JP4072031B2 - 移動体パケット通信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体パケット通信システムに関し、特に、列車や自動車など、高速移動中の車両内に存在する端末装置と外部のサーバ装置との間でパケット通信を行うためのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話、PDA装置、ノート型パソコンなど、移動体通信の端末装置として機能する様々な電子機器が普及し始めており、インターネットの普及と相まって、外部のサーバ装置との間でパケット通信が盛んに行われている。また、街頭では、様々な施設に無線LANの設置が試みられており、移動体通信用の端末装置をTCP/IPのプロトコルでインターネットへ接続する環境も構築されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
現在普及している携帯電話は、列車や自動車などに乗車して移動中の状態であっても、ローミングなどの技術を用いることにより通信が可能である。したがって、移動中の車両においても、携帯電話などの端末装置によって会話を行ったり、外部のサーバ装置などに接続してデータパケットをやりとりしたりすることは可能である。しかしながら、現在、高速移動中の端末装置に対するパケット通信の通信速度は著しく低く制限されており、大量のデータのやりとりを行うには不適当である。これは、高速移動中の端末装置に対する無線による通信速度を向上させることが、現時点では、技術的に非常に困難であることに起因している。このため、車両に乗車している間に、画像データなどの大容量データが添付された電子メールを受信したり、外部のサーバ装置から大容量のデータをダウンロードしたりするには、極めて長い時間が必要になり、実用上、大容量データパケットの通信は、高速移動中の車両からはできなかった。
【0004】
そこで本発明は、高速移動中の車両に搭乗していながら、大容量のデータパケット通信が可能になる移動体パケット通信システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明の第1の態様は、車両とともに移動中の端末装置と外部のサーバ装置との間でパケット通信を行うための移動体パケット通信システムにおいて、
車両内に設置された車両内通信手段と、
車両が停車するか、または、通常の運行速度よりも低い速度で通過することが予定されている運行経路上の複数の通信ポイントにそれぞれ設置された複数の経路上通信手段と、
これら経路上通信手段に対して接続され、外部のサーバ装置との間でネットワークを介してデータパケットのやりとりを行う機能をもった代理サーバ装置と、
を設け、
車両内通信手段は、車両内に存在する端末装置との間で無線によりデータパケットの送受信を行う車内通信機能と、車両が通信ポイント付近に停車している状態、もしくは、車両が通信ポイント付近を通常の運行速度よりも低い速度で通過している状態において、当該通信ポイントに設置された経路上通信手段との間で無線によりデータパケットの送受信を行う車外通信機能と、を有し、車内通信機能により端末装置からデータパケットを受信した場合に、このデータパケットを車外通信機能が実行可能になるまで一時的に保管し、車外通信機能が実行可能になったときに、一時的に保管していたデータパケットを経路上通信手段へと送信する処理を実行し、経路上通信手段からデータパケットを受信した場合に、このデータパケットを車内通信機能により宛先となる端末装置へ送信する処理を実行するようにし、
経路上通信手段は、車両内通信手段からデータパケットを受信した場合に、このデータパケットを代理サーバ装置へと送信する処理を実行し、代理サーバ装置から所定の端末装置宛のデータパケットを受信した場合に、このデータパケットを、自己が設置された通信ポイント付近に到来した車両内に設置された車両内通信手段へと送信する処理を実行するようにし、
代理サーバ装置は、経路上通信手段から受信したデータパケットをネットワークを介して外部のサーバ装置へと送信する処理を実行するとともに、外部のサーバ装置からネットワークを介して受信したデータパケットを、複数の通信ポイントにそれぞれ設置された複数の経路上通信手段へと送信する処理を実行するようにし、
車両内通信手段に、車両内に存在する端末装置から受信したデータパケットに対してデータ圧縮を行う機能をもたせ、代理サーバ装置に、圧縮されたデータパケットを伸張する機能をもたせ、車両内通信手段から代理サーバ装置へと転送されるデータパケットが圧縮された状態になるようにし、
代理サーバ装置に、外部のサーバ装置から受信したデータパケットに対してデータ圧縮を行う機能をもたせ、車両内通信手段に、圧縮されたデータパケットを伸張する機能をもたせ、代理サーバ装置から車両内通信手段へと転送されるデータパケットが圧縮された状態になるようにし、
車両内通信手段に、更に、端末装置から外部のサーバ装置に対して、所定時間内の返信を要求するデータパケットの送信が行われたときには、外部のサーバ装置に代わって返信を行う代理返信機能をもたせるようにしたものである。
【0007】
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る移動体パケット通信システムにおいて、
所定の路線に沿って走行する列車の車両内に車両内通信手段を設置し、この路線上の駅に通信ポイントを定義して経路上通信手段を設置するようにしたものである。
【0008】
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1の態様に係る移動体パケット通信システムにおいて、
所定の道路上を走行する自動車の車両内に車両内通信手段を設置し、この道路上の交差点、料金所、もしくはパーキングエリアに通信ポイントを定義して経路上通信手段を設置するようにしたものである。
【0009】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1〜第3の態様に係る移動体パケット通信システムにおいて、
車両内通信手段にDHCPの機能をもたせ、この機能により車両内に存在する端末装置に対してプライベートIPアドレスを付与し、代理サーバ装置にNATの機能をもたせ、この機能によりプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの変換を行わせ、システム内部ではプライベートIPアドレスを用いたパケット通信が行われ、外部のサーバ装置との間ではグローバルIPアドレスを用いたパケット通信が行われるようにしたものである。
【0011】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1〜第4の態様に係る移動体パケット通信システムにおいて、
代理サーバ装置が、外部のサーバ装置からネットワークを介して受信したデータパケットを、当該データパケットの宛先となる端末装置が存在する車両が所定時間内に到来する可能性のある所定の地理的範囲内の複数の通信ポイントにそれぞれ設置された経路上通信手段へと送信する処理を実行するようにしたものである。
【0012】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1〜第5の態様に係る移動体パケット通信システムにおいて、
代理サーバ装置が、個々の車両宛のデータパケットごとに、それぞれ別個のパケット群を構成し、構成した各パケット群のそれぞれを複数の経路上通信手段へと送信する処理を行い、
車両内通信手段が、所定の経路上通信手段から自己車両宛のパケット群を受信したときに、当該パケット群の受領を確認する受領確認情報を、パケット群を受信した所定の経路上通信手段に対して送信する処理を行い、
各経路上通信手段が、代理サーバ装置から受信したデータパケットを、それぞれの通信ポイント付近に車両が到来するたびに、到来した車両内に設置された車両内通信手段へと繰り返し送信する処理を実行し、かつ、いずれか1つの経路上通信手段が特定のパケット群についての受領確認情報を受信した場合に、この特定のパケット群と同一のパケット群を廃棄する処理を実行するようにしたものである。
【0013】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1〜第5の態様に係る移動体パケット通信システムにおいて、
各経路上通信手段が、代理サーバ装置から受信したデータパケットを、それぞれの通信ポイント付近に車両が到来するたびに、到来した車両内に設置された車両内通信手段へと繰り返し送信する処理を実行し、かつ、代理サーバ装置から受信した後に所定の時間が経過したデータパケットについては、これを廃棄する処理を実行するようにしたものである。
【0014】
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第1〜第5の態様に係る移動体パケット通信システムにおいて、
各経路上通信手段が、代理サーバ装置から受信したデータパケットを、それぞれの通信ポイント付近に車両が到来するたびに、到来した車両内に設置された車両内通信手段へと繰り返し送信する処理を実行し、かつ、送信繰り返し回数が所定回数に達したデータパケットについては、これを廃棄する処理を実行するようにしたものである。
【0015】
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第1〜第5の態様に係る移動体パケット通信システムにおいて、
各経路上通信手段が、それぞれの通信ポイント付近に車両が到来するたびに、到来した車両を特定する処理を実行し、代理サーバ装置から受信したデータパケットのうち、特定された車両宛のデータパケットのみを選択し、この選択したデータパケットを到来した車両内に設置された車両内通信手段へと送信した後にこれを廃棄する処理を実行し、かつ、他の経路上通信手段によって車両への送信が完了したパケットと同一のパケットについては、これを廃棄する処理を実行するようにしたものである。
【0016】
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第1〜第9の態様に係る移動体パケット通信システムにおいて、
車両内通信手段が、
端末装置から外部のメールサーバ装置に対して、電子メールの第1の受信命令が送信された場合に、車外通信機能が実行可能になるまで第1の受信命令を一時的に保管するとともに、メールサーバ装置に代わって、端末装置に対して受信すべき電子メールがないことを示す疑似的な返信を行い、
車外通信機能が実行可能になったときに、保管していた第1の受信命令をメールサーバ装置へと送信する処理を実行し、メールサーバ装置から第1の受信命令に応じて正規の返信が戻ってきた場合に、この正規の返信を一時的に保管し、
端末装置からメールサーバ装置に対して、電子メールの第2の受信命令が送信された場合に、第1の受信命令に応じて戻ってきた正規の返信が保管されていたら、第2の受信命令をメールサーバ装置へと送信することなしに、端末装置に対して、保管されていた正規の返信を第2の受信命令に対するメールサーバ装置からの返信であるかのように送信する代理返信機能を有するようにしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0018】
<<< §1. 基本的な実施形態 >>>
図1は、本発明の一実施形態に係る移動体パケット通信システム100の基本構成を示すブロック図である。この移動体パケット通信システム100は、図に一点鎖線で囲って示した各構成要素によって構成され、図示のとおり、車両内通信手段10と、経路上通信手段21,22,23と、代理サーバ装置30と、によって構成されている。この移動体パケット通信システム100の役割は、所定の運行経路Lに沿って車両Aとともに移動中の端末装置Tと、インターネット40を介して接続されている外部のサーバ装置51〜55との間でパケット通信を行うことである。なお、図1において、運行経路L、車両A、端末装置T自身は、この移動体パケット通信システム100の構成要素ではないが、説明の便宜上、一点鎖線で囲った内部の構成要素として図示してある。
【0019】
ここで車両Aは、所定の運行経路Lに沿って移動するものであれば、どのようなものであってもかまわないが、実用上は、所定の路線に沿って走行する列車の車両か、あるいは、所定の道路上を走行する自動車の車両ということになろう。また、端末装置Tは、このような列車の車両や自動車の車両に搭乗した者が所持している携帯電話、PDA装置、ノート型パソコンなどの移動式端末装置ということになる。なお、図1では、1両の車両A内に1台の端末装置Tが描かれているだけであるが、列車の場合、車両Aは複数両が連結されているのが一般的であり、また、多数の乗客がそれぞれ端末装置Tを所持しながら搭乗していることになる。
【0020】
車両A内には、車両内通信手段10が設置されている。また、運行経路L上の所定箇所には、複数の通信ポイントP1,P2,P3が定義され、各通信ポイントP1,P2,P3には、それぞれ経路上通信手段21,22,23が設置されている。ここで、各通信ポイントP1,P2,P3は、車両Aが停車するか、または、通常の運行速度よりも低い速度で通過することが予定されている運行経路L上の所定箇所に定義される。これは、車両Aに設置された車両内通信手段10と、各経路上通信手段21,22,23との間で、十分な通信速度をもってパケット通信が可能になるようにするための配慮である。
【0021】
既に述べたとおり、現在、高速移動中の端末装置に対するパケット通信の通信速度は、技術的に著しく低く制限されており、大量のデータのやりとりを行うには不適当である。すなわち、列車や自動車が通常の運行速度で運行経路L上を走行している状態では、車両内通信手段10と経路上通信手段21,22,23との両者間において、十分な通信速度を確保することができない。そこで、本発明では、両者間のパケット通信を、車両Aが停車している状態か、あるいは、通常の運行速度よりも低い速度(技術的に必要な通信速度が確保できる速度)で走行している状態で行うこととした。
【0022】
車両Aが所定の路線に沿って走行する列車の車両である場合には、運行経路Lは、この列車の路線ということになるので、通信ポイントP1,P2,P3は、この路線上の所定の駅(すべての駅でもよいし、一部の駅でもよい)に定義し、経路上通信手段21,22,23は、これらの駅に設置すればよい。そうすれば、列車がこれらの駅に停車した時点で、車両内通信手段10と経路上通信手段21,22,23との間で、十分な通信速度をもった通信が可能になる。もちろん、普通列車、急行列車、特急列車など、列車ごとに停車駅が異なる場合には、普通列車については、すべての通信ポイントP1,P2,P3が本来の通信ポイントとして機能するが、急行列車については、通信ポイントP2だけが本来の通信ポイントとして機能する、というような運用になってもかまわない。また、運行経路L上で列車が必ず徐行することになっている地点があり、この徐行速度であれば、十分な通信速度を確保できるのであれば、そのような徐行地点を通信ポイントとして定義して、経路上通信手段の設置を行うようにしてもよい。
【0023】
一方、車両Aが所定の道路上を走行する自動車の車両である場合には、運行経路Lは、この自動車が走行予定の道路ということになるので、通信ポイントP1,P2,P3は、この道路上の交差点、料金所、もしくはパーキングエリアに定義し、経路上通信手段21,22,23は、これらいずれかの通信ポイントに設置すればよい。これらの通信ポイントでは、車両Aが停車するか、あるいは、通常の運行速度よりも低い速度で走行することが予定されており、十分な通信速度をもった通信が可能になる。もちろん、交差点の場合は、赤信号であれば停車するが、青信号であれば通常の運行速度で通過する、というような運行が行われることになるが、本発明では、通信ポイントは、車両が必ず停車するか通信可能な低い速度で通過する地点に設定する必要はなく、ある条件の下で、車両が停車するか通信可能な低い速度で通過することが予定されている地点に設定すればよい。別言すれば、本発明において設定された複数の通信ポイントでは、車両内通信手段10と経路上通信手段21,22,23との間の通信が可能であることが必ずしも保証されている必要はない。
【0024】
道路上を走行する自動車の車両について本発明を適用する場合の最も実用的なケースは、高速道路上を運行する長距離路線バスである。このようなバスでは、運行路線や停車予定となる料金所やパーキングエリアなどが予め定まっているので、確実に通信可能となる通信ポイントを設定することが容易である。ただ、本発明の適用は、必ずしもこのような路線バスに限定されるものではない。たとえば、いわゆるマイカーのような一般自動車に適用するのであれば、主要な幹線道路などを運行路線Lとして定義し、この幹線道路上の交差点などに通信ポイントを設定すればよい。本発明における運行路線Lは、必ずしも1本の一次元的な路線である必要はなく、二次元的な広がりをもった道路網であってもよく、車両の運行経路は、この道路網内の任意の経路であってかまわない。
【0025】
このように、本発明は、自動車を車両とした場合にも適用可能であるが、ここでは、説明の便宜上、列車の車両に適用し、各通信ポイントP1,P2,P3を、この列車の運行路線上の駅に設定した具体的な実施形態を述べることにする。したがって、図1に示す各経路上通信手段21,22,23は、それぞれ各駅の構内に設けられている。また、ここに示す実施形態では、便宜上、運行路線L上の3ケ所に通信ポイントP1,P2,P3が設定された例を述べるが、もちろん、実際には、より多数の通信ポイントが設定され、より多数の経路上通信手段がそれぞれ設置されることになる。
【0026】
代理サーバ装置30は、各経路上通信手段21,22,23に対して接続され、また、インターネット40を介して、外部のサーバ装置51〜55との間でデータパケットのやりとりを行う機能をもった装置である。代理サーバ装置30と経路上通信手段21,22,23との間の接続は、この例では、すべて有線によって行っているが、どのような方法で接続してもかまわない。また、代理サーバ装置30をインターネット40へ接続する具体的な手段も任意のものでかまわない。代理サーバ装置30は、要するに、インターネット40に対して、種々のプロトコルでアクセス可能ないわゆる「プロキシサーバ」として機能する。また、図1に示す外部のサーバ装置51〜55(実際には、インターネット40には、膨大な数のサーバ装置が接続されているが、ここでは説明の便宜上、5台のみを示す)は、インターネット40に接続された一般的なメールサーバやファイルサーバなどのサーバ装置であり、ここに示す移動体パケット通信システムの目的は、車両A内の端末装置Tとこれら外部のサーバ装置51〜55との間でパケット通信を行うことにある。
【0027】
結局、この移動体パケット通信システムを構築するには、各車両A内に設置した車両内通信手段10と、個々の通信ポイントP1,P2,P3に設置した経路上通信手段21,22,23と、これらに接続された代理サーバ装置30と、を用意すればよい。なお、代理サーバ装置30は、必ずしも1台のサーバ装置にする必要はなく、たとえば、関東地区、関西地区など、個々の地区を担当する複数の代理サーバ装置を設けるようにしてもかまわない。
【0028】
続いて、上述した各構成要素の具体的な機能について説明する。まず、車両内通信手段10は、上述したように、各車両Aに設置される通信手段であるが、2つの通信機能を有している。第1の通信機能は、車両内に存在する端末装置Tとの間で無線によりデータパケットの送受信を行う車内通信機能である。このような機能をもった通信手段は、既に、無線LAN装置として広く利用されている。この車内通信機能により、車両Aの乗客が所持する携帯電話などの端末装置Tと、無線によりデータパケットの交換が行われる。両者間の無線通信のプロトコルは、パケット通信が可能なプロトコルであればどのようなものでもかまわないが、実用上は、IPアドレスを用いた汎用プロトコルを用いるのが好ましい。乗客は、このような汎用プロトコルに対応した一般的な端末装置Tを用意すれば、このシステムの利用が可能になる。
【0029】
この車内通信機能は、後述する車外通信機能とは異なり、常に実行可能な状態となっている。これは、端末装置Tが車両Aとともに移動するので、常に車両内通信手段10と通信可能な環境におかれているためである。なお、複数車両編成の列車の場合、1台の車両に車両内通信手段10を設けただけでは、全車両の乗客が保持する端末装置Tと無線通信することが困難な場合もあるが、その場合には、たとえば、1両おきに別個独立した車両内通信手段10を設けるなどの措置を講じればよい。
【0030】
車両内通信手段10の第2の通信機能は、各通信ポイントP1,P2,P3に設置された経路上通信手段21,22,23との間で、無線によりデータパケットの送受信を行う車外通信機能である。もっとも、この車外通信機能は、常に実行可能な状態となっているわけではなく、前述したとおり、車両Aが特定の通信ポイント付近に停車している状態、もしくは、車両Aが特定の通信ポイント付近を通常の運行速度よりも低い速度で通過している状態において、当該特定の通信ポイントに設置された経路上通信手段との間でのみ実行可能になる。たとえば、図示の状態では、車両Aは、通信ポイントP1とP2の間を通常の運行速度で走行中であるので、現時点では車外通信機能は実行できないが、通信ポイントP2が設定された駅に到着し、この駅で停車している間は、通信ポイントP2に設置されている経路上通信手段22との間で車外通信機能が実行可能となり、データパケットの送受を行うことができる。
【0031】
このように、車内通信機能は、常に実行可能な状態となっているにもかかわらず、車外通信機能は、いずれかの通信ポイントの近傍でなければ実行可能にならない。したがって、車内と車外との通信を仲介する役割を果たす車両内通信手段10および経路上通信手段21,22,23には、いわゆるバッファ機能をもたせておく必要がある。
【0032】
たとえば、車両Aの乗客が、端末装置Tから外部のサーバ装置51に対してデータパケットを送信する操作を行ったとすると、このデータパケットは、図示の例の場合、端末装置T→車両内通信手段10→経路上通信手段22→代理サーバ装置30→インターネット40→外部のサーバ装置51という伝送経路で送信されることになるが、ここで、車両内通信手段10→経路上通信手段22なる部分は、車両Aが通信ポイントP2(駅)に到着した時点で初めて実行可能になる。したがって、通信ポイントP2に到着するまでの間に、端末装置Tから受信したデータパケットは、車両内通信手段10内に一時的に保管しておく必要がある。このため、車両内通信手段10は、車内通信機能により端末装置Tからデータパケットを受信した場合に、このデータパケットを車外通信機能が実行可能になるまで一時的に保管し、車外通信機能が実行可能になったときに、一時的に保管していたデータパケットを経路上通信手段へと送信する処理を実行する。
【0033】
一方、上述のようにして、端末装置Tから外部のサーバ装置51に対して送信されたデータパケットに対する応答として、外部のサーバ装置51から端末装置T宛に所定のデータパケットが送信された場合、このデータパケットは、外部のサーバ装置51→インターネット40→代理サーバ装置30→経路上通信手段23(たとえば、この時点で、車両Aが通信ポイントP2からP3へと向かっている場合)→車両内通信手段10→端末装置Tという伝送経路で送信されることになるが、ここで、経路上通信手段23→車両内通信手段10なる部分は、車両Aが通信ポイントP3(駅)に到着した時点で初めて実行可能になる。したがって、通信ポイントP3に到着するまでの間に、経路上通信手段23は、端末装置T宛のデータパケットを、一時的に保管しておく必要がある。経路上通信手段23は、車両Aが通信ポイントP3に到着したら、保管していたデータパケットを車両内通信手段10へと送信する。車両内通信手段10は、車外通信機能により、このデータパケットを受信し、このデータパケットを車内通信機能により宛先となる端末装置Tへ送信する処理を実行する。
【0034】
経路上通信手段21,22,23の役割は、車両内通信手段10と代理サーバ装置30とを仲介することにある。すなわち、経路上通信手段21,22,23は、それぞれ通信ポイントP1,P2,P3(駅)に停車中の車両A内の車両内通信手段10からデータパケットを受信した場合、このデータパケットを代理サーバ装置30へと送信する処理を実行し、逆に、代理サーバ装置30から所定の端末装置宛のデータパケットを受信した場合に、このデータパケットを、それぞれ通信ポイントP1,P2,P3付近に到来した車両A内に設置された車両内通信手段10へと送信する処理を実行する。車両Aが通信ポイントに到来するまでは、データパケットを保管することになる。
【0035】
一方、代理サーバ装置30は、インターネット40に対して、個々の端末装置Tの代理としてアクセスを行う役割を果たす。具体的には、経路上通信手段21,22,23からデータパケットを受信した場合には、これをインターネット40を介して外部のサーバ装置51〜55へと送信する処理を実行し、逆に、外部のサーバ装置51〜55からインターネット40を介してデータパケットを受信した場合には、これを経路上通信手段21,22,23へと送信する処理を実行する。
【0036】
ここで留意すべき点は、経路上通信手段21,22,23側から送られてきたデータパケットをインターネット40へと流す場合には、1つのデータパケットをそのまま1つのデータパケットとして流す処理を行うが、逆に、インターネット40側から送られてきたデータパケットを経路上通信手段21,22,23側へと流す場合には、データパケットの複製を作成し、1つのデータパケットを複数のデータパケットとして、複数の通信ポイントP1,P2,P3にそれぞれ設置された複数の経路上通信手段21,22,23へと送信する処理を実行する点である。別言すれば、代理サーバ装置30は、インターネット40側から送信されてきたデータパケットを、すべての経路上通信手段21,22,23に対してマルチキャストすることになる。
【0037】
このようなマルチキャストが必要になる理由は、インターネット40側から特定の端末装置T宛のデータパケットが代理サーバ装置30へと送信されてきた時点では、宛先となる端末装置Tを載せている車両Aが現在どこを走行中であり、次にどの通信ポイントでこのデータパケットを受信可能であるか、を正確に認識することが困難であるためである。もちろん、車両Aが列車の場合、時刻表などを参照することにより、ある程度の精度で、どの経路上通信手段経由でデータパケットを引き渡せばよいかを予想することは可能であるが、現実的には、列車が必ずしも時刻表どおりの運行を行う保証はない。また、車両Aが自動車の場合は、運行状況は著しく変動するため、車両の位置を認識することは極めて困難である。そこで、本発明では、位置が不確定である車両A内の端末装置T宛にデータパケットを送信する際に、マルチキャストを行い、いずれの経路上通信手段21,22,23からでもデータパケットの引き渡しを行えるようにしている。
【0038】
なお、ここに示す実施形態では、運行経路L上のすべての経路上通信手段21,22,23に対してマルチキャストを行う例を示すが、本発明を実施する上では、必ずしもすべての経路上通信手段に対してマルチキャストを行う必要はなく、インターネット40を介して代理サーバ装置30が受信したデータパケットは、当該データパケットの宛先となる端末装置が存在する車両が所定時間内に到来する可能性のある所定の地理的範囲内の複数の通信ポイントにそれぞれ設置された経路上通信手段へと送信する処理を実行するようにしてもかまわない。たとえば、列車の場合、上述したように、時刻表によって個々の車両の運行状況がある程度把握できるのであれば、特定の列車内の端末装置宛のデータパケットについては、当該列車が、たとえば30分以内に到来する可能性のある所定の地理的範囲に存在する通信ポイントを調べ、このような一部の通信ポイントに設置された経路上通信手段に限って、データパケットのマルチキャストを行うようにしてもよい。また、自動車の場合であっても、たとえば、1時間前に東京の通信ポイントからデータパケットの送信があった車両であれば、現時点でも関東地区に存在することは物理的に明らかなので、マルチキャストの対象を関東地区の通信ポイントに限定してもかまわない。
【0039】
<<< §2. 通信形態に関する工夫 >>>
以上、§1では、本発明の基本的な実施形態を述べたが、ここでは、本発明を実施する上で有用な通信形態に関するいくつかの工夫を述べておく。
【0040】
図1に示す移動体パケット通信システム100の目的は、車両A内の端末装置Tと、外部のサーバ装置51〜55との間でパケット通信を行うことにある。ここで、端末装置Tは、車両Aの乗客が所持する携帯電話などの汎用端末装置であるため、端末装置Tと車両内通信手段10との間の通信は、IPアドレスを利用した汎用プロトコルで行うのが好ましい。また、代理サーバ装置30がインターネット40を介して外部のサーバ装置51〜55と通信を行う場合にも、IPアドレスを利用した汎用プロトコルが必要になる。ただ、車両内通信手段10と経路上通信手段21,22,23との間の通信や、経路上通信手段21,22,23と代理サーバ装置30との間の通信は、必ずしも汎用プロトコルで行う必要はなく、この移動体パケット通信システムによるサービスを提供する業者に固有の特殊プロトコルであってもかまわず、むしろ固有の特殊プロトコルを利用した方が効率的になる場合も少なくない。
【0041】
このような観点から、ここで述べる実施形態では、次のような工夫を施している。まず、車両内通信手段10には、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)の機能をもたせ、この機能により車両A内に存在する各端末装置Tに対してプライベートIPアドレスを付与できるようにしてある。一方、代理サーバ装置30には、NAT(Network Address Translator)の機能をもたせ、この機能によりプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの変換を行わせ、システム100の内部ではプライベートIPアドレスを用いたパケット通信が行われ、外部のサーバ装置51〜55との間ではグローバルIPアドレスを用いたパケット通信が行われるようにしている。
【0042】
また、上述したように、車両内通信手段10、経路上通信手段21,22,23、代理サーバ装置30の範囲内の通信プロトコルは、固有の特殊プロトコルを採用することが可能であるので、ここに述べる実施形態では、この範囲内の通信については、データ圧縮を行う運用を行っている。すなわち、車両内通信手段10には、車両A内に存在する端末装置Tから受信したデータパケットに対してデータ圧縮を行う機能をもたせ、代理サーバ装置30には、圧縮されたデータパケットを伸張する機能をもたせており、車両内通信手段10から代理サーバ装置30へと転送されるデータパケットが圧縮された状態になるようにしている。同様に、代理サーバ装置30には、外部のサーバ装置51〜55から受信したデータパケットに対してデータ圧縮を行う機能をもたせ、車両内通信手段10には、圧縮されたデータパケットを伸張する機能をもたせており、代理サーバ装置30から車両内通信手段10へと転送されるデータパケットが圧縮された状態になるようにしている。
【0043】
車両内通信手段10と経路上通信手段21,22,23との間の通信は、常に実行可能となっているわけではなく、既に述べたとおり、車両Aが通信ポイントP1,P2,P3において車外通信機能を実行可能になっている状態(たとえば、駅に停車している状態や、交差点に信号待ちで停車している状態など)に限定される。このため、車両内通信手段10と経路上通信手段21,22,23との間でのデータパケットの送受処理は、比較的短時間に完了する必要がある。データパケットに対してデータ圧縮を行っておくことは、この送受処理時間を短縮する上で効果的である。
【0044】
図2は、上述したプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの変換処理と、データパケットの圧縮/伸張処理と、を組み込んだ実施形態を説明するブロック図である。ここでは、同一の車両Aに乗車している5人の乗客が、それぞれ端末装置T1〜T5を用いて、本発明に係る移動体パケット通信システムを利用している状態が示されている。この場合、まず、車両内通信手段10のDHCP機能により、端末装置T1〜T5のそれぞれに対して、所定のプライベートIPアドレスが付与される。図示の例では、各端末装置T1〜T5に対して、それぞれ「10.0.1.1」〜「10.0.1.5」なるプライベートIPアドレスが付与されている。一方、外部のサーバ装置51〜55に対しては、それぞれ「1.1.1.1」〜「5.5.5.5」なるグローバルIPアドレスが付与されている。また、代理サーバ装置30には、「1.0.0.99」なるグローバルIPアドレスが付与されている。
【0045】
この例では、移動体パケット通信システム100の内部の通信は、プライベートIPアドレスを用いて行うことができるが、インターネット40に対するアクセスを行う際には、グローバルIPアドレスを用いる必要がある。そこで、代理サーバ装置30のNAT機能により、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの変換を行い、各端末装置T1〜T5から、外部のサーバ装置51〜55宛に送られるデータパケットの送信元アドレスは、代理サーバ装置30において、すべて「1.0.0.99」なる共通のグローバルIPアドレスに変換される。したがって、外部のサーバ装置51〜55は、各端末装置T1〜T5から送信されてきたデータパケットに対する応答を、すべて「1.0.0.99」なるグローバルIPアドレスをもった代理サーバ装置30宛に送ることになる。代理サーバ装置30は、こうして送られてきたデータパケットが、どのプライベートIPアドレス宛のものであるかをポート番号を利用して認識することになる。このような認識方法も含めたNAT処理機能は既に公知の技術であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
【0046】
また、移動体パケット通信システム100の内部では、データパケットは圧縮された状態で伝送される。たとえば、端末装置T1から外部のサーバ装置51宛にデータパケットが送信された場合を考えよう。この場合、まず、車両内通信手段10がこのデータパケットを受け取るが、この時点で、車両Aが通信ポイントに到達していなかったとすると、前述したように、このデータパケットは車両内通信手段10内に一時的に保管されることになる。もちろん、他の端末装置T2〜T5からもデータパケットが送信されていれば、これらのデータパケットがまとめて一時保管されることになる。このとき、車両内通信手段10は、一時保管したデータパケットに対して所定のアルゴリズムに基づくデータ圧縮を行う。後に§3で述べる具体例のように、このデータ圧縮は、複数のデータパケットに対してまとめて行うようにするのが効率的である。車両Aが通信ポイントに到着し、車外通信機能が実行可能になった時点で、圧縮されたデータパケットは、経路上通信手段2x(21,22,23のいずれか)へと送信される。前述したように、圧縮された状態でのデータパケットの送信は、通信時間の短縮に役立つことになる。経路上通信手段2xは、受信したデータパケットを圧縮状態のまま代理サーバ装置30へと伝送する。この圧縮されたデータパケットは、代理サーバ装置30において伸張された後、NAT機能によるアドレス変換を受け、インターネット40を介して外部のサーバ装置51へと送信されることになる。
【0047】
こうして送信されたデータパケットに応答して、外部のサーバ装置51から端末装置T1宛にデータパケットが送信されると、まず、代理サーバ装置30がこれを受信し、NAT機能により、端末装置T1のプライベートIPアドレス宛のデータパケットにアドレス変換される。そして、この代理サーバ装置30において、当該データパケットは所定のアルゴリズムに基づいてデータ圧縮された後、複数の経路上通信手段21,22,23宛にマルチキャストされる。各経路上通信手段21,22,23は、こうしてマルチキャストされたデータパケットを、圧縮された状態のまま保持し、通信ポイントP1,P2,P3に車両Aが到来したら、車両内通信手段10に対して圧縮状態のまま送信する。車両内通信手段10は、受信したデータパケットを伸張した後、これを宛先となる端末装置T1へと送信する。
【0048】
なお、代理サーバ装置30における圧縮処理をより効率化するためには、代理サーバ装置30にバッチ処理を実行させるようにすればよい。たとえば、インターネット40側から代理サーバ装置30にデータパケットが届いたら、しばらくの間、これらデータパケットを蓄積しておくようにし、個々の車両宛のデータパケットごとに、それぞれ別個のパケット群を構成し、構成した各パケット群ごとにそれぞれまとめてデータ圧縮し、経路上通信手段21,22,23へとマルチキャストすればよい。たとえば、図2に示す例において、同一の車両A内に存在する5つの端末装置T1〜T5宛のデータパケットが代理サーバ装置30に届いた場合、この5つのデータパケットを、車両A宛のデータパケット群としてひとまとめにし、このひとまとめのデータパケット群全体に対してデータ圧縮を行うようにする。そうすれば、このデータパケット群は、圧縮状態のまま車両A内の車両内通信手段10へと届けられた上で伸張が行われ、各端末装置T1〜T5宛のデータパケットに復元されることになる。
【0049】
続いて、各経路上通信手段21,22,23にマルチキャストされたデータパケットの取り扱いについて検討してみよう。たとえば、図1に示す例において、車両A内の端末装置T宛のデータパケットは、前述したように、各経路上通信手段21,22,23のそれぞれに送信(マルチキャスト)されることになる。ここで、実用上は、上述したように、代理サーバ装置30において、個々の車両宛のデータパケットごとに、それぞれ別個のパケット群を構成して圧縮するのが好ましく、その場合は、各経路上通信手段21,22,23のそれぞれには、たとえば車両A宛のデータパケットをひとまとめにしたデータパケット群が送信されることになる。もちろん、運行経路L上を運行している車両は、車両Aだけではなく、たとえば、車両B、車両Cといった他の車両も多数運行している。したがって、各経路上通信手段21,22,23には、車両A宛のデータパケット群、車両B宛のデータパケット群、車両C宛のデータパケット群、というように、多数のデータパケット群が集まることになる。
【0050】
ここで、どの車両が、どの通信ポイントを通過するか、という事項は、必ずしも正確に予測できる事項ではないので、本実施形態では、各経路上通信手段21,22,23は、何らかの車両が通信ポイントP1,P2,P3に到来した場合に、保管しているすべてのデータパケット群を到来した車両内の車両内通信手段10に対して送信する処理を行うようにしている。また、1回の送信で確実に目的の車両にデータパケットが引き渡せる保証はないので、各経路上通信手段21,22,23は、それぞれ各通信ポイントP1,P2,P3に車両が到来するたびに、代理サーバ装置30から受信したデータパケットを、到来した車両に向けて(車両内に設置された車両内通信手段10へ向けて)繰り返し送信する処理を実行するようにしている。
【0051】
たとえば、図1に示す例において、通信ポイントP1からP2に向かって、車両AおよびBが走行中の場合に、各経路上通信手段21,22,23に車両B宛のデータパケット群と車両C宛のデータパケット群とが保管されていたとしよう。この場合、先行する車両Aが通信ポイントP2(駅)に到着した時点で、経路上通信手段22から車両Aに対して、車両B宛のデータパケット群と車両C宛のデータパケット群とが送信されることになるが、これを受信した車両Aの車両内通信手段10は、いずれのデータパケット群も自己宛のものではないので、そのまま廃棄する処理を行う。続いて、後続の車両Bが通信ポイントP2(駅)に到着した時点で、同様に、経路上通信手段22から車両Bに対して、車両B宛のデータパケット群と車両C宛のデータパケット群とが送信されることになる。これを受信した車両Bの車両内通信手段10は、車両B宛のデータパケット群は自己宛のものであるため、そこに含まれている各データパケットを車両B内の各端末装置へと送信し、車両C宛のデータパケット群を廃棄する処理を行う。
【0052】
このように、各経路上通信手段21,22,23は、新たな車両がそれぞれ通信ポイントP1,P2,P3に到来するたびに、保管しているデータパケット群を繰り返し送信する処理を行うことになるが、代理サーバ装置30からは順次新しいデータパケット群が送られてくるため、各経路上通信手段21,22,23に保管されるデータパケット群は増加の一途を辿ることになる。そこで、実用上は、正しい宛先となる車両に引き渡しが完了したデータパケット群については、これを廃棄してゆく処理を行う必要がある。このような経路上通信手段21,22,23におけるデータパケットの廃棄処理は、たとえば、次のようないくつかの方法により実施可能である。
【0053】
まず、第1の方法は、車両内通信手段10に、所定の経路上通信手段から自己車両宛のパケット群を受信したときに、当該パケット群の受領を確認する受領確認情報を当該所定の経路上通信手段に対して送信する処理を行う機能をもたせておき、各経路上通信手段には、いずれか1つの経路上通信手段が特定のパケット群についての受領確認情報を受信した場合に、この特定のパケット群と同一のパケット群を廃棄する処理を実行する機能をもたせておく方法である。この方法では、たとえば、図1に示す車両A宛のデータパケット群は、3つの経路上通信手段21,22,23にそれぞれブロードキャストされることになるが、車両Aが通信ポイントP2に到来し、この車両A宛のデータパケット群が車両A内の車両内通信手段10によって受信されると、この車両A内の車両内通信手段10から経路上通信手段22に対して、受領確認情報が送信されることになる。経路上通信手段22は、この受領確認情報の送信を受けて、車両A宛の当該データパケット群の引き渡しが完了した旨を認識し、保管していた当該データパケット群を廃棄する処理を行う。同時に、経路上通信手段22から、他の経路上通信手段21,23に対して、同一のデータパケット群を廃棄すべき旨の指示が送信されるようにし、経路上通信手段21,23においても、同一のデータパケット群の廃棄が行われる。かくして、目的の車両への送信が完了したデータパケットは、各経路上通信手段21,22,23から順次廃棄されてゆくことになる。
【0054】
第2の方法は、個々の車両からの受領確認情報の送信を省略することができる方法である。この方法では、各経路上通信手段21,22,23が、それぞれの通信ポイントP1,P2,P3付近に車両が到来するたびに、保管しているデータパケットを、到来した車両内に設置された車両内通信手段10へと毎回送信する処理を実行する点に変わりはないが、保管しているデータパケットのうち、代理サーバ装置30から受信した後に所定の時間が経過したデータパケットについては、これを廃棄する処理を実行するようにする。ここで、所定の時間としては、各車両の運行状況を考慮した上で、いずれの車両に対しても、いずれかの経路上通信手段から、目的のデータパケットの送信が完了するであろうと予測される所定の時間を設定すればよい。
【0055】
第3の方法も、個々の車両からの受領確認情報の送信を省略することができる方法である。この方法においても、各経路上通信手段21,22,23が、それぞれの通信ポイントP1,P2,P3付近に車両が到来するたびに、保管しているデータパケットを、到来した車両内に設置された車両内通信手段10へと毎回送信する処理を実行する点に変わりはないが、保管しているデータパケットのうち、送信繰り返し回数が所定回数に達したデータパケットについては、これを廃棄する処理を実行するようにする。たとえば、到来した車両に対する送信を3回繰り返したデータパケットについては廃棄するような設定を行っておけば、代理サーバ装置30からの受信後に、到来した3台の車両に対する送信が行われると廃棄されることになる。廃棄までの送信繰り返し回数は、やはり各車両の運行状況を考慮した上で、いずれの車両に対しても、いずれかの経路上通信手段から、目的のデータパケットの送信が完了するであろうと予測される回数を設定すればよい。
【0056】
以上述べた方法は、いずれも経路上通信手段21,22,23にその時点で保管されているすべてのデータパケットを、到来した車両に対して無条件で送信する方法であるが、各経路上通信手段21,22,23に、それぞれの通信ポイントP1,P2,P3付近に車両が到来するたびに、到来した車両を特定する処理を実行し、代理サーバ装置30から受信したデータパケットのうち、特定された車両宛のデータパケットのみを選択し、この選択したデータパケットを到来した車両内に設置された車両内通信手段へと送信した後にこれを廃棄する処理を実行し、かつ、他の経路上通信手段によって車両への送信が完了したパケットと同一のパケットについては、これを廃棄する処理を実行する方法を採れば、より効率的な送信が可能になる。この方法によれば、各経路上通信手段21,22,23に保管されているデータパケット群のうち、たとえば、車両A宛のデータパケット群は、車両Aに対してのみ送信され、車両B宛のデータパケット群は、車両Bに対してのみ送信されることになる。この方法を採る場合には、通信ポイントに車両が到来したら、まず、経路上通信手段と車両内通信手段との間で交信を行い、到来した車両を特定する処理を行い、更に、特定された車両宛のデータパケットのみを選択する処理が必要になるが、無駄なデータパケットの送信を抑制するメリットが得られる。
【0057】
なお、本発明に係る移動体パケット通信システムを利用して、高速移動中の車両内から、端末装置Tを用いて外部のサーバ装置へとデータパケットを送信し、当該外部のサーバ装置からの応答をデータパケットとして受信するようなアクセスを行う場合、通常のアクセスに比べて長時間を要することも少なくない。
【0058】
たとえば、外部のサーバ装置51がメールサーバであり、端末装置Tから、このメールサーバにアクセスして、自己宛の電子メールを受信するような場合を考えてみよう。この場合、一般的なメール受信プロトコル「POP3」によれば、端末装置Tからメールサーバ51宛に、「POPGET」なる命令をアカウント名やパスワードとともに送信することになる。メールサーバ51は、これを受けて、当該アカウント宛のメールの内容を返信する処理を行う。ここで、端末装置Tから「POPGET」命令を送信した後、メールサーバ51からメールの内容が返信されてくるまでの時間は、通常、数秒程度であり、端末装置Tに組み込まれている一般的な電子メールアプリケーションは、メール内容の返信が長時間得られなかった場合には、いわゆる「タイムアウト」と判断し、「メールの受信に失敗しました」などのメッセージを表示してエラー処理を行うようにプログラムされている。
【0059】
また、外部のサーバ装置53がファイルサーバであり、端末装置Tから、このファイルサーバにアクセスして、何らかのファイルをダウンロードする場合は、「FTP」なるプロトコルを用いて、端末装置Tからファイルサーバ53に対して所定のファイルのダウンロード命令を与え、目的のファイルを送信してもらうことになる。この場合も、端末装置Tからダウンロード命令を送信した後、ファイルサーバ53からの返信が長時間得られなかった場合には、一般的なファイル転送用アプリケーションは、いわゆる「タイムアウト」と判断し、「ファイルのダウンロードに失敗しました」などのメッセージを表示してエラー処理を行うようにプログラムされている。
【0060】
ところが、本発明に係る移動体パケット通信システムでは、車内の端末装置Tから外部のサーバ装置51〜55へ向けたデータパケットや、逆に、外部のサーバ装置51〜55から車内の端末装置Tに向けたデータパケットは、直ちに伝送されるわけではなく、車両が所定の通信ポイントへ到達するまで、車両内通信手段10側や、経路上通信手段21,22,23側に保管された状態になる。このため、端末装置Tに組み込まれている一般的な汎用アプリケーションソフトウエアを用いてデータパケットの送受信を行った場合、いわゆる「タイムアウト」との判断がなされてエラーが生じる可能性が高い。そこで、実用上は、本発明に係るシステムを利用した通信を行う際には、「タイムアウト」と判断すべき時間を長めに設定した専用のアプリケーションソフトウエアを用いるようにするのが好ましい。
【0061】
あるいは、端末装置Tから外部のサーバ装置51〜55に対して、所定時間内の返信を要求するデータパケットの送信(別言すれば、「タイムアウト」との判断により、エラー処理が実行されるようなアプリケーションを用いたデータパケットの送信)が行われたときに、車両内通信手段10が、外部のサーバ装置51〜55に代わって返信を行う代理返信機能を実行するような構成にしておくこともできる。このような代理返信機能を設けておけば、端末装置Tから外部のサーバ装置51〜55に対して、汎用のアプリケーションを用いたアクセスが行われた場合でも、「タイムアウト」によるエラー発生を防ぐことができる。
【0062】
たとえば、端末装置Tからメールサーバ51宛に「POPGET」なる電子メールの受信命令が送信された場合、とりあえず、車両内通信手段10の代理返信機能によって、この命令に対する疑似的な返信を端末装置T宛に返すようにする。具体的には、たとえば、「No Mail」なる擬似的な返信を返せばよい。端末装置T内の電子メールアプリケーションは、このような返信を、メールサーバ51からの返信であるものとして取り扱い、たとえば、「現在、受信すべき電子メールは1つもありません。」のようなメッセージを表示するような処理を実行することになる。もちろん、この時点では、「POPGET」なる電子メールの受信命令は、まだ、同じ車両内の車両内通信手段10に一時的に保管された状態となっており、メールサーバ51には届いていない。
【0063】
やがて、この車両がいずれかの通信ポイント(駅)へ到着すると、「POPGET」なる電子メールの受信命令は、経路上通信手段を介してメールサーバ51へと送信され、やがて、これに対するメールサーバ51からの正規の返信が戻ってくることになる。この返信は、早ければ、この車両が同じ駅に停車している最中に、車両内通信手段10まで戻ってくるかもしれない。この車両がこの駅を発車した後に返信が戻ってきた場合には、当該返信は、その次の駅において、車両内通信手段10まで届くことになる。いずれにせよ、メールサーバ51からの正規の返信が、車両内通信手段10へと届くことになる。こうして、車両内通信手段10に正規の返信が届いた場合、車両内通信手段10はその時点では、まだ端末装置Tに対して、当該正規の返信を送信せずに保管したままにする。これは、端末装置Tからの電子メールの受信命令に対しては、既に、「No Mail」なる擬似的な返信を送信してしまっており、端末装置T側の電子メールアプリケーションによる処理が完了してしまっているからである。ただし、後に、同じ端末装置Tの同じ電子メールアプリケーションから、再び、メールサーバ51宛の「POPGET」なる電子メールの受信命令が送信された場合には、車両内通信手段10は、当該命令を外部へと送信することなしに、既にメールサーバ51からの正規の返信として得られているメールの内容を、そのまま端末装置Tへと送信する処理を実施するようにすればよい。
【0064】
このように、端末装置Tから返信要求をともなう何らかの命令が送信された場合に、車両内通信手段10側に、あたかも外部のサーバ装置からの返信であるかのように、所定の返信内容を端末装置Tへと送信する代理返信機能を設けておけば、端末装置T側のアプリケーションに「タイムアウト」のエラーを発生させることなしに、適切な処理を実行させることが可能になる。
【0065】
<<< §3. 具体的な通信手順 >>>
最後に本発明に係る移動体パケット通信システムを用いたデータパケットの具体的な通信手順の一例を示しておく。いま、車両A内に乗車している5人の乗客が、図2に示すようにそれぞれ端末装置T1〜T5を用いて、外部のサーバ装置51〜55へ、電子メールの受信命令もしくはファイルのダウンロード命令を送信したいと考えたとしよう。前述したように、各端末装置T1〜T5には、車両内通信手段10のDHCP機能により、それぞれ図2に示すようなプライベートIPアドレスが付与される。ここでは、各端末装置T1〜T5のアプリケーションソフトウエアによって、それぞれ図3に示すような5つのデータパケットDP10〜DP50が作成されたものとしよう。この図3において、一重枠で示すデータパケットDP10,DP20,DP50は、いずれも電子メールの受信命令を含むデータパケットであり、二重枠で示すデータパケットDP30,DP40は、いずれもファイルのダウンロード命令を含むデータパケットである。
【0066】
たとえば、図3に示すデータパケットDP10の1行目の「Dst Addr: 1.1.1.1」なるデータは、送信先のIPアドレスが「1.1.1.1」(図2に示すように、メールサーバ51のグローバルIPアドレス)であることを示し、2行目の「Src Addr: 10.0.1.1」なるデータは、送信元のIPアドレスが「10.0.1.1」(図2に示すように、端末装置T1のプライベートIPアドレス)であることを示し、3行目の「Dst Port#: 110」なるデータは、送信先となる外部のサーバ装置51のポート番号が「110」(電子メール用アプリケーションを特定する番号)であることを示し、4〜5行目の「データ:POPGET ACC1/PASS1」は、送信対象となるデータの内容が、「POPGET」なる命令(電子メール用アプリケーションに対して、電子メールの受信を要求する命令)と、アカウント名「ACC1」およびパスワード「PASS1」であることを示す。データパケットDP20(メールサーバ52宛)やデータパケットDP50(メールサーバ55宛)の内容もほぼ同様である。
【0067】
一方、図3に示すデータパケットDP30の1行目の「Dst Addr: 3.3.3.3」なるデータは、送信先のIPアドレスが「3.3.3.3」(図2に示すように、ファイルサーバ53のグローバルIPアドレス)であることを示し、2行目の「Src Addr: 10.0.1.3」なるデータは、送信元のIPアドレスが「10.0.1.3」(図2に示すように、端末装置T3のプライベートIPアドレス)であることを示し、3行目の「Dst Port#: 23」なるデータは、送信先となる外部のサーバ装置53のポート番号が「23」(ファイルのダウンロード用アプリケーションを特定する番号)であることを示し、4〜5行目の「データ:ACC3/PASS3 FTP_Command」は、送信対象となるデータの内容が、「FTP_Command」なる命令(ファイルのダウンロード用アプリケーションに対して、ダウンロードを要求する命令)と、アカウント名「ACC3」およびパスワード「PASS3」であることを示す。データパケットDP40(メールサーバ54宛)の内容もほぼ同様である。なお、この図3は、便宜上、本発明に係るシステムの通信手順の説明に必要なデータを示すものであり、実際に送信されるデータパケットの内容をそのまま示すものではない。
【0068】
さて、各端末装置T1〜T5から、図3に示すようなデータパケットDP10〜DP50が送信されると、車両内通信手段10は、これらのデータパケットを一時的に保管することになる。このとき、車両内通信手段10内では、これら各データパケットの内容に基づいて、図4に示すような対応表TB1を作成するとともに、図5に示すような圧縮データDATA1およびDATA2を作成する処理が実行される。ここで、図4に示す対応表TB1は、後にデータの伸張処理を行うときに必要なデータをテーブルにしたものであり、図3に示す各データパケットDP10〜DP50にそれぞれシリアル番号(図示の例では、Seq#:12345〜Seq#:12349)を付与し、送信先のグローバルIPアドレス「Dst:」と、送信元のプライベートIPアドレス「Src:」と、送信先のポート番号「Dst Port#」とを抜き出し、更に、返信が得られるまでのタイムアウト時間「TTL:」を設定したものである。
【0069】
一方、図5に一重枠で示す圧縮データDATA1は、電子メールの受信命令を含むデータパケットDP10,DP20,DP50の内容をまとめたものであり、二重枠で示す圧縮データDATA2は、ファイルのダウンロード命令を含むデータパケットDP30,DP40の内容をまとめたものである。DATA1の上欄1行目の「車両ID:A」なるデータは、この圧縮データが車両Aから送信されるデータパケット群であることを示し、2行目の「Sequence#:0001」なるデータは、この圧縮データのシリアル番号が「0001」であることを示し、3行目の「Dst Port#: 110」なるデータは、この圧縮データの送信先のポート番号が「110」であることを示している。また、DATA1の下欄1行目の「Seq#: 12345」なるデータは、以下のデータが対応表TB1における「Seq#: 12345」に対応したデータ、すなわち、データパケットDP10内のデータであることを示す指標であり、2行目および3行目の「Dst: 1.1.1.1」および「ACC1/PASS1」なるデータは、このデータパケットDP10内の「Dst Addr: 1.1.1.1」および「ACC1/PASS1」を抜き出したものである。
【0070】
なお、ここに示す例では、データパケットDP10内の「POPGET」なる命令は、圧縮データDATA1内では省略している。これは、「Dst Port#: 110」なるポート番号に関連したデータ(電子メール用アプリケーションに対する命令であることを示すデータ)には、必ず「POPGET」なる命令が伴うことになっているため、圧縮データDATA1内にわざわざ「POPGET」なる命令を入れておく必要がないためである。同様に、DATA1の下欄4〜6行目には、データパケットDP20内の必要なデータが抜き出され、下欄7〜9行目には、データパケットDP50内の必要なデータが抜き出されている。
【0071】
また、図5に二重枠で示す圧縮データDATA2の上欄1行目の「車両ID:A」なるデータは、この圧縮データが車両Aから送信されるデータパケット群であることを示し、2行目の「Sequence#:0002」なるデータは、この圧縮データのシリアル番号が「0002」であることを示し、3行目の「Dst Port#: 23」なるデータは、この圧縮データの送信先のポート番号が「23」であることを示している。また、DATA2の下欄1行目の「Seq#: 12347」なるデータは、以下のデータが対応表TB1における「Seq#: 12347」に対応したデータ、すなわち、データパケットDP30内のデータであることを示す指標であり、2行目〜4行目の「Dst: 3.3.3.3」,「ACC3/PASS3」,「FTP_Command」なるデータは、このデータパケットDP30内の「Dst Addr: 3.3.3.3」,「ACC3/PASS3」,「FTP_Command」を抜き出したものである。同様に、DATA2の下欄5〜8行目には、データパケットDP40内の必要なデータが抜き出されている。
【0072】
結局、図5に示す圧縮データDATA1,DATA2は、図3に示すデータパケットDP10〜DP50内の必要なデータのみを抜き出したものになっており、データパケットDP10〜DP50をそのまま送信する代わりに、圧縮データDATA1,DATA2を送信すれば、送信容量を低減させることができる。
【0073】
この図5に示す圧縮データDATA1,DATA2は、車両が通信ポイントP1、P2またはP3に到着した時点で経路上通信手段21、22または23へと送信され、代理サーバ装置30へと伝送される。このような圧縮データDATA1,DATA2を受信した代理サーバ装置30内では、これら各圧縮データDATA1,DATA2の内容に基づいて、図6に示すような対応表TB2を作成するとともに、伸張処理により、図7に示すようなデータパケットDP11〜DP51を作成する処理が実行される。ここで、図6に示す対応表TB2は、NAT処理に必要なデータをテーブルにしたものであり、図5に示す各情報に、送信元のポート番号を付加することにより得られるものである。たとえば、この図6の対応表TB2の左欄1行目の「Src Port#: xx1」は、以下のデータが、「xx1」なる送信元ポート番号に関連するデータであることを示しており、2行目の「車両ID: A」なるデータは、車両Aから送信されるデータパケットに関するデータであることを示し、3〜4行目の「Sequence#:0001」および「Seq#: 12345」なるデータは、関連するシリアル番号を示し、5行目の「Dst: 1.1.1.1」なるデータは、送信先のグローバルIPアドレスが「1.1.1.1」であることを示している。以下、同様である。
【0074】
一方、図7に示すデータパケットDP11〜DP51は、図5に示す圧縮データDATA1,DATA2および図6に示す対応表TB2のポート番号に基づいて作成することができる。この図7に示す伸張処理後のデータパケットDP11〜DP51の内容は、図3に示す圧縮処理前のデータパケットDP10〜DP50の内容とほぼ同様であるが、送信元のアドレスが、プライベートIPアドレスからグローバルIPアドレスに変更されている点と、送信元のポート番号が付加されている点が異なっている。これは、代理サーバ装置30におけるNAT処理の結果である。たとえば、図3のデータパケットDP10では、送信元のアドレスとして「Src Addr: 10.0.1.1」なるプライベートIPアドレスが記載されていたが、図7のデータパケットDP11では、送信元のアドレスとして「Src Addr: 1.0.0.99」なるグローバルIPアドレス(代理サーバ装置30自身のアドレス)が記載されている。このように、代理サーバ装置30のNAT機能により、データパケットDP11〜DP51の送信元のアドレスは、すべて「Addr: 1.0.0.99」なる代理サーバ装置30自身のグローバルIPアドレスに変更されることになる。なお、この図7においても、一重枠のデータパケットDP11,DP21,DP51は、メールサーバに宛てた電子メールの受信命令を含むデータパケットであり、二重枠のデータパケットDP31,DP41は、ファイルサーバに宛てたダウンロード命令を含むデータパケットである。
【0075】
このように、代理サーバ装置30のNAT機能により、端末装置T1〜T5のアドレスはすべて「Addr: 1.0.0.99」なる代理サーバ装置30自身のアドレスに変更されてしまう。そこで、送信元のポート番号を利用して、送信元の端末装置T1〜T5を識別する必要がある。図7に示すデータパケットDP11〜DP51の4行目に記載された「Src Port#:xx1〜xx5」は、このようなポート番号を示すものである。
【0076】
かくして、外部のサーバ装置51〜55には、それぞれ図7に示すようなデータパケットDP11〜DP51が届けられることになる。これに応じて、外部のサーバ装置51〜55からは、図8に示すようなデータパケットDP12〜DP52が返信される。ここで、一重枠のデータパケットDP12,DP22,DP52は、各メールサーバからのメールの内容を示すデータを含んだ返信であり、二重枠のデータパケットDP32,DP42は、ファイルサーバからのダウンロード対象ファイルの内容を示すデータを含んだ返信である。たとえば、データパケットDP12の1行目の「Dst Addr: 1.0.0.99」なるデータは、送信先のIPアドレスが「1.0.0.99」(代理サーバ装置30のグローバルIPアドレス)であることを示し、2行目の「Src Addr: 1.1.1.1」なるデータは、送信元のIPアドレスが「1.1.1.1」(外部のサーバ装置51のグローバルIPアドレス)であることを示している。これは、図7に示すデータパケットDP11の送信先と送信元のアドレスを入れ替えたものに他ならない。また、3行目の「Dst Port#: xx1」なるデータは、送信先となる代理サーバ装置30のポート番号が「xx1」であることを示し、4行目の「Src Port#: 110」なるデータは、送信元となる外部のサーバ装置51のポート番号が「110」であることを示している。これは、図7に示すデータパケットDP11の送信先と送信元のポート番号を入れ替えたものに他ならない。更に、5行目の「データ:(メールの内容1)」なるデータは、返信対象となる電子メールの内容を示すデータである。他のデータパケットDP22〜DP52の構成もほぼ同様である。
【0077】
さて、図8に示すデータパケットDP12〜DP52を受け取った代理サーバ装置30は、その中の「Dst Port#:」の部分と、図6に示す対応表TB2中の「Src Port#:」の部分とを対応させることにより、これらが同一の車両A宛のデータパケットであることを認識することができる。もちろん、データパケットDP12〜DP52は、通常、代理サーバ装置30に対して互いに時間差をもって到着することになるので、代理サーバ装置30は、到着するデータパケットを一時的に蓄積しておき、ある程度集まった時点で、同一車両宛のデータパケットを集めたデータパケット群を作成し、このデータパケット群をまとめて圧縮する処理を行う。たとえば、図8に示すデータパケットDP12〜DP52がすべて集まったとすると、代理サーバ装置30は、図6の対応表TB2を参照しながら、図9に示すような圧縮データDATA3およびDATA4を作成する。
【0078】
図9に一重枠で示す圧縮データDATA3は、電子メールの受信命令に対する返信情報を含むデータパケットDP12,DP22,DP52の内容をまとめたものであり、二重枠で示す圧縮データDATA4は、ファイルのダウンロード命令に対する返信情報を含むデータパケットDP32,DP42の内容をまとめたものである。DATA3の上欄1行目の「車両ID:A」なるデータは、この圧縮データが車両A宛のデータパケット群であることを示し、2行目の「Sequence#:0001」なるデータは、この圧縮データのシリアル番号が「0001」であることを示している。これらのデータは、図6の対応表TB2を参照することにより得ることができる。また、3行目の「Src Port#: 110」なるデータは、この圧縮データの送信元のポート番号が「110」であることを示しており、データパケットDP12,DP22,DP52内の「Src Port#」の情報から得ることができる。DATA3の下欄1行目の「Seq#: 12345」なるデータおよび2行目の「(メールの内容1)」なるデータは、シリアル番号「12345」の返信データが「(メールの内容1)」であることを示す情報であり、以下、シリアル番号「12346」、「12349」についての同様の情報が続くことになる。これらの情報は、図6の対応表TB2の内容とデータパケットDP12,DP22,DP52の内容に基づいて得ることができる。一方、図9に二重枠で示す圧縮データDATA4の構造もほぼ同様である。
【0079】
こうして、代理サーバ装置30において作成された圧縮データDATA3、DATA4は、マルチキャストにより、経路上通信手段21,22,23へと送信され、通信ポイントP1,P2,P3に到来した車両に圧縮状態のまま送信されることになる。これら圧縮データDATA3、DATA4を受信した車両内の車両内通信手段10は、「車両ID」の部分を確認し、それが自己宛のデータパケットであるかを認識する。自己宛でなかった場合には、これをそのまま廃棄することになる。自己宛であった場合、すなわち、図9に示す圧縮データDATA3、DATA4を車両Aが受信した場合は、データパケットの送信時に作成しておいた図4に示す対応表TB1を参照することにより、これらを伸張する処理を行う。
【0080】
たとえば、圧縮データDATA3には、シリアル番号「12345」の返信データが「(メールの内容1)」であることを示す情報が含まれているが、対応表TB1には、シリアル番号「12345」について、送信先アドレス「Dst: 1.1.1.1」、送信元アドレス「Src: 10.0.1.1」が記載されているので、これらのアドレスの送受信を入れ替えることにより、図10に示すようなデータパケットDP13を生成することができる。同様の伸張処理により、結局、図10に示すデータパケットDP13〜DP53が生成され、これらが端末装置T1〜T5へと送信されることになる。かくして、各端末装置T1〜T5から外部のサーバ装置51〜55へと送信されたデータパケットに対して、それぞれ返信となるデータパケットが届くことになる。
【0081】
以上、本発明を図示する実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の形態で実施可能である。特に、図3〜図10に示した実施形態は、あくまでも具体的な実施例の一形態を示すものであり、実際の圧縮方法やデータフォーマットなどは、任意のものを採用してかまわない。
【0082】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る移動体パケット通信システムによれば、高速移動中の車両に搭乗していながら、大容量のデータパケット通信が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る移動体パケット通信システム100の基本構成を示すブロック図である。
【図2】プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの変換処理およびデータパケットの圧縮/伸張処理を組み込んだ本発明の実施形態を説明するブロック図である。
【図3】図2に示す端末装置T1〜T5で作成されたデータパケットDP10〜DP50の一例を示す図である。
【図4】車両内通信手段10において、図3に示すデータパケットDP10〜DP50に基づいて作成された対応表TB1を示す図である。
【図5】車両内通信手段10において、図3に示すデータパケットDP10〜DP50の情報をデータ圧縮することにより作成された圧縮データDATA1およびDATA2の内容を示す図である。
【図6】代理サーバ装置30において、図5に示す圧縮データDATA1およびDATA2に基づいて作成された対応表TB2を示す図である。
【図7】代理サーバ装置30において、図5に示す圧縮データDATA1およびDATA2を伸張することにより得られるデータパケットDP11〜DP51を示す図である。
【図8】図7に示すデータパケットDP11〜DP51を受信した外部のサーバ装置51〜55が、それぞれ返信情報として送信するデータパケットDP12〜DP52を示す図である。
【図9】代理サーバ装置30において、図8に示すデータパケットDP12〜DP52の情報をデータ圧縮することにより作成された圧縮データDATA3およびDATA4の内容を示す図である。
【図10】車両内通信手段10において、図9に示す圧縮データDATA3およびDATA4を伸張することにより得られるデータパケットDP13〜DP53を示す図である。
【符号の説明】
10…車両内通信手段
21,22,23,2x…経路上通信手段
30…代理サーバ装置
40…インターネット
51〜55…外部のサーバ装置
100…移動体パケット通信システム
A…車両
DATA1〜DATA4…圧縮データ
DP10〜DP50,DP11〜DP51,DP12〜DP52,DP13〜DP53…データパケット
L…運行経路
P1〜P3…通信ポイント
T,T1〜T5…端末装置
TB1,TB2…対応表
Claims (10)
- 車両とともに移動中の端末装置と外部のサーバ装置との間でパケット通信を行うためのシステムであって、
車両内に設置された車両内通信手段と、
車両が停車するか、または、通常の運行速度よりも低い速度で通過することが予定されている運行経路上の複数の通信ポイントにそれぞれ設置された複数の経路上通信手段と、
前記経路上通信手段に対して接続され、外部のサーバ装置との間でネットワークを介してデータパケットのやりとりを行う機能をもった代理サーバ装置と、
を備え、
前記車両内通信手段は、車両内に存在する端末装置との間で無線によりデータパケットの送受信を行う車内通信機能と、車両が通信ポイント付近に停車している状態、もしくは、車両が通信ポイント付近を通常の運行速度よりも低い速度で通過している状態において、当該通信ポイントに設置された経路上通信手段との間で無線によりデータパケットの送受信を行う車外通信機能と、を有し、前記車内通信機能により端末装置からデータパケットを受信した場合に、このデータパケットを前記車外通信機能が実行可能になるまで一時的に保管し、前記車外通信機能が実行可能になったときに、一時的に保管していたデータパケットを経路上通信手段へと送信する処理を実行し、経路上通信手段からデータパケットを受信した場合に、このデータパケットを前記車内通信機能により宛先となる端末装置へ送信する処理を実行し、
前記経路上通信手段は、前記車両内通信手段からデータパケットを受信した場合に、このデータパケットを前記代理サーバ装置へと送信する処理を実行し、前記代理サーバ装置から所定の端末装置宛のデータパケットを受信した場合に、このデータパケットを、自己が設置された通信ポイント付近に到来した車両内に設置された車両内通信手段へと送信する処理を実行し、
前記代理サーバ装置は、前記経路上通信手段から受信したデータパケットをネットワークを介して外部のサーバ装置へと送信する処理を実行するとともに、外部のサーバ装置からネットワークを介して受信したデータパケットを、複数の通信ポイントにそれぞれ設置された複数の経路上通信手段へと送信する処理を実行し、
前記車両内通信手段は、車両内に存在する端末装置から受信したデータパケットに対してデータ圧縮を行い、前記代理サーバ装置は、圧縮されたデータパケットを伸張する処理を行い、前記車両内通信手段から前記代理サーバ装置へと転送されるデータパケットが圧縮された状態になるようにし、
前記代理サーバ装置は、外部のサーバ装置から受信したデータパケットに対してデータ圧縮を行い、前記車両内通信手段は、圧縮されたデータパケットを伸張する処理を行い、前記代理サーバ装置から前記車両内通信手段へと転送されるデータパケットが圧縮された状態になるようにし、
前記車両内通信手段は、更に、前記端末装置から外部のサーバ装置に対して、所定時間内の返信を要求するデータパケットの送信が行われたときには、外部のサーバ装置に代わって返信を行う代理返信機能を有することを特徴とする移動体パケット通信システム。 - 請求項1に記載の移動体パケット通信システムにおいて、
所定の路線に沿って走行する列車の車両内に車両内通信手段を設置し、この路線上の駅に通信ポイントを定義して経路上通信手段を設置したことを特徴とする移動体パケット通信システム。 - 請求項1に記載の移動体パケット通信システムにおいて、
所定の道路上を走行する自動車の車両内に車両内通信手段を設置し、この道路上の交差点、料金所、もしくはパーキングエリアに通信ポイントを定義して経路上通信手段を設置したことを特徴とする移動体パケット通信システム。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の移動体パケット通信システムにおいて、
車両内通信手段にDHCPの機能をもたせ、この機能により車両内に存在する端末装置に対してプライベートIPアドレスを付与し、代理サーバ装置にNATの機能をもたせ、この機能によりプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの変換を行わせ、システム内部ではプライベートIPアドレスを用いたパケット通信が行われ、外部のサーバ装置との間ではグローバルIPアドレスを用いたパケット通信が行われるようにしたことを特徴とする移動体パケット通信システム。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の移動体パケット通信システムにおいて、
代理サーバ装置が、外部のサーバ装置からネットワークを介して受信したデータパケットを、当該データパケットの宛先となる端末装置が存在する車両が所定時間内に到来する可能性のある所定の地理的範囲内の複数の通信ポイントにそれぞれ設置された経路上通信手段へと送信する処理を実行することを特徴とする移動体パケット通信システム。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の移動体パケット通信システムにおいて、
代理サーバ装置が、個々の車両宛のデータパケットごとに、それぞれ別個のパケット群を構成し、構成した各パケット群のそれぞれを複数の経路上通信手段へと送信する処理を行い、
車両内通信手段が、所定の経路上通信手段から自己車両宛のパケット群を受信したときに、当該パケット群の受領を確認する受領確認情報を前記所定の経路上通信手段に対して送信する処理を行い、
各経路上通信手段が、代理サーバ装置から受信したデータパケットを、それぞれの通信ポイント付近に車両が到来するたびに、到来した車両内に設置された車両内通信手段へと繰り返し送信する処理を実行し、かつ、いずれか1つの経路上通信手段が特定のパケット群についての受領確認情報を受信した場合に、この特定のパケット群と同一のパケット群を廃棄する処理を実行することを特徴とする移動体パケット通信システム。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の移動体パケット通信システムにおいて、
各経路上通信手段が、代理サーバ装置から受信したデータパケットを、それぞれの通信ポイント付近に車両が到来するたびに、到来した車両内に設置された車両内通信手段へと繰り返し送信する処理を実行し、かつ、代理サーバ装置から受信した後に所定の時間が経過したデータパケットについては、これを廃棄する処理を実行することを特徴とする移動体パケット通信システム。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の移動体パケット通信システムにおいて、
各経路上通信手段が、代理サーバ装置から受信したデータパケットを、それぞれの通信ポイント付近に車両が到来するたびに、到来した車両内に設置された車両内通信手段へと繰り返し送信する処理を実行し、かつ、送信繰り返し回数が所定回数に達したデータパケットについては、これを廃棄する処理を実行することを特徴とする移動体パケット通信システム。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の移動体パケット通信システムにおいて、
各経路上通信手段が、それぞれの通信ポイント付近に車両が到来するたびに、到来した車両を特定する処理を実行し、代理サーバ装置から受信したデータパケットのうち、特定された車両宛のデータパケットのみを選択し、この選択したデータパケットを到来した車両内に設置された車両内通信手段へと送信した後にこれを廃棄する処理を実行し、かつ、他の経路上通信手段によって車両への送信が完了したパケットと同一のパケットについては、これを廃棄する処理を実行することを特徴とする移動体パケット通信システム。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の移動体パケット通信システムにおいて、
車両内通信手段が、
端末装置から外部のメールサーバ装置に対して、電子メールの第1の受信命令が送信さ れた場合に、車外通信機能が実行可能になるまで前記第1の受信命令を一時的に保管するとともに、前記メールサーバ装置に代わって、前記端末装置に対して受信すべき電子メールがないことを示す疑似的な返信を行い、
前記車外通信機能が実行可能になったときに、保管していた前記第1の受信命令を前記メールサーバ装置へと送信する処理を実行し、前記メールサーバ装置から前記第1の受信命令に応じて正規の返信が戻ってきた場合に、前記正規の返信を一時的に保管し、
前記端末装置から前記メールサーバ装置に対して、電子メールの第2の受信命令が送信された場合に、前記第1の受信命令に応じて戻ってきた前記正規の返信が保管されていたら、前記第2の受信命令を前記メールサーバ装置へと送信することなしに、前記端末装置に対して、前記正規の返信を前記第2の受信命令に対する前記メールサーバ装置からの返信であるかのように送信する代理返信機能を有することを特徴とする移動体パケット通信システム。
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