JP4062140B2 - Flat glass fiber bundle, thermoplastic composition and thermoplastic molding - Google Patents

Flat glass fiber bundle, thermoplastic composition and thermoplastic molding Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、扁平ガラス繊維束、熱可塑性樹脂組成物および熱可塑性樹脂成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂は、それ単独では機械的強度や耐衝撃性等の特性が不充分である場合が多い。このため、構造部材に用いるような場合は、ガラス繊維チョップドストランド等のガラス繊維を添加して、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂(GFRTP)として用いることが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】
特開2001−19496号公報(第16頁、表3)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のGFRTPは、耐衝撃性が不充分であることが多い。特に、ガラス繊維を添加する熱可塑性樹脂としてポリプロピレン等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂を用いた場合には顕著となる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、集束剤によりガラス繊維フィラメントが束ねられたガラス繊維束であって、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と混合することによって得られるGFRTPの耐衝撃性を向上させることができるガラス繊維束を提供することにある。本発明の目的は、また、該ガラス繊維束を含む熱可塑性樹脂組成物およびこれを成形してなる熱可塑性樹脂成形物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記発明を達成するために、本発明は、集束剤の不揮発成分により扁平ガラス繊維フィラメントが複数本束ねられた扁平ガラス繊維束であって、集束剤の不揮発成分は、ポリウレタン樹脂と、(メタ)アクリル酸エステル樹脂と、テトラエチレンペンタミンとステアリン酸との縮合物と、パラフィンワックスと、アミノ基含有シランカップリング剤と、を含むことを特徴とする扁平ガラス繊維束を提供する。
【0006】
本発明の扁平ガラス繊維束は、これを構成する集束剤の不揮発成分を上記組成とするので、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂中で容易に扁平ガラス繊維フィラメントにまで解繊される。また、本発明の扁平ガラス繊維束は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂に対するぬれ性に優れるので、該熱可塑性樹脂中でガラス繊維フィラメントを均一に分散させることができる。ここで、不揮発成分とは、125℃の加熱により揮発しない成分をいう。
【0007】
この場合、本発明の扁平ガラス繊維束を構成する集束剤の不揮発成分の重量は、扁平ガラス繊維フィラメントの全重量100重量部に対して、0.1〜2重量部であることが好ましい。
【0008】
集束剤の不揮発成分の重量をこのような範囲にすることにより、扁平ガラス繊維フィラメントが適度な力で結合する。このため、扁平ガラス繊維束とポリオレフィン系熱可塑性樹脂とを混合したとき、扁平ガラス繊維束は該熱可塑性樹脂中で容易に扁平ガラス繊維フィラメントにまで解繊される。集束剤の不揮発成分の重量が0.1重量部以下であると、ガラスチョップドストランドの製造時における紡糸の際、一度巻き取られたガラスストランドを引き出しながら切断するので、この時に毛羽が発生しやすく生産性が落ちる傾向にある。また、2重量部を越えると、扁平ガラス繊維フィラメントの結合力が大きくなりすぎ、扁平ガラス繊維束と該熱可塑性樹脂とを混合しても扁平ガラス繊維フィラメントにまで解繊することが困難になる場合がある。したがって、該熱可塑性樹脂中に扁平ガラス繊維フィラメントを均一に分散することができる。
【0009】
また、扁平ガラス繊維フィラメントの繊維長は、1〜15mmであることが好ましい。扁平ガラス繊維フィラメントの繊維長をこのような範囲にすることにより、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂との混合が容易となり、該熱可塑性樹脂中に扁平ガラス繊維フィラメントを均一に分散することができる。
【0010】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記扁平ガラス繊維束と、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と、を含むことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の扁平ガラス繊維束には、上記特定組成の集束剤の不揮発成分が付着しているので、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂中でガラス繊維フィラメントを均一に分散させることができる。また、ガラス繊維フィラメントの横断面形状は扁平であるので、横断面が円形であるときに比べて、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂との混合時にガラス繊維フィラメントが折れ難くなり、より長繊維のガラス繊維フィラメントをポリオレフィン系熱可塑性樹脂に分散させることが可能となる。したがって、ガラス繊維フィラメントによるポリオレフィン系熱可塑性樹脂の強化がより確実となり、強化樹脂の均一性も向上する。
【0012】
この場合、扁平ガラス繊維束の含有量は、熱可塑性樹脂組成物の100重量部に対して、5〜75重量部であることが好ましい。扁平ガラス繊維束の含有量をこのような範囲にすることにより、熱可塑性樹脂を成形して得られる扁平ガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形物の耐衝撃性を更に向上させることができる。一般に、円形断面のガラス繊維フィラメントで構成されるガラス繊維束で強化されたガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形物では、ガラス繊維束の含有量が30〜50重量部で最大の耐衝撃性があり、これ以上ガラス繊維束を含有させても耐衝撃性は低下する。しかし、本発明の熱可塑性樹脂成形物においては、ガラス繊維束の含有量が75重量部まで耐衝撃性の向上がみられる。したがって、ガラス繊維束の含有量が高い場合には、耐衝撃性に対する効果が特に大きい。
【0013】
本発明の熱可塑性樹脂成形物は、上記熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とするものである。本発明の熱可塑性樹脂成形物は高い耐衝撃性を発揮する。このような高い衝撃性は、(1)ポリオレフィン系熱可塑性樹脂に対するぬれ性に優れた特定組成の集束剤を用いていること、(2)ガラス繊維フィラメントとして扁平ガラス繊維フィラメントを用いていること、(3)(1)および(2)の結果として、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂中で扁平ガラス繊維フィラメントが長い繊維長を保ちながら均一に分散していること、に起因するものと推測される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の扁平ガラス繊維束を構成する集束剤と扁平ガラス繊維フィラメントついて詳細に説明する。先ず、本発明の扁平ガラス繊維束を構成する集束剤の各成分について説明する。集束剤の各構成成分は、これらが奏する作用から皮膜形成剤、潤滑剤または表面処理剤に大別することができる。
【0015】
(ポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂は、集束剤のなかで皮膜形成剤として作用する。本発明に適用可能なポリウレタン樹脂は、集束剤の乾燥温度(室温〜150℃)において、扁平ガラス繊維フィラメント上に皮膜を形成可能なウレタン結合を有する樹脂である。かかるポリウレタン樹脂は、最低造膜温度が130℃以下(より好ましくは80℃以下、更に好ましくは50℃以下、特に好ましくは20℃以下)であることが好ましい。
【0016】
かかるポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールまたはオレフィン系ポリオール等のポリオールと、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネート等のポリイソシアネートとを任意の当量比で反応させて得ることができる。ポリウレタン樹脂の末端は、イソシアネート基でも水酸基であってもよい。また、これらの末端基は、公知の方法によりブロック化されていてもよい。一方、ポリウレタン樹脂の主鎖は、公知の方法による変性がなされていてもよい。
【0017】
((メタ)アクリル酸エステル樹脂)
(メタ)アクリル酸エステル樹脂も、集束剤のなかで皮膜形成剤として作用する。ここで、(メタ)アクリル酸エステル樹脂とは、アクリル酸エステル樹脂および/またはこれに対応するメタクリル酸エステル樹脂を意味する。
本発明に適用可能な(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、集束剤の乾燥温度(室温〜150℃)において、扁平ガラス繊維フィラメント上に皮膜を形成可能なアクリル基および/またはメタクリル基を有する樹脂である。かかる(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルの重合物または(メタ)アクリル酸エステルとこれと共重合可能なモノマーとの共重合物が好ましく、最低造膜温度が130℃以下(より好ましくは80℃以下、更に好ましくは50℃以下、特に好ましくは20℃以下)であることが好ましい。
【0018】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレートまたはプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げらる。(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、スチレンまたは酢酸ビニル等のビニルモノマーが挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルを単独で用いても、(メタ)アクリル酸エステルおよび共重合モノマーを上記から適宜組み合わせて用いてもよい。
【0019】
上述のように、ポリウレタン樹脂と(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、ともに扁平ガラス繊維フィラメントの表面に被覆されると皮膜形成剤として作用する。皮膜形成剤は、複数の扁平ガラス繊維フィラメントの間に存在し、扁平ガラス繊維フィラメントを束ねるバインダとして機能する。
【0020】
本発明で用いられるポリウレタン樹脂および(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、集束剤に含まれる水に溶解性および/または膨潤性を示すもの(以下、「水溶解性ポリウレタン樹脂」、「水溶解性(メタ)アクリル酸エステル樹脂」という。)であっても、水に対して溶解性や膨潤性を示さず水中で分散または乳化されるもの(以下、「水分散性ポリウレタン樹脂」、「水分散性(メタ)アクリル酸エステル樹脂」という。)であってもよい。本発明においては、同一固形分であっても低粘度化が可能であることから、水分散性ポリウレタン樹脂および水分散性(メタ)アクリル酸エステル樹脂が好ましい。また、水分散性ポリウレタン樹脂および水分散性(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、エマルジョンまたはディスパージョンの形態で提供されるものであることが好ましい。
【0021】
(テトラエチレンペンタミンとステアリン酸との縮合物)
テトラエチレンペンタミンとステアリン酸との縮合物は、集束剤のなかで潤滑剤として作用する。本発明に適用可能なテトラエチレンペンタミンとステアリン酸との縮合物は、この縮合物に酢酸を加えpHを4.5〜5.5に調整した調整物(以下、該調整物における固形分を「TEPA/SA」と記す。)である。TEPA/SAにおけるテトラエチレンペンタミンとステアリン酸の反応比率はモル比として、前者/後者=1/1〜1/2が好ましい。
【0022】
(パラフィンワックス)
パラフィンワックスも、集束剤のなかで潤滑剤として作用する。本発明に適用可能なパラフィンワックスは、炭素数が20〜48の白色半透明ロウ状の結晶性固体であり、例えばJIS K 2235に規定する120パラフィン〜155パラフィンの8種類から適宜選択して使用することができる。
【0023】
上述のようにTEPA/SAとパラフィンワックスは、ともに潤滑剤として作用する。かかる潤滑剤を用いることにより、扁平ガラス繊維フィラメントが機械摩擦から保護される。
【0024】
本発明の扁平ガラス繊維束は、極性の低いポリオレフィン系熱可塑性樹脂と混合可能である。一般に、潤滑剤はガラス繊維を紡糸する工程において、糸切れや毛羽立ちを防止するために必要であるが、樹脂とガラス繊維とのぬれ性を悪化させる傾向がある。特に、混合する樹脂がポリプロピレン等の極性の低い熱可塑性樹脂である場合には、この傾向が顕著となる。このため、従来、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂とガラス繊維との接着性を著しく悪化させていた。この結果、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂の耐衝撃性が不充分となっていた。しかし、本発明の潤滑剤はTEPA/SAとパラフィンワックスとを組み合わせているため、ぬれ性を悪化させることがない。このため、ポリプロピレン等の極性の低いポリオレフィン系熱可塑性樹脂と扁平ガラス繊維との接着性を著しく悪化させることはない。したがって、成形物の耐衝撃性を向上させることができる。
【0025】
(アミノ基含有シランカップリング剤)
アミノ基含有シランカップリング剤は、集束剤のなかで表面処理剤として作用する。本発明に適用可能なアミノ基含有シランカップリング剤は、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等である。これらから適宜選択して使用することができる。
【0026】
シランカップリング剤は、ガラス繊維との反応性を有する加水分解性基と、熱可塑性樹脂との親和性を有する有機基とを有している。このため、扁平ガラス繊維束とポリオレフィン系熱可塑性樹脂との界面接着性を向上させることができる。
【0027】
(含有比)
集束剤における、皮膜形成剤(ポリウレタン樹脂および(メタ)アクリル酸エステル樹脂)、潤滑剤(TEPA/SAおよびパラフィンワックス)および表面処理剤(アミノ基含有シランカップリング剤)の各含有比率は、集束剤の全重量を基準として、それぞれ1〜10重量%、0.01〜1重量%、0.1〜2重量%であることが好ましく、この場合残部は水であることが好ましい。
【0028】
皮膜形成剤の含有比率が上記下限未満である場合には、扁平ガラス繊維フィラメントを集束する強度が不充分となる傾向がある。一方、上記上限値を越す場合には、扁平ガラス繊維束を含有する熱可塑性樹脂組成物を成形するときに、ガスが発生することがある。また、潤滑剤の含有比率が上記下限未満である場合には、扁平ガラス繊維フィラメントが機械摩擦等から充分に保護されなくなる傾向がある。一方、上記上限値を越す場合には、扁平ガラス繊維束と熱可塑性樹脂とのぬれ性が悪化する傾向があり、成形物の強度が低下することがある。また、ガラス繊維束を乾燥させた際に着色することがある。表面処理剤の含有比率が上記下限値未満である場合には、扁平ガラス繊維束とポリオレフィン系熱可塑性樹脂との界面接着性が不充分となることがある。一方、上記上限値を越す場合には、成形物の強度が低下することがある。
【0029】
なお、ポリウレタン樹脂100重量部に対する(メタ)アクリル酸エステル樹脂の配合量は、50〜300重量部が好ましい。また、TEPA/SA100重量部に対するパラフィンワックスの配合量は、400〜700重量部が好ましい。このような配合量とすることにより、集束剤の不揮発成分は、扁平ガラス繊維フィラメントに適度な力で結合する。また、扁平ガラス繊維束のポリオレフィン系熱可塑性樹脂に対するぬれ性が向上する。このため、扁平ガラス繊維フィラメントは、扁平ガラス繊維束から解繊されてポリオレフィン系熱可塑性樹脂中に均一に分散される。したがって、扁平ガラス繊維フィラメントによるポリオレフィン系熱可塑性樹脂の耐衝撃性の向上が、より確実となる。
【0030】
(任意の添加成分)
本発明の集束剤は、上述した必須成分に加えて、pH調整剤、帯電防止剤および乳化剤等の添加成分をさらに含んでいてもよい。また、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールやその他有機溶剤を少量含有していてもよい。
【0031】
pH調整剤としては、酢酸等の弱酸が好ましく、pH調整剤の添加により集束剤のpHを3.0〜5.0に調整することが好ましい。かかるpH調整により、アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解を促進することができる。
【0032】
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキレンアミン、アルキルスルホネート、第4級アンモニウムクロライドが例示可能である。集束剤に帯電防止剤を添加することにより、扁平ガラス繊維フィラメントに生じる静電気の発生を低減させることができる。帯電防止剤の含有比率は、集束剤の不揮発成分の全重量を基準として、1〜3重量%が好ましい。
【0033】
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、脂肪族第4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンポリアルキルエーテル等のノニオン性界面活性剤等を用いることができる。乳化剤の含有比率は、集束剤の不揮発成分の全重量を基準として、0.5〜2重量%が好ましい。
【0034】
(集束剤の製造)
本発明に適用する集束剤は、以下のようにして製造することができる。まず、皮膜形成剤として作用するポリウレタン樹脂および(メタ)アクリル酸エステル樹脂の水性エマルジョンもしくはディスパージョンまたは水溶液を調整する。これに潤滑剤として作用するTEPA/SAおよびパラフィンワックス、表面処理剤として作用するアミノ基含有シランカップリング剤を添加する。なお、必要に応じて上記添加成分や有機溶剤等を加えることが好ましい。また、アミノ基含有シランカップリング剤はアルコール溶液として供給される場合がある。その場合には、アルコール成分を除去することなく添加することができる。
【0035】
(扁平ガラス繊維フィラメント)
次に、本発明の扁平ガラス繊維束を構成する扁平ガラス繊維フィラメントついて説明する。本発明において扁平ガラス繊維フィラメントとは、その断面形状が略だ円形、略長円形、略まゆ形等であって、扁平率が1.5〜8のガラス繊維フィラメントをいう。ここで、扁平率とは以下で定義される値である。すなわち、図1に示されるように、扁平ガラス繊維フィラメントの長手方向に対して直交する横断面Sに外接する最小面積の長方形Rを想定する。この長方形Rの長辺Raの長さA(繊維横断面の最長寸法に相当)を扁平ガラス繊維フィラメントの長径とする。一方、長方形Rの短辺Rbの長さBを扁平ガラス繊維フィラメントの短径とする。扁平率は、長辺の長さと短辺の長さの比、すなわちA/Bの値である。
【0036】
扁平率が1.5未満である場合には、円形断面のガラス繊維フィラメントと形状に大きな差がないため、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と扁平ガラス繊維束とを混合するとき、分散性向上の効果が小さく樹脂中に残存する表面積も円形断面のガラス繊維フィラメントと差がない。このため、成形物の耐衝撃性があまり向上しない場合がある。一方、扁平率が8を越す場合には、該熱可塑性樹脂中におけるかさ密度が高くなるので、扁平ガラス繊維フィラメントを均一に分散できない場合がある。このため、成形物の耐衝撃性があまり向上しない場合がある。なお、扁平ガラス繊維フィラメントの扁平率は、2〜4が好ましい。扁平ガラス繊維フィラメントの繊維径は、扁平ガラス繊維フィラメントの断面積を電子顕微鏡写真等を元に求め、その求めた断面積と等しい断面積の円形断面ガラス繊維フィラメントの繊維径(円形換算繊維径)で表すことができ、この値は4〜18μmであることが好ましい。
【0037】
扁平ガラス繊維フィラメントの長手方向に対して直交する横断面の形状は、長円形または繭の形が好ましい。このような横断面形状を有する扁平ガラス繊維フィラメントは、例えば、所定の異形形状をした白金ノズル(ブッシング)から溶融ガラスを紡出させた後、冷却することにより製造することができる。
【0038】
扁平ガラス繊維フィラメントのガラス組成としては、例えば、Eガラス、Sガラス、Cガラス等が挙げられる。
【0039】
(扁平ガラス繊維束)
本発明の扁平ガラス繊維束は、上述の集束剤の不揮発成分により扁平ガラス繊維フィラメントが複数本束ねられたものである。すなわち、扁平ガラス繊維束は、複数の扁平ガラス繊維フィラメントと集束剤の不揮発成分とから構成されている。該不揮発成分は、上述のように複数の扁平ガラス繊維フィラメント間に存在し、扁平ガラス繊維フィラメントを束ねる接着剤(バインダ)として機能している。この場合において、不揮発成分は扁平ガラス繊維フィラメントの外周を連続または不連続膜として被覆し、扁平ガラス繊維フィラメントを保護する機能も有していることが好ましい。
【0040】
上記不揮発成分は、扁平ガラス繊維束の使用時に扁平ガラス繊維フィラメントを束状に保っているだけの強度を有していればよく、扁平ガラス繊維束中に一様に分布している必要はない。すなわち、扁平ガラス繊維フィラメント同士の接着性の観点からは、不揮発成分は扁平ガラス繊維束の外縁部から中心部へ向けて略均一の濃度で分布していることが好ましい。例えば、外縁部の濃度が高く中心部の濃度が低い場合であっても、扁平ガラス繊維フィラメントを保持できるので実用上問題とならない。したがって、かかる構成の扁平ガラス繊維束も本発明に適用可能である。
【0041】
集束剤の不揮発成分の重量は、扁平ガラス繊維束を構成する扁平ガラス繊維フィラメントの全重量100重量部に対して、0.1〜2重量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1重量部である。集束剤の不揮発成分の重量が0.1重量部未満である場合には、ガラスチョップドストランドを製造する際、紡糸時巻き取られたガラスストランドを引き出しながら切断する工程で毛羽が発生しやすくなり、生産性が落ちる傾向にある。一方、2重量部を超す場合には、扁平ガラス繊維束が必要以上の力で結合される結果、該熱可塑性樹脂中における扁平ガラス繊維束から扁平ガラス繊維フィラメントへの解繊が悪化することがある。このため、該熱可塑性樹脂中に扁平ガラス繊維フィラメントが均一に分散することができず、成形物の強度が向上しないことがある。なお、揮発成分として水等を含有する場合には、水の重量は98重量部以上が好ましい。なお、揮発成分とは、125℃の加熱により揮発する成分をいう。
【0042】
扁平ガラス繊維束は、以下のようにして製造することができる。まず扁平ガラス繊維フィラメントにローラー型アプリケーターやベルト型アプリケーター等を用いて集束剤を塗布し、これを集束機で束ねる。次に、束ねられた扁平ガラス繊維フィラメントを室温〜150℃で乾燥し、水等の揮発成分を除去する。この場合、乾燥の前に必要に応じて加撚を施してもよい。なお、本発明の扁平ガラス繊維束の態様としては、扁平ガラス繊維ヤーン、扁平ガラス繊維ロービングが挙げられる。
【0043】
このような方法により得られる扁平ガラス繊維束は、長繊維である。本発明では、扁平ガラス繊維フィラメントの繊維長が数〜数十mmである扁平ガラス繊維束(以下、「短繊維長扁平ガラス繊維束」という。)も用いることができる。かかる繊維長の扁平ガラス繊維束を用いることにより、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂中における扁平ガラス繊維束の分散性が向上する。その結果、成形物の耐衝撃性を向上させることができる。
【0044】
短繊維長扁平ガラス繊維束の繊維長は1〜15mmであることが好ましく、より好ましくは1.5〜12mm、特に好ましくは3〜6mmである。かかる繊維長が1mm未満である場合には、短繊維長扁平ガラス繊維束の作製時に毛羽が発生してかさ高くなり生産性が低下する傾向にある。一方、15mmを越す場合には、短繊維長扁平ガラス繊維束同士が絡み合ってかさ高くなり生産性が低下する傾向にある。なお、短繊維長扁平ガラス繊維束は、上述の方法により長繊維の扁平ガラス繊維束を作製した後、かかる繊維束を所定の長さに切断することにより製造することができる。
【0045】
(熱可塑性樹脂組成物)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述の扁平ガラス繊維束とポリオレフィン系熱可塑性樹脂とから構成されている。
本発明においてポリオレフィン系熱可塑性樹脂とは、オレフィン重合体またはオレフィンと共重合モノマーとの共重合体をいい、極性の低い熱可塑性樹脂である。例えば、プロピレンとエチレン等のビニルモノマーとの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。特に、プロピレンとビニルモノマーとの共重合体、ポリプロピレンが好ましい。
【0046】
極性の低いポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、一般に、ガラス繊維とのぬれ性が悪い。しかし、本発明の扁平ガラス繊維束は特定組成からなる集束剤で束ねられているため、極性の低いポリオレフィン系熱可塑性樹脂とのぬれ性に優れている。また、本発明で用いる特定組成からなる集束剤は、扁平ガラス繊維束を扁平ガラス繊維フィラメントにまで容易に解繊できる。したがって、扁平ガラス繊維フィラメントは、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂中に均一に分散される。また、本発明の扁平ガラス繊維束のフィラメントの横断面形状は扁平であるため、扁平ガラス繊維束とポリオレフィン系熱可塑性樹脂とを混合するとき、該熱可塑性樹脂中で解繊された扁平ガラス繊維フィラメントが円形断面のガラス繊維フィラメントよりも折れにくくなる。したがって、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂中に残存する扁平ガラス繊維フィラメントの繊維長の平均値は、円形断面のガラス繊維フィラメントよりも長い。すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂とのぬれ性に優れた扁平ガラス繊維フィラメントが、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂に均一に分散している。
【0047】
実際の製造の容易さを考慮すると、扁平ガラス繊維束は、長繊維長よりも短繊維長の扁平ガラス繊維束を用いる方が好ましい。扁平ガラス繊維束の含有量は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、5〜75重量部であることが好ましく、より好ましくは20〜40重量部である。5重量部未満である場合には、成形物に対し耐衝撃性を充分付与できないことがある。一方、75重量部を越す場合には、該熱可塑性樹脂中で扁平ガラス繊維束が均一に分散できないことがあり、成形物に耐衝撃性を充分付与できないことがある。
【0048】
なお、熱可塑性樹脂組成物は、充填剤等の添加成分を更に含有していてもよい。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の形状は任意であるが、成形機への導入が容易であることからペレットとすることが好ましい。
【0049】
(熱可塑性樹脂成形物)
本発明の熱可塑性樹脂成形物は、上述の熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。成形方法は、圧縮成形、射出成形または真空成形等の公知の成形方法を用いることができる。本発明の成形物は、例えば、ペレット化した上述の熱可塑性樹脂組成物を射出成形機のシリンダー内で加熱溶融した後、ノズルを通して金型に射出成形して得られる。なお、ペレット化した上述の熱可塑性樹脂組成物と他のポリオレフィン系熱可塑性樹脂とを混合した後、射出して成形物としてもよい。
【0050】
本発明者らは、このようにして得られた熱可塑性樹脂成形物(板状成形物)を詳細に分析したところ、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂中で扁平ガラス繊維フィラメントが、金型の注入口を中心として同心円状に分散していることを見出した。しかも、扁平ガラス繊維フィラメントの断面の長径方向は、成形物の表面と平行であった。すなわち、扁平ガラス繊維フィラメントは一定の方向に配向していると考えられる。また、成形物中に分散している扁平ガラス繊維フィラメントの繊維長は、円形断面のガラス繊維フィラメントより長い状態であった。これらのことから、熱可塑性樹脂成形物は高い耐衝撃性を有するものと、本発明者らは考えている。また、使用する熱可塑性樹脂はポリオレフィン系であることから、耐水性にも優れている。さらに、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を用いた複合材料であるので、リサイクル可能である。
【0051】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
〔集束剤の作製〕
(製造例)
酢酸を添加しpHを5に調製した水8kgに、アミノ基含有シランカップリング剤であるγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー社製、A1100)0.04kgを添加した。これに、ポリウレタン樹脂エマルジョン(大日本インキ化学工業社製:1930ALS、ポリウレタン樹脂濃度:40重量%)0.4kgと、(メタ)アクリル酸エステル樹脂エマルジョン(日本エスエヌシー社製:ヨドゾールAC31、(メタ)アクリル酸エステル樹脂濃度:40重量%)0.7kgとを添加し、室温で攪拌した。得られた溶液に、TEPA/SA(テトラエチレンペンタミンとステアリン酸とのモル比:前者/後者=1/2)0.01kgと、パラフィンワックス(吉村油化社製、スムーサーSW−45)0.06kgを添加した。最後に純水を添加して総重量10kgにして、集束剤を得た。
【0053】
〔扁平ガラス繊維束および短繊維長ガラス繊維束の作製〕
(実施例1)
上記製造例で得られた集束剤を、断面形状が略長円形で扁平率4の扁平ガラス繊維フィラメント400本からなる束(日東紡績株式会社製)に塗布し、125℃で乾燥して扁平ガラス繊維束を得た。なお、円形換算繊維径は、13μmであった。また、上記ガラス繊維フィラメント100重量部対して、集束剤の不揮発成分が0.77重量部付着するようにした。次に、得られた扁平ガラス繊維束を長さ3mmに切断し、短繊維長扁平ガラス繊維束(扁平ガラス繊維チョップドストランド)を作製した。
【0054】
(実施例2)
扁平ガラス繊維フィラメントの円形換算繊維径が17μm相当(短径7μm、長径28μm)とした以外は実施例1と同様にして、扁平ガラス繊維束を得た後、扁平ガラス繊維チョップドストランドを作製した。
【0055】
(実施例3)
扁平ガラス繊維フィラメントの断面形状が略まゆ形とした以外は実施例1と同様にして、扁平ガラス繊維束を得た後、扁平ガラス繊維チョップドストランドを作製した。
【0056】
〔ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物の作製〕
(実施例4)
実施例1〜3で得られた扁平ガラス繊維チョップドストランドを、それぞれポリプロピレン(グランドポリマー社製、グランドポリプロJ105)及び変性ポリプロピレン(三井石油化学社製、アトマーQE800)を99:1の混合比で混合して作成したペレットにガラス含有率33%となるように混合し、エクストルーダーによりペレット化してポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物を得た。この場合、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物100重量部中に、扁平ガラス繊維チョップドストランドはいずれも33重量部含まれていた。
【0057】
〔扁平ガラス繊維強化ポリオレフィン系熱可塑性樹脂成形物の作製〕
(実施例5)
実施例4で得られたペレットを射出成形機により扁平ガラス繊維強化ポリオレフィン系熱可塑性樹脂成形物を得た。
【0058】
(比較例1)
横断面形状が円形(扁平率1、繊維径13μm)であるガラス繊維フィラメントに製造例で得られた集束剤を塗布し、実施例1と同様にして、円形ガラス繊維束を得た。この円形ガラス繊維束を長さ3mmに切断し、円形ガラス繊維チョップドストランドを作製した。得られた円形ガラス繊維チョップドストランドとポリプロピレンとを混合し、実施例4と同様にしてペレット化したポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物を得た。得られたペレットを、実施例5と同様に射出成形しガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形物を得た。
【0059】
〔ガラス繊維強化ポリオレフィン系熱可塑性樹脂成形物の性能試験〕
(アイゾット衝撃試験−ノッチあり)
実施例5および比較例1で得られたガラス繊維強化ポリオレフィン系熱可塑性樹脂成形物を用いて試験片を作製した。試験片の大きさは、長さ64mm、厚さ6.4mm、幅12.7mmとし、試験片の長手方向の中間部に切欠き部を作製した。切欠き部の大きさは、1.0mmの先端半径、2.5mmの深さとした。作製した試験片を、ASTM D256に準拠して衝撃試験を行った。なお、ハンマ持ち上げ角は150°、ハンマ容量は20kg・cmであった。試験結果を表1に示した。
【0060】
(アイゾット衝撃試験−ノッチなし)
実施例5および比較例1で得られたガラス繊維強化ポリオレフィン系熱可塑性樹脂成形物を用いて試験片を作製した。試験片の大きさは、長さ64mm、厚さ6.4mm、幅12.7mmとし、試験片に切欠き部は設けなかった。作製した試験片を、ASTM D256に準拠して衝撃試験を行った。なお、ハンマ持ち上げ角は150°、ハンマ容量は80kg・cmであった。試験結果を表1に示す。
【表1】

Figure 0004062140
*1:kgf・cm/cm(単位)
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、集束剤によりガラス繊維フィラメントが束ねられた扁平ガラス繊維束であって、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と混合することによって得られるガラス繊維強化熱可塑性樹脂の耐衝撃性を向上させることができるガラス繊維束を提供される。また、該ガラス繊維束を含む熱可塑性樹脂組成物およびこれを成形してなる熱可塑性樹脂成形物を提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】扁平ガラス繊維フィラメントの扁平率を説明するための図である。
【符号の説明】
S…扁平ガラス繊維フィラメントの横断面、R…扁平ガラス繊維フィラメントに外接する長方形、Ra…長方形の長辺、Rb…長方形の短辺。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a flat glass fiber bundle, a thermoplastic resin composition, and a thermoplastic resin molded product.
[0002]
[Prior art]
A thermoplastic resin alone is often insufficient in properties such as mechanical strength and impact resistance. For this reason, when using for a structural member, it is common to add glass fibers, such as a glass fiber chopped strand, and to use as a glass fiber reinforced thermoplastic resin (GFRTP) (for example, refer patent document 1). ).
[Patent Document 1]
JP 2001-19496 A (page 16, Table 3)
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, conventional GFRTP often has insufficient impact resistance. This is particularly noticeable when a polyolefin-based thermoplastic resin such as polypropylene is used as the thermoplastic resin to which glass fibers are added.
[0004]
Accordingly, an object of the present invention is a glass fiber bundle in which glass fiber filaments are bundled with a sizing agent, and glass fiber that can improve the impact resistance of GFRTP obtained by mixing with a polyolefin-based thermoplastic resin. To provide a bundle. Another object of the present invention is to provide a thermoplastic resin composition containing the glass fiber bundle and a thermoplastic resin molded product formed by molding the thermoplastic resin composition.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above-mentioned invention, the present invention is a flat glass fiber bundle in which a plurality of flat glass fiber filaments are bundled with a non-volatile component of a sizing agent, wherein the non-volatile component of the sizing agent comprises a polyurethane resin and (meta) Provided is a flat glass fiber bundle comprising an acrylic ester resin, a condensate of tetraethylenepentamine and stearic acid, paraffin wax, and an amino group-containing silane coupling agent.
[0006]
The flat glass fiber bundle of the present invention has the above composition as the nonvolatile component of the sizing agent that constitutes the bundle, so that the flat glass fiber bundle is easily defibrated into flat glass fiber filaments in the polyolefin-based thermoplastic resin. Moreover, since the flat glass fiber bundle of this invention is excellent in the wettability with respect to polyolefin-type thermoplastic resin, a glass fiber filament can be uniformly disperse | distributed in this thermoplastic resin. Here, the non-volatile component refers to a component that does not volatilize by heating at 125 ° C.
[0007]
In this case, the weight of the non-volatile component of the sizing agent constituting the flat glass fiber bundle of the present invention is preferably 0.1 to 2 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the total weight of the flat glass fiber filament.
[0008]
By setting the weight of the nonvolatile component of the sizing agent in such a range, the flat glass fiber filaments are bonded with an appropriate force. For this reason, when a flat glass fiber bundle and a polyolefin-based thermoplastic resin are mixed, the flat glass fiber bundle is easily defibrated into flat glass fiber filaments in the thermoplastic resin. When the weight of the non-volatile component of the sizing agent is 0.1 parts by weight or less, fluffing is likely to occur at this time because the glass strand once wound is cut while being drawn during spinning. Productivity tends to decline. On the other hand, when the amount exceeds 2 parts by weight, the binding force of the flat glass fiber filament becomes too large, and it becomes difficult to open the flat glass fiber filament even if the flat glass fiber bundle and the thermoplastic resin are mixed. There is a case. Therefore, flat glass fiber filaments can be uniformly dispersed in the thermoplastic resin.
[0009]
Moreover, it is preferable that the fiber length of a flat glass fiber filament is 1-15 mm. By setting the fiber length of the flat glass fiber filament in such a range, mixing with the polyolefin-based thermoplastic resin is facilitated, and the flat glass fiber filament can be uniformly dispersed in the thermoplastic resin.
[0010]
The thermoplastic resin composition of the present invention comprises the above flat glass fiber bundle and a polyolefin-based thermoplastic resin.
[0011]
Since the non-volatile component of the sizing agent having the above specific composition is adhered to the flat glass fiber bundle of the present invention, the glass fiber filaments can be uniformly dispersed in the polyolefin-based thermoplastic resin. In addition, since the cross-sectional shape of the glass fiber filament is flat, the glass fiber filament is less likely to be broken when mixed with the polyolefin-based thermoplastic resin, compared to when the cross-section is circular, and the glass fiber filament is longer. Can be dispersed in the polyolefin-based thermoplastic resin. Therefore, the reinforcement of the polyolefin-based thermoplastic resin by the glass fiber filament becomes more reliable, and the uniformity of the reinforced resin is also improved.
[0012]
In this case, the content of the flat glass fiber bundle is preferably 5 to 75 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the thermoplastic resin composition. By making content of a flat glass fiber bundle into such a range, the impact resistance of the flat glass fiber reinforced thermoplastic resin molding obtained by shape | molding a thermoplastic resin can further be improved. In general, in a glass fiber reinforced thermoplastic resin molded product reinforced with a glass fiber bundle composed of glass fiber filaments having a circular cross section, the glass fiber bundle content is 30 to 50 parts by weight, and has a maximum impact resistance. Even if a glass fiber bundle is further contained, the impact resistance is lowered. However, in the thermoplastic resin molded product of the present invention, the impact resistance is improved up to a content of 75% by weight of the glass fiber bundle. Therefore, when the glass fiber bundle content is high, the effect on impact resistance is particularly great.
[0013]
The thermoplastic resin molded article of the present invention is formed by molding the thermoplastic resin composition. The thermoplastic resin molded article of the present invention exhibits high impact resistance. Such high impact properties are (1) using a sizing agent having a specific composition excellent in wettability to polyolefin-based thermoplastic resins, (2) using flat glass fiber filaments as glass fiber filaments, (3) As a result of (1) and (2), it is assumed that the flat glass fiber filaments are uniformly dispersed in the polyolefin-based thermoplastic resin while maintaining a long fiber length.
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the sizing agent and the flat glass fiber filament constituting the flat glass fiber bundle of the present invention will be described in detail. First, each component of the sizing agent constituting the flat glass fiber bundle of the present invention will be described. Each component of the sizing agent can be broadly classified into a film forming agent, a lubricant, or a surface treatment agent because of the effects exerted by them.
[0015]
(Polyurethane resin)
The polyurethane resin acts as a film forming agent in the sizing agent. The polyurethane resin applicable to the present invention is a resin having a urethane bond capable of forming a film on flat glass fiber filaments at the drying temperature (room temperature to 150 ° C.) of the sizing agent. Such a polyurethane resin preferably has a minimum film-forming temperature of 130 ° C. or lower (more preferably 80 ° C. or lower, more preferably 50 ° C. or lower, particularly preferably 20 ° C. or lower).
[0016]
Such a polyurethane resin reacts a polyol such as polyester polyol, polyether polyol, polycarbonate polyol or olefin polyol with a polyisocyanate such as aromatic polyisocyanate, aliphatic polyisocyanate or alicyclic polyisocyanate in any equivalent ratio. Can be obtained. The terminal of the polyurethane resin may be an isocyanate group or a hydroxyl group. Moreover, these terminal groups may be blocked by a known method. On the other hand, the main chain of the polyurethane resin may be modified by a known method.
[0017]
((Meth) acrylic ester resin)
The (meth) acrylic ester resin also acts as a film forming agent in the sizing agent. Here, (meth) acrylic ester resin means acrylic ester resin and / or methacrylic ester resin corresponding to this.
The (meth) acrylic ester resin applicable to the present invention is a resin having an acrylic group and / or a methacrylic group that can form a film on a flat glass fiber filament at the drying temperature (room temperature to 150 ° C.) of the sizing agent. is there. The (meth) acrylic ester resin is preferably a polymer of (meth) acrylic ester or a copolymer of (meth) acrylic ester and a monomer copolymerizable therewith, and the minimum film-forming temperature is 130 ° C. or lower. (More preferably 80 ° C. or less, further preferably 50 ° C. or less, particularly preferably 20 ° C. or less).
[0018]
As (meth) acrylic acid ester, alkyl (meth) acrylate, cycloalkyl (meth) acrylate, aromatic (meth) acrylate, alkylene glycol di (meth) acrylate, propylene glycol (meth) acrylate or propylene glycol di (meth) Acrylate is mentioned. Examples of monomers copolymerizable with (meth) acrylic acid esters include vinyl monomers such as (meth) acrylic acid, styrene, and vinyl acetate. In addition, (meth) acrylic acid ester may be used independently, or (meth) acrylic acid ester and a copolymerization monomer may be used in appropriate combination from the above.
[0019]
As described above, both the polyurethane resin and the (meth) acrylic ester resin act as a film forming agent when coated on the surface of the flat glass fiber filament. The film forming agent exists between a plurality of flat glass fiber filaments and functions as a binder for bundling the flat glass fiber filaments.
[0020]
The polyurethane resin and (meth) acrylic acid ester resin used in the present invention exhibit solubility and / or swelling in water contained in the sizing agent (hereinafter referred to as “water-soluble polyurethane resin”, “water-soluble ( (Meth) acrylic acid ester resin ”) which is not soluble or swellable in water and is dispersed or emulsified in water (hereinafter referred to as“ water dispersible polyurethane resin ”,“ water dispersible ”). (Meth) acrylic ester resin ”). In the present invention, a water-dispersible polyurethane resin and a water-dispersible (meth) acrylic acid ester resin are preferred because the viscosity can be lowered even with the same solid content. The water-dispersible polyurethane resin and the water-dispersible (meth) acrylic ester resin are preferably provided in the form of an emulsion or a dispersion.
[0021]
(Condensate of tetraethylenepentamine and stearic acid)
The condensate of tetraethylenepentamine and stearic acid acts as a lubricant in the sizing agent. The condensate of tetraethylenepentamine and stearic acid applicable to the present invention is an adjusted product obtained by adding acetic acid to this condensate to adjust the pH to 4.5 to 5.5 (hereinafter, solid content in the adjusted product is "TEPA / SA".) The molar ratio of tetraethylenepentamine and stearic acid in TEPA / SA is preferably the former / the latter = 1/1 to 1/2.
[0022]
(Paraffin wax)
Paraffin wax also acts as a lubricant in the sizing agent. The paraffin wax applicable to the present invention is a white translucent waxy crystalline solid having 20 to 48 carbon atoms. For example, the paraffin wax is appropriately selected from eight kinds of 120 to 155 paraffins defined in JIS K 2235. can do.
[0023]
As described above, both TEPA / SA and paraffin wax act as lubricants. By using such a lubricant, the flat glass fiber filament is protected from mechanical friction.
[0024]
The flat glass fiber bundle of the present invention can be mixed with a polyolefin thermoplastic resin having low polarity. Generally, a lubricant is necessary for preventing yarn breakage and fluffing in the process of spinning glass fibers, but tends to deteriorate the wettability between the resin and the glass fibers. In particular, when the resin to be mixed is a low-polarity thermoplastic resin such as polypropylene, this tendency becomes remarkable. For this reason, conventionally, the adhesiveness between thermoplastic resins such as polypropylene and glass fibers has been remarkably deteriorated. As a result, the impact resistance of the glass fiber reinforced thermoplastic resin was insufficient. However, since the lubricant of the present invention combines TEPA / SA and paraffin wax, the wettability is not deteriorated. For this reason, the adhesiveness between the low-polarity polyolefin-based thermoplastic resin such as polypropylene and the flat glass fiber is not significantly deteriorated. Therefore, the impact resistance of the molded product can be improved.
[0025]
(Amino group-containing silane coupling agent)
The amino group-containing silane coupling agent acts as a surface treatment agent in the sizing agent. Amino group-containing silane coupling agents applicable to the present invention are γ-aminopropyltriethoxysilane, N-β (aminoethyl) -γ-aminopropyltrimethoxysilane, N-β- (N-vinylbenzylaminoethyl). ) -Γ-aminopropyltrimethoxysilane and the like. These can be appropriately selected and used.
[0026]
The silane coupling agent has a hydrolyzable group having reactivity with glass fibers and an organic group having affinity with a thermoplastic resin. For this reason, the interfacial adhesiveness between the flat glass fiber bundle and the polyolefin-based thermoplastic resin can be improved.
[0027]
(Content ratio)
Each content ratio of the film forming agent (polyurethane resin and (meth) acrylate resin), lubricant (TEPA / SA and paraffin wax) and surface treatment agent (amino group-containing silane coupling agent) in the sizing agent It is preferably 1 to 10% by weight, 0.01 to 1% by weight and 0.1 to 2% by weight, respectively, based on the total weight of the agent, and in this case, the balance is preferably water.
[0028]
When the content ratio of the film forming agent is less than the above lower limit, the strength for converging flat glass fiber filaments tends to be insufficient. On the other hand, when the above upper limit is exceeded, gas may be generated when the thermoplastic resin composition containing the flat glass fiber bundle is molded. Moreover, when the content ratio of the lubricant is less than the above lower limit, the flat glass fiber filaments tend not to be sufficiently protected from mechanical friction or the like. On the other hand, when the above upper limit is exceeded, the wettability between the flat glass fiber bundle and the thermoplastic resin tends to deteriorate, and the strength of the molded product may decrease. Moreover, it may be colored when the glass fiber bundle is dried. When the content ratio of the surface treatment agent is less than the above lower limit value, the interfacial adhesiveness between the flat glass fiber bundle and the polyolefin-based thermoplastic resin may be insufficient. On the other hand, when the above upper limit is exceeded, the strength of the molded product may decrease.
[0029]
In addition, as for the compounding quantity of (meth) acrylic acid ester resin with respect to 100 weight part of polyurethane resins, 50-300 weight part is preferable. Further, the blending amount of the paraffin wax with respect to 100 parts by weight of TEPA / SA is preferably 400 to 700 parts by weight. By setting it as such a compounding quantity, the non-volatile component of a sizing agent couple | bonds with a flat glass fiber filament with moderate force. Moreover, the wettability with respect to the polyolefin-type thermoplastic resin of a flat glass fiber bundle improves. For this reason, the flat glass fiber filament is defibrated from the flat glass fiber bundle and is uniformly dispersed in the polyolefin-based thermoplastic resin. Therefore, the improvement in impact resistance of the polyolefin-based thermoplastic resin by the flat glass fiber filament is further ensured.
[0030]
(Optional additive)
The sizing agent of the present invention may further contain additional components such as a pH adjusting agent, an antistatic agent and an emulsifier in addition to the essential components described above. Moreover, alcohol, such as methanol, ethanol, isopropyl alcohol, and other organic solvents may be contained in a small amount.
[0031]
As the pH adjuster, a weak acid such as acetic acid is preferable, and it is preferable to adjust the pH of the sizing agent to 3.0 to 5.0 by adding the pH adjuster. By such pH adjustment, hydrolysis of the amino group-containing silane coupling agent can be promoted.
[0032]
Examples of the antistatic agent include polyoxyethylene alkylene amine, alkyl sulfonate, and quaternary ammonium chloride. By adding an antistatic agent to the sizing agent, static electricity generated in the flat glass fiber filament can be reduced. The content ratio of the antistatic agent is preferably 1 to 3% by weight based on the total weight of the non-volatile components of the sizing agent.
[0033]
Emulsifiers include anionic surfactants such as sodium dodecylbenzene sulfonate, cationic surfactants such as aliphatic quaternary ammonium salts, amphoteric surfactants such as carboxybetaine, and nonions such as polyoxyethylene polyalkyl ether. Can be used. The content ratio of the emulsifier is preferably 0.5 to 2% by weight based on the total weight of the nonvolatile components of the sizing agent.
[0034]
(Manufacture of sizing agent)
The sizing agent applied to the present invention can be produced as follows. First, an aqueous emulsion or dispersion or aqueous solution of a polyurethane resin and a (meth) acrylic ester resin acting as a film forming agent is prepared. To this are added TEPA / SA and paraffin wax acting as a lubricant, and an amino group-containing silane coupling agent acting as a surface treatment agent. In addition, it is preferable to add the said additional component, an organic solvent, etc. as needed. The amino group-containing silane coupling agent may be supplied as an alcohol solution. In that case, it can be added without removing the alcohol component.
[0035]
(Flat glass fiber filament)
Next, the flat glass fiber filament which comprises the flat glass fiber bundle of this invention is demonstrated. In the present invention, the flat glass fiber filament refers to a glass fiber filament whose cross-sectional shape is a substantially circular shape, a substantially oval shape, a substantially eyebrow shape, etc., and a flatness ratio of 1.5 to 8. Here, the flatness is a value defined below. That is, as shown in FIG. 1, a rectangle R having a minimum area circumscribing a cross section S perpendicular to the longitudinal direction of the flat glass fiber filament is assumed. The length A (corresponding to the longest dimension of the fiber cross section) of the long side Ra of the rectangle R is defined as the long diameter of the flat glass fiber filament. On the other hand, the length B of the short side Rb of the rectangle R is the short diameter of the flat glass fiber filament. The flatness is the ratio of the length of the long side to the length of the short side, that is, the value of A / B.
[0036]
When the flatness is less than 1.5, there is no significant difference in shape from the glass fiber filament having a circular cross section, and therefore, when mixing the polyolefin-based thermoplastic resin and the flat glass fiber bundle, there is an effect of improving dispersibility. The surface area that remains small in the resin is not different from that of glass fiber filaments having a circular cross section. For this reason, the impact resistance of the molded product may not be improved so much. On the other hand, when the flatness ratio exceeds 8, the bulk density in the thermoplastic resin becomes high, and thus flat glass fiber filaments may not be uniformly dispersed. For this reason, the impact resistance of the molded product may not be improved so much. In addition, as for the flatness rate of a flat glass fiber filament, 2-4 are preferable. The fiber diameter of the flat glass fiber filament is obtained by obtaining the cross-sectional area of the flat glass fiber filament based on an electron micrograph, and the fiber diameter of the circular cross-section glass fiber filament having the same cross-sectional area as the calculated cross-sectional area (circular conversion fiber diameter) This value is preferably 4 to 18 μm.
[0037]
The shape of the cross section orthogonal to the longitudinal direction of the flat glass fiber filament is preferably an oval shape or a wrinkle shape. A flat glass fiber filament having such a cross-sectional shape can be produced, for example, by spinning molten glass from a platinum nozzle (bushing) having a predetermined irregular shape and then cooling.
[0038]
Examples of the glass composition of the flat glass fiber filament include E glass, S glass, and C glass.
[0039]
(Flat glass fiber bundle)
The flat glass fiber bundle of the present invention is obtained by bundling a plurality of flat glass fiber filaments by the nonvolatile component of the sizing agent. That is, the flat glass fiber bundle is composed of a plurality of flat glass fiber filaments and a non-volatile component of the sizing agent. The non-volatile component exists between the plurality of flat glass fiber filaments as described above, and functions as an adhesive (binder) that bundles the flat glass fiber filaments. In this case, it is preferable that the non-volatile component also has a function of covering the outer periphery of the flat glass fiber filament as a continuous or discontinuous film and protecting the flat glass fiber filament.
[0040]
The non-volatile component only needs to have a strength sufficient to keep the flat glass fiber filaments in a bundle when the flat glass fiber bundle is used, and does not need to be uniformly distributed in the flat glass fiber bundle. . That is, from the viewpoint of the adhesiveness between the flat glass fiber filaments, it is preferable that the nonvolatile component is distributed at a substantially uniform concentration from the outer edge portion to the central portion of the flat glass fiber bundle. For example, even if the density of the outer edge is high and the density of the center is low, there is no practical problem because the flat glass fiber filament can be held. Therefore, a flat glass fiber bundle having such a configuration is also applicable to the present invention.
[0041]
The weight of the nonvolatile component of the sizing agent is preferably 0.1 to 2 parts by weight, more preferably 0.2 to 0.2 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the total weight of the flat glass fiber filaments constituting the flat glass fiber bundle. 1 part by weight. When the weight of the non-volatile component of the sizing agent is less than 0.1 parts by weight, when producing a glass chopped strand, fluff is likely to occur in the step of cutting while drawing the glass strand wound during spinning, Productivity tends to decline. On the other hand, when the amount exceeds 2 parts by weight, the flat glass fiber bundle is bonded with an unnecessarily large force, and as a result, the defibration from the flat glass fiber bundle to the flat glass fiber filament in the thermoplastic resin may deteriorate. is there. For this reason, flat glass fiber filaments cannot be uniformly dispersed in the thermoplastic resin, and the strength of the molded product may not be improved. When water or the like is contained as a volatile component, the weight of water is preferably 98 parts by weight or more. In addition, a volatile component means the component which volatilizes by heating at 125 degreeC.
[0042]
A flat glass fiber bundle can be manufactured as follows. First, a sizing agent is applied to a flat glass fiber filament using a roller type applicator, a belt type applicator, or the like, and this is bundled with a sizing machine. Next, the bundled flat glass fiber filaments are dried at room temperature to 150 ° C. to remove volatile components such as water. In this case, you may twist as needed before drying. In addition, as an aspect of the flat glass fiber bundle of this invention, a flat glass fiber yarn and a flat glass fiber roving are mentioned.
[0043]
The flat glass fiber bundle obtained by such a method is a long fiber. In the present invention, a flat glass fiber bundle (hereinafter referred to as “short fiber length flat glass fiber bundle”) in which the fiber length of the flat glass fiber filament is several to several tens of mm can also be used. By using the flat glass fiber bundle having such a fiber length, the dispersibility of the flat glass fiber bundle in the polyolefin-based thermoplastic resin is improved. As a result, the impact resistance of the molded product can be improved.
[0044]
The fiber length of the short fiber length flat glass fiber bundle is preferably 1 to 15 mm, more preferably 1.5 to 12 mm, and particularly preferably 3 to 6 mm. When the fiber length is less than 1 mm, fluff is generated during the production of a short fiber length flat glass fiber bundle, resulting in a tendency to become bulky and reduce productivity. On the other hand, when it exceeds 15 mm, the short fiber length flat glass fiber bundles are entangled with each other and become bulky, and the productivity tends to decrease. In addition, a short fiber length flat glass fiber bundle can be manufactured by producing a flat glass fiber bundle of long fibers by the above-described method and then cutting the fiber bundle into a predetermined length.
[0045]
(Thermoplastic resin composition)
The thermoplastic resin composition of the present invention is composed of the above-described flat glass fiber bundle and a polyolefin-based thermoplastic resin.
In the present invention, the polyolefin-based thermoplastic resin refers to an olefin polymer or a copolymer of an olefin and a copolymerization monomer, and is a thermoplastic resin having a low polarity. Examples thereof include a copolymer of propylene and a vinyl monomer such as ethylene, polyethylene, and polypropylene. In particular, a copolymer of propylene and a vinyl monomer and polypropylene are preferable.
[0046]
Polyolefin thermoplastic resins with low polarity generally have poor wettability with glass fibers. However, since the flat glass fiber bundle of the present invention is bundled with a sizing agent having a specific composition, it has excellent wettability with a polyolefin-based thermoplastic resin having low polarity. Moreover, the sizing agent having a specific composition used in the present invention can easily defibrate flat glass fiber bundles into flat glass fiber filaments. Accordingly, the flat glass fiber filament is uniformly dispersed in the polyolefin-based thermoplastic resin. Further, since the cross-sectional shape of the filament of the flat glass fiber bundle of the present invention is flat, when the flat glass fiber bundle and the polyolefin-based thermoplastic resin are mixed, the flat glass fiber defibrated in the thermoplastic resin The filament is less likely to break than a glass fiber filament having a circular cross section. Therefore, the average value of the fiber length of the flat glass fiber filament remaining in the polyolefin-based thermoplastic resin is longer than that of the glass fiber filament having a circular cross section. That is, in the thermoplastic resin composition of the present invention, flat glass fiber filaments excellent in wettability with a polyolefin-based thermoplastic resin are uniformly dispersed in the polyolefin-based thermoplastic resin.
[0047]
Considering the ease of actual production, it is preferable to use a flat glass fiber bundle having a short fiber length rather than a long fiber length. The content of the flat glass fiber bundle is preferably 5 to 75 parts by weight, more preferably 20 to 40 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the polyolefin-based thermoplastic resin composition. When the amount is less than 5 parts by weight, impact resistance may not be sufficiently imparted to the molded product. On the other hand, when it exceeds 75 parts by weight, the flat glass fiber bundle may not be uniformly dispersed in the thermoplastic resin, and sufficient impact resistance may not be imparted to the molded product.
[0048]
The thermoplastic resin composition may further contain an additive component such as a filler. Moreover, although the shape of the thermoplastic resin composition of this invention is arbitrary, since it is easy to introduce | transduce into a molding machine, it is preferable to use a pellet.
[0049]
(Thermoplastic resin molding)
The thermoplastic resin molded article of the present invention is formed by molding the above-described thermoplastic resin composition. As the molding method, a known molding method such as compression molding, injection molding or vacuum molding can be used. The molded product of the present invention can be obtained by, for example, heating and melting the above-mentioned pelletized thermoplastic resin composition in a cylinder of an injection molding machine, and then injection-molding it into a mold through a nozzle. The above-mentioned pelletized thermoplastic resin composition and other polyolefin-based thermoplastic resin may be mixed and then injected to form a molded product.
[0050]
The present inventors have analyzed the thermoplastic resin molded product (plate-shaped molded product) obtained in this manner in detail. As a result, the flat glass fiber filaments in the polyolefin-based thermoplastic resin serve as the mold inlet. It was found to be distributed concentrically as the center. Moreover, the major axis direction of the cross section of the flat glass fiber filament was parallel to the surface of the molded product. That is, it is considered that the flat glass fiber filaments are oriented in a certain direction. Further, the fiber length of the flat glass fiber filaments dispersed in the molded product was longer than that of the glass fiber filaments having a circular cross section. From these facts, the present inventors consider that the thermoplastic resin molded product has high impact resistance. Moreover, since the thermoplastic resin to be used is a polyolefin type, it is excellent also in water resistance. Furthermore, since it is a composite material using a polyolefin-based thermoplastic resin, it can be recycled.
[0051]
【Example】
Hereinafter, preferred examples of the present invention will be described in more detail, but the present invention is not limited to these examples.
[0052]
[Production of sizing agent]
(Production example)
0.08 kg of γ-aminopropyltriethoxysilane (manufactured by Nihon Unicar Co., Ltd., A1100) as an amino group-containing silane coupling agent was added to 8 kg of water adjusted to pH 5 by adding acetic acid. To this, 0.4 kg of polyurethane resin emulsion (Dainippon Ink & Chemicals, Inc .: 1930ALS, polyurethane resin concentration: 40% by weight) and (meth) acrylic acid ester resin emulsion (manufactured by Japan SN: Yodosol AC31, (Meta)) Acrylic ester resin concentration: 40 wt%) 0.7 kg was added and stirred at room temperature. To the obtained solution, TEPA / SA (molar ratio of tetraethylenepentamine and stearic acid: former / latter = 1/2) 0.01 kg and paraffin wax (Yoshimura Yuka Co., Ltd., Smoother SW-45) 0 0.06 kg was added. Finally, pure water was added to give a total weight of 10 kg to obtain a sizing agent.
[0053]
[Production of flat glass fiber bundle and short glass fiber bundle]
Example 1
The sizing agent obtained in the above production example was applied to a bundle (manufactured by Nitto Boseki Co., Ltd.) consisting of 400 flat glass fiber filaments having a substantially oval cross-sectional shape and a flatness ratio of 4, and dried at 125 ° C. to flat glass. A fiber bundle was obtained. The circular equivalent fiber diameter was 13 μm. Further, 0.77 parts by weight of the nonvolatile component of the sizing agent was attached to 100 parts by weight of the glass fiber filament. Next, the obtained flat glass fiber bundle was cut into a length of 3 mm to produce a short fiber length flat glass fiber bundle (flat glass fiber chopped strand).
[0054]
(Example 2)
A flat glass fiber chopped strand was prepared after obtaining a flat glass fiber bundle in the same manner as in Example 1 except that the flat converted fiber diameter of the flat glass fiber filament was 17 μm (short diameter 7 μm, long diameter 28 μm).
[0055]
(Example 3)
A flat glass fiber chopped strand was prepared after obtaining a flat glass fiber bundle in the same manner as in Example 1 except that the cross-sectional shape of the flat glass fiber filament was approximately an eyebrow.
[0056]
[Preparation of polyolefin-based thermoplastic resin composition]
Example 4
The flat glass fiber chopped strands obtained in Examples 1 to 3 were mixed with polypropylene (Grand Polymer Co., Grand Polypro J105) and modified polypropylene (Mitsui Petrochemical Co., Ltd., Atmer QE800) at a mixing ratio of 99: 1. The pellets thus prepared were mixed so as to have a glass content of 33%, and pelletized with an extruder to obtain a polyolefin-based thermoplastic resin composition. In this case, 33 parts by weight of flat glass fiber chopped strands were all contained in 100 parts by weight of the polyolefin-based thermoplastic resin composition.
[0057]
[Production of flat glass fiber reinforced polyolefin-based thermoplastic resin molding]
(Example 5)
A flat glass fiber reinforced polyolefin-based thermoplastic resin molding was obtained from the pellets obtained in Example 4 using an injection molding machine.
[0058]
(Comparative Example 1)
The sizing agent obtained in the production example was applied to glass fiber filaments having a circular cross-sectional shape (flatness 1, fiber diameter 13 μm), and a circular glass fiber bundle was obtained in the same manner as in Example 1. This circular glass fiber bundle was cut into a length of 3 mm to produce a circular glass fiber chopped strand. The obtained circular glass fiber chopped strand and polypropylene were mixed to obtain a polyolefin-based thermoplastic resin composition pelletized in the same manner as in Example 4. The obtained pellets were injection molded in the same manner as in Example 5 to obtain a glass fiber reinforced thermoplastic resin molded product.
[0059]
[Performance test of glass fiber reinforced polyolefin thermoplastic moldings]
(Izod impact test-with notch)
Test pieces were prepared using the glass fiber reinforced polyolefin-based thermoplastic resin moldings obtained in Example 5 and Comparative Example 1. The test piece had a length of 64 mm, a thickness of 6.4 mm, and a width of 12.7 mm, and a notch was produced in the middle of the test piece in the longitudinal direction. The size of the notch was 1.0 mm tip radius and 2.5 mm depth. The produced test piece was subjected to an impact test in accordance with ASTM D256. The hammer lifting angle was 150 °, and the hammer capacity was 20 kg · cm. The test results are shown in Table 1.
[0060]
(Izod impact test-no notch)
Test pieces were prepared using the glass fiber reinforced polyolefin-based thermoplastic resin moldings obtained in Example 5 and Comparative Example 1. The test piece had a length of 64 mm, a thickness of 6.4 mm, and a width of 12.7 mm, and the test piece was not provided with a notch. The produced test piece was subjected to an impact test in accordance with ASTM D256. The hammer lifting angle was 150 °, and the hammer capacity was 80 kg · cm. The test results are shown in Table 1.
[Table 1]
Figure 0004062140
* 1: kgf · cm / cm (unit)
[0061]
【The invention's effect】
According to the present invention, it is a flat glass fiber bundle in which glass fiber filaments are bundled by a sizing agent, and the impact resistance of a glass fiber reinforced thermoplastic resin obtained by mixing with a polyolefin-based thermoplastic resin is improved. A glass fiber bundle is provided. Also provided are a thermoplastic resin composition containing the glass fiber bundle and a thermoplastic resin molded product formed by molding the thermoplastic resin composition.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram for explaining the flatness of flat glass fiber filaments.
[Explanation of symbols]
S: Cross section of flat glass fiber filament, R: Rectangular circumscribing flat glass fiber filament, Ra: Long side of rectangle, Rb: Short side of rectangle.

Claims (6)

集束剤の不揮発成分により扁平ガラス繊維フィラメントが複数本束ねられた扁平ガラス繊維束であって、
前記不揮発成分は、ポリウレタン樹脂と、(メタ)アクリル酸エステル樹脂と、テトラエチレンペンタミンとステアリン酸との縮合物と、パラフィンワックスと、アミノ基含有シランカップリング剤と、を含むことを特徴とする扁平ガラス繊維束。
A flat glass fiber bundle in which a plurality of flat glass fiber filaments are bundled by a nonvolatile component of a sizing agent,
The nonvolatile component includes a polyurethane resin, a (meth) acrylic ester resin, a condensate of tetraethylenepentamine and stearic acid, paraffin wax, and an amino group-containing silane coupling agent. A flat glass fiber bundle.
前記不揮発成分の重量は、前記扁平ガラス繊維フィラメントの全重量100重量部に対して、0.1〜2重量部であることを特徴とする請求項1に記載の扁平ガラス繊維束。The flat glass fiber bundle according to claim 1, wherein the weight of the nonvolatile component is 0.1 to 2 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the total weight of the flat glass fiber filament. 前記扁平ガラス繊維フィラメントの繊維長は、1〜15mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の扁平ガラス繊維束。The flat glass fiber bundle according to claim 1 or 2, wherein a fiber length of the flat glass fiber filament is 1 to 15 mm. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の扁平ガラス繊維束と、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と、を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。A thermoplastic resin composition comprising the flat glass fiber bundle according to any one of claims 1 to 3 and a polyolefin-based thermoplastic resin. 前記扁平ガラス繊維束の含有量は、前記熱可塑性樹脂組成物の100重量部に対して、5〜75重量部であることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。The thermoplastic resin composition according to claim 4, wherein the content of the flat glass fiber bundle is 5 to 75 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the thermoplastic resin composition. 請求項4または5に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする熱可塑性樹脂成形物。A thermoplastic resin molded article obtained by molding the thermoplastic resin composition according to claim 4 or 5.
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