JP4075458B2 - 指紋照合装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はユーザの指紋画像を用いて本人認証を行う、指紋照合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話装置やパーソナルコンピュータ等の情報装置において、ネットワークの進展に伴い、その活用に際しての個人に関わる情報の保護を目的としたユーザ認証に関する技術が重要になってきている。
【0003】
このユーザ認証の方法として、従来から用いられてきたユーザそれぞれのパスワードによる方法に代わり、バイオメトリクスを用いた認証方法が広く用いられてきている。その中でも、もっとも広く使用されているのは、ユーザの指紋画像を採取して、これをあらかじめ登録された指紋画像と照合して本人認証を行う、指紋照合装置である。
【0004】
このような指紋照合装置を用いた認証方式の場合、指先の状態が時と場合によって変動するので、常に良好な指紋画像を採取することは難しかった。例えば、手を洗った直後で指が濡れていたり、逆に異常に乾いている場合には、良好な指紋画像が取得できない。また、指を光学プリズムや、静電容量素子等の検出手段に押し当てる際の押圧力が不足したり、過剰であったり、指紋画像取得時に指がぶれたりした場合にも良好な指紋画像を取得できず、安定した指紋画像の取得が指紋照合装置の大きな課題となっていた。
【0005】
このため、従来の指紋照合装置においては、入力された指紋画像の画質の良否判定を照合や登録に先立って行い、その画質が悪い場合には、照合や登録を行わず、ユーザに再入力を要求して、改めて指紋画像を入力するように構成されていた。これにより、画質が悪いと判定された指紋画像は、照合や登録等に用いられることがないので、本人認証の照合精度を向上することが可能であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような指紋照合装置を実現するために、従来から、指紋画像の画質を判定する技術として、例えば、指紋画像から分岐、点、または切れ等の識別情報となる特徴点を検出し、その数によって、指紋のつぶれ、あるいはかすれを判定する方法が提案されている(例:特開平8−129644号公報)。このような方法によれば、例えば隆線が完全につぶれて、輝度の差が殆ど無い場合には特徴点を抽出することがきわめて困難となり、往々にして、指紋画像のつぶれそのものを正確に判定することができないことがあった。また、このような方法を、識別情報として、周波数分布等の、特徴点や特徴量以外の情報を用いた指紋照合装置に用いた場合には、特徴点を算出するという演算量の大きな演算を別途行う必要があり、これが装置の負荷を大きくし、ひいては装置の大型化につながっていた。
【0007】
また、指紋画像を小領域に分割し、小領域の輝度がある値に偏っている場合、その領域では隆線がつぶれていると判定する方法が提案されている(例:特開平10−187983号公報)。この方法によれば、現実には小領域内の隆線が完全につぶれていない場合でも、その輝度分布が偏っている場合にはつぶれていると判定されてしまうことがあり、ユーザにとっては必要以上に再入力が要求され、負担が増えてしまうという課題があった。さらに、この方法では指紋がかすれている場合の判定をすることができないという課題もあった。
【0008】
さらに、これら従来の技術では、適切な指紋画像を得ることができない場合に、なぜ適切な画像を得ることができないのかという画質悪化要因が明確化されず、またユーザに対して適切に誘導が行われないために、ユーザはなんら有効な対策を講じないまま、指紋照合装置の指示通り、単に何度も入力を繰り返すこととなり、結局ユーザの負担が大きくなってしまう、という課題が生じた。
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、再入力の要求を最小限に抑えるべく、高い認証率の本人認証を行える良好な指紋画像を取得することができる指紋照合装置を提供すると共に、その指紋画像の画質悪化要因の特定が可能で、再入力の際に、ユーザに対して次はどのように入力するべきかを適切に誘導、指示することができ、ユーザの負担を少なくすることができる指紋照合装置を提供することを目的とする。また、識別情報として、周波数分布等の特徴点や特徴量以外の情報を用いる構成においても好適な、演算量の少ない指紋照合装置を提供することも本発明の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の指紋照合装置は、登録すべき指紋画像が入力される画像入力部と、指紋画像を複数の小領域に分割し、有効な情報を含む小領域を検出して指紋領域とし、指紋領域を構成する小領域毎に隆線方向を算出すると共に、指紋画像の画質を判定し、良画像であると判定された場合に、指紋画像を出力する画質判定部と、画質判定部で算出された隆線方向を、小領域毎に記憶する記憶部と、記憶部に記憶された隆線方向にもとづいて、画質判定部から出力された指紋画像の中心点を算出し、中心点周辺の所定領域を切り出した画像情報を出力する画像切出部と、画像切出部から出力された画像情報に対して、輝度補正、および、隆線方向にもとづいた平滑化補正を行い、出力する画像補償部と、画像補償部から出力された画像情報から、照合に用いるべき識別情報を算出して、出力する演算部と、演算部から出力された識別情報を格納する識別情報格納部とを備え、画質判定部は、指紋領域の内で、隆線の方向を求めることが不可能な小領域を、方向検出不可能領域として検出し、画質判定部は、さらに、方向検出不可能領域の画像を二値化し、方向検出不可能領域を構成する小領域毎に、値が0の画素数が小領域を構成する全画素数に対して占める割合が所定の比率以上の場合に、小領域を隆線がつぶれている隆線つぶれ領域として検出し、画質判定部は、さらに、隆線つぶれ領域の数が、指紋領域を占める小領域の数に対して所定の比率以上を占める場合に、指紋画像が不良情報であると判定することを特徴としている。
【0011】
このような構成により、画質判定部によって良画像と判定された画像について、輝度補正や平滑化補正した指紋画像を用いて識別情報格納部に登録することができるので、本人認証率の高い指紋照合装置を得ることができる。
また、一度算出した小領域毎の隆線方向を記憶部に格納し、それを用いて指紋領域の中心点の算出や、平滑化補正を行うので、全体の演算量が少なくて済む。
また、画質判定をより効率的に定量的に行うことが可能になると共に、輝度補正等の画質調整を行う際に、小領域毎に選択的に処理を行うことができる。
【0012】
また、簡易な演算によって隆線つぶれ領域を検出することが可能である。
また、指紋を入力する際の指の濡れや、押圧力が大きすぎる場合に、指紋画像がつぶれた際の不良画像を効率的に検出することが可能である。
【0013】
次に、本発明の指紋照合装置は、登録すべき指紋画像が入力される画像入力部と、指紋画像を複数の小領域に分割し、有効な情報を含む小領域を検出して指紋領域とし、指紋領域を構成する小領域毎に隆線方向を算出すると共に、指紋画像の画質を判定し、良画像であると判定された場合に、指紋画像を出力する画質判定部と、画質判定部で算出された隆線方向を、小領域毎に記憶する記憶部と、記憶部に記憶された隆線方向にもとづいて、画質判定部から出力された指紋画像の中心点を算出し、中心点周辺の所定領域を切り出した画像情報を出力する画像切出部と、画像切出部から出力された画像情報に対して、輝度補正、および、隆線方向にもとづいた平滑化補正を行い、出力する画像補償部と、画像補償部から出力された画像情報から、照合に用いるべき識別情報を算出して、出力する演算部と、演算部から出力された識別情報を格納する識別情報格納部とを備え、画質判定部は、指紋領域の内で、隆線の方向を求めることが不可能な小領域を、方向検出不可能領域として検出し、画質判定部は、さらに、方向検出不可能領域の画像を二値化し、方向検出不可能領域を構成する小領域毎に、値が1の画素数が小領域を構成する全画素数に対して占める割合が所定の比率以上の場合に、小領域を隆線がかすれている隆線かすれ領域として検出し、画質判定部は、さらに、隆線かすれ領域の数が、指紋領域を占める小領域の数に対して所定の比率以上を占める場合に、指紋画像が不良情報であると判定することを特徴としている。
【0014】
このような構成により、画質判定部によって良画像と判定された画像について、輝度補正や平滑化補正した指紋画像を用いて識別情報格納部に登録することができるので、本人認証率の高い指紋照合装置を得ることができる。
また、一度算出した小領域毎の隆線方向を記憶部に格納し、それを用いて指紋領域の中心点の算出や、平滑化補正を行うので、全体の演算量が少なくて済む。
また、画質判定をより効率的に定量的に行うことが可能になると共に、輝度補正等の画質調整を行う際に、小領域毎に選択的に処理を行うことができる。
【0015】
また、簡易な演算によって隆線かすれ領域を検出することが可能である。
また、指紋を入力する際の指が異常に乾いていたり、撮像時に指が動いてぶれたりしたような場合に、指紋画像がかすれた際の不良画像を効率的に検出することが可能である。
【0016】
次に、本発明の指紋照合装置は、照合すべき指紋画像が入力される画像入力部と、指紋画像を複数の小領域に分割し、有効な情報を含む小領域を検出して指紋領域とし、指紋領域を構成する小領域毎に隆線方向を算出すると共に、指紋画像の画質を判定し、良画像であると判定された場合に、指紋画像を出力する画質判定部と、画質判定部で算出された隆線方向を、小領域毎に記憶する記憶部と、記憶部に記憶された隆線方向にもとづいて、画質判定部から出力された指紋画像の中心点を算出し、中心点周辺の所定領域を切り出した画像情報を出力する画像切出部と、画像切出部から出力された画像情報に対して、輝度補正、および、隆線方向にもとづいた平滑化補正を行い、出力する画像補償部と、あらかじめ登録された、照合に用いるべき識別情報が格納された識別情報格納部と、画像補償部から出力された画像情報から識別情報を算出し、識別情報格納部に格納された識別情報と比較し、照合を行う演算部とを備え、画質判定部は、指紋領域の内で、隆線の方向を求めることが不可能な小領域を、方向検出不可能領域として検出し、画質判定部は、さらに、方向検出不可能領域の画像を二値化し、方向検出不可能領域を構成する小領域毎に、値が0の画素数が小領域を構成する全画素数に対して占める割合が所定の比率以上の場合に、小領域を隆線がつぶれている隆線つぶれ領域として検出し、画質判定部は、さらに、隆線つぶれ領域の数が、指紋領域を占める小領域の数に対して所定の比率以上を占める場合に、指紋画像が不良情報であると判定することを特徴としている。
【0017】
このような構成により、指紋画像を用いて認証を行う前に画質判定を行って、良画像と判定された指紋画像を用いて本人認証を行うので、認証率の高い指紋照合装置を得ることができる。
さらに、輝度補正や平滑化等の画像補償を本人認証より先に行うことにより、認証率の高い指紋照合装置を得ることができる。
さらにまた、一度算出した領域毎の隆線方向を記憶部に格納し、それを用いて指紋領域の中心点の算出や、平滑化補正を行うので、全体の演算量が少なくて済む。
また、画質判定をより効率的に定量的に行うことが可能になると共に、輝度補正等の画質調整を行う際に、小領域毎に選択的に処理を行うことができる。
【0018】
また、簡易な演算によって隆線つぶれ領域を検出することが可能である。
また、指紋を入力する際の指の濡れや、押圧力が大きすぎる場合に、指紋画像がつぶれた際の不良画像を効率的に検出することが可能である。
【0019】
次に、本発明の指紋照合装置は、照合すべき指紋画像が入力される画像入力部と、指紋画像を複数の小領域に分割し、有効な情報を含む小領域を検出して指紋領域とし、指紋領域を構成する小領域毎に隆線方向を算出すると共に、指紋画像の画質を判定し、良画像であると判定された場合に、指紋画像を出力する画質判定部と、画質判定部で算出された隆線方向を、小領域毎に記憶する記憶部と、記憶部に記憶された隆線方向にもとづいて、画質判定部から出力された指紋画像の中心点を算出し、中心点周辺の所定領域を切り出した画像情報を出力する画像切出部と、画像切出部から出力された画像情報に対して、輝度補正、および、隆線方向にもとづいた平滑化補正を行い、出力する画像補償部と、あらかじめ登録された、照合に用いるべき識別情報が格納された識別情報格納部と、画像補償部から出力された画像情報から識別情報を算出し、識別情報格納部に格納された識別情報と比較し、照合を行う演算部とを備え、画質判定部は、指紋領域の内で、隆線の方向を求めることが不可能な小領域を、方向検出不可能領域として検出し、画質判定部は、さらに、方向検出不可能領域の画像を二値化し、方向検出不可能領域を構成する小領域毎に、値が1の画素数が小領域を構成する全画素数に対して占める割合が所定の比率以上の場合に、小領域を隆線がかすれている隆線かすれ領域として検出し、画質判定部は、さらに、隆線かすれ領域の数が、指紋領域を占める小領域の数に対して所定の比率以上を占める場合に、指紋画像が不良情報であると判定することを特徴としている。
【0020】
このような構成により、指紋画像を用いて認証を行う前に画質判定を行って、良画像と判定された指紋画像を用いて本人認証を行うので、認証率の高い指紋照合装置を得ることができる。
さらに、輝度補正や平滑化等の画像補償を本人認証より先に行うことにより、認証率の高い指紋照合装置を得ることができる。
さらにまた、一度算出した領域毎の隆線方向を記憶部に格納し、それを用いて指紋領域の中心点の算出や、平滑化補正を行うので、全体の演算量が少なくて済む。
また、画質判定をより効率的に定量的に行うことが可能になると共に、輝度補正等の画質調整を行う際に、小領域毎に選択的に処理を行うことができる。
【0021】
また、簡易な演算によって隆線かすれ領域を検出することが可能である。
また、指紋を入力する際の指が異常に乾いていたり、撮像時に指が動いてぶれたりしたような場合に、指紋画像がかすれた際の不良画像を効率的に検出することが可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態として、指紋照合装置の構成の一例を詳細に説明する。
【0034】
図1は本発明の実施の形態における、指紋照合装置10の構成を表すブロック図である。
【0035】
本実施の形態の指紋照合装置10は、ユーザの指紋画像が入力される、静電容量式や光学式のデバイスからなる画像入力部1、画像入力部1から出力された指紋画像を小領域に分割し、その小領域毎の隆線方向の算出を行うと共に、指紋画像の画質を判定する画質判定部2、画質判定部2で算出された、小領域毎の隆線方向に関する情報を記憶する記憶部8、指紋画像のうち、有効な情報を含む指紋領域を切り出した画像情報を出力する画像切出部3、画像切出部3から出力された画像情報に対して輝度補正および平滑化処理等を行い、登録や照合処理に適するように画像情報の前処理を行う画像補償部4、指紋画像から算出された照合に用いるべき識別情報を格納した識別情報格納部7、および、識別情報格納部7と接続され、識別情報格納部7に格納された識別情報と、画像補償部4から出力された画像情報から算出された識別情報とを照合して本人認証を行う演算部5、ならびに、画質判定部2および演算部5とに接続された、LCD、EL等の表示装置で構成される表示部6を有する。
【0036】
次に本実施の形態の指紋照合装置10における、処理フローについて説明する。図2は本発明の実施の形態による、指紋照合装置10の処理フローを表すフローチャートである。
【0037】
まずユーザが静電容量式や、光学式等のセンサからなる画像入力部1に触れることによって図3に示すような多階調(多値)の指紋画像41が取得される(ステップSP1)。指紋画像41においては、指紋がセンサに触れている部分即ち隆線部分がより暗く、それ以外の指紋が触れていない部分はより明るい画像に撮像されている。なお、本発明の指紋照合装置においては、その画像入力部1の入力方式を限定するものではない。
【0038】
次に、画質判定部2では画像入力部1によって得られた指紋画像41を小領域に分割して、その小領域毎の隆線方向を算出して、その結果を記憶部8に記憶すると共に、指紋画像41の画質を判定する(ステップSP2)。画質判定部2において、画質が良いと判断されれば、画像切出部3による、画像情報の切り出し処理(ステップSP3)へ進む。一方、画質判定部2において画質が悪いと判定された場合には、表示部6に画質不良である旨を表示し、ユーザに再入力を促す(ステップSP7)。画質判定部2における処理の詳細については、後述する。
【0039】
画質判定部2において、画質が良いと判断されれば、画像切出部3は、記憶部8に格納された、小領域毎の隆線方向に関する情報を用いて、指紋画像41の中心点を検出し、中心点を中心として所定の範囲に位置する小領域の画像情報を、指紋画像41から切り出す(ステップSP3)。同一ユーザの同じ指でも、指紋画像41を取得する際に、毎回同じ場所が画像として得られるわけではなく、認証のために使用する都度、その指先を当てる位置がばらついてしまうことは避けられない。このため、中心点を中心として切り出すことで、同じ指紋であれば常に同じ範囲の画像情報だけを切り出すことができ、指紋の照合精度が向上する。
【0040】
続いて、画像補償部4は、画像切出部3によって切り出された画像情報に対して、指紋の隆線の描くパターンを強調するため、輝度補正や画像の平滑化補正等を行う(ステップSP4)。画像補償部4における処理内容の詳細については後述する。
【0041】
次に、演算部5は、画像補償部4から出力された画像情報から、照合に用いるべき、識別情報の算出を行う(ステップSP5)。
【0042】
本発明は、このステップSP5において算出される識別情報の種類を限定するものではないが、例えば、切れ、分岐、点等の特徴点の位置または数(特徴量)、周波数分析を行った結果算出される周波数スペクトル分布、または、ケプストラム解析等を行った結果等の公知の識別情報を用いることができる。
【0043】
続いて、ユーザの登録を行う際には、登録されるべきユーザの指紋画像41を基に算出された識別情報が、演算部5から識別情報格納部7に対して送信され、識別情報格納部7に格納される。一方、ユーザの本人照合(認証)を行う際には、演算部5において、照合されるべきユーザの指紋画像41をもとに算出された識別情報と、識別情報格納部7にあらかじめ格納された識別情報とを照合し、入力された指紋画像41が登録されたユーザのものであるか否かを判定する(ステップSP6)。演算部5での判定結果は、表示部6に表示されて、ユーザに伝達される。
【0044】
次に、画質判定部2における処理について、詳細に説明する。
【0045】
図4は画質判定部2での処理を示したフローチャートである。図4において、まず画質判定部2は、画像入力部1から出力された指紋画像42を、図5(a)に示したように複数の小領域43に分割する(ステップSP8)。なお、ここで、説明を簡単にするために、指紋画像42は簡略化し、概念的にしたものを示している。また、小領域43への分割についても、実際には、縦×横=512×256画素の画像を、8×8画素毎の縦×横=64×32個の小領域に分割して処理を行うが、ここでは説明を簡単にするために、縦×横=80×64画素の画像を、8×8画素毎の縦×横=10×8個の小領域43に分割した例を示している。
【0046】
次に、先程分割された各小領域43について、隆線が撮像されていると検知された小領域43を抽出する(ステップSP9)。この結果、図5(b)に示したように、斜線で囲まれた領域を、隆線が撮像されている指紋領域44であると判定する。
【0047】
次に、ステップSP9で抽出された、指紋領域44を構成する小領域43毎に、隆線方向を求める。これは、任意の方向を向いたフィルタを8方向分作成し、各小領域43を構成する画素に対し、画素毎に各フィルタを用いてフィルタリングすることによって行う(ステップSP10)。その結果、画素毎に隆線方向を8方向のうちのどの方向であるかを算出し、領域内で最も多い画素数を占める方向をその小領域43の方向として決定する(ステップSP11)。
【0048】
この処理について、図6および図7を用いて説明する。図6は、小領域43毎に隆線方向を決定するための、8方向のフィルタ21〜28の構成の一例を示す図である。
【0049】
図6に示したフィルタ21〜28は、中心にある注目画素に対して、ハッチングした画素(2画素)間の輝度値の差分の絶対値をとるようにフィルタリングを行うデジタルフィルタである。
【0050】
以下、図5(a)の小領域Sについて、隆線方向を算出する場合を例として説明する。
【0051】
図7に示したように、小領域Sを画素毎に見た場合の拡大図が図7(a)であるとした場合、この小領域Sを構成する全画素の輝度情報に対して、1画素ずつ、前述のフィルタ21〜28を順次用いたフィルタリング演算を行って、隆線方向を決定する。
【0052】
例えば、ある注目画素Tおよび周辺画素(縦×横=3画素×3画素の領域)の輝度値が図7(b)に示すような関係にある場合、注目画素Tについて、まずは図6に示した8種類のフィルタ21〜28を順次用いてフィルタリングを行って、フィルタ毎に、それぞれの方向に対応した値を算出する。
【0053】
例えば、フィルタ21を用いた場合には、フィルタ21は注目画素Tの両隣の画素の輝度値の差分の絶対値をとるフィルタであるので、フィルタリングの結果は、
|141−68|=73
となり、この値が方向D1、即ち水平方向についての演算値となる。
【0054】
方向D1(水平方向:0°) :141−68=73 (フィルタ21)
同様に、フィルタ22〜28を順次用いて演算を行うと、
方向D2(22.5°) :68−20=48 (フィルタ22)
方向D3(45°) :22−20=2 (フィルタ23)
方向D4(67.5°) :22−13=9 (フィルタ24)
方向D5(垂直方向:90°):130−13=117 (フィルタ25)
方向D6(112.5°) :130−123=7 (フィルタ26)
方向D7(135°) :156−123=33 (フィルタ27)
方向D8(157.5°) :156−68=88 (フィルタ28)
となり、方向D3の演算値、即ちフィルタ23を用いてフィルタリングした値(この場合は“2”となる)が最も小さいので、この注目画素Tについての方向を方向D3(45°)と決定する。なお、どの方向にも輝度変化が少ない場合には、方向を算出しないでその画素については隆線方向が算出不可能として終了する。
【0055】
このようにして、小領域Sを構成する全画素について隆線方向を算出する。図7(c)はその算出された隆線方向を全画素についてプロットしたものである。次に、この算出された隆線方向のうち、小領域S内で最も多い隆線方向を用いて、その小領域Sの隆線方向として決定する。
【0056】
例えば、図7(c)に示したような結果の場合、算出された隆線方向と画素数との関係が、
方向D1(0°) 10画素
方向D2(22.5°) 10画素
方向D3(45°) 16画素であり、
この結果、この小領域Sの隆線方向を、方向D3(45°)である、と決定することができる(ステップSP11)。
【0057】
ただし、最も多く得られた方向成分でも、その方向成分となる画素の絶対数が所定の数以下である場合は、その小領域43を方向検出不可能領域として、出力する(ステップSP11)。
【0058】
以上のようにして得られた各小領域43の方向成分、および方向検出不可能領域45の一例を図8に示す。ここでは隆線方向は前述のように8方向に分類され、紙面に対して水平方向(0°)、水平方向に対して22.5°、45°、67.5°、90°、112.5°、135°、157.5°のうちいずれか一つの方向を示している。また、方向検出不可能領域45を斜線で示している。
【0059】
このように算出された各小領域43毎の隆線方向データは、指紋照合装置10における記憶部8に送られ、記憶部8内部に記憶され、以降の処理にも随時用いられる。これによって、指紋照合装置10全体の演算量を少なくすることができる。
【0060】
再び図4に戻って、画質判定部2は、方向検出不可能領域45の指紋領域44に占める割合が所定の割合以上か否かを判断し(ステップSP12)、所定の割合以上であれば、不良画像と判定して、ユーザに指紋画像の再入力を促す(ステップSP17)。一方、所定の割合以下の場合には、良画像と判定して、画質判定部2での処理を終了して、次の画像切出部3での処理が行われる(ステップSP15)。
【0061】
なお、ステップSP12において、画質の判定に用いる方向検出不可能領域45の指紋領域44に占める所定の割合は、画像入力部1に用いるセンサの種類や、湿度等によっても異なるが、大体10%から30%までの範囲に設定しておくことにより、良好に良画像および不良画像の判別ができることが分かった。
【0062】
さらに、図9に、画質判定部2における別の処理フローを示す。この処理フローでは、方向検出不可能領域45を検出(ステップSP11)した後、画質判定部2は、方向検出不可能領域45の各小領域毎に指紋の状態を判定(ステップSP13)し、方向検出不可能領域45毎に、その方向検出が不可能になった原因を特定(ステップSP14)する。
【0063】
具体的には、方向検出不可能領域45の画像が、黒くつぶれているのか、あるいは白くかすれているのかを検出する。
【0064】
このため、例えば図10に示したような、指紋画像42の二値化画像46を作成し、各方向検出不可能領域45毎に二値化画像46の同じ位置の小領域43と比較して、その同じ小領域43内において、全画素数に対する、二値化画像46の黒画素(出力:“0”)の割合を算出し、その割合が所定の比率より大きければその方向検出不可能領域45を黒つぶれ領域と判定し、逆に全画素数に対する白画素(出力:“1”)の割合が、所定の比率より大きければ、その方向検出不可能領域45をかすれ領域と判定することで、各方向検出不可能領域45毎に、その状態を検出する。
【0065】
また、この黒つぶれ領域、およびかすれ領域のどちらにも含まれないと判断される場合もあり、これはその方向検出不可能領域45内で極端に隆線の方向が曲がっていたり、点となっている場合のためであると要因を決定できる。
【0066】
つぶれ、かすれの判別は、例えば本実施の形態の場合、各小領域43を形成する画素数は、8×8の計64画素であるが、このうち80%以上が黒ならば、黒つぶれ領域と判断し、逆に80%以上が白ならば、かすれ領域と判断し、そのどちらでもないものは、その他、その小領域43内で極端に隆線の方向が曲がっていたり、点であったりする場合であると判定を行う。画像入力部1を構成するセンサや、外部の環境等によって、この所定の割合は、70%から90%までの値に設定することにより、良好につぶれ画像およびかすれ画像を検出できる。
【0067】
次に、これらの手順を全ての方向検出不可能領域45を構成する小領域について行うことにより、黒くつぶれている小領域、および白くかすれている小領域の数をカウントして画質悪化要因を特定する(ステップSP14)。
【0068】
即ち、これらの黒くつぶれている小領域、または白くかすれている小領域の数と、指紋領域44を構成する小領域の数との比率が所定以上の場合、指紋画像をつぶれ画像、またはかすれ画像と判定することができる。この所定の比率は、実験によれば、おおよそ、黒つぶれ領域、またはかすれ領域が指紋領域44に対して占める割合が、10%以上の場合に、つぶれ画像、またはかすれ画像として不良画像であると判定することが好適である(ステップSP16)。この割合も、画像入力部1を構成するセンサの特性や、環境等の要因によって、5%から20%までの値に設定することにより、良画像と不良画像を良好に判別することが可能となる。
【0069】
ステップSP16でつぶれ画像と判定された場合、表示部6に、指紋画像がつぶれていることをユーザに警告するメッセージを表示すると共に、再度入力を促す際に、どのように入力するべきかのガイド(「指を拭いて再度入力してください」や「もう少し指を弱く当ててください」等)を表示することによってユーザが適切な入力を行うことが可能となり、確実な認証を行うことができる(ステップS17)。
【0070】
同様に、かすれ画像と判定された場合も表示部6にかすれていることをユーザに警告するメッセージを表示すると共に、再度入力を促す際に、どのように入力すべきかのガイド(「もう少し指を強く当ててください」等)を表示することも可能となる。
【0071】
一方、画質判定部2で画像が良画像であると判定された場合(ステップSP16)、図9の画像切出部3処理(ステップS15)に進み、画質判定部2での処理を終了する。画像切出部3では、次に述べるステップで指紋画像の切り出し処理が行われる。
【0072】
画像切出部3においては、まず、図11に示したように、指紋画像42の中心位置を求める。図11に示した例では、先程、画質判定部2で算出され、記憶部8に格納された、各小領域43毎の隆線方向の情報を用いる。各小領域43の隆線方向の、垂直成分、および水平成分を算出して、それぞれを垂直方向に隣り合う小領域43同士、および水平方向に隣り合う小領域43同士加算して、各列、各行毎に分布を算出する。次に各分布のピーク点を算出し、それぞれのピーク点を結んだ点を指紋画像の中心位置PPとして決定する。
【0073】
次に、画像切出部3では、図12に示したように、決定された中心位置PPを中心として所定の範囲の画像情報47を切り出す。ここでは、指紋画像42を構成する画素数が縦×横=512×256画素に対して、300×200画素を切り出す例を示す。このように切り出しを行うことによって、同じ指紋画像42であれば、情報が取得されたときの条件等に関わらず、照合に用いる画像情報47の大きさを揃えることが可能である。
【0074】
再度図2に戻って、画像切出部3による画像切り出し(ステップSP3)が終了すると、画像補償部4による輝度補正(隆線強調)および平滑化補正処理に移る(ステップSP4)。次に、この画像補償部4における処理について、詳細に説明する。
【0075】
画像補償部4では、例えば、図12に示した画像情報47を、図13に示したような複数の中領域48に分割する(便宜上、中領域と呼ぶが、前述の小領域との大きさの相関を限定するものではなく、いかなる大きさの領域に分割してもよい)。ここでは、縦方向のみについて分割しているが、どのような分割の仕方であってもよい。各中領域48について、輝度ヒストグラムをとり、その分布が一定分布になるように輝度を補正する。
【0076】
即ち、ある中領域48における、輝度に対する画素数の関係、即ち輝度ヒストグラムが図14(a)に示したような関係である場合、これを輝度の階調を落して(例えば256階調→64階調)、図14(b)に示したような関係、即ち輝度ヒストグラムがほぼ一定になるように補正することで、輝度補正(コントラスト調整)を行う。
【0077】
より具体的に説明する。図14(a)に示した輝度ヒストグラムを全積分すると、中領域48を構成する画素数と等しくなる。例えば、中領域48を構成する画素がN画素の場合、図14(a)に示した輝度ヒストグラムを全積分した値は、Nとなる。
【0078】
輝度補正は、図14(a)の輝度ヒストグラム(256階調)を階調0から順に積分して、面積が、(N/64)になる階調Tを算出し、階調0〜階調Tまでの画素について、階調を1に補正する。以後、面積(N/64)毎にこれを繰り返して、図14(b)の輝度ヒストグラムになるように輝度補正を行う。
【0079】
このような輝度補正を行うことにより、図15(a)に示したような画像情報49を、図15(b)に示したような、全領域において、良好なコントラストの画像情報50になるように輝度補正することができる。
【0080】
このような輝度補正は、中領域48を構成する全小領域について行ってもよいし、各中領域48中で、画質判定部2によって指紋領域44と判定された小領域についてのみ輝度補正を行ってもよい。この場合、指紋領域44と判定されない領域、即ち背景等の輝度値の影響を受けることの少ない輝度補正が行える。
【0081】
また、この輝度補正を、各中領域48内の、画質判定部2によって方向検出不可能領域45と判定された小領域を除いた小領域について行う構成であってもよい。この場合、方向検出不可能領域45の黒つぶれや、かすれ等の影響を受けることの少ない輝度補正を行うことができる。
【0082】
さらに、この輝度補正を、各中領域48で、画質判定部2によって、隆線方向が検出された小領域のみに対して行う構成であってもよい。この場合、背景等の指紋領域44と判定されない部分、および、つぶれ、かすれ等の方向検出不可能領域45双方の影響を受けることの少ない輝度補正を行うことができる。
【0083】
さらに、ある中領域48について輝度補正を行う際に、その周辺の中領域48も含めて輝度ヒストグラムをとって、その結果を目的とする中領域48の輝度補正に反映させる構成であってもよい。即ち、図13において、領域Pの輝度補正を行う場合に、領域Pに加えて、領域Oおよび領域Qも含めた領域の輝度ヒストグラムを取り、その結果を領域Pの輝度補正に反映する。
【0084】
この構成によれば、中領域48毎の輝度のバラツキが少ない、より画像全体の輝度の連続性の高い輝度補正を行うことが可能である。
【0085】
これらの輝度補正処理を全ての中領域48について行うことで、画像情報全体の輝度のムラが補正され、全体的に隆線の濃淡がはっきりした画像になる。
【0086】
次に、画像情報の平滑化処理について説明する。同じく図2のステップSP4に戻って、画像補償部4が、輝度補正された画像情報50の平滑化処理を行う。この平滑化処理は、指紋パターンを用いて本人認証を行う際に、周波数解析法やケプストラム解析法等、特徴点を識別情報として用いない照合方法を用いた指紋照合装置において、最も高い効果を奏する。
【0087】
画像情報の平滑化処理を行う時は、通常、縦横一定にぼかす方法が用いられることが多いが、本発明においては、画質判定部2で算出した各小領域43の隆線方向の情報を用いて、その方向に平行な方向にぼかす手法を用いる。ただし、方向検出不可能領域45では縦横一定にぼかす。このようにすることで、隆線の構造を失うことなくノイズの除去を行うことが可能となる。
【0088】
平滑化処理は、各小領域43の隆線方向に応じて、図16にその一例を示したような、縦×横=5×5画素の8種類の方向毎のフィルタ31〜38から、記憶部8に格納された各小領域43の隆線方向に応じてフィルタを選択し、選択されたフィルタを用いて、各小領域43を構成する全画素にフィルタリングすることによって行う。
【0089】
図16に示したフィルタ31〜38において、それぞれのフィルタの中心の画素が注目画素であり、注目画素の輝度値について、周辺画素も含めて各画素毎に付与された係数にもとづいて重み付けし、注目画素の値を決定する。なお、図16において、係数が記載されていない画素には、係数“0”が格納されているものとする。
【0090】
具体的には、例えば、フィルタ31(方向D1)においては、図16に示したように、中心の注目画素Eの輝度値に係数“8”を積算し、周辺の画素にも画素毎にそれぞれ、係数“2”、“8”、または“0”を積算して、合計した数を、フィルタを構成する各係数の総和、即ちこの例では(8+4×2+2×6=28)で除算して、中心の注目画素Eの輝度値として決定する。
【0091】
このような平滑化処理を、小領域43を構成する全ての画素について行う。
【0092】
さらに、方向検出不可能領域45については、全方向に一定にぼかすことのできる縦×横=3×3画素のフィルタ39を用いる。
【0093】
このような平滑化処理を行うことによって、画像情報の隆線方向の情報を失うことなく、急激な輝度変化のない、ノイズの少ない画像情報に平滑化することができる。
【0094】
図17に平滑化補正した画像情報の一例(一つの小領域について示したもの)を示す。画像情報51が平滑化補正前の画像情報であり、画像情報52が平滑化補正後の小領域の画像情報である。図17に示した例では、画像情報51の小領域の隆線方向が方向D2(22.5°)であり、フィルタ32を用いて平滑化補正を行った。この結果、図17の画像情報52に示したように、画像情報51の隆線の情報を失うことなく、ノイズ成分を低減することができた。
【0095】
これにより、以降の演算部5における照合、または登録の際(ステップSP6)に、高い認証率を実現できる、ノイズ等の少ない画像情報52を提供することができる。この平滑化補正は、周波数解析法やケプストラム解析法等、特徴点を識別情報として用いない照合方法を用いた指紋照合装置において、特に有効である。
【0096】
次に、図2に戻って、以上のようにして得られた画像情報52が演算部5に入力されて、照合に用いるべき特徴量や、周波数分布等の識別情報の算出が公知の方法で行われる(ステップSP5)。
【0097】
次に、演算部5では、識別情報格納部7に格納された、あらかじめ登録された周波数分布や特徴量等の認証情報と、ステップSP5において算出された識別情報とを比較して、本人認証を行う(ステップSP6)。
【0098】
上述したような輝度補正および平滑化補正等の前処理が行われていることによって、演算部5には質が良く、同じ指紋からの画像情報なら常に同じ領域の画像情報を含む情報が切り出され、さらに適切な輝度調整を行われた画像情報が入力されるため、演算部5での照合の精度を従来と比較して飛躍的に向上させることが可能である。
【0099】
さらに、上述したような前処理を、認証時のみならず、ユーザの指紋画像を登録する際にも行って、その識別情報を識別情報格納部7に格納することにより、指紋照合による本人認証に用いる基準となる識別情報を、精度良いものにすることが可能である。このように、登録時、認証時に本実施の形態で述べたような、画質悪化要因の特定や、輝度補正、および平滑化処理を行うことにより、認証率の高い、高精度な指紋認証装置を得ることが可能である。
【0100】
なお、本発明は、実施の形態に示したフィルタの係数、階調数、輝度値、および隆線方向の数等の具体的な数値に限定されるものではない。
【0101】
また、本発明の実施の形態においては、指紋パターンの隆線方向を算出し、その結果にもとづいて平滑化等の演算処理を行う構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば指紋パターンの隆線以外の部分、即ち谷部がなす谷線の方向を算出し、その結果にもとづいて各演算処理を行う構成であっても、本発明の指紋照合装置に含まれることはいうまでもない。
【0102】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の指紋照合装置は、画質判定部によって良画像と判定された画像について、輝度補正や平滑化補正した指紋画像を用いて識別情報格納部に登録したり、照合を行ったりすることができるので、本人認証率の高い指紋照合装置を得ることができる。また、一度算出した小領域毎の隆線方向を記憶部に格納し、それを用いて指紋領域の中心点の算出や、平滑化補正を行うので、全体の演算量が少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における、指紋照合装置の構成を表すブロック図
【図2】本発明の実施の形態の指紋照合装置における、全体の処理の流れを表すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態における、取得された指紋画像の一例を示す図
【図4】本発明の実施の形態の画質判定部での処理の流れを表すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態における、小領域および指紋領域を説明する概念図
【図6】本発明の実施の形態における、方向検出フィルタの例を示す図
【図7】本発明の実施の形態における、隆線方向算出ステップを説明する概念図
【図8】本発明の実施の形態における、処理フローの一部を説明するための図
【図9】本発明の実施の形態の画質判定部での別の処理の流れを表すフローチャート
【図10】本発明の実施の形態における、二値化画像を説明する概念図
【図11】本発明の実施の形態における、指紋画像の中心点算出ステップを説明する概念図
【図12】本発明の実施の形態における、切り出された画像情報を説明する概念図
【図13】本発明の実施の形態における、輝度補正の際の中領域の分割を説明する概念図
【図14】本発明の実施の形態における、輝度補正を説明する概念図
【図15】本発明の実施の形態における、画像情報の輝度補正の一例を示す概念図
【図16】本発明の実施の形態における、平滑化方向フィルタの一例を示す図
【図17】本発明の実施の形態における、画像情報の平滑化補正の一例を示す概念図
【符号の説明】
1 画像入力部
2 画質判定部
3 画像切出部
4 画像補償部
5 演算部
6 表示部
7 識別情報格納部
8 記憶部
10 指紋照合装置
21〜28,31〜39 フィルタ
41,42 指紋画像
43 小領域
44 指紋領域
45 方向検出不可能領域
46 二値化画像
47,49,50,51,52 画像情報
48 中領域
Claims (4)
- 登録すべき指紋画像が入力される画像入力部と、
前記指紋画像を複数の小領域に分割し、有効な情報を含む小領域を検出して指紋領域とし、前記指紋領域を構成する小領域毎に隆線方向を算出すると共に、前記指紋画像の画質を判定し、良画像であると判定された場合に、前記指紋画像を出力する画質判定部と、
前記画質判定部で算出された前記隆線方向を、前記小領域毎に記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記隆線方向にもとづいて、前記画質判定部から出力された前記指紋画像の中心点を算出し、前記中心点周辺の所定領域を切り出した画像情報を出力する画像切出部と、
前記画像切出部から出力された画像情報に対して、輝度補正、および、前記隆線方向にもとづいた平滑化補正を行い、出力する画像補償部と、
前記画像補償部から出力された画像情報から、照合に用いるべき識別情報を算出して、出力する演算部と、
前記演算部から出力された前記識別情報を格納する識別情報格納部とを備え、
前記画質判定部は、前記指紋領域の内で、隆線の方向を求めることが不可能な小領域を、方向検出不可能領域として検出し、
前記画質判定部は、さらに、前記方向検出不可能領域の画像を二値化し、前記方向検出不可能領域を構成する小領域毎に、値が0の画素数が前記小領域を構成する全画素数に対して占める割合が所定の比率以上の場合に、前記小領域を隆線がつぶれている隆線つぶれ領域として検出し、
前記画質判定部は、さらに、前記隆線つぶれ領域の数が、前記指紋領域を占める小領域の数に対して所定の比率以上を占める場合に、前記指紋画像が不良情報であると判定することを特徴とする指紋照合装置。 - 登録すべき指紋画像が入力される画像入力部と、
前記指紋画像を複数の小領域に分割し、有効な情報を含む小領域を検出して指紋領域とし、前記指紋領域を構成する小領域毎に隆線方向を算出すると共に、前記指紋画像の画質を判定し、良画像であると判定された場合に、前記指紋画像を出力する画質判定部と、
前記画質判定部で算出された前記隆線方向を、前記小領域毎に記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記隆線方向にもとづいて、前記画質判定部から出力された前記指紋画像の中心点を算出し、前記中心点周辺の所定領域を切り出した画像情報を出力する画像切出部と、
前記画像切出部から出力された画像情報に対して、輝度補正、および、前記隆線方向にもとづいた平滑化補正を行い、出力する画像補償部と、
前記画像補償部から出力された画像情報から、照合に用いるべき識別情報を算出して、出力する演算部と、
前記演算部から出力された前記識別情報を格納する識別情報格納部とを備え、
前記画質判定部は、前記指紋領域の内で、隆線の方向を求めることが不可能な小領域を、方向検出不可能領域として検出し、
前記画質判定部は、さらに、前記方向検出不可能領域の画像を二値化し、前記方向検出不可能領域を構成する小領域毎に、値が1の画素数が前記小領域を構成する全画素数に対して占める割合が所定の比率以上の場合に、前記小領域を隆線がかすれている隆線かすれ領域として検出し、
前記画質判定部は、さらに、前記隆線かすれ領域の数が、前記指紋領域を占める小領域の数に対して所定の比率以上を占める場合に、前記指紋画像が不良情報であると判定することを特徴とする指紋照合装置。 - 照合すべき指紋画像が入力される画像入力部と、
前記指紋画像を複数の小領域に分割し、有効な情報を含む小領域を検出して指紋領域とし、前記指紋領域を構成する小領域毎に隆線方向を算出すると共に、前記指紋画像の画質を判定し、良画像であると判定された場合に、前記指紋画像を出力する画質判定部と、
前記画質判定部で算出された前記隆線方向を、前記小領域毎に記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記隆線方向にもとづいて、前記画質判定部から出力された前記指紋画像の中心点を算出し、前記中心点周辺の所定領域を切り出した画像情報を出力する画像切出部と、
前記画像切出部から出力された画像情報に対して、輝度補正、および、前記隆線方向にもとづいた平滑化補正を行い、出力する画像補償部と、
あらかじめ登録された、照合に用いるべき識別情報が格納された識別情報格納部と、
前記画像補償部から出力された画像情報から識別情報を算出し、前記識別情報格納部に格納された識別情報と比較し、照合を行う演算部とを備え、
前記画質判定部は、前記指紋領域の内で、隆線の方向を求めることが不可能な小領域を、方向検出不可能領域として検出し、
前記画質判定部は、さらに、前記方向検出不可能領域の画像を二値化し、前記方向検出不可能領域を構成する小領域毎に、値が0の画素数が前記小領域を構成する全画素数に対して占める割合が所定の比率以上の場合に、前記小領域を隆線がつぶれている隆線つぶれ領域として検出し、
前記画質判定部は、さらに、前記隆線つぶれ領域の数が、前記指紋領域を占める小領域の数に対して所定の比率以上を占める場合に、前記指紋画像が不良情報であると判定することを特徴とする指紋照合装置。 - 照合すべき指紋画像が入力される画像入力部と、
前記指紋画像を複数の小領域に分割し、有効な情報を含む小領域を検出して指紋領域とし、前記指紋領域を構成する小領域毎に隆線方向を算出すると共に、前記指紋画像の画質を判定し、良画像であると判定された場合に、前記指紋画像を出力する画質判定部と、
前記画質判定部で算出された前記隆線方向を、前記小領域毎に記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記隆線方向にもとづいて、前記画質判定部から出力された前記指紋画像の中心点を算出し、前記中心点周辺の所定領域を切り出した画像情報を出力する画像切出部と、
前記画像切出部から出力された画像情報に対して、輝度補正、および、前記隆線方向にもとづいた平滑化補正を行い、出力する画像補償部と、
あらかじめ登録された、照合に用いるべき識別情報が格納された識別情報格納部と、
前記画像補償部から出力された画像情報から識別情報を算出し、前記識別情報格納部に格納された識別情報と比較し、照合を行う演算部とを備え、
前記画質判定部は、前記指紋領域の内で、隆線の方向を求めることが不可能な小領域を、方向検出不可能領域として検出し、
前記画質判定部は、さらに、前記方向検出不可能領域の画像を二値化し、前記方向検出不可能領域を構成する小領域毎に、値が1の画素数が前記小領域を構成する全画素数に対して占める割合が所定の比率以上の場合に、前記小領域を隆線がかすれている隆線かすれ領域として検出し、
前記画質判定部は、さらに、前記隆線かすれ領域の数が、前記指紋領域を占める小領域の数に対して所定の比率以上を占める場合に、前記指紋画像が不良情報であると判定することを特徴とする指紋照合装置。
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