JP4075170B2 - 動圧軸受装置及びそれを使用したスピンドルモータ - Google Patents
動圧軸受装置及びそれを使用したスピンドルモータ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置、多面鏡駆動装置などのOA装置駆動用動圧軸受装置の潤滑流体漏れ防止対策を盛り込んだ動圧軸受装置を使用したスピンドルモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近では、インターネットやイントラネット、ビデオ・オン・デマンドといったデジタルデータを主体としたメディアが登場している。こうしたメディアはPCで扱うのに適しているが、大容量かつ高速なストレージが必要不可欠となる。このようなストレージに対する要求としてHDD(磁気ディスク装置)の大容量化は大変重要な達成項目とされている。マルチメディアを意識した大容量の情報を記録再生する装置してはDVD−ROM装置、DVD−RAM装置などの大容量化への開発が重要になってきている。
【0003】
HDDの容量を増やす方法としては、ディスクの大型化、ディスク枚数の増加、面記録密度の向上があげられる。しかし、ディスクの大型化と枚数の増加については、コンパクト化、省電力化、低価格化に反しており、ワークステーションやサーバといった特定の分野を除いて有効な解決策ではない。そのため、面記録密度を向上させる方法が採られている。MR(Magnet Resistive)またはGMR(Giant MR)に代用されるヘッド技術である。記録密度が上がると磁界の変化が少なくなり電流が微弱になりデータが読み出せなくなる。MRヘッドは磁界の変化が電気抵抗値の変化として現れるMR効果を利用したMR素子によって再生を行うヘッドで、従来の薄膜ヘッドよりも感度が高い。GMRヘッドは、巨大磁気抵抗効果を示すGMR素子を用いたもので、再生出力のデータはMRヘッドよりもさらに数倍感度が高い。これら磁気ヘッドを使用し、最近は10000tpi(Track per inch)から20000tpiのHDDが開発されつつある。例えば、20000tpiはトラック間距離が1.27μmであり、そのような装置のスピンドルモータのラジアル振れ1.27μm程度以下が必要となるうえに非繰り返し振れとしては0.13μm程度以下のものが要求される。このような非繰り返し振れに対して、ボール軸受の限界に達し、さらなる高記録密度の場合には流体軸受のスピンドルモータが必要になる。
【0004】
光ディスクのDVD−RAM装置ではディスクのトラックピッチは0.74μmであり、HDD装置にくらべて小さなトラックピッチになっている。光ピックのサーボ技術の進化により、HDDに使用されるスピンドルモータのような回転精度は必要としないが、DVD−RAM装置やOAW(Optically Assisted Winchester)技術による光磁気ディスク装置やNFR(Near Field Recording)技術による光磁気ディスク装置などの場合には流体軸受装置を使用したスピンドルモータが必要となる。
【0005】
すなわち、高容量化が進むとディスクなどを駆動するスピンドルモータは回転精度が要求され、そうしたスピンドルモータには動圧流体軸受を使用する動きが急速に広がってきている。特にOAW技術による光磁気ディスク装置やNFR技術による光磁気ディスク装置などの場合には動圧流体軸受装置は必要不可欠なものとなりつつある。
【0006】
スピンドルモータに動圧流体軸受を利用する理由として、以下のことがあげられる。
(1)不規則なシャフトの振れを抑えられる。
ボール軸受では、鋼球すべてを均一な形状に加工することができず、そのため回転中に突発的なシャフト振れが生じる。シャフト振れを減らすと、磁気ディスク装置では磁気ヘッドの位置決め誤差を小さくでき、DVD装置ではビーム・スポットの位置決め誤差を減らすことができ、記録密度の向上に対応しやすい。
(2)耐衝撃性が向上する。
流体の膜が緩衝の役割を果たすためである。
(3)軸受で発生する騒音が減る。
(4)金属疲労で軸受が壊れるまでの疲れ寿命が長い。
【0007】
回転駆動される記録媒体面上に磁気ヘッド等をミクロンあるいはサブミクロンオーダーで浮上させて読み書きを行うためのスピンドルモータの場合は、衝撃などの信頼性を向上するためにロータのスラスト方向変位を小さく抑えなくてはならないうえに、1000G程度の大きな衝撃に対してモータ部材が変形することがないように部材の締結強度を向上する必要がある。
【0008】
特に流体軸受を使用する場合、潤滑流体が飛散などで不足し、動圧特性が劣化する問題があり、飛散対策を十分にする必要がある。
【0009】
また、流体軸受の潤滑流体が飛散して記録媒体などを汚損することがないように、潤滑流体の保持、飛散対策が必要である。そのために、特開平6−311695号公報、特開平7−46810号公報に記載のように軸受装置の潤滑流体流出防止溝を設けて行う方法が一般的に用いられている。
【0010】
また特開平8−163821号公報、特開平8−163820号公報に記載のように流体軸受装置に循環通路を設けてオイルの部分的な不足対策をしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
流体軸受は耐衝撃性は向上するが、ノートパソコンや携帯端末などに磁気ディスク装置、CD−ROM装置を搭載する場合、動圧流体軸受スピンドルモータに対する耐衝撃要求も1000Gとなりつつある。動圧軸受は軸受が回転したら動圧によって浮上し非接触状態になるという特性から、軸受部は浮上量程度の移動は許容される構造である。そのために、衝撃が作用した場合、回転部材が移動する。移動規制するものがない場合は回転部材は軸受から外れてしまうので、ロータが抜けないように抜け止め部材をモータに設けている。しかし軸受部でスラスト方向に大きな移動のある動きをすると潤滑流体の漏れ出るという現象があり、この対策をする必要がある。
【0012】
また、流体軸受の潤滑流体が飛散して記録媒体などを汚損することがないように、潤滑流体の保持、飛散対策をこうじなくてはならないので、この対策が大きな課題となっている。この対策として、特開平6−311695号公報、特開平7−46810号公報に記載のように軸受装置の潤滑流体流出防止溝を設けて行う方法では対策が不十分であり、シール構造の工夫と軸受スルーブの外周部にラビリンス構成を設けることが必要である。
【0013】
また特開平8−163821号公報、特開平1−63820号公報に記載のように流体軸受装置に循環通路を設けてオイルの部分的な不足対策をしているが、軸受の構造が複雑になるうえに、軸受が大きくなり大型のスピンドルモータにしか採用できないなど、流体軸受装置を使用した小型のスピンドルモータに好適な構成が必要となった。
【0014】
しかしながら上記のような従来の軸受装置等では、単に軸受部の隙間に潤滑流体流出防止溝に設けたものや、潤滑流体を循環させるものなど潤滑流体漏れ対策としての特別なシール機構を設けたもの等が提案されている。
【0015】
これら従来の技術例では、例えば動圧軸受においては、潤滑流体の量が少ない場合、循環経路に潤滑流体が保持され、潤滑機能部には充分な潤滑流体が供給されないという問題を生じ、一方、潤滑流体の量が多すぎた場合には潤滑流体漏れが生じてしまうという問題が生じており、潤滑流体漏れ対策の充分な軸受シール装置とはなっていない。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術の軸受のシール装置に対し、
(1)注入された潤滑流体の量が多少変化したり移動したりしても、それを吸収できる空間を動圧軸受が有しており、しかも、その空間内の潤滑流体が安定的に保持される構造であること。
(2)外力を受けても、潤滑流体が、軸受の外部へ飛散しないように、外力に耐えられる軸受構造であること。
(3)動圧軸受部の開放端出口側の潤滑流体面が安定な濡れ状態で、漏れにくくなっている。
【0017】
上記の条件を考慮して、課題を解決するために本発明は、動圧軸受装置の潤滑流体の保持の機構として、
(1)ラジアル動圧軸受の端部側円筒部の端部に回転部材側と固定部材側に潤滑流体流出防止溝があり、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定位置に形成され、回転部材側の潤滑流体流出防止溝は軸方向に螺旋状に形成する。
(2)ラジアル動圧軸受の端部側円筒部の端部に回転部材側と固定部材側に潤滑流体流出防止溝は部分的に対向する関係位置で形成する。
(3)回転部材側と固定部材側の潤滑流体流出防止溝がともにラジアル動圧軸受の端部側円筒部の開放端部に向かうにしたがって隙間が減少する形状の溝であって、その溝の傾斜角度を規定範囲にする。
(4)回転部材側の潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少する形状の溝面があるように形成し、固定部材側の潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が増加する形状の溝面があるように形成し、それら溝の傾斜角度を規定範囲にする。
(5)回転部材側の潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が増加する形状の溝面があるように形成し、固定部材側の潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少する形状の溝面があるように形成し、それら溝の傾斜角度を規定範囲にする。
(6)偏心率5%以上のラジアル動圧軸受の場合で、ラジアル動圧軸受の端部側円筒部の端部に回転部材側と固定部材側に潤滑流体流出防止溝を形成する。
(7)螺旋状の回転部材側の潤滑流体流出防止溝は数サイクルになるようにする。
(8)上記手段の動圧軸受をスピンドルモータの軸受に使用する。
【0018】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、固定部材に対して回転体を回転自在に支承するためのラジアル動圧流体軸受及びスラスト動圧流体軸受からなる動圧軸受部が設けられた動圧軸受装置において、
その動圧軸受には潤滑流体を充填させ、固定部材に対して回転部材を非接触で回転させるその動圧軸受の軸方向の両端側が開放端とし、ラジアル動圧軸受の端部側円筒部の端部に潤滑流体流出防止溝を固定部材側と回転体側の両方に設け、固定部材側の潤滑流体流出防止溝の位置は一定とし、回転部材側の滑流体流出防止溝の位置は軸方向距離に周期的に変化し、固定部材側の潤滑流体流出防止溝と回転部材側の滑流体流出防止溝は部分的に対向するように構成された潤滑流体流出防止溝を有することを特徴とする動圧軸受装置としたものであり、ラジアル動圧軸受の開放端部側円筒部の端部に潤滑流体流出防止溝が回転部材側と固定部材側に設けられることによって、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では遠心力と表面張力による潤滑流体の保持が行われることによって、ラジアル動圧軸受の潤滑流体の回転部材からの流出は防止される。また、2つの潤滑流体流出防止溝のうち固定部材側の潤滑流体流出防止溝の位置は一定位置にあるが、回転部材側の潤滑流体流出防止溝は位置は上下に周期的に変化があるために、2つの溝の相対位置が回転に伴って変化することで、動圧発生部に自己補充することができる。さらには衝撃が作用した場合でも、その自己補充機能により、漏れ始めた潤滑流体が潤滑流体流出防止溝にもどり、さらには動圧発生部に戻るように潤滑流体流出防止溝の保持能力が強化され、信頼性が高い軸受装置ができるという作用を有する。
【0019】
請求項2に記載の発明は、回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少する溝面が形成されたことを特徴とする請求項1記載の動圧軸受装置としたものであり、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では遠心力と表面張力による潤滑流体の保持が行われることで効果的なシールが可能となるという作用を有するうえに、固定部材側と回転部材側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、動圧発生部に自己補充することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少する溝面が存在し、それぞれの前記溝面が軸方向からの傾斜角度α、βで形成され、その傾斜角度α、βは(数4)の関係にあることを特徴とする請求項2記載の動圧軸受装置
【0021】
【数4】
【0022】
としたものであり、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では遠心力と表面張力による潤滑流体の保持が行われ、潤滑流体流出防止溝の傾斜角度を所定範囲にすることで効果的なシールが可能となるという作用を有する。
【0023】
請求項4に記載の発明は、回転部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が増加する溝面が存在するように形成され、固定部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少する溝面が存在するように形成されたことを特徴とする請求項1記載の動圧軸受装置としたものであり、固定部材側と回転部材側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、動圧発生部に自己補充することができるうえに、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われることで効果的なシールが可能となるという作用を有する。
【0024】
請求項5に記載の発明は、回転部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が増加する溝面が存在するように形成され、固定部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少する溝面が存在するように形成され、それぞれの潤滑流体流出防止溝の前記溝面が軸方向からの傾斜角度γ、δであり、その傾斜角度γ、δは(数5)の関係にあることを特徴とする請求項4記載の動圧軸受装置。
【0025】
【数5】
【0026】
としたものであり、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、潤滑流体流出防止溝の傾斜角度を所定範囲にすることで効果的なシールが可能となるという作用を有する。
【0027】
請求項6に記載の発明は、回転部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少する溝面が存在するように形成され、固定部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が増加する溝面が存在するように形成されたことを特徴とする請求項1記載の動圧軸受装置としたものであり、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では遠心力と表面張力による潤滑流体の保持が行われることで効果的なシールが可能となるという作用を有するうえに、固定部材側と回転部材側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、動圧発生部に自己補充することができる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、回転部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少する溝面が存在するように形成され、固定部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が増加する溝面が存在するように形成され、それぞれの潤滑流体流出防止溝の前記溝面が軸方向からの傾斜角度γ、δであり、その傾斜角度γ、δは(数6)の関係にあることを特徴とする請求項6記載の動圧軸受装置。
【0029】
【数6】
【0030】
としたものであり、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では遠心力と表面張力による潤滑流体の保持が行われ、潤滑流体流出防止溝の傾斜角度を所定範囲にすることで効果的なシールが可能となるという作用を有する。
【0031】
請求項8に記載の発明は、回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に形成され、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定の高さの位置に形成されていて、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最下点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最上点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最下点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最上点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置していることを特徴とする請求項1から7記載の動圧軸受装置としたものであり、回転部材側と固定部材側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、固定部材側の潤滑流体流出防止溝の一定位置あり、回転部材側の潤滑流体流出防止溝が軸方向に周期的に変化するように形成されているので、各所にシール効果が発生し、隙間での潤滑流体の遠心力と表面張力の作用で流出が阻止されるうえに、潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで動圧発生部に潤滑流体が戻るように潤滑流体流出防止溝の保持能力が強化され、信頼性が高い軸受装置ができるという作用を有する。
【0032】
請求項9に記載の発明は、回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に形成され、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定の高さの位置に形成されていて、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最下点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最上点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最下点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最上点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置していることを特徴とする請求項1から7記載の動圧軸受装置としたものであり、回転部材側と固定部材側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、固定部材側の潤滑流体流出防止溝の一定位置にあり、回転部材側の潤滑流体流出防止溝が軸方向に周期的に変化するように形成されているので、各所にシール効果が発生し、隙間での潤滑流体の遠心力と表面張力の作用で流出が阻止されるうえに、潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで動圧発生部に潤滑流体が戻るように潤滑流体流出防止溝の保持能力が強化され、信頼性が高い軸受装置ができるという作用を有する。
【0033】
請求項10に記載の発明は、回転部材側との固定部材側と両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に形成され、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定の高さの位置に形成されていて、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最下点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最上点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置しかつ固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最下点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置しかつ固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最上点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置していることを特徴とする請求項1から7記載の動圧軸受装置としたものであり、回転部材側と固定部材側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、固定部材側の潤滑流体流出防止溝の一定位置にあり、回転部材側の潤滑流体流出防止溝が軸方向に周期的に変化するように形成されているので、各所にシール効果が発生し、隙間での潤滑流体の遠心力と表面張力の作用で流出が阻止されるうえに、潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで動圧発生部に潤滑流体が戻るように潤滑流体流出防止溝の保持能力が強化され、信頼性が高い軸受装置ができるという作用を有する。
【0034】
請求項11に記載の発明は、回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に形成され、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定の高さの位置に形成されていて、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最下点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最上点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最下点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置しかつ固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最上点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置していることを特徴とする請求項1から7記載の動圧軸受装置としたものであり、回転部材側と固定部材側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、固定部材側の潤滑流体流出防止溝の一定位置にあり、回転部材側の潤滑流体流出防止溝が軸方向に周期的に変化するように形成されているので、各所にシール効果が発生し、隙間での潤滑流体の遠心力と表面張力の作用で流出が阻止されるうえに、潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで動圧発生部に潤滑流体が戻るように潤滑流体流出防止溝の保持能力が強化され、信頼性が高い軸受装置ができるという作用を有する。
【0035】
請求項12に記載の発明は、回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に形成され、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定の高さの位置に形成されていて、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最下点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最上点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最下点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最上点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置しかつ固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置していることを特徴とする請求項1から7記載の動圧軸受装置としたものであり、回転部材側と固定部材側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、固定部材側の潤滑流体流出防止溝の一定位置にあり、回転部材側の潤滑流体流出防止溝が軸方向に周期的に変化するように形成されているので、各所にシール効果が発生し、隙間での潤滑流体の遠心力と表面張力の作用で流出が阻止されるうえに、潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで動圧発生部に潤滑流体が戻るように潤滑流体流出防止溝の保持能力が強化され、信頼性が高い軸受装置ができるという作用を有する。
【0036】
請求項13に記載の発明は、回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に形成され、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定の高さの位置に形成されていて、回転部材側の潤滑流体流出防止溝は周方向に展開すると軸方向に螺旋状になっていて、その螺旋状の潤滑流体流出防止溝の軸方向距離を変位とした時1展開でnサイクルしている(nは1以上の正の整数)ことを特徴とする請求項1から12記載の動圧軸受装置としたものであり、潤滑流体流出防止溝の位置を数回以上くいちがいさせていることで動圧発生部に潤滑流体が戻るように機会が増加し、動圧軸受としての保持能力が強化され、信頼性が高い軸受装置ができるという作用を有する。
【0038】
請求項14に記載の発明は、ハウジングと、該ハウジングに直接または間接的に固定されたステータコアと、該ハウジングに固定されたシャフトと、該シャフトに固定された抜け止め板と、固定のシャフトに対して軸受を介して相対的に回転自在である軸受スリーブと、該スリーブの外周部に直接または間接的に固定されたロータとを備え、該シャフトと該スリーブとからなりいずれか一方にヘリングボーン溝を形成して、隙間に潤滑流体を介したラジアル動圧軸受とスラスト押さえ板とスリーブで抜け止め板を挟み込み、該抜け止め板とスラスト押さえ板のいずれか一方に動圧溝を形成し、抜け止め板とスリーブのいずれか一方にも動圧溝を形成して、隙間に潤滑流体を介したスラスト動圧流体軸受であり、ラジアル動圧軸受の端部側円筒部の端部に潤滑流体流出防止溝がシャフト側と軸受スリーブ側の両方にあって、シャフト側の潤滑流体流出防止溝の位置は一定であって、スリーブ側の潤滑流体流出防止溝の位置は軸方向距離に周期的に変化していて、シャフト側の潤滑流体流出防止溝とスリーブ側の潤滑流体流出防止溝は軸受の1回転で一部分が部分的に対向するように構成された潤滑流体流出防止溝を有することを特徴とする動圧軸受装置を使用したスピンドルモータとしたものである。ラジアル動圧軸受の開放端部側円筒部の端部に潤滑流体流出防止溝が回転部材側と固定部材側に設けられることによって、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では遠心力と表面張力による潤滑流体の保持が行われることによって、ラジアル動圧軸受の潤滑流体のスリーブからの流出は防止される。さらに、スリーブ側とシャフト側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、スリーブ側の潤滑流体流出防止溝の方が下方である場合では、何段にもわたってシール効果を発揮し、スリーブ側の潤滑流体流出防止溝の方が上方である場合では、何段にもわたってシール効果を発揮することができるうえに、シャフト側の潤滑流体流出防止溝の位置は一定位置にあるが、スリーブ側の潤滑流体流出防止溝は位置は上下に周期的に変化があるために、2つの溝の相対位置が回転に伴って変化することで、動圧発生部に自己補充することができる。さらには衝撃が作用した場合でも、その自己補充機能により、漏れ始めた潤滑流体が潤滑流体流出防止溝にもどり、さらには動圧発生部に戻るように潤滑流体流出防止溝の保持能力が強化され、信頼性が高い軸受装置ができるという作用を有する。
【0039】
請求項15に記載の発明は、請求項1から13記載の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータとしたもので、シャフト側の潤滑流体流出防止溝の位置は一定位置にあるが、スリーブ側の潤滑流体流出防止溝は位置は上下に周期的に変化があるために、2つの溝の相対位置が回転に伴って変化することで、動圧発生部に自己補充することができるという作用を有する。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0041】
(実施例1)
図1には本発明の一実施例としての動圧軸受装置を示す。図1において、1は固定部材、2は回転部材、3は潤滑流体、4は潤滑流体流出防止溝、5は潤滑流体流出防止溝、6はスラスト板、7は開放端開口隙間部、8は流体保持溝である。
【0042】
実施例1の軸受を説明するまえに、従来の軸受を少しここでもふれる。
軸受内に潤滑流体を保持するメカニズムにおいて、図19のような一般的な流体動圧のラジアル軸受を考えると、図19の動圧流体軸受では、2箇所に開放端100、101がある構造を考えた場合、まず潤滑流体は2箇所の開放端100、101での毛管吸引圧力のバランスで保持され、開放端部の潤滑流体の表面位置は表面に作用する2つの圧力で釣り合っている状態である。すなわち、2カ所の開放端の毛管吸引圧力をP1、P2とすると、概略近似的にはP1=P2で平衡状態となっている。
【0043】
片方の開放端に何らかの圧力が加わると、圧力バランスがとれる位置まで潤滑流体は移動する。すなわち、たとえば、外部圧力P3とすると、P1=P2+P3で平衡が保たれる状態に変化する。
【0044】
このように開放端が軸受の両端にある構造では、圧力バランスによって軸受内の潤滑流体の位置が決まるため、外力が加わったときには必ず潤滑流体の移動を伴う。この移動に伴って、従来の軸受では潤滑流体の漏れが発生する。
【0045】
本発明では、これに対して、潤滑流体3が移動しても漏れないためには、図1に示すように潤滑流体流出防止溝4、5を設けている。その潤滑流体流出防止溝4、5は潤滑流体3を保持のための溜まり空間である。
【0046】
毛管現象による潤滑流体の保持圧力は隙間の間隔に反比例するので、潤滑流体流出防止溝4、5に通常回転時でも潤滑流体3を多く保持していたら、動圧発生部に潤滑流体3を自己供給するように、潤滑流体流出防止溝4、5の一方を螺旋状の溝にしている。
【0047】
この螺旋状の溝は、図2のように、モータの動圧軸受の2つの潤滑流体流出防止溝の展開図で表すと、固定部材側の潤滑流体流出防止溝5は実線で示すような平行な位置になるように展開され、回転部材側の潤滑流体流出防止溝4の破線で示すようなうねりのある位置形状になるように展開される。すなわち、回転部材側の潤滑流体流出防止溝4の破線は請求項に記載されているように軸方向距離に周期的に変化している。図2には展開の回転角度位置も記載してあり、回転部材側の潤滑流体流出防止溝4の軸方向距離に周期は1周で1サイクルしている。
【0048】
それらのメカニズムを以下に説明する。
回転部材2側の潤滑流体流出防止溝4に対向する位置近くには固定部材1側の表面にも下方に向かうにしたがって隙間が減少する潤滑流体流出防止溝5が構成されている。図3はこの部分の拡大図であって、図2での回転角度の0度近傍での状態を示す。回転部材2側の潤滑流体流出防止溝4と固定部材1側の潤滑流体流出防止溝5の位置関係は、若干固定部材1側の潤滑流体流出防止溝5の方が上方に位置する。
【0049】
ラジアル動圧軸受部から下へ漏れ出た潤滑流体3は最初に回転部材2と固定部材1の隙間が大きくなる位置すなわち、潤滑流体流出防止溝5のところで潤滑流体の表面張力によって流出が阻止される。この状態を第1段のシールとする。シール状態を表現するために、図3ではその潤滑流体の第1段シール状態を示している。
【0050】
その潤滑流体流出防止溝5のところのシールが損なわれて、その潤滑流体流出防止溝5に潤滑流体が充満に近い状態になると、もう一方の潤滑流体流出防止溝4の最初の端縁ともう一方の端縁でのテーパによって、遠心力と表面張力の作用が潤滑流体に作用し、遠心力と表面張力シール効果を発生させて潤滑流体の流出は阻止される。この状態を第2段のシールとする。その遠心力と表面張力シール効果だけで不十分なまでに潤滑流体が2つの潤滑流体流出防止溝に充満に近い状態になると、潤滑流体流出防止溝4の回転部材2の開放端側に端縁と固定部材1とのくさび状の隙間での潤滑流体の遠心力と表面張力の作用で流出が阻止される。この状態を第3段のシールとする。潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで、何段にもわたってシール効果をもたせることができる。
【0051】
図4は2つの潤滑流体流出防止溝の構成の拡大図であって、図2での回転角度の180度近傍での状態を示す。回転部材2側の潤滑流体流出防止溝4と固定部材1側の潤滑流体流出防止溝5の位置関係は、若干固定部材1側の潤滑流体流出防止溝5の方が下方に位置する。
【0052】
図4でのシール効果について説明する。ラジアル動圧軸受部から下へ漏れ出た潤滑流体は最初に回転部材2と固定部材1との隙間が大きくなる位置すなわち、回転部材側の潤滑流体流出防止溝4のところで表面張力によって流出が阻止される。この状態を第1段のシールとする。そのところでの表面張力での保持効果はわずかであり、さらに、その漏れた潤滑流体は回転遠心力で潤滑流体流出防止溝4の上端縁側の半径位置の大きなところに付着する。つぎに潤滑流体流出防止溝4の最初の端縁ともう一方の固定部材1側の潤滑流体流出防止溝5の端縁でのテーパによって、遠心力と表面張力の作用が潤滑流体に作用し、遠心力と表面張力シール効果を発生させて潤滑流体の流出は阻止される。この状態を第2段のシールとする。その回転部材2側の潤滑流体流出防止溝4で第2段のシールが不十分な状態になると、もう一方の固定部材1側の潤滑流体流出防止溝5の下部端縁の傾斜面と回転部材2の内表面とのくさび状の隙間で潤滑流体の表面張力の作用で流出が阻止される。この状態を第3段のシールとする。潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで、何段にもわたってシール効果をもたせることができる。
【0053】
図3と図4のようなシール効果は図2に示すように展開位置の随所で起こり、回転位置において、シールして保持していた潤滑流体に、その位置でのシール効果が変化するように、螺旋状に潤滑流体流出防止溝の位置を構成することで潤滑流体は自己的に動圧軸受部に戻ってしまう。
【0054】
この自己補充機構が、螺旋状に潤滑流体流出防止溝にして、潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせて、このくいちがい位置関係を変化させていることで可能となっている。
【0055】
つぎに、潤滑流体が外部に漏れるのは、回転に伴って境界面を潤滑流体がはい上がる現象があるためと、遠心力で飛散してしまう現象に別れ、その現象が複雑に作用しているために、動圧流体軸受のシール対策を複雑にしている。このはい上がり現象は拡散ぬれとも呼ばれている現象で、これを防止することが一つには重要である。その対策を含めて、その現象を説明する。
【0056】
気、液、固相の組み合わせでの界面の形で考えると気/液、気/固、液/液、液/固、固/固の5種類が考えられるが、2相間に界面が存在するには界面形成の自由エネルギーが正でなくてはならない。毛管現象は上記界面のうち可動性のある界面に関係した現象であり、その界面は平衡状態に達したときにはある形と面積をもつ。気/液および気/固の界面を特に表面といい、軸受のシールは気/液の表面の問題であり、表面張力と表面自由エネルギーが関係する。
【0057】
まず、簡単に表面自由エネルギーについて説明する。図5は表面自由エネルギーを説明するための図である。
【0058】
図5において、液体で満たされた槽で抵抗のない可動性バーBCを矢印の方に動かすと、液体ABCDの表面積が増加する。バーをdxだけ移動してB’C’の位置に移すためには液体内の凝集力に抗して仕事をしなければならない。この操作を可逆的に拡散させると、液体表面にその仕事によるエネルギーが貯えられる、表面を収縮させると、そのエネルギーは再び使用される。新しい面積BB’C’Cを作る時、仕事Wがなされるとすると、比表面エネルギーはW/(f・dx)で表される。係数をγとすると、
ゆえに
【0059】
【数7】
【0060】
fdxは表面積の増加分であるので、それをdAとすると
【0061】
【数8】
【0062】
dGは自由エネルギーの増加である。したがって係数γはdG/dAとなり、単位面積あたりの表面自由エネルギーになる。すなわち、このγは表面張力に等しい。
【0063】
動圧軸受の両端が開放端で構成された軸受では、シール部で自由表面エネルギーまたは表面張力が関与している。
【0064】
毛管現象の基本式は(数9)のようになる。
【0065】
【数9】
【0066】
この毛管現象の基本式はYoung-Laplaceの式ともいう。
図6のような説明図から導くとすると、2つの曲率半径をR1とR2とした場合、図のように曲面の面積を十分に小さくとれば、R1とR2は一定とみなせる。いま曲面を微小距離だけ外側に移動させたとすると、それに伴う面積の増加ΔAは(数10)で近似できる。
【0067】
【数10】
【0068】
であり、面積増加ΔAと加えられた仕事Wとの関係は
【0069】
【数11】
【0070】
が成り立つ。
また一方内部の圧力がΔPだけ低くなって釣り合わないといけない。ゆえに、この面の移動に伴う気体の仕事W’=−ΔP・xydzが力学的に平衡であるので、W+W’=0の関係から、毛管現象の基本式が導き出せる。
【0071】
動圧軸受の場合固定部材と回転部材かのどちらかに、または両方に潤滑流体の溜まり溝を設けているが、本願発明者の実験などの結果、溝の傾斜角度について、以下に説明するような実験結果が得られた。
【0072】
図7は固定部材9、回転部材10の境界部近くの回転部材側に潤滑流体の保持および流出防止溝11が形成されているとした模式図である。その流出防止溝の傾斜面が固定部材の面とのなす角度εである。角度εの補角を角度κとする。また図7において、流出防止溝部で保持されている潤滑流体を液面高さをhとする。
【0073】
図7から
【0074】
【数12】
【0075】
さらに、
【0076】
【数13】
【0077】
液の面積が三角形をしているので、圧力ΔPは(数14)で表される。
【0078】
【数14】
【0079】
これらの関係を毛管現象の式に適用すると、
【0080】
【数15】
【0081】
ゆえに、使用の潤滑流体が既知の場合であるので、(数16)の右辺は一定である。そのために、(数16)はhとκの関数となる。
【0082】
【数16】
【0083】
したがって、κとεの関係から
【0084】
【数17】
【0085】
ただし、Cは定数である。
潤滑流体の液面高さhと角度εの関係は図8のように、図8から、ε<10度の範囲はhの大きいことがわかる。図8ではC=1で計算してある。
【0086】
さらに、角度εに対する液面高さhの変化率(dh/dε)を求めると
【0087】
【数18】
【0088】
(数18)となり、その液面高さの変化率と角度εの関係を図示すると、図9のようになる。図ではC=1で計算してある。図9から液面高さの変化率の割合は角度εが約60度近くが最小であって、その両側になるにつれては変化率の割合が大きくなる。図8の関係で60度以上の大きな角度ではhの高さが低くなり、保持能力が低下するようなことになるので、角度εは60度以下の範囲である必要がある。εが10度以下では図8ではhは大きく、図9では高さの変化率の割合が大きいので、衝撃などの圧力変動によって液面の高さが変化が大きいのであまり好ましい潤滑流体保持溝の傾斜角度ではない。したがって、好適な角度εとしては(数19)の関係となる。
【0089】
【数19】
【0090】
このことを踏まえて、図3、図4に示す角度αβの角度は(数20)のようになっていることが好適である。
【0091】
【数20】
【0092】
二つの潤滑流体流出防止溝は同時に対向していることが多くあるので、角度α、βの最大値は60度の半分の角度とした。また二つの潤滑流体流出防止溝は個別に先端部の角度で溝が構成されることが多いので、角度α、βの最小角度は(数19)の最小値とした。
【0093】
(実施例2)
実施例2における流体動圧軸受は図10に示す。実施例1と類推なことは同じ部品符号を使用し、説明も省略する。ラジアル軸受の開放端部の拡大説明図を図11、図12に示す。
【0094】
実施例2は実施例1の図1との相違は、回転部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が増加するような溝面が存在するように形成され、固定部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少するような溝面が存在するように形成されていることである。
【0095】
その実施例2について説明する。図10において、1は固定部材、2は回転部材、3は潤滑流体、6はスラスト板、7は開放端開口隙間部、8は流体保持溝、11は潤滑流体流出防止溝、12は潤滑流体流出防止溝である。
【0096】
回転部材側の潤滑流体流出防止溝11は展開する軸方向に螺旋状になっている。流出防止溝11の軸方向距離を変位とした時1展開でnサイクルしている(nは正の整数)。
【0097】
それらのメカニズムを以下に説明する。
また回転部材2側の潤滑流体流出防止溝11に対向する位置近くには固定部材1側の表面にも下方に向かうにしたがって隙間が減少する潤滑流体流出防止溝12が構成されている。図11はこの部分の拡大図であって、回転部材2側の潤滑流体流出防止溝11と固定部材1側の潤滑流体流出防止溝12の位置関係は、若干固定部材1側の潤滑流体流出防止溝12の方が上方に位置する。
【0098】
ラジアル動圧軸受部から下へ漏れ出た潤滑流体は最初に回転部材2と固定部材1の第2の傾斜面16からなる隙間が大きくなる位置すなわち、潤滑流体流出防止溝12の第2の傾斜面16のところで潤滑流体の表面張力によって流出が阻止される。これを第1段のシールとする。
【0099】
その潤滑流体流出防止溝12のところの第1段のシールが損なわれて、その潤滑流体流出防止溝12の第1の傾斜面15にも潤滑流体が満ち、潤滑流体流出防止溝12の潤滑流体が充満に近い状態になると、もう一方の潤滑流体流出防止溝11の第1の傾斜面13、その第1の傾斜面13では下方に向かうにしたがって隙間(図11の角度γで構成される隙間)が大きくなる箇所、隙間減少する第2の傾斜面14がある。潤滑流体流出防止溝11の第1の傾斜面13と潤滑流体流出防止溝12の空間によって、表面張力の作用が潤滑流体に作用し、表面張力シール効果を発生させて潤滑流体の流出は阻止される。これを第2段のシールとする。さらに、その表面張力シール効果だけで不十分なまでに潤滑流体が2つの潤滑流体流出防止溝に充満に近い状態になると、潤滑流体流出防止溝11の回転部材2の開放端側の第2の傾斜面14と固定部材1とのくさび状の隙間での潤滑流体の遠心力と表面張力の作用で流出が阻止される。第3段のシールとする。潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで、何段にもわたってシール効果をもたせることができる。
【0100】
図12は2つの潤滑流体流出防止溝の構成の拡大図であって、回転部材2側の潤滑流体流出防止溝11と固定部材1側の潤滑流体流出防止溝12の位置関係は、若干固定部材1側の潤滑流体流出防止溝12の方が下方に位置する。
【0101】
図12でのシール効果について説明する。ラジアル動圧軸受部から下へ漏れ出た潤滑流体は最初に回転部材2と固定部材1との隙間が大きくなる位置すなわち、回転部材側の潤滑流体流出防止溝11の第1の傾斜面13と固定部材との隙間のところで表面張力によって流出が阻止される。これを第1段のシールとする。そのところでの表面張力での保持効果は遠心力によってわずかな効果になって現れる。さらに、その漏れた潤滑流体は回転遠心力で潤滑流体流出防止溝11の第1の傾斜面13の半径位置の大きなところに付着すように移動する作用する。第1のシールが十分でない程度に潤滑流体が漏れると、潤滑流体流出防止溝11の第1の傾斜面13ともう一方の固定部材1側の潤滑流体流出防止溝12の第2の傾斜面16とで潤滑流体は保持される。それを第2段のシールとする。さらに、潤滑流体流出防止溝11の第1の傾斜面13ともう一方の固定部材1側の潤滑流体流出防止溝12の第1の傾斜面15によって、遠心力と表面張力の作用が潤滑流体に作用し、表面張力シール効果を発生させて潤滑流体の流出は阻止される。これを第3段のシールとする。さらに滑流体流出防止溝11の第2の傾斜面14ともう一方の固定部材1側の潤滑流体流出防止溝12の第1の傾斜面15によって、遠心力と表面張力の作用が潤滑流体はシールされる。これを第4段のシールとする。その回転部材2側の潤滑流体流出防止溝11で第4段のシールが不十分な状態になると、もう一方の固定部材1側の潤滑流体流出防止溝12の第1の傾斜面15と回転部材2の内表面とのくさび状の隙間で潤滑流体の表面張力の作用で流出が阻止される。これを第5段のシールとする。潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで、何段にもわたってシール効果をもたせることができる。
【0102】
このくいちがいの状態で回転することでシールが各部で異なるために、漏れ出た潤滑流体は回転に伴って、動圧発生部に戻るため、潤滑流体流出防止溝11、12の一方を螺旋状の溝にすることで、漏れ出た潤滑流体は動圧発生部に潤滑流体3を自己供給するような働きをする。
【0103】
また、潤滑流体流出防止溝11、12はそれぞれに傾斜面が2つ存在する。第1の傾斜面と第2の傾斜面は第1の傾斜面の方が傾斜面の長さが長く、その傾斜面の長い方を潤滑流体流出防止溝の傾斜面としている。
【0104】
その潤滑流体流出防止溝の傾斜面の傾斜角度を回転部材側は角度γとし、固定部材側は角度δとする。
【0105】
傾斜角度γ、δについては、実施例1と同様な理由で、ある範囲にあることがシール効果があるので、その範囲に設計することが好適である。その条件は(数21)で表される。
【0106】
【数21】
【0107】
二つの潤滑流体流出防止溝は同時に対向しているが、傾斜角度は軸に対して軸対象でないので、角度γ、δの最大値は60度であるほうが良いように考えられるが、実施例2の場合では60度では少し空間が大きすぎるような実験結果になり、少し小さな角度55度までが好適になる結果となった。また二つの潤滑流体流出防止溝は個別に先端部の角度で溝が構成されることが多いので、角度γ、δの最小角度は(数19)の最小値とした。
【0108】
(実施例3)
実施例3における流体動圧軸受は図13に示す。実施例1、2と類推なことは同じ部品符号使用し、説明も省略する。ラジアル軸受の開放端部の拡大説明図を図14、図15に示す。
【0109】
実施例3は実施例1の図1との相違は、回転部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少するような溝面が存在するように形成され、固定部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が増加するような溝面が存在するように形成されていることである。
【0110】
その実施例3について説明する。図10において、1は固定部材、2は回転部材、3は潤滑流体、6はスラスト板、7は開放端開口隙間部、8は流体保持溝、17は潤滑流体流出防止溝、18は潤滑流体流出防止溝である。
【0111】
回転部材側の潤滑流体流出防止溝17は展開する軸方向に螺旋状になっている。流出防止溝17の軸方向距離を変位とした時1展開でnサイクルしている(nは正の整数)。
【0112】
それらのメカニズムを以下に説明する。
また回転部材2側の潤滑流体流出防止溝17に対向する位置近くには固定部材1側の表面にも下方に向かうにしたがって隙間が増加する潤滑流体流出防止溝18が構成されている。図14はこの部分の拡大図であって、回転部材2側の潤滑流体流出防止溝17と固定部材1側の潤滑流体流出防止溝18の位置関係は、若干固定部材1側の潤滑流体流出防止溝18の方が上方に位置する。
【0113】
ラジアル動圧軸受部から下へ漏れ出た潤滑流体は最初に回転部材2と固定部材1の第1の傾斜面21からなる隙間が大きくなる位置すなわち、潤滑流体流出防止溝18の第1の傾斜面21のところで潤滑流体の表面張力によって流出が阻止される。これを第1段のシールとする。
【0114】
その潤滑流体流出防止溝18のところの第1段のシール効果が損なわれて、その潤滑流体流出防止溝18の第2の傾斜面20にも潤滑流体が満ち、潤滑流体流出防止溝18の潤滑流体が充満に近い状態になると、もう一方の潤滑流体流出防止溝17の第2の傾斜面20、その第2の傾斜面20では下方に向かうにしたがって隙間(図14の角度γで構成される隙間)が小さくなる箇所、隙間減少する第1の傾斜面19がある。潤滑流体流出防止溝17の第2の傾斜面20と潤滑流体流出防止溝20の空間によって、表面張力の作用が潤滑流体に作用し、表面張力シール効果を発生させて潤滑流体の流出は阻止される。これを第2段のシールとする。さらに、その表面張力シール効果だけで不十分なまでに潤滑流体が2つの潤滑流体流出防止溝に充満に近い状態になると、潤滑流体流出防止溝17の回転部材2の開放端側の第1の傾斜面19と固定部材1の潤滑流体流出防止溝18の第1の傾斜面とのなす空間に潤滑流体は保持される。これを第3段のシールとする。第3段のシールでも不十分に潤滑流体が漏れ出すと、潤滑流体流出防止溝17の第1の傾斜面19と潤滑流体流出防止溝18の第2の傾斜面22とでなすくさび状隙間で潤滑流体は保持される。これを第4段のシールとする。さらに、潤滑流体流出防止溝17の第1の傾斜面19と固定部材1とのくさび状の隙間での潤滑流体の遠心力と表面張力の作用で流出が阻止される。これを第5段のシールとする。潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで、何段にもわたってシール効果をもたせることができる。
【0115】
図15は2つの潤滑流体流出防止溝の構成の拡大図であって、回転部材2側の潤滑流体流出防止溝17と固定部材1側の潤滑流体流出防止溝18の位置関係は、若干固定部材1側の潤滑流体流出防止溝18の方が下方に位置する。
【0116】
図15でのシール効果について説明する。ラジアル動圧軸受部から下へ漏れ出た潤滑流体は最初に回転部材2と固定部材1との隙間が大きくなる位置すなわち、回転部材側の潤滑流体流出防止溝17の第2の傾斜面20と固定部材との隙間のところで表面張力によって流出が阻止される。これを第1段のシールとする。そのところでの表面張力での保持効果は遠心力によってわずかな効果になって現れる。さらに、その漏れた潤滑流体は回転遠心力で潤滑流体流出防止溝17の第2の傾斜面20の半径位置の大きなところに付着するように移動するような作用をする。第1段のシールが十分でない程度に潤滑流体が漏れると、潤滑流体流出防止溝17の第2の傾斜面20から第1の傾斜面19のほうへ漏れてくるし、固定部材側でも潤滑流体流出防止溝18に漏れてくる。そのために、潤滑流体流出防止溝17の第1の傾斜面19と固定部材1側の潤滑流体流出防止溝18の第1の傾斜面21とでなす空間で潤滑流体は保持される。それを第2段のシールとする。さらに、潤滑流体流出防止溝17の第1の傾斜面19ともう一方の固定部材1側の潤滑流体流出防止溝18の第2の傾斜面22によって、遠心力と表面張力の作用が潤滑流体に作用し、表面張力シール効果を発生させて潤滑流体の流出は阻止される。これを第3段のシールとする。さらに滑流体流出防止溝18の第2の傾斜面22ともう一方の回転部材2側の内表面とでなすくさび状の隙間で潤滑流体の表面張力の作用で流出が阻止される。これを第4段のシールとする。潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで、何段にもわたってシール効果をもたせることができる。
【0117】
このくいちがいの状態で回転することでシールが各部で異なるために、漏れ出た潤滑流体は回転に伴って、動圧発生部に戻るため、潤滑流体流出防止溝17、18の一方を螺旋状の溝にすることで、漏れ出た潤滑流体は動圧発生部に潤滑流体3を自己供給するような働きをする。
【0118】
また、潤滑流体流出防止溝17、18はそれぞれに傾斜面が2つ存在する。第1の傾斜面と第2の傾斜面は第1の傾斜面の方が傾斜面の長さが長く、その傾斜面の長い方を潤滑流体流出防止溝の傾斜面として扱っている。
【0119】
その潤滑流体流出防止溝の傾斜面の角度を回転部材側は角度γとし、固定部材側は角度δとする。
【0120】
傾斜角度γ、δについては、実施例1と同様な理由で、ある範囲にあることがシール効果があるので、その範囲に設計することが好適である。その条件は(数22)で表される。
【0121】
【数22】
【0122】
二つの潤滑流体流出防止溝は同時に対向しているが、傾斜角度は軸に対して軸対象でないので、角度γ、δの最大値は60度であるほうが良いように考えられるが、経験から実施例3の場合では60度より小さな値とした。また二つの潤滑流体流出防止溝は個別に先端部の角度で溝が構成されることが多いので、角度γ、δの最小角度は(数19)の最小値とした。
【0123】
(実施例4)
上記の実施例では、回転部材側の潤滑流体流出防止溝は螺旋状の溝としている。
この螺旋状の溝ともう一方の潤滑流体流出防止溝との関係については、詳細な説明図が図2である。
【0124】
実際、この本願発明による螺旋状溝には、数パターンの溝の位置関係がある。いくつかの実施例を実施例4として説明する。図16に固定部材側の潤滑流体流出防止溝と回転部材側の潤滑流体流出防止溝との位置関係を表す展開図である。
【0125】
この螺旋状の溝は、図16のように、モータの動圧軸受の2つの潤滑流体流出防止溝の展開図で表すと、固定部材側の潤滑流体流出防止溝24は実線で示すような平行な位置になるように展開され、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の破線で示すようなうねりのある位置形状になるように展開される。すなわち、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の破線は請求項に記載されているように軸方向距離に周期的に変化している。図16にも展開の回転角度位置も記載してあり、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の軸方向距離に周期は1展開で、図16(a)では2サイクル、図16(b)では2サイクル、図16(c)では1サイクル、図16(d)では2サイクル、図16(e)では2サイクルしている。
【0126】
図16(a)の場合は、固定部材側の潤滑流体流出防止溝24に対して位置関係では、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の下部端部の最下点位置25の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の下部端部の最上点位置26の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の上部端部の最下点位置27の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の上部端部の最上点位置28の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置している。
【0127】
図16(b)の場合は、固定部材側の潤滑流体流出防止溝24に対して位置関係では、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の下部端部の最下点位置25の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の下部端部の最上点位置26の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の上部端部の最下点位置27の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の上部端部の最上点位置28の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置している。
【0128】
図16(c)の場合は、固定部材側の潤滑流体流出防止溝24に対して位置関係では、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の下部端部の最下点位置25の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の下部端部の最上点位置26の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置しかつ固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の上部端部の最下点位置27の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置しかつ固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の上部端部の最上点位置28の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置している。
【0129】
図16(d)の場合は、固定部材側の潤滑流体流出防止溝24に対して位置関係では、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の下部端部の最下点位置25の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の下部端部の最上点位置26の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の上部端部の最下点位置27の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置しかつ固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の上部端部の最上点位置28の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置している。
【0130】
図16(e)の場合は、固定部材側の潤滑流体流出防止溝24に対して位置関係では、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の下部端部の最下点位置25の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の下部端部の最上点位置26の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の上部端部の最下点位置27の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝23の上部端部の最上点位置28の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置しかつ固定部材側の潤滑流体流出防止溝24の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置している。
【0131】
毛管現象による潤滑流体の保持圧力は隙間の間隔に反比例するので、潤滑流体流出防止溝23、24に通常回転時でも潤滑流体を保持していると、回転に伴ってシール効果部が移動したり、シール可能な保持空間が同一の位置においては変化する。この変化は潤滑流体流出防止溝23、24の位置が回転位置によってくいちがいをしているためであるが、そのくいちがいは潤滑流体流出防止溝を螺旋状の溝にしていることによって得られる。またシール可能な保持空間が同一の位置においては変化し、シール効果が回転に伴って変化するので、回転位置によって漏れ出た潤滑流体に流れが発生し、その流れの働きで、動圧発生部に潤滑流体を自己供給するように作用する。潤滑流体流出防止溝の一方を螺旋状の溝にしていることで漏れ出た潤滑流体や初期余剰の保持されていた潤滑流体を動圧発生部に自己供給することができる。
【0132】
潤滑流体の漏れ出る原因は、濡れ性に大きく関係することが知られている。固体を液体に接触させると濡れの現象が現れる。この濡れ現象の基本的な系として平滑な表面をもつ固体と純物質の液体とその蒸気の系があるが、一般的に濡れはつぎのように大別される。
【0133】
(1)付着ぬれ(adhesional wetting)
(2)拡散ぬれ(spreading wetting)
(3)浸漬ぬれ(immersional wetting)
軸受の潤滑流体の液面は液体と固体の系であり、液体と固体の系のぬれは濡れによって系の自由エネルギーが減少する場合に起こる。濡れによる自由エネルギーの変化Wを濡れの形にしたがって、それぞれの単位面積のぬれについて、付着仕事Wa、拡散仕事Ws、浸漬仕事Wiとすると、液体、固体の表面張力をγL、γS、界面張力γLSとすると、(数23)のようになる。
【0134】
【数23】
【0135】
(数23)のWが負のときに各ぬれがおこる。
濡れ現象に関して、重要な量として接触角θがある。図17に示すθがその接触角であって、液固接点から固体表面の垂直面内に引いた切り線がなす角である。その接触角θと張力の間にはYoung-Dupreの式があり、固体表面と液体が平衡を保つ条件式でもある。その式は(数24)となる。
【0136】
【数24】
【0137】
(数24)の平衡は(数24)の3つの張力のバランスで決まる。
(数23)に含まれる(γLS−γS)または(γS−γLS)の値が(数24)のポイントである。
【0138】
(数24)を(数23)に代入すると
【0139】
【数25】
【0140】
(数25)から、付着ぬれは常にWa<0であるので、必ず起こる。拡散ぬれはcosθ≧1のときに起こる、すなわち、cosθ=1つまりθ=0のときのみに起こる。浸漬ぬれはcosθ>0のときに起こる、すなわち、θ<90度のときに起こる。
【0141】
シャフト面を潤滑流体がはい上がるという問題を考えてみるとき、それは拡散ぬれの状態になったこととなる。
【0142】
外力を加えた場合などや、余剰の潤滑流体の注油量などが多い場合などは、油道ができやすく、この油道によって潤滑流体が漏れ出すことがあり、それは拡散ぬれの状態になっていることになる。
【0143】
この拡散ぬれは漏れでできた方向に拡散して、張力が作用しないほど無視できるほどになっているので、潤滑流体流出防止溝を螺旋状の溝にして、潤滑流体流出防止溝でくいちがいをさせることによって、シール可能な保持空間が同一の位置においては変化し、シール効果が回転に伴って変化するので、回転位置によって漏れ出た潤滑流体は動圧発生部に自己供給するように戻ってしまう。
【0144】
さて、(数23)の拡散ぬれの発生はWs<0のときであり、γS>γLS+γLのときである。発生させないためにはγS<γLS+γLの関係にする必要がある。
【0145】
さて、(数24)の(γS−γLS)の値で考えてみると、拡散ぬれの場合などでは固体表面が固体液体界面に置き変わり、自由エネルギーが下がることになる。
(1)(γS−γLS)>0
(2)(γS−γLS)<0
(3)(γS−γLS)=0
のとき、(2)、(3)の場合はWs>0であり、拡散もれは発生しない、(1)の場合はWs<0になる場合があり、漏れは発生する。(γS−γLS)の値が大きくなればなるほど漏れる可能性が高くなる。
【0146】
シャフト面を潤滑流体がはい上がるという問題はWs<0という条件になっているかどうかであり、拡散ぬれ(はい上がり現象)を防止するための対策としては、
(1)Ws>0(つまり、γS<γLS+γL)の条件にする。
【0147】
それは、固体表面に金属面が直接表面に出てこないようにし、できるだけ表面張力の低い材質、例えば擬油剤等で表面を保護する方法である。
(2)固体表面と液体との実質接触角をできるだけ大きくする。
【0148】
それは、固体表面の表面粗度を小さくして、固体表面と液体との実質接触角をできるだけ大きくする。
(3)シール保持力を利用する。
【0149】
それは、拡散もれの現象を引き戻す方向に外力が働くように工夫する。本願はこのシール保持力を潤滑流体流出防止溝を螺旋状の溝にして、潤滑流体流出防止溝でくいちがいをさせることによって、シール可能な保持空間が同一の位置においては変化し、シール効果が回転に伴って変化させ、回転位置によって漏れ出た潤滑流体は動圧発生部に自己供給して戻ってしまうようにしている。
【0150】
(実施例5)
動圧軸受は一般的偏心率が小さな状態の軸受を前提に考えられているが、実際モータのアンバランス量が軸剛性にくらべて、無視できない場合がある。軸剛性を上げるには、軸受の長さを長くしたりするが、モータの高さが決まっていることが多いので、長さの変更がほとんどの場合不可能である。その際に軸剛性は軸受け隙間を小さくすることが効果的となるが、あまり隙間を小さくすると、温度環境の変化や、組立作業性などで問題がある。実際偏心率を0にすることは不可能になってきている。本願では偏心率の影響を考慮にいれて潤滑流体の漏れ防止対策を工夫している。
【0151】
隙間が均一の場合、固定部材と回転部材の潤滑流体流出防止溝は同じ位置に合い対向するように構成する軸受も、偏心率が5%以上になってくると、モータ動圧軸受の隙間は軸方向に不均一な隙間となる。その時の軸受の潤滑流体流出防止溝を展開すると、固定部材側の潤滑流体流出防止溝に対して、回転部材側の潤滑流体流出防止溝は軸方向に1展開に1サイクルの周期をもつように展開される。この展開図は図16(c)のように展開される。
【0152】
2つの対向する潤滑流体流出防止溝の一方が螺旋状の溝でない場合でも、偏心率が5%以上になると、螺旋状の潤滑流体流出防止溝として効果を発揮し、潤滑流体の漏れを効果的に防止してくれる。
【0153】
(実施例6)
図18は、本発明の一実施例としての軸固定型の記録媒体駆動用の流体動圧軸受装置を使用したスピンドルモータの断面図である。対象となる記録媒体としては、光磁気ディスクや固定磁気ディスクや、それ以外の種々の記録媒体をあげることができる。
【0154】
ハウジング29は、その上方開口の環状凹部30の内周部に上方突出円筒部31を有し、環状凹部30の外周側にフランジ部32を構成している。上方突出円筒部31の中央部には貫通孔33が設けられている。なお、ハウジング29は、例えば固定磁気ディスク駆動装置の基盤内に一体的に形成することも可能である。
【0155】
ハウジング29の貫通孔33内にはシャフト35の端部が嵌合固定されている。上方突出円筒部31の外周部には上向きの内部円筒部34が設けられ、その内部円筒部34の外周部に、積層の珪素鋼鈑からなるステータコア36の内周の一部下端部が接着固定されている。そのステータコア36は板厚0.2mmの珪素鋼鈑を数枚積層して、ばらけ防止のためにコイニングのような突起を嵌合させるパック工法で製作され、さらにそのステータコアの表面にはテフロンの含浸したエポキシ系の電着塗装膜37にて表面が絶縁され、その絶縁された状態にステータコア36の上にコイル38が巻配されている。コイル38の端末線はハウジング29の凹部30の表面に蒸着された銅箔線39に半田付けされている。その銅箔線39はハウジング29の内部表面を通って、装置側のシャーシに電気的につながっている。銅箔線39とハウジング29とはポリイミド系絶縁膜で電気的に絶縁されている。銅箔線39はハウジング29を放熱器として使用できるので、銅箔線39の抵抗による温度上昇が小さく、銅箔線39の抵抗を低く押さえられるので電流を多く流せることが可能である。この銅箔線39はフレキシブルプリント基板のようにハウジング29の傾斜した面も容易に配線することができるので、さらにはフレキシブルプリント基板では不可能である異形状な箇所への配線が可能となる。そのため、複雑な部品面で配線が不可能であった箇所への使用ができる。HDD装置では磁気ヘッドのサスペンションやアームに銅箔線を施して軽量化を行うことも可能となる。
【0156】
この銅箔線39がハウジング29の表面部へ設置されることで、銅箔線39での熱をハウジング29に放熱させて、コイル38の抵抗値を上がらない。したがってモータ全体としての抵抗値を低減させて、電流量の供給が容易になるのでモータの効率も向上するし、ハウジング表面近くで構成できるので、モータの全高を低くできるうえに、モータのコイルの発熱を抑えることができるので、モータ全体の温度も低減でき、軸受の温度も低減させることになるので潤滑流体の温度変化の幅が小さくなる。潤滑流体は温度が高くなると、粘度が低くなるので、同じ隙間ならば軸受剛性が低下する。銅箔線39で軸受温度上昇を抑えることができるので、高温での軸受剛性の低下が防止でき軸受としての信頼性が向上する。
【0157】
スピンドルモータはセンサレス駆動のためスピンドルモータ内部には電子部品を配置せず、コイルの線の接続線だけをスピンドルモータ外部まで配接する構成であり、コイル38のハウジング29の面近くまで巻くことができるうえに、プリント基板よりも銅箔線39の方が薄くできるので、さらに、ステータコア36に巻配するスペースが多くなり、太い線を多く巻くことで、スピンドルモータのトルク特性を向上することができる。
【0158】
環状の抜け止め板40は、シャフト35の上部にシャフト35に対し垂直にネジシャフト41によって固定されている。なお、抜け止め板40はシャフトに一体的に形成されていてもよいし、ネジシャフト41の方と一体に形成されていてもよい。
【0159】
スリーブ42は、上端部の外径が拡開されたn段(nは2以上の整数)の円筒形状をなし、シャフト35に対向するスリーブ42の内周部は、全体として径小な円筒形状をなし、その中央部には径小円筒部の内径よりも若干大きな内径を有する流体溜まり部43が構成されている。したがってその径小円筒部は流体溜まり部43を挟んで上部及び下部の径小円筒部44、45に分かれる。その上部の径小円筒部44及び下部の径小円筒部45の内周面にはへリングボーン溝が設けられ、その上下ヘリングボーン溝と、シャフト35のラジアル方向の間隙には潤滑流体が充填されている。回転に伴ってそのヘリングボーン溝によって発生する動圧によってラジアル荷重支持が可能となりラジアル流体動圧軸受を構成する。特に、上下へリングボーン溝により、その荷重支持圧が高められる。なお、このようなへリングボーン溝は、固定シャフト35のラジアル表面に設けてもよい。
【0160】
シャフト35のラジアル軸受部の下部の径小円筒部45の下方に、内表面に溌油処理が施された下方に向かうにしたがって隙間が減少する潤滑流体流出防止溝46が構成されている。またスリーブ42側の潤滑流体流出防止溝46に対向する位置のシャフト35の表面にも下方に向かうにしたがって隙間が減少する潤滑流体流出防止溝47が構成されている。図18ではスリーブ42側潤滑流体流出防止溝46とシャフト35側の潤滑流体流出防止溝47の位置関係は、シャフト35の左側は若干シャフト35側の潤滑流体流出防止溝47の方が上方に位置しているが、シャフト35の右側は若干シャフト35側の潤滑流体流出防止溝47の方が下方に位置している。
【0161】
潤滑流体流出防止溝46、47は実施例1における例のごとく、回転部材側であるスリーブ42の潤滑流体流出防止溝46を螺旋状の溝にして、潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがい位置関係にしている。
【0162】
図18でのシャフト35の左側の潤滑流体流出防止溝の関係において、ラジアル動圧軸受部から下へ漏れ出た潤滑流体は最初にスリーブ42とシャフト35の隙間が大きくなる位置すなわち、潤滑流体流出防止溝47のところで潤滑流体の表面張力によって流出が阻止される。これを第1段のシールとする。その潤滑流体流出防止溝47のところのシールが損なわれて、その潤滑流体流出防止溝47に潤滑流体が充満に近い状態になると、もう一方の潤滑流体流出防止溝46の最初の端縁ともう一方の端縁でのテーパによって、遠心力の作用が潤滑流体に作用し、遠心力シール効果を発生させて潤滑流体の流出は阻止される。これを第2段のシールとする。その遠心力シール効果だけで不十分なまでに潤滑流体が2つの潤滑流体流出防止溝に充満に近い状態になると、潤滑流体流出防止溝46のスリーブ開放端側に端縁とシャフト35とのくさび状の隙間での潤滑流体の遠心力と表面張力の作用で流出が阻止される。これを第3段のシールとする。潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで、何段にもわたってシール効果をもたせることができる。
【0163】
また、図18でのシャフト35の右側の潤滑流体流出防止溝の関係において、ラジアル動圧軸受部から下へ漏れ出た潤滑流体は最初にスリーブ42とシャフト35の隙間が大きくなる位置すなわち、スリーブ側の潤滑流体流出防止溝46のところで表面張力によって流出が阻止される。これを第1段のシールとする。そのところでの表面張力での保持効果はわずかであり、その漏れた潤滑流体は回転遠心力で潤滑流体流出防止溝46の上端縁側の半径位置の大きなところに付着する。潤滑流体流出防止溝46の最初の端縁ともう一方の端縁でのテーパによって、遠心力の作用が潤滑流体に作用し、遠心力シール効果を発生させて潤滑流体の流出は阻止される。これを第2段のシールとする。そのスリーブ42側の潤滑流体流出防止溝46に潤滑流体が充満に近い状態になると、もう一方のシャフト35側に潤滑流体流出防止溝47の下部の端縁ともう一方の端縁側への傾斜面とスリーブ42の内表面とのくさび状の隙間で潤滑流体の表面張力の作用で流出が阻止される。これを第3段のシールとする。潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで、何段にもわたってシール効果をもたせることができる。
【0164】
図のようなシール効果は随所で起こり、回転位置において、シールして保持していた潤滑流体に、その位置でのシール効果が変化するように、螺旋状に潤滑流体流出防止溝の位置を構成することで潤滑流体は自己的に動圧軸受部に戻ってしまう。
【0165】
この自己補充機構が、螺旋状に潤滑流体流出防止溝にして、潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせて、このくいちがい位置関係を変化させていることで可能となっている。
【0166】
シャフト35の上方部のスリーブ42は、スリーブ42の小内径部48に抜け止め板40の外周部とわずかな径方向間隙を隔てる状態で抜け止め板40が構成され、スリーブの中内径部49にスラスト押え板50が圧入固定されている。スラスト押え板50を圧入したことによってスリーブ42は上下の移動規制される。その移動規制量はスリーブの小内径部48の厚みと抜け止め板40の厚みの差である。そのスラスト移動規制量は0.20mm以下に規制されている。
【0167】
衝撃が作用した場合、移動規制量が大きすぎると抜け止め板40に作用する衝撃力も大きくなるうえに、スピンドルモータに搭載された磁気ディスクの移動量が大きくなり磁気ヘッドへ衝撃が作用し、記録している磁気ディスク面に傷をつける恐れがあるので、移動規制量は必要以上に抑える構成をしている。
【0168】
そして、スラスト押え板50はマイクロヒッカース硬度600以上の熱処理鋼材で作られている。例えば、SUS420J2やSKD11などを用いている。そのスラスト押え板50の上にさらにスラスト方向強度補強のために補強板51が中内径部49の内径よりも大きな大内径部52に圧入されている。スラスト押え板50の圧入はスリーブの小内径部48の変形が発生しない程度の軽い圧入であったのに比べ、補強板51の圧入は衝撃に耐えることができる程度に強力に圧入されている。さらに、紫外線硬化型の接着剤53で補強板51の圧入箇所を固めてより強度を補強している。さらに接着剤53の圧入部を接着することは潤滑流体が外部ににじみ出る経路を封止することになるので、潤滑流体の保持にも役立つ。
【0169】
抜け止め板40をスラスト押さえ板50と補強板51との2重の構造体で抑えているので、大きな衝撃で変形や脱落などの問題はない。2重の構造を取っているので、スラスト押さえ板50と補強板51との間の面にスパイラル溝などを形成して潤滑流体の保持領域にすることもできる。
【0170】
ロータハブ54は、略カップ形状をなし、ロータハブ54のカップ円筒部55の上端部内方には、中央部が円形に天面部56があり、下端部外方に外方張出したフランジ部57がある。このロータハブ54は、天面部56においてスリーブ42の上端部に外嵌固定されている。そのためにロータハブ54はスリーブ42と同軸を構成し、スリーブ42の径小円筒部44、45に対してのロータハブ54の外周振れが5μm以下になるようにスリーブ42に組み立てられている。
【0171】
そのカップ円筒部55の内周部には、円筒状で磁性材のロータヨーク58が内嵌固定され、その内周側には駆動マグネット59がステータコア36に対し径方向空隙を隔てて相対している。その隙間は0.15mmから0.3mmの範囲で構成されている。
【0172】
ロータハブ54のカップ円筒部55は磁気ディスクの内周規制部であり、下端部外方に外方張出したフランジ部57は磁気ディスクを搭載する受け面部である。
【0173】
抜け止め板40の上面とスラスト押え板50、抜け止め板40の下面とスリーブ42のスラスト面60により、それぞれスラスト動圧軸受部が構成されている。抜け止め板40の上面とスラスト押え板50、抜け止め板40の下面とスリーブ42のスラスト面60はそれぞれ平行状に相対し、それらの間には、液状の潤滑流体が介在してスラスト移動規制量のギャップを隔てている。抜け止め板40の上下環状面全周にわたって、ヘリングボーン状溝が設けられている。このへリングボーン状溝は、スリーブ42のスラスト面60及びスラスト押え板50の順方向回転により、抜け止め板40の面表面に介在する潤滑流体に高圧を発生させる。なお、このようなヘリングボーン状溝は、スリーブ42のスラスト面60やスラスト押え板50の面に設けてもよい。
【0174】
補強板51の内周部はネジシャフト41との隙間が下方に向かうにしたがって大きくなるようなテーパ形状をしている。さらに補強板51の内表面に溌油処理が施されている。
【0175】
シャフト35及びステータコア36等に対し、スリーブ42及びロータハブ54等が、潤滑流体を介して自在に回転し得るよう構成されている。径小円筒部44、45のラジアル動圧軸受部によって、スリーブ42の回転中におけるシャフト35に対する径方向変位を十分に小さく抑えることができるので、カップ状円筒部55の振れを小さく抑えることができ、動圧流体軸受であるので非繰り返し振れも0.05μm以下に抑えることができる。抜け止め板40の上下面のスラスト軸受によって、スリーブ42の回転中におけるシャフト35に対するスラスト方向変位を十分に小さく抑えることができる。
【0176】
シャフト35に対しスリーブ42が相対回転すると、上下の径小円筒部44、45のラジアル動圧軸受部は、そこに介装された潤滑流体に主としてラジアル方向の荷重支持圧を発生させ、抜け止め板40の上下面のスラスト軸受は、そこに介装された潤滑流体に主としてスラスト方向の荷重支持圧を発生させる。回転停止状態において下部の径小円筒部45に隣接するスリーブ42の潤滑流体流出防止溝46やシャフト35の潤滑流体流出防止溝47に潤滑流体が漏出していた場合、モータが回転し始めるとの潤滑流体を下部の径小円筒部17内に取り込む。また、同様に補強板51の内周部に潤滑流体が漏出していた場合、スピンドルモータが回転し始めるとスラスト軸受部である抜け止め板40の方へ潤滑流体を取り込む。
【0177】
スピンドルモータの回転が停止し、シャフト35とスリーブ42とが相対運動が零になるとシャフト35とスリーブ42との隙間によって傾斜が生じる。動圧軸受部に保持しきれない潤滑流体はシャフト35に設けた潤滑流体流出防止溝47に漏れ出す。スピンドルモータが回転すると潤滑流体流出防止溝47に漏れていた潤滑流体は下部の径小円筒部45内に入り込む。
【0178】
上記のように潤滑流体流出防止溝46、47にある漏れ出た潤滑流体が径小円筒部に入るためには潤滑流体流出防止溝の傾斜面のシャフトの軸方向に対する傾斜角度は遠心力と表面張力などを考慮して実験的に求めると、(数26)の関係にあることが好適である。
【0179】
【数26】
【0180】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、請求項1記載の発明で、ラジアル動圧軸受の開放端部側円筒部の端部に潤滑流体流出防止溝が回転部材側と固定部材側に設けられることによって、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では遠心力と表面張力による潤滑流体の保持が行われることによって、ラジアル動圧軸受の潤滑流体の回転部材からの流出は防止される。また、2つの潤滑流体流出防止溝のうち固定部材側の潤滑流体流出防止溝の位置は一定位置にあるが、回転部材側の潤滑流体流出防止溝は位置は上下に周期的に変化があるために、2つの溝の相対位置が回転に伴って変化することで、動圧発生部に自己補充することができる。さらには衝撃が作用した場合でも、その自己補充機能により、漏れ始めた潤滑流体が潤滑流体流出防止溝に戻り、さらには動圧発生部に戻るように潤滑流体流出防止溝の保持能力が強化され、信頼性が高い軸受装置ができるという有利な効果が得られる。
【0181】
請求項2記載の発明によれば、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では遠心力と表面張力による潤滑流体の保持が行われることで効果的なシールが可能となるという作用を有するうえに、固定部材側と回転部材側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、動圧発生部に自己補充することができるという有利な効果が得られる。
【0182】
請求項3記載の発明によれば、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では遠心力と表面張力による潤滑流体の保持が行われ、潤滑流体流出防止溝の傾斜角度を所定範囲にすることで効果的なシールが可能となるという有利な効果が得られる。
【0183】
請求項4記載の発明によれば、固定部材側と回転部材側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、動圧発生部に自己補充することができるうえに、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われることで効果的なシールが可能となるという有利な効果が得られる。
【0184】
請求項5記載の発明によれば、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、潤滑流体流出防止溝の傾斜角度を所定範囲にすることで効果的なシールが可能となるという有利な効果が得られる。
【0185】
請求項6記載の発明によれば、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では遠心力と表面張力による潤滑流体の保持が行われることで効果的なシールが可能となるという作用を有するうえに、固定部材側と回転部材側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、動圧発生部に自己補充することができるという有利な効果が得られる。
【0186】
請求項7記載の発明によれば、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では遠心力と表面張力による潤滑流体の保持が行われ、潤滑流体流出防止溝の傾斜角度を所定範囲にすることで効果的なシールが可能となるという有利な効果が得られる。
【0187】
請求項8から13に記載の発明によれば、回転部材側と固定部材側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、固定部材側の潤滑流体流出防止溝の一定の位置にあり、回転部材側の潤滑流体流出防止溝が軸方向に周期的に変化するように形成されているので、各所にシール効果が発生し、隙間での潤滑流体の遠心力や表面張力の作用で流出が阻止されるうえに、潤滑流体流出防止溝の位置をくいちがいさせていることで動圧発生部に潤滑流体が戻るように潤滑流体流出防止溝の保持能力が強化され、信頼性が高い軸受装置ができるという有利な効果が得られる。
【0188】
請求項14記載の発明によれば、2つの対向する潤滑流体流出防止溝の一方が螺旋状の溝でない場合でも、偏心率が5%以上になると、螺旋状の潤滑流体流出防止溝として効果を発揮し、潤滑流体の漏れを効果的に防止するという有利な効果が得られる。
【0189】
請求項15記載の発明によれば、ラジアル動圧軸受の開放端部側円筒部の端部に潤滑流体流出防止溝が回転部材側と固定部材側に設けられることによって、固定部材側の潤滑流体流出防止溝では表面張力による潤滑流体の保持が行われ、回転部材側の潤滑流体流出防止溝では遠心力と表面張力による潤滑流体の保持が行われることによって、ラジアル動圧軸受の潤滑流体のスリーブからの流出は防止される。さらに、スリーブ側とシャフト側に設けられ潤滑流体流出防止溝の端縁はお互いに段違いにくいちがっていて、スリーブ側の潤滑流体流出防止溝の方が下方である場合では、何段にもわたってシール効果を発揮し、スリーブ側の潤滑流体流出防止溝の方が上方である場合では、何段にもわたってシール効果を発揮することができるうえに、シャフト側の潤滑流体流出防止溝の位置は一定位置にあるが、スリーブ側の潤滑流体流出防止溝は位置は上下に周期的に変化があるために、2つの溝の相対位置が回転に伴って変化することで、動圧発生部に自己補充することができる。さらには衝撃が作用した場合でも、その自己補充機能により、漏れ始めた潤滑流体が潤滑流体流出防止溝に戻り、さらには動圧発生部に戻るように潤滑流体流出防止溝の保持能力が強化され、信頼性が高い軸受装置ができるという有利な効果が得られる。
【0190】
請求項16記載の発明によれば、シャフト側の潤滑流体流出防止溝の位置は一定位置にあるが、スリーブ側の潤滑流体流出防止溝は位置は上下に周期的に変化があるために、2つの溝の相対位置が回転に伴って変化することで、動圧発生部に自己補充することができるという有利な効果が得られる。
【0191】
毛管現象による潤滑流体の保持圧力は隙間の間隔に反比例するので、潤滑流体流出防止溝に通常回転時でも潤滑流体を多く保持するようにして、動圧発生部に潤滑流体を自己供給するよう、潤滑流体流出防止溝の一方を螺旋状の溝にしている。
【0192】
本願では、拡散もれの現象を引き戻す方向に外力が働くように工夫している。この工夫はこのシール保持力の潤滑流体流出防止溝を螺旋状の溝にして、潤滑流体流出防止溝でくいちがいをさせることによって、シール可能な保持空間が同一の位置においては変化し、シール効果を回転に伴って変化させ、回転位置によって漏れ出た潤滑流体は動圧発生部に自己供給して戻ってしまうようにしている。
【0193】
上記方法で潤滑流体の漏れがないようにできるので、スピンドルモータの信頼性が高くなるうえに、磁気ディスク駆動装置に応用した場合は磁気ヘッドが磁気ディスクにダメージを及ぼす影響が小さくできるので装置全体としての信頼性も向上するという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における動圧軸受装置の図
【図2】モータの動圧軸受の2つの潤滑流体流出防止溝の展開図
【図3】潤滑流体流出防止溝の拡大図
【図4】潤滑流体流出防止溝の拡大図
【図5】表面自由エネルギーを説明するための図
【図6】毛管現象の基本式のための図
【図7】潤滑流体の保持及び流出防止溝が形成されているとした模式図
【図8】角度εと潤滑流体の液面高さhの関係図
【図9】角度εと潤滑流体の液面高さhの変化率の関係図
【図10】実施例における流体動圧軸受の図
【図11】潤滑流体流出防止溝の拡大図
【図12】潤滑流体流出防止溝の拡大図
【図13】実施例における流体動圧軸受の図
【図14】潤滑流体流出防止溝の拡大図
【図15】潤滑流体流出防止溝の拡大図
【図16】固定部材側の潤滑流体流出防止溝と回転部材側の潤滑流体流出防止溝との位置関係を表す展開図
【図17】濡れ現象における接触角θの説明図
【図18】実施例としての軸固定型の記録媒体駆動用の流体動圧軸受装置を使用したスピンドルモータの断面図
【図19】従来例における流体動圧軸受の図
【符号の説明】
1、9 固定部材
2、10 回転部材
3 潤滑流体
4、5、11、12、17、18、23、24、46、47 潤滑流体流出防止溝
6 スラスト板
7 開放端開口隙間部
8 流体保持溝
13、15、19、21 第1の傾斜面
14、16、20、22 第2の傾斜面
25 回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最下点位置
26 回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最上点位置
27 回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最下点位置
28 回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最上点位置
35 シャフト
42 スリーブ
43 流体溜まり部
44 上部の径小円筒部
45 下部の径小円筒部
Claims (15)
- 固定部材に対して回転体を回転自在に支承するためのラジアル動圧流体軸受及びスラスト動圧流体軸受からなる動圧軸受部が設けられた動圧軸受装置において、
その動圧軸受には潤滑流体を充填させ、固定部材に対して回転部材を非接触で回転させるその動圧軸受の軸方向の両端側が開放端とし、ラジアル動圧軸受の端部側円筒部の端部に潤滑流体流出防止溝を固定部材側と回転体側の両方に設け、固定部材側の潤滑流体流出防止溝の位置は一定とし、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の位置は軸方向距離に周期的に変化し、固定部材側の潤滑流体流出防止溝と回転部材側の潤滑流体流出防止溝は部分的に対向するように構成された潤滑流体流出防止溝を有することを特徴とする動圧軸受装置。 - 回転部材側と固定部材側と両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少する溝面が形成されたことを特徴とする請求項1記載の動圧軸受装置。
- 回転部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が増加する溝面が存在するように形成され、固定部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少する溝面が存在するように形成されたことを特徴とする請求項1記載の動圧軸受装置。
- 回転部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が減少する溝面が存在するように形成され、固定部材側に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に開放端部に向かうにしたがって隙間が増加する溝面が存在するように形成されたことを特徴とする請求項1記載の動圧軸受装置。
- 回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に形成され、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定の高さの位置に形成されていて、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最下点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最上点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最下点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最上点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置していることを特徴とする請求項1から7記載の動圧軸受装置。
- 回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に形成され、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定の高さの位置に形成されていて、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最下点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最上点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最下点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最上点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置していることを特徴とする請求項1から7記載の動圧軸受装置。
- 回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に形成され、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定の高さの位置に形成されていて、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最下点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最上点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置しかつ固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最下点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置しかつ固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最上点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置していることを特徴とする請求項1から7記載の動圧軸受装置。
- 回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に形成され、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定の高さの位置に形成されていて、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最下点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最上点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最下点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置しかつ固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最上点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置していることを特徴とする請求項1から7記載の動圧軸受装置。
- 回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に形成され、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定の高さの位置に形成されていて、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最下点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の最上点位置の方が固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最下点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より下部(開放端)側に位置し、回転部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の最上点位置の方は固定部材側の潤滑流体流出防止溝の上部端部の位置より下部(開放端)側に位置しかつ固定部材側の潤滑流体流出防止溝の下部端部の位置より上部(開放端の逆)側に位置していることを特徴とする請求項1から7記載の動圧軸受装置。
- 回転部材側と固定部材側との両方に設けられた潤滑流体流出防止溝はラジアル動圧軸受の端部側円筒部に形成され、固定部材側の潤滑流体流出防止溝は一定の高さの位置に形成されていて、回転部材側の潤滑流体流出防止溝は周方向に展開すると軸方向に螺旋状になっていて、その螺旋状の潤滑流体流出防止溝の軸方向距離を変位とした時1展開でnサイクルしている(nは1以上の正の整数)ことを特徴とする請求項1から12記載の動圧軸受装置。
- ハウジングと、該ハウジングに直接または間接的に固定されたステータコアと、該ハウジングに固定されたシャフトと、該シャフトに固定された抜け止め板と、固定のシャフトに対して軸受を介して相対的に回転自在である軸受スリーブと、該スリーブの外周部に直接または間接的に固定されたロータとを備え、該シャフトと該スリーブとからなりいずれか一方にヘリングボーン溝を形成して、隙間に潤滑流体を介したラジアル動圧軸受とスラスト押さえ板とスリーブで抜け止め板を挟み込み、該抜け止め板とスラスト押さえ板のいずれか一方に動圧溝を形成し、抜け止め板とスリーブのいずれか一方にも動圧溝を形成して、隙間に潤滑流体を介したスラスト動圧流体軸受であり、ラジアル動圧軸受の端部側円筒部の端部に潤滑流体流出防止溝がシャフト側と軸受スリーブ側の両方にあって、シャフト側の潤滑流体流出防止溝の位置は一定であって、スリーブ側の潤滑流体流出防止溝の位置は軸方向距離に周期的に変化していて、シャフト側の潤滑流体流出防止溝とスリーブ側の潤滑流体流出防止溝は軸受の1回転で一部分が部分的に対向するように構成された潤滑流体流出防止溝を有することを特徴とする動圧軸受装置を使用したスピンドルモータ。
- 請求項1から13記載の動圧軸受装置を使用したスピンドルモータ。
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