JP4075031B2 - 体外受精胚移植用具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、体外受精胚移植用具に関する。より詳しくは、生体外で受精された胚(体外受精卵)を動物の子宮内に移植するための移植用具に関する。
【0002】
【従来の技術】
体外受精胚(受精卵、この受精卵の2分割、4分割、8分割した胚を含む)を動物(人間を含む)の子宮内に移植するに際しては、外科手術を必要としないことから、従来、体外受精胚移植用カテーテルが多用されている。このカテーテルは、生体を傷つけることの無い様、ポリウレタンやブタジエンゴム、シリコーンなどで形成された柔軟なものであり、このカテーテルを子宮内に挿入する場合、例えば子宮内が湾曲していたり固くなったりしている場合には、カテーテルを子宮内に挿入することが困難な場合がある。従って、子宮内への移植に際しては、予めシースを子宮内に挿入しておき、このシースを通してカテーテルを子宮内に導入しており、その際、カテーテルが柔軟なため、挿入操作の便宜上カテーテルをピンセットで摘みながらシース内を進めることがあり、カテーテルの汚染の原因となるだけでなく、操作が非常に煩雑であった。また、培養容器から体外受精卵を吸引する場合、カテーテルが細くて柔らかいため、カテーテルの先端が振れ動き吸引操作が面倒であった。
【0003】
そこで、受精卵吸引作業時や移植時の汚染を防止するために、カテーテルに保護スリーブを装着したものもあるが、このものは、通常、ナイロンやポリエチレンなどの袋状のものを被せただけのものであり、吸引作業を向上させるものではない。また、柔らかい袋状であるため、スリーブ内のカテーテルの移動が非常にやり難いという問題があった。
このような不都合を解消するために、カテーテルを補強体で補強したものも提案されている(特許第50016号公報、特開平11−19094号公報など)。
【0004】
特許第50016号公報に開示されたカテーテルは、可撓性のカテーテル本体と、このカテーテル本体に設けられた採取チャンバと、カテーテル本体を被覆するように設けられた案内チューブを含んでなるもので、その図7に示すような構成、すなわち、採取チャンバの壁に可撓性操作部材を埋め込むことにより、案内ワイアが無くても採取チャンバ自体を体内の通路に位置決めできる様にしている。
また、特開平11−19094号公報に開示されたカテーテルは、可撓性材料で形成されたカテーテル本体に、基端部から先端側に延びる補強体を設け、先端部を補強体の存在しない柔軟先端部としたことを特徴とするものである。
【0005】
しかしながら、上記補強体を埋め込んだカテーテルは、いずれも、子宮内が湾曲していたり固くなったりしている場合に適応でき、培養容器からの受精卵の吸引操作も容易なものではあるが、補強体を埋め込んでいる関係で成型が難しくコスト的に問題があった。また、受精卵吸引後、患者まで移送する際に、カテーテルが他の物に接触して汚染される虞があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、受精卵の吸引操作が容易で、汚染の虞が無く、シースを通しての子宮内への挿入が容易な、体外受精胚移植用カテーテルを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討の結果、先端から基端に達するスリットが形成された長尺な可撓性保護スリーブを採用し、このスリーブでカテーテルを被覆しながら、カテーテルをスリットに沿ってスリーブ内を移動させることにより、課題が全て解決できることに想到し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、先端と基端を有し、基端にハブを備えた柔軟かつ長尺なカテーテルと、該カテーテルを被覆し保護する、先端から基端に達すると共に形成材料の可撓性により容易に広げることができカテーテルを保護スリーブに沿ってスムーズに前進可能とするスリットが形成された長尺な可撓性保護スリーブと、先端と基端を有し基端にハブを備え、基端から先端に貫通する前記カテーテルを挿通可能なルーメンを有する、前記カテーテルより短尺なシースとを含んでなり、カテーテルの先端側と基端側に目盛を設け、カテーテルを被覆する保護スリーブを、前記目盛を視認可能とする材質とした体外受精胚移植用具に関する。ここで、カテーテルのシースからの突出長さが基端側で容易に分かるようにするために、カテーテルの先端と基端側の目盛の始点までの距離がシースの長さに等しくなるようにしても良い。また、カテーテルの前進・後退操作を容易にするために、カテーテルの基端部にト字管を設け、カテーテルをト字管の分岐路から挿着して、そのハブの部分を分岐路に係合するようにしてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1〜図3は、それぞれ本発明の体外受精胚移植用具におけるカテーテル、保護スリーブ、シースの実施例を示す平面図であり、図4はカテーテルの他の実施例を示す平面図である。また、図5〜図7は、本発明の体外受精胚移植用具の使用状況を説明する図であり、図4に示すカテーテルを使用している。
本発明の体外受精胚移植用具は、図1に示すような基端にハブ12を備えた柔軟なカテーテル1と、図2に示すような先端から基端に達するスリット21が形成された保護スリーブ2と、図3に示すようなカテーテル1を挿入可能なルーメン(図7の33)を有するシース3とを含んでなる。
【0009】
カテーテル1は、ポリウレタンやシリコーンなどの合成ゴムや、天然ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エラストマーなどでチューブに形成されたカテーテル本体11を有する柔軟な長尺中空部材であり、先端と基端を有している。基端にはハブ12が設けられており、注射器(図示していない)のチップを接続することが出来るようになっている。カテーテル本体11には、好ましくは、先端と基端に近接してそれぞれ目盛111、112が設けられており、カテーテル本体11の先端から基端側の目盛112の始点113までの距離は、略シース3の長さに等しくなっている。従って、目盛112を見れば、カテーテル1の先端の保護スリーブ2の先端からの突出長を把握することが出来る。カテーテル1の基端部には図4に示すようにト字管13を設けてもよい。この場合、カテーテル1はその先端からト字管13の分岐路131に挿着され、そのハブ12の部分で分岐路131に係合されるようになっている。
【0010】
保護スリーブ2は、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等の可撓性材料で形成された長尺中空部材であり、カテーテル1(より正確にはカテーテル本体11)を被覆して保護する。保護スリーブ2には長手方向に先端から基端に達するスリット21が設けられており、このスリット21は形成材料の可撓性により容易に広げることができる様になっている。通常、この保護スリーブ2にはカテーテル1が挿着され、図5に示すような状態の商品として扱われる。また、図から明らかなように、保護スリーブ2は、カテーテル本体11に設けられた目盛111、112が視認可能な材質とされている。
【0011】
シース3は、そのシース本体31が保護スリーブ2と同様の材料で形成された可撓性中空部材であり、カテーテル1(正確にはカテーテル本体11)より短尺に形成されている。シース3は先端と基端を有しており、基端にはハブ32が設けられ、保護スリーブ2をあてがうことができる様になっている。シース3は、先端から基端に貫通するルーメン33を有しており、カテーテル1を挿通してシース3の先端からその先端を出し入れできる様になっている。シース3と一緒に使用するカテーテル1が、目盛111,112を設けたものである場合、シース3の長さは、カテーテル1の先端から目盛112の始点113までの長さに等しくなるように決められる。
【0012】
次に、本発明の体外受精胚移植用具の使用について図5〜図7を用いて説明する。
先ず、例えば、保護スリーブ2に図4のカテーテル1を挿着した、図5に示すようなカテーテル組立体を用意する。カテーテル本体11の先端は保護スリーブ2の中にあり、ト字管13の分岐部131より基端側が外に出ている。このとき、分岐部131はスリット21に挿入できる位置にある。
次に、スリーブ2およびカテーテル1のト字管13を手で把持しながら、スリット21に沿ってト字管13を前方に押す。するとスリット21が開いてト字管13が前進し、カテーテル1は全体が保護スリーブ2に沿ってスムーズに前進し、カテーテル本体11の先端が保護スリーブ2の先端から突出する。必要なら、カテーテル本体11の突出長を、受精卵の吸引操作の際に先端が揺れ動くことのない程度に調節した後、ハブ12に例えば注射器(図示していない)を接続し、シャーレなどの培養容器(図示していない)から受精卵を吸引採取する。
【0013】
次に、スリーブ2およびカテーテル1のト字管13を手で把持しながら、スリット21に沿ってト字管13を後方に押す。するとト字管13が後退し、カテーテル1が保護スリーブ2に沿ってスムーズに後退し、カテーテル本体11の先端が保護スリーブ2の中に収容され、図5の状態になる。次いで、この注射器を接続したカテーテル組立体の保護スリーブ2の先端を、予め例えばヒトの子宮内に挿入しておいたシース3のハブ32にあてがって、保護スリーブとシースを繋げ、ハブ32と保護スリーブ2の先端部を一方の手で把持しながら、他方の手でト字管13を前方に押す。するとスリット21が開いてト字管13が前進し、注射器の接続されたカテーテル1は全体が保護スリーブ2に沿ってスムーズに前進し、同時にカテーテル本体11がシース3のルーメン33をスムーズに移動して、その先端がシースの先端から突出する。このときの突出長は、目盛112を見ながら適当に決めることが出来る。カテーテル本体11の先端が所望の位置に達したら、注射器で受精卵を子宮内に注入する。
【0014】
【発明の効果】
以上説明してきたことから明らかなように、本発明の体外受精胚移植用具を採用すれば、カテーテルを保護スリーブで保護しているので、カテーテルが汚染される虞が無い。保護スリーブの先端からカテーテルの先端を少し出して受精卵を吸引することが出来るので、吸引中にカテーテルの先端が振れることがなく、受精卵の吸引操作が容易である。保護スリーブに沿ってカテーテルを移動させることが出来るので、カテーテルがこの保護スリーブを繋げたシースのルーメンをスムーズに移動でき、シースを通しての子宮内への挿入が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の体外受精胚移植用具におけるカテーテルの実施例を示す平面図である。
【図2】 本発明の体外受精胚移植用具における保護スリーブの実施例を示す平面図である。
【図3】 本発明の体外受精胚移植用具におけるシースの実施例を示す平面図である。
【図4】 本発明の体外受精胚移植用具におけるカテーテルの他の実施例を示す平面図である。
【図5】 本発明の体外受精胚移植用具の使用状況を説明する図である。
【図6】 本発明の体外受精胚移植用具の使用状況を説明する図である。
【図7】 本発明の体外受精胚移植用具の使用状況を説明する図である。
【符号の説明】
1 カテーテル
11 カテーテル本体
12 ハブ
111、112 目盛
13 ト字管
131 分岐路
2 保護スリーブ
21 スリット
3 シース
31 シース本体
32 ハブ
33 ルーメン
Claims (3)
- 先端と基端を有し、基端にハブを備えた柔軟かつ長尺なカテーテルと、該カテーテルを被覆し保護する、先端から基端に達すると共に形成材料の可撓性により容易に広げることができカテーテルを保護スリーブに沿ってスムーズに前進可能とするスリットが形成された長尺な可撓性保護スリーブと、先端と基端を有し基端にハブを備え、基端から先端に貫通する前記カテーテルを挿通可能なルーメンを有する、前記カテーテルより短尺なシースとを含んでなり、カテーテルの先端側と基端側に目盛を設け、カテーテルを被覆する保護スリーブを、前記目盛を視認可能とする材質としたことを特徴とする体外受精胚移植用具。
- カテーテルの先端と基端側の目盛の始点までの距離がシースの長さに等しい、請求項1に記載の移植用具。
- カテーテルの基端部にト字管を設け、カテーテルがト字管の分岐路から挿着されるとともに、ハブ部分で該分岐路に係合されるようにしてなる請求項1または2に記載の移植用具。
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2000
- 2000-12-12 JP JP2000377251A patent/JP4075031B2/ja not_active Expired - Lifetime
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