JP4079822B2 - 超音波レベル計の周波数選定方法及び超音波レベル計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波レベル計の周波数選定方法及び超音波レベル計、より詳細には、容器底面の外壁から超音波を送信し、内部の液界面からの反射波が戻ってくるまでの時間に基づいて容器内部の液面位置を検出する超音波レベル計の周波数選定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
送受信兼用の超音波センサを用いた超音波レベル計は、超音波センサから超音波を送信し、その反射波を受信するまでの時間を計測し、その時間に基づいて対象物までの距離を算出するもので、対象物までの距離を正確かつ容易に計測することができるため、各種用途で利用されている。
【0003】
図8は、従来の超音波レベル計の回路構成例を示すブロック図で、図中、50は超音波レベル計の制御部で、該制御部50は、増幅率切り替え回路51,AMP(増幅回路)52,ENVDET(検波回路)53,A/Dコンバータ54,CPU55,LCD(表示部)56,RAM57,ROM58,D/Aコンバータ59,VCO(発振回路)60,ゲート素子61,DRV(駆動回路)62を有し、70は超音波レベル計の超音波センサ(以下、センサという)で、制御部50及び超音波センサ70は有線又は無線で接続されているものとする。
【0004】
まず、超音波の送信時において、D/Aコンバータ59は、CPU55からのデータを電圧に変換してVCO60に入力する。VCO60は、D/Aコンバータ59からの電圧データに応じた発振周波数で発振し、その発振波をゲート素子61に入力する。ゲート素子61は、CPU55からのパルス出力に基づいてVCO60からの発振波をDRV62に出力する。DRV62は、ゲート素子61からの出力を高電位振幅に変換してセンサ70を駆動する駆動信号を出力する。センサ70は、DRV62からの駆動信号の入力に基づいて前記発振周波数で超音波を送信する。
【0005】
また、超音波の受信時において、センサ70は、上記のように送信した超音波が容器内部の液面等の対象物に反射して戻ってきた反射波を受信し、その受信信号を増幅率切り替え回路51に入力する。この増幅率切り替え回路51は、周波数調整用の増幅率として0dB、液面位置計測用の増幅率として17〜20dBのいずれかを選択可能に設けており、液面位置を計測する場合には17〜20dBの高ゲインを選択し、周波数調整時には0dBの低ゲインを選択するように設定されている。さらに、AMP52は、CPU55から指示された増幅率で受信信号を増幅し、ENVDET53は、AMP52からの入力波形を整流検波し、エンベロープ波形を出力する。A/Dコンバータ54は、ENVDET53からのエンベロープ波形をデジタル変換してCPU55に入力する。CPU55は、センサ70により超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて対象物までの距離を算出する。
【0006】
ここで、液体を収容する容器の底部外壁面にセンサ70を設置した場合、高精度な液面位置の計測を行うためには、容器底部の板厚に適したセンサ駆動周波数を選定してエコー波形の反射強度を十分に確保する必要がある。最適なセンサ駆動周波数は、センサ70と容器底部の外壁面との接触状態によって経時変化することがあり、運用中に逐次、最適なセンサ駆動周波数を自動選定する方法が必要である。従来の超音波レベル計においては、センサ駆動周波数を変えながらエコー波形の波高レベルを計測し、波高レベルが最大となる周波数を選定していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液面位置が低い場合にはエコー強度が大き過ぎるため、エコー波形の波高レベルを計測できるようにするためには、周波数調整時の増幅率(低ゲイン)を、計測時の増幅率(高ゲイン)に対して大幅に低く変化させる必要があるなど、増幅率可変範囲を広く設計しておく必要があった。従って、従来の超音波レベル計には、周波数調整時の低ゲインに対応できるように広い範囲で増幅率を設定可能とするための駆動周波数調整用の低ゲイン設定回路が必要であった。更に、エコー波形の波高レベルを検出するために、A/Dコンバータを用いて波高レベルをCPUで処理可能なデジタル値に変換する必要があった。また、A/Dコンバータの代わりに、コンパレータを用いる場合には、アンプの増幅率を細かく設定可能とする可変ゲインアンプが必要となる。
【0008】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、超音波レベル計の駆動周波数調整時において、容器に充填する液体の充填完了時点でその液面からの反射エコーの減衰効果を利用することにより、液面位置計測時と同等の増幅率可変範囲で、最適な駆動周波数を選定できるようにすること、
また、駆動周波数の調整時に増幅率を低下させるための低ゲイン設定回路を不要とすることができる超音波レベル計を提供すること、をその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、容器の底部外壁面に取り付けられ、該容器内部に収容された液体の液面に向けて超音波を送信させると共に前記液面からの反射波を受信する超音波センサと、該超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて前記液面の検出動作を制御する制御部とが接続された超音波レベル計の周波数選定方法において、前記超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて液面位置を所定の時間間隔で検出する液面検出ステップと、該検出した液面位置に関する情報に基づいて前記容器の液体充填時に充填完了したかどうか判定し、該充填完了と判定した時点で前記超音波センサの駆動周波数を変化させながら、前記液面からの反射波の反射強度が計測可能な最低増幅率を決定すると共に、該増幅率で計測した反射強度が最大となるように前記超音波センサの駆動周波数を選定する周波数選定ステップとを有することを特徴としたものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記液面から取得した反射波の反射強度が所定値以上となる周波数帯域に対して下限周波数及び上限周波数を設定し、該設定した下限周波数及び上限周波数のほぼ中間となる周波数を駆動周波数として選定することを特徴としたものである。
【0011】
請求項3の発明は、容器の底部外壁面に取り付けられ、該容器内部に収容された液体の液面に向けて超音波を送信させると共に前記液面からの反射波を受信する超音波センサと、該超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて前記液面の検出動作を制御する制御部とが接続された超音波レベル計の周波数選定方法において、前記超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて液面位置を所定の時間間隔で検出する液面検出ステップと、該検出した液面位置に関する情報に基づいて前記容器の液体充填時に充填完了したかどうか判定し、該充填完了と判定した時点で前記超音波センサの駆動周波数を変化させながら、前記液面からの反射波の立ち上がりタイミングが計測可能な最低増幅率を決定すると共に、該増幅率で計測した立ち上がりタイミングが最小となるように前記超音波センサの駆動周波数を選定する周波数選定ステップとを有することを特徴としたものである。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記周波数選定ステップは、前記液面から取得した反射波の立ち上がりタイミングが所定時間以下となる周波数帯域に対して下限周波数及び上限周波数を設定し、該設定した下限周波数及び上限周波数のほぼ中間となる周波数を駆動周波数として選定することを特徴としたものである。
【0013】
請求項5の発明は、請求項3又は4の発明において、前記液面から取得する反射波は、第1反射波であることを特徴としたものである。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1の発明において、前記周波数選定ステップは、前記充填完了と判定した時点で増幅率を低下させると共に前記超音波センサの駆動周波数を変化させながら前記液面からの反射波を取得できたかどうか判定し、その判定の結果、前記液面からの反射波が取得できない場合、前記低下させた増幅率を所定の割合で大きくなるように変化させると共に前記超音波センサの駆動周波数を変化させて前記液面からの反射波を取得できたかどうか判定するステップを、少なくとも1つ以上の反射波を取得できるまで繰り返すことを特徴としたものである。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1の発明において、前記容器の液体充填時に前記液面検出ステップにて前回計測した液面位置を記憶して有し、前記周波数選定ステップは、前記液面検出ステップにて次に計測した液面位置と、前記記憶した前回の液面位置との差異が所定値以内に収まり且つその状態が所定回数連続して検出された場合に充填完了と判定することを特徴としたものである。
【0016】
請求項8の発明は、容器の底部外壁面に取り付けられ、該容器内部に収容された液体の液面に向けて超音波を送信させると共に前記液面からの反射波を受信する超音波センサと、該超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて前記液面の検出動作を制御する制御部とが接続された超音波レベル計において、前記制御部は、前記超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて液面位置を所定の時間間隔で検出する液面検出手段と、該検出した液面位置に関する情報に基づいて前記容器の液体充填時に充填完了したかどうか判定し、該充填完了と判定した時点で前記超音波センサの駆動周波数を変化させながら、前記液面からの反射波の反射強度が計測可能な最低増幅率を決定すると共に、該増幅率で計測した反射強度が最大となるように前記超音波センサの駆動周波数を選定する周波数選定手段とを有することを特徴としたものである。
【0017】
請求項9の発明は、容器の底部外壁面に取り付けられ、該容器内部に収容された液体の液面に向けて超音波を送信させると共に前記液面からの反射波を受信する超音波センサと、該超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて前記液面の検出動作を制御する制御部とが接続された超音波レベル計において、前記超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて液面位置を所定の時間間隔で検出する液面検出手段と、該検出した液面位置に関する情報に基づいて前記容器の液体充填時に充填完了したかどうか判定し、該充填完了と判定した時点で前記超音波センサの駆動周波数を変化させながら、前記液面からの反射波の立ち上がりタイミングが計測可能な最低増幅率を決定すると共に、該増幅率で計測した立ち上がりタイミングが最小となるように前記超音波センサの駆動周波数を選定する周波数選定手段とを有することを特徴としたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用される超音波レベル計を容器に設置した場合の構成例を説明するための図で、図中、10は制御部(以下、コントローラという)、30は超音波センサ(圧電センサ)、31は超音波センサ30から送信する超音波、15はコントローラ10の表示部、40は液化ガスや灯油等の液体を収容する貯槽又は容器(以下、容器で代表する)、41は液面である。超音波レベル計は、コントローラ10と超音波センサ30からなり、超音波センサ30は容器40の外部底面に図示しないマグネット等により設置され、有線によりコントローラ10に接続されている。尚、超音波センサ30とコントローラ10との間の通信を無線を介して行うように構成してもよく、この場合、配線の損傷や第三者により故意の切断等による動作不良を回避することが可能となる。また本例では、容器内部の液体の液面を検出対象として検出する場合を代表例として説明するが、本超音波レベル計により検出可能な対象物は液体の液面に限らず、例えば、固体物の検出にも適用可能である。
【0019】
上記のような構成において、例えば、液体の液面41を検出しようとする際に、作業者はコントローラ10を操作して、超音波センサ30から超音波31を送信し、主に液面41で反射して戻ってきた反射エコーを受信し、この受信した反射エコーに基づいて液面位置、すなわち液面41までの距離(以下、液面距離という)を算出し、さらに算出した液面距離に基づいて容器40内の液体容量を算出することができる。
【0020】
液面41の高さを検出する際に、超音波センサ30は、容器40の底部外壁に向けて上方に超音波を送信する。送信した超音波は、液面41で反射して戻ってくるが、液面41の高さに応じて超音波センサ30が反射波を受信するまでの遅延時間が異なる。コントローラ10は、受信した反射波の遅延時間から液面距離を算出するためのデータ、例えば温度や伝播媒質(空気又は液体等)に応じた音速データ等を保持しており、このデータに基づいて液面距離を算出する。
【0021】
本発明の超音波レベル計は、駆動周波数の調整時において、容器40に充填する液体の充填完了時点で、その液面41からの反射エコー、すなわち実使用範囲の上限付近での液面41からの反射エコーの減衰効果を利用することにより、最適な駆動周波数を選定できるようにすること、また、これにより、駆動周波数調整時の増幅率可変範囲を、計測時の増幅率可変範囲と同等に設計可能とし、駆動周波数調整用の低ゲイン設定回路を不要とすることができること、をその目的としており、そのために下記の図2に示す回路構成を有するものとする。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係わる超音波レベル計の回路構成例を示すブロック図で、超音波レベル計のコントローラ10は、AMP(増幅回路)11,ENVDET(検波回路)12,CMP(コンパレータ)13,CPU14,LCD(表示部)15,RAM16,ROM17,D/Aコンバータ18,VCO(発振回路)19,ゲート素子20,DRV(駆動回路)21を有し、30は超音波レベル計の超音波センサ(以下、センサという)で、コントローラ10及び超音波センサ30は有線又は無線で接続されているものとする。ROM17には、液面検出手段17a及び周波数選定手段17bがプログラムとして格納されており、CPU14は、本発明の駆動周波数選定処理を行う際に、上記プログラムを読み出して実行する。尚、上記プログラムはRAM16に格納してもよい。
【0023】
図1及び図2において、超音波の送信時に、D/Aコンバータ18は、CPU14からのデータを電圧に変換してVCO19に入力する。VCO19は、D/Aコンバータ18からの電圧データに応じた発振周波数で発振し、その発振波をゲート素子20に入力する。ゲート素子20は、CPU14からのパルス出力に基づいてVCO19からの発振波をDRV21に出力する。DRV21は、ゲート素子20からの出力を高電位振幅に変換してセンサ30を駆動する駆動信号を出力する。センサ30は、DRV21からの駆動信号の入力に基づいて前記発振周波数で超音波31を送信する。
【0024】
また、超音波の受信時において、センサ30は、上記のように送信した超音波31が容器40の液面41に反射して戻ってきた反射波を受信し、その受信信号をAMP11に入力する。AMP11は、CPU14から指示された増幅率で受信信号を増幅し、ENVDET12は、AMP11からの入力波形を整流検波し、エンベロープ波形を出力する。CMP13は、ENVDET12からのエンベロープ波形と基準電位とを比較し、エンベロープ波形が基準電位を越えたとき、論理値1をCPU14に出力する。CPU14は、センサ30により超音波31を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて液面41までの距離を算出する。
【0025】
コントローラ10の液面検出手段17aは、センサ30により超音波31を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて液面位置を所定の時間間隔で定期的に検出する。周波数選定手段17bは、液面検出手段17aで検出した液面位置に関する情報に基づいて容器40の液体充填時に充填完了したかどうか判定し、充填完了と判定した時点でセンサ30の駆動周波数を変化させながら液面41からの反射波の反射強度を計測し、計測した反射強度が最大となるようにセンサ30の駆動周波数を選定する。
【0026】
別の実施形態として、周波数選定手段17bは、液面検出手段17aで検出した液面位置に関する情報に基づいて容器40の液体充填時に充填完了したかどうか判定し、充填完了と判定した時点でセンサ30の駆動周波数を変化させながら液面41からの反射波の立ち上がりタイミングを計測し、計測した立ち上がりタイミングが最小となるようにセンサ30の駆動周波数を選定するようにしてもよい。
【0027】
図3は、液面距離と反射エコーの反射強度との関係を示す特性曲線の一例を示した図である。図1に示した容器40の縦寸法(高さ)が、例えば2400mmの場合、液体の充填は、通常2000mm前後まで行われる。本例の場合、液面距離2000mmでの反射強度は、液面距離100mmでの反射強度に比べ、約30dB減衰する。適正な駆動周波数が選択されていれば、反射強度が上記のように約30dB減衰してもAMP11の増幅率を減衰相当分だけ高いゲインに設定することで反射エコーを確実に検出することができ、液量計測が可能となる。従って、計測時には、逐次、AMP11の増幅率をコントロールして、液面距離による減衰があった場合でも反射エコーが取得できるようにしている。
【0028】
ここで、本発明の超音波レベル計には、放出モード及び充填モードが設定可能である。まず、放出モードにおいて、収容する液体の放出時には比較的緩やかな液量変化が想定されるため、数時間間隔で計測が行われる。一方、充填モードにおいて、例えば10分〜20分間で液体容量が20%から80%程度まで急速に上昇するため、計測間隔は放出モードとは異なる。充填作業者は、充填開始前に超音波レベル計の充填スイッチ(図示せず)を操作し、充填時に液面計測モード(すなわち、充填モード)に設定する。
【0029】
上記充填モードにおいて、通常、約5〜10秒間隔で計測が行われ、放出モードへは自動的に切り替わる。これは、液量増加を監視し、もし液量の増加がないと判断した場合、充填完了と判定し、放出モードに移行し、計測間隔を上記のように数時間間隔に設定する。
【0030】
上記充填完了の判定方法として、例えば、前回計測した液面距離を記憶しておき、その記憶した前回の液面距離と、次に計測した液面距離との差異dが所定値以内かどうかを計測毎に調べ、その差異dが所定値以内に収まった時点で充填完了と判定してもよい。さらに、液面ゆれ等による誤検知を考慮して、差異dが所定値以内に収まった状態が、例えば10回(約5〜10秒間隔)、すなわち50秒〜100秒の間連続して検出された場合に充填完了と判断するようにしてもよい。尚、上記の検出回数は任意に設定することができる。また、他の判定方法として、計測した液面位置が所望の液面位置を示した時点で充填完了と判定してもよい。本発明の超音波レベル計は、上記のように充填完了と判定した時点で最適な駆動周波数を選定する動作を行う。
【0031】
図4は、反射強度に依存するコンパレータ波形の立ち上がりタイミングの一例について説明するための図である。図4(A)は、反射強度が強い場合のエンベロープ波形を示した図で、図4(B)は、反射強度が強い場合のコンパレータ波形を示した図である。また、図4(C)は、反射強度が弱い場合のエンベロープ波形を示した図で、図4(D)は、反射強度が弱い場合のコンパレータ波形を示した図である。
【0032】
図4(C)に示すように、図4(A)に示すエンベロープ波形と比較して反射強度が弱いとエンベロープ波形の立ち上がりの傾斜が緩やかとなるために、図4(D)に示すように、図4(B)に示すコンパレータ波形と比較してコンパレータ波形の立ち上がりタイミングに遅れが生じる。本発明は、このコンパレータ波形の立ち上がりタイミングの遅れを利用することで、周波数選定を行う形態もとることができる。
【0033】
図5は、本発明が適用される超音波レベル計の周波数選定方法の一例を説明するためのフロー図ある。まず、容器に液体を充填する充填モードにし、液体の充填を開始する(ステップS1)。液体の充填開始から液面位置を所定の時間間隔で定期的にチェックし(ステップS2)、液面位置の計測時に、前回計測時の液面位置からの上昇変化が所定値以内かどうか判断し(ステップS3)、上昇変化が所定値以上、すなわち充填が完了していない場合(NOの場合)、上記ステップS2に戻り液面位置のチェックを続ける。
【0034】
次に、上記ステップS3において、上昇変化が所定値以内の場合(YESの場合)、その状態が所定回数連続して検出できたかどうか判断し(ステップS4)、所定回数連続して検出できなかった場合(NOの場合)、液面ゆれ等による誤検出と判断し、上記ステップS3に戻り処理を繰り返す。また、上記ステップS4において、所定回数連続して検出できた場合(YESの場合)、充填完了と判定する(ステップS5)。
【0035】
以下、最適な駆動周波数の選定方法として、本例では、反射波の反射強度、すなわち、取得した反射波の反射強度が最大であることを選定条件に用いる場合について説明する。
まず、上記ステップS5において充填完了と判定した後に、アンプの増幅率を最低に設定する(ステップS6)。この状態で、例えば、今まで駆動周波数として選択していた周波数f0を中心とした範囲f0±30kHzの範囲を、2kHz刻みで駆動周波数を変化させながら(ステップS7)、反射エコー(反射波)の有無を調べる処理(周波数スキャン)を行う(ステップS8)。
【0036】
上記ステップS8において、どの周波数に対しても反射エコーが取得されない場合(NOの場合)、アンプを1段階高い増幅率に設定し(ステップS9)、上記ステップS7に戻り、駆動周波数を変化させながら、反射エコーの有無を調べる処理(周波数スキャン)を繰り返す。このように、上記ステップS7,ステップS8,ステップS9の処理を反射エコーが少なくとも1つの駆動周波数について取得できるまで繰り返して行う。
【0037】
次に、上記ステップS8において、反射エコーが少なくとも1つ以上取得された場合(YESの場合)、取得した時点で反射エコーの反射強度が計測されている状態であるため、その反射強度が所定値以上となる駆動周波数帯域を調べる(ステップS10)。また、上記所定値を設けずに、計測した反射エコーの中から、最大の反射強度を示した反射エコーに応じた周波数を駆動周波数としてもよい。
【0038】
次に、上記ステップS10において取得した駆動周波数帯域に対して下限周波数をfa1,上限周波数をfa2として設定し、最適な駆動周波数famは、fa1とfa2との中央点として選定する(ステップS11)。これは、後述する図7(A)に反射強度のグラフとして示す。尚、上記ステップS11に示す関係を式で表現すると、下記の通りとなる。
fam=(fa1+fa2)/2 ・・・式(1)
【0039】
また、上記式(1)によると、最適な駆動周波数famは、fa1とfa2との中央点として選定されるが、駆動周波数famは、このfa1とfa2との中央点付近(範囲は予め設定可能とする)の周波数であってもよい。
【0040】
本発明によると、充填完了と判断した場合に最適な駆動周波数を選定することができる。すなわち、充填完了時点の液面距離は、次回の充填までの放出モードにおける最大液面距離であり、最適周波数の選定時に、放出モードでの計測条件において液面距離による減衰効果を最も利用できる条件で行うことになる。従って、従来のように駆動周波数選定のための低ゲイン切り替え回路を付加する必要がなくなる。
【0041】
図6は、本発明が適用される超音波レベル計の周波数選定方法の他の例を説明するためのフロー図ある。まず、容器に液体を充填する充填モードにし、液体の充填を開始する(ステップS21)。液体の充填開始から液面位置を所定の時間間隔で定期的にチェックし(ステップS22)、液面位置の計測時に、前回計測時の液面位置からの上昇変化が所定値以内かどうか判断し(ステップS23)、上昇変化が所定値以上、すなわち、充填が完了していない場合(NOの場合)、上記ステップS22に戻り液面位置のチェックを続ける。
【0042】
次に、上記ステップS23において、上昇変化が所定値以内の場合(YESの場合)、その状態が所定回数連続して検出できたかどうか判断し(ステップS24)、所定回数連続して検出できなかった場合(NOの場合)、誤検出として判断し、上記ステップS23に戻り処理を繰り返す。また、上記ステップS24において、所定回数連続して検出できた場合(YESの場合)、充填完了と判定する(ステップS25)。
【0043】
以下、最適な駆動周波数の他の選定方法として、本例では、第1反射波の立ち上がりタイミングが最小であることを選定条件に用いる場合について説明する。
まず、上記ステップS25において充填完了と判定した後に、アンプの増幅率を最低に設定する(ステップS26)。この状態で、例えば、今まで駆動周波数として選択していた周波数f0を中心とした範囲f0±30kHzの範囲を、2kHz刻みで駆動周波数を変化させながら(ステップS27)、反射エコー(反射波)の有無を調べる処理(周波数スキャン)を行う(ステップS28)。
【0044】
上記ステップS28において、どの周波数に対しても反射エコーが取得されない場合(NOの場合)、アンプを1段階高い増幅率に設定し(ステップS29)、上記ステップS27に戻り、駆動周波数を変化させながら、反射エコーの有無を調べる処理(周波数スキャン)を繰り返す。このように、上記ステップS27,ステップS28,ステップS29の処理を反射エコーが少なくとも1つの駆動周波数について取得できるまで繰り返して行う。
【0045】
次に、上記ステップS28において、反射エコーが少なくとも1つ以上取得された場合(YESの場合)、取得した反射エコーの中から全ての第1反射エコーの立ち上がりタイミングを計測し(ステップS30)、第1反射エコーの立ち上がりタイミングの最小値tminを求める(ステップS31)。次に、その立ち上がりタイミングの最小値tminよりも所定時間、例えば、約0.2μs遅い時間をスライス時間(ts=tmin+0.2)とおいて、第1反射エコーの立ち上がりタイミングがスライス時間ts以下の駆動周波数帯域を調べる(ステップS32)。尚、本例は、第1反射エコーに限らず、第2反射エコー以降の反射エコーを用いてもよい。
【0046】
次に、上記ステップS32において、スライス時間ts以下の立ち上がりタイミングを有する第1反射エコーに応じた駆動周波数帯域に対して下限周波数をfb1,上限周波数をfb2として設定し、最適な駆動周波数fbmは、fb1とfb2との中央点として選定する(ステップS33)。これは、後述する図7(B)に第1反射波の立ち上がりタイミング変化のグラフとして示す。尚、上記ステップS33に示す関係を式で表現すると、下記の通りとなる。
fbm=(fb1+fb2)/2 ・・・式(2)
【0047】
また、上記式(2)によると、最適な駆動周波数fbmは、fb1とfb2との中央点として選定されるが、駆動周波数fbmは、このfb1とfb2との中央点付近(範囲は予め設定可能とする)の周波数であってもよい。
【0048】
上記のように、スライス時間ts以下の立ち上がりタイミングを有する第1反射エコーに応じた駆動周波数帯域に基づいて最適な駆動周波数を選定することで、検出時間分解能が十分でない場合も考慮して最小値tminと同値の周波数帯が検出された場合でも対応することができる。尚、検出時間分解能が十分である場合には、最小値tminとなった周波数を最適な駆動周波数としてもよい。
【0049】
また、最適な駆動周波数の他の選定方法として、反射エコーの波高レベルを選定条件に用いてもよい。すなわち、波高レベルが最大となる周波数を駆動周波数として直接求めても良く、あるいは、波高レベルが所定値以上となる周波数帯域の中心周波数を駆動周波数としてもよい。
【0050】
本発明によると、第1反射波の立ち上がりタイミングを利用するため、アンプ出力の反射波形の振幅、検波回路のエンベロープ波形の振幅が飽和状態であっても、反射強度を把握することができる。従って、従来のように駆動周波数選定のための低ゲイン切り替え回路を付加する必要がなくなる。
【0051】
図7は、センサ駆動周波数による反射強度及び第1反射波の立ち上がりタイミングの変化の一例を示す図である。図7(A)は、容器の底板の板厚に応じて定まる通過周波数が約1000kHzの場合について、任意の液面でセンサ駆動周波数による反射強度を示しており、前述の図5に示した式(1)の関係を示した図である。また、図7(B)は、容器の底板の板厚に応じて定まる通過周波数が約1000kHzの場合について、任意の液面でセンサ駆動周波数による第1反射波の立ち上がりタイミングの変化Δtを示しており、前述の図6に示した式(2)の関係を示した図である。
【0052】
【発明の効果】
本発明によると、超音波レベル計の駆動周波数調整時において、容器に充填する液体の充填完了時点でその液面からの反射エコーの減衰効果を利用することにより、液面位置計測時と同等の増幅率可変範囲で、最適な駆動周波数を選定することができるため、駆動周波数調整用の低ゲイン設定回路を不要とすることができ、安価で且つ高精度な超音波レベル計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される超音波レベル計を容器に設置した場合の構成例を説明するための図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係わる超音波レベル計の回路構成例を示すブロック図である。
【図3】 液面距離と反射エコーの反射強度との関係を示す特性曲線の一例を示した図である。
【図4】 反射強度に依存するコンパレータ波形の立ち上がりタイミングの一例について説明するための図である。
【図5】 本発明が適用される超音波レベル計の周波数選定方法の一例を説明するためのフロー図ある。
【図6】 本発明が適用される超音波レベル計の周波数選定方法の他の例を説明するためのフロー図ある。
【図7】 センサ駆動周波数による反射強度及び第1反射波の立ち上がりタイミングの変化の一例を示す図である。
【図8】 従来の超音波レベル計の回路構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10,50…制御部(コントローラ)、11,52…AMP、12,53…ENVDET、13…CMP、14,55…CPU、15,56…LCD、16,57…RAM、17,58…ROM、17a…液面検出手段、17b…周波数選定手段、18,59…D/Aコンバータ、19,60…VCO、20,61…ゲート素子、21,62…DRV、30,70…センサ、31…超音波、40…容器、41…液面、51…増幅率切り替え回路、54…A/Dコンバータ。
Claims (9)
- 容器の底部外壁面に取り付けられ、該容器内部に収容された液体の液面に向けて超音波を送信させると共に前記液面からの反射波を受信する超音波センサと、該超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて前記液面の検出動作を制御する制御部とが接続された超音波レベル計の周波数選定方法において、
前記超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて液面位置を所定の時間間隔で検出する液面検出ステップと、該検出した液面位置に関する情報に基づいて前記容器の液体充填時に充填完了したかどうか判定し、該充填完了と判定した時点で前記超音波センサの駆動周波数を変化させながら、前記液面からの反射波の反射強度が計測可能な最低増幅率を決定すると共に、該増幅率で計測した反射強度が最大となるように前記超音波センサの駆動周波数を選定する周波数選定ステップとを有することを特徴とする超音波レベル計の周波数選定方法。 - 請求項1に記載の超音波レベル計の周波数選定方法において、前記液面から取得した反射波の反射強度が所定値以上となる周波数帯域に対して下限周波数及び上限周波数を設定し、該設定した下限周波数及び上限周波数のほぼ中間となる周波数を駆動周波数として選定することを特徴とする超音波レベル計の周波数選定方法。
- 容器の底部外壁面に取り付けられ、該容器内部に収容された液体の液面に向けて超音波を送信させると共に前記液面からの反射波を受信する超音波センサと、該超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて前記液面の検出動作を制御する制御部とが接続された超音波レベル計の周波数選定方法において、
前記超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて液面位置を所定の時間間隔で検出する液面検出ステップと、該検出した液面位置に関する情報に基づいて前記容器の液体充填時に充填完了したかどうか判定し、該充填完了と判定した時点で前記超音波センサの駆動周波数を変化させながら、前記液面からの反射波の立ち上がりタイミングが計測可能な最低増幅率を決定すると共に、該増幅率で計測した立ち上がりタイミングが最小となるように前記超音波センサの駆動周波数を選定する周波数選定ステップとを有することを特徴とする超音波レベル計の周波数選定方法。 - 請求項3に記載の超音波レベル計の周波数選定方法において、前記周波数選定ステップは、前記液面から取得した反射波の立ち上がりタイミングが所定時間以下となる周波数帯域に対して下限周波数及び上限周波数を設定し、該設定した下限周波数及び上限周波数のほぼ中間となる周波数を駆動周波数として選定することを特徴とする超音波レベル計の周波数選定方法。
- 請求項3又は4に記載の超音波レベル計の周波数選定方法において、前記液面から取得する反射波は、第1反射波であることを特徴とする超音波レベル計の周波数選定方法。
- 請求項1乃至5のいずれか1に記載の超音波レベル計の周波数選定方法において、前記周波数選定ステップは、前記充填完了と判定した時点で増幅率を低下させると共に前記超音波センサの駆動周波数を変化させながら前記液面からの反射波を取得できたかどうか判定し、その判定の結果、前記液面からの反射波が取得できない場合、前記低下させた増幅率を所定の割合で大きくなるように変化させると共に前記超音波センサの駆動周波数を変化させて前記液面からの反射波を取得できたかどうか判定するステップを、少なくとも1つ以上の反射波を取得できるまで繰り返すことを特徴とする超音波レベル計の周波数選定方法。
- 請求項1乃至6のいずれか1に記載の超音波レベル計の周波数選定方法において、前記容器の液体充填時に前記液面検出ステップにて前回計測した液面位置を記憶して有し、前記周波数選定ステップは、前記液面検出ステップにて次に計測した液面位置と、前記記憶した前回の液面位置との差異が所定値以内に収まり且つその状態が所定回数連続して検出された場合に充填完了と判定することを特徴とする超音波レベル計の周波数選定方法。
- 容器の底部外壁面に取り付けられ、該容器内部に収容された液体の液面に向けて超音波を送信させると共に前記液面からの反射波を受信する超音波センサと、該超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて前記液面の検出動作を制御する制御部とが接続された超音波レベル計において、
前記制御部は、前記超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて液面位置を所定の時間間隔で検出する液面検出手段と、該検出した液面位置に関する情報に基づいて前記容器の液体充填時に充填完了したかどうか判定し、該充填完了と判定した時点で前記超音波センサの駆動周波数を変化させながら、前記液面からの反射波の反射強度が計測可能な最低増幅率を決定すると共に、該増幅率で計測した反射強度が最大となるように前記超音波センサの駆動周波数を選定する周波数選定手段とを有することを特徴とする超音波レベル計。 - 容器の底部外壁面に取り付けられ、該容器内部に収容された液体の液面に向けて超音波を送信させると共に前記液面からの反射波を受信する超音波センサと、該超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて前記液面の検出動作を制御する制御部とが接続された超音波レベル計において、
前記超音波センサにより超音波を送信した時点からその反射波を受信する時点までの時間情報に基づいて液面位置を所定の時間間隔で検出する液面検出手段と、該検出した液面位置に関する情報に基づいて前記容器の液体充填時に充填完了したかどうか判定し、該充填完了と判定した時点で前記超音波センサの駆動周波数を変化させながら、前記液面からの反射波の立ち上がりタイミングが計測可能な最低増幅率を決定すると共に、該増幅率で計測した立ち上がりタイミングが最小となるように前記超音波センサの駆動周波数を選定する周波数選定手段とを有することを特徴とする超音波レベル計。
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