JP4065372B2 - 新規な八モリブデン酸アンモニウム組成物及びその製造方法 - Google Patents

新規な八モリブデン酸アンモニウム組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の背景】
本発明は、一般に、八モリブデン酸アンモニウム組成物の生産に関係し、より特定的には、多くの有益な特性を有する新規で独特な八モリブデン酸アンモニウム異性体に関する。
八モリブデン酸アンモニウム(以下、(NH44Mo826又はAOMと表示する)は、多様な形態又は“異性体”で入手可能であり商業的に有用なモリブデン組成物である。各異性体は、それを通過する光を差別的に回転させ、そうでなければ反射することができることを特徴とする。とりわけ、AOMの2つの主要な異性体、すなわち、(1)α形(α−AOM);及び(2)β形(β−AOM)が単離され商業的に使用されている。他の異性体も存在し、γ形(γ−AOM)及びσ形(σ−AOM)が含まれる。しかし、大抵ごく少量で副生物として発生し、主に自然界においては空論的/実験的であるγ物質及びσ物質に関する情報は、ほとんど入手することができない。商業的見地からの特定の関心は、電気配線及びファイバーオプチック素子(fiber-optic elements)のための高分子量プラスチックコーティング材料を含む多くの異なる組成物において煙抑制剤として使用されるα−AOMの製造である。α−AOMとの組合せに適する代表的なプラスチック材料には硬質ポリ塩化ビニル(PVC)が含まれる。更にβ−AOM異性体もこの目的のため二次的に有用であるとはいえ、α−AOMが好ましい。
【0002】
一般に、α−AOMは、伝統的に、以下(NH42Mo27又はADMとして表示するものである二モリブデン酸アンモニウムの熱分解により生成される。この方法は、次の基礎的な化学反応に従って起こる。:
【0003】
【化1】
Figure 0004065372
【0004】
しかし、米国特許第4,762,700号(参照により本明細書中に援用される)に記されるように、前述の方法は、非常に大きい粒子サイズを有するα−AOMの発生を含む非常に多くの不都合を特徴とする。その結果、先に挙げた反応(1)から得られるα−AOM生成物を、慣用的な材料管理手順を用いて物理的にサイズを小さくしなければならず、付加的な製造コストと増加された製造時間とをもたらした。
【0005】
α−AOMの慣用的な熱的発生に付随する別の不都合は、それら化学反応体を不適当に加熱した場合(例えば、米国特許第4,762,700号に記載の過熱又は不充分な加熱)の望ましくない副生物の生成を包含した。この状況が起こったとき、次に示す望ましくない副生物が発生した:(1)三モリブデン酸アンモニウム((NH42Mo310又はATMとしても記述する)及び(2)三酸化モリブデン(本明細書中で酸化モリブデン(III)又はMoO3としても表示する)。これらの物質はどちらも本明細書中に説明するようなα−AOMの重要で有益な煙抑制特性を有していないことから、それらはそのα−AOM製造方法においては望ましくない。この理由で、先に概説した熱分解法は極めて注意深くモニターしなければならず、更に、大きな労働コスト、大規模な処理装置となり、誤差の発生する余地は増加する。
【0006】
これらの不都合を克服するために、米国特許第4,762,700号(参照により再び本明細書中に援用される)に詳細に説明される“水性”又は“湿式”反応法が開発された。この方法は、根本的に、初めに二モリブデン酸アンモニウム(先に示したADM)を水と組合わせてスラリータイプの混合物を生じさせることを包含する。好ましい態様においては、望ましい混合物を形成するために水1リットル当たり約50〜350グラムのADMを使用する。その後、粒状の三酸化モリブデンをそのADM含有スラリーと組合せ、その際、その三酸化モリブデンは約10〜300ミクロンの好ましい粒子サイズと高い純度水準(例えば、(全量で)約0.5重量%以下の鉄(Fe)、カリウム(K)、銅(Cu)、鉛(Pb)、カルシウム(Ca)、及び他の不純物)とを有する。米国特許第4,762,700号には、更に、これらの物質はどちらも次の基礎的な式に示される化学量論比で具体的に組合わされることが述べられている。:
【0007】
【化2】
Figure 0004065372
【0008】
先に挙げた反応において使用される初めのADM含有スラリー生成物は、水、水酸化アンモニウム(NH4OH)及び三酸化モリブデンの組合せが含まれるがこれに限定されない多くの異なる仕方で製造してもよい。そのADM含有スラリー生成物は、“ADM結晶化母液(ADM crystallizer mother liqour)”からも誘導することができる。最終的に、商業的に入手可能な予め製造されたADMを水と直接組合わせて、そのスラリーを生じさせることができる。米国特許第4,762,700号には、この目的のためにどの方法が使用されるかに関わらず、ADM含有スラリーにおけるアンモニアのモリブデンに対するモル比(例えば、[NH3]/[Mo])を1.00の値に粒状三酸化モリブデンの添加の前に調整すべきであり、その結果、得られるα−AOM生成物は、β−AOM、七モリブデン酸アンモニウム及び他の非α−AOM化合物を含む望ましくない不純物を実質的に含まないということが述べられている。
【0009】
β−AOMに関して、この物質も伝統的な熱分解法において副生物として発生する。β−AOMも煙抑制特性を有するが、一般に、α−AOMがこれらの目的に優れているものと認識されている。従って、β−AOMは、先に示したようにα−AOMと比較して二次的な商業的価値しか有さない。
【0010】
α−AOM及びβ−AOMに関する更なる情報、データ及び他の重要なパラメータは、新規なAOM異性体を包含する本発明の新規性を説明するため比較による見地から以下に示されるであろう。この独特な異性体(本明細書中にX−AOMとして表示する)は、α−AOM及びβ−AOM(並びにAOMのγ形及びσ形)が含まれるがこれらに限定されないAOMの全ての他の形態/異性体とは相当異なる。以下により詳細に説明するように、X−AOMは、挙げられた他の異性体とは構造的にも機能的にも異なっている。
【0011】
本明細書中に提供される情報に従って、α−AOMは、伝統的にプラスチック材料及び他の関連組成物において煙制御剤(smoke control agent)として使用される。しかし、X−AOM異性体は、伝統的なα−AOMと比べて多くの利益を提供し、より効率のよい単位体積当たりの煙抑制とより大きな安定性/均一性とが含まれる。そのうえ、高度な化学的同定手法(以下に更に詳細にまとめる“ラマンスペクトル分析”として知られる方法が含まれる)により確認されるように、特許請求されるX−AOM生成物は、α−AOM及びβ−AOMの構造とは相当異なる新規な異性体構造も特徴とする。ラマンスペクトル分析の使用により、X−AOM生成物を明瞭に同定し、AOMの他の異性体から識別することが可能となる。加えて、X−AOMは、この物質の発生を促進する独特な製造方法を用いて高度に有効で選択的なやり方で生産規模水準で生成される。
【0012】
好ましい態様の具体的な説明の欄において説明するこれらの理由及び他の理由で、本発明は、八モリブデン酸アンモニウム製造の技術分野において相当な進歩を与える。特許請求される発明は、具体的には、(1)多くの重要な機能的可能性を提供する構造的に新規な異性体のAOM生成物の発生;及び(2)X−AOM生成物を高収率で相当な度合いの純度で生成させることを可能とする特殊化された製造法の創出を包含する。従って、本発明は、以下により詳細に概説するように、多くの仕方において、新規、独特、かつ高度に有益である。
【0013】
【発明の要旨】
次に示す要旨は、特許請求される生成物及び方法の簡単な概略として提供される。それはあらゆる点において本発明を限定するものではなく、詳細かつ完全に実施を可能とする開示は、好ましい態様の具体的な説明の欄に示される。同様に、本発明は、本明細書中で他に明示しない限りいかなる数値パラメータ、処理装置、化学試薬、操作条件及び他の変数に制限されるものではない。
【0014】
本発明の目的は、八モリブデン酸アンモニウム(AOM)の新規な異性体とそれを製造するための方法とを提供することである。
本発明の別の目的は、新規なAOM異性体とそれを製造するための方法とを提供することであり、本発明において、異性体は、この物質のα形及びβ形が含まれるがこれらに限定されない他のAOM異性体と完全に識別できる独特なラマンスペクトル(及びそれに付随する強度ピークの配列)を特徴とする。
本発明の別の目的は、新規なAOM異性体とそれを製造するための方法とを提供することであり、本発明において、特許請求される方法は最大限の度合いの純度及び効率で多量の望ましい異性体(本明細書中でX−AOMとして表示する)を発生させることができる。
【0015】
本発明の別の目的は、新規なAOM異性体とそれを製造するための方法とを提供することであり、本発明において、関係のある方法はすぐに入手可能な物質及び最小限の数の処理工程を使用する。
本発明の別の目的は、新規なAOM異性体とそれを製造するための方法とを提供することであり、本発明において、特許請求される方法は、望ましい異性体の生成を迅速で操作効率のよいやり方で最小限の労働要求で促進する。
本発明の更なる目的は、新規なAOM異性体と、その特許請求される方法が他のAOM異性体の製造を避け、それによって高度に純粋なX−AOM生成物をもたらす、それを製造するための方法とを提供することである。
本発明のなお更なる目的は、新規なAOM異性体とそれを製造するための方法とを提供することであり、本発明において、特許請求される方法は、更に、コスト効率のよい高度に有効な生成系を提供するために最小限の試薬量の使用を特徴とする。
本発明のいっそう更なる目的は、新規なAOM異性体とそれを製造するための方法とを提供することであり、本発明において、特許請求される生成物及び方法は、他のAOM生成物(α−AOMを含む)と比較して改善された単位体積当たりの煙抑制能及び大きな均一性/純度水準を提供する独特な組成物(X−AOM)をもたらす。
【0016】
特許請求される発明は、八モリブデン酸アンモニウム((NH44Mo826)の独特で新規で先に知られていない異性体を包含し、それを本明細書中で同定の目的のため “X−AOM”として記述するものである。伝統的には、Morrison, R. T.ら, Organic Chemistry,Allyn and Bacon, Inc.,ボストン,3版,p.37 (1973)に説明されるように、異性体は異なるが、同じ分子式を有する化合物を包含する。構造的見地から、個々の異性体は互いに、原子の異なる配列及び配向を有する。典型的には、これらの相違点は一方の異性体から他方で化学的性質における実質的な違いにつながる。八モリブデン酸アンモニウム異性体(特定的には、本明細書中で“α−AOM”として慣用的に表示するα異性体)は、高分子量プラスチックから製造される電気ケーブル及びファイバーオプチックケーブルを含む種々の材料において煙抑制剤として使用されている。その中にα−AOMを使用するプラスチック材料は、燃焼すると、α−AOMを全く欠く組成物と比較して少ない煙を発生するであろう。本明細書中で特許請求される新規な異性体(X−AOM)は、慣用的なAOM異性体(α−AOMを含む)と比較して優れた単位体積当たりの煙抑制挙動を提供する。従って、X−AOM異性体は、多くの重要な用途において相当な度合いの有用性を提供する。
【0017】
また、次に示す説明は、本発明及びその種々の特徴(他のAOM異性体と比較して独特で際立って特徴的なX−AOMの特質を含む)の簡単な概略を構成する。本明細書中で他に明示しない限り、特許請求される方法は、X−AOM生成物を発生させるために使用されるいかなる数値製造パラメータ、処理装置、及び試薬に制限されるものではない。従って、本発明は、特許請求の範囲に従ってその最も広い意味において定義されるものである。
【0018】
X−AOMを好ましい態様において生成させるために、多くの処理工程及び試薬が使用される。しかし、これらの品目のまとめを提供する前に、八モリブデン酸アンモニウム(AOM)の他の異性体に関連するX−AOMの際立って特徴的な特質の概略をまとめる。X−AOM生成物は、他のAOM異性体のラマンスペクトル分布においては存在しない多くの特有のピークを含むその独特なラマンスペクトル分布を用いて、すぐに特徴づけられる(そして、AOMの全ての他の形態と明瞭に識別される)。以下に更に詳細に概説するように、ラマンスペクトル分析は、基本的に、高エネルギー源(例えば、石英水銀ランプ又はアルゴンイオンレーザーユニット)から得られる光が物質を通して通過するときに生じるスペクトルの強度値のコレクションを包含する。ラマン分光法は、高度に正確で信頼できる結果を提供する確立された分析手法である。本発明に従って、新規なX−AOM生成物のラマンスペクトル分析は、特有であり他のAOM異性体のスペクトル分布には存在しない3つの主要な強度値を有する独特なスペクトル分布を生じさせる。これらの主要なピークは次の値を包含する:ピーク#1=約953〜955cm-1;ピーク#2=約946〜948cm-1;及びピーク#3=約796〜798cm-1。前述の値は、(1)α−AOM[2つの主要なピーク]:ピーク#1=約964〜965cm-1;及びピーク#2=約910〜911cm-1;及び(2)β−AOM[2つの主要なピーク]:ピーク#1=約977〜978cm-1;及びピーク#2=約900〜901cm-1を含む先に挙げた他の主要なAOM異性体に付随するラマンスペクトル分布とは完全に識別でき、それらにはないものである。先に使用されるような“主要なピーク”という語に関して、この語は、他のAOM異性体のラマンスペクトル分布には存在しない、いずれかの所定のAOM異性体についての諸ピークを包含するものである。この情報(先に挙げられた他のAOM異性体からX−AOMを明瞭に識別する)に従って、X−AOMの創出は、モリブデンテクノロジーの技術における新規で独特で意義のある開発を表している。
【0019】
ラマンスペクトル分析の使用はX−AOMを同定する最も便利で実際的な仕方を包含しており、この方法は正確で、繰り返しでき、誤差は最小限である。従って、特許請求されるX−AOM異性体を特定的にラマンスペクトル分布の手法を用いてスペクトルで特徴づける(例えば、同定する)ことは、全く充分なものであり、可能であり、そして信頼できるものである。X−AOM(及び他のAOM異性体)に付随するラマンスペクトルデータの詳細な概略に加えて、付加的な情報は、以下の図面の簡単な説明及び好ましい態様の具体的な説明の欄において提供される。
【0020】
他のAOM異性体(特定的にはα−AOM)の生成を避けながら、許容できる純度の値(例えば、+95重量%純粋)でX−AOMを製造するために、この目的を達成するための独特で特殊化された手順をこの時点でまとめる。特許請求された方法を用いるX−AOMの選択的生成のための具体的な分子の主成分(basis)は、この時点で完全には理解されていないが、本明細書中に明らかにされるような多くの処理工程が主として重要であると考えられる。
【0021】
X−AOMを生成させることにおける第一工程は、初めに(A)二モリブデン酸アンモニウム((NH42Mo27又はADM)の供給;(B)三酸化モリブデン(例えば、酸化モリブデン(III)又はMoO3)の供給;及び(C)水(本明細書中に示される全ての態様において脱イオン化すべきである)の供給を提供することを包含する。先に挙げられたモリブデン組成物は、Climax Molybdenum Company of Ft. Madison,IA(USA)を含むがこれに限定されない非常に多くの出所から商業的に入手可能である。しかし、米国特許第4,762,700号(参照により本明細書中に援用される)に示されるように、ADMは次式に従って商業的に製造されてもよい。:
【0022】
【化3】
Figure 0004065372
【0023】
先に挙げられた式中(及び本明細書中に表される他の式中)、“NH4OH”は水酸化アンモニウムである。また、三酸化モリブデンは、米国特許第4,046,852号に示されるように硫化モリブデン(MoS2)を焼成して三酸化モリブデンを形成することか、又は1997年1月29日に出願された共願で係属中の米国特許出願第08/790,702号に記載されているようにマルチスラリー酸化法(multi-slurry oxidation process)の使用を含む多くの別の処理手法を用いて生成されてもよい。それらはどちらも参照により本明細書中に援用される。しかし、本発明は、ADM、三酸化モリブデン(又は本明細書中に示されるあらゆる他の試薬)を生成させるためのいかなる特定の方法に制限されるべきではない。本要旨及び好ましい態様の具体的な説明の欄に挙げられる具体的な手順は例示の目的のためだけに提供されるものである。同様に、あらゆる所定の試薬に関して使用される“提供する”という語は、(1)その試薬を、例えば、商業的供給者から得られた予め製造された形態で添加すること;又は(2)必要な諸成分を組合わせて、需要があり次第その試薬を発生させることにより、その望ましい試薬をその製造方法の間を通じてその場で(in situ)発生させることを包含すべきであり、どちらの方法も等価と考えられる。
【0024】
次いで、先に挙げた諸組成物を水の供給と組合わせて、水性化学混合物を生成させする。しかし、その水性化学混合物を発生させるために3つの異なる方法が使用されてもよい。第1の方法及び第2の方法は関連があり、基本的に、最初に二モリブデン酸アンモニウム(ADM)及び三酸化モリブデンの供給のうち一方を“第1試薬”としての使用のために選択し、その後それらADM及び三酸化モリブデン供給のうち他方を“第2試薬”としての使用のために選択することを包含する。普通、第1試薬として使用される物質(ADM又は三酸化モリブデンのいずれか)が選択されると、第2試薬の選択は、“残された”第1試薬として使用されない物質を包含するであろう。本発明の第1の態様において、第1試薬はADMを包含し、第2試薬は三酸化モリブデンからなる。第2の態様において、三酸化モリブデンは第1試薬として使用され、第2試薬はADMからなるであろう。それら第1及び第2の態様の間の唯一の違いは、第1及び第2試薬として使用されるそれら特定の物質を包含し、以下に説明するように第1試薬は第2試薬の前にその系に添加される。
【0025】
いったんどちらの組成物を第1及び第2試薬として使用するかに関する選択がなされれば、どちらの態様も実質的に同じである。具体的には、初めに、第1試薬(態様番号(1)におけるADM又は態様番号(2)における三酸化モリブデンのいずれか)をその水の供給と組合わせて、水性中間生成物を生じさせる。次いで、第2試薬(態様番号(1)における三酸化モリブデン又は態様番号(2)におけるADMのいずれか)を、その水性中間生成物に制御された漸進的で非瞬間的なやり方で時間をかけて添加して、水性化学混合物を生じさせる。
【0026】
特許請求される方法の第3の態様は、ADM及び三酸化モリブデンを同時に(例えば、両方を同時に)水の供給と組合わせる状況を包含する。両方の物質の送出は、制御された漸進的で非瞬間的なやり方で時間をかけて行って、水性化学混合物を生じさせるものである。この特定の態様においては、それら反応体が同時にその系に添加されることから、中間生成物は発生しない。
【0027】
ADM又は三酸化モリブデンをその系に“添加し”、“組合せ”、又はさもなければ送出することを示す本説明におけるあらゆる用語は、予め製造された形態のこれらの物質の使用か、又は組合わせるとその場で反応して望ましい(諸)試薬/諸成分を形成する“前駆体”化合物の添加を包含するものであることにも注目すべきである。同様に、“組合わせる”という語を本明細書中で使用して、一般に、水性化学混合物を生成させるための全ての挙げられた諸成分の混合を包含するとき、この語は、その順序又は送出様式が考慮される特許請求の範囲又は実施例において具体的に明示されない場合は、そのような諸物質のあらゆる順序での(及び漸進的又は非漸進的のいずれかのあらゆるやり方での)添加を包含するものである。
【0028】
現在入手可能な情報に従って、好ましい態様において他のAOM異性体に優先するX−AOMの選択的な生成に少なくとも部分的に寄与する(大抵の場合)と現在考えられている特許請求される方法の新規な特徴は、先に示したような選択された(諸)試薬の“漸進的で非瞬間的な”添加を包含する手法の使用である。このフレーズは、関係のある組成物の全てを水(又はどの態様が関与するかに依存する水性中間生成物)に一度に添加しない代わりに、漸進的で連続的なやり方で予め決められた速度(例えば、明示された時間をかけて具体的な量)で送出する手法を意味するものである。制御された漸進的な添加は、(A)選択された時間をかけた一定かつ均一な速度での望ましい(諸)物質の連続的な送出;又は(B)選ばれた時間をかけた周期的な間隔での離散した量(例えば、分配(allotment))の望ましい(諸)物質の送出を包含してもよい。この特定的な手法(どの変法が使用されるかにかかわらず)は、選択された(諸)物質の全てを一回で単一の大きなかたまりでその系に送出するのを避けるために計画される。従って、特定の組成物(例えば、ADM、三酸化モリブデン、又は両方)を“漸進的で非瞬間的なやり方”での送出のために選択するとき、このフレーズは、その組成物を全て一度にその系に添加しない代わりに時間をかけて達成するあらゆる手順を包含するものである。完全には理解されていないが、この送出法は、大抵の場合X−AOMの形成を促進する複雑な動力学的環境を創出すると考えられる。
【0029】
特許請求される方法は、“漸進的な、非瞬間的なやり方”で送出される化学組成物に関するいかなる特定の添加速度に制限されるものではない。しかし、最適な結果を提供するために、ADM及び三酸化モリブデンの“漸進的な、非瞬間的な”添加は、典型的に、(1)ADMについて1分当たり約75〜150キログラム;及び(2)三酸化モリブデンについて1分当たり約65〜130キログラムの送出速度を包含する。これらの速度(必要であれば、予備的なパイロット検討に従って変動してもよい)は、以下に概説されるような本明細書中に示される態様の全てに適用可能である。
また、本発明は、ADM及び三酸化モリブデンの供給に関するいかなる特定的な数値に限定されるものではない。それでもなお、そのような物質は次の化学反応により提供されるおよその化学量論比で使用されることが好ましい。
【0030】
【化4】
Figure 0004065372
【0031】
しかし、最適な結果を達成するために、化学量論的要求のわずか過剰量の三酸化モリブデンの使用(例えば、約1〜5重量%過剰の三酸化モリブデン)が好ましいことが確認されている。
先に挙げた手法のいずれかを用いてその水性化学混合物を形成した後、その混合物を加熱して、その中にX−AOM異性体(固体の形態で)を有する仕上がり反応生成物を発生させる。特許請求される方法は、その水性化学混合物に関するいかなる特定の加熱パラメーターに制限されるものではないが、その混合物を3時間を超える時間をかけて(例えば、約3.5〜5時間)約85〜90℃の温度に加熱することが好ましい。同様に、その水性化学混合物を、その加熱処理の間絶えずかきまわして(例えば、攪拌する)、高い純度の値で最大限の収率のX−AOMを確保する場合に最適な結果が達成される。また、先に挙げた数値パラメータに従った(特に、3時間を超える時間をかけた)その水性化学混合物の加熱は、先に挙げた漸進的で非瞬間的な添加手順と共に使用されるか又はその手順無しに使用される場合、α−AOMを含む他のAOM異性体より優先したX−AOMの選択的発生に寄与すると考えられている。しかし、両方の手法の組合せ(例えば、先に挙げたような漸進的で非瞬間的な添加及び時間/温度パラメータ)が最良の結果を提供する。
【0032】
先に示したように加熱の後、場合によっては(しかし、好ましくは)、その反応生成物は、付加的な取り扱いの容易さ及びX−AOM結晶成長の更なる促進を提供するために計画された約60〜70℃の温度に冷やされる。その後、その冷やした反応生成物を処理して、そこから固体のX−AOMを物理的に取り出す。これは、いかなる特定の単離方法に制限されることなく多くの異なる手段で達成され得る。例えば、好ましい非限定的な態様において、そのX−AOM含有反応生成物を、選択された濾過系を1回又は必要であり望ましければそれ以上の回数通過させる(1又はそれ以上の水洗工程の使用を伴うか又は使用無しで)。その後、得られるX−AOM生成物を乾燥し集めて、反応処理を完了する。最終的なX−AOM組成物は、好ましい態様の具体的な説明の欄において以下に概説するように高い度合いの純度(+95重量%X−AOM)と特有なラマンスペクトル分布とを特徴とする。
【0033】
X−AOM生成物を申し分のない容易に取り扱われるコンシステンシーで生産するために計画された本発明のなお更なる別の態様において、先に製造されたX−AOM(例えば、先の製造運転から生ずるX−AOM)の供給を保持して、その方法の初期の段階で水、ADM及び三酸化モリブデンと組合わせる。好ましくは、前述の利益を提供する目的と共に、X−AOMの全体密度を増加させることによりX−AOM収率を改良し取り扱いやすいという特徴を提供する“種( seed )”機能を提供するこのような目的のために、先に説明した水性化学混合物の一部(その中にX−AOMを含有する)を使用する。次いで、得られる混合物を、先に説明したように(例えば、先に挙げたパラメータを用いて)加熱して、その中に付加的な量のX−AOMを含有する反応生成物を生じさせる。この特定的な開発は、漸進的又は非漸進的な成分添加を使用するかどうかにかかわらず本明細書中に示される態様の全てに適用可能であり、いかなる他の反応条件に限定されない。
【0034】
特許請求される方法は、いかなる数値又は他の諸パラメータ(本明細書中で他に明示しない限り先に挙げたものを含む)に制限されるものではないが、最適な結果をもたらす例示的な手順は次の工程を包含する:(1)二モリブデン酸アンモニウム(ADM)の供給、三酸化モリブデンの供給、及び水の供給を提供すること;(2)そのADMをその水と組合わせて、中間生成物を生成させ、その際、約283グラムのADMを水1リットル当たりに使用すること;(3)その三酸化モリブデンを工程(2)に従って生じた中間生成物と組合わせて、水性化学混合物を生成させ、その際、約0.87グラムの三酸化モリブデンをADM1グラム当たりに使用し、その際、この工程が、その三酸化モリブデン全てを一度にその中間生成物に送出するのを避けるためにその三酸化モリブデンをその水性中間生成物に漸進的で非瞬間的なやり方で(先に定義した)1分当たり約110キログラムの三酸化モリブデンの速度で添加することを包含すること;(4)その水性化学混合物を約88℃の温度で約4.5時間加熱して、その中に望ましい八モリブデン酸アンモニウム(例えば、X−AOM)を含有する仕上がり反応生成物を発生させること;(5)そのX−AOM含有反応生成物を、工程(4)に従って加熱した後に約66℃の温度に冷やすこと;及び(6)その固体のX−AOM組成物を、工程(5)に従って冷やした後その反応生成物の液体画分から(例えば、濾過又は他の同等な手法を用いて)取り出すこと。この手法の実行により、+95重量%X−AOMの純度水準で高度に有効なX−AOMの製造がもたらされる。この純度の水準はその中に非X−AOM異性体が実質的にないことを表している。
【0035】
結論として、特許請求される生成物及び方法は、集合的に、モリブデンテクノロジーにおける重要な進展を表している。先に説明されたX−AOM組成物は、独特な異性体構造(ラマン分光法により証明されるように他のAOM異性体とは異なる)を特徴とするだけでなく、改善された煙抑制特性も有する。また、その特徴的なX−AOM組成物は、多量のX−AOMを高い純度及び均一性の水準で発生させることを可能とするやり方で生成される。本発明のこれら及び他の目的、特徴、及び利点を次の好ましい態様の具体的な説明において以下に示す。
【0036】
【好ましい態様の具体的な説明】
特許請求される発明に従って、全ての他の八モリブデン酸アンモニウム異性体(この物質のα、β、γ及びσ形を含む)と比較して構造及び機能において異なる八モリブデン酸アンモニウム(AOM)の新規な異性体が開示される。化合物の“異性体”は、Morrison, R. T.ら, Organic Chemistry,Allyn and Bacon, Inc.,ボストン,3版,p.37 (1973)に説明されるように、伝統的に、構造配置においては異なるが同じ分子式を有する化合物を包含する。具体的には、個々の異性体は互いに異なる原子の配列及び配向を有する。これらの相違点は、互いの異性体の化学的性質における実質的な違いをもたらし得る。本発明において、八モリブデン酸アンモニウムは、次の基本的な分子式を有する:(NH44Mo826,単にAOMとしても知られている。本発明に関連する新規な異性体(本明細書中でX−AOMとして記述する)は、以下に説明し図2〜4のラマンスペクトル分布において明瞭に示されるように、この物質のα形及びβ形を含むAOMの全ての先に知られている異性体と比較して異なる構造配置を包含する。X−AOMと他のAOMの異性体との間の相違点は、先に示したようにX−AOM組成物を、例えば、高分子量プラスチック基準の電気及び/又はファイバーオプチックケーブル材料(例えば、硬質PVC製)中に使用したときの改善された煙抑制能力/性能を含む、X−AOMに関連する多くの有益な属性において反映されている。とりわけ、例えば、高分子量プラスチックにおける添加剤としての縮小された量のX−AOMを用いて、慣用的なα−AOMと比較して有効な煙抑制が起こることが一定の用途において確認されている。また、X−AOMは、有意な水準の安定性及び均一性を特徴とする。また、X−AOMと他のAOM異性体との間の構造の相違点に関して、これらの違いは、以下に提供される具体的な情報に従って、ラマンスペクトルの手法により特徴的なやり方で示され得る。
【0037】
また、予備的な事項の情報として、特許請求される方法は、他に明示しない限り、試薬の量、試薬添加の順序、反応条件、及び他の数値を含むいかなる特定の操作パラメータに制限されるものではない。具体的な反応パラメータ及び他の諸操作因子は、決まった手順の予備的なパイロット試験を用いて所定の状況において(環境因子、生産規模の要求などを考慮して)最適化され得る。以下に提供される説明は、最適な結果を提供するために計画された1又はそれより多い好ましい態様を包含しており、限定するか又は制限するものと考えるべきではない。
【0038】
A.X−AOM製造方法:
図1を見ると、本発明の新規なX−AOM異性体を製造するために計画された方法の例示的かつ略図の概略が提供される。また、この方法は、他に明示しない限り必要があれば手順の決まった予備的な手順に基づいて変更されてもよい。図1に示すように、全体の処理系は、通常、参照番号10で表す。系10内で、二モリブデン酸アンモニウム((NH44Mo27又はADMとしても知られている)の供給12は、最初に提供される。この組成物は、フォートマディソン、アイオワ州(アメリカ合衆国)のClimax Molybdenum Companyを含むがこれに限定されない非常に多くの出所から商業的に入手可能である。しかし、米国特許第4,762,700号(参照により本明細書中に援用される)に示されるように、ADMは、慣用的に次式に従って製造されてもよい。:
【0039】
【化5】
Figure 0004065372
【0040】
先に挙げた式中(及び本明細書中に表される他の式中)、NH4OHは水酸化アンモニウムであり、MoO3は三酸化モリブデンである。しかし、本発明は、ADM(又は本明細書中に示される他の諸試薬)を製造するためのいかなる特定の方法に制限されるべきではない。また、米国特許第4,046,852号に示されるように、現時点で特許請求される方法において使用するのに適したADMの水溶液は、商業的なADM製造方法から得られる“ADM結晶化母液”を含む他の源から誘導することができる。
【0041】
本態様において、ADMの供給12は、“第1試薬” (例えば、系10に最初に添加される試薬)としての使用のために本明細書中で計画され選択されたものである。その第1試薬に関して使用することができる諸物質は、以下に更に説明するように特許請求される方法の他の態様においては異なっていてもよい。本発明の全ての態様は、特定の粒子サイズを有するADM物質の使用に制限されるものではないが、この物質の十分な混合及び溶解を促進するためにはADMの供給12に関して約22〜26ミクロンの粒子サイズ値を使用することが好ましい。
【0042】
継続して図1を見ると、次いでADMの供給12(この態様において第1試薬としても記述する)は、ステンレス鋼、不活性プラスチック(例えば、ポリエチレン)などを含むがこれらに限定されない多くの可能な物質から作られた封じ込め容器16内に保持された水の供給14(場合によっては脱イオン化される)と組合わされる(例えば、添加される)。現時点で特許請求される方法に関連してあらゆる生成規模が使用されてもよいことは銘記すべきである。しかし、大量生産の目的で計画された代表的かつ例示的な態様において、望ましければより小さいか又はより大きい容器を使用してもよいが、その封じ込め容器16は約20,000〜25,000リットルの最適容積を有するだろう。本明細書中に示される諸態様の各々において望ましい水性X−AOM含有化学混合物(以下に説明する)を生成させるために使用される、特許請求される方法に関連する残りの処理工程の全ては、その封じ込め容器16内で実行することができる。しかし、大規模で迅速な処理を確実にするために、図1に具体的に示す複数容器配置が好ましい。
【0043】
必要ではないが、その反応処理のその後の段階の間のADM12(及び他の諸物質)の水14への即時の溶解を促進するために、封じ込め容器16内部の水の供給14は予め加熱されてもよい。予熱を達成するために、容器16にはそれに付随する加熱ユニット20が含まれ、それは、この目的のために適している蒸気基準、水流、電気抵抗、又は温水浸漬ユニットを含む多くの既知の系を包含してもよい。本明細書中で説明される方法は、単一の予加熱温度に限定するものではなく、水14が約85〜90℃に予め加熱され、以下に示されるような反応方法の残りの段階まで及びその間この温度に維持された場合に、最適な結果が達成される。
【0044】
その後、容器16内の水14(予め加熱されたかに関わらず)へのADM12の添加を開始する。ADMの供給12を水14に添加するやり方(例えば、全てを一度にか又は漸進的で非瞬間的な仕方(以下に更に明らかにする))は、ADM12(例えば、第1試薬)が最終的に水14中に実質的に完全に溶解するならば、この段階においては臨界的ではない。この目的を達成するために、ADMの供給12を水14に漸進的で非瞬間的なやり方で添加して、迅速で完全な溶解を保証することが好ましい。代表的で非制限的な添加速度は、1分当たり約75〜150キログラムのADM12を包含するであろう。しかし、以下により詳細に概説するように、第2試薬(例えば、本態様における三酸化モリブデン)を水14に漸進的で非瞬間的なやり方で添加することはいっそう重要である。この手法は現在のところ完全には理解されていないが、有益なことには、大抵の場合他の形態の八モリブデン酸アンモニウム(α−AOMを含む)より優先したX−AOMの選択的な発生に寄与すると考えられている。
【0045】
本明細書(挙げられた態様の全てに関する)中で使用される“漸進的で非瞬間的な添加”というフレーズは、関係のある組成物全てを水14(又はどの態様に包含されるかに依存するあらゆる中間生成物)に一度に添加しない代わりに漸進的で連続的なやり方で予め決められた速度(例えば、選択された時間をかけて具体的な量)で送出する手法を意味するものである。このタイプの制御された漸進的な添加は、(A)計画された時間をかけた一定かつ均一な速度での望ましい(諸)物質の継続的な送出;又は(B)選択された時間をかけた周期的な間隔での離散した量(例えば、分配)の望ましい(諸)物質の送出を包含してもよい。先に明らかにしたような諸試薬の漸進的な添加は、選択された(諸)物質の全てを系10に一度に単一の大きなかたまりで送出するのを避けるために計画される。従って、特定の物質を“漸進的で非瞬間的なやり方”で送出することを示すとき、このフレーズは、その選択された試薬を全て一度に系10に添加しないが代わりに時間をかけて達成するあらゆる手順を包含するものである。完全には理解されていないが、この漸進的な添加手法は大抵の場合X−AOMの選択的な形成を促進する複雑かつ独特な動力学的環境を創出すると考えられる。
【0046】
特許請求される方法の全ての態様において、封じ込め容器16はその中に攪拌系22(例えば、示すように、封じ込め容器16の内部域30内の水14の表面の完全に下に位置する混合羽根26に機能的に結合されたモーター24の形をとって)を含むように計画するのが好ましい。その攪拌系22を使用して、水14及びそこに添加された諸物質の供給をかきまわし、その結果、最大限のX−AOM収率をもたらすような効率のよいやり方でそれら送出された物質の完全な溶解が起こるであろう。
【0047】
封じ込め容器16内の水14の供給へのADM12(例えば、この態様における第1試薬)の添加の後、そのADM12はすぐに溶解して(特に、先に示すようにかきまぜた場合)、本明細書中で“水性中間生成物”32として表すADM含有溶液を生じさせるであろう。現時点において、その水性中間生成物32を生成させる際に使用されるADM12の量に関する更なる情報は意味がある。特許請求される発明は、この態様における第1試薬としてのADM12のいかなる所定量に制限されるものではないが、水14の1リットル当たり約275〜290グラムのADMを使用する場合に最適な結果が達成されるであろう。この値は、必要であれば、系10の望ましい操作規模を含む非常に多くの因子に関係する予備的なパイロット検討に従って変動してもよい。
【0048】
その中間生成物32(例えば、その中に溶解されたADM12を有する水14の供給)の形成後、三酸化モリブデン34の供給を提供する。本態様において、三酸化モリブデンの供給は“第2試薬”としての使用のために本明細書中で計画し選択するものである。第2試薬に関して使用される物質は、以下に更に説明するような特許請求される方法の別の態様においては異なっていてもよい。三酸化モリブデン34の供給は、アイオワ州フォートメディソン(アメリカ合衆国)のClimax Molybdenum Companyを含むがこれに限定されない多くの異なる商業的出所から得ることができる。同様に、本明細書中で説明する態様の全ては、三酸化モリブデン(又は製造方法)のいかなる特定のタイプに限定されるものではない。しかし、三酸化モリブデン34が、0.5重量%以下(全量)の非三酸化モリブデン物質(元素及び化合物両方の形態の鉄(Fe)、カリウム(K)、銅(Cu)、鉛(Pb)、カルシウム(Ca)又は他の匹敵する物質が含まれる)しか含有しない充分に高い純度である場合に、最良の結果が達成される。同様に、代表的な態様において、本製造方法のこの段階において使用される三酸化モリブデン34は約10〜400ミクロンの例示的な粒子サイズを有するが、この値は必要であり望ましければ変動してもよい。三酸化モリブデン34の供給に関して使用することができる代表的な生成法は、米国特許第4,046,852号に記載されるように硫化モリブデン(MoS2)を焼成して三酸化モリブデンを形成することから、1997年1月29日に出願された共願で係属中の米国特許出願第08/790,702号に示されるようにマルチスラリー酸化法の使用までに及び、これらの文書はどちらも参照により本明細書中に援用される。
【0049】
ADM12又は三酸化モリブデン34を系10に“添加し”、“組合せ”、“提供し”又はさもなければ送出することを示す本説明におけるあらゆる用語は、これらの組成物の予め製造された形態での使用か、又は添加するとその場で反応して望ましい(諸)試薬を形成する“前駆体”物質の送出を包含するものであることに銘記すべきである。
【0050】
他のAOM異性体より優先したX−AOMの系10内での形成に関する正確な反応動力学及び分子相互作用は完全には理解されていないが、現在のところ、三酸化モリブデン34(例えば、第2試薬)を系10に現在の態様において送出するやり方は、大抵の場合X−AOMの優先的形成を促進することにおいて助けとなるものと考えられる。好ましくは、三酸化モリブデン34を水性中間生成物32に漸進的で非瞬間的なやり方で先に提供したこのフレーズの定義に従って添加する。また、この手法は、三酸化モリブデン34を中間生成物32に単一の大きな量で(例えば、全てを一度に)送出するのを避けるために使用する。この目的を達成するために、三酸化モリブデン34を絶え間なく連続的に均一なやり方で時間をかけて送出するか、又は周期的な間隔で添加する離散した分配で送出してもよい。しかし、好ましい非限定的な態様においては、最大限の収率の高純度X−AOMを保証するために、三酸化モリブデン34の絶え間ない連続的で均一な、選択した時間をかけた添加を使用する。
【0051】
三酸化モリブデン34の漸進的で非瞬間的な添加は、標準制御された送出コンベヤー装置36の使用を通して物理的に達成することができ、それは、当技術分野において知られた連続的か又は周期に基づいた物質移送のための慣用的なスクリュータイプの移送システムか、又は他の機能的に同等な物質取扱装置を包含してもよい。装置36は、ADM12を水14の供給に送出する(漸進的な送出が望まれるならば)ために使用することができることにも銘記すべきである。同様に、このタイプの送出手法が必要であり望ましいときに、装置36を使用して、あらゆる他の試薬を系10に漸進的で非瞬間的なやり方で送出してもよい。
【0052】
特許請求される発明は、三酸化モリブデン34の漸進的で非瞬間的な送出が達成され得るいかなる特定の速度に制限されるものではないが、そのような送出は1分当たり約65〜130キログラムの三酸化モリブデンの全体速度で行うことが好ましい。また、あらゆる所定の状況において、三酸化モリブデン34(又は本明細書中で説明するような漸進的で非瞬間的なやり方で移送されるあらゆる他の物質)の正確な送出速度は、決まった手順の生成前試験(routine pre-production testing)に従って望ましい生成規模及び他の関連因子を考慮して決定されるものである。また、本明細書中で説明する方法(全ての態様を含む)は、三酸化モリブデン34の供給(及びADM12の供給)に関するいかなる特定の数値に限定されるものではない。それにもかかわらず、そのような物質は次の基本的な化学反応により提供されるおよその化学量論比で使用することが好ましい。:
【0053】
【化6】
Figure 0004065372
【0054】
しかし、最適な結果を達成するためには、化学量論的要求のわずかに過剰量の三酸化モリブデン34(例えば、約1〜5重量%過剰の三酸化モリブデン)の使用が好ましいことが試験により証明されている。数値に言い換えると、1グラムのADM12当たり約0.85〜0.89グラムの三酸化モリブデン34を使用する場合に最適な結果が達成される。先に提供した情報にもかかわらず、所定の状況において使用される具体的な試薬量は、決まった手順の予備的な試験を通して最適に決められる。
【0055】
水14、ADM12及び三酸化モリブデン34全てを組合わせる先に提供した工程に従って反応生成物を発生させ、それは本明細書中で“水性化学混合物”50として表示するものである。X−AOMを得るためのこの混合物50の更なる処置及び他の重要な関連情報を以下に提供する。
先に銘記したように、この態様における水性化学混合物50は、(1)水14の供給を第1試薬として使用されるADM12と組合わせて、水性中間生成物32を生じさせること;及び(2)三酸化モリブデン34(第2試薬としての)を中間生成物32に漸進的で非瞬間的なやり方(先に定義した)で添加して、水性化学混合物50を生じさせることにより生成させる。この方法は、一般に好ましく、最小限の労力で高度に有効な結果を提供するが、その水性化学混合物50を生成させるための他の匹敵する手順を使用することができる。これらの別の方法は各々、種々の試薬(例えば、ADM12及び三酸化モリブデン34)を系10に送出する異なる順序を包含する。
【0056】
本発明の第2の態様を図1の破線の囲い52内に示す。予備的な留意点として、基本的な手順、装置、操作パラメータ、及び第1の態様に関して先に説明した他の因子の全て(先に挙げた温度への水14の予熱、系10における液体成分の攪拌などを含む)は、第2の態様において使用するものと実質的に同一である。この情報の第2態様への適用性は、加熱ユニット20、攪拌系22(モータ26及び混合羽根26からなる)などを含む系10の種々の構成部分について両方の態様において共通の参照番号の使用により確認され表される。従って、第1態様に関して先に説明した情報、データ及び手法の全ては、本明細書中で他に明示しない限り、第2態様に関する参照により援用される。両方の態様における唯一の実質的な違いは、ADM12及び三酸化モリブデン34の供給を系10に添加する順序を包含し、それは現時点で説明されるであろう。図1の破線の囲い52を引き続き見ると、最初に三酸化モリブデン34の供給を水14の供給と組合わせる。先の態様において、ADM12を最初に水14に、続いて三酸化モリブデン34に添加する。従って、第2態様に関する成分添加の順序は、第1態様と比較して逆である。その結果、三酸化モリブデン34の供給をこの態様における“第1試薬”としての使用のために選択し(最初に添加されることから)、その際ADM12の供給は“第2試薬”としての使用のために計画される。三酸化モリブデン34の水14への添加は、瞬間的に(例えば、全てを一度に)か又は漸進的で非瞬間的なやり方(先に定義した)で1分当たり約65〜130キログラムの三酸化モリブデン34の代表的な速度かのいずれかで達成されてもよい。第1試薬としての三酸化モリブデン34の供給に関して使用される特定の添加手法は臨界的であると考えるものではないが、水14の供給内の三酸化モリブデン34の迅速で完全な溶解を保証するために、先に定義したようなこの物質の漸進的で非瞬間的な添加が好ましい。このやり方で、その中に溶解された三酸化モリブデン34を有する水14の供給を包含する水性中間生成物54を生じさせる(図1)。また、中間生成物54を形成するために使用される三酸化モリブデン34の量に関して、本発明は、予備的なパイロット試験により決められてもよいいかなる特定の量に制限されるものではない。しかし、最大限のX−AOM収率及び純度の値を達成するために1リットルの水14当たり約240〜252グラムの三酸化モリブデン34を使用することが好ましい。同様に、生成物32、54はどちらも異なる化学的特性を有することから、中間生成物54は第1態様における中間生成物32と比較して異なる参照番号を与えられていることに銘記すべきである。具体的には、第1態様における中間生成物32は、その中に溶解されたADMを含有する溶液を包含する一方、中間生成物54は、溶解された三酸化モリブデンから作られた溶液からなる。中間生成物32、54の化学的含量にかかわらず、それらはどちらも有効に水性化学混合物50を生成させるであろう(とはいえ、技術的、使用の容易さ及び溶解性の理由で第1態様の方法が好ましい)。
【0057】
水性中間生成物54(水14とその中に溶解した三酸化モリブデン34とを含有する)の形成後、ADM12の供給全体を中間生成物54に同時に(例えば、一つの大きなかたまりで)送出するのを避けるために、好ましくは、ADM12の供給を中間生成物54に先に定義したような漸進的で非瞬間的なやり方で添加する。この目的を達成するために、ADM12を絶え間なく連続的に均一なやり方で時間をかけて送出するか、又は周期的な間隔で添加する離散した分配で送出してもよい。好ましい非限定的な態様において、高純度X−AOMの最大限の収率を保証するために、ADM12の選択された時間をかけた絶え間ない連続的で均一な添加を使用する。この物質の漸進的で非瞬間的な添加による利益は、第1態様に関連して先に説明され、等しく第2態様に適用できる。
【0058】
ADM12の漸進的で非瞬間的な添加は、先に説明した制御された送出コンベヤー装置36を用いて達成することができ、それは、当技術分野において知られた連続的か又は周期に基づいた物質移送のための慣用的なスクリュータイプの移送システムか、又は他の機能的に同等な物質取扱装置を包含してもよい。装置36は、この態様において最初に三酸化モリブデン34を水14の供給に送出するために使用することができる(漸進的な送出が望ましい場合)ことにも銘記すべきである。同様に、先に示すようにこのタイプの送出手法が必要であり望ましいときは、装置36を使用して、あらゆる他の試薬を系10に漸進的で非瞬間的なやり方で送出してもよい。
【0059】
特許請求される方法のこの態様は、ADM12(例えば、現在の態様における第2試薬)の漸進的で非瞬間的な送出が達成され得るいかなる特定の速度に制限されるものではないが、そのような送出は1分当たり約75〜150キログラムのADM12の全体速度で行うことが好ましい。また、あらゆる所定の状況において、ADM12(又は漸進的で非瞬間的なやり方で移送されるあらゆる他の物質)の供給に関する正確な送出速度は、望ましい生成規模及び他の関連因子を考慮して決まった手順の前生産試験に従って決められるものである。また、本明細書中で説明する方法(全ての態様を含む)は、三酸化モリブデン34の供給(及びADM12の供給)に関するいかなる特定の数値に制限されるものではない。それにもかかわらず、そのような物質は、第1態様に関して先に説明し、第2態様に同じく適用することが出来る次の基本的な化学反応により提供されるおよその化学量論比で使用することが好ましい。:
【0060】
【化7】
Figure 0004065372
【0061】
しかし、最適な結果を達成するためには、化学量論的要求のわずかに過剰量の三酸化モリブデン34(例えば、約1〜5重量%過剰の三酸化モリブデン34)の使用が好ましいことが試験により証明されている。数値に言い換えると、本明細書中で説明する態様の全てにおいて、1グラムのADM12当たり約0.85〜0.89グラムの三酸化モリブデン34を使用する場合に最適な結果が達成される。
【0062】
先に説明し破線の囲い52中に図で示した手順に従って、水性化学混合物50を生じさせる。前述の態様の両方における水性化学混合物50は、含量、形態及び他のパラメータにおいて実質的に同じである。両方の態様における唯一の違いは、ADM12及び三酸化モリブデン34の供給を添加する順序を包含する。特許請求される方法においてこの段階では、第2態様(使用する場合)に従って生成される水性化学混合物50を、更に、本明細書中に提供する態様の全てについて共通のやり方で処理する(以下により詳細に説明する)。
【0063】
先に挙げた第1態様及び第2態様に加えて、なお更なる態様(例えば、第3態様)を使用して、その水性化学混合物50を生成させてもよい。第3態様を破線の囲い56に図で説明する(図1)。また、第1態様に関して先に説明した基本的な手順、装置、操作パラメータ及び他の因子の全て(水14を先に挙げた温度に予熱すること、系10における液体成分をかき混ぜることなどを含む)は、本明細書中に他に明示しない限り第3態様に付随するものと実質的に同一であることを銘記すべきである。第3態様に対するこの情報の適用性は、加熱ユニット20、攪拌系22(モータ24及び混合羽根26からなる)などを含む系10の種々の構成部分についての両方の態様における共通の参照番号の使用により、確認され表される。従って、第1態様に関して先に説明した情報、データ及び手法の全ては、第3態様に関して参照により援用される。また、第1、第2及び第3態様の間の唯一の重要な違いは、現時点で説明するであろうようなADM12の供給及び三酸化モリブデンの供給を系10に添加する順序を包含する。
【0064】
具体的には、破線の囲い56に示される第3態様は、ADM12及び三酸化モリブデンの供給を水14に先に定義したような漸進的で非瞬間的なやり方ではなく両方同時に添加する状況を包含する。ADM12及び三酸化モリブデンを水14と両方同時に組み合わせることから、この態様においては第1試薬及び第2試薬として計画される具体的な物質はない。同様に、以下に説明するように、水性中間生成物も生じない。図1(破線の囲い56)に示されるADM12及び三酸化モリブデンの漸進的で非瞬間的な同時の送出は、ADM12及び三酸化モリブデン34の全体の供給を水14に同時に(例えば、各々の組成物に付随する一つの大きなかたまりで)送出するのを避けるために計画される。この目的を達成するために、ADM12及び三酸化モリブデン34の供給を、絶え間ない連続的で均一なやり方で時間をかけて送出するか、又は周期的な間隔で添加する離散した分配で送出してもよい。好ましい非限定的な態様において、最大限の収率の高純度X−AOMを保証するために、ADM12及び三酸化モリブデン34の絶え間ない連続的で均一な、選択した時間をかけた添加を使用する。これらの物質の漸進的で非瞬間的な添加により提供される利益は、先の2つの態様に関して先に説明しており、第3態様に同じく適用することが出来る。同様に、第3態様において、ADM12及び三酸化モリブデン34に付随する送出法は、どちらも理想的には実質的に同時に開始するであろう。しかし、この態様において使用される“同時に”という言葉は、一方の物質の送出を他方の物質の前に開始するかどうかに関わらず、先に挙げた諸物質(例えば、ADM12及び三酸化モリブデン34)の少なくとも一部を水14に同時に入れることを包含するものである。
【0065】
この態様におけるADM12及び三酸化モリブデン34の漸進的で非瞬間的な添加は、先に説明した制御された送出コンベヤー装置36の使用を通して物理的に達成することができ、それは、連続的か又は周期に基づいた物質移送のための当技術分野において知られている慣用的なスクリュータイプの移送システムか、又は他の機能的に同等な物質取扱装置を包含してもよい。図1の破線の囲い56に示すように、ADM12の供給及び三酸化モリブデン34の供給について別々の装置36を使用することができる。しかし、別のやり方では、これらの試薬(ADM12及び三酸化モリブデン)の両方を、封じ込め容器16内の水14に単一の装置36を用いて送出することができ、その際、そのような物質は送出の間に有効に“混合”される。
【0066】
特許請求される方法のこの態様は、ADM12及び三酸化モリブデン34の漸進的で非瞬間的で同時の送出が達成され得るいかなる特定の速度に制限されるものではないが、そのような送出は次の速度で行うことが好ましい:(1)ADM12=1分当たり約75〜150キログラム;及び(2)三酸化モリブデン34=1分当たり約65〜130キログラム。単一のコンベヤー装置36を使用して、先の物質の両方を同時に送出する場合は、先に挙げた両方の範囲内にある単一の送出速度を選択して、組み合わせたADM12及び三酸化モリブデン34を送出することが好ましい。しかし、本明細書中に説明するように漸進的で非瞬間的に送出されるADM12、三酸化モリブデン又はあらゆる他の物質の供給に付随する正確な送出速度も、望ましい生成規模及び他の関連因子を考慮して決まった手順の前生成試験に従って決められるものである。また、特許請求される方法(全ての態様を含む)は、ADM12及び三酸化モリブデン34の供給に関するいかなる特定の数値に限定されるものではない。それにもかかわらず、そのような物質は、先の2つの態様に関して先に説明され第3態様に同じく適用することが出来る次の基本的な化学反応により提供されるおよその化学量論比で使用することが好ましい。:
【0067】
【化8】
Figure 0004065372
【0068】
しかし、最適な結果を達成するために、化学量論的要求のわずかに過剰量の三酸化モリブデン34(例えば、約1〜5重量%過剰の三酸化モリブデン)の使用が好ましいことが試験により証明されている。数値に言い換えると、1リットルの水14当たり約275〜290グラムのADM12を使用する場合に最適な結果が達成され、その際1グラムのADM12当たり約0.85〜0.89グラムの三酸化モリブデンが使用される。
【0069】
先に説明し破線の囲い56に図で示した手順に従って、水性化学混合物50も生じさせ、それのその後の処置は以下に更に概説する。しかし、この態様において、ADM12及び三酸化モリブデン34の水14への組合わせ同時添加は、図1に説明するようにあらゆる中間生成物の発生を避ける代わりに、直接化学混合物50を生成させる。前述の態様の全てにおける水性化学混合物50は、含量、形態及び他のパラメータにおいて実質的に同じである。それらの態様の全ての間の唯一の重要な違いは、ADM12及び三酸化モリブデン34の供給を系10に添加する順序を包含する。
【0070】
どの態様を使用して水性化学混合物50を生成させるかに関わらず、先に説明した漸進的な送出法は、高収率のX−AOM異性体を有効なやり方で生じさせる系10の全体の効率に寄与すると考えられる。この漸進的な送出法はまだ完全には理解されていないが、明らかに、X−AOM異性体を好ましくは他のAOM異性体(α−AOM)より優先して生じさせることを可能とする(大抵の状況において)、一連の複雑な動力学的相互作用をもたらす。先に銘記したように、特許請求される発明は、ADM12及び三酸化モリブデン34を水14と組み合わせ、これらの物質のうちどれを漸進的で非瞬間的なやり方で添加するべきかのいかなる所定の基準に制限されるものではない。しかし、先に定義するようなADM12及び三酸化モリブデンを同時に添加することを包含しない方法においては、中間生成物32又は54に添加する組成物(例えば、第2試薬)は、場合によっては、最大限の高純度収率のX−AOMを達成するために漸進的で非瞬間的なやり方で送出するべきである。同様に、ADM12及び三酸化モリブデン34を水14の供給に先に説明するように同時に送出する場合、最適な結果を得るためにそれらは両方とも、漸進的で非瞬間的な仕方で添加すべきである。また、この方法は、大抵の場合、得られるX−AOM生成物の収率水準及び純度水準を最大化すると現在のところ考えられている。
【0071】
継続して図1を見ると、その後、水性化学混合物50(それを生じさせるやり方に関わらず)を処理して、精製されたX−AOM生成物を得る。この目的を達成するために、その水性化学混合物50を封じ込め容器16内で加熱して、更に最大限のX−AOM形成を促進する。この特定的な工程は、図1に説明するように封じ込め容器内で行うか、又は別のやり方では、容器16と同じタイプ、サイズ及び構造材料の別の容器中で行うことが出来る(系10の望ましい規模及び他の関連因子に依存する)。
【0072】
封じ込め容器16中の水性化学混合物50に付随する加熱処理は、好ましくは、その混合物50を約85〜90℃に加熱し、好ましくは3時間を超える時間(例えば、場合によっては約3.5〜5時間)をかけて維持することを包含する。加熱は、図1の態様において先に説明した加熱ユニットを用いて達成される。同様に、最大限の収率のX−AOMを高純度値で保証するためにその化学混合物50をかきまぜる(例えば、攪拌する)場合に最適な結果が達成されるであろう。かきまぜは、容器16の内部域30内に(そして水性化学混合物50の完全に下に)位置する回転可能な混合羽根26に機能的に結合されたモータ24を含む攪拌系22を用いて行ってもよい。
【0073】
また、漸進的で非瞬間的な送出手法を使用するかしないかに関わらず、本明細書中に列挙する特定の操作パラメータに従った(特に3時間を超える)加熱は、α−AOMを含む他のAOM異性体の生成を避けながらX−AOMの選択的に発生させることに寄与すると考えられる。また、他のAOM異性体より優先してX−AOMの形成を促進する正確な異性化反応は完全には理解されていないが、先に説明した具体的な加熱処理(及び3時間を超える加熱時間を含むそれに付随する数値パラメータ)は、明かに、X−AOM形成を促進する独特な化学的環境を創出する。先に説明した加熱処理を本明細書中に説明するような漸進的で非瞬間的な送出手法と組合せて使用する場合に、最適な結果が達成されるであろう。
【0074】
その加熱処理の結果、水性化学混合物50は、基本的には、その中に固体のX−AOMを懸濁させた濃化したスラリータイプ組成物に転化し、それは図1において図で説明する“反応生成物”60として記述するものである。その反応生成物60には、基本的に(1)ごく少量の残余の溶解したADM及び/又は三酸化モリブデンを伴う水14の最初の供給に由来する水から主としてなる液体画分62;及び(2)望ましいX−AOM生成物から本質的になる懸濁した固体画分64が含まれ、その独特な特質は以下にまとめられるであろう。その加熱処理を完了した後、好ましくは、その反応生成物60を任意の冷却段階において冷やす。また、図1の態様における冷却は、場合によっては封じ込め容器16内で行うとはいえ、系10の望ましい規模及び他の関連因子に依存するが、容器16と同じタイプ、サイズ及び構造材料の別の容器(示さず)をこの目的のために使用することができる。
【0075】
この段階における反応生成物60の冷却は、X−AOM結晶形成及び成長の促進(改善された取扱適性につながる)を含む多くの利点を提供する。封じ込め容器16内部の反応生成物60の冷却は、加熱ユニット20の不活性化及び外部冷却補助又は系を使用しないで時間をかけた熱の自然放散を経て行ってもよい。また、特許請求される方法は、具体的にいかなる特定の冷却温度に限定されるものではないが、その反応生成物を、付加的な取扱容易性、更なるX−AOM結晶成長などを提供するために計画された約60〜70℃に冷やす場合に最適な結果が達成される。別のやり方においては(及び好ましい態様においては)、冷却処理を、封じ込め容器16に付随し、それの内側又は外側に位置した慣用的なデザインの任意の冷却ユニット(示さず)の使用を通して加速してもよい。冷却ユニットとしての使用に適する代表的な系は、工業的液体の大規模な冷却のために当技術分野において知られる標準的なチラーコイル/冷蔵系又は水冷却装置を含んでもよいがこれに限定されない。同様に、加熱ユニット20が、温水又は蒸気をその中に循環させて封じ込め容器16及びその内容物の温度を増加させることを使用するタイプである場合、望ましければ、冷水を冷却目的のためユニット20を通して経路に沿って送ってもよい。
【0076】
反応生成物60の冷却後(望ましければ)、その生成物60を、場合によっては、図1の態様における封じ込め容器16の中から移して、一時貯蔵容器70に経路に沿って送る。好ましい態様において、その貯蔵容器70は、容器16と同じタイプ、サイズ及び構造材料であるか、又はさもなければ必要とされるように構成される。次の工程(任意であるが特性においては有益である)は、図1に説明するように、反応生成物60の一部72を貯蔵容器70から系10の初めにある最初の封じ込め容器16に経路に沿って送る(例えば、再循環する)手順を包含する。また、反応生成物60のこの部分72には、その中に前述の先の(例えば、前の)処理順序からのX−AOMの供給が含まれる。容器16に移し戻される反応生成物60の部分72は、容器16内の好ましい反応動力学を促進する“種”組成物として機能し、それは改善されたX−AOM収率特性と有益な物理特性(例えば、大きな全体密度)を有するより容易に扱われる生成物とにつながる。特許請求される方法は、再循環する部分72に関するいかなる特定の量に制限されるものではないが、反応生成物60の約5〜15重量%をその部分72として使用するのが好ましい。図1に示すような別の貯蔵タンク70を使用しない系において、先に概説した“種”処理は、約5〜15重量%(又は必要であり望ましいならば他の選択された量)の反応生成物60を、大部分の生成物60を後に続く処理のために取り出した(例えば、以下に示す濾過などにより)後に封じ込め容器16内に残すことにより達成されてもよい。従って、その最も広い意味における本発明のこの側面は、予め生成させたX−AOM(一部72から誘導された)をADM12、水14及び三酸化モリブデン34と組合せて(添加の順序、やり方(例えば、漸進的か又は非漸進的)に関わらず)、先に挙げた有益な物理特性を有するX−AOMの付加的な供給を生じさせることを包含する。それにもかかわらず、この“播種(seeding)”/再循環段階は任意であり、その際、それの使用は、関係のある特定の反応条件及び生成規模を考慮して予備的な決まった手順の試験に従って使用されることは強調されるべきである。
【0077】
次に、貯蔵容器70内の反応生成物60を処理して、液体画分62からX−AOM含有固体画分64を取り出す/回収する。このことは多くの異なる方法で達成されてもよく、その際、本発明はいかなる特定の単離法に限定されるものではない。例えば、図1において図で説明する好ましい非限定的な態様において、液体及び固体画分62、64を含有するスラリータイプの反応生成物60を、選択した濾過系74を通過させる。多くの異なる成分及び物質を、濾過系74に関して使用することができる。しかし、濾過系74に関して使用することができる濾過装置の代表的で非限定的な例は、実施例の欄において以下に更に説明するような減圧及び/又は圧力タイプフィルターを含むがこれに限定されない。他の取出し装置も、X−AOM含有固体画分64を反応生成物60中の液体画分62から分けるために使用してもよく、慣用的な遠心系、沈降ユニット、サイクロンなどが含まれる。
【0078】
図1に示し先に説明した回収/濾過処理に従って、濃縮水76及び透過水80を生じさせる。濃縮水76は、単離した固体画分64、ずなわち、約+95重量%X−AOMの代表的な純度水準を有するX−AOM結晶生成物を包含する。その濃縮水76を、場合によっては、必要であり望ましければ1又はそれより多い回数水で洗浄してもよい。透過水80は、水及び系10において使用された残余の溶解量の種々のモリブデン基準の化学種を含む液体画分62からなる。これらの種には、比較的わずかな量の溶解したADM及び溶解した三酸化モリブデンが含まれる。透過水80は捨てるか、又は更に処理して、それからモリブデンを回収するかのいずれかをすることができる。前述の回収/濾過工程を図1において1度だけ示すが、必要であれば、多数の連続回収段階を使用することができる。
【0079】
次いで、結晶のX−AOMから主としてなる濃縮水76を、空気乾燥するか又は、好ましくは、図1に図で説明する慣用的なオーブン装置82を用いて1回又はそれより多い回数(例えば、単一又は多数の乾燥段階で)乾燥することができる。特許請求される方法は、オーブン装置82に関していかなる所定の加熱系に制限されるものではないが、オーブン装置82に関して使用されてもよい例示的な装置には、蒸気又はガス加熱回転乾燥機ユニット、スプレー乾燥機系及びそれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。同様に、本発明は、前述の乾燥処理に関していかなる特定のパラメータに限定されるものではない。しかし、例示的な態様において、X−AOM含有濃縮水76の乾燥は、典型的に、約145〜150℃の温度で約60〜90分かけて(単一の乾燥段階で)行うであろう。より漸進的な制御された乾燥を達成するために使用され得る複数の乾燥処理の例は、実施例の欄において以下に説明するであろう.
【0080】
オーブン装置82から得られる乾燥させた組成物は、図1に示す仕上りX−AOM生成物84からなるであろう。特定的な用途のために必要であれば、X−AOM生成物84を、慣用的な粉砕系(示さず)を用いて粉砕するか又はサイズを小さくしてもよい。大抵の場合、仕上りX−AOM生成物84は約16ミクロンか又はそれより小さい平均粒子サイズを有することが望ましい。その後、X−AOM生成物84(典型的に、約+95重量%X−AOMである)を、将来の使用のために貯蔵するか、又はさもなければすぐに、増加した熱安定性を有する高度に有効な煙抑制剤として種々の高分子量プラスチック材料(例えば、硬質PVC製の電気又はファイバーオプチックケーブルコーティング)内への組み込みを含む種々の重要な用途に利用してもよい。先に銘記したように、X−AOM生成物84は、他のAOM異性体(α−AOMを含む)と比較して優れた煙抑制(及び難燃)特性を提供することができる。例えば、X−AOMは、α−AOMのような他のAOM異性体と比較して大きい度合いの単位体積当たりの煙抑制を提供するできることが試験により証明されている。従って、先に説明した方法及び得られるX−AOM生成物84は、モリブデンテクノロジーにおける相当な進歩を表している。
高い純度水準(例えば、+95重量%X−AOM)の実質的な量のX−AOMを生じさせるために使用されてもよい好ましいかつ可能な方法に関する更なる情報を提供するために、次の実施例は提供される。以下に表す実施例は単に代表的なものでありいかなる点においても本発明を限定することを意図するものではないことは理解すべきである。
【0081】
実施例
この実施例において、最初に約8025リットルの脱イオン水を提供し、約22,700リットルの容量を有する先に説明したタイプの封じ込め容器中に入れた。また、先の生産運転から得られた約2270リットルのX−AOMを含有する水性化学混合物(先に説明した)をその水と組合わせた。さらにこの物質は、先に示したように“種”組成物として機能する。約22〜26ミクロンの粒子径を有するADMの供給をその水(及び“種”物質)に添加して、水性中間生成物を生成させた。ADMのその水への添加は、先に明らかにしたような漸進的で非瞬間的なやり方で行った。そのADMの添加は、慣用的な設計のスクリューコンベヤー装置を用いて達成した。この実施例において、水1リットル当たり約283グラムのADMを使用した。このことは、1分当たり約110キログラムのADMの速度でその水に送出し、結果として総計約2268キログラムのADMを使用したことになる。
【0082】
その後、約380ミクロンの粒子径を有する三酸化モリブデンの供給を、その水性中間生成物に漸進的で非瞬間的なやり方(先に説明した)で1分当たり約95キログラムの三酸化モリブデンの速度で添加した。この実施例において使用した三酸化モリブデンの全量は、約1973キログラムであった(例えば、ADM1グラム当たり約0.87グラムの三酸化モリブデン)。その三酸化モリブデンの添加も、慣用的なスクリューコンベヤー装置を用いて達成された。これらの工程の結果、水、ADM及び三酸化モリブデンから水性化学混合物を生成させた。
【0083】
次に、その水性化学混合物をその封じ込め容器内に維持しながら、約88℃の温度で約4.5時間(先に説明したようにかきまぜて)加熱して、スラリータイプの反応生成物を生成させた。その後、その反応生成物をその封じ込め容器内で約66℃に冷やした。冷却は、その封じ込め容器に付随し更に物理的に接触した、冷却水(約23℃の温度)をそれを通して移動させる慣用的な水に基づいた冷却コイル系の使用を通して達成した。冷却は約60分の時間をかけて行った。次いで、その中に関係のある固体のX−AOM組成物を含有した冷やした反応生成物を、別の前濾過貯蔵タンクに経路に沿って送った。
【0084】
冷やした反応生成物をその貯蔵タンクに移した後、約10重量%の冷やした反応生成物を、その後の生産運転においてX−AOM結晶の高められた生産、発生及び成長のための“種”配合物としての機能を果たすために最初の封じ込め容器に送り戻した。それは、また、その全体の密度を増加させることによってX−AOMの取り扱い適性を改善するであろう。次に、この実施例においては、その冷やした生成物をLarox Corporation of Patuxent Woods Drive,コロンビアMD(アメリカ合衆国)を含む非常に多くの供給者から得ることができるタイプの圧力基準濾過ユニットを包含する濾過系に経路に沿って送った。濾過は、約24時間の時間をかけて行った(個々のバッチにおいて回収/濾過された物質の全量を処理するため)。
【0085】
次いで、得られた濾過生成物(X−AOMからなる)を、天然ガス(又は蒸気)により約1時間かけて約140℃の温度(その温度は、それら望ましい物質が熱分解し得る約230〜250℃を超えなかったことは確かである)に加熱される慣用的な連続操作回転一次乾燥装置に向けて送った。その後、その乾燥したX−AOMを、この目的に適する物質取扱装置(例えば、ハンマーミル)を用いて約150ミクロンか又はそれより小さい粒子サイズにし、続いて、そのサイズを小さくしたX−AOMを二次乾燥装置(例えば、商標“TURBO−DRYER”で知られるニュージャージー州フォートリー(アメリカ合衆国)のWyssmont Co., Inc.を含む多くの異なる出所から得ることができる慣用的な垂直タイプ)に移した。二次乾燥装置内で、X−AOMを約110℃の温度に約1時間かけて加熱した。次いで、その乾燥したX−AOMを、一次粉砕ユニット(例えば、商標“Mikro−ACM”で知られるニュージャージー州サミット(アメリカ合衆国)のHosokawa Micron Powder Systemsを含む多くの出所から得ることができるタイプのミル/粉砕システム)において追加の粉砕/サイズ縮小にかけ、その結果、そのX−AOMを約30ミクロンを超えない粒子サイズに更にサイズを小さくした。
【0086】
最後に、その一次粉砕ユニットにおける処置の後、粒状のX−AOMを更に三次乾燥装置(例えば、先に挙げた二次乾燥装置に関して使用したのと同じタイプ)において約110℃で約3時間かけて乾燥して、最終X−AOM生成物を得た。更に、この生成物を、先に挙げた一次粉砕ユニットと同じタイプの二次粉砕ユニットで約16ミクロンか又はそれより小さい粒子サイズにサイズを小さくした。
また、特許請求される方法は、本実施例に示される諸パラメータ、装置、処理順序、及び他の情報に制限されるものではなく、これらは情報を提供する目的のために提供される。
【0087】
B.仕上がりX−AOM生成物の特質:
先に示したように、本発明によるX−AOM生成物は、α−AOM及びβ−AOM(並びにAOMのγ形及びσ形)を含む他のAOM異性体のものとは実質的に異なる独特な異性体配置を有する。X−AOM生成物は、その独特なラマンスペクトル分布を用いてすぐに特徴づけられる(そしてAOMの他の諸形態とは明瞭に識別される)。ラマン分光法は、基本的に、高エネルギー源(例えば、石英−水銀ランプ又はアルゴン−イオンレーザーユニット)から得られる光が物質を通して通過するときに生じるスペクトルの強度値のコレクションを包含する。ラマン分光法は、高度に正確で信頼できる結果を提供する確立された分析手法である。本発明に従って、その新規なX−AOM生成物のラマンスペクトル分析は、他のAOM異性体のスペクトル分布とは全く異なる特有なスペクトル分布をもたらす。具体的には、ラマンスペクトル分光法により、詳細な共有化学結合情報が提供され、分析する化合物に関連する中及び長範囲の次数モード(medium and long range order modes)も線図で説明される。ラマン分光法に関する更なる一般的な情報は米国特許第5,534,997号に提供されており、参照により本明細書中に援用される。ラマンスペクトル分析の使用は、X−AOMの同定のために現在知られている最も便利で実際的な手段であり、この方法は正確で、繰り返しでき、誤差は最小限である。従って、特許請求され、スペクトルで、特定的にはラマンスペクトル分析を用いて特徴づけられる(例えば、同定される)新規なX−AOM異性体を、スペクトルで特徴づけることは、全く充分なものであり、可能であり、そして信頼できるものである。基本的には、一方のスペクトル分布における他方のスペクトル分布においては見られない強度ピークの存在は、異なる化合物(この場合X−AOM)の存在を支持する。
【0088】
X−AOMの特有の性質を確認するために、そのラマンスペクトル分布をα−AOM及びβ−AOMから得られたラマンスペクトル分布と比較した。多くの異なるラマンスペクトル分析器が一貫した結果で使用され得る。従って、ラマン分光法を用いたX−AOM生成物の分析は、いかなる特定の分析装置に制限されるものではない。例えば、X−AOMを同定するにあたって使用に適するラマンスペクトル分析の一式は、Namar Scientific, Inc. of McKeespot, PA(アメリカ合衆国)を含む多くの商業的企業から入手可能であり、それは、Renishaw Company of Schaumburg,IL(アメリカ合衆国)により生産されたモデル1000ラマン分光計を使用する。この特定的な系は、1.5cm-1スペクトル分解能を可能とする1800溝/mm回折格子を有する514.5nm(2mW)アルゴン−イオンレーザー励起源を使用する。100〜4000cm-1の波長領域が利用され、検出/分析は−70℃ペルティエ冷却(Peltier-cooled)CCD検出器を用いて達成される。最後に、10x、20x、及び50x対物レンズを有するマイクロスコープを使用して、レーザーを照らされたサンプルから得られる散乱線を集めてから、その散乱線を前述のラマン分光計に向ける。X−AOMを包含する試験目的へのこの特定的な系の適用性にもかかわらず、特許請求される発明はいかなる特定のラマンタイプ分析装置に制限されるものではなく、多くの異なる系及び配置が等価な結果を提供する。
【0089】
図2を見ると、X−AOM生成物のラマンスペクトル分布100が提供される。最初に、図2〜4に関して同定されていないか又はさもなければ説明されていない種々のピークは、非AOMを構成する他の種、相及び/又は副生物のモリブデン酸塩(例えば、微量元素の不純物)を包含することを銘記することが重要である。以下に説明するピークは、分析する生成物について独特なものを包含しており、一方の生成物を他方から識別するのに使用することができる。X−AOMの分布100は、アイオワ州エームズ(アメリカ合衆国)のアイオワ州立大学において次のタイプのラマンスペクトル分析器:ニュージャージー州エディソン(アメリカ合衆国)のInstruments, SAにより生産されたSpex Triplemate Model 1877を用いて測定された。図2に説明するように、X−AOMのスペクトル分布には、次の3つの主要なピークが含まれる(“主要なピーク”という語は、他のAOM異性体のラマンスペクトル分布においては存在しない所定のAOM異性体についてのピークを意味する):(1)参照番号102に示すピーク#1=953〜955cm-1;(2)参照番号104に示すピーク#2=946〜948cm-1;及び(3)参照番号106に示すピーク#3=796〜798cm-1。これらの値は、個々のラマンスペクトル分析器(例えば、一方のタイプ又はブランドから他方まで)の間にある小さい度合いの実験変動を原因とする範囲に表される。図2のラマンスペクトル分布100は、α−AOM及びβ−AOM異性体から得られたラマンデータ(以下に説明する)と比較して完全に特有であり、ピーク102、104及び106は以下に説明する分布にはない。従って、X−AOMは、他のAOM異性体とは構造的に異なる新規で特有な化合物をである。
【0090】
図3は、α−AOMのラマンスペクトル分布200を包含する。スペクトル分布200は、図2のスペクトル分布100をもたらすにあたって使用した同じ装置とパラメータとを用いて測定した。図3に説明するように、α−AOMのスペクトル分布200には、2つだけの主要なピークが含まれる:(1)参照番号202で示すピーク#1=964〜965cm-1;及び(2)参照番号204で示すピーク#2=910〜911cm-1。図2と図3とを比べると、ピークの数とピークの大きさ/位置とが有意に異なる。また、ピーク202、204は、図2においては存在しない。ラマン分光法の鋭敏で正確な性質に従って、X−AOM及びα−AOMの間の有意な違いは、X−AOMの新規性を支持する先に示した情報を用いて明瞭に証明される。
【0091】
最後に、図4において、β−AOMのラマンスペクトル分布300が提供される。スペクトル分布300は、図2のスペクトル分布100をもたらすにあたって使用した同じ装置とパラメータとを用いて測定した。図4に説明するように、β−AOMのスペクトル分布300には次の2つだけの主要なピークが含まれる:(1)参照番号302で示すピーク#1=977〜978cm-1;及び(2)参照番号304で示すピーク#2=900〜901cm-1。図2及び図4を比較すると、ピークの数及びピークの大きさ/位置が有意に異なる。また、ピーク302、304は図2においては存在しない。ラマン分光法の鋭敏で正確な性質に従って、X−AOM及びβ−AOMの間の有意な違いは、X−AOMの新規性を更に支持する先に示した情報を用いて同様に証明される。
【0092】
本明細書中で説明する方法は、改善された機能的能力も有する新規で独特かつ特有の形態の八モリブデン酸アンモニウムを創出することはすぐに理解できる。このことは、α−AOMを含む他のAOM異性体と比較してX−AOMの優れた煙抑制能に関して特に真実である。また、慣用的なα−AOM及びβ−AOMと比較して少ない量のX−AOMを、例えば、高分子量プラスチックに添加剤として用いると有効な煙抑制が起こることが、種々の用途において確認されている。X−AOM生成物は、高い水準の均一性及び純度も特徴とする。従って、X−AOMは、他のAOM異性体に関するこの物質の異なる構造的特質に従って、大きな機能的有効性を有する。
【0093】
結論として、特許請求される生成物及び方法は、集合的にモリブデンテクノロジーにおいて重要な開発を表している。先に説明したX−AOM組成物には、独特な異性体構造(全ての他のAOM異性体とは異なる)だけではなく、改善された煙抑制性質も含まれる。先に説明した生成物及び方法は、技術的及び実用的見地から、新規、特有、かつ高度に有益である。本発明の好ましい態様を本明細書中に示してきたが、それに対して適する変更が施され得ることが予想され、それでもなお本発明の範囲内に帰するであろう。例えば、特許請求される方法は、本明細書中で他に明示しない限り、いかなる特定の操作パラメータ、処理装置などに制限されるものではない。従って、本発明は、特許請求の範囲に従って解釈すべきである。
【0094】
【図面の簡単な説明】
【図1】 八モリブデン酸アンモニウムの新規で独特な異性体(例えば、X−AOM)を生じさせるための本発明の好ましい態様において使用される基本的な処理工程の略図である。
【図2】 本明細書中で特許請求される新規なX−AOM異性体のラマンスペクトル分布である。
【図3】 図2に示されるX−AOMのラマンスペクトル分布とは有意に異なる慣用的なα−AOMのラマンスペクトル分布である。
【図4】 図2に示されるX−AOMのラマンスペクトル分布とは有意に異なる慣用的なβ−AOMのラマンスペクトル分布である。

Claims (19)

  1. 953〜955cm-1、946〜948cm-1、及び796〜798cm-1の波長値にラマンスペクトルピークを有する八モリブデン酸アンモニウム異性体。
  2. 請求項1に記載の八モリブデン酸アンモニウム異性体を製造するための方法であって:
    二モリブデン酸アンモニウムの供給、三酸化モリブデンの供給、及び水の供給を提供し;
    前記二モリブデン酸アンモニウムの供給及び前記三酸化モリブデンの供給の一方を第1試薬としての使用のために選択し、前記二モリブデン酸アンモニウムの供給及び前記三酸化モリブデンの供給の他方を第2試薬としての使用のために選択し;
    前記第1試薬を前記水と組合わせて、中間生成物を生成させ;
    前記第2試薬を前記中間生成物に添加して水性化学混合物を生じさせ、その際、前記第2試薬の前記中間生成物への前記添加が、前記第2試薬の全てを一度に前記中間生成物に送出するのを避けるために、前記第2試薬を所定の速度で前記中間生成物に送出することを含んでなり;そして、
    前記水性化学混合物を加熱して、その中に前記八モリブデン酸アンモニウム異性体を含んでなる反応生成物を生成させること
    を含んでなる方法。
  3. 更に、反応生成物から八モリブデン酸アンモニウム異性体を取り出すことを含んでなる、請求項2記載の方法。
  4. 水性化学混合物の加熱が85〜90℃の温度で3.5〜5時間かけて行われる、請求項2記載の方法。
  5. 水性化学混合物加熱の後、更に、水性化学混合物を60〜70℃の温度に冷やすことを含んでなる、請求項2記載の方法。
  6. 請求項1に記載の八モリブデン酸アンモニウム異性体を製造するための方法であって:
    二モリブデン酸アンモニウムの供給、三酸化モリブデンの供給、及び水の供給を提供し;
    前記二モリブデン酸アンモニウムを前記水と組合わせて、中間生成物を生成させ;
    前記三酸化モリブデンを前記中間生成物と組合わせて、水性化学混合物を生成させ、その際、前記三酸化モリブデンの前記中間生成物との前記組合わせが、前記三酸化モリブデン全てを一度に前記中間生成物に送出するのを避けるために、前記三酸化モリブデンを前記中間生成物に1分当たり65〜130キログラムの前記三酸化モリブデンの速度で添加することを含んでなり;そして、
    前記水性化学混合物を加熱して、その中に前記八モリブデン酸アンモニウム異性体を含んでなる反応生成物を生成させること
    を含んでなる方法。
  7. 水性化学混合物の加熱が85〜90℃の温度で3.5〜5時間かけて行われる、請求項6記載の方法。
  8. 水性化学混合物加熱の後、更に、水性化学混合物を60〜70℃の温度に冷やすことを含んでなる、請求項6記載の方法。
  9. 請求項1に記載の八モリブデン酸アンモニウム異性体を製造するための方法であって:
    二モリブデン酸アンモニウムの供給、三酸化モリブデンの供給、及び水の供給を提供し;
    前記三酸化モリブデンを前記水と組合わせて、中間生成物を生成させ;
    前記二モリブデン酸アンモニウムを前記中間生成物と組合わせて、水性化学混合物を生成させ、その際、前記二モリブデン酸アンモニウムの前記中間生成物との前記組合わせが、前記二モリブデン酸アンモニウム全てを一度に前記中間生成物に送出するのを避けるために、前記二モリブデン酸アンモニウムを前記中間生成物に1分当たり75〜150キログラムの前記二モリブデン酸アンモニウムの速度で添加することを含んでなり;そして、
    前記水性化学混合物を加熱して、その中に前記八モリブデン酸アンモニウム異性体を含んでなる反応生成物を生成させること
    を含んでなる方法。
  10. 水性化学混合物の加熱が85〜90℃の温度で3.5〜5時間かけて行われる、請求項9記載の方法。
  11. 水性化学混合物加熱の後、更に、水性化学混合物を60〜70℃の温度に冷やすことを含んでなる、請求項9記載の方法。
  12. 請求項1に記載の八モリブデン酸アンモニウム異性体を製造するための方法であって:
    二モリブデン酸アンモニウムの供給、三酸化モリブデンの供給、及び水の供給を提供し;
    前記二モリブデン酸アンモニウム及び前記三酸化モリブデンを前記水と組合わせて、水性化学混合物を生成させ、その際、前記二モリブデン酸アンモニウム及び前記三酸化モリブデンの前記水との前記組合わせが、前記二モリブデン酸アンモニウム及び前記三酸化モリブデンの両方を前記水に同時に送出することを含んでなり、その際、前記二モリブデン酸アンモニウム全てを一度に前記水に送出するのを避けるために、前記二モリブデン酸アンモニウムが前記水に所定の速度で送出され、そして前記三酸化モリブデン全てを一度に前記水に送出するのを避けるために、前記三酸化モリブデンが前記水に所定の速度で送出され;そして、
    前記水性化学混合物を加熱して、その中に前記八モリブデン酸アンモニウム異性体を含んでなる反応生成物を生成させること
    を含んでなる方法。
  13. 水性化学混合物の加熱が85〜90℃の温度で3.5〜5時間かけて行われる、請求項12記載の方法。
  14. 水性化学混合物加熱の後、更に、水性化学混合物を60〜70℃の温度に冷やすことを含んでなる、請求項12記載の方法。
  15. 前記二モリブデン酸アンモニウムが、1分当たり75〜150キログラムの前記二モリブデン酸アンモニウムの速度で前記水に送出される、請求項12記載の方法。
  16. 前記三酸化モリブデンが、前記水に、1分当たり65〜130キログラムの前記三酸化モリブデンの速度で送出される、請求項12記載の方法。
  17. 請求項1に記載の八モリブデン酸アンモニウム異性体を製造するための方法であって:
    二モリブデン酸アンモニウムの供給、三酸化モリブデンの供給、水の供給、及び予め製造された前記八モリブデン酸アンモニウム異性体の供給を提供し;
    前記二モリブデン酸アンモニウム、前記三酸化モリブデン、前記水の供給、及び予め製造された前記八モリブデン酸アンモニウム異性体の前記供給を組合わせて、水性化学混合物を生成させ;そして、
    前記水性化学混合物を加熱して、その中に追加量の前記八モリブデン酸アンモニウム異性体を含んでなる反応生成物を生じさせること
    を含んでなる方法。
  18. 請求項1に記載の八モリブデン酸アンモニウム異性体を製造するための方法であって:
    二モリブデン酸アンモニウムの供給、三酸化モリブデンの供給、及び水の供給を提供し;
    前記二モリブデン酸アンモニウム、前記三酸化モリブデン、及び前記水の供給を組合わせて、水性化学混合物を生成させ;そして、
    前記水性化学混合物を、85〜90℃の温度で3時間を超える時間加熱して、その中に前記八モリブデン酸アンモニウム異性体を含んでなる反応生成物を生成させること
    を含んでなる方法。
  19. 請求項1に記載の八モリブデン酸アンモニウム異性体を製造するための方法であって:
    二モリブデン酸アンモニウムの供給、三酸化モリブデンの供給、及び水の供給を提供し;
    前記二モリブデン酸アンモニウムを前記水と組合わせて、中間生成物を生成させ、その際、前記水1リットル当たり283グラムの前記二モリブデン酸アンモニウムが使用されるものであり;
    前記三酸化モリブデンを前記中間生成物と組合わせて、水性化学混合物を生成させ、その際、前記二モリブデン酸アンモニウム1グラム当たり0.87グラムの前記三酸化モリブデンが使用されるものであり、前記三酸化モリブデンの前記中間生成物との前記組合わせが、前記三酸化モリブデン全てを一度に前記中間生成物に送出するのを避けるために、前記三酸化モリブデンを前記中間生成物に1分当たり95キログラムの前記三酸化モリブデンの速度で添加することを含んでなり;
    前記水性化学混合物を88℃の温度で4.5時間加熱して、その中に前記八モリブデン酸アンモニウム異性体を含んでなる反応生成物を生成させ;
    前記反応生成物の加熱の後、反応生成物を66℃の温度に冷やし;そして、
    前記反応生成物の前記冷却の後、反応生成物から前記八モリブデン酸アンモニウム異性体を取り出すこと
    を含んでなる方法。
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