JP4078519B2 - Pressure release valve - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、電池(一次電池及び二次電池を含む)、燃料電池、コンデンサ、キャパシタ等の電気又は電子部品における圧力容器の封口板、あるいは一般機器の圧力容器の封口板に設けられる圧力開放弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
密閉型のアルミ電解コンデンサあるいは電気二重層型コンデンサ等は、その素子本体を収容した圧力容器の開口部が、ガスケットを介して封着された封口板によって閉塞されている。そして、このように完全な密閉構造にすると、急激な負荷が加わった場合に、ジュール発熱によって容器の内圧が上昇し、コンデンサの機能低下や寿命低下を来すおそれがある。このため、従来から、封口板に、例えばPTFE等からなる多孔質膜に撥水処理を施すことによって、気体は透過するが液体は不透過としたブリーザを取り付けて、容器内部に発生する圧力を開放できるようにしたもの等が開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術によれば、封口板に設けられたブリーザは、圧力容器の内圧を一定に保ち、電解液等の内封液の漏洩を防止するといった機能を有するが、通常の使用状態で発生する熱及び内圧でも、容器内のガスがブリーザから僅かに放出されるため、電解液が蒸発によって減少しやすく、外部からの水蒸気の侵入も起こりやすい。また、劣悪な環境下では、ブリーザの多孔質膜が目詰まりを起こすこともあり、安定した性能を期待することが困難であった。
【0004】
本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、封入液の蒸発や、外部からの異物等の侵入を防止すると共に、内圧上昇時に確実に圧力開放機能を奏し得る圧力開放弁を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る圧力開放弁は、圧力容器の開口部に封着される封口板に、内周に弁孔が開設された平面状の弁座と、この弁座の外周から前記封口板の外側へ向けて延びると共に内周に弁本体が配置される弁装着凹部が形成され、前記弁本体は、前記弁装着凹部に係止された固定板と、この固定板に一体的に設けられテーパ状に開いたシールリップからなり、このシールリップは、通常状態では先端リップ部が前記弁座に密接されていて、前記先端リップ部の内周のテーパ状受圧面に作用する前記圧力容器の内圧による開弁力が前記シールリップの弾性による閉弁力よりも大きくなることによって開弁動作するものであり、前記弁装着凹部と固定板との間に通気路が形成されたものである。すなわち、この圧力開放弁は、弁孔を通じてシールリップのテーパ状受圧面に作用する内圧が所定値以下である通常状態では、シールリップが閉弁しており、前記内圧が所定値を超えて上昇することによって、この内圧による開弁力が前記シールリップの弾性による閉弁力よりも大きくなった場合に前記シールリップが開弁動作して弁座から離れ、前記内圧を通気路を介して大気開放する。
【0006】
請求項2の発明に係る圧力開放弁は、請求項1に記載の構成において、固定板がその外周部に形成された板ばね部によって弁装着凹部に係止され、前記板ばね部は前記弁装着凹部に係止される外周縁が弁本体の外側を向くように屈曲しており、通気路が前記板ばね部に形成された多数のスリットからなるものである。すなわち、この圧力開放弁は、固定板の板ばね部を弁装着凹部に圧入することによって抜け止め状態に固定され、シールリップの開弁時に、圧力容器の内圧を前記板ばね部のスリットを介して大気開放する。
【0007】
請求項3の発明に係る圧力開放弁は、請求項1に記載の構成において、固定板がその外周部にゴム状弾性材料で一体的に形成された環状弾性体によって弁装着凹部に嵌着され、通気路が前記環状弾性体に形成された所要数の溝からなるものである。すなわち、この圧力開放弁は、環状弾性体の締め代によってシールリップの開弁圧程度の内圧では容易に抜けることのないように、環状弾性体の締め代によって固定され、シールリップの開弁時に、圧力容器の内圧を前記環状弾性体の溝を介して大気開放する。
【0008】
請求項4の発明に係る圧力開放弁は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、固定板に、通気路の外側で封口板と密接されると共に前記通気路側の所定の内圧により開弁動作する第二のシールリップが設けられたものである。すなわち、この圧力開放弁は、第二のシールリップが通気路からの異物の侵入を阻止するダストシールとして機能する。
【0009】
請求項5の発明に係る圧力開放弁は、請求項1〜4のいずれかに記載の構成において、固定板に、ゴム膜で閉塞された孔が形成され、前記ゴム膜が、シールリップが開弁される時の圧力値より高圧の所定の圧力値において破断されるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る圧力開放弁が適用される密閉型の電解コンデンサ又は電解液電池の概略構造を示すもので、(A)は縦断面図、(B)は平面図である。すなわち、アルミニウム等の金属からなる圧力容器である有底円筒状のケース1内に、コンデンサ又は電池の本体素子2が収容されており、ケース1の上端開口部が、電気絶縁性の合成樹脂材料で円盤状に成形された封口板3によって閉塞されている。本体素子2には、ケース1内に封入された電解液が含浸されている。
【0011】
封口板3は、その外周部が、ケース1の上端部を内側へ折り返すように形成されたカシメ部1bと、その下側に位置して、ケース1に円周方向に連続して形成された絞り部1aとの間に、ゴム状弾性材料からなる環状のガスケット4を介して密封的に固定されている。また、ケース1の外周は、外缶5によって覆われている。
【0012】
封口板3には、素子本体2にそれぞれリード線6を介して接続された一対の電極端子7が、厚さ方向に貫通して設けられると共に、本発明に係る圧力開放弁8が設けられている。電極端子7,7は、封口板3にインサート成形により一部が埋設された状態で一体化されたものであって、それぞれ外周面に形成された鍔部7aによって、封口板3に対して抜け止めされている。
【0013】
図2は、図1に示されるコンデンサに適用される圧力開放弁8の第一の実施の形態を、図1(B)におけるII‐II’線で切断して示す拡大断面図、図3はこの圧力開放弁8に用いられている固定板を示す平面図である。すなわち、本形態の圧力開放弁8は、図2に示されるように、封口板3に、内周に弁孔3aが開設された弁座3bと、この弁座3bの外周から封口板3の外側(図2における上側)へ向けて延びる円筒面状の弁装着凹部3cが形成され、弁装着凹部3cに弁本体8Aが装着されたものである。
【0014】
弁本体8Aは、金属板を打ち抜きプレス成形した円盤状の固定板10と、この固定板10にゴム状弾性材料で一体的に成形されたシールリップ20からなる。
【0015】
詳しくは、固定板10の外周部は、図3にも示されるように、円周方向等間隔で半径方向に形成されたスリット12によって多数の弾性片13からなる板ばね部11となっており、この板ばね部11は、各弾性片13の外周縁13aが弁本体8Aの外側を向くようにテーパ状に屈曲している。このため、固定板10は全体として皿ばね状に形成されており、板ばね部11の外径は、変形を受けていない状態では、封口板3の弁装着凹部3cの内面よりも僅かに大径となっている。一方、弁装着凹部3cには、弁座3bから適当に離れた位置に円周方向へ連続した係止溝3dが形成されており、板ばね部11の各弾性片13の外周縁13aは、この係止溝3dに嵌まり込んで係止されている。
【0016】
シールリップ20は、その基部21が、固定板10の内側面(図2における下面)に加硫接着等により一体的に接合されていて、テーパ状に開いた形状を呈し、板ばね部11の各弾性片13の外周縁13aが封口板3の係止溝3dに嵌まり込んで係止された状態では、シールリップ20の先端リップ部22が、封口板3の弁座3bに適当な面圧で密接されるようになっている。また、シールリップ20は、弁装着凹部3cの内面よりも小径に形成されており、開弁動作された場合でも弁装着凹部3cの内面とは非接触に保たれ、開弁の際の通気路となる環状空間S3が確保されている。
【0017】
板ばね部11の各弾性片13を形成しているスリット12は、弾性を与えるために適当に開いており、シールリップ20が図1に示されるケース1の内部空間(以下、ケース内空間という)S1のガス圧力(内圧)によって開弁した時には、この内圧を開放するための通気路として機能する。
【0018】
弁本体8Aは、コンデンサ又は電池の組立最終工程において、ケース1内に電解液を注入した後で、封口板3の弁装着凹部3cに装着することができる。このため、組立過程で発生する電解液の蒸発を最小限に抑えて、製品の品質の安定化を図ることができる。また、装着に際しては、シールリップ20が先行するようにして弁本体8Aを弁装着凹部3c内へ押し込むだけで良い。すなわち、固定板10における板ばね部11が撓み変形を受けながら弁装着凹部3cに圧入されて行き、係止溝3dに達した時点で、板ばね部11の各弾性片13が、変形に対する復元力によってこの係止溝3d内に瞬時に嵌まり込み、係止状態となるので、容易に装着することができる。
【0019】
以上の構成を備える圧力開放弁8は、ケース1の内圧が所定値を超えて上昇した場合に弁本体8Aのシールリップ20が開弁動作して、この内圧を大気開放し、内圧の異常上昇によるケース1の破壊を未然に防止するものである。
【0020】
すなわち、ケース内空間S1に封入された電解液の反応によって発生するガスの圧力(内圧)は、弁孔3aを介して固定板10及びシールリップ20の内側空間S2に達しており、この内圧は、シールリップ20における先端リップ部22の内周側のテーパ状受圧面23を押し上げて、先端リップ部22を弁座3bから浮き上がるように開かせる開弁力として作用する。しかし、通常の使用状態では、ケース内空間S1の内圧が、設定された開弁圧以下となっているので、シールリップ20の先端リップ部22が弁座3bと密接した閉弁状態にあり、外部からの水蒸気や異物の侵入が防止される。
【0021】
何らかの原因によってケース内空間S1の内圧が平常値よりも上昇し、これによって開弁力がシールリップ20の弾性による閉弁力よりも大きくなると、シールリップ20の先端リップ部22が弁座3bから離れて開弁状態となり、ケース内空間S1の内圧は、弁孔3aから、シールリップ20の内側空間S2、シールリップ20の先端リップ部22と弁座3bの開弁隙間、シールリップ20と弁装着凹部3cの間の環状空間S3、及び板ばね部11の各弾性片13を形成しているスリット12を介して、外部の大気中へ開放される。そしてこのとき、ケース内空間S1の熱も大気中へ放出されるので、熱によるコンデンサあるいは電池の機能低下が防止される。
【0022】
また、上記圧力開放によって内圧が平常値まで低下すると、シールリップ20は、その弾性による復元力(閉弁力)によって直ちに閉弁動作し、弁座3bに密接して、外部からの水蒸気や異物の侵入を遮断する。そしてこのように、内圧が開弁圧を超えて上昇した場合にのみシールリップ20が開弁するため、電解液の蒸発等による減少が最小限に抑えられ、コンデンサ又は電池の寿命を向上させることができる。
【0023】
なお、ケース内空間S1の内圧の上昇によって弁本体8Aのシールリップ20が開弁される時の圧力値(開弁圧)は、シールリップ20の内径や肉厚、断面形状、係止溝3dの形成位置(固定板10の固定位置)によりシールリップ20に与えられる変形量等によって、任意に設定することができる。そしてこの開弁圧は、通常の使用状態で発生する熱によるガス圧の値等を考慮して、適切に設定される。
【0024】
図4は、上述した第一の実施の形態による弁本体8Aに、防爆機能を付加した第二の実施の形態を、図2の断面と同位置で切断して示す断面図である。すなわち、本形態による弁本体8Aは、固定板10が内周孔10aを有し、シールリップ20の基部21から延びるゴム膜24が、この内周孔10aを閉塞するように形成されている。また、このゴム膜24の中央部は、凹部24aによって薄肉に形成されており、ケース内空間S1の内圧がシールリップ20の開弁圧よりも高い所定の高圧値を超えて上昇した時に、ゴム膜24が、その薄肉部24bへの引張応力の集中によって破断されるようになっている。
【0025】
先に説明した図2に示される第一の実施の形態においては、ケース1内の電解液がシールリップ20に付着して固化したり、あるいはシールリップ20を形成しているゴム状弾性材料の有する粘着性によって、万一、シールリップ20が弁座3bに固着してしまったような場合は、ケース内空間S1の内圧が、設定された開弁圧を大きく超えて上昇しても、シールリップ20が良好に開弁動作しないようなことも想定される。このような場合、本形態によれば、内圧が所定の高圧値を超えて上昇すると、ゴム膜24がその薄肉部24bから破断され、内圧を瞬時に開放するので、ケース1の爆発を防止することができる。
【0026】
図5は、シールリップ20の断面形状を変更した例として、図1に示されるコンデンサに適用される圧力開放弁8の第三の実施の形態を、図2の断面と同位置で切断して示す断面図である。すなわち、この形態による圧力開放弁8は、弁本体8Aにおけるシールリップ20が、その外周面25がほぼ円筒面状であって、図2の形態のような外周のくびれ26がなく、先端リップ部22がR面をなしており、この先端リップ部22より内周側の受圧面23が、内周ほど固定板10側へ後退したテーパ状をなしている。
【0027】
なお、その他の部分の構成は、先に説明した図2の形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0028】
本形態によれば、シールリップ20が図2及び図3のものに比べて厚肉であり、しかもケース内空間S1の内圧による開弁力はシールリップ20の圧縮方向に作用することになるため、閉弁状態でのシール性を向上させることができると共に、開弁圧を高くすることができる。
【0029】
なお、図2、図4及び図5においては、固定板10における板ばね部11が封口板3の弁装着凹部3cに形成された係止溝3dに係止されているが、係止溝3dは存在しない構成とすることもできる。図6は、固定板10における板ばね部11が弁装着凹部3cの内面に圧接することによって係止される構造とした第四の実施の形態を示す部分的な断面図である。すなわち、板ばね部11における各弾性片13の外周縁13aが、円筒面状に形成された弁装着凹部3cの内面に圧接することで、固定板10ひいては弁本体8Aが係止されている。
【0030】
この形態によれば、ケース内圧が弁本体8Aを弁装着凹部3cから外部へ離脱させる方向、すなわち図6における上方へ押し上げるような荷重Fが作用すると、弁装着凹部3cの内面に圧接されている外周縁13aとの間で、板ばね部11の各弾性片13に、そのテーパ角度θを増大させるような変形力が作用する。このため、離脱方向の荷重Fが大きいほど、弁装着凹部3cの内面に対する外周縁13aの圧接力が増大するので、弁本体8Aが容易に脱落することはない。
【0031】
次に図7は、図1に示されるコンデンサに適用される圧力開放弁8の第五の実施の形態を、図2の断面と同位置で切断して示す断面図、図8は図7におけるVIII−VIII’ 線で切断して示す断面図である。すなわち本形態において、弁本体8Aは、金属板を打ち抜きプレス成形した有底円筒状の固定板10と、この固定板10にゴム状弾性材料で一体的に成形されたシールリップ20及び環状弾性体30からなる。
【0032】
詳しくは、固定板10は、円盤部14と、その外周から封口板3の弁装着凹部3cの外側へ向けて延びる円筒部15からなり、円筒部15は弁装着凹部3cの内径よりも小径に形成されている。
【0033】
シールリップ20は、その基部21が、固定板10の円盤部14の内側面(図7における下面)に加硫接着等により一体的に接合されていて、テーパ状に開いた形状を呈し、先端リップ部22が、封口板3の弁座3bに適当な面圧で密接されるようになっている。また、シールリップ20は、弁装着凹部3cの内面よりも小径に形成されており、開弁動作された場合でも弁装着凹部3cの内面とは非接触に保たれ、開弁の際の通気路となる環状空間S3が確保されている。
【0034】
環状弾性体30は、シールリップ20の基部21から連続して形成され、固定板10の円筒部15の外周面に加硫接着等により一体的に接合されている。この環状弾性体30の外径は、弁本体8Aの未装着状態では弁装着凹部3cの内径よりも適宜大径であって、すなわち適当な潰し代をもって弁装着凹部3cに圧入されるようになっており、その外周面には、円周方向複数箇所に、軸方向両端へ開放された通気溝31が形成されている。
【0035】
弁本体8Aも、コンデンサ又は電池の組立最終工程において、ケース1内に電解液を注入した後で、封口板3の弁装着凹部3cに装着することができる。このため、組立過程で発生する電解液の蒸発を最小限に抑えて、製品の品質の安定化を図ることができる。また、装着に際しては、シールリップ20が先行するようにして弁本体8Aを弁装着凹部3c内へ所定の深さまで圧入するだけで良い。そして図7に示されるように、例えば弁本体8Aの端部が封口板3の外面とほぼ同一面となるように圧入することによって、シールリップ20の先端リップ部22が、封口板3の弁座3bに適当な面圧で密接される。
【0036】
以上の構成を備える圧力開放弁8も、第一乃至第三の形態のものと同様に、弁孔3aを介して固定板10の円盤部14及びシールリップ20の内側空間S2に達しているケース内空間S1の内圧が、設定された開弁圧以下となっている通常の使用状態においては、シールリップ20が閉弁状態にある。そして、何らかの原因によってケース内圧が開弁圧を超えて上昇した場合は、シールリップ20がそのテーパ状受圧面23に作用する前記内圧によって開弁動作し、前記内圧は、弁孔3aから、シールリップ20の内側空間S2、シールリップ20の先端リップ部22と弁座3bとの開弁隙間、シールリップ20と弁装着凹部3cの間の環状空間S3、及び環状弾性体30の通気溝31を介して、外部の大気中へ開放される。また、圧力開放によって内圧が平常値まで低下すると、シールリップ20は、その弾性による復元力(閉弁力)によって直ちに閉弁動作し、外部からの水蒸気や異物の侵入を遮断する。
【0037】
なお、ケース内圧は、弁本体8Aを弁装着凹部3cから抜き出す方向にも作用するが、シールリップ20の開弁圧程度の圧力では、弁本体8Aが抜き出し方向へ容易に移動してしまうようなことがないように、弁装着凹部3cの内周面に対して、環状弾性体30の潰し代に由来する十分な圧接力が設定される。また、この圧接力(潰し代)による離脱圧力を、開弁圧より高圧の所定の圧力値に設定しておけば、何らかの異常の発生によって、ケース内圧が急激に上昇し、シールリップ20の開弁による圧力開放速度よりも内圧の上昇速度が大きくなって、離脱圧力を超える高圧となったような場合は、弁本体8Aが弁装着凹部3cから離脱して、内圧を一気に大気開放し、ケース1の爆発を防止することができる。
【0038】
図9は、シールリップ20の断面形状を変更した例として、図1に示されるコンデンサに適用される圧力開放弁8の第六の実施の形態を、図2の断面と同位置で切断して示す断面図である。すなわち、この形態における弁本体8Aは、基本的には図7及び図8に示される第五の実施の形態と同様、金属板を打ち抜きプレス成形した固定板10と、この固定板10にゴム状弾性材料で一体的に成形されたシールリップ20及び環状弾性体30からなり、封口板3の弁装着凹部3cに圧入される環状弾性体30の外周面における円周方向複数箇所に、軸方向両端へ開放された通気溝31が形成された構成を備える。
【0039】
この形態においては、シールリップ20が図7のものに比較して薄肉で、かつ長く延びる形状となっており、このため比較的低圧の開弁圧、すなわちケース内空間S1の内圧の上昇が比較的小さくてもシールリップ20が開弁動作し、内圧を大気開放するようになっている。また、シールリップ20を長い断面形状とするために、固定板10は伏皿状に形成されており、すなわち円盤部14の外周から、円筒部15が内側(図9における下側)へ向けて延びる形状となっており、これによって、円盤部14の内側面に接合されたシールリップ20の基部21から先端リップ部22までの長さを大きく取ってある。
【0040】
また、図10は、図1に示されるコンデンサに適用される圧力開放弁8の第七の実施の形態を、図2の断面と同位置で切断して示す断面図である。この形態による弁本体8Aは、図9に示される形態のものに、第二のシールリップであるダストリップ40を付加したものである。
【0041】
ダストリップ40は、環状弾性体30から連続して形成されたものであって、ゴム状弾性材料で成形されており、封口板3の弁装着凹部3cの外側へ突出するように延びて、外周側へ湾曲するように展開し、先端リップ部41が封口板3の表面3eに僅かな面圧で密接されている。
【0042】
この実施の形態によれば、ダストリップ40が環状弾性体30に形成された通気溝31の外側を覆うように存在しているため、通気溝31からシールリップ20側への異物の侵入を阻止するダストシールとして機能する。したがって、水滴などが侵入してシールリップ20の外周に溜まったりするのを防止することができる。また、何らかの原因によってケース内空間S1の内圧が開弁圧を超えて上昇した場合は、前記内圧は、弁孔3aから、シールリップ20の内側空間S2、シールリップ20の先端リップ部22と弁座3bの開弁隙間、シールリップ20と弁装着凹部3cの間の環状空間S3、及び環状弾性体30の通気溝31を介してダストリップ40の内周空間S4に達し、このダストリップ40の先端リップ部41を押し開いて外部の大気中へ開放される。ダストリップ40は、その形状によって、圧力開放を妨げない程度に、封口板3の表面3eに対する面圧が小さなものとなっているものである。
【0043】
なお、上述した実施の形態においては、コンデンサあるいは電池のケースを密閉する封口板について、本発明を適用したものについて説明したが、その他、一般の圧力容器の圧力開放機構についても実施することができる。
【0044】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る圧力開放弁によれば、封口板に形成された弁装着凹部に係止された固定板に一体的に設けられたシールリップが、弁孔を通じてシールリップに作用する内圧が所定値以下である通常状態では弁座に密接されて閉弁しており、内圧が所定値を超えて上昇した場合に開弁動作して弁座から離れ、弁装着凹部と固定板との間に形成された通気路を介して内圧を大気開放するものであるため、内圧上昇による圧力容器の破壊を未然に防止することができ、その開弁圧を、任意に設定することができる。しかも、内圧が開放されると、シールリップが直ちに閉弁するので、外部からの異物の侵入を遮断すると共に、圧力容器内のガス等の放出を最小限に抑えることができる。
【0045】
請求項2の発明に係る圧力開放弁によれば、固定板の板ばね部を封口板の弁装着凹部に圧入することによって抜け止め状態に係止されるので、装着が簡単であり、板ばね部に弾性を与えるためのスリットが、開弁時の通気路を兼ねるものであるため、簡素な構造とすることができる。
【0046】
請求項3の発明に係る圧力開放弁によれば、固定板の外周部に形成された環状弾性体によって弁装着凹部に嵌着され、通気路が前記環状弾性体に形成された所要数の溝からなるものであり、環状弾性体はゴム状弾性材料でシールリップと連続して形成されるため、簡素な構造とすることができる。
【0047】
請求項4の発明に係る圧力開放弁によれば、ダストシールとして機能する第二のシールリップが設けられたものであるため、シールリップ側への異物の侵入を阻止することができる。
【0048】
請求項5の発明に係る圧力開放弁によれば、シールリップの開弁動作が円滑に行われない等、何らかの理由によって、圧力容器の内圧が、設定されたシールリップの開弁圧よりも高圧の所定の圧力値になると、ゴム膜が破断されて内圧を瞬時に開放するため、圧力容器の爆発を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧力開放弁が適用されるコンデンサの概略構造を示すもので、(A)は縦断面図、(B)は平面図である。
【図2】図1に示されるコンデンサに適用される圧力開放弁8の第一の実施の形態を、図1(B)におけるII−II’線で切断して示す拡大断面図である。
【図3】図2の圧力開放弁8に用いられている固定板を示す平面図である。
【図4】第一の実施の形態における弁本体8Aに防爆機能を付加した第二の実施の形態を、図2の断面と同位置で切断して示す断面図である。
【図5】図1に示されるコンデンサに適用される圧力開放弁8の第三の実施の形態を、図2の断面と同位置で切断して示す断面図である。
【図6】図1に示されるコンデンサに適用される圧力開放弁8の第四の実施の形態を示す部分断面図である。
【図7】図1に示されるコンデンサに適用される圧力開放弁8の第五の実施の形態を、図2の断面と同位置で切断して示す断面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII’線で切断して示す断面図である。
【図9】図1に示されるコンデンサに適用される圧力開放弁8の第六の実施の形態を、図2の断面と同位置で切断して示す断面図である。
【図10】図1に示されるコンデンサに適用される圧力開放弁8の第七の実施の形態を、図2の断面と同位置で切断して示す断面図である。
【符号の説明】
1 ケース(圧力容器)
3 封口板
3a 弁孔
3b 弁座
3c 弁装着凹部
3d 係止溝
3e 表面
8 圧力開放弁
8A 弁本体
10 固定板
11 板ばね部
12 スリット(通気路)
13 弾性片
14 円盤部
15 円筒部
20 シールリップ
21 基部
22 先端リップ部
23 受圧面
24 ゴム膜
30 環状弾性体
31 通気溝(通気路)
40 ダストリップ(第二のシールリップ)
S1 ケース内空間
S2 シールリップの内側空間
S3 環状空間(通気路)[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention is, for example, a pressure plate provided on a sealing plate of a pressure vessel in an electric or electronic component such as a battery (including a primary battery and a secondary battery), a fuel cell, a capacitor, and a capacitor, or a sealing plate of a pressure vessel of a general device. It relates to an open valve.
[0002]
[Prior art]
In a sealed aluminum electrolytic capacitor, an electric double layer capacitor, or the like, the opening of a pressure vessel that houses the element body is closed by a sealing plate that is sealed via a gasket. If such a completely sealed structure is used, when a sudden load is applied, the internal pressure of the container increases due to Joule heat generation, which may cause a decrease in the function and lifetime of the capacitor. For this reason, conventionally, by applying a water-repellent treatment to the sealing plate, for example, a porous film made of PTFE or the like, a breather that allows gas to permeate but impermeable to liquid is attached, and the pressure generated inside the container is reduced. Things that can be opened have been developed.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
According to the prior art, the breather provided on the sealing plate has a function of keeping the internal pressure of the pressure vessel constant and preventing leakage of the encapsulated liquid such as an electrolyte, but occurs in a normal use state. Even under heat and internal pressure, the gas in the container is slightly released from the breather, so that the electrolytic solution is likely to decrease due to evaporation, and water vapor from outside tends to enter. Further, in a poor environment, the breather porous membrane may be clogged, making it difficult to expect stable performance.
[0004]
The present invention has been made in view of the above points, and its technical problem is to prevent the evaporation of the encapsulated liquid and the entry of foreign matter from the outside, and the pressure that can reliably perform the pressure release function when the internal pressure increases. It is to provide an open valve.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
As a means for effectively solving the above technical problem, the pressure release valve according to the invention of
[0006]
According to a second aspect of the present invention, there is provided the pressure relief valve according to the first aspect, wherein the stationary plate is locked to the valve mounting recess by a leaf spring portion formed on an outer peripheral portion thereof, and the leaf spring portion is The outer peripheral edge locked by the mounting recess is bent so as to face the outside of the valve body, and the air passage is composed of a number of slits formed in the leaf spring portion. In other words, the pressure release valve is fixed in a retaining state by press-fitting the leaf spring portion of the fixed plate into the valve mounting recess, and when the seal lip is opened, the internal pressure of the pressure vessel is passed through the slit of the leaf spring portion. To open the atmosphere.
[0007]
According to a third aspect of the present invention, there is provided the pressure relief valve according to the first aspect, wherein the fixing plate is fitted into the valve mounting recess by an annular elastic body integrally formed with a rubber-like elastic material on the outer peripheral portion thereof. The ventilation path comprises a required number of grooves formed in the annular elastic body. That is, this pressure release valve is fixed by the tightening margin of the annular elastic body so that the internal pressure of the sealing lip is not easily released by the tightening margin of the annular elastic body. The internal pressure of the pressure vessel is released to the atmosphere through the groove of the annular elastic body.
[0008]
According to a fourth aspect of the present invention, there is provided the pressure release valve according to any one of the first to third aspects, wherein the fixed plate is brought into close contact with the sealing plate outside the air passage and at a predetermined internal pressure on the air passage side. A second seal lip that opens is provided. That is, this pressure release valve functions as a dust seal in which the second seal lip prevents entry of foreign matter from the air passage.
[0009]
According to a fifth aspect of the present invention, there is provided the pressure relief valve according to any one of the first to fourth aspects, wherein the fixing plate has a hole closed with a rubber film, and the rubber film has a seal lip opened. It is broken at a predetermined pressure value that is higher than the pressure value at the time of being valved.
[0010]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
1A and 1B show a schematic structure of a sealed electrolytic capacitor or an electrolyte battery to which a pressure relief valve according to the present invention is applied, in which FIG. 1A is a longitudinal sectional view and FIG. 1B is a plan view. That is, a capacitor or
[0011]
The
[0012]
The
[0013]
FIG. 2 is an enlarged cross-sectional view showing the first embodiment of the
[0014]
The
[0015]
Specifically, as shown in FIG. 3, the outer peripheral portion of the fixed
[0016]
The
[0017]
The
[0018]
The
[0019]
In the
[0020]
That is, the pressure (internal pressure) of the gas generated by the reaction of the electrolyte solution enclosed in the case inner space S1 reaches the inner space S2 of the fixing
[0021]
If for some reason the internal pressure of the case inner space S1 rises above the normal value and the valve opening force becomes greater than the valve closing force due to the elasticity of the
[0022]
When the internal pressure is reduced to a normal value by releasing the pressure, the
[0023]
Note that the pressure value (valve opening pressure) when the
[0024]
FIG. 4 is a cross-sectional view showing a second embodiment in which an explosion-proof function is added to the valve
[0025]
In the first embodiment shown in FIG. 2 described above, the electrolytic solution in the
[0026]
FIG. 5 shows, as an example in which the cross-sectional shape of the
[0027]
The configuration of the other parts is the same as that of the embodiment shown in FIG.
[0028]
According to this embodiment, the
[0029]
2, 4 and 5, the
[0030]
According to this embodiment, when a load F that pushes the
[0031]
Next, FIG. 7 is a cross-sectional view showing a fifth embodiment of the
[0032]
Specifically, the fixed
[0033]
The
[0034]
The annular
[0035]
The
[0036]
Similarly to the first to third embodiments, the
[0037]
The internal pressure of the case also acts in the direction in which the
[0038]
FIG. 9 shows an example in which the cross-sectional shape of the
[0039]
In this embodiment, the
[0040]
FIG. 10 is a cross-sectional view showing a seventh embodiment of the
[0041]
The
[0042]
According to this embodiment, since the
[0043]
In the embodiment described above, the sealing plate for sealing the capacitor or the battery case has been described with respect to the application of the present invention. However, the pressure releasing mechanism of a general pressure vessel can also be implemented. .
[0044]
【The invention's effect】
According to the pressure relief valve of the first aspect of the invention, the seal lip integrally provided on the fixing plate locked to the valve mounting recess formed on the sealing plate has an internal pressure that acts on the seal lip through the valve hole. In a normal state where the pressure is less than or equal to a predetermined value, the valve is closed close to the valve seat. Since the internal pressure is released to the atmosphere through the air passage formed therebetween, it is possible to prevent the pressure vessel from being destroyed due to an increase in internal pressure, and the valve opening pressure can be arbitrarily set. Moreover, when the internal pressure is released, the seal lip immediately closes, so that the entry of foreign matter from the outside can be blocked and the release of gas and the like in the pressure vessel can be minimized.
[0045]
According to the pressure release valve of the second aspect of the present invention, the leaf spring portion of the fixed plate is locked into the retaining state by press-fitting the leaf spring portion of the fixing plate into the valve mounting recess of the sealing plate. Since the slit for imparting elasticity to the portion also serves as a ventilation path when the valve is opened, a simple structure can be achieved.
[0046]
According to the pressure relief valve of the third aspect of the invention, the required number of grooves formed in the valve mounting recess by the annular elastic body formed on the outer peripheral portion of the fixed plate, and the ventilation path formed in the annular elastic body. Since the annular elastic body is made of a rubber-like elastic material and is continuously formed with the seal lip, a simple structure can be obtained.
[0047]
According to the pressure relief valve of the fourth aspect of the invention, since the second seal lip functioning as a dust seal is provided, it is possible to prevent foreign matter from entering the seal lip side.
[0048]
According to the pressure release valve of the invention of
[Brief description of the drawings]
1A and 1B show a schematic structure of a capacitor to which a pressure release valve according to the present invention is applied, wherein FIG. 1A is a longitudinal sectional view and FIG. 1B is a plan view.
FIG. 2 is an enlarged cross-sectional view showing a first embodiment of a
FIG. 3 is a plan view showing a fixed plate used in the
4 is a cross-sectional view showing a second embodiment in which an explosion-proof function is added to the
5 is a cross-sectional view showing a third embodiment of a
6 is a partial cross-sectional view showing a fourth embodiment of a
7 is a cross-sectional view showing a fifth embodiment of a
8 is a cross-sectional view taken along line VIII-VIII ′ in FIG.
9 is a cross-sectional view showing a sixth embodiment of a
10 is a cross-sectional view showing a seventh embodiment of a
[Explanation of symbols]
1 Case (pressure vessel)
3 Sealing plate
3a Valve hole
3b Valve seat
3c Valve mounting recess
3d Locking groove
3e surface
8 Pressure release valve
8A Valve body
10 Fixing plate
11 leaf spring
12 Slit (ventilation passage)
13 Elastic pieces
14 Disc part
15 Cylindrical part
20 Seal lip
21 Base
22 Tip lip
23 Pressure sensing surface
24 Rubber film
30 Annular elastic body
31 Ventilation groove (ventilation passage)
40 Dustrip (second seal lip)
Space in S1 case
S2 Inside space of seal lip
S3 annular space (ventilation passage)
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