JP4065900B1 - おが粉製造用切削刃及びその切削刃集合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】おが粉を製造するための折曲された切削刃に関する。被切削木材Wの送り方向から見た正面視方向に平行な鉛直面Vに対して右又は左方向に上下対称に切削刃を所定角度折曲したときに、切削刃の半径方向において外周側から中心に向かう方向から見て、台金の外周縁に沿う超硬チップの中心線Cが右上がりの部位にある超硬チップT1, T7の少なくとも右側側面Trの側面逃げ角hを、これらの超硬チップの上記鉛直面Vに対する中心線Cの角度と同一又はそれ以上に形成し、且つ台金の外周縁に沿う超硬チップの中心線Cが右下がりの部位にある超硬チップT24, T30の少なくとも左側側面Tlの側面逃げ角hを、それぞれのチップの鉛直面Vに対する中心線Cの角度と同一又はそれ以上に形成した。
【選択図】図5
Description
例えば、畜舎の床敷用に用いられるおが粉の場合には、保水力、弾力性、保温性、快適性等の各種の機能が要求されているが、そのためには、粒度の細かいものから少し大きなもの等を混合させたり、木材の導管を破壊又は潰してしまわないようにし、尚且つおが粉表面を複雑形状とすることによりその表面積を拡大し、導管内にエアーを保持できるようにすることが必要となるのである。
これにより、鋸刃相互間に被切削材の小片が挟まることがなくなり、且つ騒音も防止されることが記載されている。また、この文献には、鋸刃を傾斜させて取り付けることも記載されている。
これにより、1枚の切削刃の有効切削幅を増加させることができるものであり、切削刃の積層に際し、その枚数を少なくして切削刃集合体からなるカッターの軽量化にも寄与するものである。
これにより、切削されたおが粉の粒度を極めて適切なものとすることができ、大きな木片をなくし、且つ、粒度の細かいものと少し大きなものとが混在したおが粉とすることができるようになった。
しかしながら、本発明に係るおが粉製造用切削刃は、このチップソーとは全く異なる概念、異なる物品のなのである。
用途と機能の異なる物品は、別物品であり、似て非なるものである。
更に付言すると、切断を目的とするチップソーにあっては、その台金を折り曲げるという発想は、その用途と機能を考慮すれば、決して出て来ないタブーなものであり、逆におが粉製造用切削刃であるが故に、その台金を折り曲げ、切削幅をより広くするという技術思想が出てくるものであり、両物品は誠にもって似て非なるものである。
この折曲された切削刃を複数枚、スペーサーを介して積層して切削刃集合体を形成させておが粉製造装置のカッターとして用いて来たのである。
これにより、後に詳細に説明するが、切削刃の外周縁部に列設された超硬チップの刃先部が傾斜して(傾斜も正面視左右に交互に変換する)被切削木材に当接し、且つ超硬チップの刃先部が前後の刃先部と一部重複し、その重複幅も順次異なるようになり、切削刃の1回転で刃先部の角度も正面視左右2回ずつ変換され、切削重複幅も広狭変換しておが粉の粒度も大小変更できることとなるものである。
この種の切削刃は、おおよそ16〜18時間使用すると、チップが磨耗してしまうために、チップの研磨作業を行うのであるが、本発明においては、その超硬チップの形状、或は台金への取り付け方法等をより綿密に研究し、よりよい形態のものに改良することを目的としている。
とりわけ、使用中の一部の切削刃において、その一部のチップのみが大きく消耗したり、破損したりする事例があり、これまでは単に切削刃の製造上の単なる不良品との位置づけでそのまま放置されていたのであったが、これが何か構造的或は機能的なある原因で生じたのではないのか、という疑問から、鋭意研究の末、本発明が生み出されたのである。
ここで「側面逃げ角」とは、一般的に使用されている意味と同一であるが、チップの刃先部(後にTbとして示される。)の端部からチップ中心線と平行な補助線を引き、この補助線とチップ側面との成す角度を意味する(以下同じである。)。
本発明の第4のものは、上記第2の発明において、切削刃の所定折曲角度θを2度から6度の範囲内に設定したことを特徴とするおが粉製造用切削刃集合体である。
つまり、切削に当たり、チップの刃先部のみが被切削部材に食い付き、その他の何れの面も被切削部材に接触することがないため、チップの損傷、耐磨耗等の点で、最適状態で切削を行うことができるのである。その結果、耐久性能を最大限に引き伸ばすことができ、チップの損傷、磨耗を最小限に食い止めることができるのである。
本発明の第3及び第4のものにおいても、その切削刃の折曲所定角度θを2度から6度の範囲に規定して、本発明の切削刃の最適な範囲を提示することができたものである。
図1は、本発明に係る切削刃集合体を用いたおが粉製造装置の一実施形態を図示する要部の分解説明図である。
電動モータ(図示省略)により回転駆動される回転軸5に、複数枚の切削刃10をスペーサ20を介して積層し、両端部の固定板30、31を取り付け、ナット32で固定し、切削刃集合体12が構成される。この構成は従来のおが粉製造装置と同じである。
間伐材等の被切削木材は、矢印Xの正面方向から切削刃集合体12へ送り込まれ、順次切削加工が行われ、おが粉が製造されるものである。
図2及び図3(A)から解る通り、切削刃10は、正面視方向Xと平行な鉛直面Vに対して、その直径方向PQに沿って一方の側(図3(A)では右側)に所定角度θだけ、上下対称に起立するように折り曲げられている。
そして、この実施形態においては、切削刃10の外周縁部には、所定間隔で鋸刃状の刃部11が多数設けられている。
この実施形態では、外径が455mmのもので、中心角90度当たり15個ずつの刃部11を設け、全体で60個設けている。この刃部11の先端部には、図には明瞭に表われていないが、超硬チップTがそれぞれロウ付けされているのである。
即ち、チップTの中心線は、台金の外周縁に沿っており、その中心線は、台金の接線方向と同一となり、その中心線が、台金の折曲により、鉛直面Vに対して、図3(A)の上半分の領域では、右上がりに傾斜し、図3(A)の下半分の領域では、右下がりに傾斜している。
従って、切削に際しては、この図から解るとおり、チップTの中心線は、中心角90度毎に右上がり、右下がり、右上がり、右下がりというように交互に変換して、チップTの刃先部Tbの向きは、左右に傾斜角度を交互に変換するようにして切削を行うこととなるのである。
これらの図から解る通り、チップTの刃先部Tbの下方にはすくい面Tsが形成され、すくい角eは適宜5度から25度程度に設定し、あさり角fは約1度から2度程度、外周逃げ角gは10度から15度程度に設定する。
その側面逃げ角は、両側にあるが、この側面逃げ角hについては後に詳細に説明する。
尚、従来のチップソーでは、台金が折曲されておらず、この側面逃げ角は約1度程度である。
また、本発明の実施形態では、チップTの高さTtを約9mm、チップTの刃先部Tbの幅を約3.2mm、チップTの厚みTnを約3mm程度に設定している。
この図5の説明においては、図2及び図3と共に説明を加える。
尚、この実施形態においては、台金15の折曲角度θを4度にしている。以下これに基き説明する。
但し、添付図面では、内容をより明確に理解するために、その角度θを現実の角度4度よりも大きく描いている。
そして、このとき問題となるチップT1の側面は、右側側面Trとなり、この右側側面Trの側面逃げ角hは、台金の折曲角度θと同一の4度か、それよりも大きく形成しないと、刃先部Tbが被切削木材を切削するに際し、その右側側面Trが被切削木材と接触してしまうこととなる。
従って、この(1) の状態においては、チップT1の右側側面Trの側面逃げ角hを4度乃至それ以上としなければならない。
他方、チップT1の左側の逃げ角は、チップT1の中心線Cが右上がりに傾斜しているために、たとえ0度であっても問題は生じない。
従って、この(2) の状態においては、チップT7の右側側面Trの側面逃げ角hは、4度程度で十分となる。
他方、チップT7の左側の逃げ角は、上記チップT1の場合と同様に0度であっても問題は生じない。
しかし、その中心線の方向は、鉛直面とほぼ同一であることから、チップT15の側面逃げ角は、右側及び左側共に1度程度でも十分となる。
従って、この(3) の状態においては、チップT15の右側側面Trの側面逃げ角hは、4度以下1度以上で十分となる。しかし、それが4度以上であっても問題ないことは勿論である。
次に図5中(5) の状態においては、チップT24は、チップT1の部位から中心角にして約135度後続した部位にあり、今度は上記の場合と逆に、そのチップの向き、つまりその中心線Cは右下がりの傾斜となる。
即ち、今度は、チップの左側の側面が問題となるのである。但し、この位置では、その中心線Cは、切削刃10の折曲角度θである4度以下となっており、その左側側面Tlの側面逃げ角hは4度あれば十分となる。
そして、上の場合と同様に、チップの左側側面Tlが問題となり、その中心線Cは、折曲角度θである4度と略同一となっており、その側面逃げ角hは4度乃至それ以上設ける必要がある。
そして、図5に示したように、チップの下方部に図示したものは、被切削木材Wの切削状態を模式化したものであり、チップT1が下方の被切削木材Wの図中左側から(1) の部位を切削し、その後、後続のチップが順次右方向に切削して行き、チップT7が下方の被切削木材Wの(2) の部位を切削し、その後後続のチップが順次木材Wを右方向に切削して行き、チップT15が下方木材Wの(3) の部位を切削する。
これらの一連の被切削木材Wの切削に際して、チップT1からチップT15に向かうにつれて、チップの幅方向の変位幅は徐々に少なくなるのである。
つまり、チップT1から中心角にして約45度の範囲内のチップによって、より大きい粒径のおが粉が製造され、その後チップT7から後続する約45度の範囲内のチップにより、より細かい粒径のおが粉が製造されるのである。
以上のように、チップT1からチップT30までの一連の切削により、切削木材Wが右方向から左方向に一往復の切削を行うことができる。
従って、折曲した切削刃10の一枚が一回転すると、被切削木材Wは、右、左、右、左と2往復の切削を行うこととなるのである。
そして、この切削刃の集合体による切削幅は、積層された折曲切削刃の枚数により決定されることとなる。
その(A)が、図5で示したチップT1を示し、その(B)が図5で示したチップT30を示している。
図6(A)においては、台金15の折曲部の最も近くに位置するチップT1を示し、この部位においては、台金15の折曲角度θとほぼ同一の角度(鉛直面Vと中心線Cとの成す角度)を有する中心線C上にチップT1は位置しており、チップ T1の向きはその中心線Cが右上がりに傾斜しており、従って、図中右側側面Trが問題となり、この右側側面Trの側面逃げ角hを台金15の折曲角度θと同一又はそれよりも大きく形成している。
これにより、チップT1が被切削木材を切削するに際し、その右側側面Trの面部が被切削木材に接触しないようにし、それにより切削効率を高め、チップの損傷及び磨耗を最小限に抑えることができるのである。
これにより、チップT30が被切削木材を切削するに際し、その左側側面Tlの面部が被切削木材に接触しないようにし、それにより切削効率を高め、チップの損傷及び磨耗を最小限に抑えることができるのである
即ち、切削刃の折曲角度は、上記実施形態では、4度として説明したが、この角度は、2度以上6度の範囲内で設定することができる。
この折曲角度と台金の外周上のチップの位置に応じて、超硬チップの側面逃げ角を設定することができるのである。
即ち、正面視方向と平行な鉛直面に沿って切削刃を例えば右に4度上下対称にその直径方向に沿って折曲したときには、切削刃の外周縁に設けられているチップの中心線(切削刃の外周縁に沿った接線)の角度は、上記鉛直面に対して4度から0度の範囲内で徐々に右上がりから鉛直、鉛直から右下がり、更に右下がりから鉛直…というように順次変更される。
これによりチップの切削作業において、チップの一方の側面が被切削木材に接触することがなくなり、その損傷や破損を防止し、切削効率を向上し、その寿命も延長されることとなるのである。
上記実施形態において、切削刃の外径及び超硬チップ等の数、台金の厚み、チップの刃厚、高さ、厚み、チップの側面逃げ角以外のすくい角、あさり角、外周逃げ角等は適宜必要に応じて設定することができる。
以上、本発明は、直径方向に沿って折曲されたおが粉製造用切削刃のその折曲角度と、その切削刃の外周縁部に設けられる超硬チップ等の側面逃げ角との関係を明確にし、その側面逃げ角の大きさを前記折曲角度との関係で明確に特定し、限定することにより、切削刃の切削効率及び寿命を向上させ、しかも、鋭利な切り口によって被切削木材の導管等を潰すこともなく、種々の用途に適合させて利用される非常に有用なおが粉を製造することができる切削刃を提供することができたものである。
12 切削刃集合体
15 台金
20 スペーサー
T、T1、T7、T15、T16、T26、T30 超硬チップ
Tr 右側側面(チップの)
Tl 左側側面(チップの)
C 中心線(チップの)
h 側面逃げ角(チップの)
θ 折曲角度(切削刃の)
V 鉛直面
W 被切削木材
X 正面視方向
Claims (4)
- 円板形状の台金の周縁に所定間隔で超硬チップ等の切削用チップを列設した切削刃の直径方向に沿って対称に所定角度折曲したものをスペーサーを介して複数枚重ね合わせて形成したおが粉製造用切削刃集合体を構成する切削刃において、
被切削木材の送り方向から見た正面視方向(X)に平行な鉛直面(V)に対して右又は左方向に上下対称に上記切削刃(10)を所定折曲角度(θ)だけ起立させて折り曲げたとき、
切削刃(10)の外周縁部に列設されたそれぞれの切削用チップ(T)の中心線(C)の上記鉛直面(V)に対する角度は、上記折曲角度(θ)から0度の範囲内となり、
切削刃(10)の半径方向において外周側から中心に向かう方向から見て、台金(15)の外周縁に沿う切削用チップ(T)の上記中心線(C)が右上がりに傾斜する部位にある切削用チップ(T)の少なくとも右側側面(Tr)の側面逃げ角(h)を、これらの切削用チップ(T)の上記鉛直面(V)に対する中心線(C)の角度と同一又はそれ以上に形成し、
且つ、切削刃(10)の半径方向において外周側から中心に向かう方向から見て、台金(15)の外周縁に沿う切削用チップ(T)の上記中心線(C)が右下がりに傾斜する部位にある切削用チップ(T)の少なくとも左側側面(Tl)の側面逃げ角(h)を、これらの切削用チップ(T)の上記鉛直面(V)に対する中心線(C)の角度と同一又はそれ以上に形成したことを特徴とするおが粉製造用切削刃。 - 円板形状の台金の周縁に所定間隔で超硬チップ等の切削用チップを列設した切削刃の直径方向に沿って対称に所定角度折曲したものをスペーサーを介して複数枚重ね合わせて形成したおが粉製造用切削刃集合体において、
被切削木材の送り方向から見た正面視方向(X)に平行な鉛直面(V)に対して右又は左方向に上下対称に上記切削刃(10)を所定折曲角度(θ)だけ起立させて折り曲げたとき、
切削刃(10)の外周縁部に列設されたそれぞれの切削用チップ(T)の中心線(C)の上記鉛直面(V)に対する角度は、上記折曲角度(θ)から0度の範囲内となり、
切削刃(10)の半径方向において外周側から中心に向かう方向から見て、台金(15)の外周縁に沿う切削用チップ(T)の上記中心線(C)が右上がりに傾斜する部位にある切削用チップ(T)の少なくとも右側側面(Tr)の側面逃げ角(h)を、これらの切削用チップ(T)の上記鉛直面(V)に対する中心線(C)の角度と同一又はそれ以上に形成し、
且つ、切削刃(10)の半径方向において外周側から中心に向かう方向から見て、台金(15)の外周縁に沿う切削用チップ(T)の上記中心線(C)が右下がりに傾斜する部位にある切削用チップ(T)の少なくとも左側側面(Tl)の側面逃げ角(h)を、これらの切削用チップ(T)の上記鉛直面(V)に対する中心線(C)の角度と同一又はそれ以上に形成したことを特徴とするおが粉製造用切削刃集合体。 - 切削刃(10)の所定折曲角度(θ)を2度から6度の範囲内に設定したことを特徴とする請求項1に記載のおが粉製造用切削刃。
- 切削刃(10)の所定折曲角度(θ)を2度から6度の範囲内に設定したことを特徴とする請求項2に記載のおが粉製造用切削刃集合体。
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