JP4072017B2 - 状態推定装置、その方法及びそのプログラム、並びに、現在状態推定装置及び未来状態推定装置 - Google Patents

状態推定装置、その方法及びそのプログラム、並びに、現在状態推定装置及び未来状態推定装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、時系列信号処理技術に関し、より詳細には、時系列信号の濾波又は予測により、システムの内部状態の推定を行う状態推定装置、その方法及びそのプログラム、並びに、現在状態推定装置及び未来状態推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、時系列に観測された観測信号に基づいて、現在の状態を推定する「濾波」あるいは未来の状態を推定する「予測」は、カルマンフィルタ(Kalmanfilter)による逐次推定処理や、反復収集演算(Batch Iteration)による最小自乗推定等を用いて推定されていた。
【0003】
このカルマンフィルタは、離散時間の線形確率システムを対象とした場合、時系列に入力される観測信号に基づいて、システムの状態(内部状態)を逐次出力するものである。このとき、カルマンフィルタは、内部状態と観測信号との関係を表す観測方程式と、内部状態が時系列でどのように遷移するかを表す状態遷移方程式とをモデル化し、濾波及び予測を行う2種類の漸化式(観測方程式及び状態遷移方程式に基づくフィルタ方程式)を、時系列に観測信号が入力されるたびに適用することを特徴としている。例えば、観測方程式は下記の(1)式で、状態遷移方程式は下記の(2)式で表すことができる。
【0004】
【数1】
Figure 0004072017
【0005】
【数2】
Figure 0004072017
【0006】
ここで、xkは時刻tkにおけるシステムの状態量、ykは時刻tkにおいて入力される観測量、vkは観測雑音、wkはシステム雑音(白色雑音)、Fkは状態遷移行列、Gkは駆動行列、Hkは観測行列を示している。なお、Fk、Gk及びHkは、物理法則や測定等によって予め確定した行列である。また、内部状態は状態量(xk)とシステム雑音(wk)の共分散とを指しており、観測信号は観測量(yk)と観測雑音(vk)の共分散とを指している。
【0007】
このカルマンフィルタにおける濾波は、現在の内部状態から、観測方程式((1)式)により導出される観測推定量(観測量)と実際に観測された観測信号との差が小さくなるように内部状態を更新することで、現在の内部状態を推定するものであり、予測は、現在の内部状態を状態遷移方程式((2)式)に代入することで、1単位時間未来の内部状態を予測するものである。
【0008】
また、反復収集演算による最小自乗推定は、内部状態の時系列から観測方程式により導出される観測量の時系列と、実際に観測される観測信号の時系列との、ある時間範囲内における誤差和が最小となるように内部状態を求める手法であり、反復演算によって誤差和が小さくなるように内部状態を収束させるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の技術において、カルマンフィルタによる濾波では、ある時点におけるあらゆる種類の観測信号を1つの観測ベクトルにまとめて、一度に更新を行うため、多くの種類の観測信号に基づいて濾波を行う場合、その濾波を行うための演算に用いるベクトルの数や、行列の行数及び列数が大きくなり、処理を行うハードウェア資源を多く消費し、演算時間が長くなってしまうという問題があった。
【0010】
さらに、カルマンフィルタによる濾波では、観測ベクトルを構成する観測値の一部分を変更する場合であっても、内部状態の更新に使用する漸化式が変化してしまうため、一度フィルタを作成すると他の目的に再利用することが困難であった。また、観測値の種類や数を時刻によって変化させる場合には、内部状態の更新に用いる漸化式に含まれる観測方程式も変化させなければならず、ハードウェアやソフトウェアによる実装が困難であるという問題があった。
【0011】
また、カルマンフィルタによる予測では、状態遷移方程式に基づいて、現在の内部状態を1単位時間後の内部状態に遷移させるため、その1単位時間における遷移が、複数連続して発生する場合、その連続する個々の部分的な遷移を1つにまとめなければならなかった。このため、カルマンフィルタによる予測は、部分的な遷移が時間的に変化する場合、その部分的な遷移を1つにまとめる処理を行わなければならず、その処理を行うためのオーバヘッドが大きくなるという問題があった。
【0012】
また、反復収束演算による最小自乗推定では、前記したカルマンフィルタの問題点に加えて、時間方向においてもまとめて処理を行う必要があるため、さらに、処理を行うハードウェア資源を多く消費し、演算時間が長くなってしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、ある時点における1つ以上の観測信号を個々に分離して、段階的に内部状態を更新することが可能な状態推定装置、その方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。また、ある時点における1つ以上の観測信号を個々に分離して、段階的に現在の内部状態を推定する現在状態推定装置を提供することを目的とする。さらに、観測信号によらず、内部状態の更新を段階的に行い未来の内部状態を推定する未来状態推定装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載の状態推定装置は、観測により時系列に入力される観測信号に基づいて、その観測を行ったシステムの内部状態を推定する状態推定装置であって、前記観測信号と先に推定した前記内部状態と予め設定された推定規則とに基づいて、現在の内部状態を推定する濾波推定手段を、前記観測信号の種類に対応して多段接続し、前記内部状態と予め設定されたその内部状態を遷移させる状態遷移規則とに基づいて、未来の内部状態を推定する予測推定手段を、前記内部状態の種類に対応して多段接続して構成することとした。
【0015】
かかる構成によれば、状態推定装置は、濾波推定手段によって、時系列に入力される観測信号と先に推定した内部状態と予め設定された推定規則とに基づいて、現在の内部状態を推定し、予測推定手段によって、内部状態と予め設定された状態遷移規則とに基づいて、未来の内部状態を推定する。そして、この濾波推定手段又は予測推定手段の少なくとも一方を複数備え、多段に接続することで、入力された観測信号に基づいて、順次現在及び未来の内部状態を予測する。つまり、状態推定装置は、濾波推定手段又は予測推定手段を自由な組合せ及び順序で接続することが可能となり、観測信号や予測の目的を変える場合であっても推定処理を柔軟に変化させることが可能になる。
【0016】
ここでシステムの内部状態とは、時刻に伴って変化する状態量であって、現時刻において現在の状態量を推定することを濾波といい、現時刻において未来の状態量を推定することを予測という。例えば、この状態推定装置は、車の速度に基づいてその車の位置を推定する場合、その車の位置を内部状態として、観測される速度に基づいて、現在又は未来の位置(内部状態)を推定する。
【0017】
また、この濾波推定手段は、カルマンフィルタにおける濾波と同様に、内部状態と観測信号との関係を表す観測方程式により現在の内部状態を推定するものとすることができる。また、予測推定手段は、カルマンフィルタにおける予測と同様に、内部状態が時系列でどのように遷移するかを表す状態遷移方程式に基づいて、1単位時間未来の内部状態を予測するものとすることができる。すなわち、状態遷移規則は、このカルマンフィルタの状態遷移方程式で使用される状態遷移行列に対応するものである。
【0018】
また、請求項2に記載の状態推定装置は、請求項1に記載の状態推定装置において、観測信号が、観測により得られる観測量と観測時に混入する観測雑音の共分散である観測雑音共分散とからなり、前記内部状態が、内部に保持している状態量とその状態量の共分散である状態共分散とからなっていることを特徴とする。
【0019】
かかる構成によれば、状態推定装置は、濾波推定手段によって、現在の内部状態を推定する際に、観測量と観測時に混入する観測雑音の共分散である観測雑音共分散とに基づいて推定を行うことで推定の幅を狭めることができるため、推定の精度を高めることができる。また、状態推定装置は、予測推定手段によって、状態量とその状態量の共分散である状態共分散とに基づいて推定を行うことで推定の幅を狭めることができるため、さらに推定の精度を高めることができる。
【0020】
また、請求項3に記載の状態推定装置は、請求項2に記載の状態推定装置において、濾波推定手段が、予め設定された推定規則に基づいて、前記状態量から前記観測量の推定量である観測推定量を推定する観測量推定手段と、この観測量推定手段で推定した前記観測推定量と前記観測量との差分により、観測推定誤差を算出する観測推定誤差算出手段と、前記観測雑音共分散と前記状態共分散とに基づいて、濾波推定の感度を算出する感度算出手段と、この感度算出手段で算出した前記感度と、前記観測推定誤差算出手段で算出した前記観測推定誤差とに基づいて、前記状態量及び前記状態共分散を更新する現在状態更新手段と、を備えていることを特徴とする。
【0021】
かかる構成によれば、状態推定装置の濾波推定手段は、観測量推定手段によって、予め設定された推定規則に基づいて、状態量から観測量の推定量である観測推定量を推定する。なお、この推定規則は、状態量と観測量との関係を定義したもので、例えば、観測量が車の速度で、状態量が車の位置である場合、その車の速度と位置を関係付けたものである。この推定規則は数式によって定義することが可能で、例えば、カルマンフィルタにおいて関数(観測関数)あるいは行列(観測行列)で表されるものである。
【0022】
そして、濾波推定手段は、観測推定誤差算出手段によって、観測量推定手段で推定した観測推定量と観測量との差分により、観測推定誤差を算出して、感度算出手段によって、観測雑音共分散と状態共分散とに基づいて、濾波推定の感度を算出する。ここで感度とは、濾波推定手段における利得(ゲイン)を表すもので、カルマンフィルタにおけるゲイン(カルマンゲイン)に相当するものである。
【0023】
そして、現在状態更新手段によって、感度算出手段で算出した感度と、観測推定誤差算出手段で算出した観測推定誤差とに基づいて、状態量及び状態共分散を更新する。
【0024】
また、請求項4に記載の状態推定装置は、請求項2又は請求項3に記載の状態推定装置において、予測推定手段が、予め設定された内部状態を遷移させる状態遷移規則に基づいて、前記状態量を未来の状態量に更新する未来状態量更新手段と、前記状態遷移規則とシステム内部で発生するシステム雑音の共分散であるシステム雑音共分散とに基づいて、前記状態共分散を未来の状態共分散に更新する未来状態共分散更新手段と、を備えていることを特徴とする。
【0025】
かかる構成によれば、状態推定装置の予測推定手段は、未来状態量更新手段によって、予め設定された状態遷移規則に基づいて、状態量を未来の状態量に更新する。なお、この状態推定規則は、1単位時間毎に変化する内部状態の遷移を定義したもので、例えば、カルマンフィルタにおける状態遷移方程式で使用される状態遷移行列に対応するものである。
【0026】
そして、未来状態共分散更新手段によって、状態遷移規則とシステム内部で発生するシステム雑音の共分散であるシステム雑音共分散とに基づいて、状態共分散を未来の状態共分散に更新する。ここで、システム雑音とは、所謂、白色雑音(white noise)を指している。
【0027】
さらに、請求項5に記載の状態推定方法は、観測により時系列に入力される観測信号に基づいて、その観測を行ったシステムの内部状態を推定する状態推定方法であって、前記観測信号と先に推定した前記内部状態と予め設定された推定規則とに基づいて、前記観測信号の種類に対応して多段接続した濾波推定手段により、現在の内部状態を推定する濾波推定ステップと、前記内部状態と予め設定されたその内部状態を遷移させる状態遷移規則とに基づいて、前記内部状態の種類に対応して多段接続した予測推定手段により、未来の内部状態を推定する予測推定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0028】
この方法によれば、状態推定方法は、濾波推定ステップで、時系列に入力される観測信号と先に推定した内部状態と予め設定された推定規則とに基づいて、現在の内部状態を推定し、予測推定ステップで、内部状態と予め設定された状態遷移規則とに基づいて、未来の内部状態を推定する。そして、この濾波推定ステップ又は予測推定ステップの少なくとも一方を内部状態の種類に応じて複数動作させることで、入力された観測信号に基づいて、順次現在及び未来の内部状態を予測する。
なお、この濾波推定ステップ及び予測推定ステップは、動作順序を問わず、各ステップの出力を他のステップの入力となるように順次動作させるだけでよい。
【0029】
また、請求項6に記載の状態推定プログラムは、観測により時系列に入力される観測信号に基づいて、その観測を行ったシステムの内部状態を推定するために、コンピュータを、以下の手段によって機能させる構成とした。
すなわち、前記観測信号と先に推定した前記内部状態と予め設定された推定規則とに基づいて、前記観測信号の種類ごとに現在の内部状態を推定する多段接続された濾波推定手段、前記内部状態と予め設定されたその内部状態を遷移させる状態遷移規則とに基づいて、前記内部状態の種類ごとに未来の内部状態を推定する多段接続された予測推定手段、として機能させることを特徴とする。
【0030】
かかる構成によれば、状態推定プログラムは、濾波推定手段によって、時系列に入力される観測信号と先に推定した内部状態と予め設定された推定規則とに基づいて、現在の内部状態を推定し、予測推定手段によって、内部状態と予め設定された状態遷移規則とに基づいて、未来の内部状態を推定する。そして、この濾波推定手段又は予測推定手段の少なくとも一方を内部状態の種類に応じて複数備え、多段に接続し、動作させることで、入力された観測信号に基づいて、順次現在及び未来の内部状態を予測する。
【0031】
さらに、請求項7に記載の現在状態推定装置は、観測により時系列に入力される観測信号に基づいて、その観測を行ったシステムの現在の内部状態を推定する現在状態推定装置であって、前記観測信号と先に推定した前記内部状態と予め設定された推定規則とに基づいて、前記現在の内部状態を推定する濾波推定手段を、前記観測信号の種類に対応して多段接続して構成することを特徴とする。
【0032】
かかる構成によれば、現在状態推定装置は、複数の濾波推定手段によって、観測により時系列に入力される観測信号と先に推定した前記観測を行ったシステムの内部状態と予め設定された推定規則とに基づいて、現在の内部状態を推定する。この濾波推定手段は、カルマンフィルタにおける濾波と同様に、内部状態と観測信号との関係を表す観測方程式により現在の内部状態を推定するものとすることができる。
【0033】
また、請求項8に記載の未来状態推定装置は、内部状態が時系列に推移するシステムの未来の内部状態を推定する未来状態推定装置であって、先に推定した内部状態と予め設定されたその内部状態を遷移させる状態遷移規則とに基づいて、前記未来の内部状態を推定する予測推定手段を、前記内部状態の種類に対応して多段接続して構成することを特徴とする。
【0034】
かかる構成によれば、未来状態推定装置は、複数の予測推定手段によって、システムの内部状態と予め設定された前記内部状態の状態遷移規則とに基づいて、未来の内部状態を推定する。この予測推定手段は、カルマンフィルタにおける予測と同様に、内部状態が時系列でどのように遷移するかを表す状態遷移方程式に基づいて、1単位時間未来の内部状態を予測するものとすることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(状態推定装置の構成)
図1は、本発明における状態推定装置1の構成を示したブロック図である。図1に示すように状態推定装置1は、観測によって時系列に入力される観測信号に基づいて、その観測を行ったシステムの現在の内部状態、並びに、未来の内部状態を推定するものである。例えば、航空機等の軌道追跡を行うシステムに状態推定装置1を利用した場合、内部状態として航空機等の位置、速度、姿勢等の諸量をとることができる。また、観測信号としては、レーダによるエコーの遅延時間、ドップラーシフト、方位角、画像観測による機影の画像座標等が挙げられる。この状態推定装置1は、複数の濾波推定手段10(101,102,…,10m)と、複数の予測推定手段20(201,202,…,20n)と、遅延手段30と、を備える構成とした。
【0036】
濾波推定手段10は、観測により時系列に入力される観測信号と、先に推定された内部状態とに基づいて、現在の内部状態を推定(濾波推定値)して出力するものである。この濾波推定手段10は、カルマンフィルタにおける濾波と同様に、内部状態と観測信号との関係を表す観測方程式により現在の内部状態を推定する。なお、濾波推定手段10は、観測信号の種類に対応して複数の濾波推定手段101,102,…,10mを多段接続した。また、この濾波推定手段10は、様々な観測信号に応じて、追加及び削除を行えるものとした。
【0037】
予測推定手段20は、入力される内部状態と予め設定された状態遷移規則とに基づいて、未来の内部状態を推定(予測推定値)して出力するものである。この予測推定手段20は、カルマンフィルタにおける予測と同様に、内部状態が時系列でどのように遷移するかを表す状態遷移方程式に基づいて、1単位時間未来の内部状態を予測するものである。なお、予測推定手段20は、内部状態の種類に対応して複数の予測推定手段201,202,…,20nを多段接続した。また、この予測推定手段20は、予測の目的に応じて、追加及び削除を行えるものとした。
【0038】
遅延手段30は、入力される内部状態を1単位時間遅延させて出力するものである。ここでは、遅延手段30は、予測推定手段20nからの入力を1単位時間遅延させて、濾波推定手段101へ出力する。この遅延手段30によって、内部状態を折り返すことで、濾波推定手段10及び予測推定手段20は、内部状態をその単位時間毎に順次更新した現在及び未来の内部状態として予測することが可能になる。
【0039】
ここで、図2及び図3(適宜図1)を参照して、濾波推定手段10及び予測推定手段20について、さらに詳細に説明を行う。図2は、濾波推定手段10の内部構成を示したブロック図である。図3は、予測推定手段20の内部構成を示したブロック図である。
【0040】
図2に示すように、濾波推定手段10は、観測量推定手段11と、観測推定誤差算出手段12と、感度算出手段13と、現在状態更新手段14とを備えている。なお、この濾波推定手段10で入出力される内部状態は、内部状態の状態量xとシステム雑音の共分散である状態共分散Pとを含んでいるものとする。また、入力される観測信号は、実際に観測される観測量yと観測時に混入する観測雑音の共分散である観測雑音共分散Rとを含んでいるものとする。
【0041】
観測量推定手段11は、状態量xと観測量yとの関係に基づいて、入力された状態量xから観測量を推定し、観測推定量y´として出力するものである。ここで推定された観測推定量y´は、観測推定誤差算出手段12へ出力される。この観測量推定手段11は、状態量xと観測量yとの関係が線形である場合、観測推定量y´を下記の(3)式により推定する。ここで行例Hは、状態量xと観測量yとの関係を表す観測行列で、濾波推定手段10毎に確定している行列である。
【0042】
【数3】
Figure 0004072017
【0043】
なお、状態量xと観測量yとの関係が非線形である場合、観測量推定手段11は、観測推定量y´を下記の(4)式により推定する。ここでベクトル関数hは、状態量xと観測量yとの関係を表す観測関数で、濾波推定手段10毎に確定している関数である。
【0044】
【数4】
Figure 0004072017
【0045】
観測推定誤差算出手段12は、実際に観測された観測量yと、観測量推定手段11で推定した観測推定量y´との差分をとり、観測推定誤差Δyを算出するものである。ここで算出された観測推定誤差Δyは現在状態更新手段14へ出力される。この観測推定誤差算出手段12は、入力された観測量yと観測推定量y´とに基づいて、観測推定誤差Δyを下記(5)式により算出する。
【0046】
【数5】
Figure 0004072017
【0047】
感度算出手段13は、入力された観測雑音共分散Rと、状態共分散Pとに基づいて、濾波推定手段10の感度(フィルタ感度:カルマンゲイン)を算出するものである。ここで算出された感度は現在状態更新手段14へ出力される。この感度算出手段13は、観測雑音共分散Rと状態共分散Pとに基づいて、フィルタ感度Kを下記(6)式により算出する。ここで行例Hは、状態量xと観測量yとの関係を表す観測行列である。また、Tは転置を表している
【0048】
【数6】
Figure 0004072017
【0049】
なお、状態量xと観測量yとの関係が非線形の場合は、観測関数hと状態量xとに基づいて、観測行列Hを下記(7)式によって算出し、算出された観測行列Hを使用し(6)式によりフィルタ感度Kを算出する。
【0050】
【数7】
Figure 0004072017
【0051】
現在状態更新手段14は、現在状態量更新部14aと現在状態共分散更新部14bとを備え、内部状態として入力される状態量x及び状態共分散Pを、観測推定誤差算出手段12から入力される観測推定誤差Δyと感度算出手段13から入力されるフィルタ感度Kとに基づいて、現在の内部状態に更新するものである。現在状態量更新部14aは、下記(8)式により、観測推定誤差Δyとフィルタ感度Kとに基づいて、状態量xを現在の状態量x´に更新する。
【0052】
【数8】
Figure 0004072017
【0053】
現在状態共分散更新部14bは、下記(9)式により、フィルタ感度Kと観測行列Hとに基づいて、状態共分散Pを現在の状態共分散P´に更新する。
【0054】
【数9】
Figure 0004072017
【0055】
このように、濾波推定手段10は、状態量xから観測量を推定(観測推定量y´)し、観測雑音共分散R及び状態共分散Pから算出されるフィルタ感度Kに基づいて、実際に観測された観測量yとの差分(観測推定誤差Δy)が小さくなるように、現在の状態量x´及び状態共分散P´を推定する。
【0056】
また、図3に示すように、予測推定手段20は、未来状態量更新手段21と、未来状態共分散更新手段22とを備えている。なお、この予測推定手段20で入出力される内部状態は、内部状態の状態量xとシステム雑音の共分散である状態共分散Pとを含んでいるものとする。この予測推定手段20は、内部状態として入力される状態量x及び状態共分散Pから、未来のある時点における状態量x´及び状態共分散P´を予測するものである。
【0057】
未来状態量更新手段21は、入力された状態量xから未来のある時点における状態量x´を予測するものである。この未来状態量更新手段21は、下記(10)式により、予め設定された状態遷移規則(状態遷移行列F)に基づいて、入力された状態量xから未来のある時点における状態量x´を算出する。
【0058】
【数10】
Figure 0004072017
【0059】
未来状態共分散更新手段22は、入力された状態共分散Pから未来のある時点における状態共分散P´を予測するものである。この未来状態共分散更新手段22は、下記(11)式により、予め設定された状態遷移規則(状態遷移行列F)及びシステム雑音の共分散(システム雑音共分散Q)に基づいて、入力された状態共分散Pから未来のある時点における状態共分散P´を算出する。
【0060】
【数11】
Figure 0004072017
【0061】
このように、予測推定手段20は、入力された状態量x及び状態量共分散Pを、状態遷移行列F及びシステム雑音の共分散(システム雑音共分散Q)によって変換を行うことで、未来のある時点における状態量x´及び状態共分散P´を予測する。
【0062】
以上、一実施形態に基づいて、状態推定装置1の構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、濾波推定手段10と予測推定手段20とを互いに混在させて接続することも可能である。また、濾波推定手段10と予測推定手段20との間には優先順序を設ける必要ない。
【0063】
さらに、個々の濾波推定手段101,102,…,10mは、互いに同質の観測信号を扱うものであっても、異質の観測信号を扱うものであっても構わない。例えば、濾波推定手段101における観測信号が、カメラから入力される物体の座標位置である場合、別のカメラから入力される物体の座標位置を濾波推定手段102の観測信号としてもよい。また、物体の座標位置とは異質の観測信号である物体までの距離を濾波推定手段103(図示せず)の観測信号としてもよい。
【0064】
また、個々の予測推定手段201,202,…,20nは、互いに同質の状態遷移を行うものであっても、異質の状態遷移を行うものであっても構わない。例えば、物体が水平面上では等速運動を行い、鉛直方向では等加速度運動を行っている場合、このような同質の運動モデルをを予測推定手段201及び202にそれぞれ割り当てて予測を行い、物体の温度変化状態を行う状態遷移を予測推定手段203(図示せず)で予測することとしてもよい。
【0065】
さらに、状態推定装置1は、状態推定装置1から予測推定手段20を削除した構成として、複数の濾波推定手段10(101,102,…,10m)によって、現在の内部状態のみを推定するもの(現在状態推定装置)としてもよい。
【0066】
また、状態推定装置1は、状態推定装置1から濾波推定手段10を削除した構成として、複数の予測推定手段20(201,202,…,20n)によって、未来の内部状態のみを推定するもの(未来状態推定装置)としてもよい。この未来状態推定装置の構成においては、予め初期値の内部状態を設定することで、時々刻々と未来の内部状態を推定することになる。
【0067】
なお、状態推定装置1は、コンピュータにおいて各手段を機能プログラムとして実現することも可能であり、各機能プログラムを結合して状態推定プログラムとして動作させることも可能である。
【0068】
このとき、複数の濾波推定手段10及び予測推定手段20を個々にモジュール化し、様々な観測信号や予測の目的に対して、自由な組合せや順序により機能させることができる。また、状態推定の動作中に観測信号や予測の目的を変える場合であっても、各モジュールの組み込みや切り離しを自由に行うことができる。
【0069】
(システム構成例1:状態推定装置を用いた物体位置推定システム)
次に、図4を参照して、状態推定装置を用いた物体位置推定システム3の構成例について説明する。図4は、カメラと距離計とに基づいて、物体の重心座標及び物体との距離を観測し、その観測信号に基づいて、物体の3次元位置、速度及び加速度を推定する物体位置推定システム3の構成を示したものである。この物体位置推定システム3は、距離計Mと、2台のカメラA及びカメラBとを備えたセンサ系S1と、状態推定装置1Bとを備える構成とした。なお、観測を行う物体T1は、水平面内では等速度運動を行い、鉛直方向では等加速度運動を行うものとする。
【0070】
距離計Mは、物体T1との距離を測定するものである。例えば、超音波等を発信し物体T1に反射して返ってくる信号の遅延時間によって距離計Mと物体T1との距離を測定する。ここでは、物体T1が3次元座標上に存在しているとしたときの原点座標(0,0,0)を、距離を測定するための原点とし、距離計Mはその原点に配置されているものとする。
【0071】
カメラA及びカメラBは、物体T1を撮影し、その撮影した撮影画像内における物体T1の重心座標を測定するものである。例えば、動いている物体T1の動きベクトルを検出することで、物体T1の領域を認識し、その領域内で重心座標を測定する。ここで、カメラAは、第一光学主点位置が座標(d1,0,0)になるように配置され、レンズの焦点距離はf1、光軸はz軸正方向に向いているものとする。また、カメラBは、第一光学主点位置が座標(−d2,0,0)になるように配置され、レンズの焦点距離はf2、光軸はz軸正方向に向いているものとする。
【0072】
状態推定装置1Bは、濾波推定手段10(101,102,103)と、予測推定手段20(201,202)と、遅延手段30と、を備える構成とした。なお、この状態推定装置1Bは、図1で説明した状態推定装置1において、濾波推定手段10及び予測推定手段20の数を限定したもので、構成そのものを変更したものではない。
【0073】
濾波推定手段101は、カメラAで測定される物体T1の重心座標を観測信号として、現在の内部状態を推定して出力するものである。また、濾波推定手段102は、カメラBで測定される物体T1の重心座標を観測信号として、現在の内部状態を推定して出力するものである。さらに、濾波推定手段103は、距離計Mで測定される物体T1との距離を観測信号として、現在の内部状態(濾波推定値)を推定して出力するものである。状態推定装置1Bは、この濾波推定手段101、濾波推定手段102、及び濾波推定手段103によって、物体T1の現在の3次元位置座標、速度及び加速度の値を推定する。
【0074】
予測推定手段201は、物体T1が水平面内において等速度運動を行うことを前提として、未来の内部状態を推定して出力するものである。また、予測推定手段202は、物体T1が鉛直方向において等加速度運動を行うことを前提として、未来の内部状態(予測推定値)を推定して出力するものである。状態推定装置1Bは、この予測推定手段201及び予測推定手段202によって、物体T1の1単位時間後の未来の3次元位置座標、速度及び加速度の値を推定する。
【0075】
遅延手段30は、入力される内部状態を1単位時間遅延させて出力するものである。ここでは、遅延手段30は、予測推定手段202からの入力を1単位時間遅延させて、濾波推定手段101へ出力する。
なお、濾波推定手段10及び予測推定手段20の内部構成は、図2及び図3で説明したものと同一であるので説明は省略する。
【0076】
(物体位置推定システムにおける状態推定装置の動作)
次に、図4乃至図6を参照して、物体位置推定システム3における状態推定装置1Bの動作を説明する。図5及び図6は、状態推定装置1Bの動作を示すフローチャートである。なお、状態推定装置1Bの内部構成については、適宜図2及び図3を参照するものとする。
【0077】
この状態推定装置1Bにおいては、推定すべき物体T1の3次元の位置座標(px,py,pz)、速度(vx,vy,vz)及び加速度(αx,αy,αz)を、下記(12)式に示すように1つのベクトルにまとめて状態量xとする。また、状態量xの誤差の推定量として状態共分散Pを用いることとする。
【0078】
【数12】
Figure 0004072017
【0079】
[濾波推定ステップ1(カメラAによる濾波)]
まず、状態推定装置1Bは、濾波推定手段101において以下の各ステップで、カメラAの観測信号から現在の状態を推定する。
この濾波推定手段101では、濾波推定手段101内の観測量推定手段11が、遅延手段30から入力される1単位時間前の状態量xから、前記した(4)式に基づいて、物体T1のカメラAで撮影した撮像画像における重心座標のあるべき位置(観測推定量y´)を推定する(ステップS10)。
【0080】
なお、カメラAは、第一光学主点位置が座標(d1,0,0)、レンズの焦点距離がf1、光軸がz軸正方向であるため、カメラAによって撮影された物体T1の重心座標y=(ax,ay)は、下記(13)式を満たす。そこで、前記(4)式の観測関数h(x)には、この(13)式のh(x)を用いる。
【0081】
【数13】
Figure 0004072017
【0082】
そして、観測推定誤差算出手段12が、実際にカメラAで観測された物体T1の重心座標yと、ステップS10で推定した観測推定量y´との差分(観測推定誤差)Δyを算出する(ステップS11)。
【0083】
また、感度算出手段13が、カメラAで撮影した撮像画像の観測雑音の共分散(観測雑音共分散R)と、遅延手段30から入力される1単位時間前の状態共分散Pとに基づいて、フィルタ感度Kを前記した(6)式により算出する(ステップS12)。
【0084】
なお、前記(6)式における観測雑音共分散Rは、例えば、カメラAが画像座標において、水平方向r1x、垂直方向r1yの精度で物体T1の重心座標を観測できる場合は、下記(14)式で表される共分散(観測雑音共分散R)を用いる。
【0085】
【数14】
Figure 0004072017
【0086】
また、前記(6)式における観測行列Hは、観測関数h(x)を偏微分した下記(15)式で算出される行列を使用する。
【0087】
【数15】
Figure 0004072017
【0088】
そして、現在状態更新手段14の現在状態量更新部14aが、観測推定誤差Δyとフィルタ感度Kとに基づいて、前記(8)式により状態量xを現在の状態量x´に更新し(ステップS13)、現在状態共分散更新部14bが、フィルタ感度Kと前記(15)式の観測行列Hとに基づいて、前記(9)式により状態共分散Pを現在の状態共分散P´に更新する(ステップS14)。ここで更新された状態量x´及び状態共分散P´は濾波推定手段102に出力される。なお、この状態量x´及び状態共分散P´は、状態量x及び状態共分散Pとして、濾波推定手段102に入力される。
【0089】
[濾波推定ステップ2(カメラBによる濾波)]
次に、状態推定装置1Bは、濾波推定手段102において以下の各ステップで、カメラBの観測信号から現在の状態を推定する。
この濾波推定手段102では、濾波推定手段102内の観測量推定手段11が、濾波推定手段101から入力される状態量xから、前記(4)式に基づいて、物体T1のカメラBで撮影した撮像画像における重心座標のあるべき位置(観測推定量y´)を推定する(ステップS20)。
【0090】
なお、カメラBは、第一光学主点位置が座標(−d2,0,0)、レンズの焦点距離がf2、光軸がz軸正方向であるため、カメラBによって撮影された物体T1の重心座標y=(bx,by)は、下記(16)式を満たす。そこで、(4)式の観測関数h(x)には、この(16)式のh(x)を用いる。
【0091】
【数16】
Figure 0004072017
【0092】
そして、観測推定誤差算出手段12が、実際にカメラBで観測された物体T1の重心座標yと、ステップS20で推定した観測推定量y´との差分(観測推定誤差)Δyを算出する(ステップS21)。
【0093】
また、感度算出手段13が、カメラBで撮影した撮像画像の観測雑音の共分散(観測雑音共分散R)と、濾波推定手段101から入力される状態共分散Pとに基づいて、フィルタ感度Kを(6)式により算出する(ステップS22)。
【0094】
なお、前記(6)式における観測雑音共分散Rは、例えば、カメラBが画像座標において、水平方向r1x、垂直方向r1yの精度で物体T1の重心座標を観測できる場合は、前記(14)式で表される共分散(観測雑音共分散R)を用いる。また、前記(6)式における観測行列Hは、観測関数h(x)を偏微分した下記(17)式で算出される行列を使用する。
【0095】
【数17】
Figure 0004072017
【0096】
そして、現在状態更新手段14の現在状態量更新部14aが、観測推定誤差Δyとフィルタ感度Kとに基づいて、前記(8)式により状態量xを現在の状態量x´に更新し(ステップS23)、現在状態共分散更新部14bが、フィルタ感度Kと前記(17)式の観測行列Hとに基づいて、前記(9)式により状態共分散Pを現在の状態共分散P´に更新する(ステップS24)。ここで更新された状態量x´及び状態共分散P´は濾波推定手段103へ出力される。なお、この状態量x´及び状態共分散P´は、状態量x及び状態共分散Pとして、濾波推定手段103に入力される。
【0097】
[濾波推定ステップ3(距離計Mによる濾波)]
次に、状態推定装置1Bは、濾波推定手段103において以下の各ステップで、距離計Mの観測信号から現在の状態を推定する。
この濾波推定手段103では、濾波推定手段103内の観測量推定手段11が、濾波推定手段102から入力される状態量xから、前記した(4)式に基づいて距離計Mから物体T1への距離(観測推定量y´)を推定する(ステップS30)。
【0098】
なお、距離計Mは、原点座標(0,0,0)に設置されているため、距離計Mから物体T1(位置座標(px,py,pz))までの距離dは、下記(18)式を満たす。そこで、前記(4)式の観測関数h(x)には、この(18)式のh(x)を用いる。
【0099】
【数18】
Figure 0004072017
【0100】
そして、観測推定誤差算出手段12が、実際に距離計Mで観測された物体T1の距離y(=d)と、ステップS30で推定した観測推定量y´との差分(観測推定誤差)Δyを算出する(ステップS31)。
また、感度算出手段13が、距離計Mで測定した距離の観測雑音の共分散(観測雑音共分散R)と、濾波推定手段102から入力される状態共分散Pとに基づいて、フィルタ感度Kを前記(6)式により算出する(ステップS32)。
【0101】
なお、前記(6)式における観測雑音共分散Rは、例えば、距離計Mが距離r3の精度で物体T1の距離を観測できる場合は、下記(19)式で表される共分散(観測雑音共分散R)を用いる。
【0102】
【数19】
Figure 0004072017
【0103】
また、前記(6)式における観測行列Hは、観測関数h(x)を偏微分した下記(20)式で算出される行列を使用する。
【0104】
【数20】
Figure 0004072017
【0105】
そして、現在状態更新手段14の現在状態量更新部14aが、観測推定誤差Δyとフィルタ感度Kとに基づいて、前記(8)式により状態量xを現在の状態量x´に更新し(ステップS33)、現在状態共分散更新部14bが、フィルタ感度Kと前記(20)式の観測行列Hとに基づいて、前記(9)式により状態共分散Pを現在の状態共分散P´に更新する(ステップS34)。ここで更新された状態量x´及び状態共分散P´は、予測推定手段201に出力される。なお、この状態量x´及び状態共分散P´は、状態量x及び状態共分散Pとして、予測推定手段201に入力される。
また、この段階で生成された状態量x及び状態共分散Pを現在の内部状態として出力する(ステップS40)。
【0106】
[予測推定ステップ1(水平面内運動の予測)]
次に、状態推定装置1Bは、予測推定手段201において以下の各ステップで、水平面内の等速度運動による物体T1の未来における状態を推定する。
この予測推定手段201では、未来状態量更新手段21が、濾波推定手段103から入力される状態量xから、前記(10)式に基づいて、未来の状態量x´である物体T1の1単位時間後の水平面内運動による位置座標(px,py,pz)、速度(vx,vy,vz)及び加速度(αx,αy,αz)を推定する(ステップS50)。
【0107】
なお、物体T1は水平面内において等速度運動を行うことを仮定しているので、前記(10)式における状態遷移行列Fは、1単位時間をΔtとしたとき、下記(21)式で与えられる行列を用いる。
【0108】
【数21】
Figure 0004072017
【0109】
この(21)式の状態遷移行列Fを用いることで、物体T1の水平面内の加速度αx及びαzは0、水平面内の速度vx及びvzは一定と予測される。また、水平面内のx座標位置pxは、水平面内の速度vxとΔtとの積を加算することで新しい位置が予測され、水平面内のz座標位置pzは、水平面内の速度vzとΔtとの積を加算することで新しい位置が予測される。なお、鉛直方向の成分であるpy、vy及びαyには影響を与えない。
【0110】
そして、未来状態共分散更新手段22が、濾波推定手段103から入力される状態共分散Pから、前記(11)式に基づいて1単位時間後の状態共分散P´を算出する(ステップS51)。
【0111】
なお、前記(11)式における状態遷移行列Fには、前記(21)式で与えられた行列を用いる。また、前記(11)式におけるシステム雑音共分散Qは、等速度運動のモデル化誤差や、システムの外部から加えられるノイズ、環境温度、外部振動等による外乱を考慮して設定する行列である。例えば、水平面内の速度vx及びvzに対して独立に誤差が生じる場合、システム雑音共分散Qは、下記(22)式で与えられる行列を用いることができる。なお、qx、qzは非負の値である。
【0112】
【数22】
Figure 0004072017
【0113】
そして、ステップS50で更新され推定された状態量x´及びステップS51で更新された状態共分散P´は、予測推定手段202へ出力される。なお、この状態量x´及び状態共分散P´は、状態量x及び状態共分散Pとして、予測推定手段202に入力される。
【0114】
[予測推定ステップ2(鉛直方向運動の予測)]
次に、状態推定装置1Bは、予測推定手段202において以下の各ステップで、鉛直方向の等加速度運動による物体T1の未来における状態を推定する。
この予測推定手段202では、未来状態量更新手段21が、予測推定手段201から入力される状態量xから、前記(10)式に基づいて、未来の状態量x´である物体T1の1単位時間後の鉛直方向運動による位置座標(px,py,pz)、速度(vx,vy,vz)及び加速度(αx,αy,αz)を推定する(ステップS60)。
【0115】
なお、物体T1は鉛直方向において等加速度運動を行うことを仮定しているので、前記(10)式における状態遷移行列Fは、1単位時間をΔtとしたとき、下記(23)式で与えられる行列を用いる。
【0116】
【数23】
Figure 0004072017
【0117】
この(23)式の状態遷移行列Fを用いることで、物体T1のy座標位置py及び鉛直方向の速度vyのみが更新され、新しい鉛直方向の位置及び速度が予測される。なお、それ以外の成分は更新されない。
そして、未来状態共分散更新手段22が、予測推定手段201から入力される状態共分散Pから、前記(11)式に基づいて1単位時間後の状態共分散P´を算出する(ステップS61)。
【0118】
なお、前記(11)式における状態遷移行列Fには、前記(23)式で与えられた行列を用いる。また、前記(11)式におけるシステム雑音共分散Qは、例えば、鉛直方向の速度vyに誤差が生じる場合、下記(24)式で与えられる行列を用いる。
【0119】
【数24】
Figure 0004072017
【0120】
ここで更新された状態量x´及び状態共分散P´は、遅延手段30を介して濾波推定手段101へ出力される。なお、この状態量x´及び状態共分散P´は、状態量x及び状態共分散Pとして、濾波推定手段101に入力される。
また、この段階で生成された状態量x及び状態共分散Pを未来の内部状態として出力する(ステップS70)。
【0121】
このように動作することで、状態推定装置1Bは、観測により時系列に入力される観測信号に基づいて、その観測を行ったシステムの内部状態を逐次更新することが可能になる。
【0122】
以上、状態推定装置1Bを用いた物体位置推定システム3の構成及び動作について説明したように、この状態推定装置1Bは、濾波推定手段10を多段接続することで、種々の状態を含んだ現在の内部状態を逐次更新することを可能にした。このように、濾波推定手段10を多段接続することで、例えば、カメラAが故障した場合、濾波推定手段101を除去し、濾波推定手段102の入力を遅延手段30の出力と短絡させることで、濾波推定手段10を2段構成とする変更も容易に行うことができる。さらに、第3のカメラC(図示せず)を用いた新たな濾波推定手段104(図示せず)を追加することも容易である。
【0123】
また、状態推定装置1Bは、予測推定手段20を多段接続することで、種々の状態を含んだ未来の内部状態を逐次更新することを可能にした。このように、予測推定手段20を多段接続することで、例えば、物体T1の鉛直方向の動きを等速度運動と仮定したい場合には、予測推定手段202を除去し、代わりに、下記(25)式及び(26)式(qyは非負の値)に示す状態遷移行列F及びシステム雑音共分散Qを用いた予測推定手段203(図示せず)を挿入することで、容易に実現することができる。
【0124】
【数25】
Figure 0004072017
【0125】
【数26】
Figure 0004072017
【0126】
なお、物体位置推定システム3においては、2台のカメラA、カメラB及び距離計Mを直線上に配置したが、この配置及び機器の台数はこれに限ったものではない。例えば、距離計Mを3次元座標上で座標(sx,sy,sz)に配置した場合には、濾波推定手段103において、観測関数h(x)には前記(18)式の代わりに下記(27)式を用い、観測行列Hには前記(20)式の代わりに下記(28)式を用いることとすればよい。
【0127】
【数27】
Figure 0004072017
【0128】
【数28】
Figure 0004072017
【0129】
また、状態推定装置1Bから、予測推定手段20(201,202)を取り除き、濾波推定手段103の出力と遅延手段30の入力とを短絡させた構成とし、状態量xを前記(12)式の代わりに、推定すべき物体T1の3次元の位置座標(px,py,pz)のみを示す下記(29)式とし、濾波推定手段10(101,102,103)の観測行列Hを前記(15)式、(17)式及び(20)式の代わりに下記(30)式、(31)式及び(32)式を用いることで、現在の物体T1の位置座標のみを推定する現在状態推定装置として構成することも可能である。
【0130】
【数29】
Figure 0004072017
【0131】
【数30】
Figure 0004072017
【0132】
【数31】
Figure 0004072017
【0133】
【数32】
Figure 0004072017
【0134】
(システム構成例2:状態推定装置を用いた人工衛星軌道推定システム)
次に、図7を参照して、状態推定装置を用いた人工衛星軌道推定システム5の構成例について説明する。図7は、人工衛星の電波遅延時間とドップラーシフトとを観測し、その観測信号に基づいて、人工衛星の現在の軌道を推定する人工衛星軌道推定システム5の構成を示したものである。この人工衛星軌道推定システム5は、遅延時間測定機Eと、周波数計Fとを備えたセンサ系S2と、状態推定装置1Cとを備える構成とした。
【0135】
遅延時間測定機Eは、地球上において人工衛星T2による電波の遅延時間を測定するものである。すなわち、地球上から電波を発信し、その電波が人工衛星T2に反射して返ってくるまでの時間を計測するものである。
【0136】
周波数計Fは、人工衛星T2に電磁波を照射して、その散乱波の周波数、いわゆるドップラーシフトを測定するものである。この周波数は人工衛星T2の視線速度に比例して変化するものである。
【0137】
状態推定装置1Cは、濾波推定手段10(101,102)と、予測推定手段20(201)と、遅延手段30と、を備える構成とした。なお、この状態推定装置1Cは、図1で説明した状態推定装置1において、濾波推定手段10及び予測推定手段20の数を限定したもので、構成そのものを変更したものではない。
【0138】
この濾波推定手段101は、遅延時間測定機Eで測定される電波遅延時間を観測信号として、現在の内部状態を推定して出力するものである。また、濾波推定手段102は、周波数計Fで測定されるドップラーシフトを観測信号として、現在の内部状態を推定して出力するものである。
【0139】
この状態推定装置1Cは、人工衛星T2のケプラーの軌道6要素を内部状態とする。なお、この軌道6要素とは、軌道長半径、離心率、軌道傾斜角、昇交点赤経、近地点引数及び平均近点離角である。ここで、元期及び現在時刻、人工衛星軌道推定システム5の観測点の緯度及び経度、地球の自転角速度、並びに、人工衛星からの電波の周波数が既知であるとすると、観測すべき電波遅延時間及びドップラーシフトは、軌道6要素から求めることができる(数式は省略)。
【0140】
そこで、濾波推定手段101では、軌道6要素から電波遅延時間への変換を表す関数を前記(4)式の観測関数h(x)として用い、この観測関数h(x)を軌道6要素により偏微分した結果の行列を前記(6)式の観測行列Hとして用いる。また、濾波推定手段102では、軌道6要素からドップラーシフトへの変換を表す関数を前記(4)式の観測関数h(x)として用い、この観測関数h(x)を軌道6要素により偏微分した結果の行列を前記(6)式の観測行列Hとして用いる。
【0141】
なお、予測推定手段201では、人工衛星軌道推定システム5における推定すべき状態ベクトルの次元(軌道6要素の6次元)が、観測の総次元数(電波遅延時間とドップラーシフトの2次元)よりも高いため、時間経過に伴う状態の変動(ダイナミクス)を仮定する。
これによって、状態推定装置1Cは、人工衛星T2の現在の軌道を逐次推定することができる。
【0142】
なお、ここでは、状態推定装置を用いたシステムとして、物体位置推定システム3(図4)及び人工衛星軌道推定システム(図7)を例に説明したが、これ以外にも種々のシステムにおいて本発明における状態推定装置を利用することが可能である。
【0143】
例えば、橋桁に作用する空気力等を測定することで長大橋梁のフラッターを推定したり(土木工学)、超音波画像から臓器の変位を推定したり(医学)、株価データにより株価を推定したり(経済学)、天体表面上のクレータ等の画像上における位置観測により天体の自転速度やニューテーション運動を推定したり(惑星物理学)、GPS衛星からの電波、タイヤの回転速度及びジャイロセンサ情報に基づいて車両やロボットの位置や速度を推定したり(ロボット工学、計測工学)、距離計測及び画像に基づいて航空機や宇宙機の位置を推定したり(航空工学、宇宙工学)することも可能である。
【0144】
あるいは、レーダによる電波の遅延時間やドップラーシフト、電波到来方向の方向角に基づいてロケットやミサイルの軌道あるいは弾道を推定したり(宇宙工学)、気温、気圧、湿度といった気象データからの未来の気温、気圧、湿度等を予測したり(気象学)、河川流域における降雨量や流速の観測により河川の未来の水位を予測したり(土木工学、気象学)することも可能である。
このように、本発明における状態推定装置は、カルマンフィルタを用いて推定可能な種々の分野におけるシステムにおいて応用が可能である。
【0145】
(補足;濾波推定手段の定式化について)
以上、説明したように濾波推定手段10は、あるゆる観測系に関して、定式化を行うことが可能である。この濾波推定手段10の定式化は、カルマンフィルタ又は拡張カルマンフィルタの観測方程式の設計法と同様に行うことができる。このカルマンフィルタ又は拡張カルマンフィルタでは、全ての種類の観測量を1つの観測方程式で表現する必要があったが、濾波推定手段10では、必ずしも1つの観測方程式で表現する必要はない。
【0146】
例えば、図4に示した距離計Mと、2台のカメラA及びカメラBとにより物体T1の観測を行う場合、カルマンフィルタ又は拡張カルマンフィルタでは、観測関数h(x)を下記(33)式で設定しなければならない。
【0147】
【数33】
Figure 0004072017
【0148】
しかし、濾波推定手段10では、前記した(13)式、(16)式及び(18)式に示したように、センサ毎に観測関数h(x)を分割して定式化することができる。
【0149】
このように、他の観測系においても、カルマンフィルタ又は拡張カルマンフィルタと同様の定式化を行うか、又はこれを分割して定式化を行えばよい。なお、この分割は、例えば、センサ毎に分割することも可能であるが、複数のセンサを組にして、その組毎に分割を行ってもよい。
【0150】
例えば、図4に示した距離計Mと、2台のカメラA及びカメラBとにより物体T1の観測を行う場合、2台のカメラA及びカメラBからの観測信号を1つの濾波推定手段101へ入力し、距離計Mからの観測信号を他の濾波推定手段102へ入力することができる。この場合、濾波推定手段101の観測関数h(x)は、下記(34)式で示した関数を用いる。
【0151】
【数34】
Figure 0004072017
【0152】
一方、濾波推定手段102の観測関数h(x)は、前記(18)式で示した関数を用いればよい。
【0153】
(補足;予測推定手段の定式化について)
また、予測推定手段20については、線形の状態遷移の場合について例示して説明したが、拡張カルマンフィルタで用いられる状態遷移方程式の場合と同様に、非線形の場合にも適用することが可能である。この場合、前記(10)式の代わりに、下記(35)式の定式化を行えばよい。
【0154】
【数35】
Figure 0004072017
【0155】
ここで、関数φは現時点(t)の状態量xから次時点(t+Δt)の状態量x´への遷移を表す状態遷移関数である。例えば、tを連続量の時刻として、状態量xが下記(36)式の微分方程式を満たす場合、この(36)式をルンゲクッタ(Runge−Kutta)法等の数値積分法によって解くことで、現時点(t)の状態量xから次時点(t+Δt)の状態量x´を求めることができる。この数値積分による状態量xから状態量x´への変換が、前記(35)式における関数φである。
【0156】
【数36】
Figure 0004072017
【0157】
この関数φを実現する積分回路を、未来状態量更新手段21(図3参照)とすることで、非線形の予測推定手段20を構成することが可能になる。
ここで、ケプラー運動を例にして、非線形の状態遷移について説明する。例えば、中心天体の周りで軌道運動を行うある天体の3次元位置(rx,ry,rz)及び3次元速度(vx,vy,vz)により、その天体の状態推定を行う場合、状態量xを下記(37)式で定義すると、状態量xは下記(38)式を満たす。
【0158】
【数37】
Figure 0004072017
【0159】
【数38】
Figure 0004072017
【0160】
ここで、Gは万有引力定数、Mは中心天体の質量である。この(38)式に基づいて、ルンゲクッタ法等の数値積分法によって、現時点(t)の状態量xから次時点(t+Δt)の状態量x´を求めることができる。この数値積分による状態量xから状態量x´への変換が、前記(35)式における関数φである。
一方、前記(11)式における状態遷移行列Fは、下記(39)式の微分方程式をルンゲクッタ法等の数値積分法により解くことで求めることができる。
【0161】
【数39】
Figure 0004072017
【0162】
このように、予測推定手段20は、非線形の状態遷移においても、拡張カルマンフィルタにおける状態遷移方程式の場合と同様に設計し、定式化することができる。
【0163】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明に係る状態推定装置、その方法及びそのプログラム、並びに、現在状態推定装置及び未来状態推定装置では、以下に示す優れた効果を奏する。
【0164】
請求項1、請求交5又は至請求項6に記載の発明によれば、濾波推定と予測推定とを自由な組合せ及び順序で動作させることができるため、入力される観測信号の種類や、推定すべき内部状態の性質に応じて、適当な濾波推定手段(濾波推定ステップ)又は予測推定手段(予測推定ステップ)だけを選択して処理することができる。これにより、必要な処理だけを実行することになり、全体処理を高速化し、ハードウェア資源の節約を行うことができる。
【0165】
また、本発明は、濾波推定と予測推定とを自由な組合せ及び順序によって、異なる推定を行う処理を容易に再構成することができるため、様々な観測信号や予測の目的に対して、汎用性及び再利用性が高いという効果がある。
【0166】
さらに、従来のカルマンフィルタによる内部状態の濾波推定において、全ての観測信号をまとめて処理しなければならなかったところを、本発明は、複数の濾波推定手段(濾波推定ステップ)に分割して処理を行うことができるため、処理を行う演算量を抑えることができ、メモリの消費を抑えかつ高速で処理を行うことができる。
【0167】
また、従来のカルマンフィルタによる内部状態の予測推定において、1単位時間未来の予測を一度の処理で行っていたところを、本発明は、複数の予測推定手段(予測推定ステップ)に分割して処理を行うことができるため、複雑な状態遷移モデルであっても、動作が簡易な状態推定モデルに分割することができる。
【0168】
さらにまた、本発明は、濾波推定手段(濾波推定ステップ)又は予測推定手段(予測推定ステップ)を自由に追加したり、順序を変えたり、あるいは、削除することができるため、時々刻々と動作している状態であっても、容易に構成を変更することができ、柔軟なシステムを構成することが可能になる。
【0169】
請求項2乃至請求項4に記載の発明によれば、従来のカルマンフィルタによる状態推定に用いられる観測方程式や、状態遷移方程式を利用することが可能になり、濾波推定手段及び予測推定手段を容易に定式化することができる。
【0170】
請求項7に記載の発明によれば、従来のカルマンフィルタによる内部状態の濾波推定において、全ての観測信号をまとめて処理しなければならなかったところを、本発明は、複数の濾波推定手段に分割して処理を行うことができるため、処理を行う演算量を抑えることができ、メモリの消費を抑えかつ高速で処理を行うことができる。
【0171】
請求項8に記載の発明によれば、従来のカルマンフィルタによる内部状態の予測推定において、1単位時間未来の予測を一度の処理で行っていたところを、本発明は、複数の予測推定手段に分割して処理を行うことができるため、複雑な状態遷移モデルであっても、動作が簡易な状態推定モデルに分割することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る状態推定装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る状態推定装置の濾波推定手段の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る状態推定装置の予測推定手段の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る状態推定装置を用いた物体位置推定システムの構成例を示すブロック図である。
【図5】物体位置推定システムにおける状態推定装置の動作を示すフローチャート(1/2)である。
【図6】物体位置推定システムにおける状態推定装置の動作を示すフローチャート(2/2)である。
【図7】本発明の実施の形態に係る状態推定装置を用いた人工衛星軌道推定システムの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1、1B、1C……状態推定装置(現在状態推定装置、未来状態推定装置)
10……濾波推定手段
11……観測量推定手段
12……観測推定誤差算出手段
13……感度算出手段
14……現在状態更新手段
14a……現在状態量更新部
14b……現在状態共分散更新部
20……予測推定手段
21……未来状態量更新手段
22……未来状態共分散更新手段

Claims (8)

  1. 観測により時系列に入力される観測信号に基づいて、その観測を行ったシステムの内部状態を推定する状態推定装置であって、
    前記観測信号と先に推定した前記内部状態と予め設定された推定規則とに基づいて、現在の内部状態を推定する濾波推定手段を、前記観測信号の種類に対応して多段接続し、
    前記内部状態と予め設定されたその内部状態を遷移させる状態遷移規則とに基づいて、未来の内部状態を推定する予測推定手段を、前記内部状態の種類に対応して多段接続して構成することを特徴とする状態推定装置。
  2. 前記観測信号が、観測により得られる観測量と観測時に混入する観測雑音の共分散である観測雑音共分散とからなり、前記内部状態が、内部に保持している状態量とその状態量の共分散である状態共分散とからなっていることを特徴とする請求項1に記載の状態推定装置。
  3. 前記濾波推定手段が、
    予め設定された推定規則に基づいて、前記状態量から前記観測量の推定量である観測推定量を推定する観測量推定手段と、
    この観測量推定手段で推定した前記観測推定量と前記観測量との差分により、観測推定誤差を算出する観測推定誤差算出手段と、
    前記観測雑音共分散と前記状態共分散とに基づいて、濾波推定の感度を算出する感度算出手段と、
    この感度算出手段で算出した前記感度と、前記観測推定誤差算出手段で算出した前記観測推定誤差とに基づいて、前記状態量及び前記状態共分散を更新する現在状態更新手段と、
    を備えていることを特徴とする請求項2に記載の状態推定装置。
  4. 前記予測推定手段が、
    予め設定された内部状態を遷移させる状態遷移規則に基づいて、前記状態量を未来の状態量に更新する未来状態量更新手段と、
    前記状態遷移規則とシステム内部で発生するシステム雑音の共分散であるシステム雑音共分散とに基づいて、前記状態共分散を未来の状態共分散に更新する未来状態共分散更新手段と、
    を備えていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の状態推定装置。
  5. 観測により時系列に入力される観測信号に基づいて、その観測を行ったシステムの内部状態を推定する状態推定方法であって、
    前記観測信号と先に推定した前記内部状態と予め設定された推定規則とに基づいて、前記観測信号の種類に対応して多段接続した濾波推定手段により、現在の内部状態を推定する濾波推定ステップと、
    前記内部状態と予め設定されたその内部状態を遷移させる状態遷移規則とに基づいて、前記内部状態の種類に対応して多段接続した予測推定手段により、未来の内部状態を推定する予測推定ステップと、
    を含むことを特徴とする状態推定方法。
  6. 観測により時系列に入力される観測信号に基づいて、その観測を行ったシステムの内部状態を推定するために、コンピュータを、
    前記観測信号と先に推定した前記内部状態と予め設定された推定規則とに基づいて、前記観測信号の種類に対応して現在の内部状態を推定する多段接続された濾波推定手段、
    前記内部状態と予め設定されたその内部状態を遷移させる状態遷移規則とに基づいて、前記内部状態の種類に対応して未来の内部状態を推定する多段接続された予測推定手段、
    として機能させることを特徴とする状態推定プログラム。
  7. 観測により時系列に入力される観測信号に基づいて、その観測を行ったシステムの現在の内部状態を推定する現在状態推定装置であって、
    前記観測信号と先に推定した前記内部状態と予め設定された推定規則とに基づいて、前記現在の内部状態を推定する濾波推定手段を、前記観測信号の種類に対応して多段接続し て構成することを特徴とする現在状態推定装置。
  8. 内部状態が時系列に推移するシステムの未来の内部状態を推定する未来状態推定装置であって、
    先に推定した内部状態と予め設定されたその内部状態を遷移させる状態遷移規則とに基づいて、前記未来の内部状態を推定する予測推定手段を、前記内部状態の種類に対応して多段接続して構成することを特徴とする未来状態推定装置。
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