JP4067392B2 - アルミメッキ鋼板のレーザ溶接方法及び溶接部構造 - Google Patents
アルミメッキ鋼板のレーザ溶接方法及び溶接部構造 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミメッキ鋼板をレーザビームのエネルギを利用して溶接する方法と、当該レーザビーム溶接によって得られた溶接部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車や自動二輪車の燃料タンクなどの防錆が要求される部品の材料として、従来にあっては錫−鉛メッキ鋼板のような素材や、亜鉛−ニッケルメッキ鋼板のような素材が用いられていた。ところが、鉛を用いたメッキは、環境衛生上の問題があり、現在では両面にアルミメッキが施された両面溶融アルミメッキ鋼板を使用し、この両面溶融アルミメッキ鋼板を重ね合わせた接合部を溶接することで、内面防錆とともに外面防錆を簡略化するような方法が考えられている。
【0003】
アルミメッキ鋼板をレーザ溶接する場合、溶接部中のアルミ成分の割合が大きくなると溶接強度が低下するため、重ね合わせる2枚のアルミメッキ鋼板の間に隙間を設け、この隙間に先に溶融したアルミ成分を逃がすようにした技術を本出願人は先に提案している。(特許文献1)
【0004】
また、上記特許文献1を前提とし、アシストガスとして窒素ガスを50容量%以上含んだものを用いるアルミメッキ鋼板のレーザ溶接法も提案されている。(特許文献2)
【0005】
また、アルミメッキ鋼板をレーザ溶接するにあたり、溶融池にアルミニウム合金のフィラーワイヤを供給して合金部を形成して偏析を抑制する提案もなされている。(特許文献3)
【0006】
(特許文献1) 特開平9−155575号公報
(特許文献2) 特開2002−103072号公報
(特許文献3) 特開2000−5889号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図4は溶鉄の粘度と添加元素の添加量との関係を示すグラフである。このグラフから、アルミニウムに関しては極めて微量を添加しただけで溶鉄の粘度は急激に低下することが分る。
【0008】
その結果、図5に示すように、アルミメッキ鋼板を重ねてレーザ溶接すると溶鉄の粘度が低いため、アンダーフィルと称する凹部が溶融池に形成され、溶接不良の原因になる。因みに、特許文献1にあってはアルミ成分の割合を0.65wt%以下に抑えることで、所定の剥離破断強度を得ることも知見している。しかしながら、これだとアルミメッキ層の厚い鋼板や、3枚のアルミメッキ鋼板を重ねてレーザ溶接する場合などには十分対応できない。
【0009】
また、特許文献3のように溶融池を下面側まで貫通させないようにすれば、アンダーフィルの問題は生じないが、この場合にはどこまで溶接されているかの確認が困難で、溶接不良の場合を外観で確認することができない。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本発明は、少なくとも1枚をアルミメッキ鋼板とした重ね合せ鋼板をレーザ溶接する方法であって、溶接する箇所に上面側からレーザビームを照射し、下面側まで溶融せしめた後、この下面側に現れる溶融池の面積を実質的に維持しつつ溶融池の容積を拡大するようにした。
溶融池の容積を拡大することで、従来であればアンダーフィルとなる箇所に、隣接する箇所から溶鉄が流れ込みアンダーフィルを埋める。
【0011】
溶融池の容積を拡大するだけであれば、1点を中心にして溶接トーチに円または三角、四角を描くような運動をさせればよいが、このようにした場合、中心に熱が集中し、アンダーフィルは改善されにくい。
そこで、本発明にあっては、前記下面側に現れる溶融池の面積を実質的に維持しつつ溶融池の容積を拡大する手段として、例えば、レーザビームを鋼板上面に沿って移動させながらレーザビームのウェスト(ビーム径が最も小さくなる箇所)位置を鋼板上面から遠避けるようにした。この場合には溶接トーチを横方向に移動させつつ鋼板上面から徐々に離すようにすればよい。
【0012】
また下面側に現れる溶融池の面積を実質的に維持しつつ溶融池の容積を拡大する別の手段として、レーザビームを鋼板上面に沿って移動させながらレーザビームの出力を弱くするようにしてもよい。
【0013】
また、本発明に係る溶接部構造は、少なくとも1枚をアルミメッキ鋼板とした重ね合せ鋼板の溶接部構造であって、前記溶接部はレーザビームの照射で溶融した溶鉄が凝固して形成され、溶接部のうち下面側まで露出している箇所は一方の側に偏寄し、また溶接部と非溶接部との境界面は、溶接部が偏寄した側では鋼板の厚み方向に対する角度が小さく、溶接部が偏寄した側と対向する側では鋼板の厚み方向に対する角度が大きくなっている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の態様を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るレーザ溶接方法を適用した燃料タンクの一部を切欠した図、図2は同燃料タンクのキャップ取付け部の拡大断面図、図3(a)〜(d)は溶接工程を説明した図である。
【0015】
燃料タンク1は上半体1aと下半体1bのフランジ部を溶接してなり、上半体1aにはブリーザ2、フューエルパイプ3が取り付けられるとともに、燃料キャップ取付部4が設けられている。
【0016】
燃料キャップ取付部4はタンク上半体1aを挟んでセッティングプレート5をタンクの外側に、リング6をタンクの内側に配置し、これら上半体1、セッティングプレート5及びリング6をレーザビームにてスポット溶接している。上半体1、セッティングプレート5及びリング6はいずれも両面アルミメッキ鋼板を使用し、上半体1にあっては、表面のアルミの量が60g/m2、セッティングプレート5及びリング6にあっては、表面のアルミの量が80g/m2のものを使用している。
【0017】
溶接部7は図2に示すように、レーザビームの照射で溶融した溶鉄が凝固して形成されており、溶接部7のうち下面側まで露出している箇所7aは一方の側に偏寄し、また溶接部と非溶接部との境界面のうち、溶接部が偏寄した側の境界面8は鋼板の厚み方向に対する角度が小さく、溶接部が偏寄した側と対向する側の境界面9では鋼板の厚み方向に対する角度が大きくなっている。そして、上記の溶接部7にあってはアンダーフィルが従来よりも大幅に小さくなっている。
【0018】
以上の如き溶接部7を得る溶接方法を以下に説明する。先ず、図3(a)に示すように、重ね合わせた3枚のアルミメッキ鋼板のうち最上部のセッティングプレート5の上方に位置するトーチ10からレーザビームを照射し0.5〜0.7秒保持する。このレーザビームの照射により3枚のアルミメッキ鋼板は溶融して溶融池11を形成する。尚、溶鉄はアルミ成分を含んでいるため粘度が低く、レーザビームの照射により側方に押しやられ、その結果レーザ光の通りがよくなり、容易に下側のアルミメッキ鋼板(リング6)までレーザ光が到達し、下側のアルミメッキ鋼板の下面側まで溶融部が到達する。
【0019】
そして、アルミメッキ鋼板の下面側まで溶融せしめたならば、この下面側に現れる溶融池の面積を実質的に維持しつつ溶融池の容積を拡大する。ここで、「実質的に維持」とは全く面積が拡大しないというのではなく、融鉄の垂れが極端に多くならないことを意味する。
【0020】
具体的には、図3(b)〜(d)に示すように、トーチ10を横方向に直線的に移動させつつ鋼板(セッティングプレート5)上面から徐々に離す。尚、横方向への移動量は例えば8mm、上方への逃げ量は例えば10mmとする。
このように、トーチ10を横方向に直線的に移動させさせることで、レーザ光によって溶鉄がアンダーフィル部に流れ込み、また上方に移動させることで、この下面側に現れる溶融池の面積を実質的に維持しつつ溶融池の容積を拡大することにある。その結果、前記したように、鋼板の厚み方向に対する角度が小さい境界面8と、鋼板の厚み方向に対する角度が大きい境界面9が得られる。
【0021】
実施例にあっては3枚のアルミメッキ鋼板を溶接する例を示したが、3枚ともアルミメッキ鋼板でなくともよい。また溶接する鋼板の枚数も3枚に限定されない。
また、図示例にあっては、溶接トーチをアルミメッキ鋼板から離すことで、入力されるエネルギを小さくしたが、照射されるレーザ光の出力自体を下げるようにしてもよい。更に溶接トーチの移動速度を調整することで、溶接トーチをアルミメッキ鋼板と平行に移動させつつ溶融池の容積を大きくすることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、アルミメッキ鋼板をレーザ溶接するにあたり、例えば溶接トーチを横に動かし溶融池の溶け込み量を大きくしたので、
アンダーフィルとなる部分に溶鉄を供給することができ、溶接強度を確保しつつ簡単且つ短時間で溶接を行うことができる。
【0023】
また、レーザ光によるスポット溶接箇所における溶融池の容積が大きくなるので、溶鉄とアルミとが均一に混ざり強度がアップする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ溶接方法を適用した燃料タンクの一部を切欠した図
【図2】同燃料タンクのキャップ取付け部の拡大断面図
【図3】(a)〜(d)は溶接工程を説明した図
【図4】溶鉄の粘度と添加元素の添加量との関係を示すグラフ
【図5】従来の問題点を説明した断面図
【符号の説明】
1…燃料タンク、1a…タンク上半体、1b…タンク下半体、2…ブリーザ、3…フューエルパイプ、4…燃料キャップ取付部、5…セッティングプレート、6…リング、7…溶接部、7a…溶接部のうち下面側に露出している箇所、8,9…溶接部と非溶接部との境界面、10…トーチ。
Claims (1)
- 少なくとも1枚をアルミメッキ鋼板とした重ね合せ鋼板をレーザビームでスポット溶接する方法であって、溶接する箇所に上面側からレーザビームを照射し、下面側まで溶融せしめた後、レーザビームを鋼板上面に沿って移動させながらレーザビームの出力を弱くすることで、前記下面側に現れる溶融池の面積を実質的に維持しつつ溶融池の容積を拡大するようにしたことを特徴とするアルミメッキ鋼板のレーザ溶接方法。
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