JP4074213B2 - 基板の処理方法及び基板の処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,基板の処理方法及び基板の処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば,半導体デバイスの製造プロセスにおいては,半導体ウェハ(以下,「ウェハ」という)の表面に,減圧下で,導電性の膜や絶縁膜を形成する成膜処理や,ウェハ上に形成された膜を食刻するエッチング処理などが行われている。
【0003】
例えば上記成膜処理は,密閉可能な処理容器を備えたプラズマ処理装置で行われている。成膜処理では,従来より減圧された処理容器内にウェハを収容した後,処理容器内に処理ガスを供給すると共に,処理容器内を排気し,処理容器内に処理ガスのガス流を形成していた。そして,ガス流を形成した状態で,処理容器内に処理ガスのプラズマを発生させて,当該プラズマによってウェハの表面に膜を堆積させて膜を形成していた(例えば,特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−156004号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記成膜処理によれば,常時処理容器内に処理ガスのガス流が形成されているので,処理容器の形状などに起因して,処理容器内には,処理ガスの偏った圧力分布や流速分布が形成される。この結果,ウェハの表面における膜の堆積は,ウェハ面内において均一に行われず,均一な成膜処理が行われていなかった。特に,近年ウェハが大口径化するに従い,ウェハ面内における処理の不均一性が顕著になっており,これを改善することが早急に望まれている。
【0006】
また,上記成膜処理では,処理容器内に導入された処理ガスの多くは,処理容器内から直ちに排気されるので,実際に成膜処理に寄与する処理ガスは,総導入量の一部に過ぎなかった。このように無駄に導入される処理ガスが多く,処理ガスの消費量が増大していた。
【0007】
上記成膜処理では,処理容器内に処理ガスを供給しながら処理容器内を所定の減圧度に維持する必要があるため,処理ガスの供給流量を厳密に制御する必要があった。このため,処理ガスの給気系には,複雑な流量制御機器が必要となり,プラズマ処理装置の全体の構造が複雑化,或いは大型化していた。
【0008】
さらに,上記成膜処理では,ウェハ上に常時新しい処理ガスが供給され続けるので,時間が経過するにつれてウェハ上の膜の膜厚が厚くなっていく。したがって,上記成膜処理では,ウェハ上に所望の厚みの膜を形成するために,処理ガスの供給時間を制御していた。しかしながら,実際には,ガス流の状態は不安定で,所定時間内にウェハに供給されるガス量が毎回少しずつ異なるので,ウェハ上に形成される膜の膜厚を厳格に制御することは難しかった。また,厳格な制御を行おうとすると,それによって処理ガスの給気系が複雑化していた。
【0009】
本発明は,かかる点に鑑みてなされたものであり,より単純化した装置により,必要最小限の処理ガスを用いて,より均一な成膜処理などの処理を行うことができるウェハなどの基板の処理方法及びその処理装置を提供することをその目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため,本発明の基板の処理方法は,処理容器内に複数種類の処理ガスを供給して,基板を処理する処理方法であって,処理ガスの種類毎に設けられた複数のガス貯留容器に、処理ガス供給源から供給される予め設定された所定量の処理ガスを貯留する工程と、所定圧力に減圧された処理容器内に基板を収容する工程と,前記各ガス貯留容器の処理ガスを混合し、その後前記処理容器内に充填する工程と,前記処理ガスを充填した状態で,前記処理容器内を密閉し,この状態で前記処理ガスによって基板の処理を行う工程と,を有することを特徴とする。なお,処理ガスには,基板と直接反応して基板を処理するもの,エネルギを得て変化した後に基板と直接反応して基板を処理するもの,例えばキャリアガスのように基板と直接反応せずに反応性のガスを運搬するものも含まれる。
【0011】
この発明によれば,処理容器内の処理ガスを用いた基板の処理が気流の無い状態で行われる。それ故,処理容器内に処理ガスの偏った分布ができず,基板面内に処理ガスが均等に供給されるので,基板面内において均一な処理が行われる。また,予め設定された必要十分のガス量で処理が行われるので,処理ガスの消費量を最小限に抑えることができる。また,予め定まっている量の処理ガスが処理容器内に供給されるので,例えばその量の処理ガスを貯留容器に貯留しておき,その貯留容器から適宜処理容器に処理ガスを移すことで,処理容器内に処理ガスを供給できる。したがって,従来のような複雑な流量制御機器が必要なく,基板処理の行われる装置の構成が単純化できる。さらに,処理容器内には,予め設定された適正な量の処理ガスが供給されるので,処理時間を厳密に制御しなくとも過度の処理が行われることがない。この点においても,複雑な時間制御機構が必要なく,装置の単純化が図られる。
また、上記基板の処理方法において、前記各ガス貯留容器の処理ガスを、一旦混合容器に供給して混合し、その後バルブ操作によって当該混合容器の処理ガスを前記処理容器に充填するようにしてもよい。
また、前記各ガス貯留容器に処理ガスを貯留する工程では、圧力計によりガス貯留容器内の圧力を測定し、その測定結果に基づいて前記所定量の処理ガスが貯留されるようにしてもよい。
【0012】
本発明の基板の処理方法は,前記所定量の処理ガスの充填によって処理容器内が予め設定された処理圧力になるように,前記処理ガスの充填前における前記処理容器内の前記所定圧力は設定されていてもよい。かかる場合,処理ガスの充填しても,基板の処理に適した所望の処理圧力で基板の処理を行うことができる。
【0015】
前記処理容器と前記処理容器内に収容された基板との間に温度差をつけるように,少なくとも処理容器又は基板のいずれか一方を加熱又は冷却するようにしてもよい。こうすることによって,処理容器内に僅かな対流が生じる。この対流によって,基板表面上の処理ガスが攪拌され,例えば基板表面上の反応前後のガスが入れ替えられて,処理ガスを用いた基板処理が好適に行われる。
また、処理容器を加熱又は冷却し、基板との温度差をつけて、処理容器内の処理ガスを攪拌するようにしてもよい。
【0016】
前記基板の処理方法における前記処理容器で行われる基板の処理は,前記処理容器内に充填された処理ガスのプラズマを発生させて基板を処理するプラズマ処理であってもよく,基板に膜を形成する成膜処理であってもよい。
【0020】
本発明の基板の処理装置は,密閉可能な処理容器内に複数種類の処理ガスを供給して,処理容器内の基板を減圧状態で処理する処理装置であって,前記処理ガスのガス供給源と,前記ガス供給源に連通し,前記ガス供給源から供給される予め設定された所定量の処理ガスを処理ガスの種類毎に貯留する複数のガス貯留容器と,当該各ガス貯留容器の処理ガスを合流させて前記処理容器に供給するためのガス供給管と,処理容器内を減圧及び排気するための排気機構と,前記排気機構により処理容器内を排気して減圧し,その後排気機構による排気を停止した状態で,前記ガス貯留容器から前記処理容器内に予め設定された所定量の処理ガスを充填し,その後前記処理容器内を密閉し,この状態で前記処理ガスによって基板の処理を行う制御部と,を備え,前記ガス供給管には,給気バルブが設けられており,前記給気バルブを開放することによって,前記各ガス貯留容器の処理ガスが前記ガス供給管を通じて前記処理容器内に充填されるように構成されていることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば,ガス貯留容器に所定量の処理ガスを貯留し,その所定量の処理ガスを処理容器内に充填できる。したがって,処理容器内に処理ガスを供給するのに,従来のような流量制御機器が必要なく,装置の単純化が図られる。また,所定量の処理ガスが充填された処理容器内では,当該処理ガスを充填した状態で基板の処理を行うことができる。かかる場合,処理容器内に従来のようなガス流が無い状態で基板の処理が行われるので,処理ガスの偏った分布がなく,基板面内において均一な処理を行うことができる。また,所定量の処理ガスで基板の処理が行われるので,処理ガスを流し続けていた従来に比べて処理ガスの消費量を低減できる。さらに,処理容器内に適正量の処理ガスを供給することによって,所望の処理が実現される。
【0022】
前記基板の処理装置は,前記ガス供給源から前記ガス貯留容器に処理ガスを供給するためのガス配管と,当該ガス配管に設けられた配管バルブと,前記ガス貯留容器内の圧力を測定する圧力計と,前記圧力計の測定結果が出力され,当該測定結果に基づいて、各ガス貯留容器に前記所定量の処理ガスが貯留されるように前記配管バルブの開閉を制御するバルブ制御部と,を備えていてもよい。かかる場合,圧力計の計測値を見ながらバルブを制御することによって,ガス貯留容器に所定量の処理ガスを貯留できる。
【0023】
前記ガス供給管には,前記各ガス貯留容器からの処理ガスが前記処理容器に供給される前に,それらの処理ガスを混合する混合容器が設けられており,前記給気バルブを開放することによって,前記混合容器の処理ガスが前記処理容器内に充填されるように構成されていてもよい。かかる場合,複数種類の処理ガスが均等に混合されてから処理容器に供給されるので,処理容器における処理ガスを用いた処理が適正に行われる。
なお,前記基板の処理装置は,前記処理容器と当該処理容器内の基板との間に温度差をつけるための温度調整部材をさらに備えていてもよい。この場合,処理容器内に僅かな対流が生じさせ,処理容器内の処理ガスを攪拌することができる。この結果,例えば基板表面上において反応前後のガスが入れ替えられて,処理ガスを用いた基板処理が効率的に行われる。
また,前記処理容器に前記温度調整部材が設けられていてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態について説明する。図1は,本発明の基板の処理方法が実施される基板の処理装置としてのプラズマ処理装置1の縦断面の様子を模式的に示している。
【0025】
プラズマ処理装置1は,例えばアルミニウム合金により形成されている。プラズマ処理装置1は,天井部に開口部を備えた略円筒状の処理容器2を備えている。この処理容器2は接地されている。処理容器2の底部には,例えばウェハWを載置するためのサセプタ3が設けられている。このサセプタ3は,処理容器2の外部に設けられた交流電源4からの給電によってサセプタ3内のヒータ5が発熱し,サセプタ3上のウェハWを所定の温度に加熱できる。
【0026】
処理容器2の底部には,処理容器2内を排気するための排気口7が,例えば二箇所に設けられている。排気口7には,ターボ分子ポンプなどの排気装置8に通じる排気管9が接続されている。排気管9には,排気を一時的に動停止させるための排気バルブ10が設けられている。この排気口7からの排気により,処理容器2内を所定の圧力に減圧できる。なお,本実施の形態においては,排気口7,排気装置8,排気管9,排気バルブ10により排気機構が構成されている。
【0027】
処理容器2の側壁の上部には,処理容器2内に処理ガスを供給するためのガス供給口20が設けられている。ガス供給口20は,図2に示すように処理容器2の外部に設置された,例えば2つのガス供給源21a,21bに連通している。本実施の形態においては,ガス供給源21aに酸素ガスが封入され,ガス供給源21bには不活性ガスとしてのアルゴンガスが封入されている。したがって,処理容器2には,2種類の処理ガスとしての酸素ガスとアルゴンガスが供給される。
【0028】
ガス供給源21aは,例えばガス配管22aを通じてガス貯留容器23aに接続されている。ガス配管22aには,配管バルブとしてのバルブ24aが設けられており,バルブ24aを開放することによってガス供給源21aの酸素ガスをガス貯留容器23aに供給できる。ガス供給源21bもガス供給源21aと同様に,ガス配管22bを通じてガス貯留容器23bに接続されており,ガス配管22bには,配管バルブとしてのバルブ24bが設けられている。
【0029】
各ガス貯留容器23a,23bには,例えば処理容器2のガス供給口20に通じるガス供給管25が接続されている。ガス供給管25は,各ガス貯留容器23a,23bから処理容器2に向かう途中で合流しており,各ガス貯留容器23a,23bから流出した種類の異なる処理ガスが途中で混合されて処理容器2内に導入されるようになっている。ガス供給管25の合流部の下流側には,給気バルブ26が設けられており,この給気バルブ26を開放することによってガス貯留容器23a,23bの処理ガスが処理容器2内に供給される。
【0030】
上記ガス貯留容器23a,23bは,密閉可能に構成された所定容積の貯留室を有している。ガス貯留容器23a,23bには,それぞれ貯留室内の圧力を計測する圧力計27a,27bが設けられている。圧力計27a,27bの測定結果は,例えばバルブ24a,24bの開閉を制御するバルブ制御部としての制御部28に出力できる。制御部28は,結果結果に基づいてバルブ24a,24bの開閉を制御して,各ガス貯留容器23a,23b内に所定圧の処理ガスを貯留できる。つまり,所定容積を有するガス貯留容器23a,23bに所定圧の処理ガスが貯留されるので,ガス貯留容器23a,23bには,所定量の処理ガスが貯留できる。なお,本実施の形態においては,ガス供給源21a,21b,ガス配管22a,22b,ガス貯留容器23a,23b,バルブ24a,24b,ガス供給管25,給気バルブ26によりガス給気機構が構成されている。
【0031】
例えば制御部28は,給気バルブ26や排気バルブ10の開閉も制御できる。したがって,制御部28によって処理容器2内への処理ガスの供給,処理容器2からの排気のON・OFFを制御できる。
【0032】
ところで,図1に示すように処理容器2の上部の開口部には,処理容器2内の気密性を確保するためのシール材30を介して,たとえば石英ガラスからなる誘電体窓31が設けられている。この誘電体窓31によって処理容器2が閉鎖され,処理容器2内に密閉可能な処理室Sが形成される。
【0033】
誘電体窓31の上方には,アンテナ部材32が設けられている。アンテナ部材32は,例えば最下面に位置するラジアルスロットアンテナ33と,その上部に位置する遅波板34と,遅波板34を覆って遅波板34を保護するとともにこれを冷却するアンテナカバー35によって構成されている。
【0034】
ラジアルスロットアンテナ33は,導電性を有する材質,例えば銅からなる薄い円板状に形成されている。ラジアルスロットアンテナ33には,おりなす角度が略直角の一対のスリットが,同心円状に整列して形成されている。
【0035】
遅波板34の中心には,導電性を有する材質,例えば金属からなる円錐形のバンプ36が配置されている。このバンプ36は,同軸導波管37と電気的に導通している。同軸導波管37は,マイクロ波供給装置38で発生させた,例えば2.45GHzのマイクロ波を,前記アンテナ部材32に伝搬させるように構成されている。
【0036】
プラズマ処理装置1は,以上のように構成されており,次にこのプラズマ処理装置1で実施される本発明のウェハWの処理方法を,ウェハW上にシリコン酸化膜(SiO2膜)を形成する場合を例にとって説明する。図3は,当該ウェハ処理のプロセスの概略を示すフロー図である。
【0037】
先ず,ウェハWが処理容器2内に搬入される前に,排気バルブ10が開放された状態で排気装置8が作動し,処理容器2内が排気されて,処理容器2内が所定圧力,例えば約66Pa(0.5Torr)に減圧される(図3中の工程S1)。この時の処理容器2内の圧力は,例えば後にウェハWが搬入され,その後所定量の処理ガスが供給された後に,処理容器2内が成膜のためのプラズマ処理に適した圧力になるように,逆算されて設定される。サセプタ3は,ヒータ5により例えば400℃に昇温される。
【0038】
また,処理容器2の外部では,給気バルブ26が閉じられた状態で,各ガス供給源21a,21bから各ガス貯留容器23a,23bに酸素ガスとアルゴンガスがそれぞれ供給される。この際,圧力計27a,27bにより,ガスの貯留量が制御され,ガス貯留容器23aに,所定量,例えばM1molの酸素ガスが供給され,ガス貯留容器23bにM2molのアルゴンガスが供給される。なお,これらの酸素ガスとアルゴンガスの物質量M1,M2は,例えばウェハW上に形成されるべきシリコン酸化膜の膜厚から,ウェハW上のシリコン膜と反応すべき処理ガスの分子総数を逆算し,当該分子総数から求めることができる。また,ガス貯留容器23a,23bに前記物質量M1,M2を貯留するための圧力は,気体の状態方程式により,ガス貯留容器23a,23b内の容積,温度,処理ガスの分子量などから算出できる。
【0039】
そして,ウェハWの搬入準備が整うと,例えば排気バルブ10が閉鎖され,処理容器2内の排気が停止された状態で,処理容器2内にウェハWが搬入される(図3中の工程S2)。搬入されたウェハWは,サセプタ3上に載置され,400℃に加熱される。ウェハWがサセプタ3上に載置されると,給気バルブ26が開放され,ガス貯留容器23a,23bに貯留されている所定量の酸素ガスとアルゴンガスが処理容器2内に供給される。こうして,処理容器2内には,図4に示すように所定量の酸素ガスとアルゴンガスが充填される(図3中の工程S3)。この酸素ガスとアルゴンガスとの充填により,処理容器2内の圧力が上昇し,処理容器2内は,次に行われるプラズマ処理に適した,例えば133Pa(1Torr)の圧力になる。
【0040】
ガス貯留容器23a,23b内の総ての酸素ガスとアルゴンガスが処理容器2内に充填されると,給気バルブ26が閉じられ,処理容器2内が密閉される(図3中の工程S4)。
【0041】
その後,例えば酸素ガスとアルゴンガスが均等に混ざるまで,この状態が所定時間維持される。そして酸素ガスとアルゴンガスが均等に混ぜられると,マイクロ波供給装置38で発生されたマイクロ波がアンテナ部材32を通じて処理容器2内に伝搬される。このマイクロ波により,例えば処理容器2内の酸素ガスがプラズマ化される(図3中の工程S5)。プラズマ化した酸素イオン(反応種)はウェハWの表面に供給され,ウェハW上のシリコン膜が酸化されて,ウェハW上にシリコン酸化膜が堆積される。
【0042】
そして,処理容器2内の総ての酸素ガスがプラズマ化され,ウェハW上に堆積されると,ウェハW上には,所望の膜厚のシリコン酸化膜が形成される。ウェハW上に所望のシリコン酸化膜が形成されると,例えば排気装置8が作動し,排気バルブ10が開放されて,処理容器2内が排気される(図3の工程S6)。このとき,プラズマ処理装置1に隣接しウェハWが次に搬入される装置内の圧力に合わせて,処理容器2内は,例えば13.3Pa(0.1Torr)に減圧される。
【0043】
処理容器2内が搬出先の領域と同じ圧力に減圧されると,ウェハWが処理容器2から搬出されて(図3中の工程S7),プラズマ処理装置1による一連の成膜処理が終了する。なお,処理容器2内は,次に搬入されるウェハに備えて,上述したように約66Pa(0.5Torr)の圧力に減圧される。
【0044】
以上の実施の形態によれば,予め設定された所定量の酸素ガス及びアルゴンガスを処理容器2内に導入し,その後処理容器2内を密閉するようにしたので,成膜中に処理容器2内にガス流が形成されない。この結果,処理容器2内に処理ガスの偏った分布ができず,ウェハ面内において処理ガスが均等に供給されて,ウェハW上に斑のない均一な膜が形成できる。また,処理容器2内に導入された処理ガスが効率よく成膜に寄与するので,処理ガスを垂れ流しにしていた従来に比べて処理ガスの消費量を著しく低減することができる。さらに,ガス貯留容器23a,23bに所定量の処理ガスを一旦溜めておいて,そこから処理容器2に流入させるようにしたので,流量を制御する複雑な機器が必要なく,装置の単純化が図られる。さらに,処理容器2内に供給された処理ガスの大部分が成膜処理に関与することから,ガス貯留容器23a,23bに貯留する処理ガス量を変えることによって,ウェハW上に形成される膜の膜厚の制御を容易に行うことができる。
【0045】
処理ガス導入前の処理容器2内の圧力を,処理ガスの導入による圧力上昇を見越して設定したので,その後行われるプラズマ処理を所望の圧力下で行うことができる。また,2種類の処理ガスが処理容器2内に導入されてからプラズマ処理が行われるまでに,処理ガスである酸素ガスとアルゴンガスが均等に混合し,安定する時間を設けたので,処理容器2内の酸素ガスとアルゴンガスの分布も偏りがなくなり,ウェハWの処理をさらに均一に行うことができる。
【0046】
なお,以上の実施の形態では,酸素ガスとアルゴンガスを処理容器2内において均等に混合させていたが,図5に示すようにガス貯留容器23a,23bより下流であって,処理容器2の上流側に混合容器50を設け,その混合容器50において酸素ガスとアルゴンガスを混合してもよい。かかる場合,例えば混合容器50と処理容器2を連通するガス供給管51には,給気バルブ52が設けられる。また,混合容器50と各ガス貯留容器23a,23bに連通するガス供給管53には,バルブ54が設けられる。そして,先ずバルブ54が開放され,各ガス貯留容器23a,23bの所定量の処理ガスが混合容器50に供給されて,当該混合容器50にて酸素ガスとアルゴンガスが混合される。その後,給気バルブ52が開放され,酸素ガスとアルゴンガスの混合ガスが処理容器2内に供給される。この場合,混合容器50において2種類の処理ガスが十分混ぜられるので,処理容器2における成膜処理が適正に行われる。また,2種類の処理ガスが処理容器2に供給された時には,既に処理ガスが十分に混合されているので,例えば処理ガス供給後直ちに成膜処理を行うこともできる。
【0047】
以上の実施の形態で記載したウェハ処理において,処理容器2内に充填された処理ガスを攪拌するために,ウェハWと処理容器2との間に温度差を設けるようにしてもよい。かかる場合,例えば図6に示すように処理容器2の側壁内に,給電によって発熱又は吸熱する温度調整部材としてのペルチェ素子60を内蔵するようにしてもよい。そして,ウェハ処理の際には,密閉された処理容器2内に弱い対流が形成されるよう,処理容器2とウェハWとの温度差を可能な限り大きく取るようにする。本実施の形態では,処理容器2の温度を20℃,ウェハWの温度を400℃に調整した。こうすることによって,密閉された処理容器2内に弱い対流が形成され,この対流によって処理ガスのプラズマ(反応種)が攪拌される。この結果,例えば処理容器2内の処理ガスのプラズマが効率よくウェハWに供給され,成膜が短時間で行われる。ウェハWの処理が常温で行われる場合には,処理容器2とウェハWとの温度差が無くなるため,この方法はかかる場合に特に有効である。なお,前記温度調整部材は,ペルチェ素子に限られず,例えば冷却水等の冷媒を流す流路を処理容器2に内蔵するようにしてもよい。
【0048】
以上,本発明の実施の形態の一例について説明したが,本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。例えば処理ガスは,生成される膜の種類に応じて適宜選択され,必ずしも2種類でなくてもよい。また,プラズマ処理による成膜処理以外にも,スパッタリング処理,単なる減圧CVD処理などにおいて,本発明を適用できる。また,成膜処理以外の処理,例えばエッチング処理などにも本発明は適用できる。また,本発明に適用される基板は,ウェハに限られず,LCD基板,フォトマスク用のガラス基板等の他の基板であってもよい。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば,基板面内における均一な処理が行われるので,基板の歩留まりが向上される。処理ガスの消費量が低減できるので,処理ガスにかかるコストを下げることができる。複雑な流量制御機器が必要ないので,より単純な装置を用いて減圧処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるプラズマ処理装置の処理容器部分の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
【図2】図1のプラズマ処理装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図3】本実施の形態にかかるウェハ処理のプロセスの概略を示すフロー図である。
【図4】処理ガスが充填されたプラズマ処理装置の様子を示す説明図である。
【図5】混合容器を備えたプラズマ処理装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図6】処理容器にペルチェ素子を設けた場合のプラズマ処理装置の処理容器部分の構成を示す縦断面の説明図である。
【符号の説明】
1 プラズマ処理装置
2 処理容器
23a,23b ガス貯留容器
26 給気バルブ
W ウェハ
Claims (13)
- 処理容器内に複数種類の処理ガスを供給して,基板を処理する処理方法であって,
処理ガスの種類毎に設けられた複数のガス貯留容器に,処理ガス供給源から供給される予め設定された所定量の処理ガスを貯留する工程と,
所定圧力に減圧された処理容器内に基板を収容する工程と,
前記各ガス貯留容器の処理ガスを混合し,その後前記処理容器内に充填する工程と,
前記処理ガスを充填した状態で前記処理容器内を密閉し,この状態で前記処理ガスによって基板の処理を行う工程と,を有することを特徴とする,基板の処理方法。 - 前記各ガス貯留容器の処理ガスを,一旦混合容器に供給して混合し,その後バルブ操作によって当該混合容器の処理ガスを前記処理容器に充填することを特徴とする,請求項1に記載の基板の処理方法。
- 前記各ガス貯留容器に処理ガスを貯留する工程では,圧力計によりガス貯留容器内の圧力を測定し,その測定結果に基づいて前記所定量の処理ガスが貯留されることを特徴とする,請求項1又は2に記載の基板の処理方法。
- 前記所定量の処理ガスの充填によって処理容器内が予め設定された処理圧力になるように,前記処理ガスの充填前における前記処理容器内の前記所定圧力は設定されていることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の基板の処理方法。
- 前記処理容器と前記処理容器内に収容された基板との間に温度差をつけるように,少なくとも前記処理容器又は基板のいずれか一方を加熱又は冷却することを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の基板の処理方法。
- 処理容器を加熱又は冷却し,基板との温度差をつけて,処理容器内の処理ガスを攪拌することを特徴とする,請求項5に記載の基板の処理方法。
- 前記処理容器で行われる基板の処理は,前記処理容器内に充填された処理ガスのプラズマを発生させて基板を処理するプラズマ処理であることを特徴とする,請求項1〜6のいずれかに記載の基板の処理方法。
- 前記処理容器で行われる基板の処理は,基板に膜を形成する成膜処理であることを特徴とする,請求項1〜7のいずれかに記載の基板の処理方法。
- 密閉可能な処理容器内に複数種類の処理ガスを供給して,処理容器内の基板を減圧状態で処理する処理装置であって,
前記処理ガスのガス供給源と,
前記ガス供給源に連通し,前記ガス供給源から供給される予め設定された所定量の処理ガスを処理ガスの種類毎に貯留する複数のガス貯留容器と,
当該各ガス貯留容器の処理ガスを合流させて前記処理容器に供給するためのガス供給管と,
処理容器内を減圧及び排気するための排気機構と,
前記排気機構により処理容器内を排気して減圧し,その後排気機構による排気を停止した状態で,前記ガス貯留容器から前記処理容器内に予め設定された所定量の処理ガスを充填し,その後前記処理容器内を密閉し,この状態で前記処理ガスによって基板の処理を行う制御部と,を備え,
前記ガス供給管には,給気バルブが設けられており,
前記給気バルブを開放することによって,前記各ガス貯留容器の処理ガスが前記ガス供給管を通じて前記処理容器内に充填されるように構成されていることを特徴とする,基板の処理装置。 - 前記ガス供給管には,前記各ガス貯留容器からの処理ガスが前記処理容器に供給される前に,それらの処理ガスを混合する混合容器が設けられており,
前記給気バルブを開放することによって,前記混合容器の処理ガスが前記処理容器内に充填されるように構成されていることを特徴とする,請求項9に記載の基板の処理装置。 - 前記ガス供給源から前記各ガス貯留容器に処理ガスを供給するためのガス配管と,
当該ガス配管に設けられた配管バルブと,
前記各ガス貯留容器内の圧力を測定する圧力計と,
前記圧力計の測定結果が出力され,当該測定結果に基づいて,各ガス貯留容器に前記所定量の処理ガスが貯留されるように前記配管バルブの開閉を制御するバルブ制御部と,を備えたことを特徴とする,請求項9又は10に記載の基板の処理装置。 - 前記処理容器と当該処理容器内の基板との間に温度差をつけるための温度調整部材をさらに備えたことを特徴とする,請求項9〜11のいずれかに記載の基板の処理装置。
- 前記処理容器に前記温度調整部材が設けられていることを特徴とする,請求項12に記載の基板の処理装置。
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