JP4068261B2 - 陰極線管用電子銃 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、陰極線管用電子銃に係り、特に、カラーブラウン管等に使用される陰極線管用電子銃に関する。
【0002】
【従来の技術】
ー般に、陰極線管として代表的なカラー受像管は、第1図に示すように、パネル1及びこのパネル1に一体に接合されたファンネル2からなる外囲器を有し、そのパネル1の内面に、赤、緑、青に発光するストライプ状あるいはドット状の3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン3が形成されている。また、この蛍光体スクリーン3に対向して、その内側に多数のビーム通過孔の形成されたシャドウマスク4がパネル1の内面に装着されている。一方、ファンネル2のネック5内には、3電子ビーム6B、6G、6Rを放出する電子銃7が配設されている。そして、この電子銃7から放出される3電子ビーム6B、6G、6Rがファンネル2の外側に装着された偏向ヨーク8の発生する水平並びに垂直偏向磁界により偏向され、シャドウマスク4を介して蛍光体スクリーン3上に向けられ、この蛍光体スクリーン3が3電子ビーム6B、6G、6Rによって水平並びに垂直に走査されることにより、カラー画像が蛍光体スクリーン3に表示される。
【0003】
このような構造のカラーブラウン管では、その画像の解像度は、電子銃から発生され、蛍光体スクリーン3上に集束される電子ビームの蛍光体スクリーン3上におけるスポットの大きさ及び形状に依存している。この画像の解像度を高くする手段の一つとして、電子銃の主レンズ部口径をできるだけ大きくすることにより、電界レンズの球面収差を減少させる方法が一般に採用されている。
【0004】
一般に、カラーブラウン管の電子銃の主レンズ部は、図2(a)及び2(b)に示すように3電子ビーム6B、6G、6Rの各々に対応した電子ビーム通過孔が集束電極及び最終加速電極に形成され、前記電子ビーム通過孔部が対向するように構成されている。前記集束電極及び最終加速電極により形成される電界レンズの口径は、前記電子ビーム通過孔の孔径により制限を受けるため、この電子ビーム通過孔の機械的な制限以上に大きくすることができない。
【0005】
上記問題点を解決するために特公平2−18540号公報等に開示されているカラーブラウン管では、図3(a)及び3(b)に示すように3電子ビームに共通の通過開孔部となる筒状電極1la、13aと3電子ビーム各々の通過孔部12a、12b、12c、14a、14b、14cを有する板状電極12、14とで構成される集束電極9及び最終加速電極10により主レンズ部が構成される。この様に主レンズ部を形成することにより、3電子ビームが主レンズ部を通過する軌道に発生した電界レンズが隣り合うもの同士で一部重なり合うので、大口径の主レンズ部電界を形成することができる。従って、球面差によるスポットへの悪影響を低減することができる。また、主レンズ部のレンズ倍率を小さくすることができるので、従来より小径のスポットをスクリーン上に生成することができる。しかし、電子銃は、ブラウン管のネック内にあり、筒状電極の開孔径は、ネックの内径によって制限されることから、筒状電極の開孔径の拡大によるスポットの改善には、限界がある。
【0006】
また、筒状電極の開孔径を大きくするために、ネック径を拡大してしまうと、偏向ヨークにより電子ビームを水平並びに垂直走査する際、偏向感度が低くなってしまい、消費電力の増大等の悪影響が出る。
【0007】
また、この様な問題点を解決する手段が特開平8−22780号公報等に開示されている。この公報に開示されているカラーブラウン管には、第4図に示すように、3電子ビームの共通の通過開孔部となる筒状電極19a、21aと3電子ビーム各々の通過開孔部18a、18b、18c、20a、20b、20cを有する板状電極18、20とで構成された集束電極15及び最終加速電極16及び前記集束電極15と最終加速電極16との間に、前記集束電極15及び最終加速電極16と同軸の3電子ビームに共通な通過孔となる補助電極17が配置されて主レンズ部が形成されている。この様な構造では、ネック径を拡大することなくビーム進行方向に電界レンズの電位分布をより緩やかな勾配とすることができる。従って、このような構造の主レンズ部では、その電界の球面収差を上述の特公平2−18540号公報等に開示されているものよりも少なくすることができるとされている。しかしながら、前記主レンズ部の構造では、補助電極の電子ビーム進行方向に沿った長さを長くとると、主レンズ部で形成される電界レンズが補助電極の前後で分離されてしまい、実質的に2つの電界レンズが形成されてしまう。この様な構造を有する電子銃の主レンズ部の一例として、集束電極及び最終加速電極と、前記集束電極及び最終加速電極と同軸にその間に挿入される補助電極とを有する構造においては、それぞれ隣り合う面の開孔部が3電子ビーム共通の開孔部を有し、その共通開孔部の短径となっている垂直径が7mm、補助電極の電子ビーム進行方向に沿った長さが6mmである時、補助電極が有る場合と無い場合の軸上電位分布を計算した結果が図5のグラフ1に、その2次微分を計算した結果が図6のグラフ2に示されている。確かに、グラフ1より、補助電極が無い場合より有る場合の方が、軸上電位分布の変化は、緩やかになっている。しかしながら、軸上電位分布の2次微分は、補助電極が有ると正の領域と負の領域が交互に2つずつ現れている。即ち、集束電極と最終加速電極の間で形成される主レンズ部の電界レンズは、補助電極によって分割されてしまい。実質的に二つの小さなレンズとして電子ビームにレンズ作用が与えられるようになる。従って、主レンズ部の大口径化の効果が損なわれてしまい、良好な電子ビームスポットを得ることはできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
蛍光体スクリーン3上における画像の解像度を高くする為に、電子銃の主レンズ部口径をできるだけ大きくすることにより、電界レンズの球面収差を減少させる方法がある。しかしながら、集束電極及び最終加速電極により形成される電界レンズの口径は、前記電子ビーム通過孔の孔径により制限を受けるため、この電子ビーム通過孔の機械的な制限以上に大きくすることができない問題がある。
【0009】
この問題点を解決するために、3電子ビームの共通の通過開孔部となる筒状電極と3電子ビーム各々の通過孔部を有する板状電極とで構成される集束電極9及び最終加速電極10により主レンズ部を形成して、大口径の主レンズ部電界を形成する技術がある。しかし、この構造では、電子銃は、ブラウン管のネック内にあり、筒状電極の開孔径は、ネックの内径によって制限されることから、筒状電極の開孔径の拡大によるスポットの改善には、限界があるとされている。
【0010】
また、筒状電極の開孔径を大きくするために、ネック径を拡大してしまうと、偏向ヨークにより電子ビームを水平並びに垂直走査する際、偏向感度が低くなってしまい、消費電力の増大する等の問題がある。
【0011】
また、この様な問題点を解決する為に、集束電極15及び最終加速電極16との間に同軸の3電子ビームに共通な通過孔となる補助電極17が配置されて主レンズ部が形成されている構造がある。しかしながら、このような主レンズ部の構造では、補助電極の電子ビーム進行方向に沿った長さを長くとると、主レンズ部で形成される電界レンズが補助電極の前後で分離されてしまい、実質的に2つの電界レンズが形成されてしまう。即ち、集束電極と最終加速電極の間で形成される主レンズ部の電界レンズは、補助電極によって分割されてしまい。実質的に二つの小さなレンズとして電子ビームにレンズ作用が与えられるようになる。従って、主レンズ部の大口径化の効果が損なわれてしまい、良好な電子ビームスポットを得ることはできない問題がある。
【0012】
本発明は、上述したような事情に鑑みなされたものであって、その発明の目的は、ネック径を拡大することなく、かつ主レンズ部で形成されるレンズ電界を分離することなく、効果的に主レンズ部の電界レンズの球面収差を低減する主レンズ部構造を提供することにより、良好な解像度を得るためのスポットを生成する陰極線管用電子銃を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば、
3本の電子ビームを形成、射出する電子ビーム形成部と、前記電子ビームを加速集束させる主レンズ部を有し、前記主レンズ部は、少なくとも中位の電圧が供給される第1のグリッドと陽極電圧が供給される第3のグリッドとを含む複数個のグリッドからなる陰極線管用電子銃において、
前記第1のグリッドと第3のグリッドの間に、前記第1のグリッドに供給される中位の電圧よりも高く、前記第3のグリッドに供給される陽極電圧よりも低い電圧が供給される第2のグリッドが電子ビームの進行方向に沿って配置され、
前記第2グリッド側に対向する前記第1のグリッド及び第3のグリッドの開口部は、3本の電子ビームに共通の筒状開口部に形成され、前記第1グリッド及び第3グリッドの開口部から奥まった部分には、3本の電子ビームに対して個別の通過孔を有する板状電極が配置され、
前記第2のグリッドは、前記第1のグリッド側の対向面及び前記第3のグリッド側の対向面が3本の電子ビームに共通の筒状開孔部に形成され、前記第2のグリッドの筒状開孔部において、第1のグリッド側の筒状開孔部の短径をR1、第3のグリッド側の筒状開孔部の短径をR2としたとき、第2のグリッドの電子ビーム進行方向に沿った長さLが
0.3≦L/{(R1+R2)/2}≦0.6
の関係に定められていることを特徴とする陰極線管用電子銃が提供される。
【0014】
本発明において、上記構成とすることで第1のグリッドから第3のグリッドまでの間で形成される主レンズ部のビーム進行方向に沿った電界の電位分布は、緩やかな勾配となり、かつ、第1のグリッドから第3のグリッドまでの間で形成される電界レンズは、第2のグリッドにより分離されることなく全体として一枚の大口径レンズとして電子ビームに作用する。従って、主レンズ部電界の球面収差を効果的に減少させることができ、良好なスポットを得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図7(a)及び(b)は、本発明の一実施例に係る陰極線管の電子銃部分を示す概略断面図である。図7(a)において、ヒータ(図示せず)を内装した、電子ビームを発生する3個の陰極KB、KG、KR、第1グリッド31、第2グリッド32、第3グリッド33、第4グリッド34、第5グリッド35、第6グリッド36及び第7グリッド37、コンバージェンスカップCPがこの順に配置され、これら電極は、絶縁支持体(図示せず)により支持、固定されている。第1グリッド31は、薄い板状電極であり、孔径小の3個の電子ビーム通過孔が穿設されている。第2グリッド32も薄い板状電極であり、孔径小の3個の電子ビーム通過孔が穿設されている。第3グリッド33は、一個のカップ状の電極と厚板電極が組み合わされ、第2グリッド32側には、第2グリッド32の電子ビーム通過孔よりもやや孔径が大きい3個の電子ビーム通過孔が穿設され、第4グリッド34側には、孔径が大きい3個の電子ビーム通過孔が穿設されている。第4グリッド34は、2個のカップ状電極の解放端をつきあわせてあり、それぞれ孔径大の3個の電子ビーム通過孔が穿設されている。第5グリッド35は、電子ビーム通過方向に長い2個のカップ状電極、板状電極52、3電子ビームに共通の開孔部を有する図8(a)に示すような筒状電極51から構成され、第6グリッド側から第5グリッドをみると図8(b)の様な形状に形成されている。次に、第6グリッドは、3電子ビームに共通の開孔部を有する図8(a)に示す様な2つの筒状電極61、62で構成されている。そして、第7グリッドは、3電子ビームに共通の開孔部を有する図8(b)に示すような筒状電極71、3個の電子ビーム通過孔が穿設されている板状電極72の順で配置され、第7グリッドを第6グリッド側からみると、図2(b)の様な形状となっている。
【0016】
そして、3個の陰極KB、KG、KRには、約100〜150v程度の電圧Ek、第1グリッド31は、接地され、第2グリッド32と第4グリッド34には、約600〜800v程度の電圧V2が印加され、第3グリッド33と第5グリッド35には、中位の電圧である約6〜10kv程度の集束電圧V3が印加され、第7グリッド37には、約25〜34kv程度の陽極電圧Vaが印加され、第6グリッド36には、電子銃近傍に具備した抵抗器100により第5グリッド35と第7グリッド37のほぼ中間の電圧V6が供給されている。
【0017】
ここで、第6グリッド36の第5グリッド側の開口部の短径及び第7グリッド側の開孔部短径を同径の7mmとして、第6グリッド36が無い状態及び第6グリッド36の電子ビーム進行方向に沿った電極長を2mm、4mm、6mmと伸ばしていった場合の軸上電位の変化を計算した結果が図9のグラフ3に示されている。このグラフ3に示されるように、第6グリッド36の電極長Lを伸ばしていくと、軸上電位の変化は緩やかになっていく。さらに、第6グリッド36の電子ビーム進行方向に沿った電極長Lを2mm、4mm、6mmと伸ばしていった場合の、前記第6グリッド36の電子ビーム進行方向に沿った電極長Lと電極開孔部短径Rとの比L/Rと、実効口径(垂直方向及び水平方向)との関係を計算した結果が図10のグラフ4及び図11のグラフ5に示されている。これらのグラフからわかるように、実効口径は、比L/Rを適正な値にとった場合もっとも大きくなることがわかる。さらに比L/Rを大きくしていくと、即ち、第6グリッド36の電子ビーム進行方向に沿った電極長Lを長くしすぎると実効口径は減少してしまう。
【0018】
そこで、実質的に第6グリッド36を設けて電子ビームスポットの改善を行う意味のある範囲としては、良好な電子ビームスポットを得られる主レンズ部の大口径化を最大限行える実効口径の最大値、特に第6グリッド36の開孔部短径方向、即ち、垂直方向の実効口径の最大値から第6グリッド36の機械的開孔径の最小径である短径と実効口径とが同じ値になるまでの中間値をとるところまでである。このような有効な実効口径をとるために、第6グリッド36の電子ビーム進行方向に沿った電極長Lと電極開孔部短径Rとの比L/Rは、グラフ4より0.3から0.8の間となる。即ち、比L/Rを0.3から0.6の間となるようにすれば有効に実効口径を拡大できる。
【0019】
本発明による実施例では、この様な構造をとることにより、良好な電子ビームスポットを得ることができる。特に、前述の本発明の実施例において、比L/R=0.45の付近において実効口径は、最大値をとっている。このときの本発明における実施例の第6グリッド36が有る場合と、比較として本発明における実施例の第6グリッド36が無い場合である従来例のときの軸上電位分布の2次微分の計算結果が図1のグラフ6に示されている。本発明における実施例のように、第6グリッドが有る場合には、本発明における実施例で第6グリッドが無い場合より長い区間でレンズ電界を形成することができ、実効口径の減少の原因となる主レンズ部で形成されるレンズ電界の分離を防ぐことができる。即ち、第5グリッド35と第7グリッド37の間に設ける第6グリッド36の電子ビーム進行方向に沿った電極長Lと電極開孔部短径Rとの比L/Rを0.3≦L/R≦0.6 ……(1)
とすることにより、実効口径の拡大を効率的に行え、良好な電子ビームスポットを得ることができる。
【0020】
尚、第6グリッド36の第5グリッド側の電極開孔部短径をR1、第7のグリッド側の電極開孔部の短径をR2としたとき、上記実施例では、R1=R2=Rとしていたが、第6グリッド36への電界の浸透は前述したように短径によって制限を受ける。よって、R1≠R2としたとき、短径の大きい側は、電界の浸透が大きく入り込み、短径の小さい側は、電界の浸透が小さく入り込む。従って、第6グリッドへの電界の浸透は、短径R1とR2の平均に制約され、上記実施例における第6グリッドの制約条件(1)は、
0.3≦L/{(R1+R2)/2}≦0.6
と書き改められ、この様に第6グリッド36を構成することにより、実行口径の拡大を効率的に行うえ、良好な電子ビームスポットを得ることができる。
【0021】
以上、発明の1実施例を説明したが、前記実施例では、約6〜10kv程度の集束電圧が印加される第5グリッド35と約25〜34kv程度の陽極電圧が印加される第7グリッド37の間には、第6グリッド36だけが配置されていたが、第5グリッド35と第7グリッド37の間に挿入されるグリッドが複数個(第6グリッド36を含む)であったとしても、挿入されるグリッドには、前記第5グリッド側から前記第7グリッド側に向かって順次高くなっていくように電圧を供給して、前記挿入される各々のグリッドの筒状開孔部において、第5グリッド側の筒状開孔部短径をR1、第7グリッド側の筒状開孔部の短径をR2としたとき、第2のグリッドの電子ビーム進行方向に沿った長さLが0.3≦L/{(R1+R2)/2}≦0.6の関係となるように構成され、配置されていれば、隣り合うグリッド同士で前述の実施例と同様な効果を得ることができるので、主レンズ部全体としても前述の実施例と同様な効果を確保できる。さらに、第5グリッド35と第7グリッド37との間に挿入されるグリッドが3電子ビーム各々に対応した電子ビーム通過孔が配置され、前記電子ビーム通過孔において、第5グリッド側の通過孔部の短径をR1、第7グリッド側の通過孔部の短径をR2としたとき、前記挿入されるグリッドの電子ビーム進行方向に沿った長さLが0.3≦L/{(R1+R2)/2}≦0.6の関係となるように構成され、配置されていれば、各開孔部において、前述の実施例と同様な効果を得ることができるので、主レンズ部全体としても前述の実施例と同様な効果を確保できることはいうまでもない。
【0022】
そして、前記挿入されるグリッドにおいて、第5グリッド側対向面及び第7グリッド側対向面が3電子ビーム共通の筒状開孔部となっており、かつ前記筒状電極となっている挿入されるグリットの内部には、3電子ビーム各々に対応した電子ビーム通過孔がある板状電極があり、その板の面が電子ビーム進行方向に対して略垂直に配置されており、前記挿入されるグリッドの筒状開孔部において、第5グリッド側の短径をR1、第7グリッド側の短径をR2としたとき、前記挿入されるグリッドの第5グリッド側開孔部から板状電極までの電子ビーム進行方向に沿った長さL1と、前記挿入されるグリッドの第7グリッド側開孔部から板状電極までの電子ビーム進行方向に沿った長さL2とが
0.15≦L1/{(R1+R2)/2}≦0.3
0.15≦L2/{(R1+R2)/2}≦0.3
の関係となっており、かつ、前記挿入される電極の内部に配置された前記板状電極の電子ビーム通過孔の前記筒状開孔径の短径方向と同一方向の最小径をrとしたとき、板状電極の板厚TがT/r≦0.6の関係となるように構成され、配置されていれば、第6グリッド36の筒状開孔部内及び板状電極のビーム通過孔の各部において、前述の実施例と同様な効果を得ることができるので、主レンズ部全体としても前述の実施例と同様な効果を確保できる。また、前述の実施例は、QPF構造の電子銃について説明したが、同様な主レンズ部構造を有する電子銃であれば、QPF構造に限らず、同様の効果を得ることができることは、いうまでもない。
【0023】
【発明の効果】
複数の電子ビームを形成、射出する電子ビーム形成部と、前記電子ビームを加速集束させる主レンズ部を有し、前記主レンズ部は、少なくとも中位の電圧が供給される第1のグリッドと陽極電圧が供給される第3のグリッドとを含む複数個のグリッドからなる陰極線管用電子銃において、前記第1のグリッドと第3のグリッドの間に、前記第1のグリッドに供給される中位の電圧よりも高く、前記第3のグリッドに供給される陽極電圧よりも低い電圧が供給される少なくとも1つの第2のグリッドが電子ビームの進行方向に配置されており、第2のグリッドは第1のグリッド側の対向面及び第3のグリッド側の対向面が複数の電子ビーム共通の筒状開孔部となっており、第1のグリッドから第3のグリッドの間で形成されるレンズ電界が第2のグリッドにより分離されることがないように、第2のグリッドの筒状開孔部の短径と電子ビーム進行方向に沿った第2のグリッドの長さとの間で適正な関係を保つようにした。前記の様に構成したことにより、主レンズ部に形成する電界レンズを第2のグリッドの前後で分離させることなく、つまりビーム進行方向に沿った軸上電位の変化を滑らかに持たせることができ、かつ球面収差を大幅に低減させることができる。即ち、主レンズ部で形成する電界は全体として一枚のレンズとして電子ビームを集束する作用を有することができ、良好なスポットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な陰極線管の構造を概略的に示す断面図である。
【図2】(a)及び(b)は、従来の陰極線管に搭載される陰極線管用電子銃を概略的に示す断面図及び平面図である。
【図3】(a)及び(b)は、従来の陰極線管に搭載される他の例の陰極線管電子銃の主レンズ部の電極の構造を概略的に示す断面図及び平面図である。
【図4】従来の陰極線管に搭載される第3の陰極線管用電子銃の主レンズ部電極の構造を示す図である。
【図5】従来例である主レンズ部に補助電極がある場合とない場合のレンズ電界の軸上電位分布を示すグラフである。
【図6】従来例である主レンズ部に補助電極がある場合とない場合のレンズ電界の軸上電位分布の2次微分を示すグラフである。
【図7】本発明による陰極線管用電子銃の一実施例を示す概略断面図である。
【図8】(a)及び(b)は、本発明による陰極線管用電子銃に使用される電極形状を示す平面図である。
【図9】本発明の実施例である第6グリッドの電子ビーム方向に沿った長さを変えていった際の軸上電位分布の変化を示すグラフである。
【図10】第6グリッドの電子ビーム進行方向に沿った電極長Lと電極開孔部短径Rとの比L/Rと、実効口径(垂直方向)との関係を示すグラフである。
【図11】第6グリッドの電子ビーム進行方向に沿った電極長Lと電極開孔部短径Rとの比L/Rと、実効口径(水平方向)との関係を示すグラフである。
【図12】本発明における実施例の第6グリッドが有る場合と、比較として本発明における実施例の第6グリッドが無い場合である従来例のときの軸上電位分布の2次微分の計算結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…パネル、2…ファンネル、3…蛍光体スクリーン、4…マスク、5…ネック、6B、6G、6R…電子ビーム、7…電子銃、8…偏向ヨーク、1la、13a…筒状電極、12、14…板状電極、12a、12b、12c…電子ビーム通過孔部、14a、14b、14c…電子ビーム通過孔部、15…集束電極、18、20…板状電極、16…最終加速電極、17…補助電極、18a〜18C、20a〜20C…電子ビーム通過孔部、19a、21a…筒状電極、KR、KG、KB…陰極、31〜37…グリッド、100…抵抗器、

Claims (1)

  1. 3本の電子ビームを形成、射出する電子ビーム形成部と、前記電子ビームを加速集束させる主レンズ部を有し、前記主レンズ部は、少なくとも中位の電圧が供給される第1のグリッドと陽極電圧が供給される第3のグリッドとを含む複数個のグリッドからなる陰極線管用電子銃において、
    前記第1のグリッドと第3のグリッドの間に、前記第1のグリッドに供給される中位の電圧よりも高く、前記第3のグリッドに供給される陽極電圧よりも低い電圧が供給される第2のグリッドが電子ビームの進行方向に沿って配置され、
    前記第2グリッド側に対向する前記第1のグリッド及び第3のグリッドの開口部は、3本の電子ビームに共通の筒状開口部に形成され、前記第1グリッド及び第3グリッドの開口部から奥まった部分には、3本の電子ビームに対して個別の通過孔を有する板状電極が配置され、
    前記第2のグリッドは、前記第1のグリッド側の対向面及び前記第3のグリッド側の対向面が3本の電子ビームに共通の筒状開孔部に形成され、前記第2のグリッドの筒状開孔部において、第1のグリッド側の筒状開孔部の短径をR1、第3のグリッド側の筒状開孔部の短径をR2としたとき、第2のグリッドの電子ビーム進行方向に沿った長さLが
    0.3≦L/{(R1+R2)/2}≦0.6
    の関係に定められていることを特徴とする陰極線管用電子銃。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006040874A1 (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Ibiden Co., Ltd. ハニカム構造体及びその製法

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