JP4070300B2 - Mri装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体内の原子核スピンの磁気共鳴現象を利用したMRI(磁気共鳴イメージング)に係り、とくに、被検体が置かれる静磁場の均一性を向上させて脂肪抑制(脂肪からのMR信号の収集を抑制すること)を行うMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用のMR装置は、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するMR信号に基づいて画像を再構成したり、スペクトルデータを得る装置である。
【0003】
被検体のMR画像を得る場合、断面内に在る脂肪は化学シフトに因ってアーチファクトなどの原因になる場合もあり、また診断上の理由で脂肪からのMR信号はなるべく収集しないようにする、いわゆる脂肪抑制は必要不可欠な事項である。この脂肪抑制の一手法として、通常の画像データ収集シーケンスを実行する前に、周波数選択の脂肪抑制パルスで脂肪の原子核スピンを磁気的に飽和させておく技術が知られている。
【0004】
この脂肪抑制効果を実効あらしめるためには、シミングにより静磁場の撮影領域の均一度を高めておく必要がある。従来、撮像領域がマルチスライス撮影時のように3次元領域である場合、その撮像領域の空間的中心位置でのスライス、または、磁場中心のスライスを使ってシミングを行っていた。
【0005】
このため、シミングを実施した位置(例えば撮像領域の中心スライスの位置)においては、脂肪抑制パルスの励起周波数範囲が脂肪の共鳴曲線に的確にマッチし、確実な脂肪抑制効果が得られる。しかし、スキャン位置がシミングの実施位置からスライス方向に離れるにしたがって(例えば撮像領域の端のスライス位置など)、部位の組成の違い等に因って水、脂肪のスペクトルが周波数軸上でずれてしまうことが多く、これにより、脂肪抑制パルスの励起周波数範囲が脂肪の共鳴曲線からずれてしまい、脂肪抑制効果が半減してしまうという事態が頻発していた。
【0006】
この対策の1つとして、特開平9−164124号(特願平7−324660号)にて提案されている手法が知られている。この公報記載の手法によれば、3次元の撮像領域を形成する複数スライスの内、2面以上の任意スライスに対して実施した1次シミングの結果から残りのスライスそれぞれに対する最適シミング値および周波数のずれΔfを推定し、これらの推定値に基づき全てのスライスについて最適シミングの状態で脂肪抑制を行おうというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した公報記載の手法は、いわゆる「B0 シフト」と呼ばれる磁場変化現象を考慮していないため、脂肪抑制対策としては未だ十分とは言えなかった。
【0008】
この「B0 シフト」とは、パルスシーケンス長に対して有意に長い時定数(200msec〜1sec 程度)で生じる、空間分布を持たない磁場変化分を生じる現象を言う(例えば、「Hofman M., J. of Compt. Assist. Tomogr. 19(1),56-62,1995」参照)。この「B0 シフト」の量は、傾斜磁場チャンネルの違いや傾斜磁場パルス波形の印加パターンの違いに依存することが知られている。つまり、各チャンネルに同一電流を供給した場合でも、傾斜磁場コイルの製造誤差などに因り、チャンネル毎に異なったB0 シフト量を持つ。また、MR画像を得るには、スライス方向、位相エンコード方向、および読出し方向の各方向に互いに異なるパルス波形の傾斜磁場を印加する必要があるが、このパルス波形(印加パターン)の違いに因ってもB0 シフト量は異なる。
【0009】
このため、前述した公報記載の手法で最適シミング状態にし、周波数のずれΔfを考慮したとしても、パルスシーケンス毎および撮像スライス毎にB0 シフト量が異なる。例えば、シミング値および脂肪抑制シーケンスが例えばアキシャル断面にて最適脂肪抑制となるように設定されたとしても、撮像断面をコロナル面やサジタル面に変更した場合、FOV(field of view )やスライス厚を変更した場合などに脂肪抑制状態が変わってしまう。したがって、このB0 シフトの考慮不足によって、高精度で且つ安定した脂肪抑制を行うことは今だ困難な状況にあった。
【0010】
本発明は、このような従来技術による不都合に鑑みてなされたもので、静磁場の不均一性、傾斜磁場コイルの仕様の製造上のばらつきなどに起因した「B0 シフト」と呼ばれる現象を考慮し、より高精度で且つ安定した脂肪抑制などのプリパルス機能を発揮させ、高品質のMR像を提供することを、その目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成させるため、本発明のMRI装置によれば、複数の物理的なチャンネルを介して傾斜磁場を被検体に印加する手順を含む撮像シーケンスを実行して当該被検体からMR信号を収集するようにしたMRI装置であって、プリパルスを含む撮像シーケンスのスキャン条件を入力する入力手段と、X軸、Y軸およびZ軸それぞれについて、傾斜磁場波形をスライス用、読出し用および位相エンコード用と変えて実行した測定シーケンスにより予め得られた測定データに基づく、前記X軸、Y軸およびZ軸それぞれのチャンネル並びに前記撮像シーケンスにおいて用いられるスライス用、読出し用および位相エンコード用のそれぞれの傾斜磁場の印加パターンの組合せについての係数を、シフトの影響を補正するための補正量として記憶する記憶手段と、前記係数および前記スキャン条件に基づいて前記B シフトによる前記プリパルスの周波数の変更分を演算する演算手段と、前記変更分に基づいて前記プリパルスの周波数を補正し、かつ前記補正量を前記撮像シーケンスに反映させる補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
好適には、前記入力手段は、脂肪抑制パルスを含む撮像シーケンスのスキャン条件を入力するように構成される。
【0013】
また、好適には、前記入力手段は、MTCパルスを含む撮像シーケンスのスキャン条件を入力するように構成される。
【0014】
また、好適には、前記補正手段は、脂肪抑制用の送信RFパルスと、前記送信RFパルスの印加後に前記X軸、Y軸およびZ軸それぞれのチャンネルの少なくとも1つに印加される傾斜磁場スポイラパルスとを含む撮像シーケンスに前記補正量を反映させるように構成される。例えば、前記補正手段は、脂肪抑制用の送信RFパルスと、前記送信RFパルスの印加後に前記X軸、Y軸およびZ軸の複数の物理チャンネルにそれぞれ印加される3つのパルスから成る傾斜磁場スポイラパルスとを含む撮像シーケンスに前記補正量を反映させるように構成される。
【0015】
また、例えば、前記記憶手段は、傾斜磁場スポイラおよびその傾斜磁場を含むシーケンス部分を複数回繰り返す前半のシーケンスと、前記前半シーケンスの後に実行されるRFパルスの印加およびFID信号の収集を含む後半のシーケンスとから成る測定シーケンスにより得られた測定データに基づく補正量を記憶するように構成される。
【0016】
さらに、前記記憶手段は、このMRI装置を現場に据え付ける据付け時に前記測定シーケンスを実行することによって得られた測定データに基づく補正量を記憶するように構成してもよい。或いは、前記記憶手段は、実際の被検体の撮像時に前記測定シーケンスを実行することによって得られた測定データに基づく補正量を記憶するように構成してもよい。
【0017】
さらに、このMRI装置には、前記被検体の撮像部位を含む3次元領域に対して1次シミングを実行して最適シミング値およびスペクトルの周波数軸上のずれ量を求める手段と、前記最適シミング値および周波数軸上のずれ量に基づき前記撮像シーケンスを補正する手段を備えてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に基づき説明する。
【0019】
第1の実施形態
本発明の第1の実施形態を図1〜図11に基づき説明する。
【0020】
この実施形態にかかるMRI(磁気共鳴イメージング)装置の概略構成を図1に示す。
【0021】
このMRI装置は、被検体Pを載せる寝台部と、静磁場を発生させる静磁場発生部と、静磁場に位置情報を付加するための傾斜磁場発生部と、高周波信号を送受信する送受信部と、システム全体のコントロール及び画像再構成を担う制御・演算部と、被検体Pの心時相を表す信号としてのECG信号を計測する心電計測部とを備えている。
【0022】
静磁場発生部は、例えば超電導方式の磁石1を有するガントリと、この磁石1に電流を供給する静磁場電源2とを備え、ガントリに形成された円筒状の開口部(診断用空間)の軸方向(Z軸方向)に静磁場H0 を発生させる。この開口部には被検体Pが遊挿される。寝台部は、寝台本体と被検体Pを載せた天板とを備え、この天板をガントリ(すなわち磁石1)の開口部に退避可能に挿入できるようになっている。
【0023】
磁石1には、2次以上の高次のシミングを実施するためのシムコイル14が設けられている。2次以上のシミングを実施するときには、後述するホスト計算機の制御下で、シムコイル14に対してシムコイル電源15から静磁場均一化のための電流が供給される。
【0024】
傾斜磁場発生部は、磁石1に組み込まれた傾斜磁場コイルユニット3を備える。この傾斜磁場コイルユニット3は、互いに直交する、ガントリの物理軸としてのX、Y、Z軸方向の傾斜磁場を発生させるための3組(種類)のx,y,zコイル3x〜3zを備える。傾斜磁場部はさらに、x,y,zコイル3x〜3zに電流を供給する傾斜磁場電源4を備える。この傾斜磁場電源4は、後述するシーケンサ5の制御のもと、x,y,zコイル3x〜3zに傾斜磁場を発生させるためのパルス電流を供給する。
【0025】
傾斜磁場電源4からx,y,zコイル3x〜3zに供給されるパルス電流の割合および大きさを制御することにより、3軸X,Y,Z方向の傾斜磁場を合成して、スライス方向傾斜磁場Gss、位相エンコード方向傾斜磁場Gpe、および読出し方向(周波数エンコード方向)傾斜磁場Groを任意に設定・変更することができる。スライス方向、位相エンコード方向、および読出し方向は互いに直交する論理軸を成し、この各方向の傾斜磁場は静磁場H0 に重畳される。
【0026】
送受信部は、磁石1内の診断用空間にて被検体Pの近傍に配設される高周波コイル7と、このコイル7に接続された送信器8T及び受信器8Rとを備える。この送信器8T及び受信器8Rは、後述するシーケンサ5の制御のもとで、磁気共鳴(MR)を励起させるためのラーモア周波数のRF電流パルスを高周波コイル7に供給するとともに、高周波コイル7が受信したMR信号(高周波信号)を受信し、各種の信号処理を施して、対応するデジタル信号を形成するようになっている。
【0027】
さらに、制御・演算部は、シーケンサ(シーケンスコントローラともいう)5、ホスト計算機6、演算ユニット10、記憶ユニット11、表示器12、入力器13および音声発生器16を備える。
【0028】
この内、ホスト計算機6は、記憶させたソフトウエア手順により、シーケンサ5にパルスシーケンス情報を指令するとともに、シーケンサ5を含む装置全体の動作を統括する機能を有する。
【0029】
本実施形態のMRI装置では、脂肪抑制パルスを含む事前シーケンスを実行して、いわゆる脂肪抑制を行った後、画像データの収集シーケンスを実行するスキャン法が採用されている。事前シーケンスおよびデータ収集シーケンスにより本発明の撮像シーケンスが形成される。このスキャン法により、脂肪から発生するMR信号を抑制したMRデータが収集され、診断部位の脂肪を抑制することができる。これを実現するため、ホスト計算機6は、MRI装置を病院などに据え付ける据付け時におけるB0 シフト量の測定、ならびに、実際の撮像時における1次シミングに拠る傾斜磁場のオフセット調整およびB0 シフト量の測定値に応じた脂肪抑制パルスのRF周波数の調整を実行するようになっている。これらの処理は後述する。
【0030】
シーケンサ5はCPUおよびメモリを備えている。これにより、シーケンサ5は、ホスト計算機6から送られてきたパルスシーケンス情報をそのメモリに記憶し、この情報にしたがって傾斜磁場電源4、送信器8R、受信機8Tの一連の動作を制御する。ここで、パルスシーケンス情報とは、一連のパルスシーケンスにしたがって傾斜磁場電源4、送信器8R、受信器8Tなどを動作させるために必要な全ての情報であり、例えばx,y,zコイル3x〜3zに印加するパルス電流の強度、印加時間、印加タイミングなどに関する情報を含む。
【0031】
このパルスシーケンスとしては、2次元スキャンまたは3次元スキャンのものであってもよいし、またそのパルス列の形態としては、SE(スピンエコー)法、FE(フィールド・グラジェントエコー)法、FSE(高速SE)法、FASE(Fast Asymmetric SE)法、EPI法など、どのようなパルス列であってもよい。
【0032】
また、演算ユニット10は、受信器8RからのMR信号のデジタルデータをシーケンサ5を介して入力してフーリエ空間(k空間または周波数空間とも呼ばれる)への原データ(生データとも呼ばれる)の配置、および、原データを実空間画像に再構成するための2次元または3次元のフーリエ変換処理を行うようになっている。この演算ユニット10の機能はホスト計算機6に持たせるように構成してもよい。
【0033】
記憶ユニット11は、原データおよび再構成画像データが施された画像データを保管することができる。表示器12は画像を表示する。また入力器13を介して、スキャン条件、パルスシーケンスなどの情報をホスト計算機6に入力できるようになっている。この演算ユニット10の機能はホスト計算機6に持たせるように構成してもよい。
【0034】
音声発生器14は、シーケンサ5またはホスト計算機6から指令があったときに、息止め開始および息止め終了のメッセージを音声として発することができる。
【0035】
さらに、心電計測部は、被検体の体表に付着させてECG信号を電気信号として検出するECGセンサ17と、このセンサ信号にデジタル化処理を含む各種の処理を施してシーケンサ5に出力するECGユニット18とを備える。この心電計測部による計測信号は、スキャンシーケンスを実行するときのタイミング信号としてシーケンサ5により用いられる。これにより、心電同期のための同期タイミングを適切に設定でき、この設定した同期タイミングに拠る心電同期スキャンを行ってMR原(生)データを収集できるようになっている。
【0036】
続いて、本実施形態のMRI装置の動作を図2〜図11に基づき説明する。
【0037】
まず、このMRI装置を病院等の医療現場に据え付けるときなどに予め行っておくB0 シフトに関する量の測定の動作を説明する。なお、このB0 シフトに関する量の測定は脂肪抑制画像の撮像前に行っておけばよく、かかる測定タイミングの一例が「装置据付時」であるというだけであって、必ずしも「装置据付時」に限定される必要ない。例えば、このB0 シフトの測定だけを定期的に行ってもよいし、定期保守時に併せて行ってもよい。
【0038】
例えば据付時において、静磁場磁石1を駆動して静磁場を発生させた状態で、診断用空間に生体の特性を模したファントムを入れ、B0 シフトの事前測定が行われる。
【0039】
ホスト計算機6およびシーケンサ5は、図2に示す処理を実行する。まず、B0 シフトの事前測定指令を含む操作情報がオペレータから入力器13を介してホスト計算機6に伝えられる(ステップ49)。ホスト計算機6は、この指令に応答してシーケンサ5に事前測定の開始を指令するとともに、この測定に使用する各種の傾斜磁場波形のデータなどの空打ち情報をシーケンサ5に送る(ステップ50)。
【0040】
このため、シーケンサ5は、B0 シフトの事前測定の開始指令があったか否かを判断しながら待機していた状態(ステップ51)から抜け出して、本発明の測定シーケンスを表す図3のシーケンスの内、左側前半部分に示す空打ちのシーケンスを指令する(ステップ52)。
【0041】
この空打ちシーケンスは、各物理チャンネル毎且つ各傾斜磁場波形毎のB0 シフトに関わる係数を求めて、装置全体のB0 シフト量を演算するために実行される。そこで、この空打ちシーケンスは、装置の物理軸X,Y,Zのそれぞれに対し、スライス用傾斜磁場波形Gss、読み出し用傾斜磁場Gro、および位相エンコード用傾斜磁場Gpeのそれぞれを当てはめ、合計で9(=3×3)通りの組み合わせ夫々について複数回(例えば3〜20回程度)、連続的に実行される(ステップ53)。
【0042】
例えば図3に示す空打ちシーケンスは、X軸方向に最初に印加される傾斜磁場スポイラGspl-a 、これに続くスライス用傾斜磁場Gss、および、この後に印加されるエンドスポイラ(傾斜磁場スポイラ)Gspl-b を示している。スポイラGspl-a,b は必ずしも必須では無いが、実際の脂肪抑制シーケンスでは脂肪抑制パルスの印加後やデータ収集シーケンスの最後に、このスポイラを印加することが多い。そのような場合、実際のシーケンスに極力合わせた状態でB0 シフトに関する量を測定するために、図3に示すように、スポイラGspl-a,b を印加することが望ましい。このX軸、スポイラGspl-a 、スライス用傾斜磁場Gss、およびエンドスポイラGspl-b による1つの組み合わせについて、傾斜磁場電源4が駆動され、xコイル3x,3xを介して、上述したように傾斜磁場Gspl-a, Gss,Gspl-b が複数回、空打ち(パルス印加)される。
【0043】
ここで、空打ちを複数回行う理由は、B0 シフト現象の成り立ちに起因するもので、傾斜磁場が印加され、その磁場が静磁場磁石まで反映されて安定(飽和)した磁場変化の時定数が長い状態をつくり出すためである。したがって、この空打ち回数は、磁場変化のそのような長い時定数に対応した複数回数であると定義してもよい。
【0044】
この1つの組み合わせに対する複数回の傾斜磁場の空打ちが終わると、シーケンサ5は、図3の後半部分に示すように、例えばフリップ角が90°のRFパルスをRFコイル7から印加して原子核スピンを励起する(ステップ54)。このRFパルスの励起時に印加する傾斜磁場は、極力、渦電流の原因とならないように立ち上りと強度に配慮する。また、このRFパルスのフリップ角は任意である。
【0045】
この励起によってFID(自由誘導減衰)信号が発生し、この信号がRFコイル7により受信される。RFコイル7が受信したFID信号は受信器8Rからデジタル量のFID信号としてホスト計算機6に出力されてくる。
【0046】
そこで、ホスト計算機6は、それまで待機していた状態から、デジタル量のFID信号を所定期間(例えば200ms)の間、入力する(ステップ55)。
【0047】
次いで、ホスト計算機6は、入力したFID信号をフーリエ変換してその周波数スペクトル分布を求める(ステップ56)。さらに、所定磁場強度における予め定めた基準となる、プリパルスを加えない場合のスペクトルの水の共振中心周波数f0 から、上述で求めたスペクトルの水の共振中心周波数f0 ′までのずれ量Δfを求める(ステップ57:図4参照)。
【0048】
ここで、対象とするB0 シフトの時定数によっては、90°−180°パルスによるスピンエコー信号を用いてデータ収集時間を延長し、計測の精度を向上させることも可能である。
【0049】
次いで、ホスト計算機6は、このずれ量Δfに対応する係数a11を適宜な手法で演算し、内蔵する不揮発性メモリ内の所定アドレス位置に設定した、図5に模式的に示す「3×3」のマトリクスの該当する要素位置に記憶する(ステップ58)。
【0050】
以上説明した、シーケンサ5によるステップ51〜54の処理およびホスト計算機6によるステップ55〜58の処理は、X軸、Y軸、およびZ軸それぞれについて傾斜磁場波形をGss,Gro,Gpeと変えて合計9回実施される(ステップ59、60)。
【0051】
なお、位相エンコード量自体は繰返し時間毎にその値が変更される成分であるので、上述した空打ちシーケンスにおいて、位相エンコード方向に対応する物理軸方向に、位相エンコード量を模した傾斜磁場は印加せず、エンドスポイラに止めておくことが望ましい。
【0052】
続いて、上述のように求められた係数データa11,…,a33を使用して、実際の撮像時に実行する装置全体のB0 シフト量の演算法を説明する。この処理を図6に示す。この処理はホスト計算機6によって、撮像用のデータ収集シーケンスの実行前に行われる。
【0053】
ホスト計算機6は、入力器13からの操作情報を入力して、その操作情報から各物理軸方向に印加される1種類または複数種類の傾斜磁場の対応関係を判定する(ステップ71、72)。これにより、一例として、X軸方向をスライス用傾斜磁場Gssの印加に、Y軸方向を読み出し用傾斜磁場Groの印加に、かつZ軸方向を位相エンコード用傾斜磁場Gpeの印加に使用することが決まる。この例は、撮像スライスをオブリークさせない場合(撮像スライスを例えば物理軸に直交させる場合)である。撮像スライスをオブリークさせる場合は、2種類以上の傾斜磁場成分を重畳させる物理軸が存在する。
【0054】
次いで、ホスト計算機6は、内蔵メモリ内に記憶している図5に相当したマトリクスから、上記判定結果に対応した係数aを読み出す(ステップ73)。例えば上述したオブリークさせない例の場合、図5に相当したマトリクスから1行1列目の係数a11、2行2列目の係数a22、および3行3列目の係数a33が読み出される。撮像スライスをオブリークさせるときには、1つの傾斜磁場に対して、傾斜磁場成分の重畳比に応じて分割するように、2つ以上の係数を読み出す。例えば論理軸方向であるスライス用傾斜磁場Gssに対して、係数a11とa13を読み出す。
【0055】
次いで、既に与えられた操作情報の中で指令されたスキャン条件、例えば、撮像スライス位置(アキシャル、コロナル、サジタルなどの撮像断面の違いも含む)、FOVの大きさ、スライス厚、画像マトリクスサイズなどに応じて、読み出した係数を調整する(ステップ74)。例えば、測定した係数aがスライス厚が10mmのときのものであり、これから撮像しようとしているスライス厚が5mmならば、係数を2倍にする。
【0056】
次いで、調整した係数に基づき装置全体のB0 シフト量をベクトル合成(または加算)により求める(ステップ75)。例えば、撮像スライスをオブリークさせないときには、一例として、
【数1】
Figure 0004070300
のベクトル合成で全体量B0 が求められる。撮像スライスをオブリークさせる場合、例えば1つの傾斜磁場に相当するB0 シフト成分の演算に、オブリークさせる割合に応じて分割された2つ以上の係数が絡んでくる。例えば、
【数2】
Figure 0004070300
といった具合であり、これにより傾斜磁場1方向の重畳成分に起因したB0 シフト成分が演算される。
【0057】
次いで、ホスト計算機6は、この全体のB0 シフト量に応じて、後で実行する脂肪抑制パルスのRF周波数の変更分ΔfSUP を適宜な手法で演算する(ステップ76)。例えばB0 シフト量が大きいときは、RF周波数の変更分ΔfSUP を増大させ、その反対にB0 シフト量が小さいときは、RF周波数の変更分ΔfSUP を減少させるように演算する。そして、このRF周波数の変更分ΔfSUP を一次記憶する(ステップ77)。
【0058】
続いて、ホスト計算機6は、図7に示す、1次シミングを伴うマルチスライススキャンを行って、脂肪抑制画像を得ることになる。
【0059】
ホスト計算機6は、図7の最初のステップ81で、所望の3次元撮像領域(例えば図8に示すような頭部)の指定情報を入力するとともに、続くステップ82で、この3次元撮像領域を成す複数スライスの内の2以上の任意スライスを指定する。この任意スライスとしては例えば図8(a)に示すように、3次元領域の体軸Z方向の中心位置のスライスScen と、その3次元領域の体軸Z方向の両端位置のスライスSedg1、Sedg2とが自動的に又はオペレータからの指令に基づいて採用される。
【0060】
次いでステップ83にて、複数の指定スライスのそれぞれに対し、ホスト計算機6はシーケンサ5及び演算ユニット10にシングルスライスによる1次シミングを指令する。ここで言う「シミング」は、所定値以上の均一性を有する静磁場の中に患者Pを入れることにより乱れた静磁場の撮影領域の均一性を補正する処理である。この1次シミングは、位相エンコード及び読み出し用傾斜磁場を掛けないで、例えばSE法のシーケンスを使って指定スライスで実行される。これにより得られたエコー信号をフーリエ変換してスペクトルを得る(図9(a)参照)。このスペクトルの水の共鳴曲線Cwat および脂肪の共鳴曲線Cfat の半値幅Wwat 及びWfat をそれぞれ演算し、半値幅Wwat 及びWfat が最小となるように、傾斜磁場電源4からxコイル3x…3x、yコイル3y…3y、zコイル3z,3zに流すオフセット値(直流電流値)を調整する。この一連の処理は図9(b)に示す如く、半値幅Wwat 及びWfat の最小値が見つかり、水、脂肪の共鳴曲線Cwat 、Cfat がスペクトル上で確実に分離されるまで行われる。
【0061】
これとともに、ステップ84で、最小の半値幅Wwat 及びWfat となるようにxコイル3x…3x、yコイル3y…3y、zコイル3z,3zに供給する各オフセット値がX,Y,Z軸方向の1次最適シミング値Gxn,Gyn,Gznとして決定され、記憶される。
【0062】
さらに、ステップ85にて、水の共鳴曲線Cwat の中心周波数f0 をRFパルスの中心周波数として求め、この中心周波数f0 から3.5ppm だけ低周波数にある脂肪の中心周波数をも推定するとともに、この脂肪の中心周波数のずれ量 (周波数オフセット量)を演算する。
【0063】
次いでステップ86では、指定した複数スライス全てについて1次シミングを行ったか否かが判断され、例えば図8(a)に示すように3つのスライスScen ,Sedg1,Sedg2の指定であれば、この3スライス全てについて上述したステップ82〜85の処理が実行される。
【0064】
なお、上述の処理では、シングルスライス法により数回に渡りシミングを実施するようにしたが、マルチスライス法により一度に複数の任意スライスをシミングするように処理してもよい。
【0065】
ホスト計算機6は次いでステップ87に処理を移動させる。ステップ87では、所望の3次元撮像領域BR(図8(b)参照)の残りスライスの1次最適シミング値を推定演算する。具体的には、上述のように求めた1次最適シミング値(図8の例では、中心及び端部の3つのスライスScen ,Sedg1,Sedg2それぞれの1次最適シミング値)に基づいて1次又は高次のカーブフィッティングにより推定演算する。
【0066】
これが済むと、ステップ88で、残りのスライスの脂肪の共鳴曲線Cfat の中心周波数を、同じくカーブフィッティングにより推定演算するとともに、この脂肪の中心周波数のずれ量(周波数オフセット量)を演算する。
【0067】
さらにホスト計算機6はその処理をステップ89に進め、上記ステップ84及び87で求めた各スライスの1次最適シミング値(傾斜磁場のオフセット値)を内蔵メモリから読み出し、また上記ステップ85及び88で求めた脂肪の共鳴曲線の中心周波数のずれ量(周波数オフセット量)を読み出し、これらを撮像条件などの情報と共にシーケンサ5に与える。
【0068】
さらに、ホスト計算機6は、ステップ90にて、前述した図6の処理を実行することにより既に確定していた、B0 シフト量に対応する脂肪抑制パルスの周波数変更分ΔfSUP を内蔵メモリから読み出し、この変更分をシーケンサ5に与える。
【0069】
このステップ89、90の処理に呼応して、シーケンサ5は、これから実行しようとしているマルチスライススキャンに係る脂肪抑制SE法のパルスシーケンスの周波数および傾斜磁場を変更する。つまり、スライス用、読み出し用、および位相エンコード用の傾斜磁場それぞれに、各スライス毎に、1次最適シミング値を成す磁場オフセット値Gzn(Gxn,Gyn)が加えられる。また、各スライス毎に、脂肪抑制パルスPfat のRF周波数が、上述した周波数オフセット値とB0 シフト量に応じた変更分ΔfSUP とを加算するなどして変更される。
【0070】
このように準備が済むと、ホスト計算機6はステップ91の処理に移行し、マルチスライススキャンをシーケンサ5及び演算ユニット10に指令する。この結果、指定した3次元撮像領域BRは、例えば図10に例示する、脂肪抑制パルスPfat をプリパルスとして用いたCHESS(chemical shift selective)法に拠るマルチスライス法(SE法)によりスキャンされる。
【0071】
図10から分かるように、シーケンサ5は、マルチスライススキャンにおける各スライスの1エンコード毎に、与えられた1次最適シミング値Gxn,Gyn,Gznをオフセット量として印加している。このオフセット量の印加により、撮像する各スライス面の磁場均一性は図11に示すように全スライスにおいて、水、脂肪の共鳴曲線Cwat ,Cfat が良好に分離されるレベルの静磁場均一性を保持でき、かつ、脂肪抑制パルスPfat の励起周波数範囲はその中心周波数情報に基づいてスライス毎に調整されるので、脂肪の共鳴曲線Cfat に的確に一致する。
【0072】
同時に、この脂肪抑制パルスPfat のRF周波数は装置のB0 シフト量を勘案した値に自動的に設定されている。このRF周波数の微調整によって、脂肪抑制パルスPfat の励起範囲がスライス毎に脂肪の共鳴曲線と正確に一致するようになる。つまり、B0 シフト現象に因って、かかる励起範囲が脂肪の共鳴曲線から一部外れてしまうというスライスをほぼ完全に無くすることができる。したがって、前述した従来法とは異なり、B0 シフト現象が発生してもその影響が確実に排除され、精度の高い脂肪抑制効果が得られる。
【0073】
この結果、実際の1次シミングを行うのは最初の複数枚のスライスだけであるが、残りのスライスのシミング値を実測値から良好に推定することで、実際の1次シミングを3次元撮像領域全体にわたって実行したのとほぼ等価な磁場均一状態を達成でき、結果的に、広い3次元領域にわたって水、脂肪を確実に分離できる。
【0074】
これにより、どのスライスであっても脂肪抑制パルスが良好に効いて、B0 シフトにも殆ど影響されない、精度が高く且つ安定した脂肪抑制効果が発揮され、脂肪に因るアーチファクトが無いまたは殆ど無い高画質の複数枚のマルチスライス画像を得ることができる。実際に行うシミングは1次であるから、シミングも簡単で、とくに専用のシミングコイルを設置しなくてもよく、傾斜磁場コイルを兼用して容易に実施できる。
【0075】
とくに、この実施形態では、B0 シフト量を演算する過程で、スライス位置、FOV、スライス厚などのスキャン条件を加味するようにしているので、例えば、スライス位置がアキシャル断面からコロナルやサジタルの断面に変わる場合でも、またスライス厚が変わる場合でも、常に、B0 シフトの影響を回避できる脂肪抑制パルスの周波数を設定でき、これにより、高精度の脂肪抑制を実現できる。
【0076】
また、B0 シフト量は、据付時等に予め求め記憶している装置固有の係数値を使って各撮像の都度、演算して求めるようにしているので、スキャン位置、スライス厚などのスキャン条件のみならず、装置の物理軸と傾斜印加方向(論理軸)との対応関係が変わるスキャン、オブリークさせる/させないスキャンなど、撮像条件が個々に大幅に変わる場合でも難なく対応でき、非常に融通性、汎用性に優れた脂肪抑制法を提供できる。
【0077】
第2の実施形態
本発明の第2の実施形態に係るMRI装置を図12〜図13に基づき説明する。なお、この実施形態のMRI装置のハードウエア構成は第1の実施形態のものと同一または同等であるので、その説明を省略または簡略化する。
【0078】
この実施形態のMRI装置は、B0 シフトに関する量を撮像の度に推定演算することに特徴を有する。第1の実施形態の場合は、B0 シフト量の元になる傾斜磁場の印加パターンに応じた装置固有の係数を予め求め、記憶していたので、これは相違する。
【0079】
このMRI装置のホスト計算機6は、撮像時に、例えば前述した図7のスキャン実行に先立って、図12の示す一連のステップに示す処理を実行する。図12の内、ステップ49〜57の処理は、図2の同一符号のステップのものと同一である。
【0080】
この図12に示す処理においてステップ52で指令される空打ちシーケンスの一例を、図13の前半部分に示す。つまり、空打ち情報によって(ステップ50)、スポイラGspl-a 、傾斜磁場波形、およびエンドスポイラGspl-b を使用する論理軸各方向(スライス用傾斜磁場Gss,読出し用傾斜磁場Gro,位相エンコード用傾斜磁場Gpe)に対応して、物理軸X,Y,Z方向に印加する磁場波形の組み合わせが一意に決まるから、この一意に決まる1通りの組み合わせについてのみ複数回の空打ちが最初に実施される(ステップ52、53)。この場合も、位相エンコード用傾斜磁場自体は印加しない方が望ましい。この空打ち後に励起パルスを印加し、そのFID信号が収集される(ステップ54)。
【0081】
そして、FID信号の入力、フーリエ変換を行い(ステップ55、56)、さらに、所定磁場強度における予め定めた基準となる、スペクトルの水の共振中心周波数f0 からのずれ量Δf(図4参照)が求められる(ステップ57)。この周波数のずれ量ΔfはB0 シフトに対応した量である。
【0082】
そこで、ホスト計算機6は、周波数ずれ量Δfに応じて、適宜な手法で脂肪抑制パルスの周波数変更分ΔfSUP を演算し、これを記憶する(ステップ101,102)。この後、第1の実施形態のときと同様に、例えば図7に示すマルチスライススキャンが実施され、複数枚のスライス画像が得られる。
【0083】
このように本実施形態によってもB0 シフトの影響を的確に回避して精度の高い安定した脂肪抑制を実施できる。その一方で、B0 シフトに起因した脂肪抑制パルスの周波数調整は、所望の撮像条件(スキャン条件を含む)に基づき、撮像時に1回だけスポット的に実施すればよい。このため、周波数調整のデータ処理が簡単化され、簡便であるという利点もある。
【0084】
なお、上記各実施形態では最初に1次最適シミング値を計測する複数のスライスとして3枚を例示したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、残りのスライスの1次最適シミング値を推定演算できるスライス位置であれば、中心スライスと一方の端部のスライスとの組み合わせなど、最低2枚のみの計測であってもよい。
【0085】
さらに、上述した各実施形態ではCHESS法をSE法の元で実施する場合を説明したが、高速SE法やFE法であっても同様に実施できる。また、事前シーケンスとしてのCHESS法に用いる脂肪抑制パルスは、バイノミアルパルスであってもよいし、シンク関数、ガウシャン関数などであってもよい。
【0086】
さらに、上記各実施形態において、空打ちシーケンスで印加するスポイラなどの傾斜磁場波形は、B0 シフトまたはそれを反映した量を測定する上で、脂肪抑制シーケンスおよびデータ収集シーケンス(すなわち本シーケンス)と極力同一の条件で行う趣旨に沿っていればよく、スポイラの印加方向を特定の2方向または1方向に限定したり、傾斜磁場やスポイラの印加極性を変更するなど、適宜な変形が可能である。
【0087】
さらにまた、上記各実施形態では、事前シーケンスは脂肪抑制のプリパルス (脂肪抑制パルス)を印加するものとして代表的に説明してきたが、本発明のプリパルスはB0 シフトの影響を受けるプリパルスであれば、どのようなパルスにも適用でき、例えば、撮像スライスに流入する血流スピンを事前に飽和させるプリパルスや、MTC(magnetization transfer contrast )効果を起こさせるプリパルス(MTCパルス)であってもよい。
【0088】
このほか、当業者においては、特許請求の範囲に記載の各発明の要旨の範囲内において、さらに種々の変形例や展開例を構成することが可能であることは、この発明の詳細説明から明らかであろう。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るMRI装置では、例えばマルチスライススキャンを実施するときに、複数枚のスライスそれぞれに脂肪抑制のプリパルスを脂肪抑制精度良く印加でき、従来のようにBシフト現象を考慮していない撮像法よりも精度良く脂肪抑制できるなど、格段に低いS/Nで且つ安定した高品質のMR像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るMRI装置の一例を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に係るB0 シフトに関する係数を測定するための処理例を示すフローチャート。
【図3】B0 シフトに関する係数測定用の空打ちシーケンスを含むシーケンス。
【図4】周波数のずれ量を説明する図。
【図5】係数を記憶させるマトリクスの模式図。
【図6】撮像時のおけるB0 シフト量に対応した脂肪抑制パルスの周波数変更分を求めるための処理例を示すフローチャート。
【図7】撮像時の1次シミング処理、脂肪抑制パルスの周波数調整を含む撮像のための手順を示すフローチャート。
【図8】マルチスライススキャンに係る指定スライスと残りのスライスとの関係を説明する図。
【図9】シミング処理の概要を説明するスペクトル図。
【図10】実施形態に係る撮像用の一例を示すパルスシーケンス。
【図11】実施形態の脂肪抑制効果を説明する図。
【図12】第2の実施形態に係るB0 シフト量に応じた脂肪抑制パルスの周波数変更分を測定するための処理例を示すフローチャート。
【図13】B0 シフト量に応じた周波数変更分を測定するための、空打ちシーケンスを含むシーケンス。
【符号の説明】
1 磁石
2 静磁場電源
3 傾斜磁場コイルユニット
4 傾斜磁場電源
5 シーケンサ
6 ホスト計算機
7 RFコイル
8T 送信器
8R 受信器
10 演算ユニット
11 記憶ユニット
12 表示器
13 入力器

Claims (9)

  1. 複数の物理的なチャンネルを介して傾斜磁場を被検体に印加する手順を含む撮像シーケンスを実行して当該被検体からMR信号を収集するようにしたMRI装置において、
    プリパルスを含む撮像シーケンスのスキャン条件を入力する入力手段と、
    X軸、Y軸およびZ軸それぞれについて、傾斜磁場波形をスライス用、読出し用および位相エンコード用と変えて実行した測定シーケンスにより予め得られた測定データに基づく、前記X軸、Y軸およびZ軸それぞれのチャンネル並びに前記撮像シーケンスにおいて用いられるスライス用、読出し用および位相エンコード用のそれぞれの傾斜磁場の印加パターンの組合せについての係数を、シフトの影響を補正するための補正量として記憶する記憶手段と、
    前記係数および前記スキャン条件に基づいて前記B シフトによる前記プリパルスの周波数の変更分を演算する演算手段と、
    前記変更分に基づいて前記プリパルスの周波数を補正し、かつ前記補正量を前記撮像シーケンスに反映させる補正手段と、
    を備えたことを特徴とするMRI装置。
  2. 前記入力手段は、脂肪抑制パルスを含む撮像シーケンスのスキャン条件を入力するように構成されることを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
  3. 前記入力手段は、MTCパルスを含む撮像シーケンスのスキャン条件を入力するように構成されることを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
  4. 前記補正手段は、脂肪抑制用の送信RFパルスと、前記送信RFパルスの印加後に前記X軸、Y軸およびZ軸それぞれのチャンネルの少なくとも1つに印加される傾斜磁場スポイラパルスとを含む撮像シーケンスに前記補正量を反映させるように構成されることを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
  5. 前記補正手段は、脂肪抑制用の送信RFパルスと、前記送信RFパルスの印加後に前記X軸、Y軸およびZ軸の複数の物理チャンネルにそれぞれ印加される3つのパルスから成る傾斜磁場スポイラパルスとを含む撮像シーケンスに前記補正量を反映させるように構成されることを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
  6. 前記記憶手段は、傾斜磁場スポイラおよびその傾斜磁場を含むシーケンス部分を複数回繰り返す前半のシーケンスと、前記前半シーケンスの後に実行されるRFパルスの印加およびFID信号の収集を含む後半のシーケンスとから成る測定シーケンスにより得られた測定データに基づく補正量を記憶するように構成されることを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
  7. 前記記憶手段は、このMRI装置を現場に据え付ける据付け時に前記測定シーケンスを実行することによって得られた測定データに基づく補正量を記憶するように構成されることを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
  8. 前記記憶手段は、実際の被検体の撮像時に前記測定シーケンスを実行することによって得られた測定データに基づく補正量を記憶するように構成されることを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
  9. 前記被検体の撮像部位を含む3次元領域に対して1次シミングを実行して最適シミング値およびスペクトルの周波数軸上のずれ量を求める手段と、前記最適シミング値および周波数軸上のずれ量に基づき前記撮像シーケンスを補正する手段を備えることを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
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