JP4062506B2 - アイアンヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフ用のアイアンヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
コストを下げたり、製造を容易にしたり、重心位置を調節したり、スイートエリアを広げたり、飛距離を伸ばしたりのために、アイアンヘッドはその全体を一体で形成せずに、異種金属で形成されたフェースプレートをヘッド本体に乗せるようにして溶接して一体化されたものが出現している。そうした例が下記公報に開示されている。
【特許文献1】
特開平2001−246030号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、フェースプレート周辺部(縁部)裏面をヘッド本体で受けた構造で一体化した場合、拘束のため、打球時にフェースプレート縁部が撓み難くなり、球に対する反発性能が低下する。打球ポイントがスィートスポットから外れても、できるだけ反発性を維持させるためには、即ち、できるだけスィートエリアを大きくするには、フェースプレートの撓み難い領域を可及的に小さくしたり、フェースプレート自体を大きくしたい。然しながら、特に、ヒール部側にはホーゼル部が存在しており、このためフェースプレートのヒール側縁を延伸拡大するには限界がある。
依って本発明は、フェースプレートのヒール側の縁付近で打撃した場合にも、可及的に反発性を有するアイアンヘッドの提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み本発明の請求項1では、ホーゼル部を有する金属製ヘッド本体に金属製フェースプレートを溶接したアイアンヘッドにおいて、該フェースプレートとヘッド本体のバック部との間に空間を有し、該空間は、フェースプレートのヒール側の縁よりもヒール寄りの位置にまで至っており、かつ、フェースプレートのヒール側縁部裏面に対するヘッド本体の受け部の合計長さは前記フェースプレートのヒール側縁長さの1/4以下であることを特徴とするアイアンヘッドを提供する。
請求項2では、打撃時のゴルフ球が、フェース部と、ヒール部又はホーゼル部下部との両方の部位に当たる場合において、前記フェースプレートのヒール側縁は、ゴルフ球の当たる前記両方の部位の間に位置して、該ゴルフ球の表面よりも引っ込んでいることで該ゴルフ球が当たらない請求項1記載のアイアンヘッドを提供する。
【0005】
フェースプレートとヘッド本体のバック部との間の空間には、バック側に貫通穴があって、空間が外部空間に連通している場合も含む。部分的に受け部が存在していることを許容するものであるが、ヒール側の縁の長さをLとすることができれば、その存在する受け部長さの合計はL/4以下の長さまでである。好ましくはL/5以下、更に好ましくは受け部が存在していないことである。
【0006】
フェースプレートのヒール側縁部裏面がヘッド本体によって殆ど受けられていない構造であり、しかも上記の空間が、フェースプレートのヒール側の縁よりもヒール寄りの位置にまで至っているので、特にフェースプレートのヒール側の縁付近で打撃した場合、該ヒール側の縁付近が撓み易くなる。従って、飛球の勢いを得易い。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態例に基づき、更に詳細に説明する。
図1は本発明に係るアイアンヘッドの正面図であり、図2は矢視線B−Bによる横断面図である。このアイアンヘッドは、ヘッド本体10とフェースプレート12との2つの部品で形成されている。ヘッド本体10は、そのヒール10H側にシャフトを挿入させる穴SHを有するホーゼル部10Kを一体化させており、例えば、純チタン又は6Al−4Vチタン合金、17−4ステンレス等の金属材料の鋳造によって造られる。一方、フェースプレート12は、ヘッド本体とは異なる金属、例えば15Mo−5Zn−3Al等のβ型チタン合金、SP−700チタン合金、マルエージング鋼等の高強度圧延材からなる板状部材である。
【0008】
フェースプレート12は、ヘッド本体にフェースプレート板厚分の段差を設けた受け部10T,10TU,10Sによって受けられて、フェースプレートの周縁12T,12TU,12S,12Hに沿ってレーザー溶接して一体化している。即ち、トップ側の縁12T近くはその縁部裏面をトップ側段差状受け部10Tにより、トウ側の縁12TU近くはその縁部裏面をトウ側段差状受け部10TUにより、ソール側の縁12S近くはその縁部裏面をソール側段差状受け部10Sにより、夫々受けられている。なお、レーザー溶接を用いると次の利点があり、本発明構造に有効である。レーザー溶接の場合、溶接棒を用いないために溶接部が厚肉になり難く、フェース撓みを阻害することが防止できる。更に、レーザー溶接の場合、熱影響が小さいので強度低下が小さく、また、ホーゼルとフェース間の熱変形が抑えられ、品質が安定する。
【0009】
然しながら、ヒール10H側の縁12H近くの裏面は殆ど受け部が存在しない。即ち、ヒール側の縁12Hの長さLに亘る範囲の大部分に受け部が無い。このことは図2を参照すると、フェースプレート12のヒール側の縁端面は、ヘッド本体のヒール部10Hの(フェースプレート12のヒール側の縁端面に向かい合う)接合面10H”に対して当接した状態で溶接されているが、縁部裏面の受け部は形成されていない。然しながら、長さLの範囲において、所々に、受け部10H’が存在してもよい。その範囲に存在する受け部長さの合計はせいぜいL/4以下の長さまでである。好ましくはL/5以下、更に好ましくは受け部が存在していないことである。受け部長さの合計がL/4の場合、全く設けられていない場合とほぼ同様の撓み性が得られ、同様の飛球の勢いが得られた。
【0010】
上記フェースプレート12とヘッド本体10のバック部10Bとの間には、空間BKが存在している。この空間の存在により、ヘッド本体の重量を一定とすれば、この部位のヘッド本体金属を、ヘッドの周辺部等の他部へ設けることができ、打撃時の安定性を確保できたり、また、フェースプレートの撓み性を確保して、打撃時の反発性を向上させたりできる。しかし、既述の如く、各受け部を設けてフェースプレートを受けて溶接すると、この受け部に対応するフェースプレート縁部の撓み性が低下する。そこで、一般に特に撓み性の悪いヒール部10H寄り縁部は、既述の如く、受け部を殆ど設けず、また、上記空間BKを延伸させて、ヒール側の縁12Hよりもヒール寄りの位置にまで至るように空間延伸部BK’を設けている。
【0011】
これにより、球GBがフェースプレートのヒール側の縁12H近くに当った場合でも、従来よりもこの部位が撓み易く、打球に勢いがつきやすい。なお、ヘッドにおけるヒール側の縁12Hの位置は、溶接部の耐久性から、図2に示す如く、フェース部とヒール部10H(又はホーゼル部下部)の間の球GBが直接に当らない位置であることが好ましいが、これに限らず、球が当る位置、即ち、図示よりもトウ寄りの位置であってもよい。
【0012】
図3は図2に対応する他の形態例を示すが、図示の如く、空間延伸部BK’はホーゼル部に設けた穴SH、又はその延伸穴SH’と連通してもよい。この連通の効果は、既述の空間の効果と同様に、この部位の金属を他の部位に設けることができたり、また、必要に応じてヘッドの軽量化に寄与させることもできる。更には、ヘッド本体のバック部10Bに貫通穴KHが設けられていて、空間BKが外部空間と連通していてもよい。
【0013】
その他の形態例として、図4に示すように、フェースプレート12はアイアンヘッドのフェースプ面の上下方向幅全体に亘る寸法形態でもよい。
図2を参照する。フェースプレート12をマルエージング鋼で形成し、ヘッド本体10を17−4ステンレスで鋳造形成する場合、前者肉厚T1は1.5〜2.8mmに設定すると、フェースプレートのヒール側の縁12Hと当接するヘッド本体のヒール部肉厚T2は、フェースプレートの肉厚よりも若干厚く(0.2〜1.0mm程度厚く)形成して1.7〜3.8mm程度とすることが好ましい。ヘッド本体の材料の方が強度が劣るからである。然しながら、肉厚T1とT2とを同じに形成してもよい。
【0014】
以上の各実施形態例での各説明事項は、互いに矛盾の無い限り、互いに他の実施形態例にも適用できる。
【0015】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、フェースプレートのヒール側の縁付近で打撃した場合にも、可及的に反発性を有するアイアンヘッドが提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るアイアンヘッドの正面図である。
【図2】図2は図1の矢視線B−Bによる部分横断面図である。
【図3】図3は図2に対応する他の形態の図である。
【図4】図4は図1に対応する他の形態の図である。
【符号の説明】
10 ヘッド本体
10B バック部
10K ホーゼル部
12 フェースプレート
12H ヒール側の縁
BK,BK’ 空間
Claims (2)
- ホーゼル部を有する金属製ヘッド本体に金属製フェースプレートを溶接したアイアンヘッドにおいて、該フェースプレートとヘッド本体のバック部との間に空間を有し、該空間は、フェースプレートのヒール側の縁よりもヒール寄りの位置にまで至っており、かつ、フェースプレートのヒール側縁部裏面に対するヘッド本体の受け部の合計長さは前記フェースプレートのヒール側縁長さの1/4以下であることを特徴とするアイアンヘッド。
- 打撃時のゴルフ球が、フェース部と、ヒール部又はホーゼル部下部との両方の部位に当たる場合において、前記フェースプレートのヒール側縁は、ゴルフ球の当たる前記両方の部位の間に位置して、該ゴルフ球の表面よりも引っ込んでいることで該ゴルフ球が当たらない請求項1記載のアイアンヘッド。
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