JP4070002B2 - スパイラル型膜エレメント及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の流体(液体あるいは気体)中に存在する特定成分を分離する分離操作、または液体への気体溶解もしくは液体からの気体放散といった気液接触操作などに用いられるスパイラル型膜エレメント及びその製造方法に関する。詳しくは中空管の周囲の膜との間の封止部の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のスパイラル型膜エレメントは、2枚の膜の透過側に透過側流路材を介在させて袋状に3辺を封止した1組みの積層体(膜リーフ)を有孔の中空管に接続し、接続した積層体を供給側流路材を介在させつつスパイラル状に巻回した構造が知られていた。また、透過側の流路長を短くすべく、複数組みの積層体(膜リーフ)を用いたものも知られている。
【0003】
後者の基本構造としては、対向する膜の供給側に供給側流路材を介在させ、対向する膜の透過側に透過側流路材を介在させた積層体を有孔の中空管にスパイラル状に巻回してあり、供給側流路と透過側流路とが直接連通しないための封止構造を備えるものが一般的である。より具体的には、供給側流路材を膜の分離層側に挟み込んだ二つ折り膜リーフ及びこれに隣接する透過側流路材とからなる膜素材群の単数あるいは複数の積層体を、有孔の中空管の周りに巻き付けたものが既に公知である(例えば米国特許3,417,870号等)。
【0004】
このようなスパイラル型膜エレメントにおいて、上記の封止構造として図5に示すような中空管5の周囲の封止部Bが重要となる。即ち、積層体を中空管5の周りに巻回すると、膜1と中空管5との間に隙間(三角巣等)が生じるため、巻回後の工程で当該隙間部分にエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の接着剤を塗布して、硬化等させることで封止部Bを形成する必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のスパイラル型膜エレメントの製造方法では、次のような種々の問題があった。即ち、
(1)流動性の接着剤を塗布するための塗布工程が必要になり、作業工程が増える、生産効率が低下する、
(2)塗布した接着剤が完全硬化するまでに数十時間要するため、次の工程に進むのに長い待ち時間が必要になる、
(3)空隙部分の表面だけの塗布であり、シール性の確保という面では信頼性が薄い、などの問題がある。なお、シール性の低下は、分離膜の性能上、透過液の汚染や阻止率の低下などを生じさせる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、中空管の周囲の封止部を形成するための接着剤の塗布工程や硬化の待ち時間を不要にでき、しかも膜と中空管との間の封止部のシール性が良好なスパイラル型膜エレメント、及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明のスパイラル型膜エレメントは、対向する膜の供給側に供給側流路材を介在させ、対向する膜の透過側に透過側流路材を介在させた積層体を有孔の中空管にスパイラル状に巻回してあり、供給側流路と透過側流路とが直接連通しないための封止構造を備えるスパイラル型膜エレメントにおいて、前記封止構造のうち前記中空管の周囲の封止部が、その中空管と前記膜との間に弾性体を介在してなり、前記弾性体が熱可塑性樹脂の発泡体を含むことを特徴とする。
【0009】
一方、本発明のスパイラル型膜エレメントの製造方法は、有孔の中空管の周囲の封止部を形成する位置に弾性体を配置する工程と、対向する膜の供給側に供給側流路材を、対向する膜の透過側に透過側流路材を各々介在させた積層体を形成する工程と、この積層体を前記中空管に巻回する工程と、その中空管と前記膜との間で前記弾性体を配置させて中空管の周囲に封止部を形成する工程と、供給側流路と透過側流路とが直接連通しないためのその他の封止構造を形成する工程とを有し、前記弾性体を配置する際に、熱可塑性樹脂の発泡体を基材とする粘着テープを前記中空管の周囲に巻回することを特徴とする。ここで、その他の封止構造を形成する工程とは、膜同士などの各部材間の封止を行う工程を指し、この工程は複数に分けて行ってもよく、各工程は何れの段階で行ってもよい。
【0011】
[作用効果]
本発明のスパイラル型膜エレメントによると、中空管の周囲の封止部が中空管と膜との間に弾性体を介在してなるため、当該封止部を形成するための接着剤の塗布工程や硬化の待ち時間を不要にすることができる。また、弾性体を配置してあるため、適度な変形が生じ、中空管と膜との間の間隙を小さくして封止部のシール性を高めることができる。更に、中空管と膜との間に弾性体を介在させるため、弾性体の面積を大きくしてシール面積を大きくすることで、封止部のシール性を高めることができる。
【0012】
また、前記弾性体が熱可塑性樹脂の発泡体を含むため、発泡体のため変形を大きくして、中空管と膜との間の間隙をより小さくすることで、封止によるシール性を更に高めることができる。
【0013】
一方、本発明の製造方法によると、中空管の周囲の封止部を形成する位置に弾性体を配置して中空管の周囲の封止部を形成するため、当該封止部を形成するための接着剤の塗布工程や硬化の待ち時間を不要にすることができる。また、弾性体を用いているため、適度な変形が生じ、中空管と膜との間の間隙を小さくして封止部のシール性を高めることができる。更に、予め中空管の周囲に弾性体を配置するため、弾性体の面積を大きくしてシール面積を大きくすることで、シール性を高めることができる。
【0014】
また、前記弾性体を配置する際に、熱可塑性樹脂の発泡体を基材とする粘着テープを前記中空管の周囲に巻回するため、粘着テープを用いるため巻回するだけで中空管の周囲に弾性体を容易に配置することができ、その基材が発泡体のため変形を大きくして、中空管と膜との間の間隙をより小さくすることで、封止によるシール性を更に高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1(a)〜図3(b)は、本発明のスパイラル型膜エレメントの製造方法の一例を模式的に示す工程図である。まず、本発明の製造方法について説明する。
【0016】
本発明の製造方法は、図1(a)に示すように、有孔の中空管5の周囲の封止部A2を形成する位置に弾性体6を配置する工程を有する。封止部A2の形成位置は、膜1の幅に応じて決定され、膜1の両端が配置される位置の付近となる。
【0017】
中空管5としては、従来公知のものが何れも使用でき、例えば金属、繊維強化プラスチック、プラスチックまたはセラミックスなどからなる、有孔の中空管であればよい。孔5aの形状、大きさ、位置、個数なども膜種類などに応じて、従来公知のものがいずれも採用できる。但し、弾性体6との接着性を高める上で、繊維強化プラスチック、プラスチックが好ましい。
【0018】
弾性体6を構成する材料としては、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂の部分硬化物、ゴムの部分架橋物、又はそれらの発泡体などが挙げられるが、熱可塑性樹脂の発泡体を含むものが好ましい。特に、熱可塑性樹脂の発泡体を基材とする粘着テープ(両面テープを含む)を用いて、中空管5の周囲にそれを巻回することで、弾性体6を配置するのが好ましい。 粘着テープを用いる場合、10〜500KPaの圧力で1〜数十回分巻付けるのが好ましい。また、粘着テープの粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコーン系の粘着剤などが何れも使用できるが、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0019】
弾性体6の厚みは、0.01〜20mmが好ましく、0.1〜10mmがより好ましい。弾性体6の厚みが小さすぎると、中空管と膜との間の間隙を小さくする効果が少なくなる傾向があり、厚みが大きすぎると、弾性体6の変形が大きくなり、有効膜面積の減少や膜の変形などが生じる傾向がある。
【0020】
弾性体6を配置する幅は、5〜100mmが好ましく、10〜50mmがより好ましい。弾性体6の幅が小さすぎると、シール性が不十分となる傾向があり、弾性体6の幅が大きすぎると、透過側流路が狭くなり、また有効膜面積の減少する傾向がある。
【0021】
本発明の製造方法は、図1(b)に示すように、対向する膜1の供給側に供給側流路材2を対向する膜の透過側に透過側流路材4を各々介在させた積層体S2を形成する工程を有する。本実施形態では、複数の透過側流路材4の一端部を多孔シート10に所定間隔で固着し、固着された透過側流路材4の間に膜1及び供給側流路材2を挿入して積層体S2を形成する例を示す。
【0022】
本発明に用いられる膜1は、透過に一定以上の圧力損失を有する多孔質膜又は非多孔質膜であればよく、具体的には、精密濾過膜、限外濾過膜、ナノ濾過膜、逆浸透膜、イオン交換膜、気体分離膜、透析膜、などが挙げられる。膜の材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、ポリアミド、ポリイミド、フッ素樹脂等の高分子膜を用いることができる。
【0023】
供給側流路材2としては、スパイラル型膜エレメントとして従来公知の供給側流路材が何れも使用でき、ネット、メッシュ、線材織物、繊維織物、不織布、溝付きシート、波形シートなど何れでもよい。また、その材質もポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の樹脂の他、天然高分子、ゴム、金属など何れでもよい。但し、分離操作等の際に流路材からの溶出が問題となる場合、それを考慮して材質を選択するのが好ましい。
【0024】
供給側流路材2の厚みは0.3mm以上2mm以下であることが好ましく、供給側流路材2の厚み方向における空隙率は10%以上95%以下であることが好ましい。また、供給側流路材2がネット状である場合、そのピッチが0.5mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0025】
透過側流路材4としては、スパイラル型膜エレメントとして従来公知の透過側流路材が何れも使用でき、ネット、メッシュ、線材織物、繊維織物、不織布、溝付きシート、波形シートなど何れでもよい。また、その材質もポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、エポキシ、ウレタン等の樹脂の他、天然高分子、ゴム、金属など何れでもよい。但し、分離操作等の際に流路材からの溶出が問題となる場合、それを考慮して材質を選択するのが好ましい。
【0026】
透過側流路材4の厚みは0.1mm以上2mm以下であることが好ましく、透過側流路材4の厚み方向における空隙率は10%以上80%以下であることが好ましい。また、透過側流路材4がネット状である場合、そのピッチが0.3mm以上5mm以下であることが好ましい。
【0027】
多孔シート10としては、流体の透過がある程度生じるものであれば何れでもよく、透過側流路材4のうち、この条件を満足するものが何れも使用できる。好ましい多孔シート10の形態としては、ネット、メッシュ、線材織物などが挙げられる。多孔シート10の開口率又は空孔率は10〜80%が好ましく、40〜80%がより好ましい。
【0028】
固着の方法としては、熱融着や超音波融着の他、接着剤による接着、粘着テープ、熱融着材による接着、縫合やステープル等による機械的な連結など何れでもよい。また、固着の際には、重ね代を設けてもよい。
【0029】
固着の部位としては、少なくとも流路材の一端部が固着されていればよいが、流路材の一辺(エレメントとしての中心側端辺)の略全長にわたって固着するのが、膜等のずれを確実に防止する上で好ましい。
【0030】
各々の流路材を多孔シート10に固着する際の間隔としては、等間隔でなくとも膜等の配置の仕方で修正することができるが、略等間隔とするのが好ましい。略等間隔とする場合、中空管5の外周長を固着する流路材の数で除した間隔とするのが好ましい。
【0031】
上記のように、事前に中空管5に流路材を固着することにより、等間隔の融着等が非常に簡易になり確実に出来るようになる。また、中空管5に透過側流路材を直接超音波にて融着する手段が既に知られているが、この方式だと高音による人体への影響や中心管5の有孔部の融着不足及び円周上での融着が困難であり等間隔にならない等の問題が発生していたが、この点の問題も本方式で解決できる。
【0032】
本実施形態では、図1(b)に示すように、多孔シート10を部分的に中空管5に固着しておくが、この工程は、多孔シート10などを中空管5に巻回するまでに行えばよい。例えば、流路材を多孔シート10に固着する前又は直後、あるいは多孔シート10などを中空管5に巻回する直前などである。なお、多孔シート10の固着工程は、多孔シート10の滑りがない場合など、必ずしも必要な工程ではない。
【0033】
多孔シート10を中空管5に固着する方法としては、熱融着や超音波融着の他、接着剤による接着、粘着テープ、両面テープ、熱融着材による接着、機械的な固着など何れでもよい。固着の部位としては、少なくとも多孔シート10が部分的に固着されていればよいが、多孔シート10の端辺の略全長にわたって固着するのが、巻回工程を良好に行う上で好ましい。
【0034】
本実施形態では、膜1及び他方の流路材である供給側流路材2を挿入する際に、交互に折り返した連続膜を使用し、連続膜の供給側に予め供給側流路材2を介在させた積層物S1を準備しておく例を示す。このような積層物S1は、例えば図2(a)〜図3(b)に示す工程図のようにして作製することができる。
【0035】
まず、図2(a)に示すように、膜1の両端のシール性を高めるために、連続膜である膜1の両端を部分的に熱融着(緻密化)して融着部1aを形成する。例えば、幅900〜1016mmの連続膜(具体的には日東電工(株)製759HRの924mm幅の膜など)の場合、それをロールから繰り出しながら、両端から30mmの領域のうち、30mm以下の幅で熱融着(ヒートシール、超音波ウェルダーなど)を連続的に行う。図示した例では、両端から10mm位置より内側に幅5mmの融着部1aを設けている。
【0036】
次に、図2(b)に示すように、融着部1aの上の透過側に、両端から5〜30mm幅の熱融着テープ11(例えば20mm幅)を10kPa以上の圧力でシワが入らないように貼りつける。熱融着テープ11は、熱融着性の基材テープに粘着剤層を設けたもの等であり、粘着剤層を設けていないものでもよい。
【0037】
次に、図2(c)に示すように、供給側の膜面に等間隔で、補強用の粘着テープ12(例えば、日東電工(株)製PETテープNo.31B、50mm幅)の20〜50mm幅を、長さ方向に500〜1500mmの等間隔(具体的には750mm)で幅方向にシワの入らないように貼り付ける。これは連続で折りたたんだときの山折り側、谷折り側になる部分である。
【0038】
次に、図3(a)に示すように、幅900〜1016mm(具体的には924mm)のPP製の供給側流路材2を500〜1500mm(具体的には750mm)に切断しておき、粘着テープ12を貼り付けたところに交互に供給側流路材2を固定していく。固定方法については、熱融着、ステープル、テープ、樹脂などあるが超音波ウェルダーが好ましい。
【0039】
次に、図3(b)に示すように、供給側流路材2を固定した粘着テープ12の部分のほぼ中央部分を供給側流路材2が内側になるように折り曲げる。それを設定リーフ分(例えば32リーフ)折り曲げて、積層物S1とする。この時、供給側流路材2を取りつけてないほうは折り曲げていない状態となる。続いて、折目部の強度アップのために40〜150℃、10〜500kPaのエアー圧力で熱プレスを1〜120秒間行うのが好ましい。
【0040】
この積層物S1を、図1(b)のように多孔シート10に固着された透過側流路材4の間に挿入するには、例えば各々の透過側流路材4とリーフとを、載置面の両側から1枚づつ交互に重ねていけばよく、この工程は自動化することも可能である。また、図3(b)に示すような折り曲げ工程を行う際に、透過側流路材4を順次介在させていく方法も可能である。本発明ではこのように、積層物S1や流路材を固着した多孔シート10を予め準備しておくことにより、生産性の面でも非常に効率がよくなる。
【0041】
図2〜図3で例示した工程に対応する中空管5としては、例えば変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂製φ38mm、1016mmの中空管が用いられ、多孔シート10としては、幅800〜1016mmのPET製の透過側流路材を500〜2000mm(具体的には1750mm)に切断したものなどが使用できる。透過側流路材4としては、500〜1500mmの透過側流路材が使用できる。
【0042】
本実施形態では、積層物S1を挿入して積層体S2とした後に、供給側流路と透過側流路とが直接連通しないための封止構造を形成する工程を行う例を示す。この例では、前記の熱融着テープ11を利用して、対向する膜1の透過側に透過側流路材4を介在させた状態で膜1の両端部を封止すると共に、膜1の両端部と多孔シート10との近接部を固着する。前者の封止により両端封止部A1が形成される。その際、膜1の両端部を順次リーフ数の分だけ封止していき、その封止後に多孔シート10との近接部を固着してもよい。
【0043】
当該封止の方法については、熱融着テープ11を用いた熱融着や超音波融着の他、接着剤による接着、粘着テープ、両面テープ、熱融着材による接着など何れでもよい。
【0044】
本発明の製造方法は、図1(c)に示すように、積層体S2を前記中空管5に巻回する工程を有する。本実施形態では、積層体S2及び多孔シート10を同時に巻回する例を示したが、予め多孔シート10を巻回してから、積層体S2を巻回してもよい。
【0045】
巻回は、巻付用のチャックに中空管5をセットし、このチャックをある一定の速度とテンションで巻き上げればよい。また、ある一定の速度で巻き上げた後にロールにて荷重方式にて巻き上げる方式で行うことも可能であるが、前者の方法が好ましい。その際、中心部のテンションは膜1の幅1000mmあたり50〜700Nで行うのが好ましい。
【0046】
本発明の製造方法は、中空管5と膜1との間で弾性体6を融着させて中空管5の周囲に封止部A2を形成する工程と、供給側流路と透過側流路とが直接連通しないためのその他の封止構造を形成する工程とを有する。後者の工程としては、前述した両端封止部A1の形成工程や、連続膜を使用せずに複数のリーフを使用する場合における膜1の外側端辺の封止工程が挙げられる。
【0047】
弾性体6の接着は、加熱融着、超音波融着、両者の併用、粘着剤、接着剤などにより行うことができる。
【0048】
本発明では、巻回の後に、熱融着等した封止部分の残留応力を除去するために、適当な温度で熱処理したり、あるいは前記巻回工程を熱融着等が離反しない温度で加熱等しながら行ってもよい。また、以上の工程の後に、膜1の外周面にネット等の外周部流路材を巻回してもよく、外周面の封止、粘着テープの巻回などを行ってもよい。
【0049】
一方、本発明のスパイラル型膜エレメントは、以上のような製造方法によって好適に製造し得るものである。即ち、本発明のスパイラル型膜エレメントは、図4に示すように、対向する膜1の供給側に供給側流路材2を介在させ、対向する膜1の透過側に透過側流路材4を介在させた積層体を有孔の中空管5にスパイラル状に巻回してあり、供給側流路と透過側流路とが直接連通しないための封止構造を備え、前記封止構造のうち前記中空管5の周囲の封止部A2が、その中空管5と前記膜1との間に弾性体6を介在してなることを特徴とする。
【0050】
膜1、供給側流路材2、透過側流路材4、中空管5、弾性体6及びそれらの結合関係、並びに封止構造については、先に述べた通りである。なお、本発明のスパイラル型膜エレメントは、モジュール化された後又は直接に分離装置等に組み込まれ、前述した膜の種類に応じた用途に使用することができる。
【0051】
[他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、多孔シートに透過側流路材を所定間隔で固着し、その透過側流路材の間に膜及び供給側流路材を挿入して積層体を形成する例を示したが、本発明は多孔シートを用いずに実施することができる。その場合、例えば透過側流路材を弾性体に固着又は仮固着した後、その間に膜及び供給側流路材を挿入して膜(膜に貼着したテープを含む)を弾性体に固着又は仮固着してから積層体を巻回させればよい。
【0052】
(2)前述の実施形態では、弾性体を配置する際に粘着テープを中空管の周囲に巻回する例を示したが、粘着テープの代わりに、O型スリーブ又はC型スリーブを外嵌したり、弾性体を一定厚みで中空管の周囲に塗布して固化させたり、あるいは多孔シート側に弾性体層を形成してもよい。
【0053】
(3)前述の実施形態では、中空管を透過側の流路とすべく、透過側流路材を多孔シートに固着する例を示したが、濃度分極によるケークの形成等が問題とならない場合など、中空管を供給側の流路とすべく、供給側流路材を多孔シートに固着してもよい。
【0054】
(4)前述の実施形態では、交互に折り返した連続膜の供給側に予め供給側流路材を介在させた積層物を準備しておき、これを透過側流路材の間に挿入する例を示したが、まず連続膜を透過側流路材の間に挿入した後、続いて連続膜の間に供給側流路材を挿入してもよい。
【0055】
(5)前述の実施形態では、膜の両端封止部を形成(封止)した後に、多孔シート等を中空管に巻回する例を示したが、多孔シート等を中空管に巻回した後に又は巻回しながら、膜の両端部を順次リーフ数の分だけ封止していき、その封止後に多孔シートとの近接部を封止するなどしてもよい。
【0056】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0057】
実施例1
本発明の効果の確認のために、図1〜図3に示す製造方法に従って、次のようにして本発明のスパイラル型膜エレメントを製造し、シール性を評価した。即ち、変性PPE樹脂製φ38mm、1016mmの中空管の封止部を形成する位置に下記の発泡テープを10KPaの圧力で10回分巻付けて弾性体を配置した。
【0058】
構造:粘着剤(アクリル系)、基材(独立気泡ポリエチレンフォーム)、厚み0.33mm、引張強さ:35.6kg/cm2 、伸び率:411%、密度0.55g/cm3 、基材フォーム層の発泡倍率:5.0倍、圧縮硬さ:30〜90kPa、せん断接着力:7.5〜8.5kg/cm2 、180°剥離接着力:1000〜1400g/25mm。
【0059】
更に多孔シートとしてPET製の透過側流路材(繊維織布タイプ、長さ1750mm)、透過側流路材としてPET製の透過側流路材(繊維織布タイプ、長さ750mm)、膜として日東電工(株)製759HR(924mm幅、連続膜)、供給側流路材としてPP製の供給側流路材(ネットタイプ、長さ750mm)、熱融着テープとして20mm幅の日東電工(株)製,M−5213SSを用いた。
【0060】
また、膜の両端部の封止は通常通り行い、巻回時の中空管付近のテンションは、400Nとし、その後温度110℃で1.5時間加熱することにより、封止部を融着させた。気密保持検査を行い補修樹脂無しでシール性を確保できた。このシール性の確認は透過側から49KPaの圧縮エアーでの漏れ、エレメントを真空状態にし−530mmHg→−480mmHgまでの保持時間測定にて漏れの無いことを確認した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパイラル型膜エレメントの製造方法の一例を模式的に示す工程図
【図2】図1に示す工程の一部を更に詳細に示す工程図
【図3】図1に示す工程の一部を更に詳細に示す工程図
【図4】本発明のスパイラル型膜エレメントの一例を示す部分破断した側面図
【図5】従来のスパイラル型膜エレメントの一例を示す部分破断した側面図
【符号の説明】
1 膜
2 供給側流路材
4 透過側流路材
5 中空管
6 弾性体
10 多孔シート
A1 両端封止部(封止構造)
A2 内周封止部(封止構造)
Claims (2)
- 対向する膜の供給側に供給側流路材を介在させ、対向する膜の透過側に透過側流路材を介在させた積層体を有孔の中空管にスパイラル状に巻回してあり、供給側流路と透過側流路とが直接連通しないための封止構造を備えるスパイラル型膜エレメントにおいて、前記封止構造のうち前記中空管の周囲の封止部が、その中空管と前記膜との間に弾性体を介在してなり、
前記弾性体が熱可塑性樹脂の発泡体を含むことを特徴とするスパイラル型膜エレメント。 - 有孔の中空管の周囲の封止部を形成する位置に弾性体を配置する工程と、対向する膜の供給側に供給側流路材を、対向する膜の透過側に透過側流路材を各々介在させた積層体を形成する工程と、この積層体を前記中空管に巻回する工程と、その中空管と前記膜との間で前記弾性体を配置させて中空管の周囲に封止部を形成する工程と、供給側流路と透過側流路とが直接連通しないためのその他の封止構造を形成する工程とを有し、
前記弾性体を配置する際に、熱可塑性樹脂の発泡体を基材とする粘着テープを前記中空管の周囲に巻回するスパイラル型膜エレメントの製造方法。
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