JP4083891B2 - 外科位置決め装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は医療処置中に患者身体を支持し、拘束し、不動にするための、更に詳細には手術中に横位置にあるとき患者を支持し、拘束し、不動にするための改良された位置決め補助具又は装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
真空作動式位置決め補助具又は装置は仰臥、腹臥及び横位置に患者を位置決めするために手術室で使用される。それらは患者が、脳、胸、腎臓、肩及び股手術の如き多数の手術処置のために、横位置にあるとき、即ち彼又は彼女の側において最も頻繁に使用される。前記装置は典型的には、小さい弾性変形可能の粒子又はビーズを入れている可撓性の空気不透過性バッグからなる。前記ビーズはバッグが排気されたとき、剛性の塊りに固まる。例えばサキタ（Ｓａｋｉｔａ）氏に付与された米国特許第３，７６２，４０４号を参照されたい。サキタ特許の装置は、米国ワシントン州９８１０８、シャトル、ファーストアベニューサウス（Ｆｉｒｓｔ Ａｖｅｎｕｅ Ｓｏｕｔｈ，Ｓｅａｔｔｌｅ）、５９００在のＯｌｙｍｐｉｃ Ｍｅｄｉｃａｌ社から商標名Ｖａｃ−Ｐａｃ（登録商標名）の下で販売されており、種々の寸法のものを入手できる。
【０００３】
この型式の装置は典型的には多数の小さい弾性変形可能の、ほぼ球状のプラスチックビーズを充填される。この型式の装置が柔らかい（非排気の）状態にあるとき、ビーズは、装置が患者の身体の形に造形されるように自由に動き回る。空気が除かれると（真空源を用いて）、大気圧力はビーズを押し合わせて固形状の塊りになし、患者を選択位置に気持ち良く位置決めしかつ不動状態に保つ。装置内に空気を戻させると、装置は最初の柔らかい状態に戻り、再使用の準備が整う。
【０００４】
しかし、現在入手し得る位置決め補助具は、色々な欠陥をもつ。その主なものは、麻酔をかけられた患者が横位置で不動にされたとき、適切な上腕神経叢を適切に保護出来ないことである。麻酔をかけられた患者が横位置に置かれ、これらの装置の１つを使って不動にされたとき、上腕神経叢は伸長と圧縮から保護されなければならない。そうしなければ、大怪我をする可能性がある。
【０００５】
また、現在入手し得る補助具は安全で効率の良い手法で手術テーブルに取り付けることができない。また、現在入手し得る補助具は手術中にそれらを汚れから守るための使い捨て型の防水性スリップカバー又は外被を備えていない。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、横位置にあるとき患者に適切な上腕神経叢の保護を与える改良された真空作動式の外科位置決め補助具を提供することにある。
【０００７】
本発明の他の目的は、不動にされた、麻酔をかけられた患者を安全な状態に維持するために手術テーブルに簡単に定着できる上記の如き位置決め補助具を提供することにある。
【０００８】
本発明の更に他の目的は、簡単に取り付けることができかつ、該装置が固形状になるのを防止し、それによって該装置が多数回再使用可能となすことができる使い捨て型の防水性保護スリップカバー又は外被を提供することにある。
【０００９】
本発明の更に他の目的は患者の上腕神経叢を適切に保護することができる、麻酔をかけられた患者の身体を選択した横位置に支持する方法を提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の外科位置決め装置は、可撓性の空気不透過性材料製のバッグからなる。前記バッグは頂壁と底壁をもち、それらの壁はそれらの上縁、下縁及び横縁で空気不透過状に接合される。それらの壁は患者の胴の厚みと、患者の腹側の胴の幅の半分と、患者の背側の胴の幅の半分との合計に少なくとも等しい幅をもつ。また、前記壁の長さは平均高さの患者の胴の長さとほぼ同じである。
【００１１】
前記バッグはバッグ内に配置された弾性変形可能のビーズの装入物をもつ。バッグ内部と連通する弁は空気をバッグから排気するためにを備え、空気を排気したとき、バッグ内のビーズは相互に密集し合って又は固まって、患者の身体に適合しかつ患者身体を選択位置に支持するための剛性構造を形成する。
【００１２】
膨張可能のピローがバッグの壁の上縁の中心部分に取り付けられる。前記ピローを膨張させる手段を備え、前記ピローは、膨張したとき、患者の腋窩（アームピット）を支持して、バッグの残部が腋窩に不当な圧力又は引っ張り力を加えるのを防止し、それによって患者の上腕神経叢への損傷を防止する。
【００１３】
少なくとも１つの横に延在するストラップが該装置を外科手術テーブルの側面に取り付けるために設けられ、それによって患者とバッグをテーブル上に安全に維持する。本発明はバッグが汚れるのを防ぐための使い捨て型の防水性のスリップカバーを備えることができる。
【００１４】
本発明の方法は、前記装置を準備し、膨張可能のピローをテーブルの頭部に向けて前記装置を手術テーブル上に置き、前記装置内にビーズを均等に分配し、選択した横位置で前記装置上に患者を置くことを含み、患者は、患者の下腋窩を膨張可能のピロー上の中心に置いて前記装置の長手方向中心に置かれ、前記方法は更に、根動脈脈拍が下腕に存在する状態で患者の腋窩を支持するためにピローを膨張させ、患者の胴の前後の部分に向かって上に前記装置の横部分を折り曲げ、前記装置の横部分を患者の胴の前後の部分に対してきちんと当てて、その自然の輪郭に順応するようになし、患者の胴の輪郭に適合する剛性構造を形成するためにビーズを相互に掛合させるよう、選択位置に患者を保存している間に前記装置の内部から空気を排気することを含む。
【００１５】
より小さい患者については、本発明の方法は前記装置の中心に向かって膨張可能のピローを折り曲げ、次いで患者の下腋窩をピロー上の中心に置いて前記装置上に患者を置くことを含む。
【００１６】
【従来の技術】
第１実施例
図１〜７において、本発明の外科位置決め装置１０は可撓性の空気不透過性材料から作られたほぼ平らなバッグ１２からなる。適切な材料は米国カリフオルニア州９０７４５カーソン、ワトソンセンターロード（Ｗａｔｓｏｎ，Ｃｅｎｔｅｒ Ｒｏａｄ， Ｃａｒｓｏｎ）１３１５在のＲｏｃｈｅｕｘ Ｉｎｔｅｒｎａｔｉｏｎａｌ Ｉｎｃ．によってり販売されている“ロッシュウシュプリーム（Ｒｏｃｈｅｕｘ Ｓｕｐｒｅｍｅ）”ポリビニル製のウォータベッドフイルムであるが、同様の物理的特性をもつ他の材料も使用できる。Ｒｏｃｈｅｕｘ材料は優れた低温、引き裂き、熱シール及び撓み特性をもち、更に優れた水圧抵抗力をもつ。この抵抗力はこの材料を本発明に特に適したものとなす。この材料はまた良好な弾性をもっていて、元の形態に迅速に戻り、それによって患者を一層しっかりと保存する。これは耐カビ性、耐バクテリア性、耐穿刺性、及び耐火性を有する。特にその物理的特性は以下の通りである：

【００１７】
図１乃至５に示す如く、バッグ１２は対向する頂壁１４と底壁１６を備え、これらの壁は強度と気密性を与えるためにそれらの上縁と下縁及び横縁１８、２０及び２２で無線周波数溶接(radio frequency welded)される。バッグの好適な全寸法は下縁２０で３６インチ幅であり、両横縁２２に沿って３２インチ長さである。壁１４、１６の上縁１８は、バッグの横中心で凹まされていて各側に１つづつとして１対の支持領域２６を作るようバッグ１２の長手方向長さが上縁１８で１４インチの中心部分２４に沿って４インチ減少させられている。領域２６は患者用の上肩と後胸を支持する。
【００１８】
３６インチ幅のバッグ１２は典型的な患者の胴の横部分の幅にその患者の胴の前部分と後部分の幅の約半分を加えた合計にほぼ等しい。従って、患者が図１に示す如く、バッグの長手方向中心でバッグ１２上に横位置になって置かれたとき、バッグの横縁２２は患者身体の前と後の部分に沿って上方に折り曲げて、その自然の輪郭に順応するよう身体にぴったりと当てられる。図２を参照されたい。３２インチ長さは上記の平均的高さ又はそれより上の高さの患者の長さとほぼ同じである。
【００１９】
壁１４、１６が前記の如く溶接される前に、バッグは弾性変形可能のプラスチックビーズ２８の装入物を充填される。ビーズ２８は好適にはポリスチレン又はポリ塩化ビニルの如き海綿状プラスチック材料から作られる。というのは、それらは機械的強度が高く、弾性変形性があり、比重が低いからである。海綿状ポリスチレンのビーズ２８は特に好適である。バッグ１２が排気されていない状態にあるとき、ビーズ２８はバッグ１２内で緩んだ状態に留まり、選択位置に患者を横たえて支持するために、バッグ１２の横縁２２を容易に移動し、又は患者の胴の前後の部分に向かって上に折り曲げることができる。
【００２０】
バッグ１２の底壁１６は弁３０を備え、この弁はバッグ１２の内部から空気を排出するためにバッグ内部と連通する。図３、５、７を参照されたい。この用途に適した好適な弁は米国ミネソタ州５５１１４、セントポール、ウエストゲートドライブ（Ｓｔ．Ｐａｕｌ Ｗｅｓｔｇａｔｅ Ｄｒｉｖｅ）１００１在のＣｏｌｄｅｒ Ｐｒｏｄｕｃｔ Ｃｏｍｐａｎｙからパーツ番号ＬＳＯ１７６−２２６として、供給されている。同様の特性をもつ他の弁も使用できる。図７に示す如く、弁３０は雄型部分３２と雌型部分３４からなる。弁３０の全長は３．０４インチである。雄型部分３２は弁３０が閉じたとき弁から突出する弁棒３６を備える。雄型部分３２の近位部３８は３／８インチ内径のプラスチックチューブ４０内に挿入され、このチューブは強度と気密性を与えるため底壁１６に無線周波数溶接される。雌型部分３４は雄型部分３２の上に被せて着脱自在に置かれ、弁棒３６を押し下げて弁３０を開かせ、空気の出入りを可能ならしめる。真空源（図示せず）を雌型部分３４に取り付けた場合、空気はバッグ１２の内部から抜き出される。これによって、プラスチックビーズ２８は緊密な形態に詰め込まれ（又は集合させられ）て、図２に示す如く患者の胴の輪郭に順応する。雌型部分３４が雄型部分３２から除去されると、雄型部分３２中の弁は閉じて、空気はバッグ１２に出入りすることができ、それによって患者の胴の回りにバッグが順応した状態が維持される。
【００２１】
患者を解放すべきとき、弁３０の雌型部分３４（真空ホースを取り付けていない）は雄型部分３２の上に被せて置かれる。これにより弁３０は開かれ、それによって空気をバッグ１２に入れ、プラスチックビーズ２８の配置構成を崩壊させ、バッグ１２は平らになって弛緩する、即ち図４、５に示す如くなる。また弁３０は親指の爪を弁棒３６に押しつけて下げることによって開くことができる。これによって真空は解除される。
【００２２】
この第１実施例はバッグを長手方向に延在する複数の区画室に分割する内部継ぎ目又は仕切り壁をもたないバッグ１２からなる点は注目すべきである。本発明者は、或る状態においては、かかる継ぎ目又は仕切り壁はバッグに継ぎ目又は仕切り壁に沿ったヒンジ動作を起こさせることになり、そのため、患者を動かさずにしっかり保存するというバッグの能力を減少させることを見出した。この第１実施例のバッグ１２の内部が真空吸引されると、すべてのプラスチックビーズ２８は密集して、患者を安定させるためのしっかりした固形状の塊りを作るビーズの連続した剛性の塊りを作る。
【００２３】
本発明の特色は、膨張ピロー４２にあり、これは図３、５に示す如く、肩と胸の支持領域２６の間で頂壁１４と底壁１６の上縁１８の中心部分２４に取り付けられる。こうして、ピロー４２は壁１４、１６の中心部分２４の上縁１８において実質上その中心でバッグに取り付けられる。バッグ１２とピロー４２の内部間は連通していない点に注目すべきであり、それらは夫々がそれ自身の空気不透過性区画室を構成している。本発明者はピロー４２に好適な寸法は１４インチの幅（中心部分２４に嵌合するため）と、７インチの長さであることを見出した。
【００２４】
ピロー４２の目的は、バッグ１２が排気されて固くなったとき、患者の腋窩（アームピット）を支持して、上腕神経叢の損傷を防ぐことである。図１を参照されたい。ピロー４２はバッグ１２自体と同じ材料で作られる。図３、５に示される如く、それは対向する頂壁４４と底壁４６からなり、これらの壁はバッグ１２の壁１４、１６と同様、それらの上縁４８、下縁５０及び横縁５２に沿って無線周波数溶接される。解放弁５６をもつ携帯型膨張用球体５４がそれ自体ピロー４２の底壁４６に無線周波数溶接された或る長さのプラスチックチューブ５８に取り付けられる。ピロー４２は各個患者の要求と解剖学的構造に応じて膨張させられる。これによって上腕神経叢の伸長及び／又は圧縮が、従ってそれへの損傷が防止される。ピロー４２は平均寸法より上の及び平均寸法の患者に順応するよう、伸長位置で使用される（図１の実線で示す如く）。又は、それはより小さい患者に適合するよう壁１４、１６の下縁の方に向かって折り曲げることができる（図１に破線で示す如く）。
【００２５】
図３、４示す如く、バッグ１２の底壁１６は１対の横に延在する５４インチ長さのベルクロ（登録商標名）ブランドのフック・ループ型ファスナーストラップ６０を備える。このストラップはその中心で壁１６の中心に無線周波数溶接され、バッグ１２は典型的には外科手術テーブル６６の側面に置かれたレールに定着される。図２を参照されたい。ストラップ６０のループ６８は好適にはバッグ１２の底壁１６から離れる方に；即ち手術テーブル６６の上面の方に向いている。図２を参照されたい。ストラップはレール６４の内部でテーブル６６の下を通り、次いでそれらを巡り、１．５インチのＤ−リング７０を通って行き、次いでループ部分６８の上に折り返して、麻酔をかけられた患者に最終的な安全を与える。更に図２を参照されたい。ストラップ６０は好適には１．５インチ幅の“ウルトラメイト（Ｕｌｔｒａｍａｔｅ）”ベルクロ（登録商標名）から作られる。ストラップ６０の端部７４にあるフック部分７２は好適には５インチ長さであり、図３に示す如く丸味付き端部をもつ。
【００２６】
本発明の他の特色は使い捨て型の、防水性スリップカバー７６にある。図８に示す如く、スリップカバー７６は上壁７８と、１対の下壁８０からなり、これはその横縁８２で上壁７８を折り曲げ、次いで下壁８０の上縁と下縁８４を下壁８０の上縁と下縁８４に沿って上壁７８に継ぎ合わせることによって作られる。こうして、下壁８０は上壁７８と一緒に、上壁７８の横縁８２に配置した１対の長手方向に延在するポケット８６を画成し、バッグ１２の側面がポケット８６内に滑り込めるようになす。こうして、スリップカバー７６の上壁７８は外科処置の間にバッグ１２が汚れないようにする働きをする。
【００２７】
スリップカバー７６の望ましい寸法は３６インチの全幅と、３９インチの全長である。これは１４インチ幅と７インチ長さのピローをもつ３６インチ幅と３２インチ長さのバッグには満足であることが分かった。これらは第１実施例のバッグ１２とピロー４２の好適な寸法である。スリップカバーポケット８６の各々は好適には１４インチ幅であり、これはバッグ１２を入れたり出したりするためそれらの間に８インチのスペース７を残す。
【００２８】
スリップカバー７６の適当な織物は米国ノースカルフォルニア州２７４０１、グリーンズボロ、ノースエルムストリート（Ｇｒｅｅｎｓｂｏｒｏ ＮｏｒｔｈＥｌｍ Ｓｔｒｅｅｔ，Ｇｒｅｅｎｓｂｏｒｏ）３０１在のＦｏｒｍｅｄ Ｆａｂｒｉｓ Ｄｉｖｉｓｉｏｎ ｏｆ Ｐｒｅｃｉｓｉｏｎ Ｆａｂｒｉｃｓ Ｇｒｏｕｐ，Ｉｎｃ．からＳｔｙｌｅ Ｎｏ．７１８−９０２７０として入手することができる。これは仕上げられたポリエステルとポリエチレンフイルム積層体（不織布）であり、３９インチ幅で入手でき、第１実施例で必要とされかつ下壁８０によって形成された１４インチ幅のポケット８６は６４インチ長さのストリップから折り曲げるだけで作ることができる。同様の物理的特性をもつ他の適当な材料も使用できる。
【００２９】
第２実施例
本発明の第２実施例は図９，１０に示す。装置１１０は第１実施例と同じ可撓性の空気不透過性材料を用いて作られる。装置１０は対向する頂部と底部の外壁１１４，１１６からなり、これらの外壁も同様に、それらの上縁、下縁及び横縁１１８，１２０，１２２で無線周波数溶接される。外壁１１４、１１６は好適には４６インチ幅と、２９インチ長さをもつが、上縁１１８は第１実施例装置のバッグ１２の上縁１８と同様な意図をもつものではない。１４インチ幅と７インチ長さの膨張可能の腋窩支持ピロー１４２は上縁１１８の中心で外壁１１４，１１６の上縁１１８に無線周波数溶接される。
【００３０】
第２実施例のバッグ１１２は第１実施例のバッグ１２とは異なる。これはガス透過性ＤｕＰｏｎｔ Ｌｙｃｒａ（登録商標名）織物からなる内バッグ１１３を含み、それに対して外バッグ１１２の対向する外壁１１４，１１６が保護外被として働く。内側のＬｙｃｒａ（登録商標名）バッグ１１３は外側の保護外被１１７に留められておらずに、独立した壁１１３a 、１１３b からなり、これらの独立壁は３つの中間の、長手方向に延在するライン１１３e に沿って上縁と下縁１１３c と１１３d の間で接合されている。ライン１１３e は内バッグ１１３を４つの長手方向に延在する区画室１１３f に分割する。第１実施例と同様に、区画室１１３f は夫々弾性変形可能のポリスチレンプラスチックビーズ１２８を充填されている。内バッグ１１３の壁１１３a 、１１３b は空気流は許すがビーズ１２８が１つの区画室１１３f から他の区画室に移動しないようにライン１１３e に沿って接合される。
【００３１】
第１実施例の装置１０の如く、外側底壁１１６はバッグ１１２から空気を排気するための弁１３０，例えばＣｏｌｄｅｒ Ｐｒｏｄｕｃｔ Ｃｏｍｐａｎｙの弁を備える。空気が真空ポンプを用いて排気されると、内バッグ１１３内のプラスチックビーズ１２８は緊密な構造に密集し、装置全体が第１実施例の装置１０の如く、患者の胴輪郭に順応するようになる。
【００３２】
第２実施例のピロー１４２は第１実施例の材料と同様に作られる。それは同様に、その底壁１４６に無線周波数溶接された携帯型膨張用球体１５４を備える。第１実施例の場合と同様に、ピロー１４２は平均及び平均より上の寸法の人に適合するよう、伸長位置で使用される（図１の実線表示を参照されたい）。又は、それは図１の波線表示に示す如く、より小さい人に適合するようバッグ１１２の中心に向かって折り曲げることができる。
【００３３】
第１実施例における如く、外側底壁１１６は１対のより小さい横に延在するベルクロブランドのフック・ループ型ファスナストラップ１６０を備えて、バッグ１１２を手術テーブルのレールにしっかり取り付けるようになす。更に、ストラップ１６０のループ部分１６８は好適にはバッグ１１２の底壁１１６から離れる方に、即ち、手術テーブル６６の上面の方に向く。ストラップはレール６４の内部でテーブル６６の下を通過し、次いでそれらを巡り、１．５インチのＤ−リング１７０を通過し、次いでストラップ１６０の端部にあるフック部分１７２が最終的な安全性を与えるために、そのループ部分１６８上に折り返される。第２実施例の装置１１０は第１実施例の装置１０の場合と同様にスリップカバーを備える。
【００３４】
本発明の方法
本発明の装置を使用するに際して、装置１０，１１０は先ず、ファスナストラップ６０，１６０を下方に手術テーブル上のパッドに接するまでかつ膨張性の腋窩ピロー４２，１４２を手術テーブルの頭部に向けて、手術テーブル６６上に置かれる。ファスナストラップ６０，１６０のフック部分７２，１７２は次いで、手術テーブルの側面レール６４の内側と手術テーブルの横側の間を通され、次いで側面レール６４の外側の下をそしてそれを巡って行き、かつＤ−リング７０，１７０を通される。次いでファスナストラップ６０，１６０の端部７４，１７４は、ストラップ６０、１６０がきちんと合い、装置１０、１１０が手術テーブル６６，１６６上で心出しされるまで、引き下げられ、次いでフック部分７２，１７２が折り返され、装置１０，１１０をテーブル６６にしっかり留めるよう、ループ部分６８，１６８に取り付けられる。
【００３５】
次いで、バッグ１２，１１２は平たくされて、内部のビーズ２８，１２８が均等に分配されるようになす。次いで使い捨て型の防水性スリップカバー７６が横に延在するポケット８６が下を向くようにして、バッグ１２，１１２上に置かれる。バッグ１２，１１２の側面が使い捨て型スリップカバー７６のポケット８６内に交互に挿入される。
【００３６】
次いで患者Ｐは彼の腋窩をピロー４２，１４２上の中心に置いて、所望の横位置で装置１０，１１０の長手方向中心に置かれる。ピロー４２，１４２は平均的寸法の成人患者に適合するよう、伸長位置で使用される。より小さい又はより短い患者の場合、患者が所定位置に置かれる前に、ピロー４２，１４２は前に折り曲げられる（装置の下横縁に向かって）。次いで携帯型膨張球体５４，１５４が使用されて、腋窩を支持するようピロー４２，１４２を十分に膨らませる。患者の根動脈脈拍が下腕にあることを確認することは重要である。また、患者の四肢と骨突起のすべてがバッグ１２、１１２に良好に当てられること、及び図１に示す如く頭と首が中立位置に支持されることを確実にすることは重要である。
【００３７】
次いでバッグ１２、１１２の横側は患者の前後の側部に近づくよう上に折り曲げられる。患者の四肢の何れにもバッグ部分が当たらず、また可能性のある外科領域の何れの部分にも当たらないことを確実にすることは重要である。バッグ１２、１１２の横側は患者の胴の前後の部分にきちんと当てられて、その自然輪郭に順応し、患者の横の下側にほぼ三角形ベースの支持部を形成するようになす。
【００３８】
患者を所望位置にそしてバッグ側面を患者の前後の側部にきちんと保存する間に、空気がバッグ１２、１１２の内部から排気される。特に、排気弁３０、１３０の雌型部分３４がその雄型部分３２に取り付けられる。バッグ１２、１１２の側面を患者に当ててきちんと保存する間に、真空源が雌型部分３４の端に接続されて、バッグ１２、１１２の内部から空気を排気する。排気はバッグを十分堅く引き締めるまで続けられる。支持が満足になされたとき、雌型部分３４が雄型部分３２から取り外されて、真空源が雌型部分３４から外される。このときバッグ１２、１１２はその剛性の適合形状を維持する。
【００３９】
外科処置が完了すると、空気が再びバッグ１２、１１２内に導入されて、ビーズ２８、１２８を遊離させ、バッグ１２、１１２を平らになして弛緩させる。これは弁３０、１３０の雌型部分３４を雄型部分３２に再び接続することによってなすか、又は親指の爪を弁棒３６に押し付けることによって空気が再び導入されるようになされる。次いで患者は手術テーブル６６から除かれ、使い捨て型のスリップカバー７６が除去され、バッグ１２、１１２は必要に応じて、殺菌薬スプレーで浄化される。
【００４０】
以上、本発明の幾つかの実施例を示し、説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、当業者に既知の多くの変形、変更をなし得るものであり、それ故、これらの変形、変更はすべて本願発明に包含されるものであることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の外科位置決め装置上の選択された横位置にある患者の部分断面、側面図である。
【図２】図１の線２−２上の断面図である。
【図３】本発明装置の第１実施例の底面図である。
【図４】図３の線４−４上の断面図である。
【図５】図３の線５−５上の断面図である。
【図６】腋窩支持ピローを膨張させるのに使用する装置の側面図である。
【図７】バッグ内部から空気を排気するために使用する弁の側面図である。
【図８】本発明に使用される保護用防水性スリップカバーの斜視図である。
【図９】本発明装置の第２実施例の底面図である。
【図１０】図９の線１０−１０上の断面図である。
【符号の説明】
１０ 外科位置決め装置
１２ バッグ
１４ 頂壁
１６ 底壁
１８ 上縁
２０ 下縁
２２ 横縁
２６ 支持領域
２８ ビーズ
３０ 弁
３２ 雄型部分
３４ 雌型部分
３６ 弁棒
４０ プラスチックチューブ
４２ 膨張ピロー
４４ 頂壁
４６ 底壁
５４ 膨張用球体
５６ 解放弁
６０ ファスナストラップ
６６ 手術テーブル
７６ スリップカバー
８６ ポケット
１１２ バッグ
１１３ 内バッグ
１２８ プラスチックビーズ
１４２ 腋窩支持ピロー
１５４ 膨張用球体
１６０ ファスナストラップ

Claims (7)

1. 選択位置に患者の身体を支持するための外科位置決め装置において、該装置が、
   可撓性の空気不浸透性材料からなるバッグを備え、このバッグは対向する頂壁と底壁をもち、前記壁が上縁、下縁及び横縁をもち、更に前記壁がそれらの上縁、下縁及び横縁で空気不浸透状に接合されており、前記壁は患者の胴の厚みと、患者の腹側の胴の幅の半分と、患者の背側の胴の幅の半分との合計に少なくとも等しい幅をもち、更に前記壁は患者の胴の長さとほぼ同じ長さをもち、
   該装置は更に、
   バッグ内に配置された弾性変形可能のビーズの装入物と、空気をバッグから排気するためにバッグ内部と連通する弁を備え、バッグ内のビーズは、空気を排気したとき、相互に密集し合って、選択位置に患者を支持するための剛性構造を形成し、
   該装置は更に、
   バッグの壁の上縁の中心部分に取り付けられた膨張可能のピローと、前記ピローを膨張させる手段を備え、前記ピローは、膨張したとき、患者の腋窩を支持しかつ腋窩圧力を除去し、それによって患者の上腕神経叢への損傷を防止するよう適用されることを特徴とする外科位置決め装置。
2. 頂壁と底壁の上縁はその横中心で凹まされていて、バッグの減少した長さの中心部分と、その側面にある１対の支持領域を提供しており、前記支持領域は患者の肩を支持するよう適用され、膨張可能のピローは減少した長さの中心部分にある壁の上縁に取り付けられていることを特徴とする請求項１に記載の装置。
3. バッグの底壁の中心に取り付けられた少なくとも１つの横に延在するストラップを更に含み、このストラップは外科手術テーブルの側面のレールに取り付けられる端部をもつことを特徴とする請求項１に記載の装置。
4. バッグを包囲する防水性のスリップカバーを含むことを特徴とする請求項１に記載の装置。
5. スリップカバーは上壁と、横縁で上壁に取り付けられた１対の下壁を備え、前記下壁は上壁の横縁に配置された１対の長手方向に延在するポケットを画成し、前記ポケットはバッグの横縁を受け入れるために適用されることを特徴とする請求項４に記載の装置。
6. バッグは第１外バッグと、第１外バッグ内に配置した空気透過性の内バッグを含み、空気不透過性内バッグは上縁、下縁及び横縁をもつ対向する頂壁と底壁を備え、内バッグの対向する頂壁と底壁は、内バッグを複数の長手方向に延在する区画室に細分するよう、少なくとも１つの長手方向に延在するラインに沿ってそれらの上縁と下縁間で接合されており、ビーズが前記区画室内に配置されており、内バッグの壁は、１つの区画室から他の区画室への空気流は許すがビーズの移動は阻止するよう長手方向に延在するラインに沿って接合されていることを特徴とする請求項１に記載の装置。
7. 外バッグの底壁の中心に取り付けられた少なくとも１つの横に延在するストラップを更に含み、前記ストラップは外科手術テーブルの側面にあるレールに取り付けられる端部をもつことを特徴とする請求項６に記載の装置。

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