JP4069024B2 - 化学変性dna断片増幅装置及び該装置によるdna断片増幅方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はDNAの増幅装置に関する。更に詳細には、本発明は化学変性によりDNAを増幅するための小型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、ヒトや動植物などの生命現象を遺伝子レベルで解明するための研究が活発に続けられている。このような研究の中心は遺伝子操作技術又は遺伝子組換え技術の開発に向けられている。ヒトや動植物などの生物の遺伝情報は遺伝子DNAに格納されている。従って、このDNAに格納されている塩基配列が遺伝情報の本質である。このような塩基配列の決定を行うために、被分析サンプルのDNAを多量に増幅する必要性が生じた。
【0003】
特定のDNA領域を挟んだ2種類のプライマーとDNA合成酵素によるDNA合成反応を繰り返すことにより、その特定領域を数十万倍に増幅する方法としてポリメラーゼ連鎖反応(PCR(Polymerase Chain Reaction))法が1985年にマリス(Mullis)らにより開発された。
【0004】
この方法は、その後、耐熱性酵素Taqポリメラーゼを利用した方法に改良されたことで、効率の良いPCR法として確立された。PCR法の原理は、例えば、非特許文献1に詳細に説明されている。このPCR法は基本的に、▲1▼変性ステップ、▲2▼アニーリングステップ及び▲3▼伸張ステップの3つのステップを順に繰り返すことにより特定のDNAのコピーを増やしていく。通常サイクルを25〜30回繰り返す。この反応によってnサイクル後には理論的には約2n倍に増幅されることになる。しかし、増幅が進むとともに、増幅物同士のアニーリングが起こるため、反応が頭打ちになり、実際は数十万倍程度の増幅となる。
【0005】
実際的には、PCR法は、▲1▼先ず、94℃で7分間加熱し、2本鎖DNAを熱変性により一本鎖に変性し、その後、Taqポリメラーゼを加える。▲2▼続いて、54℃、30秒間で一本鎖になったDNAとプライマーとのアニーリングを行う。▲3▼次に、72℃、1分間でTaqポリメラーゼによりDNA鎖を伸長させる。▲4▼次に再びDNA加熱変性を行うが、2回目以降のDNA加熱変性は94℃で1分間で行う。この後、以上のステップ▲2▼〜▲3▼〜▲4▼のサイクルを29回繰り返すが、最後のサイクルではステップ▲3▼を72℃、7分間としPCRを終了する。
【0006】
しかし、加熱変性式のPCR法では、94℃、54℃及び72℃の3種類の温度を繰り返し必要とするので、温度制御が難しく、また、マイクロチャネル内には数ピコリットルという量の試薬及びDNA断片溶液が含まれていることから、局部的な加熱や冷却によりチャネル内を勝手に移動してしまう可能性も考えられる。更に、チップの特定部位を各PCRステップの温度に対応させるには幾つかの方式が考えられているが、温度精度の点、総反応時間の点、反応効率に疑問がある。これは、現在扱われているPCRのように50℃〜70℃の一点のアニーリング温度が正確に試料に伝達されているか疑問だからである。特に、90℃〜98℃の一点に解離(ディネーチャー)作業からアニーリング作業は連続工程であり、サンプルにより異なる温度領域がそれぞれ干渉してはならないからである。
【0007】
加熱変性式のPCR法の別法として、化学変性式のPCR法が提案されている。二本鎖DNAは周囲のpHを10以上に傾けると解離し、一本鎖に変性する。この方法はアルカリ変性と呼ばれ、当業者に公知である。次に、pHを中性域の7近くに戻すと再対合(アニーリング)する(中和反応)。この中和再対合も当業者に公知である。この原理を30回繰り返せば、現在行われている加熱変性式のDNA増幅方法(PCR法)と同等のことができると考えられる。しかし、一般的には正確な試薬の量を秤量して添加していく手間などを考えると、小型の自動装置化に不向きであり、実際には装置化されていない。
【0008】
【非特許文献1】
服巻保行、PCR法の原理と実際、実験医学第9巻第10号「DNA診断と疾患の分子生物学」、1991(28−34)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は化学変性によりDNA断片を増幅するための小型装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、化学変性によりDNA断片を増幅するための装置であって、化学変性によりDNA断片の増幅反応を行わせるための所定の方向に延長される第1の流路と、前記第一の流路の一方の側に並列に配置された、アルカリ変性試薬溶液を供給するための所定の方向に延長される第二の流路と、前記前記第一の流路の他方の側に並列に配置された、中和反応試薬溶液を供給するための所定の方向に延長される第三の流路を有し、前記第二の流路は該流路壁に開口する、所定量のアルカリ変性試薬溶液を秤取するための複数本の第四の流路を有し、前記第三の流路は該流路壁に開口する、所定量の中和反応試薬溶液を秤取するための複数本の第五の流路を有し、前記第四の流路は、該流路と前記第一の流路とを連通するこれらの流路よりも細い第六の流路を有し、かつ、前記第五の流路は該流路と前記第一の流路とを連通するこれらの流路よりも細い第七の流路を有し、前記第六の流路と第七の流路とは前記第一の流路の両側に相対峙しないように離間されて互い違いに配置されていることを特徴とする化学変性DNA断片増幅装置により解決される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら本発明による化学変性DNA断片増幅装置を具体的に説明する。
【0012】
図1は本発明による化学変性DNA断片増幅装置の一例の部分概要平面図である。図1に示されるように、本発明の化学変性DNA断片増幅装置1は基本的に、化学変性反応を行わせるための所定の方向に延長される第一の流路3と、この第一の流路3の一方の側に並列に配置された、アルカリ変性試薬を供給するための所定の方向に延長される第二の流路5と、この前記第一の流路の他方の側に並列に配置された、中和反応試薬を供給するための所定の方向に延長される第三の流路7を有する。第二の流路5は該流路壁に開口する、所定量のアルカリ変性試薬を秤取するための複数本の第四の流路9を有する。第四の流路9は例えば、30本配設することができる。この本数はPCR増幅反応の回数と一致させることが好ましい。また、第三の流路7も、該流路壁に開口する、所定量の中和反応試薬を秤取するための複数本の第五の流路11を有する。第五の流路11の本数は前記第四の流路9の本数と同一であることが好ましい。アルカリ変性試薬秤取用の第四の流路9は第六の流路13により前記第一の流路3と連通されている。第六の流路13は前記第一の流路3,第二の流路5及び第四の流路9の何れよりも細く、濡れ難い又は相対的に毛管引力が働き難い性質を有することが好ましい。同様に、中和反応試薬秤取用の第五の流路11は第七の流路15により前記第一の流路3と連通されている。第七の流路15は前記第一の流路3,第三の流路7及び第五の流路11の何れよりも細く、濡れ難い又は相対的に毛管引力が働き難い性質を有することが好ましい。
【0013】
第一の流路3、第二の流路5及び第三の流路7はそれぞれ、それらの両端に、流路内に液体を出し入れするための大気に向かって開放されたポート17aと17b、19aと19b及び21aと21bを有する。例えば、ポート17a、19a及び21aには流路内の液体を圧送するための加圧手段(図示されていない)を接続することができる。
【0014】
第六の流路13と第七の流路15は、第一の流路の両側に相対峙しないように離間されて互い違いに配置することが好ましい。これは、第四の流路9内のアルカリ変性試薬が第六の流路13を介して第1の流路3内に押し出されることにより形成される液滴と、第五の流路11内の中和反応試薬が第七の流路15を介して第1の流路3内に押し出されることにより形成される液滴とが接触して不用意に反応してしまうことを防止するためである。従って、第六の流路13と第七の流路15との間隔はこれらの流路から押し出されて形成される液滴のサイズ及び化学変性DNA断片増幅反応の進行につれて徐々に増量していく反応液の容量を考慮して決定することができる。
【0015】
図2は図1におけるII-II線に沿った断面図である。図示されているように、本発明の化学変性DNA断片増幅装置1は、基本的に、高分子材料(例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シリコン樹脂、)、ガラスなど素材から形成された上側基板23と下側基板25の2枚の平板状基板を重ねて接合させることにより構成することができる。図2(a)では、第一の流路3,第二の流路5、第三の流路7、第四の流路9及び第五の流路11と各ポート17a〜21bが上側基板23内に形成され、第六の流路13及び第七の流路15が下側基板25内に形成されている。これにより、各流路は封止され、ポートだけが大気に開放されている。別法として、図2(b)に示されるように、全ての流路及びポートを上側基板23内に形成し、これら流路を下側基板25で封止することもできる。基板23及び25は透明でも、あるいは不透明でもよい。
【0016】
第一の流路3,第二の流路5、第三の流路7、第四の流路9及び第五の流路11の深さ(又は高さ)は特に限定されない。一般的に、1〜300μmの範囲内で適宜選択することができる。また、その幅も100〜300μmの範囲内で適宜選択することができる。第一の流路3を第二の流路5及び第三の流路7よりも幅広にすることもできる。第四の流路9及び第五の流路11の高さ及び幅はこの流路で秤取すべきアルカリ変性試薬量及び中和液量を考慮して決定することができる。第六の流路13及び第七の流路15の幅は数μm〜数十μmの範囲内であることが好ましい。
【0017】
基板内に流路及びポートを形成する技法としては例えば、光リソグラフィー法により鋳型を作製し、この鋳型からレプリカを作製することからなる、当業者に公知慣用の技法を使用することができる。その他、金型注型などの技術を用いて作製することもできる。
【0018】
図3は第四の流路9及び第五の流路11により所定量のアルカリ変性試薬又は中和液が秤取される原理を説明する図である。ここでは、説明の便宜上、第三の流路7と第五の流路で中和液を秤取する態様について説明する。ポート21a(図1参照)から中和液を注入し、ポート21b(図1参照)に達するまで第三の流路7内全体に中和液を満たさせる。第三の流路7に中和液100を導入した場合、第三の流路7の流路壁aaにおいて開口する第五の流路11の開口部c1を介して、中和液100を第五の流路11に導入することができる。第三の流路7および第五の流路11が濡れやすい流路壁を有する場合は、第三の流路7より第五の流路11を細くしておけば、中和液100はより強い毛管引力により第三の流路7の流路壁aaに開口する第五の流路11の開口部c1を介して第五の流路11に自発的に引き込まれる。第三の流路7および第五の流路11が濡れにくい流路壁を有する場合は、ポート21aより中和液100に適当な圧力を付与することにより第五の流路11に中和液100を導入することができる(図3(a)参照)。
【0019】
この際、第七の流路15(c2とd1の間の流路区間)の第五の流路11側の端面c2まで到達した中和液100は、濡れにくい流路壁を有する第七の流路15の毛管斥力によってせき止められ、第七の流路15に入り込むことはない。第五の流路11が濡れにくい流路壁の場合にも、第五の流路11の毛管斥力よりも第七の流路15の毛管斥力の方が強いため、第七の流路15に中和液100が入り込むことはない(図3(a)参照)。
【0020】
続いて、第三の流路7内に残留する中和液100を、例えば、ポート21a、21b(図1参照)の両端部に適当な圧力差を生起させてより低圧側に移動させるなどし、第三の流路7内から取り除く。この際、第五の流路11内の中和液100は、通常、第三の流路7内に戻って入り込むようなことはない。その結果、第五の流路11内の中和液100の両端面たる端面100aと端面100bとが、第五の流路11の開口部c1ならびに第三の流路7に繋がる側の端面c2に位置するようになり、第五の流路11のc1とc2の区間の容積に応じた体積の中和液100の秤取が可能となる(図3(b)参照)。
【0021】
さらに、第五の流路11内に秤取された中和液100は、第三の流路7の圧力が第一の流路3の圧力より僅かに大きくなるように、ポート21bを閉じてポート21aから圧力を加えるなどして、第七の流路15およびその開口部d1を介して、第一の流路3内に導入することができる。この際、中和液100を第一の流路3内に全て押し出してしまわず、第七の流路15内に一部残すと中和液100を第七の流路15の位置に留めておくことができる(図3(c)参照)。
【0022】
図4は本発明の化学変性DNA断片増幅装置1によりDNA断片が増幅される原理を説明する概要図である。ポート19a(図1参照)から反応液200を第一の流路3内に注入し、該流路内を矢線の方向に移動させる。反応液200は例えば、PCR用試薬、DNAサンプル、プライマー、酵素などが混合されている。反応液200は第四の流路9で秤取され第六の流路13を介して第1の流路3内に押し出されたアルカリ変性試薬液300と接触し、pH10以上となりサンプルのDNA2本鎖は解離する。このpH10以上に変性された反応液200は更に移動され、中和液100と接触し、pH7付近に戻されアニーリング(再対合)し、DNAサンプルが増幅する。本発明の化学変性DNA断片増幅装置1により、このアルカリ変性と中和を所定回数(例えば、30回)繰り返すことによりDNAサンプルは次々と増幅される。増幅反応生成物は第一の流路3の他端にあるポート19b(図1参照)から取り出すことができる。
【0023】
本発明の化学変性DNA断片増幅装置1によりDNAサンプルを効率的に増幅するために、本発明の化学変性DNA断片増幅装置1をアニーリング反応に好適な54℃付近に保つことが好ましい。このような目的のために、例えば、加熱手段(図示されていない)を下側基板25側に配置し、54℃付近に温度制御するか、又は、本発明の化学変性DNA断片増幅装置1を54℃付近の温度に維持された恒温槽内に配置して増幅反応を実施させる。
【0024】
アルカリ変性反応と中和反応が交互に進行するにつれて反応液200の容量が徐々に増大する。従って、図5に示されるように、第一の流路3の幅が反応液200の進行方向に向けて逓増するように構成することもできる。
【0025】
本発明の化学変性DNA断片増幅装置1は図1に示されるような矩形状(例えば、長方形状)に造形することもできるが、図6(a)に示されるような渦巻き状又は図6(b)に示されるような同心円状などの形状にして円盤上に造形することもできる。
【0026】
以上、本発明の化学変性DNA断片増幅装置1について好ましい実施態様を挙げて具体的に説明してきたが、本発明は前記実施態様にのみ限定されるものではない。例えば、第一の流路3の反応液注入ポート19aを図7に示されるように変更することもできる。この実施態様では、ポート23aとポート23bとを繋ぐ第八の流路25が存在し、この第八の流路25は該流路壁に開口する、所定量の反応液を秤取するための第九の流路27を有する。この第九の流路27は細い第十の流路29を介して第1の流路3と連通されている。このような構成により、常に一定量の反応液を容易に第一の流路3内に送り出すことができる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明の化学変性DNA断片増幅装置1によるDNA増幅反応を具体的に例証する。
【0028】
実施例1
図1に示されるような化学変性DNA断片増幅装置1を用いてDNA増幅反応を実施した。図1の装置は、アルカリ変性試薬を秤取する第四の流路及び中和液を秤取する第五の流路をそれぞれ30本有していた。各第四の流路9及び第五の流路の容量はそれぞれ40pl(ピコリットル)であった。化学変性DNA断片増幅装置1の下部に加熱手段を配置し、装置1を54℃の温度に維持した。
先ず、ポート17aからアルカリ変性試薬として0.1Mの水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を第二の流路5に注入し、各第四の流路9内にアルカリ変性試薬液を充填した。第二の流路5内の余ったアルカリ変性試薬はポート17bから排出した。その後、ポート17bを閉じ、ポート17aから空気圧を利用して各第四の流路9内のアルカリ変性試薬溶液を第六の流路13を介して第1の流路3内に押し出した。この際、第六の流路13内にアルカリ変性試薬溶液が一部残存するようにした。これにより、アルカリ変性試薬溶液を第六の流路13の位置に定置させておくことができる。
同様に、ポート21aから中和液として0.1Mの塩酸溶液を第三の流路7に注入し、各第五の流路11内に中和液を充填した。第三の流路7内の余った中和液はポート21bから排出した。その後、ポート21bを閉じ、ポート21aから空気圧を利用して各第五の流路11内の中和液を第七の流路15を介して第1の流路3内に押し出した。この際、第七の流路15内にアルカリ変性試薬溶液が一部残存するようにした。これにより、中和液を第七の流路15の位置に定置させておくことができる。
次いで、50ミリモルのKCl、10ミリモルのトリス−HCl(pH8.3)、1.5ミリモルのMgCl2、0.1%トライトンX−100、4種類のdNTP(デオキシリボヌクレオチド三燐酸)各200マイクロモル、50〜10ngのゲノムDNA、TaqDNAポリメラーゼ0.2単位と2種類のプライマー各10ピコモルからなる組成を有する反応液を2nl(ナノリットル)使用し、この反応液をポート19aから第1の流路3の移動開始点に注入した。その後、ポート19aから空気圧を利用して反応液を移動前進させ、最初の第六の流路13の位置に定置されたアルカリ変性試薬溶液と接触させることによりDNAを変性させ、DNA相補鎖を分離しランダム構造に変化させた。次いで、この変性された反応液を更に前進させ、最初の第七の流路15の位置に定置された中和液と接触させることにより、分離していた相補鎖を再対合(アニーリング)させ元の2本鎖に戻してDNAを増幅させた。この増幅された反応液を次ぎのアルカリ変性試薬溶液と接触させて再び変性させ、次いで、中和して再対合させ、以後この変性−中和の反応を最後の30番目の第六の流路13及び第七の流路15まで繰り返した。増幅反応生成物をポート19bから取り出した。この生成物を電気泳動分析したところ、分析可能な量まで十分に増幅されていることが確認された。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、従来の加熱変性式のPCR法では、94℃、54℃及び72℃の3種類の温度を繰り返し必要とし、温度制御が非常に煩雑かつ困難であったが、本発明の化学変性DNA断片増幅装置によれば、アニーリングに必要な温度だけでDNAサンプルを増幅することができる。その結果、本発明の化学変性DNA断片増幅装置は従来の加熱変性式DNA断片増幅装置に比べてサイズが著しく小型化できると共に、同時に、分析時間を短縮することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化学変性DNA断片増幅装置の一例の部分平面図である。
【図2】図1におけるII-II線に沿った断面図である。
【図3】図1に示した装置でアルカリ変性試薬溶液又は中和液を秤取する原理を示す概念図である。
【図4】図1に示した装置で化学変性DNA断片増幅反応を実施する状態を示す概念図である。
【図5】本発明の化学変性DNA断片増幅装置の別の例の部分平面図である。
【図6】本発明の化学変性DNA断片増幅装置の更に別の例の概要平面図である。
【図7】図1に示した装置を部分的に変更した例の部分平面図である。
【符号の説明】
1 本発明の化学変性DNA断片増幅装置
3 第一の流路
5 第二の流路
7 第三の流路
9 第四の流路
11 第五の流路
13 第六の流路
15 第七の流路
17a,17b,19a,19b ポート
21a,21b,23a,23b ポート
25 第八の流路
27 第九の流路
29 第十の流路
100 中和液
200 反応液
300 アルカリ変性試薬溶液
Claims (10)
- 化学変性によりDNA断片を増幅するための装置であって、化学変性によりDNA断片の増幅反応を行わせるための所定の方向に延長される第1の流路と、前記第一の流路の一方の側に並列に配置された、アルカリ変性試薬溶液を供給するための所定の方向に延長される第二の流路と、前記第一の流路の他方の側に並列に配置された、中和反応試薬溶液を供給するための所定の方向に延長される第三の流路を有し、前記第二の流路は該流路壁に開口する、所定量のアルカリ変性試薬溶液を秤取するための複数本の第四の流路を有し、前記第三の流路は該流路壁に開口する、所定量の中和反応試薬溶液を秤取するための複数本の第五の流路を有し、前記第四の流路は、該流路と前記第一の流路とを連通するこれらの流路よりも細い第六の流路を有し、かつ、前記第五の流路は該流路と前記第一の流路とを連通するこれらの流路よりも細い第七の流路を有し、前記第六の流路と第七の流路とは前記第一の流路の両側に相対峙しないように離間されて互い違いに配置されていることを特徴とする化学変性DNA断片増幅装置。
- 前記第一の流路、第二の流路及び第三の流路は該流路の両端に大気に連通するポートをそれぞれ更に有することを特徴とする請求項1に記載の化学変性DNA断片増幅装置。
- 前記第一の流路は前記増幅反応が段階的に行われる方向に向かって流路の幅が徐々に拡大するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の化学変性DNA断片増幅装置。
- 前記第一の流路、第二の流路及び第三の流路は並列的に渦巻き状に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の化学変性DNA断片増幅装置。
- 前記第一の流路、第二の流路及び第三の流路は同心円状に並列的に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の化学変性DNA断片増幅装置。
- 前記第1の流路の一方の端部には一定量の反応液を秤取するための反応液秤取機構が配設されており、該反応液秤取機構は、両端にポートを有する第八の流路と、該第八の流路の流路壁に開口する、所定量の反応液を秤取するための第九の流路と、この第九の流路と前記第1の流路とを連通するこれらの流路よりも細い第十の流路とからなることを特徴とする請求項1に記載の化学変性DNA断片増幅装置。
- 前記細い第六の流路、第七の流路及び第十の流路は相対的に毛管引力が働き難い性質を有することを特徴とする請求項1又は6に記載の化学変性DNA断片増幅装置。
- 前記装置を54℃の温度に維持するための手段を更に有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の化学変性DNA断片増幅装置。
- 請求項1に記載の化学変性DNA断片増幅装置を使用し、DNA断片含有反応液をアルカリ変性試薬と混合することにより前記DNA断片を一本鎖に解離させ、次いで、この混合液を中和液で中和することにより一本鎖に解離されたDNA断片をアニーリングして二本鎖に戻すことからなるステップを複数回反復することによりDNA断片を増幅することからなる化学変性DNA断片増幅方法。
- 前記ステップの反復回数が15回〜30回の範囲内の回数であることを特徴とする請求項9の方法。
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