JP4066913B2 - エアフィルターパックおよびエアフィルターユニット - Google Patents
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Description
これまで、そのようなエアフィルターユニットに用いられる高性能エアフィルター、特にHEPA、ULPAは、ガラス繊維を湿式抄紙した濾材を折って作られていた。
しかし、送風動力費を更に低減するためのエアフィルターユニットの圧力損失の低減、より高い清浄空間を実現するための捕集効率の向上が望まれ、ガラス繊維からなるエアフィルターユニットにより高性能(同一圧力損失なら、捕集効率がより高く、同一捕集効率なら圧力損失がより低い。)を実現することは非常に困難になっている。
ところが、前記のとおり、PTFE多孔膜単体ではPF値の高いものが知られている(例えば、特開平10−30031号公報にはPF値が30のPTFE多孔膜が記載されている。)。しかし、PTFE多孔膜と通気性支持材料がラミネートされたエアフィルター濾材においては、特開平10―30031号公報でPF値19.8のものが、またWO98/26860でPF値21.8のものが知られているものの、PF値が22を越えるものは知られていなかった。
本発明の第2の目的は、通気性支持材料をPTFE多孔膜にラミネートしたエアフィルター濾材をプリーツ加工してなるエアフィルターパックを枠体内に収納した、圧力損失が小さくかつ捕集効率が高いエアフィルターユニットを提供することである。
本発明の第3の目的は、通気性支持材料をPTFE多孔膜にラミネートしたエアフィルター濾材をプリーツ加工してなるエアフィルターパックを枠体内に収納し、高性能を維持したままでかつコンパクト(エアフィルター濾材をプリーツ状に折り曲げたエアフィルターパックにおいて、折り高さが低い)なエアフィルターユニットを提供することである。
(1)ポリテトラフルオロエチレン多孔膜およびその少なくとも片面にラミネートされた通気性支持材料を有してなるエアフィルター濾材をプリーツ加工してなるエアフィルターパックであって、
該エアフィルター濾材に5.3cm/秒の流速で空気を透過させたときの圧力損失(単位:mmH2O)および粒子径0.10〜0.12μmのジオクチルフタレートを用いて測定した捕集効率(単位:%)から下記式:
に従って計算される該濾材のPF1値が22を越え、
該エアフィルターパックに1.4cm/秒の濾材透過風速で空気を透過させたときの圧力損失(単位:mmH2O)および粒子径0.10〜0.12μmのジオクチルフタレートを用いて測定した捕集効率(単位:%)から下記式:
に従って計算される該パックのPF2値が90.6を越えることを特徴とするエアフィルターパック、並びに
(2)枠体、および該枠体内に収納されたプリーツ状に折り曲げたエアフィルター濾材からなるエアフィルターパックを有してなるエアフィルターユニットであって、該エアフィルター濾材は、ポリテトラフルオロエチレン多孔膜およびその少なくとも片面にラミネートされた通気性支持材料を有してなり、
該エアフィルター濾材に5.3cm/秒の流速で空気を透過させたときの圧力損失(単位:mmH2O)および粒子径0.10〜0.12μmのジオクチルフタレートを用いて測定した捕集効率(単位:%)から下記式:
に従って計算される該濾材のPF1値が22を越え、
該エアフィルターユニットに1.4cm/秒の濾材透過風速で空気を透過させたときの圧力損失(単位:mmH2O)および粒子径0.10〜0.12μmのジオクチルフタレートを用いて測定した捕集効率(単位:%)から下記式:
に従って計算される該ユニットのPF3値が90.6を越えることを特徴とするエアフィルターユニット
により達成される。
本発明のエアフィルターパックおよびエアフィルターユニットに用いられるエアフィルター濾材をまず説明する。このエアフィルター濾材は、PTFE多孔膜およびその少なくとも片面にラミネートされた通気性支持材料を有してなるエアフィルター濾材であって、上記で定義したPF1値が22を越える。
より高いPF1値、例えば少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25のエアフィルター濾材であれば、より高性能(高PF2値、PF3値)のエアフィルターパック、エアフィルターユニットが得られるとともに、後述するように、エアフィルターユニットの高性能を維持したままで、エアフィルターユニットをよりコンパクト(極めて薄型のエアフィルターユニット)にすることができる。
本発明で使用可能なPTFE多孔膜は、そのPF値が22を越えるものであればよく、公知のPTFE多孔膜が使用できる。このようなPTFE多孔膜は、特開平10−30031号公報、特開平10−287759号公報、特表平9−504737号公報に記載されている。
好ましく使用されるPTFE多孔膜のPF値は少なくとも27、更には少なくとも28である。
<好ましいPTFE多孔膜の製造方法>
PTFE多孔膜は、延伸多孔膜が好ましい。
PTFE延伸多孔膜を製造するには、まずPTFE乳化重合水性分散液を凝析して得られたファインパウダーに、ソルベントナフサ、ホワイトオイルなどの液状潤滑剤を添加し、棒状にペースト押出を行う。その後、この棒状のペースト押出物を圧延してPTFE未焼成体を得る。この時の未焼成テープの厚みは、通常100〜500μmである。
長手方向の延伸は、PTFE焼成体の融点以下の温度で行う。また幅方向の延伸は200〜420℃の温度で行う。
幅方向に延伸したPTFE多孔膜は必要に応じて収縮を防ぐために熱処理をしてもよい。
また、PTFE多孔膜の厚みを増し、更に低充填率にするために、作製する未焼成テープに非繊維化物(例えば、低分子量PTFE)をPTFEファインパウダー100重量部あたり10〜50重量部添加して延伸してもよい。
好ましくは、少なくとも表面に熱融着性を有する不織布が使用でき、更に好ましくは、芯鞘構造繊維(例えば、芯がポリエステルで鞘がポリエチレン、芯が高融点ポリエステルで鞘が低融点ポリエステルである繊維)からなる不織布である。この芯鞘構造繊維からなる不織布は、芯より低融点である鞘の融点を少し越える程度の低い温度でラミネートすることが可能であるため、PTFE多孔膜と通気性支持材料とのラミネート時の熱履歴を小さくできるので、後述するPTFE多孔膜と通気性支持材料とのラミネートにおいて、よりPF値の低下を押さえることができる。
本発明で用いられるエアフィルター濾材は、PTFE多孔膜と通気性支持材料とを次ぎの方法でラミネートして得るのが好ましい。
出願人:ダイキン工業株式会社は、既にPTFE多孔膜と通気性支持材料とがラミネートされたエアフィルター濾材、それを用いたエアフィルターパックおよびエアフィルターユニットを製造販売しているが、そのエアフィルター濾材の製造において、PTFE多孔膜に通気性支持材料をラミネートすると、一般に圧力損失が上昇することは知られていたが、更に圧力損失の上昇に加えて捕集効率の低下をも招き、結果としてPF値が低下するという問題が起こることを見い出した。そして、より高PF値のエアフィルター濾材を得るには、従来知られていない、より良いラミネート条件を見い出すことが極めて重要であることがわかった。
PTFE多孔膜単体のPF値が22を越えてさらに高くなってくると、PTFE多孔膜の平均繊維径はより細くなり、充填率もより小さくなっていく。また、通常は高寿命を狙って、浮遊微粒子の捕獲できる量を大きくするためにPTFE多孔膜の厚みを5μm以上のものが好ましく使用される。
(1)ラミネート時の熱履歴を極めて小さくすること、
(2)巻き取り、巻き出しテンションを極めて小さくすること、
(3)好ましくは、ラミネート直後に冷風等をあてることにより強制的に冷却すること。
本発明の好ましい一態様において、PTFE多孔膜と通気性支持材料とのラミネートは、図2の右半分に示すように、通気性支持材料22、23、好ましくは熱可塑性不織布、例えば、芯がポリエステルで鞘がポリエチレンからなる芯鞘構造繊維からなる不織布を、図2の左半分に示すテンターから送られてくる二軸延伸PTFE多孔膜の両面に重ね、ヒートロール19に接触させることにより行うことができる。
更に好ましくは、(a)加熱温度が130℃以上140℃未満の時は、巻出しテンション70〜90g/cm、ライン速度5m/分以上で行い、(b)加熱温度が140℃以上170℃未満の時は、巻出しテンション30〜70g/cm、ライン速度10m/分以上で行い、(c)加熱温度が170℃以上220℃未満の時は、巻出しテンション10〜30g/cm、ライン速度15m/分以上で行うことができる。
また、ラミネートされたPTFE多孔膜および通気性支持材料は、ラミネート直後に冷却することが好ましい。冷却は、送風ノズル24をヒートロール19の直後に設置し、ノズルの中にブロアにより室内の空気(好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下)を強制的に導入し、もしくは強制冷却した空気をノズル中に導入し、ノズルから空気を強制的にラミネートされたエアフィルター濾材全体に当てることにより行うことができる。
一般に、エアフィルターユニットは、エアフィルター濾材をプリーツ状に加工してエアフィルターパックを得、これを枠体に組み込んで作製することができるが、具体的には次のとおりである。
ミニプリーツタイプユニット
ミニプリーツタイプの製造工程には、エアフィルター濾材をひだ状にプリーツ加工する工程、ひだ状にプリーツ加工したエアフィルター濾材を開き、例えばひも状のスペーサーをエアフィルター濾材に塗布する工程、スペーサーを塗布したエアフィルター濾材を再度ひだ状にプリーツ加工する工程、プリーツ加工したエアフィルター濾材を指定の大きさに切断する工程(本発明でいうエアフィルターパックの完成)、エアフィルターパックの四方をフレームで囲い、エアフィルターパックとフレームをシールする工程からなる。
またスペーサーを塗布したエアフィルター濾材を再度ひだ状にプリーツ加工する方法は、図6のようにエアフィルター濾材を2つのロールで送り、出口に重りを置いて立ち上げるロール立ち上げ法や、図5のようにレシプロ式の櫛刃で立ち上げる方法がある。
セパレータタイプユニットの製造工程は、エアフィルター濾材をひだ状にプリーツ加工する工程、ひだ状にプリーツ加工したエアフィルター濾材の間にコルゲート状に加工したセパレーターを挿入する工程、プリーツ加工したエアフィルター濾材を指定の大きさに切断する工程(本発明でいうエアフィルターパックの完成)、エアフィルターパックの四方をフレームで囲い、エアフィルターパックとフレームをシールする工程からなる。
本発明のPTFE多孔膜及び通気性支持材料を有するエアフィルター濾材のもつPF値をより効率よく、エアフィルターパック及びエアフィルターユニットに反映させるためには、次のような製造方法が好ましい。
(1)エアフィルター濾材をひだ状にプリーツ加工する工程において、エアフィルター濾材を繰り出すときにニップロールを使わずに軸にモーターをつけ強制的に繰り出し、エアフィルター濾材の厚み方向に力を加えないこと。
(2)またエアフィルター濾材をひだ状にプリーツ加工する工程において、プリーツ加工した後、例えば図4に示す加熱手段42,42’により、加熱(通常60〜110℃)を行って折り癖をしっかりと付けること。
(3)プリーツ状に加工したエアフィルター濾材を展開しひも状のスペーサーを塗布後、再びプリーツ状に加工する時に、レシプロ式の様な櫛刃で強制的に行い折り目をきれいにすること。
(4)全体の工程で、エアフィルター濾材を搬送するとき、ニップロールを使用しないように行い、エアフィルター濾材を圧縮させないようにすること。
一般にPF値が高くなればなるほど、同一捕集効率を達成するためのユニットの圧力損失値を低く設定することが可能となる。また同一圧力損失のユニットであればPF値が高くなるほど捕集効率を高く設定できる。本発明に従ってPF2値またはPF3値が90.6を越える場合、これまで達成が不可能であったと考えられていたほど低い圧力損失のULPA、HEPAを得ることができる。
本発明のエアフィルターパック及びエアフィルターユニットの圧力損失値は通常低ければ低い程良く、濾材透過風速が1.4cm/秒の時、好ましくは1〜25.4mmH2O、更に好ましくは1〜15mmH2Oである。
エアフィルターユニットの形状は使用用途によって様々である。例えばエアフィルター濾材を袋状に構成する吹き流しの様な形態、エアフィルター濾材をひだ状にプリーツ加工し、その間に風の流路を保つためにひだ状のコルゲート加工したスペーサーを挿入した形態、エアフィルター濾材をひだ状にプリーツ加工し、風の流路を保つためにエアフィルター濾材の長手方向にホットメルトのひも状スペーサーを塗布した形態等がある。また、ひだ状にプリーツ加工するときの高さ(1つの折り目から次の折り目までのエアフィルター濾材の長さ)も様々である。
すなわち折込量が多いと濾材透過風速が小さくなり、このため圧力損失値が小さく、捕集効率が上がるのである。また折込量が少ないと逆に濾材透過風速が大きくなり、このため圧力損失値は大きく、捕集効率は低下するのである。
このことから個々のエアフィルターユニットの性能を相対比較する場合、エアフィルターユニットの面の風速を一定にするよりはエアフィルターユニットに折り込まれたエアフィルター濾材を透過する風速を一定にする必要がある。本発明ではこの様な理由から、エアフィルターユニットに折り込まれたエアフィルター濾材内を透過する風速を1.4cm/秒として相対評価を行う。
エアフィルターユニットの開口面積をSm2、エアフィルター濾材の折り込み面積をsm2(折り込み高さ、プリーツ数から求められる)とすると、エアフィルターユニット面速Vは、
V=1.4×s/S (cm/秒)=(1.4/100)×s/S(m/秒)
となる。
ULPAとしての性能とは一般に、ユーザーが使用するエアフィルターユニットの面風速で、捕集効率が99.9995%以上、好ましくは99.9999%以上で、圧力損失が15mmH2O以下を言う。
例えば、折り高さが30mmのエアフィルターパックを有するエアフィルターユニットの場合、通常ユーザーが使用するエアフィルターユニットの面風速である0.5m/秒で使用した時、捕集効率を99.9999%と設定すると、圧力損失は15mmH2O以下となり、また折り高さが20mmのエアフィルターパックを有するエアフィルターユニットの場合、エアフィルターユニットの面風速が0.35m/秒で使用した時(特に薄いエアフィルターユニットの場合には、通常0.35m/秒の面風速で使用される)、捕集効率を99.9999%と設定すると、圧力損失は15mmH2O以下となる。このように、ULPAとしての高性能を維持したままで折り高さが30mm以下の薄いエアフィルターユニットが得られる。
構造抵抗とは、プリーツの間隙を空気が通過するときに生じる空気と、エアフィルター濾材との摩擦抵抗であり、エアフィルターユニットの圧力損失は、エアフィルター濾材を空気が透過するときの圧力損失と構造抵抗の和として表される。
また、本発明のエアフィルターユニットは、半導体工業、液晶工業、医療、食品工業、バイオテクノロジー等のクリーンルーム、拡散炉、コーターデベロッパー、ウェットステーション、化学蒸着(CVD)、ステッパー、ストッカー、ドライエッチング装置、プラズマエッチング装置、クリーンブース、クリーンチャンバー、ウェハー検査装置(サーフスキャン、プローバー)、FFU(ファンフィルターユニット)、CMP等の半導体製造装置等の用途に使用できる。特に薄型のエアフィルターユニットは、FFUを薄くできたり、半導体製造装置に組み込んだ場合、設置スペースを狭くできその結果装置の小型化につながり、また軽いため簡単に施工できる等の点で画期的なエアフィルターユニットである。
参考例および実施例中、PTFE多孔膜の膜厚、充填率、平均繊維径、圧力損失、捕集効率、PF値ならびにリークの有無;エアフィルター濾材の圧力損失、透過率、捕集効率、PF1値ならびにリークの有無;およびエアフィルターユニットの圧力損失、透過率、捕集効率、PF3値、リークの有無ならびにTOC発生量は以下のようにして測定した。
尚、本発明において上記濾材およびエアフィルターユニットの捕集効率、濾材のリーク検査の測定はジオクチルフタレート(DOP)を検査粒子として使用したが、TOC発生を低減させる観点から、従来TOC発生が少ないものとして提案されている検査粒子(例えば、シリカ粒子、ポリスチレンラテックス粒子等)を用いることもできる。
膜厚計(1D−110MH型、ミツトヨ社製)を使用し、PTFE多孔膜を5枚重ねて全体の膜厚を測定し、その値を5で割った数値を1枚の膜厚とした。
走査型電子顕微鏡(S−40000型 日立製作所製)を用いて、PTFE多孔膜の拡大写真(7000倍)を撮影する。この写真を4つ切り大に拡大し、写真上に縦、横それぞれ4本の同一長さ(長さ:縦24.5cm、横29.5cm)の直線を5cm間隔に引き、その直線上にあるPTFE繊維の直径を測定し、その平均をPTFE繊維の平均繊維径とした。
PTFE多孔膜及びエアフィルター濾材の測定サンプルを直径100mmのフィルターホルダーにセットし、コンプレッサーで入口側を加圧し、流量計で空気の透過する流量を5.3cm/秒に調整した。そしてこの時の圧力損失をマノメーターで測定した。
PTFE多孔膜及びエアフィルター濾材の測定サンプルを直径100mmのフィルターホルダーにセットし、コンプレッサーで入口側を加圧し、流量計で空気の透過する流量を5.3cm/秒に調整した。この状態で上流側から粒子径0.1〜0.12μmの多分散DOPを粒子濃度108個/300mlで流し、下流側に設置したパーティクルカウンター(PMS LAS−X−CRT PARTICLE MEASURING SYSTEM INC.(PMS)社製、以下同じ)によって、粒子径0.10〜0.12μmのDOPの透過粒子数を求め、上流の粒子濃度をCi、下流粒子濃度をCoとして下記式により測定サンプルの捕集効率を計算した。
PTFE多孔膜のPF値は、
により求めた。
一方、エアフィルター濾材のPF1値は先に記載した式に従って求めた。
PTFE多孔膜及びエアフィルター濾材の測定サンプルを直径100mmのフィルターホルダーにセットし、コンプレッサーで入口側を加圧し、流量計で空気の透過する流量を5.3cm/秒に調整した。この状態で上流側から多分散DOPを粒子濃度108個/300mlで流し、下流側に設置したパーティクルカウンターによって、粒径別の透過粒子数を求め、上流、下流の粒子数の比率から粒径0.10〜0.12μm及び0.25〜0.35μmのDOP粒子の捕集効率を求め、粒径0.25〜0.35μmのDOPの捕集効率が粒径0.10〜0.12μmのDOPの捕集効率より100倍以上高ければリーク無しと判定した。
図3に示した装置を用い、エアフィルターユニットを装着後エアフィルター濾材を透過する風速が1.4cm/秒になるように調整し、その時のエアフィルターユニット前後の圧力損失をマノメーターで測定した。
なお、図3中の符号の説明は以下のとおりである。
31:送風機、32,32':HEPAフィルター、33:試験用粒子導入管、34,34':整流板、35:上流側試験用粒子採取管、36:静圧測定孔、37:供試フィルターユニット、38:下流側試験用粒子採取管、39:層流型流量計
図3示した装置を用い、エアフィルターユニットを装着後エアフィルター濾材を透過する風速が1.4cm/秒になるように調整し、この状態で上流側に粒子径が0.1〜0.12μmのDOP粒子を濃度1×109/ft3で流し、下流側の粒子径0.1〜0.12μmの粒子数をパーティクルカウンターで測定し、上流の粒子濃度をCi、下流粒子濃度をCoとして下記式により測定サンプルの捕集効率を計算した。
エアフィルターパック及びエアフィルターユニットのPF2値及びPF3値は先に記載した式に従って求めた。
ところで、エアフィルターパックの性能の測定は、それ自身では測定できないため、測定を行うためエアフィルターパックの四方にフレームを付け、エアフィルターパックとフレームとをシールしたエアフィルターユニットとして測定する。その結果、エアフィルターパックとエアフィルターユニットのPF2値とPF3値は同じ値となる。
エアフィルターユニットのリーク箇所の測定は、JACA No.10C 4.5.4に準拠して行った(日本空気清浄協会発行1979年「空気清浄装置性能試験方法基準」)。
ラスキンノズルより発生させたシリカ粒子を清浄空気に混合して粒径が0.1μm以上の粒子を濃度108個/ft3以上で含む検査流体を調製する。次に、エアフィルターユニットの上流から検査流体をエアフィルターユニット面の風速が0.5m/秒になるようにしてエアフィルターユニットに通す。その後、エアフィルターユニットの下流側25mmの位置で、捜査プローブを1秒間に5cmの速度で走査させながら、下流側空気を28.3リットル/分で吸引し、パーティクルカウンターで下流側のシリカ粒子濃度を測定する。但し、この走査はエアフィルターユニットの濾材および濾材とフレームとの結合部の全面にわたって行い、そのストロークはわずかに重なり合うようにする。エアフィルターユニットにリークが存在する場合は、下流側のシリカ粒子の粒径分布が、上流側の粒径分布と同じようになるため判別が可能である。
エアフィルターユニットからのTOC発生量の測定は、HEPAフィルター及び有機物除去ケミカルフィルターを通して、パーティクル及び有機物処理を行った空気を、試験を行うエアフィルターユニットに通し、エアフィルターユニット下流側空気を多孔質高分子吸着剤(TENAX GR)を用いて吸引サンプリングを行い、有機物を吸着させる。この時の条件は次の通りである。
・試験エアフィルターユニット透過風速:0.35m/秒
・下流側空気サンプリング量:2L/分×100分間
・ガスクロマトグラフィー:GC14A(島津製作所社製)
・カラム:FRONTIER LAB ULTRA ALLOY Capillary Column UA−5
・カラム温度:50℃→280℃(10分ホールド)、昇温速度10℃/分
数平均分子量620万のPTFEファインパウダー(ダイキン工業株式会社製ポリフロンファインパウダーF−104U)100重量部に、押出助剤としての炭化水素油(エッソ石油株式会社製アイソパー)25重量部を加えて混合した。
この混合物をペースト押出により丸棒状に成形した。この丸棒状成形体を70℃に加熱したカレンダーロールによりフィルム状に成形し、PTFEフィルムを得た。このフィルムを250℃の熱風乾燥炉に通して押出助剤を蒸発除去し、平均厚み200μm、平均幅150mmの未焼成フィルムを得た。
次に、この未焼成PTFEフィルムを図1に示す装置を用いて長手方向に延伸倍率5倍で延伸した。未焼成フィルムはロール1にセットし、延伸したフィルムは巻取ロール2に巻き取った。また、延伸温度は250℃で行った。
参考例1で得た長手方向延伸フィルムを図2の左半分に示す装置を用いて幅方向に延伸倍率40倍で延伸し、熱固定を行った。この時の延伸温度は290℃、熱固定温度は350℃、また延伸速度は440%/秒であった。
参考例1で得た長手方向延伸フィルムを図2の左半分に示す装置を用いて幅方向に延伸倍率25倍で延伸し、熱固定を行った。この時の延伸温度は290℃、熱固定温度は380℃、また延伸速度は275%/秒であった。
参考例1で作製したPTFE多孔膜の両面にポリエチレン/ポリエステル製熱融着性不織布(上面:商品名エルベスT0703WDO(ユニチカ製);下部:商品名エルフィットE0353WTO(ユニチカ製))を図2に示す装置を用いて熱融着し、エアフィルター濾材を得た。この時の熱融着条件は以下の通りであった。
ライン速度 15m/分
巻出しテンション 50g/cm(不織布22の巻出しテンション)
巻取テンション 280g/cm
参考例1で作製したPTFE多孔膜の両面にポリエチレン/ポリエステル製熱融着性不織布(上面:商品名エルベスT0703WDO(ユニチカ製);下部:商品名エルフィットE0353WTO(ユニチカ製))を図2に示す装置を用いて熱融着し、エアフィルター濾材を得た。この時の熱融着条件は以下の通りであった。
ロール19 加熱温度180℃
ライン速度 15m/分
巻出しテンション 20g/cm(不織布22の巻出しテンション)
巻取テンション 280g/cm
加熱ロール19の直後に冷風吹き出し装置を設け、ロール19から出たエアフィルター濾材に20℃の空気を吹き付けて冷却した以外は参考例4と同様にして、エアフィルター濾材を得た。
実施例2で作製したPTFE多孔膜を使用した以外は参考例4と同様にしてエアフィルター濾材を作製した。
実施例2で作製したPTFE多孔膜を使用した以外は実施例6と同様にしてエアフィルター濾材を作製した。
参考例1で作製したPTFE多孔膜を用い、特開平6−218899号公報に記載された実施例7の条件(加熱温度160℃、ライン速度10m/分、巻出しテンション90g/cm)で、図2に示す装置を用いてPTFE多孔膜の両面にポリエチレン/ポリエステル製熱融着性不織布(上面:商品名エルベスT0703WDO(ユニチカ製);下部:商品名エルフィットE0353WTO(ユニチカ製))を熱融着してエアフィルター濾材を得た。巻取りは、巻取テンション280g/cmで行った。
参考例2で作製したPTFE多孔膜を用いた以外は参考例9と同様にしてエアフィルター濾材を得た。
さらに参考例6および8の結果から、ラミネート直後に冷却すると、PF1値は更に向上することが解った。
一方、前記参考例9〜10から理解できるように、特開平6−218899公報に記載された程度の緩やかなラミネート条件では、圧力損失の上昇は抑えられるものの捕集効率の低下は防ぐことはできず、PTFE多孔膜単体のPF値が高い場合にも、通気性支持材料をラミネートしたエアフィルター濾材のPF1値は22以下に低下してしまうことが解った。
参考例4で製造したエアフィルター濾材を、レシプロ折り機で高さ5.5cmにプリーツ加工し、プリーツ後90℃の温度をかけて折りくせをつけた。この後、プリーツされたエアフィルター濾材を一旦開き、ポリアミドホットメルト樹脂製のスペーサーを塗布し、再度プリーツ状にレシプロ立ち上げ機で立ち上げ、大きさ58cm×58cmに切断して、エアフィルターパックを得た。この時のプリーツ間隔は3.125mm/プリーツであった。
ここまでの工程で、エアフィルター濾材を繰り出すときには軸にモーターをつけ強制的に繰り出し、エアフィルター濾材の厚み方向に力を加えないようにした。またエアフィルター濾材を搬送するときには、ニップロールを使用しないようにして、エアフィルター濾材に圧縮力をかけないようにした。
再立ち上げをロール立ち上げ機を用いて行った以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。
参考例8のエアフィルター濾材を使用した以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。
エアフィルター濾材をレシプロ機で折った後に熱をかけず、折り目にくせをつけなかった以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。
エアフィルター濾材をロールから繰り出す際にニップロールを用いた以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。
尚、これらのエアフィルターユニットで濾材透過風速が1.4cm/秒である時のエアフィルターユニットの面速は以下の通りである。
各エアフィルターユニットの内寸は58cm×58cmであるから、エアフィルターユニットの開口面積は58cm×58cm=3364cm2=0.3364m2となる。一方、折り込まれたエアフィルター濾材の面積については、まずプリーツ数を計算すると、580mm÷3.125mm/プリーツ=185プリーツとなり、これから、エアフィルター濾材の長さは5.5cm×185×2=2035cm=20.35mとなる。またエアフィルター濾材の幅は58cm=0.58mであるので、エアフィルター濾材の面積は20.35×0.58=11.803m2となる。エアフィルターユニットの開口面積とエアフィルター濾材の面積から、濾材透過風速1.4cm/秒の時のエアフィルターユニットの面速は1.4cm/秒×11.803m2÷0.3364m2=49.12cm/秒=0.4912m/秒となる。実際のエアフィルターユニットの圧力損失等の測定は、この面速で行った。
また、再度プリーツ状に立ち上げる場合、ロール立ち上げ機よりもレシプロ立ち上げ機を用いた方がより高いPF3値を得るのに好ましいことがわかる。
参考例4で作製したエアフィルター濾材を、レシプロ折り機により高さ13cmでプリーツ加工し、プリーツ後80℃の温度をかけて折りくせをつけた。この後、プリーツ加工されたエアフィルター濾材の間に、厚み35μmのアルミ箔を高さ2.4mmにコルゲート加工したセパレーターを上下流側それぞれに挿入し、大きさ58cm×58cmに切断した。この時のプリーツ間隔は5.0mm/プリーツであった。
ここまでの工程で、エアフィルター濾材を繰り出すときには軸にモーターをつけ強制的に繰り出し、エアフィルター濾材の厚み方向に力を加えないようにした。またエアフィルター濾材を搬送するときには、ニップロールを使用しないようにして、エアフィルター濾材に圧縮力をかけないようにした。
このエアフィルターユニットについて濾材透過風速が1.4cm/秒になるように風速を設定してエアフィルターユニットの圧力損失及び捕集効率を測定した。尚、このエアフィルターユニットで濾材透過風速が1.4cm/秒となる時のエアフィルターユニットの面速は、実施例1〜3および参考例11〜12と同様に計算すると0.7279m/秒となる。実際のエアフィルターユニットの圧力損失等の測定は、この面速で行った。
参考例4で作製したエアフィルター濾材をレシプロ折り機で高さ3.0cmにプリーツ加工した以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。
参考例8で作製したエアフィルター濾材をレシプロ折り機で高さ3.0cmにプリーツ加工した以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。
参考例4で作製したエアフィルター濾材をレシプロ折り機で高さ2.0cmにプリーツ加工した以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。
実施例8で作製したエアフィルター濾材をレシプロ折り機で高さ2.0cmにプリーツ加工した以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。
参考例9で作製したエアフィルター濾材をレシプロ折り機で高さ3.0cmにプリーツ加工した以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。
参考例10で作製したエアフィルター濾材をレシプロ折り機で高さ3.0cmにプリーツ加工した以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。
参考例9で作製したエアフィルター濾材をレシプロ折り機で高さ2.0cmにプリーツ加工した以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。
参考例10で作製したエアフィルター濾材をレシプロ折り機で高さ2.0cmにプリーツ加工した以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。
スペーサーにEVA製ホットメルト樹脂を用いた以外は実施例1と同様にしてエアフィルターユニットを作製した。またスペーサーの塗布量は実施例1と同じ量にした。さらにエアフィルターパックとアルミニウム枠とのシール剤も同じ物を用いた。
15:予熱オーブン、16:延伸オーブン、17:熱固定オーブン
31:送風機、32,32':HEPAフィルター、33:試験用粒子導入管、34,34':整流板、35:上流側試験用粒子採取管、36:静圧測定孔、37:供試フィルターユニット、38:下流側試験用粒子採取管、39:層流型流量
Claims (14)
- ポリテトラフルオロエチレン多孔膜およびその少なくとも片面にラミネートされた通気性支持材料を有してなるエアフィルター濾材をプリーツ加工してなるエアフィルターパックであって、
該エアフィルター濾材に5.3cm/秒の流速で空気を透過させたときの圧力損失(単位:mmH2O)および粒子径0.10〜0.12μmのジオクチルフタレートを用いて測定した捕集効率(単位:%)から下記式:
に従って計算される該濾材のPF1値が22を越え、
該エアフィルターパックに1.4cm/秒の濾材透過風速で空気を透過させたときの圧力損失(単位:mmH2O)および粒子径0.10〜0.12μmのジオクチルフタレートを用いて測定した捕集効率(単位:%)から下記式:
に従って計算される該パックのPF2値が90.6を越えることを特徴とするエアフィルターパック。 - 5.3cm/秒の流速で空気を透過させたときのエアフィルター濾材の圧力損失が4mmH2O以上である請求項1に記載のエアフィルターパック。
- エアフィルターパックのPF2値が少なくとも92である請求項1または2に記載のエアフィルターパック。
- 1.4cm/秒の濾材透過風速で空気を透過させたときの粒子径0.10〜0.12μmのジオクチルフタレートを用いて測定した捕集効率が99.9%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のエアフィルターパック。
- 前記捕集効率が99.999%以上である請求項4に記載のエアフィルターパック。
- 前記エアフィルターパックは、ポリアミドホットメルト樹脂からなるスペーサーを有するミニプリーツタイプである請求項1〜5のいずれかに記載のエアフィルターパック。
- 折り高さが30mm以下であり、1.4cm/秒の濾材透過風速で空気を透過させたときのエアフィルターパックの圧力損失が1〜25.4mmH2Oである請求項1〜6のいずれかに記載のエアフィルターパック。
- 枠体、および該枠体内に収納されたプリーツ状に折り曲げたエアフィルター濾材からなるエアフィルターパックを有してなるエアフィルターユニットであって、該エアフィルター濾材は、ポリテトラフルオロエチレン多孔膜およびその少なくとも片面にラミネートされた通気性支持材料を有してなり、
該エアフィルター濾材に5.3cm/秒の流速で空気を透過させたときの圧力損失(単位:mmH2O)および粒子径0.10〜0.12μmのジオクチルフタレートを用いて測定した捕集効率(単位:%)から下記式:
に従って計算される該濾材のPF1値が22を越え、
該エアフィルターユニットに1.4cm/秒の濾材透過風速で空気を透過させたときの圧力損失(単位:mmH2O)および粒子径0.10〜0.12μmのジオクチルフタレートを用いて測定した捕集効率(単位:%)から下記式:
に従って計算される該ユニットのPF3値が90.6を越えることを特徴とするエアフィルターユニット。 - 5.3cm/秒の流速で空気を透過させたときのエアフィルター濾材の圧力損失が 4mmH2O以上である請求項8に記載のエアフィルターユニット。
- エアフィルターユニットのPF3値が少なくとも92である請求項8または9に記載のエアフィルターユニット。
- 1.4cm/秒の濾材透過風速で空気を透過させたときの粒子径0.10〜0.12μmのジオクチルフタレートを用いて測定した捕集効率が99.9%以上である請求項8〜10のいずれかに記載のエアフィルターユニット。
- 前記捕集効率が99.999%以上である請求項11に記載のエアフィルターユニット。
- 枠体内に収納されたプリーツ状に折り曲げたエアフィルター濾材からなるエアフィルターパックが、ポリアミドホットメルト樹脂からなるスペーサーを有するミニプリーツタイプである請求項8〜12のいずれかに記載のエアフィルターユニット。
- エアフィルターパックの折り高さが30mm以下であり、1.4cm/秒の濾材透過風速で空気を透過させたときのエアフィルターユニットの圧力損失が1〜25.4mmH2Oであることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載のエアフィルターユニット。
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