶液を温水または樹脂が不溶の分散媒中で溶媒を留去したり、加熱,減圧等により溶媒を留去したりすることで取り出すことが可能である。生成した樹脂がスラリー状である場合には、遠心分離器,濾過器等により固体として取り出すこともできる。
【0029】
得られた樹脂は、通常は樹脂の分解温度以下の温度で乾燥するが、好ましくは20℃〜樹脂の溶融温度の範囲内で減圧下で乾燥する。乾燥は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまで行なうが、通常は残存溶媒が1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になるまで乾燥する。
【0030】
(電子写真感光体)
次に、本発明のポリエステル樹脂の用途である電子写真感光体について、以下に詳細に説明する。
本発明の樹脂が使用される電子写真感光体は、通常は導電性支持体上に感光層を有するが、導電性支持体としては、例えば、アルミニウム,アルミニウム合金,ステンレス鋼,銅,ニッケル等の金属材料や、金属,カーボン,酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム,ニッケル,ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂,ガラス,紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状,シート状,ベルト状等のものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
【0031】
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いる場合、これに陽極酸化処理,化成皮膜処理等を施してから用いても良い。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。
【0032】
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。
下引き層としては、樹脂,樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン,酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化ジルコニウム,酸化亜鉛,酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子,チタン酸カルシウム,チタン酸ストロンチウム,チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタンおよび酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に酸化錫,酸化アルミニウム,酸化アンチモン,酸化ジルコニウム,酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸,ポリオール,シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル,アナターゼ,ブルックカイト,アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
【0033】
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性および液の安定性の面から、平均一次粒径として10〜100nmが好ましく、特に好ましいのは10〜25nmである。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ,エポキシ,ポリビニルピロリドン,ポリビニルアルコール,カゼイン,ポリアクリル酸,セルロース類,ゼラチン,デンプン,ポリウレタン,ポリイミド,ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド,変性ポリアミド等は、良好な分散性,塗布性を示すので好ましい。
【0034】
バインダー樹脂に対する無機粒子の添加比は任意に選ぶことができるが、分散液の安定性,塗布性の面から、10〜500重量%の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は任意に選ぶことができるが、感光体特性および塗布性の面から、0.1〜20μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加しても良い。
【0035】
電子写真感光体の感光層の具体的な構成としては、
・導電性支持体上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光体。
・導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層をこの順に積層した逆二層型感光体。
・導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層が積層され、該層中に電荷発生物質を分散させた単層型(分散型)感光体。
等が基本的な構成例として挙げられる。
【0036】
積層型感光体の場合、その電荷発生層に使用される電荷発生物質としては、例えば、セレニウム及びその合金,硫化カドミウム,その他無機系光導材料,フタロシアニン顔料,アゾ顔料,キナクリドン顔料,インジゴ顔料,ペリレン顔料,多環キノン顔料,アントアントロン顔料,ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料等各種光導電材料が使用でき、特に有機顔料、更にフタロシアニン顔料,アゾ顔料が好ましい。
【0037】
中でも、無金属フタロシアニン,銅,インジウム,ガリウム,錫,チタニウム,亜鉛,バナジウム等の金属もしくはそれらの酸化物,塩化物の配位したフタロシアニン類,モノアゾ,ビスアゾ,トリスアゾ,ポリアゾ類等のアゾ顔料が好ましい。
電子写真感光体の電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン,銅,インジウム,ガリウム,錫,チタン,亜鉛,バナジウム,シリコン,ゲルマニウム等の金属またはその酸化物、ハロゲン化物等の配位したフタロシアニン類が使用される。3価以上の金属原子への配位子の例としては、上に示した酸素原子,塩素原子の他、水酸基,アルコキシ基などがあげられる。特に感度の高いX型,τ型無金属フタロシアニン,α型,β型,Y型等のチタニルフタロシアニン,バナジルフタロシアニン,クロロインジウムフタロシアニン,クロロガリウムフタロシアニン,ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適である。なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、α型,β型についてはW.HellerらによってそれぞれII相、I相として示されており(Zeit.Kristallogr.159(1982)173)、β型は安定型として知られているものである。最も好ましく用いられるY型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成,顔料化,結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
【0038】
これらの電荷発生物質を、例えば、ポリエステル樹脂,ポリビニルアセテート,ポリアクリル酸エステル,ポリメタクリル酸エステル,ポリカーボネート,ポリビニルアセトアセタール,ポリビニルプロピオナール,ポリビニルブチラール,フェノキシ樹脂,エポキシ樹脂,ウレタン樹脂,セルロースエステル,セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形で使用する。この場合の電荷発生物質の使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して通常20〜2000重量部、好ましくは30〜500重量部、より好ましくは33〜500重量部の範囲である。
【0039】
また、必要に応じて、他の有機光導電性化合物,染料色素,電子吸引性化合物を含有しても良い。
電荷発生層の膜厚は、通常は0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.15〜0.8μmが好適である。
電子写真感光体の電荷輸送層は、主として電荷輸送物質とバインダー樹脂とから構成される。バインダー樹脂としては、主として前記したポリエステル樹脂が用いられる。
【0040】
これらの電荷輸送物質としては、2,4,7−トリニトロフルオレノンなどの芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン類などの電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チアジアゾール誘導体などの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物、これらの化合物が複数結合されたもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体,ヒドラゾン誘導体,芳香族アミン誘導体,スチルベン誘導体,ブタジエン誘導体およびこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましく、芳香族アミン誘導体,スチルベン誘導体,ブタジエン誘導体の複数結合されたてなるものが特に好ましい。
【0041】
これら電荷輸送物質は単独で用いても良いし、いくつかを混合して用いてもよい。これらの電荷輸送物質がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、単一の層から成っていても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。
電荷輸送層のバインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、通常、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質が30〜200重量部用いられるが、好ましくは40〜150重量部以下、最も好ましくは上限を90重量部とするのが、ポリアリレートの機械特性を維持する上で有利である。また膜厚は一般に10〜60μm、好ましくは10〜45μm、更に好ましくは27〜40μmである。
【0042】
電荷輸送層には、成膜性,可撓性,塗布性,耐汚染性,耐ガス性,耐光性などを向上させるために、周知の可塑剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,電子吸引性化合物,レベリング剤,増感剤などの添加物を含有させても良い。
電子吸引性化合物としては、例えばクロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、3,3′、5,5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物;3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等の電子吸引性化合物が挙げられる。
【0043】
酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物,ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
電子写真感光体の感光層に場合により添加される染料色素としては、例えばメチルバイオレット,ブリリアントグリーン,クリスタルバイオレット等のトリフェニルメタン染料,メチレンブルーなどのチアジン染料,キニザリン等のキノン染料及びシアニン染料やビリリウム塩,チアビリリウム塩,ベンゾビリリウム塩等が挙げられる。
【0044】
電子写真感光体の感光層は、常法に従って、電荷輸送物質をポリアリレート樹脂を含むバインダー樹脂と共に適当な溶剤中に溶解し、必要に応じて、適当な電荷発生物質,増感染料,電子吸引性化合物,他の電荷輸送物質、あるいは、可塑剤,顔料等の周知の添加剤を添加して得られる塗布液を導電性支持体上に塗布,乾燥して感光層を形成させることにより製造することができる。電荷発生層と電荷輸送層の二層からなる感光層の場合は、電荷発生層の上に上記塗布液を塗布するか、上記塗布液を塗布して得られる電荷輸送層の上に電荷発生層を形成させることにより製造することができる。
【0045】
塗布液調製用の溶剤としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等のエステル類;ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素などのアミン系化合物を溶解させる溶剤が挙げられる。勿論、これらの中からバインダーを溶解するものを選択する必要がある。
【0046】
また、電子写真感光体の感光層は、製膜性,可撓性,機械的強度を向上させるために、周知の可塑剤を含有していてもよい。そのために上記塗布液中に添加する可塑剤としては、フタル酸エステル,燐酸エステル,エポキシ化合物,塩素化パラフィン,塩素化脂肪酸エステル,メチルナフタレンなどの芳香族化合物などが挙げられる。アリールアミン系化合物を電荷輸送層中の電荷輸送物質として用いる場合の塗布液は前記組成のものでもよいが、光導電性粒子,染料色素,電子吸引性化合物等は除くか、少量の添加でよい。この場合の電荷発生層としては、上記光導電性粒子に加えて、必要に応じ、バインダーポリマーや他の有機光導電性物質,染料色素,電子吸引性化合物等の溶媒に溶解,分散させて得られる塗布液を塗布乾燥した薄層、あるいは前記光導電性粒子を蒸着等の手段により製膜とした層が挙げられる。
【0047】
感光層の上に、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
【0048】
さらに必要に応じて、バリアー層,接着層,ブロッキング層等の中間層,透明絶縁層など、電気特性,機械特性の改良のための層を有していてもよいことはいうまでもない。
感光層の塗布方法としては、スプレー塗布法,スパイラル塗布法,リング塗布法,浸漬塗布法等がある。
【0049】
スプレー塗布法としては、エアスプレー,エアレススプレー,静電エアスプレー,静電エアレススプレー,回転霧化式静電スプレー,ホットスプレー,ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
【0050】
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機またはカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
【0051】
以下、浸漬塗布法について説明する。
電荷輸送物質(好ましくは前述の化合物),ポリアリレート樹脂,溶剤等を用いて、全固形分濃度が通常25〜40%、粘度が通常50〜300センチポアーズ、好ましくは100〜200センチポアーズの電荷輸送層形成用の塗布液を調整する。ここで実質的に塗布液の粘度はバインダーポリマーの種類及びその分子量により決まるが、分子量が低すぎる場合にはポリマー自身の機械的強度が低下するため、これを損わない程度の分子量を持つバインダーポリマーを使用することが好ましい。この様にして調整された塗布液を用いて、浸漬塗布法により電荷輸送層が形成される。
【0052】
その後塗膜を乾燥させるが、必要且つ充分な乾燥が行われる様に、乾燥温度時間を調整すると良い。乾燥温度は通常は100〜250℃、好ましくは110〜170℃、さらに好ましくは120〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機,蒸気乾燥機,赤外線乾燥機及び遠赤外線乾燥機等を用いることができる。
【0053】
この様にして得られる電子写真用感光体は、高感度で、残留電位が低く、帯電性が高く、かつ、繰返しによる変動が小さく、特に、画像濃度に影響する帯電安定性が良好であることから、高耐久性感光体として用いることができる。また、750〜850nmの領域の感度が高いことから、特に半導体レーザープリンター用感光体に適している。
【0054】
本発明の電子写真感光体を使用する複写機・プリンター等の電子写真装置は、少なくとも帯電,露光,現像,転写の各プロセスを含むが、いずれのプロセスについても、通常用いられる任意の方法を用いて構わない。以下具体的に述べると、帯電方法(帯電器)としては、例えばコロナ放電を利用したコロトロンあるいはスコロトロン帯電,導電性ローラーあるいはブラシ,フィルムなどによる接触帯電などの通常の方法のうち、いずれを用いても良い。このうち、コロナ放電を利用した帯電方法では、暗部電位を一定に保つためにスコロトロン帯電が用いられることが多い。また、現像方法としては、磁性あるいは非磁性の一成分現像剤,二成分現像剤などを接触あるいは非接触させて現像する一般的な方法が用いられる。転写方法としては、コロナ放電による方法,転写ローラーあるいは転写ベルトを用いた方法等、いずれでもよい。転写方法としては、紙やOHP用フィルム等に対して直接行なっても良いし、一旦中間転写体(ベルト状あるいはドラム状)に転写したのちに、紙やOHP用フィルム上に転写しても良い。
【0055】
通常、転写の後、現像剤を紙などに定着させる定着プロセスが用いられ、定着手段としては一般的に用いられる熱定着、圧力定着などを用いることができる。これらのプロセスのほかに、通常用いられるクリーニング,除電等のプロセスを有しても良い。
【0056】
【実施例】
以下に、本発明の具体的態様を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
・実施例1
[ポリエステル樹脂(A)の製造]
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(5.21g)とH2O(400ml)を秤取り、窒素バブリングしながら攪拌し溶解させた。そこにp−tert−ブチルフェノール(0.2179g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.0639g)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン [BPA] (5.72g)及び3−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェノール[3,4′−BPA](5.72g)の順に添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
【0057】
別途、イソフタル酸[IPA]クロライド(10.37g)をジクロロメタン(200ml)に溶解し滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに3時間攪拌を続けた後、酢酸(1.72ml),ジクロロメタン(160ml),水(80ml)を加え30分攪拌した。その後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層に対して、0.1N水酸化ナトリウム水溶液(307ml)にて洗浄を行い、次に0.1N塩酸(307ml)にて洗浄を2回行い、さらにH2O(307ml)にて洗浄を2回行なった。
【0058】
洗浄後の有機層に塩化メチレン360mlを加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(A)を得た。得られたポリエステル樹脂(A)の粘度平均分子量は約19,500であった。得られたポリエステル樹脂(A)の構造式を以下に示す。
【化9】
a/b=5/5
・・・ポリエステル樹脂(A)
【0059】
[粘度平均分子量の測定]
ポリエステル樹脂をジクロロメタンに溶解し、濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
【0060】
[感光体の製造]
(電荷発生層の製造)
下記構造を有するβ型オキシチタニウムフタロシアニン[1]10重量部を、4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2 150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行なった。
【化10】
・・・β型オキシチタニウムフタロシアニン[1]また、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)の5% 1,2−ジメトキシエタン溶液100部及びフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)の5% 1,2−ジメトキシエタン溶液100部を混合してバインダー溶液を作製した。
【0061】
先に作製した顔料分散液160重量部に、バインダー溶液100重量部、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え最終的に固形分濃度4.0%の分散液を調製した。
この様にして得られた分散液を表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム上に膜厚が0.4μmになるように塗布して電荷発生層を設けた。
【0062】
(電荷輸送層の製造)
次にこのフィルム上に、以下に示す電荷輸送材料[1]60部、
【化11】
・・・電荷輸送材料[1]
およびポリエステル樹脂(A)100部、およびレベリング剤としてシリコーンオイル0.03部をトルエン/テトラヒドロフラン(重量比2/8)の混合溶媒に溶解させた液を塗布し、125℃で20分間乾燥し、乾燥後の膜厚が20μmとなるように電荷輸送層を設けた。このときポリエステル樹脂の溶解性は良好であった。こうして得られた感光体で以下の評価を行なった。
【0063】
[摩擦試験]
トナーを上記で作成した感光体の上に0.1mg/cm2となるよう均一に乗せ接触させる面にクリーニングブレードと同じ材質のウレタンゴムを1cm幅に切断したものを用い45度の角度で用い、荷重200g、速度5mm/sec、ストローク20mmでウレタンゴムを100回移動させたときの100回目の動摩擦係数を、協和界面化学(株)社製全自動摩擦摩耗試験機DFPM−SSで測定した。結果を後述の表1に示す。
【0064】
[摩耗試験]
感光体フィルムを直径10cmの円状に切断して、テーバー摩耗試験機(東洋精機社製)により摩耗評価を行なった。試験条件は、23℃,50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転後の摩耗量を、試験前後の重量を比較することにより測定した。結果を後述の表1に示す。
【0065】
・実施例2
[ポリエステル樹脂(B)の製造]
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(7.82g)とH2O(600ml)を秤取り、窒素バブリングしながら攪拌し溶解させた。これにp−tert−ブチルフェノール(0.3269g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.0959g)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン [BPA] (8.58g)及び3−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェノール[3,4′−BPA](8.58g)の順に添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
【0066】
別途、テレフタル酸[TPA]クロライド(15.56g)をジクロロメタン(300ml)に溶解し滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに3時間攪拌を続けた後、酢酸(2.58ml)、ジクロロメタン(240ml)、水(120ml)を加え30分攪拌した。その後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(460ml)にて洗浄を行い、次に0.1N塩酸(460ml)にて洗浄を2回行い、さらにH2O(460ml)にて洗浄を2回行なった。
【0067】
洗浄後の有機層に塩化メチレン540mlを加えて希釈し、メタノール(2700ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(A)を得た。得られたポリエステル樹脂(B)の粘度平均分子量は30,800であった。得られたポリエステル樹脂(B)の構造式を以下に示す。
【化12】
a/b=5/5
・・・ポリエステル樹脂(B)
【0068】
[ポリエステル樹脂(B)を用いた感光体に対する試験および評価]
ポリエステル樹脂(B)を用いて、実施例1と同様にして感光体を製造した。このときポリエステル樹脂の溶解性は良好であった。得られた感光体の摩擦試験、摩耗試験及び電気特性の評価を実施例1と同様の方法により同条件で行なった。結果は後述の表1に示す。
【0069】
・比較例1
[ポリエステル樹脂(C)の製造]
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(5.84g)とH2O(400ml)を秤取り、窒素バブリングしながら攪拌し溶解させた。これにp−tert−ブチルフェノール(0.2179g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.0639g)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン [BPA] (12.83g)の順に添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
【0070】
別途、テレフタル酸[TPA]クロライド(10.37g)をジクロロメタン(200ml)に溶解し滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに3時間攪拌を続けた後、酢酸(2.62ml)、ジクロロメタン(100ml)、水(50ml)を加え30分攪拌した。その後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(450ml)にて洗浄を行い、次に0.1N塩酸(450ml)にて洗浄を2回行い、さらにH2O(450ml)にて洗浄を2回行なった。
【0071】
洗浄後の有機層に塩化メチレン540mlを加えて希釈し、メタノール(2700ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(C)を得た。得られたポリエステル樹脂(C)は塩化メチレンに不溶となり、粘度を測定出来なかった。得られたポリエステル樹脂(C)の構造式を以下に示す。
【化13】
・・・ポリエステル樹脂(C)
【0072】
[ポリエステル樹脂(C)の評価]
ポリエステル樹脂(C)はTHF/トルエン(8/2 重量比)混合溶媒に不溶であった。
・比較例2
[ポリエステル樹脂(D)の製造]
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(2.15g)とH2O(200ml)を秤取り、窒素バブリングしながら攪拌し溶解させた。これにp−tert−ブチルフェノール(0.089g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.0264g)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン [BPA] (2.36g)及び3−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェノール[3,4′−BPA](2.36g)の順に添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
別途、4,4′−ビフェニルジカルボン酸[Bp]クロライド(5.88g)をジクロロメタン(100ml)に溶解し滴下ロート内に移した。
【0073】
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに3時間攪拌を続けた後、酢酸(0.71ml)、ジクロロメタン(80ml)、水(40ml)を加え30分攪拌した。その後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(153ml)にて洗浄を行い、次に0.1N塩酸(153ml)にて洗浄を2回行い、さらにH2O(153ml)にて洗浄を2回行なった。
【0074】
洗浄後の有機層に塩化メチレン180mlを加えて希釈し、メタノール(900ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(D)を得た。得られたポリエステル樹脂(D)の粘度平均分子量は9,200であった。得られたポリエステル樹脂(D)の構造式を以下に示す。
【化14】
a/b=5/5
・・・ポリエステル樹脂(D)
[ポリエステル樹脂(D)の評価]
ポリエステル樹脂(D)はTHF/トルエン(8/2 重量比)混合溶媒に不溶であった。
【0075】
・比較例3
[ポリカーボネート樹脂(E)を用いた感光体の製造]
実施例1において実施例1の[感光体の製造](電荷輸送層の製造)におけるポリエステル樹脂100部を、以下に示す構造のポリカーボネート樹脂(E)100部に替えた以外は実施例1と同様に感光体を作成した。
【化15】
a/b=5/5
・・・ポリカーボネート樹脂(E)
[ポリカーボネート樹脂(E)を用いた感光体に対する試験および評価]
得られた感光体の摩擦試験、摩耗試験及び電気特性の評価を実施例1と同様の方法により同条件で行なった。結果を表1に示す。
【表1】
1)テトラヒドロフラン/トルエン=80/20(重量比)に対する溶解性
2)粘度平均分子量
3)テーバー摩耗試験
4)動摩擦係数
以上の結果より、本発明のポリエステル樹脂は優れた耐摩耗性及び滑り性を示すとともに、電子写真感光体の電荷輸送層の塗布溶媒に対する溶解性に優れていることがわかる。
【0076】
【発明の効果】
本発明の特定の構造を有するポリエステル樹脂は、優れた耐摩耗性及び滑り性を示すとともに、有機溶媒に対する溶解性に優れていることから、電子写真感光体のバインダー樹脂として好適に用いることが出来る。また、本発明のポリエステル樹脂をバインダー樹脂として用いることにより、耐久性に優れるとともに、高画質化に対応可能な電子写真感光体を得ることが出来る。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a polyester resin having a specific structure and an electrophotographic photoreceptor using the polyester resin as a binder for a photosensitive layer.
[0002]
[Prior art]
In recent years, the electrophotographic technology has been widely applied not only to the field of copying machines but also to various fields of printers because high quality images can be obtained immediately.
Photoreceptors used in electrophotographic technology (electrophotographic photoreceptors) are repeatedly used in electrophotographic processes, that is, cycles such as charging, exposure, development, transfer, cleaning, and charge removal. Deteriorate. As such deterioration, for example, strong oxidizing ozone or NOx generated from a corona charger normally used as a charger may cause chemical damage to the photosensitive layer, or a carrier generated by image exposure ( Chemical, electrical, and optical degradation due to the fact that (current) flows in the photosensitive layer or the photosensitive layer composition is decomposed by static elimination light or external light. Another example is mechanical deterioration such as abrasion of the photosensitive layer surface, generation of scratches, and film peeling due to rubbing with a cleaning blade or a magnetic brush, contact with a developer or paper, and the like.
[0003]
In particular, the latter mechanical deterioration such as damage on the surface of the photosensitive layer tends to affect the copy image and directly impairs the image quality, which is a major factor limiting the life of the photoreceptor. ing. Therefore, in order to develop a long-life photoconductor, in addition to enhancing chemical, electrical, and optical durability, it is essential to increase the strength against a mechanical load.
[0004]
In the case of a laminated type photoreceptor, it is a charge transfer layer (hereinafter sometimes referred to as a charge transport layer) that is generally subjected to such a mechanical load. The charge transfer layer is usually composed of a binder resin and a charge transfer material (hereinafter sometimes referred to as a charge transport material), and the binder resin substantially determines the strength against a mechanical load.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, since the amount of the charge transfer material added to the charge transfer layer is considerably large, it is not easy to select an appropriate binder resin to give the photoreceptor sufficient mechanical strength.
Conventionally, binder resins for charge transfer layers of electrophotographic photoreceptors include vinyl polymers such as polymethyl methacrylate, polystyrene, and polyvinyl chloride and copolymers thereof, polycarbonate, polyester, polysulfone, phenoxy, epoxy, silicone resin, and the like. Thermoplastic resins and various thermosetting resins are used.
[0006]
Among such many binder resins, the polycarbonate resin has relatively excellent performance, and various polycarbonate resins have been developed and put into practical use. For example, JP-A-50-98332 discloses bisphenol P-type polycarbonate, JP-A-59-71057 discloses bisphenol Z-type polycarbonate, JP-A-59-184251 discloses bisphenol P and bisphenol. A copolymer type polycarbonate of A and a polycarbonate copolymer containing a bis (4-hydroxyphenyl) ketone type structure are disclosed in JP-A-5-21478 as binder resins.
[0007]
However, many of the conventional organic photoreceptors including those using polycarbonate resin as a binder resin have a surface due to practical loads such as development with toner, friction with paper, and friction with a cleaning member (blade). Has the disadvantage of being worn or scratched on the surface, so it currently has limited printing performance.
[0008]
On the other hand, there is an example in which aromatic polyester is used as a binder resin in order to increase the mechanical strength of the photoreceptor. For example, Japanese Patent Laid-Open No. 56-135844 discloses a technique of an electrophotographic photoreceptor using a polyarylate (aromatic polyester) resin marketed under the trade name “U-polymer” as a binder. Among them, it is shown that the sensitivity is particularly excellent as compared with polycarbonate. Japanese Patent Application Laid-Open No. 3-6567 discloses an electrophotographic photoreceptor comprising a polyarylate (aromatic polyester) copolymer having a structure using tetramethylbisphenol F and bisphenol A as a bisphenol component. Has been.
[0009]
However, these aromatic polyesters have the drawbacks that the solubility of the photosensitive layer in the coating solvent and the stability of the solution are poor, and that when these are used as a binder for the photosensitive layer, the electrical properties are deteriorated. In particular, although the technique described in the former publication shows a slight improvement in terms of wear resistance and sensitivity, the coating solution is poorly stable, so that it is impossible to manufacture the coating or slip even if possible. The sex is poor. Further, in the technique described in the latter publication, an improvement is seen in the wear resistance in comparison with the conventional polycarbonate, but a superiority in the slipping aspect is not recognized in comparison with the polycarbonate.
[0010]
In addition, in order to increase the mechanical strength of the photoreceptor, for example, a method of providing an overcoat layer (Japanese Patent Laid-Open No. 61-72256), a method of using a binder polymer having high wear resistance (Japanese Patent Laid-Open No. 63-63). No. 148263 and Japanese Patent Laid-Open No. Hei 3-221962) have been proposed, but none of them are effective enough or have problems such as adversely affecting electrical characteristics and other characteristics. It is.
[0011]
That is, none of the conventional techniques described above satisfy both of sufficient abrasion resistance (scratch resistance) and surface slipperiness of the electrophotographic photosensitive member at the same time. Therefore, a material excellent in both wear resistance and slipperiness is desired as a material for a binder resin for an electrophotographic photoreceptor.
An object of the present invention is to solve the above problems, it is to provide an electrophotographic photoreceptor wear resistance and sliding properties is used together superior polyester resins in the photosensitive layer.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
Therefore, as a result of detailed studies on the binder resin used in the photosensitive layer, the present inventors have found that a polyester resin produced by copolymerization or homopolymerization of a repeating unit having a specific structure has a very excellent slip property and high resistance. It was found that the coating solution had good storage stability because it was not only wearable but also highly soluble in non-halogen solvents, and the present invention was achieved.
[0013]
That is, the gist of the present invention is that a polyester resin containing a repeating unit represented by the following general formula (1) in the structural formula and having a viscosity average molecular weight of 10,000 to 200,000 is used as a binder resin for a photosensitive layer. The present invention is to provide an electrophotographic photosensitive member used as the above.
[Formula 4]
... General formula (1)
(In the general formula (1), R 1 to R 8 each independently represents a hydrogen atom or a substituent. X represents an alkylene group, and Y represents a divalent aromatic group.)
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
(Polyester resin)
The polyester resin of the present invention is mainly used as a binder resin for electrophotographic photoreceptors, but as other applications, sliding materials, molding materials, optical materials, transparent film materials, coating materials, antiwear agents, optical functions It can also be used for an adhesive resin, a resist material, and the like.
[0015]
The polyester resin of the present invention has a repeating unit having a structure represented by the general formula (1).
R 1 to R 8 in the two aromatic rings in the general formula (1) are each independently a hydrogen atom or a substituent. As the substituent, one that does not impair the properties of the target polyester resin in the present invention can be selected. Specifically, each independently, a methyl group, an ethyl group, an n-propyl group, an isopropyl group, an n-butyl group, and the like. Carbons such as alkyl groups having about 1 to 10 carbon atoms such as groups, isobutyl groups, tert-butyl groups, n-pentyl groups, n-hexyl groups, n-heptyl groups and n-octyl groups, methoxy groups and ethoxy groups. Examples thereof include an alkoxy group having a number of about 1 to 10, a halogen group such as fluorine, chlorine and bromine, and a nitro group. However, most preferably, all of R 1 to R 8 are hydrogen atoms. In other words, these two aromatic rings are most preferably each an unsubstituted divalent benzene ring.
[0016]
X in the general formula (1) is a single bond or a divalent linking group. As the divalent linking group, one that does not impair the properties of the target polyester resin in the present invention can be selected. Specifically, divalent element groups such as —O— and —S—, —CH 2 —, — (CH 2 ) 2 —, — (CH 2 ) 3 —,
[Chemical formula 5]
And a divalent organic linking group containing an alkylene group or a cycloalkylene group. Among these divalent linking groups, —CH 2 —, or embedded image
Is preferred.
Y in the general formula (1) can be selected from divalent organic linking groups that do not impair the properties of the target polyester resin in the present invention. Specifically, for example, 1,4-phenylene group, 1,3-phenylene group, a 1,2-phenylene group, a naphthylene group of which divalent aromatic group, -CH 2 -, - (CH 2) 2 -, - (CH 2) 3 -, - (CH 2) 4 -, - (CH 2) 5 -, - (CH 2) 6 -, - (CH 2) 7 -, - (CH 2) 8 -, And divalent aliphatic groups such as —CH═CH—. Among these, a divalent aromatic group is preferable. Specifically, 1,4-phenylene group, 1,3-phenylene group, naphthylene group , -CH = CH- are preferable, and 1,4-phenylene group, 1,3-phenylene group are more preferable. Can be mentioned.
Most preferably, the repeating unit of general formula (1) is chemical formula (1).
[Chemical 7]
... Chemical formula (1)
The viscosity average molecular weight of the polyester resin of the present invention is 10,000 to 200,000, preferably 15,000 to 100,000, and more preferably 18,000 to 50,000. When the viscosity average molecular weight is too small, the mechanical strength and the wear resistance are lowered. On the other hand, if the viscosity average molecular weight is too large, the viscosity of the coating solution is high and coating becomes difficult.
[0017]
Further, the content of the structural unit represented by the general formula (1) with respect to the entire polyester resin of the present invention is 1 to 100% by weight, preferably 5 to 90% by weight, more preferably 10 to 70% by weight. It is.
In the polyester resin of the present invention, the dihydric alcohol or dihydric phenol that is a constituent component other than the repeating component of the general formula (1) specifically includes hydroquinone, resorcinol, 1,3-dihydroxynaphthalene as an aromatic diol. 1,4-dihydroxynaphthalene, 2,3-dihydroxynaphthalene, 2,6-dihydroxynaphthalene, 2,7-dihydroxynaphthalene, 1,8-dihydroxynaphthalene, 1,5-dihydroxynaphthalene, bis- (4-hydroxyphenyl) ) Methane (BPF), bis- (2-hydroxyphenyl) methane, (2-hydroxyphenyl) (4-hydroxyphenyl) methane, 1,1-bis- (4-hydroxyphenyl) ethane (BPE), 1,1 -Bis- (4-hydroxyphenyl) propane 2,2-bis- (4-hydroxyphenyl) propane (BPA), bis- (4-hydroxy-3,5-dimethylphenyl) methane (TmBPF), 2,2-bis- (4-hydroxyphenyl) butane, 2,2-bis- (4-hydroxyphenyl) pentane, 2,2-bis- (4-hydroxyphenyl) -3-methylbutane, 2,2-bis- (4-hydroxyphenyl) hexane, 2,2-bis -(4-hydroxyphenyl) -4-methylpentane, 1,1-bis- (4-hydroxyphenyl) cyclopentane, 1,1-bis- (4-hydroxyphenyl) cyclohexane (BPZ), bis- (3- Phenyl-4-hydroxyphenyl) methane, 1,1-bis- (3-phenyl-4-hydroxyphenyl) ethane, 1,1-bis- (3-phenyl) 4-hydroxyphenyl) propane, 2,2-bis- (3-phenyl-4-hydroxyphenyl) propane (BPQ), bis- (4-hydroxy-3-methylphenyl) methane (Cof), 1,1 -Bis- (4-hydroxy-3-methylphenyl) ethane (Ce), 2,2-bis- (4-hydroxy-3-methylphenyl) propane (BPC), 2,2-bis- (4-hydroxy- 3-ethylphenyl) propane, 2,2-bis- (4-hydroxy-3-isopropylphenyl) propane, 2,2-bis- (4-hydroxy-3-sec-butylphenyl) propane, 1,1-bis -(4-hydroxy-3,5-dimethylphenyl) ethane (Xe), 2,2-bis- (4-hydroxy-3,5-dimethylphenyl) propane (Tma), Bis- (4-hydroxy-3,6-dimethylphenyl) methane (Xf), 1,1-bis- (4-hydroxy-3,6-dimethylphenyl) ethane, bis- (4-hydroxyphenyl) phenylmethane, 1,1-bis- (4-hydroxyphenyl) -1-phenylethane (BPP), 1,1-bis- (4-hydroxyphenyl) -1-phenylpropane, bis- (4-hydroxyphenyl) diphenylmethane, bis -(4-hydroxyphenyl) dibenzylmethane, 4,4'-dihydroxydiphenyl ether (BPO), 4,4'-dihydroxydiphenyl sulfone, 4,4'-dihydroxydiphenyl sulfide, phenolphthalein, 4,4 '-[ 1,4-phenylenebis (1-methylvinylidene)] bisphenol, 4,4 '-[1 , 4-phenylenebis (1-methylvinylidene)] bis [2-methylphenol] and the like. Among these, preferred examples include bis- (4-hydroxyphenyl) methane (BPF), 1,1-bis- (4-hydroxyphenyl) ethane (BPE), and 2,2-bis- (4-hydroxyphenyl). ) Propane (BPA), bis- (4-hydroxy-3,5-dimethylphenyl) methane (TmBPF), 2,2-bis- (3-phenyl-4-hydroxyphenyl) propane (BPQ), bis- (4 -Hydroxy-3-methylphenyl) methane (Cof), 1,1-bis- (4-hydroxyphenyl) cyclohexane (BPZ), 1,1-bis- (4-hydroxy-3-methylphenyl) ethane (Ce) 2,2-bis- (4-hydroxy-3-methylphenyl) propane (BPC) bis- (4-hydroxy-3,5-dimethylphenyl) meta (Tmf), 1,1-bis- (4-hydroxy-3,5-dimethylphenyl) ethane (Xe), 2,2-bis- (4-hydroxy-3,5-dimethylphenyl) propane (Tma), Bis- (4-hydroxy-3,6-dimethylphenyl) methane (Xf), 1,1-bis- (4-hydroxyphenyl) -1-phenylethane (BPP) may be mentioned. Particularly preferred are 2,2-bis- (4-hydroxyphenyl) propane (BPA), bis- (4-hydroxy-3,5-dimethylphenyl) methane (TmBPF), 1,1-bis- (4- Hydroxyphenyl) cyclohexane (BPZ), 2,2-bis- (4-hydroxy-3-methylphenyl) propane (BPC). Aliphatic dihydroxy compounds include ethylene glycol, propylene glycol, 1,4-butanediol, 1,4-pentanediol, pentamethylenediol, 2,4-pentanediol, 1,5-hexanediol, and hexamethylene glycol. 1,5-heptanediol, heptamethylenediol, octamethylenediol, 1,9-nonanediol, 1,10-decamethylene glycol, 1,6-cyclohexanediol, etc., preferably ethylene glycol, propylene Examples include glycol and 1,4-butanediol.
[0018]
In particular, the constituent component other than the repeating component of the general formula (1) in the polyester resin of the present invention is preferably a repeating unit represented by the following general formula (2).
[Chemical 8]
... General formula (2)
(In General Formula (2), R ′ 1 to R ′ 8 each independently represents a hydrogen atom or a substituent. X ′ represents a single bond or a divalent linking group, and Y ′ represents a divalent organic linking group. Represents a group.)
In the general formula (2), R ′ 1 to R ′ 8 are each independently a hydrogen atom or a substituent. As the substituent, one that does not impair the properties of the target polyester resin in the present invention can be selected. Specifically, like R 1 to R 8 in the general formula (1), each independently has 1 carbon atom. An alkyl group having about 10 to 10 carbon atoms, an alkoxy group having about 1 to 10 carbon atoms, a halogen group, and the like.
[0019]
Moreover, X 'in General formula (2) is a single bond or a bivalent coupling group. As the divalent linking group, those which do not impair the properties of the target polyester resin in the present invention can be selected. Specifically, as with X in the general formula (1), —O— and —S— And a divalent organic linking group such as an alkylene group or a cycloalkylene group.
[0020]
Furthermore, Y ′ in the general formula (2) can be selected from divalent organic linking groups that do not impair the properties of the polyester resin intended in the present invention. Specifically, a divalent aromatic group, a divalent aliphatic group, etc. are mentioned similarly to Y of General formula (1).
The content of components other than the repeating unit of the general formula (1) with respect to the entire polyester resin of the present invention is usually 1 to 99% by weight, preferably 10 to 95% by weight, more preferably 30 to 90%. % By weight.
[0021]
Further, the polyester resin of the present invention may be a copolymer with other resins. The copolymerization type may be any of block, graft, and multiblock copolymerization. Examples of other resin structures copolymerized here include various resins such as polysulfone, polyether, polyketone, polyamide, polysiloxane, polyimide, polystyrene, and polyolefin. The amount of the other resin, which is a copolymer component other than the polyester of the present invention, is usually 50 mol% or less, preferably 30 mol% or less, and most preferably 10 mol% or less in the entire copolymer.
[0022]
The polyester resin of the present invention can be mixed with other resins and used for an electrophotographic photoreceptor. Other resins to be mixed here include vinyl polymers such as polymethyl methacrylate, polystyrene, polyvinyl chloride and copolymers thereof, thermoplastic resins such as polycarbonate, polyester, polysulfone, phenoxy, epoxy, silicone resin, and various types. And thermosetting resin. Among these, polycarbonate resin is preferable. The amount of the other resin used in combination with the polyester resin of the present invention is usually 50% by weight or less, preferably 30% by weight or less, and most preferably 10% by weight or less based on the total binder resin. Further, when the polyester resin of the present invention is used as a surface slipping modifier or a flame retardancy imparting agent, it is 50% by weight or less, preferably 20% by weight or less, most preferably 5% by weight or less based on the total resin. May be mixed with polyester or other resin not containing a polysiloxane structure.
[0023]
As a method for producing the polyester resin of the present invention, a known polymerization method can be used. Specific examples include an interfacial polymerization method, a melt polymerization method, and a solution polymerization method.
For example, in the case of production of a polyester resin by the interfacial polymerization method, a halogenated solution in which one or more bifunctional phenol components or bisphenol components are dissolved in an alkaline aqueous solution and one or more aromatic dicarboxylic acid chloride components are dissolved. Mix with hydrocarbon solution. At this time, a quaternary ammonium salt or a quaternary phosphonium salt may be present as a catalyst. From the viewpoint of productivity, the polymerization temperature is usually preferably in the range of 0 to 40 ° C., and the polymerization time is preferably in the range of 2 to 12 hours. After the completion of the polymerization, the water phase and the organic phase are separated, and the polymer dissolved in the organic phase is washed and recovered by a known method to obtain the intended resin.
[0024]
Examples of the alkali component used here include hydroxides of alkali metals such as sodium hydroxide and potassium hydroxide. As the usage-amount of an alkali, the range of 1.0-3 times equivalent of the phenolic hydroxyl group contained in a reaction system is preferable.
Examples of the halogenated hydrocarbon used here include dichloromethane, chloroform, 1,2-dichloroethane, trichloroethane, tetrachloroethane, dichlorobenzene and the like.
[0025]
Quaternary ammonium salts or quaternary phosphonium salts used as catalysts include tertiary alkylamines such as tributylamine and trioctylamine, such as hydrochloric acid, bromic acid, iodic acid, benzyltriethylammonium chloride, benzyltrimethylammonium chloride, Examples include benzyltributylammonium chloride, tetraethylammonium chloride, tetrabutylammonium chloride, tetrabutylammonium bromide, trioctylmethylammonium chloride, tetrabutylphosphonium bromide, triethyloctadecylphosphonium bromide, N-laurylpyridinium chloride, laurylpicolinium chloride.
[0026]
Specific examples of the bifunctional phenol component or bisphenol component include the above-mentioned aromatic diols, but one or more of these may be used in combination.
In addition, as a molecular weight regulator during polymerization, phenol, o, m, p-cresol, o, m, p-ethylphenol, o, m, p-propylphenol, o, m, p-tert-butylphenol, pentyl Alkylphenols such as phenol, hexylphenol, octylphenol, nonylphenol, monofunctional phenols such as o, m, p-phenylphenol, 2,4,6-trimethylphenol, 2,3,6-trimethylphenol, acetate chloride, Monofunctional acid halides such as butyric acid chloride, octylic acid chloride, benzoyl chloride, benzenesulfonyl chloride, benzenesulfinyl chloride, sulfinyl chloride, benzenephosphonyl chloride and their substitutes may be present.
[0027]
As a method for purifying the resin after polymerization, the resin solution is washed with an alkali aqueous solution such as sodium hydroxide or potassium hydroxide, an acid aqueous solution such as hydrochloric acid, nitric acid or phosphoric acid, water, etc., and then left to stand and centrifuged. It may be separated by, for example. Also, by the method of precipitating the generated resin solution in a solvent in which the resin is insoluble, the method of dispersing the resin solution in warm water and distilling off the solvent, or the method of circulating the resin solution through an adsorption column, etc. The resin may be purified.
[0028]
The purified resin may be precipitated in water, alcohol or other organic solvent in which the resin is insoluble, the solvent of the resin is distilled off in warm water or in a dispersion medium in which the resin is insoluble, or the solvent is removed by heating, decompression, etc. It can be taken out by distilling it off. When the produced resin is in the form of a slurry, it can be taken out as a solid by a centrifuge, a filter or the like.
[0029]
The obtained resin is usually dried at a temperature not higher than the decomposition temperature of the resin, but is preferably dried under reduced pressure within the range of 20 ° C. to the melting temperature of the resin. The drying is performed until the purity of impurities such as the residual solvent becomes a certain level or lower. Usually, the drying is performed until the residual solvent becomes 1000 ppm or less, preferably 300 ppm or less, more preferably 100 ppm or less.
[0030]
(Electrophotographic photoreceptor)
Next, the electrophotographic photoreceptor, which is an application of the polyester resin of the present invention, will be described in detail below.
The electrophotographic photosensitive member using the resin of the present invention usually has a photosensitive layer on a conductive support. Examples of the conductive support include aluminum, aluminum alloy, stainless steel, copper, nickel and the like. Metal materials, resin materials that are made conductive by adding conductive powders such as metal, carbon, and tin oxide, and conductive materials such as aluminum, nickel, and ITO (indium tin oxide alloy) on the surface Vapor deposited or coated resin, glass, paper, etc. are mainly used. As a form, a drum shape, a sheet shape, a belt shape or the like is used. A conductive material having an appropriate resistance value may be coated on a conductive support made of a metal material in order to control conductivity and surface properties and to cover defects.
[0031]
When a metal material such as an aluminum alloy is used as the conductive support, it may be used after being subjected to anodizing treatment, chemical conversion coating treatment, or the like. When the anodizing treatment is performed, it is desirable to perform a sealing treatment by a known method.
The surface of the support may be smooth, or may be roughened by using a special cutting method or performing a polishing treatment. Further, it may be roughened by mixing particles having an appropriate particle diameter with the material constituting the support.
[0032]
An undercoat layer may be provided between the conductive support and the photosensitive layer in order to improve adhesion and blocking properties.
As the undercoat layer, a resin, a resin in which particles such as a metal oxide are dispersed, and the like are used.
Examples of the metal oxide particles used for the undercoat layer include metal oxide particles containing one kind of metal element such as titanium oxide, aluminum oxide, silicon oxide, zirconium oxide, zinc oxide, iron oxide, calcium titanate, and titanium. Examples thereof include metal oxide particles containing a plurality of metal elements such as strontium acid and barium titanate. Only one type of particles may be used, or a plurality of types of particles may be mixed and used. Among these metal oxide particles, titanium oxide and aluminum oxide are preferable, and titanium oxide is particularly preferable. The surface of the titanium oxide particles may be treated with an inorganic material such as tin oxide, aluminum oxide, antimony oxide, zirconium oxide, or silicon oxide, or an organic material such as stearic acid, polyol, or silicon. As the crystal form of the titanium oxide particles, any of rutile, anatase, brookite and amorphous can be used. A thing of a several crystalline state may be contained.
[0033]
In addition, various particle sizes of the metal oxide particles can be used. Among these, from the viewpoint of characteristics and liquid stability, the average primary particle size is preferably 10 to 100 nm, and particularly preferably 10 to 25 nm. is there.
The undercoat layer is preferably formed in a form in which metal oxide particles are dispersed in a binder resin. The binder resin used in the undercoat layer may be phenoxy, epoxy, polyvinyl pyrrolidone, polyvinyl alcohol, casein, polyacrylic acid, celluloses, gelatin, starch, polyurethane, polyimide, polyamide, etc. alone or cured with a curing agent. Among them, alcohol-soluble copolymerized polyamides, modified polyamides and the like are preferable because they exhibit good dispersibility and coating properties.
[0034]
The addition ratio of the inorganic particles to the binder resin can be arbitrarily selected, but it is preferably used in the range of 10 to 500% by weight from the viewpoint of the stability and applicability of the dispersion.
The thickness of the undercoat layer can be arbitrarily selected, but is preferably from 0.1 to 20 μm from the viewpoint of photoreceptor characteristics and applicability. Moreover, you may add a well-known antioxidant etc. to an undercoat layer.
[0035]
As a specific configuration of the photosensitive layer of the electrophotographic photoreceptor,
A laminate type photoreceptor in which a charge generation layer mainly composed of a charge generation material, a charge transport material and a charge transport layer mainly composed of a binder resin are laminated in this order on a conductive support.
A reverse two-layer type photoreceptor in which a charge transport layer mainly composed of a charge transport material and a binder resin and a charge generation layer composed mainly of a charge generation material are laminated in this order on a conductive support.
A single layer type (dispersion type) photoreceptor in which a layer containing a charge transport material and a binder resin is laminated on a conductive support, and the charge generation material is dispersed in the layer.
Etc. are examples of basic configurations.
[0036]
In the case of a multilayer photoreceptor, examples of charge generation materials used in the charge generation layer include selenium and its alloys, cadmium sulfide, other inorganic optical materials, phthalocyanine pigments, azo pigments, quinacridone pigments, indigo pigments, and perylene. Various photoconductive materials such as organic pigments such as pigments, polycyclic quinone pigments, anthanthrone pigments, and benzimidazole pigments can be used, and organic pigments, phthalocyanine pigments, and azo pigments are particularly preferable.
[0037]
Among them, metal-free phthalocyanine, copper, indium, gallium, tin, titanium, zinc, vanadium and other metals or oxides thereof, phthalocyanines coordinated with chloride, monoazo, bisazo, trisazo, polyazos and other azo pigments preferable.
When a phthalocyanine compound is used as the charge generating material of the electrophotographic photosensitive member, specifically, a metal such as metal-free phthalocyanine, copper, indium, gallium, tin, titanium, zinc, vanadium, silicon, germanium, or an oxide thereof, halogen Coordinated phthalocyanines such as compounds are used. Examples of the ligand to a metal atom having 3 or more valences include a hydroxyl group and an alkoxy group in addition to the oxygen atom and chlorine atom shown above. Particularly preferred are X-type, τ-type metal-free phthalocyanine, α-type, β-type, Y-type titanyl phthalocyanine, vanadyl phthalocyanine, chloroindium phthalocyanine, chlorogallium phthalocyanine, hydroxygallium phthalocyanine, and the like. Of the crystal forms of titanyl phthalocyanine mentioned here, α type and β type are described in W.C. It has been shown by Heller et al. As phase II and phase I, respectively (Zeit. Kristallogr. 159 (1982) 173), and the β form is known as a stable form. The Y type most preferably used is a crystal type characterized in that a diffraction angle 2θ ± 0.2 ° shows a clear peak at 27.3 ° in powder X-ray diffraction using CuKα rays. As the phthalocyanine compound, only a single compound may be used, or several mixed states may be used. As the mixed state that can be placed in the phthalocyanine compound or crystal state here, the respective constituent elements may be mixed and used later, or the mixed state may be used in the manufacturing and processing steps of the phthalocyanine compound such as synthesis, pigmentation, and crystallization. It may be generated. As such treatment, acid paste treatment, grinding treatment, solvent treatment and the like are known.
[0038]
These charge generating materials include, for example, polyester resin, polyvinyl acetate, polyacrylate ester, polymethacrylate ester, polycarbonate, polyvinyl acetoacetal, polyvinyl propional, polyvinyl butyral, phenoxy resin, epoxy resin, urethane resin, cellulose ester, Used in a form bound with various binder resins such as cellulose ether. In this case, the charge generation material is used in an amount of usually 20 to 2000 parts by weight, preferably 30 to 500 parts by weight, and more preferably 33 to 500 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the binder resin.
[0039]
Moreover, you may contain another organic photoconductive compound, dye pigment | dye, and an electron withdrawing compound as needed.
The thickness of the charge generation layer is usually 0.05 to 5 μm, preferably 0.1 to 2 μm, more preferably 0.15 to 0.8 μm.
The charge transport layer of the electrophotographic photoreceptor is mainly composed of a charge transport material and a binder resin. As the binder resin, the above-described polyester resin is mainly used.
[0040]
These charge transport materials include aromatic nitro compounds such as 2,4,7-trinitrofluorenone, cyano compounds such as tetracyanoquinodimethane, electron withdrawing materials such as quinones such as diphenoquinone, carbazole derivatives, indoles. Derivatives, imidazole derivatives, oxazole derivatives, pyrazole derivatives, oxadiazole derivatives, pyrazoline derivatives, thiadiazole derivatives and other heterocyclic compounds, aniline derivatives, hydrazone compounds, aromatic amine derivatives, stilbene derivatives, butadiene derivatives, enamine compounds, these compounds And an electron-donating substance such as a polymer having a group consisting of these compounds in the main chain or side chain. Among these, a carbazole derivative, a hydrazone derivative, an aromatic amine derivative, a stilbene derivative, a butadiene derivative, and a combination of these derivatives are preferable, and a plurality of aromatic amine derivatives, stilbene derivatives, and butadiene derivatives are combined. Those are particularly preferred.
[0041]
These charge transport materials may be used alone or in combination. The charge transport layer is formed in such a form that these charge transport materials are bound to the binder resin. The charge transport layer may be composed of a single layer, or may be a stack of a plurality of layers having different constituent components or composition ratios.
The ratio of the binder resin and the charge transport material in the charge transport layer is usually 30 to 200 parts by weight of the charge transport material with respect to 100 parts by weight of the binder resin, preferably 40 to 150 parts by weight or less, most preferably the upper limit. 90 parts by weight is advantageous in maintaining the mechanical properties of polyarylate. The film thickness is generally 10 to 60 μm, preferably 10 to 45 μm, and more preferably 27 to 40 μm.
[0042]
The charge transport layer has well-known plasticizers, antioxidants, UV absorbers, and electron withdrawing properties to improve film formability, flexibility, coatability, contamination resistance, gas resistance, and light resistance. You may contain additives, such as a compound, a leveling agent, and a sensitizer.
Examples of the electron-withdrawing compound include quinones such as chloranil, 2,3-dichloro-1,4-naphthoquinone, 1-nitroanthraquinone, 1-chloro-5-nitroanthraquinone, 2-chloroanthraquinone and phenanthrenequinone; Aldehydes such as nitrobenzaldehyde; 9-benzoylanthracene, indandione, 3,5-dinitrobenzophenone, 2,4,7-trinitrofluorenone, 2,4,5,7-tetranitrofluorenone, 3,3 ′, 5 Ketones such as 5,5'-tetranitrobenzophenone; acid anhydrides such as phthalic anhydride and 4-chloronaphthalic anhydride; tetracyanoethylene, terephthalalmalononitrile, 9-anthrylmethylidenemalononitrile, 4-nitroben Sarmalononitrile, 4- (p-nitrobenzo Cyano compounds such as (ruoxy) benzalmalononitrile; 3-benzalphthalide, 3- (α-cyano-p-nitrobenzal) phthalide, 3- (α-cyano-p-nitrobenzal) -4,5,6,7-tetrachloro Examples thereof include electron-withdrawing compounds such as phthalides such as phthalide.
[0043]
Examples of the antioxidant include hindered phenol compounds and hindered amine compounds.
Examples of dye pigments optionally added to the photosensitive layer of the electrophotographic photoreceptor include triphenylmethane dyes such as methyl violet, brilliant green, and crystal violet, thiazine dyes such as methylene blue, quinone dyes such as quinizarin, cyanine dyes, and bililium. Salt, thiabililium salt, benzobililium salt and the like.
[0044]
The photosensitive layer of the electrophotographic photosensitive member is dissolved in a suitable solvent together with a binder resin containing a polyarylate resin in accordance with a conventional method, and if necessary, an appropriate charge generating material, sensitizing dye, electron aspiration. It is produced by forming a photosensitive layer by applying a coating solution obtained by adding a known compound such as a conductive compound, another charge transporting material, or a plasticizer or a pigment to a conductive support and drying it. be able to. In the case of a photosensitive layer comprising two layers of a charge generation layer and a charge transport layer, the charge generation layer is formed on the charge transport layer obtained by applying the coating solution on the charge generation layer or by applying the coating solution. Can be produced.
[0045]
Solvents for preparing the coating solution include ethers such as tetrahydrofuran and 1,4-dioxane; ketones such as methyl ethyl ketone and cyclohexanone; aromatic hydrocarbons such as toluene and xylene; N, N-dimethylformamide, acetonitrile, N- Examples include aprotic polar solvents such as methyl pyrrolidone and dimethyl sulfoxide; esters such as ethyl acetate, methyl formate and methyl cellosolve acetate; and solvents that dissolve amine compounds such as chlorinated hydrocarbons such as dichloroethane and chloroform. Of course, it is necessary to select one that dissolves the binder.
[0046]
In addition, the photosensitive layer of the electrophotographic photosensitive member may contain a known plasticizer in order to improve the film forming property, flexibility, and mechanical strength. For this purpose, examples of the plasticizer added to the coating solution include aromatic compounds such as phthalate ester, phosphate ester, epoxy compound, chlorinated paraffin, chlorinated fatty acid ester, and methylnaphthalene. The coating liquid in the case of using an arylamine compound as the charge transport material in the charge transport layer may be of the above composition, but the photoconductive particles, dye pigments, electron withdrawing compounds, etc. may be excluded or a small amount may be added. . In this case, the charge generation layer is obtained by dissolving and dispersing in a solvent such as a binder polymer, another organic photoconductive substance, a dye pigment, or an electron-withdrawing compound, if necessary, in addition to the photoconductive particles. Examples thereof include a thin layer obtained by coating and drying the coating solution, or a layer obtained by forming the photoconductive particles by means such as vapor deposition.
[0047]
A protective layer may be provided on the photosensitive layer for the purpose of preventing the photosensitive layer from being worn out or preventing or reducing the deterioration of the photosensitive layer due to a discharge product generated from a charger or the like.
Further, for the purpose of reducing frictional resistance and wear on the surface of the photoreceptor, the surface layer may contain a fluorine-based resin, a silicon resin, or the like. Moreover, the particle | grains which consist of these resin, and the particle | grains of an inorganic compound may be included.
[0048]
Furthermore, it is needless to say that layers for improving electrical characteristics and mechanical characteristics such as an intermediate layer such as a barrier layer, an adhesive layer and a blocking layer, and a transparent insulating layer may be provided as necessary.
Examples of the photosensitive layer coating method include spray coating, spiral coating, ring coating, and dip coating.
[0049]
Spray coating methods include air spray, airless spray, electrostatic air spray, electrostatic airless spray, rotary atomizing electrostatic spray, hot spray, and hot airless spray. Considering the degree of conversion, adhesion efficiency, etc., in the rotary atomizing electrostatic spray, the conveying method disclosed in the republished Japanese Patent Publication No. 1-805198, that is, the cylindrical workpiece is rotated while the axial direction is spaced. By continuously transporting the electrophotographic photosensitive member, an electrophotographic photosensitive member excellent in film thickness uniformity can be obtained with a comprehensively high adhesion efficiency.
[0050]
Examples of the spiral coating method include a method using a liquid injection coating machine or a curtain coating machine disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 52-119651, and paint from a minute opening disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 1-2231966. There are a method of continuously flying in a streak shape, a method using a multi-nozzle body disclosed in JP-A-3-193161, and the like.
[0051]
Hereinafter, the dip coating method will be described.
Using a charge transport material (preferably the above-mentioned compound), polyarylate resin, solvent, etc., a charge transport layer having a total solid concentration of usually 25 to 40% and a viscosity of usually 50 to 300 centipoise, preferably 100 to 200 centipoise Adjust the coating solution for forming. Here, the viscosity of the coating solution is substantially determined by the type and molecular weight of the binder polymer, but if the molecular weight is too low, the mechanical strength of the polymer itself is reduced, so that the binder has a molecular weight that does not impair this. It is preferred to use a polymer. A charge transport layer is formed by a dip coating method using the coating solution thus adjusted.
[0052]
Thereafter, the coating film is dried, and the drying temperature time may be adjusted so that necessary and sufficient drying is performed. The drying temperature is usually in the range of 100 to 250 ° C, preferably 110 to 170 ° C, more preferably 120 to 140 ° C. As a drying method, a hot air dryer, a steam dryer, an infrared dryer, a far infrared dryer, or the like can be used.
[0053]
The electrophotographic photoreceptor thus obtained has high sensitivity, low residual potential, high chargeability, small fluctuation due to repetition, and particularly good charging stability that affects image density. Therefore, it can be used as a highly durable photoconductor. Further, since the sensitivity in the region of 750 to 850 nm is high, it is particularly suitable for a photoreceptor for a semiconductor laser printer.
[0054]
An electrophotographic apparatus such as a copying machine or a printer using the electrophotographic photosensitive member of the present invention includes at least charging, exposure, development, and transfer processes, and any process that is usually used is used for any of the processes. It doesn't matter. Specifically, as a charging method (charger), for example, any of ordinary methods such as corotron or scorotron charging using corona discharge, contact charging with a conductive roller, brush, film, or the like is used. Also good. Among these, in the charging method using corona discharge, scorotron charging is often used to keep the dark portion potential constant. As a developing method, a general method is used in which development is performed by bringing a magnetic or non-magnetic one-component developer or two-component developer into contact or non-contact. The transfer method may be any of a method using corona discharge, a method using a transfer roller or a transfer belt, and the like. As a transfer method, the transfer may be performed directly on paper, an OHP film, or the like, or after being transferred to an intermediate transfer body (belt shape or drum shape), the image may be transferred onto paper or an OHP film. .
[0055]
Usually, after the transfer, a fixing process for fixing the developer onto paper or the like is used, and as the fixing means, commonly used thermal fixing, pressure fixing, or the like can be used. In addition to these processes, processes such as normally used cleaning and static elimination may be provided.
[0056]
【Example】
Specific embodiments of the present invention will be described below in more detail with reference to examples, but the present invention is not limited to these examples unless it exceeds the gist.
Example 1
[Production of polyester resin (A)]
Sodium hydroxide (5.21 g) and H 2 O (400 ml) were weighed in a 1 L beaker and stirred and dissolved while bubbling nitrogen. There, p-tert-butylphenol (0.2179 g), benzyltriethylammonium chloride (0.0639 g), 2,2-bis- (4-hydroxyphenyl) propane [BPA] (5.72 g) and 3- [1- (4-Hydroxyphenyl) -1-methylethyl] phenol [3,4′-BPA] (5.72 g) was added and stirred in this order, and the aqueous alkaline solution was transferred to a 2 L reaction vessel.
[0057]
Separately, isophthalic acid [IPA] chloride (10.37 g) was dissolved in dichloromethane (200 ml) and transferred into a dropping funnel.
While maintaining the external temperature of the polymerization tank at 20 ° C. and stirring the alkaline aqueous solution in the reaction tank, the dichloromethane solution was dropped from the dropping funnel over 1 hour. After further stirring for 3 hours, acetic acid (1.72 ml), dichloromethane (160 ml) and water (80 ml) were added and stirred for 30 minutes. Then, stirring was stopped and the organic layer was separated. The organic layer was washed with 0.1N aqueous sodium hydroxide solution (307 ml), then washed twice with 0.1N hydrochloric acid (307 ml), and further washed with H 2 O (307 ml). Was performed twice.
[0058]
The washed organic layer was diluted with 360 ml of methylene chloride, poured into methanol (1800 ml), and the resulting precipitate was taken out by filtration and dried to obtain the desired polyester resin (A). The viscosity average molecular weight of the obtained polyester resin (A) was about 19,500. The structural formula of the obtained polyester resin (A) is shown below.
[Chemical 9]
a / b = 5/5
... Polyester resin (A)
[0059]
[Measurement of viscosity average molecular weight]
The polyester resin was dissolved in dichloromethane to prepare a solution having a concentration C of 6.00 g / L. The flow time t of the sample solution was measured in a constant temperature water bath set at 20.0 ° C. using an Ubbelohde capillary viscometer with a flow time t 0 of the solvent (dichloromethane) of 136.16 seconds. The viscosity average molecular weight Mv was calculated according to the following formula.
a = 0.438 × η sp +1 η sp = t / t 0 −1
b = 100 × η sp / C C = 6.00 (g / L)
η = b / a
Mv = 3207 × η 1.205
[0060]
[Manufacture of photoconductor]
(Manufacture of charge generation layer)
10 parts by weight of β-type oxytitanium phthalocyanine [1] having the following structure was added to 150 parts by weight of 4-methoxy-4-methylpentanone-2 and pulverized and dispersed in a sand grind mill.
[Chemical Formula 10]
... β-type oxytitanium phthalocyanine [1] Also, 100 parts of 5% 1,2-dimethoxyethane solution of polyvinyl butyral (trade name Denkabutyral # 6000C, manufactured by Denki Kagaku Kogyo Co., Ltd.) and phenoxy resin (Union Carbide) 100 parts of a 5% 1,2-dimethoxyethane solution (manufactured by trade name PKHH) was mixed to prepare a binder solution.
[0061]
100 parts by weight of the binder solution and an appropriate amount of 1,2-dimethoxyethane were added to 160 parts by weight of the previously prepared pigment dispersion to finally prepare a dispersion having a solid content concentration of 4.0%.
The dispersion thus obtained was applied onto a polyethylene terephthalate film having aluminum deposited on the surface so as to have a film thickness of 0.4 μm to provide a charge generation layer.
[0062]
(Manufacture of charge transport layer)
Next, on this film, 60 parts of the charge transport material [1] shown below,
Embedded image
... Charge transport materials [1]
And 100 parts of polyester resin (A) and 0.03 part of silicone oil as a leveling agent were applied in a mixed solvent of toluene / tetrahydrofuran (weight ratio 2/8) and dried at 125 ° C. for 20 minutes. The charge transport layer was provided so that the film thickness after drying was 20 μm. At this time, the solubility of the polyester resin was good. The following evaluation was performed on the photoreceptor thus obtained.
[0063]
[Friction test]
The surface of the photosensitive member prepared above is uniformly placed at 0.1 mg / cm2 and contacted with urethane rubber made of the same material as that of the cleaning blade, and used at an angle of 45 degrees. The 100th dynamic friction coefficient when the urethane rubber was moved 100 times with a load of 200 g, a speed of 5 mm / sec, and a stroke of 20 mm was measured with a fully automatic friction and wear tester DFPM-SS manufactured by Kyowa Interface Chemical Co., Ltd. The results are shown in Table 1 below.
[0064]
[Abrasion test]
The photoreceptor film was cut into a circle having a diameter of 10 cm, and the wear was evaluated by a Taber abrasion tester (manufactured by Toyo Seiki Co., Ltd.). The test conditions were as follows: the wear amount after 1000 rotations without load (self-weight of the wear wheel) using a wear wheel CS-10F in an atmosphere of 23 ° C. and 50% RH, and comparing the weight before and after the test. It was measured. The results are shown in Table 1 below.
[0065]
Example 2
[Production of polyester resin (B)]
Sodium hydroxide (7.82 g) and H 2 O (600 ml) were weighed in a 1 L beaker, and stirred and dissolved while bubbling nitrogen. To this, p-tert-butylphenol (0.3269 g), benzyltriethylammonium chloride (0.0959 g), 2,2-bis- (4-hydroxyphenyl) propane [BPA] (8.58 g) and 3- [1- (4-Hydroxyphenyl) -1-methylethyl] phenol [3,4'-BPA] (8.58 g) was added and stirred in this order, and the aqueous alkaline solution was transferred to a 2 L reaction vessel.
[0066]
Separately, terephthalic acid [TPA] chloride (15.56 g) was dissolved in dichloromethane (300 ml) and transferred into a dropping funnel.
While maintaining the external temperature of the polymerization tank at 20 ° C. and stirring the alkaline aqueous solution in the reaction tank, the dichloromethane solution was dropped from the dropping funnel over 1 hour. After further stirring for 3 hours, acetic acid (2.58 ml), dichloromethane (240 ml) and water (120 ml) were added and stirred for 30 minutes. Then, stirring was stopped and the organic layer was separated. This organic layer was washed with 0.1N aqueous sodium hydroxide solution (460 ml), then washed twice with 0.1N hydrochloric acid (460 ml), and further washed twice with H 2 O (460 ml). I did it.
[0067]
The washed organic layer was diluted with 540 ml of methylene chloride, poured into methanol (2700 ml), and the resulting precipitate was removed by filtration and dried to obtain the desired polyester resin (A). The viscosity average molecular weight of the obtained polyester resin (B) was 30,800. The structural formula of the obtained polyester resin (B) is shown below.
Embedded image
a / b = 5/5
... Polyester resin (B)
[0068]
[Testing and Evaluation for Photoconductor Using Polyester Resin (B)]
A photoconductor was produced in the same manner as in Example 1 using the polyester resin (B). At this time, the solubility of the polyester resin was good. The obtained photoreceptor was subjected to a friction test, a wear test, and an evaluation of electrical characteristics under the same conditions as in Example 1. The results are shown in Table 1 below.
[0069]
Comparative example 1
[Production of polyester resin (C)]
Sodium hydroxide (5.84 g) and H 2 O (400 ml) were weighed in a 1 L beaker and stirred and dissolved while bubbling nitrogen. To this, p-tert-butylphenol (0.2179 g), benzyltriethylammonium chloride (0.0639 g), 2,2-bis- (4-hydroxyphenyl) propane [BPA] (12.83 g) were added and stirred in this order. Thereafter, this alkaline aqueous solution was transferred to a 2 L reaction vessel.
[0070]
Separately, terephthalic acid [TPA] chloride (10.37 g) was dissolved in dichloromethane (200 ml) and transferred into a dropping funnel.
While maintaining the external temperature of the polymerization tank at 20 ° C. and stirring the alkaline aqueous solution in the reaction tank, the dichloromethane solution was dropped from the dropping funnel over 1 hour. After further stirring for 3 hours, acetic acid (2.62 ml), dichloromethane (100 ml) and water (50 ml) were added and stirred for 30 minutes. Then, stirring was stopped and the organic layer was separated. This organic layer was washed with 0.1N aqueous sodium hydroxide solution (450 ml), then washed twice with 0.1N hydrochloric acid (450 ml), and further washed twice with H 2 O (450 ml). I did it.
[0071]
The washed organic layer was diluted with 540 ml of methylene chloride, poured into methanol (2700 ml), and the resulting precipitate was filtered off and dried to obtain the desired polyester resin (C). The obtained polyester resin (C) became insoluble in methylene chloride, and the viscosity could not be measured. The structural formula of the obtained polyester resin (C) is shown below.
Embedded image
... Polyester resin (C)
[0072]
[Evaluation of polyester resin (C)]
The polyester resin (C) was insoluble in a THF / toluene (8/2 weight ratio) mixed solvent.
Comparative example 2
[Production of polyester resin (D)]
Sodium hydroxide (2.15 g) and H 2 O (200 ml) were weighed in a 1 L beaker and stirred and dissolved while bubbling nitrogen. To this, p-tert-butylphenol (0.089 g), benzyltriethylammonium chloride (0.0264 g), 2,2-bis- (4-hydroxyphenyl) propane [BPA] (2.36 g) and 3- [1- (4-Hydroxyphenyl) -1-methylethyl] phenol [3,4'-BPA] (2.36 g) was added and stirred in this order, and the aqueous alkaline solution was transferred to a 2 L reaction vessel.
Separately, 4,4′-biphenyldicarboxylic acid [Bp] chloride (5.88 g) was dissolved in dichloromethane (100 ml) and transferred into a dropping funnel.
[0073]
While maintaining the external temperature of the polymerization tank at 20 ° C. and stirring the alkaline aqueous solution in the reaction tank, the dichloromethane solution was dropped from the dropping funnel over 1 hour. After further stirring for 3 hours, acetic acid (0.71 ml), dichloromethane (80 ml) and water (40 ml) were added and stirred for 30 minutes. Then, stirring was stopped and the organic layer was separated. This organic layer was washed with 0.1N aqueous sodium hydroxide solution (153 ml), then washed twice with 0.1N hydrochloric acid (153 ml), and further washed twice with H 2 O (153 ml). I did it.
[0074]
The washed organic layer was diluted by adding 180 ml of methylene chloride, poured into methanol (900 ml), and the resulting precipitate was filtered off and dried to obtain the desired polyester resin (D). The viscosity average molecular weight of the obtained polyester resin (D) was 9,200. The structural formula of the obtained polyester resin (D) is shown below.
Embedded image
a / b = 5/5
... Polyester resin (D)
[Evaluation of polyester resin (D)]
The polyester resin (D) was insoluble in a THF / toluene (8/2 weight ratio) mixed solvent.
[0075]
Comparative example 3
[Production of photoconductor using polycarbonate resin (E)]
Example 1 is the same as Example 1 except that 100 parts of the polyester resin in [Production of photoreceptor] (production of charge transport layer) in Example 1 is replaced with 100 parts of polycarbonate resin (E) having the structure shown below. A photoreceptor was prepared.
Embedded image
a / b = 5/5
... Polycarbonate resin (E)
[Test and Evaluation for Photoconductor Using Polycarbonate Resin (E)]
The obtained photoreceptor was subjected to a friction test, a wear test, and an evaluation of electrical characteristics under the same conditions as in Example 1. The results are shown in Table 1.
[Table 1]
1) Solubility in tetrahydrofuran / toluene = 80/20 (weight ratio) 2) Viscosity average molecular weight 3) Taber abrasion test 4) From the results above the dynamic friction coefficient, the polyester resin of the present invention has excellent wear resistance and slipperiness. It can be seen that the solubility of the charge transport layer of the electrophotographic photosensitive member in the coating solvent is excellent.
[0076]
【The invention's effect】
The polyester resin having a specific structure of the present invention can be suitably used as a binder resin for an electrophotographic photosensitive member because it exhibits excellent wear resistance and slipperiness and is excellent in solubility in an organic solvent. . Further, by using the polyester resin of the present invention as a binder resin, it is possible to obtain an electrophotographic photosensitive member that has excellent durability and can cope with high image quality.
Claims (5)
ことを特徴とする、電子写真感光体。
(一般式(1)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、Xはアルキレン基を、Yは2価の芳香族基を表す。)In an electrophotographic photoreceptor having at least a photosensitive layer on a conductive support, the photosensitive layer contains a repeating unit represented by the following general formula (1) in the structural formula, and has a viscosity average molecular weight of 10,000 to 200,000. An electrophotographic photoreceptor comprising a polyester resin.
(In general formula (1), R 1 to R 8 each independently represents a hydrogen atom or a substituent. X represents an alkylene group, and Y represents a divalent aromatic group.)
ことを特徴とする、請求項1記載の電子写真感光体。2. The electrophotographic photoreceptor according to claim 1, wherein the content of the repeating unit of the general formula (1) is 1 to 100% by weight in all repeating units constituting the polyester resin.
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体。
(一般式(2)において、R’1〜R’8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、X’は単結合もしくは2価の連結基を、Y’は2価の有機連結基を表す。)The copolymer component other than the repeating unit of the general formula (1) includes a repeating unit represented by the following general formula (2) in the structural formula. Electrophotographic photoreceptor.
(In General Formula (2), R ′ 1 to R ′ 8 each independently represents a hydrogen atom or a substituent. X ′ represents a single bond or a divalent linking group, and Y ′ represents a divalent organic linking group. Represents a group.)
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。The electrophotographic photosensitive member according to any one of claims 1 to 3 , wherein the viscosity average molecular weight is 15,000 to 100,000.
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
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