JP4077662B2 - 冷蔵庫の庫内灯取付装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫内に設置されている庫内灯取付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気冷蔵庫には、照明ランプ及びソケットからなる庫内灯が設置されているが、近年の販売相手国の多様化により、各国別の安全規格要求に適合する庫内灯取付装置が求められている。
【0003】
庫内灯の安全規格としては、下記の2種の一般的な国際安全規格が存在する。その第1は、製品となる電気冷蔵庫として安全規格に適合することが求められる。例えば、国際安全規格IEC60335-1及びIEC60335-2-24がある。
【0004】
IEC60335-1は、家庭用及び類似用途の電気機器の安全性 パート1:一般要求(Safety of household and similar electrical appliances. Part 1:General requirements.)である。
【0005】
IEC60335-2-24は、家庭用及び類似用途の電気機器の安全性 パート2:冷蔵類似機器及びアイスクリーム・製氷機器に関する個別要求(Safety of household and similar electrical appliances.Part 2:Particular requirements for refrigerating appliances,ice-cream appliances and ice-markers.)である。
【0006】
国際安全規格IEC60335-1及びIEC60335-2-24では、庫内灯の交換時に万一指が充電部に触れない構造を、庫内灯のソケット単体または庫内灯のソケットと周辺の樹脂成形体に要求している。この国際安全規格では、照明ランプの口金の直径については規定がなく、一般にはE12(約12mm)のものが用いられている。
【0007】
第2に、部品として国際安全規格適合を求めらる場合で、例えば、国際安全規格IEC60238がある。IEC60238は、エジソン ネジ込み ランプホルダー(Edison screw lampholders.)に求められる規格である。この規格によると、庫内灯の交換時に万一指が充電部に触れない構造をソケット単体に要求している。この国際安全規格では、最小の照明ランプ口金直径が実用上E14(約14mm)とされている。
【0008】
その一方、照明ランプは、通電により内部のフィラメント部が発熱するので、発熱温度が高いと、周辺の樹脂成形体がその耐熱温度を超えて軟化する懸念がある。
【0009】
従って、従来の電気冷蔵庫の庫内灯取付装置では、上記国際安全規格に適合させるように、その構成部品である照明ランプ、ソケット及び樹脂成形体を選定配置していたが、庫内灯に複数種類(消費電力も含む)があるため、個別の樹脂成形体を成形して、これに対応していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、庫内灯の種類(消費電力も含む)に応じて個別に樹脂成形体を作成するのは、複数種類の樹脂成形体を用意しなければならず、その製品金型が増加することになり、生産コスト高となる問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、前記2種の各国要求事項に個別に適合させるべく、2種類の庫内灯を使い分け、またそれぞれを同一の樹脂成形体を使用することにより、安全でかつ生産コストの低減が図れる冷蔵庫の庫内灯取付装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、照明ランプ及びソケットからなる庫内灯を取り付ける樹脂成形体を備え、前記樹脂成形体は、複数種の庫内灯に対応して、前記ソケットを取り付けるソケット取付部と、照明ランプを照明室に臨ませる共通のランプ窓穴とを備え、前記複数種の庫内灯は、その一つがランプねじ込み式のソケットに先端筒状のスカート部がない形式の第1の庫内灯であり、他の一つが、ランプねじ込み式ソケットに先端筒状のスカート部を備えた形式の第2の庫内灯であり、第1の庫内灯がランプのみを前記窓穴を通して照明室に臨むよう配置され、第2の庫内灯は、スカート部も前記窓穴を通して照明室に臨むよう配置され、前記窓穴の穴径は、前記ソケット取付部にソケットを取り付けたとき、第1の庫内灯に対しては、ランプ外周との間に手指の挿入を不能とする大きさで、かつ第2の庫内灯に対しては、スカート部を通すことができる大きさに設定されたことを特徴とする冷蔵庫の庫内灯取付装置である。
【0013】
上記構成によると、樹脂成形体は、複数種の庫内灯に対応したソケット取付部と共通のランプ窓穴とを備えているので、従来に比べて樹脂成形の樹脂成形体の射出成形用の金型が1つで済み、生産コストの低減が可能となる。
【0014】
樹脂成形体は、庫内灯を保持固定するものであるため、前記ソケット取付部及び窓穴を備えた構成であれば十分であるが、これに加えて、冷蔵庫の庫内に形成された照明室の室壁をも構成するよう、一体成形することもできる。これにより、冷蔵庫を構成する部品点数が削減でき、また、樹脂成形金型のコストも低減できる。
【0015】
複数種の庫内灯は、その一つがランプねじ込み式のソケットに先端筒状のスカート部がない形式のもの、他の一つとして、ランプねじ込み式ソケットに先端筒状のスカート部を備えた形式のものである。
【0016】
両形式に求められる国際安全規格は、スカート部のない庫内灯の取付の場合、窓穴とランプ外周との間に指が入らないことが求められる。スカート部付きの庫内灯の場合、スカート部の内周とランプ外周との間に指が入らないことが求められる。ただ、スカート部付きの庫内灯の場合、スカート部も窓穴を通して照明室側に突出するよう取り付けることになるので、窓穴はスカート部の外径よりも大きいことが求められる。
【0017】
そこで、窓穴の穴径は、スカートなし庫内灯に対しては、ランプ外周との間に手指の挿入を不能とし、スカート部付きソケットについては、スカート部の外径よりも大きく設定したものを採用すればよい。
【0018】
また、窓穴の穴径は、ランプ発熱により軟化するのを防止できる程度、換言すれば、ランプ発熱があってもその形状を保つことができる程度の大きさに設定する必要があるが、ランプとこれを囲む樹脂製ソケット及び成形樹脂体の窓穴との間隔に着目すると、共通の窓穴はスカート付きの庫内灯のスカート部も挿入できる穴径に設定しているので、スカートなしの庫内灯を取り付ける場合、スカートの肉厚分、ランプ外周と周辺の窓穴との距離を大きく設定できるとも言える。従って、スカートなしの庫内灯の場合、スカート部付き庫内灯に比べて消費電力の大きいものを使用することができる。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明が適用される電気冷蔵庫の正面図である。図に示すように、冷蔵庫本体1は、冷凍室2および冷蔵室3が仕切り壁4によって区切られており、冷凍室2には冷凍室扉5が、冷蔵室3には冷蔵室扉6が、それぞれ取り付けられている。また、仕切り壁4には扉開閉により動作するドアスイッチ7が取り付けられている。
【0020】
図2は図1の概略的側面断面図、図3は電気冷蔵庫の電気回路図、図4は図1の詳細拡大図である。図2において、冷凍室内2には、その背面の壁の上方に冷却循環用のファンモータ8(図3参照)が設置され、その下部に冷却器9が設置されている。また、冷蔵室3の後部背面下方には、冷媒圧縮用の圧縮電動機22が設置されている。
【0021】
冷蔵室内3には、その背面の中央内壁に熱可塑性樹脂により成形された樹脂成形体10が組立配置されている。この樹脂成形体10は、庫内の背面内壁を構成すると共に、庫内側に照明室11が凹設され、照明室11の室壁を構成している。照明室11には、照明ランプ12及びソケット13からなる庫内灯14が設けられ、また、前面には、図示しない透光性を有する照明カバーが着脱自在に係着される。
【0022】
照明室11の室壁のうち、上部室壁には樹脂成形体10の裏面側に固定される庫内灯12のうち、少なくとも照明ランプ12を照明室11側に臨ませるランプ窓穴15が形成されている。この窓穴15を通して照明ランプ12が照明室11から庫内を照明するようになっている。
【0023】
照明ランプ12は、フィラメントを内包するランプ部と、ねじ込み式の口金とから構成され、ソケット13は、前記口金をねじ止めする筒状構造とされ、その外周部に樹脂成形体10の裏面に形成されたソケット取付部16に係止するための係止部17が突出形成されている。
【0024】
本実施形態では、窓穴15は、照明ランプ12の円形断面に合わせて円形に形成されている。その穴径は、複数種類の庫内灯14に対して、一つの庫内灯14bに対しては、ランプ12及びソケット13を貫通でき、かつランプ発熱による周辺の樹脂成形体10の軟化を防止できる間隙に確保できるように設定され、また、他の一つの庫内灯14aに対しては、貫通させたランプ12の外周との間に手指の挿入を不能とし、かつランプ発熱による周辺の樹脂成形体10の軟化を防止できる間隙に確保できるように設定されている。これら庫内灯14a、14bの構成については、後述する。
【0025】
また、ソケット取付部16は、樹脂成形体10の裏面で照明室11の上方室外側に樹脂成形体10と一体的に形成されている。この取付部16は、ソケット13の係止部17をねじ止めするボス部18と、係止部を位置決めする位置決めピン19とが、ソケット13の胴部を挟んだ両側に間隔をおいて配置されている。さらに、これら取付部16は、複数種の庫内灯14に対応してソケット13の長さ方向(上下方向)に複数個(2個)設置されている。
【0026】
また、樹脂成形体10の窓穴15近傍付近では、設置されるランプ12と間隔を空ける凹部21が形成され、ランプ発熱による軟化を回避するようにしている。
【0027】
庫内灯14の電気回路は、図3に示すように、電源に対して、ファンモータ8、圧縮電動機22、及びドアスイッチ7と庫内灯14の直列接続体が並列に接続されている。照明ランプ12の動作電流は約0.05A(220V印加時)である。庫内灯14は扉開によりドアスイッチ7の接点が閉となって通電制御されて発光し、また発熱する。また、庫内灯14は、扉閉によりドアスイッチ7の接点が開放されて通電停止し、消灯する。
【0028】
ここで、複数種の庫内灯14として代表的なものを挙げる。その一つ(以下、第1の庫内灯14aという)がランプ12をねじ込み式ソケット13において先端筒状のスカート部がない形式のものである。第1の庫内灯14aを取り付ける場合、照明ランプ12のみを窓穴15を通して照明室11に臨ませる取付方法となる。他の一つ(以下、第2の庫内灯14bという)は、ランプ12をねじ込み式ソケット13において先端筒状のスカート部24を備えた形式のものである。第2の庫内灯14bの取り付ける場合、ランプのみならずスカート部24をも窓穴15を通して照明室11に臨ませる取付方法となる。
【0029】
スカート部24なしソケット13を用いた第1の庫内灯14aを取り付ける場合について図5〜図8に基づいて説明する。図5は第1の庫内灯14aを組込んだ樹脂成形体の庫内側からみた図、図6は図5の平面断面図、図7は図5の裏面図、図8は図5の縦断面図である。図8において、27はIEC60335−1規格で定めた、模擬確認用の試験指(テストフィンガー)である。
【0030】
第1の庫内灯14aを取り付ける場合、国際安全規格IEC60335-1及びIEC60335-2-24によると、図8に示すように、ランプ13の外周と窓穴15の内縁との間隔Dに指が入らないことが要求される。具体的には、上記国際安全規格IEC60335-1及びIEC60335-2-24では、照明ランプ12の口金の直径の規定は無いので、一般的に用いられる照明ランプ16について説明すると、その口金直径がE12(約12mm)で、ランプ外径寸法がT20(20mm)である。この寸法の第1庫内灯14aを取り付ける場合、窓穴15との間の距離を指の入らない程度に設定する。
【0031】
一方、スカート部24有りのソケット13を用いた第2の庫内灯14bを取り付ける場合について、図9〜図12に基づいて説明する。図9は第2の庫内灯14bを組込んだ樹脂成形体の庫内側からみた図、図10は図9の平面断面図、図11は図9の裏面図、図12は図9の縦断面図である。
【0032】
第2の庫内灯14bを取り付ける場合、国際安全規格IEC60238によると、照明ランプ12の交換時に、ランプ12とソケットスカート部24とのの間に指が入らないことが要求され、スカート部24と窓穴15との間隙については規定されていない。第2の庫内灯14bは、上記国際安全規格IEC60238により、最小の照明ランプ12の口金直径がE14(約14mm)と定められているので、その最小の寸法のものを例示すると、その口金直径がE14(約14mm)で、ランプ外径寸法がT20(20mm)である。この寸法の第2の庫内灯14bを取り付ける場合、窓穴15との間隔は、スカート部24の外径よりも大きい寸法が要求される。
【0033】
従って、2種類の庫内灯14a、14bに対応する窓穴15の穴径は、その内縁と第1の庫内灯14aのランプ外径との間隙に指が入らない程度の大きさで、かつ第2の庫内灯14bのスカート部24を通すことができる程度の大きさである。
【0034】
さらに、樹脂成形体10のランプ発熱による軟化防止に配慮すれば、第1の庫内灯14aのランプ外径と窓穴15との距離は指が入らない程度で、しかも第2の庫内灯14bのソケットスカート部24の外径よりも大きく設定されている。一方、第2の庫内灯14bのランプ外径とソケット13のスカート部24の内面とは、指が入らない程度に設定されている。共通の窓穴15は、スカート付きの庫内灯14bのスカート部24も挿入できる穴径に設定しているので、スカートなしの第1の庫内灯14aを取り付ける場合、スカート24の肉厚分、ランプ外周と周辺の窓穴15との距離が大きくなるから、第1の庫内灯14aの方が第2の庫内灯14bよりもランプ発熱量を大きく設定することができる。
【0035】
そこで、本実施形態では、第1の庫内灯14a(口金直径E12)の消費電力を15Wに設定したものを使用し、第2の庫内灯14b(口金直径E14)については、第1の庫内灯14aよりも低い消費電力10Wに設定している。
【0036】
また、販売相手国によって供給電圧が異なることがある。表1は、第1の庫内灯14a及び第2の庫内灯14bについて、ランプ定格電圧、口金口径、ランプ直径、定格消費電力をまとめたものである。販売相手国に供給する場合には、その国の供給電圧に応じたランプ定格電圧のものを選定すればよい。
【0037】
【表1】
【0038】
なお、第1の庫内灯14a及び第2の庫内灯14bともに、照明ランプ12を完全に抜いた際のソケット13内の先端部への指の充電部接触は、国際安全規格IEC60335-1及びIEC60335-2-24、又は国際安全規格IEC60238の規定により適用除外となっている。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で修正・変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態では2種類の庫内灯についての説明したが、3種類以上の庫内灯についても適用できることは勿論である。また、上記実施形態では、複数種の庫内灯に対応して複数のソケット取付部を設置した例を示したが、共通のソケット取付部を使用するよう構成してもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によれば、複数種の庫内灯に対応して、ソケット取付部と共通のランプ窓穴の穴径とを設定しているので、共通の樹脂成形体を使用することができ、その分、成形金型費用を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される電気冷蔵庫の正面図である。
【図2】図1に示す電気冷蔵庫の側面断面図である。
【図3】本実施形態の電気冷蔵庫の電気回路図である。
【図4】本実施形態の庫内構造を示す正面図である。
【図5】第1の庫内灯を組立てた樹脂成形体の庫内側からみた図である。
【図6】図5の平面断面図である。
【図7】図5の裏面図である。
【図8】図5の縦断面図である。
【図9】第2の庫内灯を組立てた樹脂成形体の庫内側からみた図である。
【図10】図9の平面断面図である。
【図11】図9の裏面図である。
【図12】図9の縦断面図である。
【符号の説明】
1 冷蔵庫本体
2 冷凍室
3 冷蔵室
4 仕切り壁
5 冷凍室扉
6 冷蔵室扉
7 樹脂成形樹脂成形体
8 冷却用ファンモータ
9 冷却器
10 樹脂成形体
12 ランプ
13 ソケット
14 庫内灯
15 窓穴
16 取付部
24 スカート部
Claims (5)
- 照明ランプ及びソケットからなる庫内灯を取り付ける樹脂成形体を備え、前記樹脂成形体は、複数種の庫内灯に対応して、前記ソケットを取り付けるソケット取付部と、照明ランプを照明室に臨ませる共通のランプ窓穴とを備え、
前記複数種の庫内灯は、その一つがランプねじ込み式のソケットに先端筒状のスカート部がない形式の第1の庫内灯であり、他の一つが、ランプねじ込み式ソケットに先端筒状のスカート部を備えた形式の第2の庫内灯であり、第1の庫内灯がランプのみを前記窓穴を通して照明室に臨むよう配置され、第2の庫内灯は、スカート部も前記窓穴を通して照明室に臨むよう配置され、
前記窓穴の穴径は、前記ソケット取付部にソケットを取り付けたとき、第1の庫内灯に対しては、ランプ外周との間に手指の挿入を不能とする大きさで、かつ第2の庫内灯に対しては、スカート部を通すことができる大きさに設定されたことを特徴とする冷蔵庫の庫内灯取付装置。 - 前記樹脂成形体は、庫内に形成された照明室の室壁をも構成するよう一体成形され、前記ランプ窓穴が照明室の室壁に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫の庫内灯取付装置。
- 前記ソケット取付部は、第1の庫内灯および第2の庫内灯に対応してソケットの長さ方向に複数個設置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫の庫内灯取付装置。
- 第1の庫内灯の消費電力が第2の庫内灯の消費電力よりも大きく設定されたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫の庫内灯取付装置。
- 前記窓穴の穴径が庫内灯のランプ発熱により軟化しない程度の大きさに設定されたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫の庫内灯取付装置。
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