JP4071162B2 - 空胴共振器、空胴共振器の結合方法及び空胴共振器フィルタ - Google Patents

空胴共振器、空胴共振器の結合方法及び空胴共振器フィルタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波フィルタに使用される空胴共振器、この空胴共振器の結合方法、及びこの空胴共振器を多段接続して構成される空胴共振器フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロ波帯のレーダシステムで使用される低損失のバンド・パス・フィルタとして、TE01nモード(nは自然数、以下同じ)の円筒空胴共振器フィルタがある。
円筒空胴共振器フィルタの中には、それぞれ同一特性の複数の円筒空胴共振器を多段結合してなるフィルタ、すなわち、それぞれ電磁波が入出力される部分にフランジが形成され、フランジの略中央部に開口部が形成されている複数の円筒空胴共振器が、互いに自己の開口部及び他方の円筒空胴共振器の開口部と、その間に介在する結合板の孔部とを通じて電気的に結合されているものがある。初段の円筒空胴共振器の入力端部には入力用導波管のフランジが、終段の円筒空胴共振器の出力端部には出力用導波管のフランジが、それぞれ孔部が形成された結合板を挟んでビス等によって締結されるようになっている。
【0003】
図4、5は、従来の2つの円筒空胴共振器を結合してなる円筒空胴共振器フィルタの構造説明図である。
なお本明細書では、円筒空胴共振器の共振周波数を調整する端板あるいは固定端板についてはすべて省略する。また、円筒空胴共振器フィルタの初段の入力側及び最終段の出力側の結合板も省略する。
【0004】
図4に示す円筒空胴共振器フィルタは、同一特性、形状の2つの円筒空胴共振器1d、1eが、結合板2cを挟んで連結用ネジ3及び連結用ナット4により結合されて構成されている。各円筒空胴共振器1d、1eは、円筒形の空洞が形成された直方体形状の本体5をもち、この本体5には、電磁波が入出力される入力端部6及び出力端部7としての開口部が形成される。入力端部6及び出力端部7が形成される面には、それぞれフランジ8が設けられている。フランジ8の略中央部には、入力端部6及び出力端部7に対応する位置に、電磁波の入出力のための開口窓9が形成されている。
フランジ8は、本体5からはみ出す位置に連結用ネジ3を貫通させるためのネジ孔10が形成されているために、本体5の互いに平行な面にしか設けることができず、互いに垂直に交わる面には設けることができない。円筒空胴共振器を90度に結合させることにより、高次モードTE311を疎結合にさせて、TE011モードフィルタの減衰特性をより良好とすることができるが、フランジ8を用いる構造であるために、この種の円筒空胴共振器を90度に結合させることは困難である。
【0005】
結合板2cは、フランジ8の形状に対応した長方形の板状であり、結合時に各円筒空胴共振器1d、1eのフランジ8に形成されたネジ孔10に対応する位置にネジ孔11が形成され、また、結合時に円筒空胴共振器1dの出力端部7及び円筒空胴共振器1eの入力端部6に対応する位置に開口窓12cが形成されている。
結合板2cの開口窓12cは、円筒空胴共振器フィルタの共振器の段数、パスバンド巾、リップル値等の選択によりサセプタンスの値に応じて決定される。
【0006】
円筒空胴共振器1d、1eを結合する際には、円筒空胴共振器1dの出力端部7側の面と円筒空胴共振器1eの入力端部6側の面を対向させて、その間に結合板2cを挟み、連結用ネジ3を、円筒空胴共振器1eのフランジ8に形成されたネジ孔10、結合板2cに形成されたネジ孔11、及び円筒空胴共振器1dのフランジ8に形成されたネジ孔10に貫通させて、連結用ナット4にて締結する。この例では、フランジ8及び結合板2cにそれぞれ4つのネジ孔10、11が形成されているので、連結用ネジ3及び連結用ナット4により4箇所で締結される。
【0007】
さらに別の円筒空胴共振器を接続する際には、同様にして、結合板2cを挟んで連結用ネジ3及び連結用ナット4で接続することになる。
結合板2cの開口窓12cの形状を変えるときには、結合板2cを交換する必要があるが、この場合、連結用ネジ3を完全に取り外してから交換を行う。
【0008】
図5に示す円筒空胴共振器フィルタは、図4に示す円筒空胴共振器フィルタと基本的な構成は同じである。相違点は、円筒空胴共振器1f、1gの本体5の形状が円筒形であることと、フランジ8及び結合板2dが円板状に形成されていることである。この種の円筒空胴共振器もフランジ8が本体5からはみ出すために、90度結合に適していない。
【0009】
円筒空胴共振器フィルタにとって、電磁波の伝播特性に影響を与えずに2つの円筒空胴共振器を結合させることは重要である。そのために、電磁波の伝播特性への影響ができるだけ小さくなるように空胴共振器や導波管を結合させるための、様々な技術が提案されている。
【0010】
例えば、特開平6−291502号公報(発明の名称:導波管接続構造)には、結合時にフランジの結合部分の隙間を覆うようにフランジの周囲に電波吸収体を支持した電波吸収構体を設けて、結合部分から電磁波が漏れないようにしている。特開平6−350301号公報(発明の名称:導波管接続用ゴムガスケットおよびそれを用いた導波管の接続構造)には、導波管の結合に用いる結合板に、導電性の充填材が配合されたゴム製のガスケットを用いて結合部分による電磁波の減衰を防止している。特公平7−38521号公報(発明の名称:導波管とフランジの接合部構造)には、導波管とフランジとを接合する接合部に、接着剤を収容する溝を設けて、導波管とフランジの接合強度を高めるような構成としている。特開平6−177601号公報(発明の名称:導波管の接続構造)には、2つの導波管のフランジを挟んで密着させる保持板により、導波管の接続作業を簡易にする。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上の各例では、本体にフランジを設けた構成が基本となっており、空胴共振器は、互いのフランジをネジで締結して結合されている。フランジを用いる場合には、フランジを本体に蝋付けなどにより取り付けることになる。また、本体も切削などにより、フランジを取り付け易くするための加工が必要になる。フランジの取り付け加工は、電磁波の伝播特性に影響を与えるために、精度を要求される。さらに、前述の通りフランジを用いることにより、空胴共振器の90度結合が困難になっている。
【0012】
そこで本発明は、複数の空胴共振器を結合した際の影響を少なくし、空胴共振器の90度結合を容易に可能にした、空胴共振器、この空胴共振器の結合方法及び空胴共振器を複数接続した空胴共振器フィルタを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の空胴共振器は、結合対象部品との結合面部を有する空胴共振器であって、前記結合面部の所定部位に、前記結合対象部品と結合するための連結用ネジの頭部が収容される座ぐり穴が設けられており、前記座ぐり穴は、前記連結用ネジの頭部が収容された状態で当該連結用ネジの端部を前記結合対象部品へ案内する構造を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の空胴共振器では、連結用ネジの頭部が空胴共振器に設けられた座ぐり穴に収容されて、導波管や他の空胴共振器等の結合対象部品と結合されるようになっているので、結合のためのフランジを必要としない。そのためにフランジを設けることにより生じる様々な困難が解消される。
【0015】
このような空胴共振器では、例えば前記結合面部に開口部が形成される。この開口部を通じて前記結合対象部品との間で電磁波が入力又は出力される。
空胴共振器は、例えば円筒形の空洞が形成された略直方体形状の本体を有しており、この本体に、前記空洞に連通して前記開口部が設けられる。開口部は、例えば2つの異なる結合面部のそれぞれに設けられ、これら2つの異なる結合面部が、これらの開口部による電磁波の入力方向と出力方向とが90度をなすように形成されると、この空胴共振器を介して90度結合が容易になる。
【0016】
本発明の空胴共振器の結合方法は、結合対象部品との結合面部を有し、前記結合面部の所定部位に、前記結合対象部品と結合するための連結用ネジの頭部が収容される座ぐり穴が設けられるとともに、前記結合対象部品から案内される連結用ネジが螺合されるネジ穴を有する空胴共振器を、同じ構成の他の空胴共振器と結合させる方法であって、前記空胴共振器及び前記他の空胴共振器の各々の前記ネジ穴にそれぞれ連結用ネジの端部を仮止めし、前記空胴共振器に仮止めされた連結用ネジの頭部を前記他の空胴共振器に設けられた座ぐり穴に収容するとともに、前記他の空胴共振器に仮止めされた連結用ネジの頭部を前記空胴共振器に設けられた座ぐり穴に収容し、前記連結用ネジを螺合して、前記空胴共振器及び前記他の空胴共振器を結合する。
【0017】
本発明の空胴共振器フィルタは、互いに結合面部で結合された複数の空胴共振器を有する空胴共振器フィルタであって、前記複数の空胴共振器の各々の前記結合面部に、ネジ穴が設けられており、前記複数の空胴共振器の各々の前記結合面部の所定部位に、他の空胴共振器と結合するための連結用ネジの頭部が収容される座ぐり穴が設けられており、前記座ぐり穴は、前記連結用ネジの頭部が収容された状態で当該連結用ネジの端部を前記他の空胴共振器へ案内する構造を有し、前記ネジ穴には、前記他の空胴共振器から案内された連結用ネジが螺合される。
【0018】
本発明の空胴共振器フィルタでは、連結用ネジの頭部が空胴共振器に設けられた座ぐり穴に収容されて、他の空胴共振器と結合されるようになっているので、結合のためのフランジを必要としない。そのために空胴共振器の90度結合が容易になり、90度結合された空胴共振器による空胴共振器フィルタを容易に構成できるようになる。また、締結する2つの空胴共振器間の距離が短くなるために、無負荷Qが大きくなって、挿入損失が小さくなる。高次モードTE311を疎結合にさせて、TE011モードフィルタの減衰特性を、より良好にすることができる。
【0019】
このような空胴共振器フィルタでは、例えば前記結合面部に開口部が形成される。この開口部を通じて前記他の空胴共振器との間で電磁波が入力又は出力されるようになる。
互いに結合される2つの空胴共振器の間には、結合板が設けらるようにしてもよい。この結合板は、例えば、前記2つの空胴共振器の各々の結合面部に形成された前記開口部に対応する位置に、これらの開口部よりも小さい面積の開口窓が設けられており、前記連結用ネジが通る位置に孔部又は切欠部が形成される。
少なくとも一つの空胴共振器は、例えば円筒形の空洞が形成された略直方体形状の本体を有しており、この本体に、前記空洞に連通して前記開口部が設けられる。開口部は、例えば2つの異なる結合面部のそれぞれに設けられ、これら2つの異なる結合面部が、これらの開口部による電磁波の入力方向と出力方向とが90度をなすように形成されると、空胴共振器が90度結合された空胴共振器フィルタが容易に構成できる。
空胴共振器の結合を容易にするために、前記結合面部に、他の空胴共振器が結合される位置を合わせるための位置決めピンと、他の空胴共振器の前記位置決めピンが嵌挿される位置決め穴とを設けてもよい。前記他の空胴共振器の位置決め穴に前記位置決めピンが嵌挿されることにより、他の空胴共振器との結合の際の位置決めを容易に行うことができるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の空胴共振器1の構造説明図である。この空胴共振器は、円筒形の空洞が形成された略直方体(略立方体を含む)形状の本体5をもち、この本体5には、円筒形の側面部にあたる位置に、電磁波が入力又は出力される入力端部6及び出力端部7としての開口部が空洞に連通して形成される、円筒空胴共振器である。入力端部6および出力端部7は、説明の便宜上、区別しているが、これはどちらの開口部が入力端部6(出力端部7)になっても構わない。また、この例では、入力端部6が形成される面及び出力端部7が形成される面が直角に交わっているが、それぞれが平行な面に形成されていてもよい。円筒空胴共振器を結合する場合には、この入力端部6、出力端部7が形成された面が、他の円筒空胴共振器の入力端部6、出力端部7が形成される面との結合面部になる。
【0022】
入力端部6が形成される面には、結合対象となる入力用導波管や円筒空胴共振器等の結合対象部品からの連結用ネジ3が螺合されるネジ穴13、結合対象部品との結合位置を決めるための位置決めピン14、結合対象部品の位置決めピン14が嵌挿される位置決め穴15、結合対象部品へ連結用ネジ3の端部を案内するための切欠穴16が形成される。切欠穴16は、この面の縁部に形成される。
【0023】
入力端部6が形成される面に対して、切欠穴16が形成された縁部で垂直に接する面には、切欠穴16と一連に座ぐり部17が形成される。この例では、座ぐり部17は出力端部7が形成される面に形成されている。座ぐり部17と切欠穴16により、連結用ネジ3の頭部が収容された状態で、この連結用ネジ3の端部を結合対象部品へ案内する、座ぐり穴が形成される。
【0024】
出力端部7が形成される面には、入力端部6が形成される面と同様に、ネジ穴13、位置決めピン14、位置決め穴15、切欠穴16が形成され、出力端部7が形成される面に対して、切欠穴16が形成された縁部で垂直に接する面に切欠穴16と一連に座ぐり部17が形成されている。
【0025】
この円筒空胴共振器を結合対象部品と結合させる場合に、連結用ネジ3は、頭部が座ぐり部17に収容されて、端部が結合対象部品のネジ穴13に螺合される。ネジ穴13には、結合対象部品からの連結用ネジ3が螺合される。このようにして円筒空胴共振器は、結合対象部品と結合される。
【0026】
このような円筒空胴共振器は、フランジを必要としないために、円筒空胴共振器を本体5の形状と同じ略直方体に一体形成できる。本体5の切削やフランジの蝋付けが不要となるために、寸法精度の向上が図れる。また、フランジがないために直列結合だけでなく、90度結合も容易になる。
【0027】
この実施形態では、一面にネジ穴13、位置決めピン14、位置決め穴15、切欠穴16が形成されるようにしているが、これに限らず、ネジ穴13を切欠穴16の位置にも設け、位置決め穴15を位置決めピン14の位置にも設けるようにしてもよい。つまり、一面に4個のネジ穴13と2個の位置決め穴15を形成するようにしてもよい。なお、このような面に結合される結合対象部品は、その結合面に4個の切欠穴16と2個の位置決めピン14が形成される。
【0028】
図2は、3つの円筒空胴共振器1a、1b、1cをそれぞれ90度結合させた円筒空胴共振器フィルタの構造説明図である。円筒空胴共振器1bと2つの円筒空胴共振器1a、1cとのそれぞれの結合面には、結合板2a、2bがそれぞれ挟持されている。
【0029】
結合板2aは、円筒空胴共振器1a、1bの結合面の形状と同じ形状の面を持っており、円筒空胴共振器1aの出力端部7、円筒空胴共振器1bの入力端部6に対応する位置に、開口窓12aが設けられる。結合板2bは、円筒空胴共振器1b、1cの結合面の形状と同じ形状であり、円筒空胴共振器1bの出力端部7、円筒空胴共振器1cの入力端部6に対応する位置に、開口窓12bが設けられる。結合板2a、2bのそれぞれの開口窓12a、bは、円筒空胴共振器フィルタの共振器段数、パスバンド巾、リップル値に応じたサイズを容易に確保するために、入力端部6、出力端部7の開口部よりも小さく形成される。
結合板2a、2bの周縁部には、円筒空胴共振器結合時に連結用ネジ3の端部が通る切欠部18が設けられる。また、位置決めピン14に対応する位置に孔19が形成される。
【0030】
円筒空胴共振器1aは、略直方体の本体5の、入力端部6が設けられる面には図示しない入力用導波管などが結合され、出力端部7が設けられる面が円筒空胴共振器1bに面している。入力用導波管などから入力される電磁波は、入力端部6から入力され、出力端部7から出力されて円筒空胴共振器1bに送られる。
【0031】
入力端部6が設けられる面には、入力用導波管などからの連結用ネジ3が螺合される、連結用ネジ穴13が形成される。
【0032】
出力端部7が設けられる面には、円筒空胴共振器1bからの連結用ネジ3が螺合される連結用ネジ穴13と、位置決めピン14と、円筒空胴共振器1bから延びる位置決めピン14が嵌挿される位置決め穴15と、座ぐり部17に頭部が収容された連結用ネジ3の端部を円筒空胴共振器1bへ案内するための切欠穴16と、が面の周縁に沿って設けられる。
【0033】
円筒空胴共振器1bは、図1に示す円筒空胴共振器と同様の形状であり、入力端部6が設けられる面が円筒空胴共振器1aに面しており、出力端部7が設けられる面が円筒空胴共振器1cに面している。円筒空胴共振器1aから入力される電磁波は、入力端部6から入力され、出力端部7から出力されて円筒空胴共振器1cに送られるようになっている。
【0034】
円筒空胴共振器1bの入力端部6が設けられる面には、円筒空胴共振器1aからの連結用ネジ3が螺合される連結用ネジ穴13と、位置決めピン14と、円筒空胴共振器1aから延びる位置決めピン14が嵌挿される位置決め穴15と、頭部が座ぐり部17に収容された連結用ネジ3の端部を円筒空胴共振器1aへ案内するための切欠穴16と、が面の周縁に沿って設けられる。
【0035】
円筒空胴共振器1bの出力端部7が設けられる面には、円筒空胴共振器1cからの連結用ネジ3が螺合される連結用ネジ穴13と、位置決めピン14と、円筒空胴共振器1cから延びる位置決めピン14が嵌挿される位置決め穴15と、頭部が座ぐり部17に収容された連結用ネジ3の端部を円筒空胴共振器1cへ案内するための切欠穴16と、が面の周縁に沿って設けられる。また、この面には、入力端部6に設けられた切欠穴16と一連の座ぐり部17が形成される。
【0036】
円筒空胴共振器1cは、略直方体の本体5の、入力端部6が設けられる面が円筒空胴共振器1bに面し、出力端部7が設けられる面には図示しない出力用導波管などが接続される。円筒空胴共振器1bから入力される電磁波は、入力端部6から入力され、出力端部7から出力されて出力用導波管などに送られる。
【0037】
入力端部6が設けられる面には、円筒空胴共振器1bからの連結用ネジ3が螺合される連結用ネジ穴13と、位置決めピン14と、円筒空胴共振器1bから延びる位置決めピン14が嵌挿される位置決め穴15と、座ぐり部17に頭部が収容された連結用ネジ3の端部を円筒空胴共振器1bへ案内するための切欠穴16と、が面の周縁に沿って設けられる。
【0038】
出力端部7が設けられる面には、出力用導波管などからの連結用ネジ3が螺合される連結用ネジ穴13が形成される。
【0039】
円筒空胴共振器1a、1bを結合させる際には、円筒空胴共振器1aの出力端部7が設けられる面と、円筒空胴共振器1bの入力端部6が設けられる面とにより、結合板2aが挟持されることになる。
円筒空胴共振器1aの出力端部7が設けられる面と、円筒空胴共振器1bの入力端部6が設けられる面とにそれぞれ設けられている位置決めピン14は、結合板2aに形成された孔19を貫通して、それぞれ対向する位置にある位置決め穴15に嵌挿される。位置決めピン14により、円筒空胴共振器1a、1bを正しい位置に設置することができる。
また、円筒空胴共振器1a、1bのそれぞれからの連結用ネジ3は、結合板2aの切欠部18を通って、それぞれ対面する位置にある連結用ネジ穴13に螺合される。連結用ネジ3により、円筒空胴共振器1a、1bが結合される。
【0040】
円筒空胴共振器1b、1cを結合させる際には、円筒空胴共振器1bの出力端部7が設けられる面と、円筒空胴共振器1cの入力端部6が設けられる面とにより、結合板2bが挟持されることになる。
円筒空胴共振器1bの出力端部7が設けられる面と、円筒空胴共振器1cの入力端部6が設けられる面とにそれぞれ設けられている位置決めピン14は、結合板2bに形成された孔19を貫通して、それぞれ対面する位置にある位置決め穴15に嵌挿される。位置決めピン14により、円筒空胴共振器1b、1cを正しい位置に設置することができる。
また、円筒空胴共振器1b、1cのそれぞれからの連結用ネジ3は、結合板2bの切欠部18を通って、それぞれ対面する位置にある連結用ネジ穴13に螺合される。連結用ネジ3により、円筒空胴共振器1b、1cが結合される。
【0041】
円筒空胴共振器1a、1b、1cの結合は、図3で説明する方法で容易に行える。図3は、円筒空胴共振器1a、1bの結合方法を説明するための図である。まず、円筒空胴共振器1a、1bのそれぞれの連結用ネジ穴13に連結用ネジ3を仮止めしておく。次いで、仮止めした連結用ネジ3の頭部が、連結用ネジ穴13に対向する位置にある座ぐり部17に収容されるように、円筒空胴共振器1a、1bをスライドさせる。座ぐり部17に連結用ネジ3の頭部を収容後に、連結用ネジ3を締結する。位置決めピン14及び位置決め穴15により、円筒空胴共振器1a、1bをスライドさせて結合するようにしても、位置決めが困難になることはない。
結合板2aは、連結用ネジ3を完全に取り外すことなく、緩めて円筒空胴共振器1a、1bを連結時とは逆の方向に互いにスライドさせることで交換が容易に行える。
【0042】
このように結合された円筒空胴共振器1a、1b、1cにより構成される円筒空胴共振器フィルタは、例えば、入力用導波管から円筒空胴共振器1aの入力端部6に供給される電磁波が、円筒空胴共振器1aの出力端部7から結合板2aを介して円筒空胴共振器1bの入力端部6に供給され、円筒空胴共振器1bの出力端部7から結合板2bを介して円筒空胴共振器1cの入力端部6に供給され、円筒空胴共振器1cの出力端部7から出力用導波管へ出力されるようになっている。円筒空胴共振器1a、1b、1c及び結合板2a、2bの特性に応じて電磁波が濾波される。
【0043】
以上の円筒空胴共振器1a、1b、1cは、フランジを用いないために、円筒空胴共振器の90度結合が容易にできるようになる。90度結合させることにより、高次モードTE311を疎結合にさせ、TE011モードフィルタの減衰特性をより良好にすることができる。また、フランジを用いないために、円筒空胴共振器同士の距離が短くできるために、無負荷Qが大きくなり、挿入損失を小さくすることができる。
また、連結用ネジ3が、座ぐり部17により容易に締緩ができるようになっている。そのために、2つの連結用ネジ3を外すことにより、結合板2a、2bを取り外すことができ、結合板2a、2bの交換が容易に行えるようになる。
【0044】
なお、円筒空胴共振器1a、1b、1cの各結合面に形成される切欠穴16は、連結用ネジ3が貫通すればよいので、切欠ではなく、結合板2a、2bに形成された切欠部18の長尺方向と同じ方向に延びて形成された孔であってもよい。この場合、円筒空胴共振器を結合させる際には、座ぐり部17に連結用ネジ3の頭部を収容し、この孔を通して対向する位置にある連結用ネジ穴13に当該連結用ネジ3を仮止めして、円筒空胴共振器をスライドさせることになる。結合板2a、2bの交換は、連結用ネジ3を緩めて、円筒空胴共振器を連結時とは逆にスライドさせることで行える。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、空胴共振器が直列のみでなく90度結合もできるようになる。90度結合させることにより、高次モードTE311を疎結合にさせ、TE011モードフィルタの減衰特性をより良好にすることができる。また、締結する2つの空胴共振器間の距離が短くなるために、無負荷Qが大きくなり、挿入損失が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の円筒空胴共振器の構造説明図。
【図2】本実施形態の円筒空胴共振器フィルタの構造説明図。
【図3】円筒空胴共振器1a、1bの結合方法を説明するための説明図。
【図4】従来の円筒空胴共振器フィルタの構造説明図。
【図5】従来の他の円筒空胴共振器フィルタの構造説明図。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g 円筒空胴共振器
2a、2b、2c、2d 結合板
3 連結用ネジ
4 連結用ナット
5 本体
6 入力端部
7 出力端部
8 フランジ
9、12a、12b、12c、12d 開口窓
10、11 ネジ孔
13 連結用ネジ穴
14 位置決めピン
15 位置決め穴
16 切欠穴
17 座ぐり部
18 切欠部
19 孔

Claims (11)

  1. 結合対象部品との結合面部を有する空胴共振器であって、
    前記結合面部の所定部位に、前記結合対象部品と結合するための連結用ネジの頭部が収容される座ぐり穴が設けられており、
    前記座ぐり穴は、前記結合面部の縁部に設けられる切欠穴と、前記切欠穴が設けられた前記縁部で垂直に接する面に前記切欠穴と一連に形成される座ぐり部とを備え、前記連結用ネジの頭部が前記座ぐり部に収容された状態で当該連結用ネジの端部を前記切欠穴を介して前記結合対象部品へ案内する構造を有することを特徴とする、
    空胴共振器。
  2. 前記結合面部には開口部が形成されており、この開口部を通じて前記結合対象部品との間で電磁波が入力又は出力される、
    請求項1記載の空胴共振器。
  3. 円筒形の空洞が形成された略直方体形状の本体を有しており、この本体に、前記空洞に連通して前記開口部が設けられている、
    請求項2記載の空胴共振器。
  4. 2つの異なる結合面部のそれぞれが前記開口部を有しており、
    これら2つの異なる結合面部は、これらの開口部による電磁波の入力方向と出力方向とが90度をなすように形成される、
    請求項2記載の空胴共振器。
  5. 結合対象部品との結合面部を有し、前記結合面部の縁部に設けられる切欠穴及び前記切欠穴が設けられた前記縁部で垂直に接する面に前記切欠穴と一連に形成される座ぐり部を備え前記結合対象部品と結合するための連結用ネジの頭部が前記座ぐり部に収容された状態で当該連結用ネジの端部を前記切欠部を介して前記他の空胴共振器へ案内する構造を有する座ぐり穴が設けられるとともに、前記結合対象部品から案内される連結用ネジが螺合されるネジ穴を有する空胴共振器を、同じ構成の他の空胴共振器と結合させる方法であって、
    前記空胴共振器及び前記他の空胴共振器の各々の前記ネジ穴にそれぞれ連結用ネジの端部を仮止めし、前記空胴共振器に仮止めされた連結用ネジの頭部を前記他の空胴共振器に設けられた座ぐり穴に収容するとともに、前記他の空胴共振器に仮止めされた連結用ネジの頭部を前記空胴共振器に設けられた座ぐり穴に収容し、前記連結用ネジを螺合して、前記空胴共振器及び前記他の空胴共振器を結合する、
    空胴共振器の結合方法。
  6. 互いに結合面部で結合された複数の空胴共振器を有する空胴共振器フィルタであって、
    前記複数の空胴共振器の各々の前記結合面部に、ネジ穴が設けられており、
    前記複数の空胴共振器の各々の前記結合面部の所定部位に、他の空胴共振器と結合するための連結用ネジの頭部が収容される座ぐり穴が設けられており、
    前記座ぐり穴は、前記結合面部の縁部に設けられる切欠穴と、前記切欠穴が設けられた前記縁部で垂直に接する面に前記切欠穴と一連に形成される座ぐり部とを備え、前記連結用ネジの頭部が前記座ぐり部に収容された状態で当該連結用ネジの端部を前記切欠部を介して前記他の空胴共振器へ案内する構造を有し、
    前記ネジ穴には、前記他の空胴共振器から案内された連結用ネジが螺合される、
    空胴共振器フィルタ。
  7. 前記結合面部には開口部が形成されており、この開口部を通じて前記他の空胴共振器との間で電磁波が入力又は出力される、
    請求項6記載の空胴共振器フィルタ。
  8. 互いに結合される2つの空胴共振器の間には結合板が設けられており、
    この結合板は、前記2つの空胴共振器の各々の結合面部に形成された前記開口部に対応する位置に、これらの開口部よりも小さい面積の開口窓が設けられており、前記連結用ネジが通る位置に孔部又は切欠部が形成されている、
    請求項7記載の空胴共振器フィルタ。
  9. 少なくとも一つの空胴共振器は、円筒形の空洞が形成された略直方体形状の本体を有しており、この本体に、前記空洞に連通して前記開口部が設けられている、
    請求項7記載の空胴共振器フィルタ。
  10. 少なくとも一つの空胴共振器は、2つの異なる結合面部のそれぞれが前記開口部を有しており、これらの結合面部による電磁波の入力方向と出力方向とが90度をなすように形成される、
    請求項7記載の空胴共振器フィルタ。
  11. 前記結合面部には、他の空胴共振器が結合される位置を合わせるための位置決めピンと、他の空胴共振器の前記位置決めピンが嵌挿される位置決め穴とが設けられており、
    前記他の空胴共振器の位置決め穴に前記位置決めピンが嵌挿されることにより、他の空胴共振器との結合の際の位置が決まる、
    請求項6又は7記載の空胴共振器フィルタ。
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