JP4061669B2 - 黒鉛化電気炉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、黒鉛化電気炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、カーボン粉末を不活性雰囲気下で約3100℃以上に加熱処理することによって、前記カーボン粉末を黒鉛化して工業的に人造の黒鉛粉末を製造することが行われている。
【0003】
この種の黒鉛粉末の製造には、アチソン炉等の黒鉛化電気炉が用いられており、直接通電によるジュール熱でカーボン粉末を加熱して黒鉛化するようにしているが、一般的に、既存の黒鉛化電気炉は、バッチ式で黒鉛粉末の製造を行うようにしたものであった為に生産性が悪く、連続的にカーボン粉末を加熱処理して黒鉛粉末を製造し得るような黒鉛化電気炉の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現時点で提案されている連続式の黒鉛化電気炉の殆どのものは、対にした黒鉛電極の相互間にカーボン粉末を充填し、該カーボン粉末を移動させながら両黒鉛電極間に通電してジュール熱により前記カーボン粉末を加熱すると共に、両黒鉛電極自体もジュール熱により発熱させて積極的にヒータとして利用しながら炉内を約3100℃以上に保持し、カーボン粉末を連続的に黒鉛化するという設計思想に立脚したものであった為、黒鉛電極が約3100℃以上もの高温に晒された際に昇華して損耗するという問題が避けられず、この黒鉛電極の損耗の問題は、連続式の黒鉛化電気炉の実用化に向けた大きな障害となっていた。
【0005】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、黒鉛電極を使用せずにカーボン粉末を良好に高温加熱して連続的に黒鉛粉末を製造し得るようにした実用性の高い黒鉛化電気炉を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水冷構造とした炉本体の胴部を円筒状に形成すると共に、該炉本体の上部中央にカーボン粉末投入口を設け且つ前記炉本体の下部中央に黒鉛粉末回収口を設けてカーボン粉末投入口と黒鉛粉末回収口とを上下方向に対向配置し、前記炉本体内におけるカーボン粉末投入口と黒鉛粉末回収口との間の適宜な中途位置を黒鉛化領域として該黒鉛化領域を挟んで前記炉本体の胴部の直径方向に対峙するよう該胴部の内側壁に複数組の電極を環状に配設し、各組の電極に対し順次タイミングをずらして通電し得るよう構成したことを特徴とする黒鉛化電気炉、に係るものである。
【0007】
従って、本発明では、カーボン粉末投入口から炉本体内にカーボン粉末を充填し、各組の電極に対し順次タイミングをずらして通電すると、各組の電極間を流れる電流は全て黒鉛化領域を通過して流れ、該黒鉛化領域における電流密度が外周囲より高められてジュール熱による発熱量が増加し、一方、水冷構造となっている炉本体付近では水冷より冷却が成されるので、炉本体内に充填されたカーボン粉末は、黒鉛化領域においてのみ局所的に高温加熱されて黒鉛化されることになり、カーボン粉末投入口から新たなカーボン粉末を投入しながら黒鉛化領域で黒鉛化した黒鉛粉末を黒鉛粉末回収口から回収するようにすれば、連続的に黒鉛粉末を製造することが可能となる。
【0008】
このとき、黒鉛化領域におけるカーボン粉末は、通電によるジュール熱で自ら発熱して黒鉛化し、しかも、その周囲のカーボン粉末は、カーボン粉末投入口から黒鉛粉末回収口へと向かうカーボン粉末又は黒鉛粉末の流れを取り囲んで炉本体内に留まり、内側から徐々に黒鉛化しつつ炉本体側に対する断熱材として機能するので、黒鉛粉末回収口から回収される黒鉛粉末に不純物が紛れ込む余地がなくなって純粋な黒鉛粉末のみを良好に回収することが可能となり、また、炉本体や電極に対する焼損が緩和されて該炉本体や電極の耐久性を向上することが可能となる。
【0010】
また、各組の電極に対し順次タイミングをずらして通電し得るよう構成するにあたっては、各組の電極を順次タイミングをずらして電源と接続する電流制御装置を備えることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1及び図2は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図中1は水冷構造とした炉本体を示し、該炉本体1の上部中央には、原料であるカーボン粉末2をスクリューコンベヤ3を介して投入し得るようにしたカーボン粉末投入口4が設けられ、前記炉本体1の下部中央には、前記カーボン粉末2を加熱処理することにより黒鉛化した黒鉛粉末5をスクリューコンベヤ6を介して回収し得るようにした黒鉛粉末回収口7が設けられており、斯かる炉本体1の内部は、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、若しくは真空として外気と遮断されてある。
【0013】
ここで、図示する例における炉本体1は、カーボン粉末投入口4と黒鉛粉末回収口7とを縦方向に結ぶ軸線Oを中心として、その胴部を円筒状に、また、その上部をカーボン粉末2の安息角に対応した円錐状に夫々形成してあり、その底部については、平坦な円盤状として形成してある。
【0014】
尚、炉本体1の水冷構造については、従来周知の水冷手段を講じれば良く、炉本体1の壁部分を水冷ジャケットとしたり、或いは、壁部分に多数の流路を形成する等して、これら水冷ジャケットや流路に冷水を循環供給し得るようにすれば良い。
【0015】
更に、本形態例においては、前記炉本体1内におけるカーボン粉末投入口4と黒鉛粉末回収口7との間の適宜な中途位置を黒鉛化領域8(図中におけるクロスハッチ部分)としており、該黒鉛化領域8と同じ高さ位置における炉本体1の胴部内側壁には、該胴部の直径方向に対峙する、即ち前記黒鉛化領域8を挟んで対峙するよう複数組の銅製等の導電性材料による電極9a,9bが環状に配設されており、各組の電極9a,9bに対し順次タイミングをずらして通電し得るよう電流制御装置10を介して電源11が接続されている。
【0016】
尚、炉本体1内における少くとも電極9a,9b周辺の所要範囲に亘って絶縁を施したり、或いは、炉本体1自体の材質を工業用硬質プラスチック等の絶縁材質としておくことは勿論であり、また、電源11は交流であっても直流であっても良い。
【0017】
而して、カーボン粉末投入口4から炉本体1内にカーボン粉末2を充填し、各組の電極9a,9bに対し電流制御装置10により順次タイミングをずらして電源11を接続して通電すると、特に図2に示す如く、各組の電極9a,9b間を流れる電流は全て黒鉛化領域8を通過して流れ、該黒鉛化領域8における電流密度が外周囲より高められてジュール熱による発熱量が増加し、一方、水冷構造となっている炉本体1付近では水冷より冷却が成されるので、炉本体1内に充填されたカーボン粉末2は、黒鉛化領域8においてのみ局所的に高温加熱されて黒鉛化されることになる。
【0018】
依って、カーボン粉末投入口4から新たなカーボン粉末2を投入しながら黒鉛化領域8で黒鉛化した黒鉛粉末5を黒鉛粉末回収口7から回収するようにすれば、連続的に黒鉛粉末5を製造することが可能となる。
【0019】
このとき、黒鉛化領域8におけるカーボン粉末2は、通電によるジュール熱で自ら発熱して黒鉛化し、しかも、その周囲のカーボン粉末2は、カーボン粉末投入口4から黒鉛粉末回収口7へと向かうカーボン粉末2又は黒鉛粉末5の流れを取り囲んで炉本体1内に留まり、内側から徐々に黒鉛化しつつ炉本体1側に対する断熱材として機能するので、黒鉛粉末回収口7から回収される黒鉛粉末5に不純物が紛れ込む余地がなくなって純粋な黒鉛粉末5のみを良好に回収することが可能となり、また、炉本体1や電極9a,9bに対する焼損が緩和されて該炉本体1や電極9a,9bの耐久性を向上することが可能となる。
【0020】
従って上記形態例によれば、通電による発熱量の大きな黒鉛電極を使用しなくても、通常の銅製等の電極9a,9bを使用してカーボン粉末2を良好に高温加熱することができるので、黒鉛電極の損耗の問題を考慮する必要がなくなり、しかも、炉本体1や電極9a,9bに対する焼損を緩和して該炉本体1や電極9a,9bの耐久性を向上することができるので、連続的にカーボン粉末2を加熱処理して黒鉛粉末5を製造し得る黒鉛化電気炉の実用化を図ることができる。
【0021】
また、黒鉛粉末回収口7から回収される黒鉛粉末5に不純物が紛れ込む余地をなくして純粋な黒鉛粉末5のみを良好に回収することができるので、製造される黒鉛粉末5の品質を大幅に向上することができる。
【0022】
尚、本発明の黒鉛化電気炉は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0023】
【発明の効果】
上記した本発明の黒鉛化電気炉によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0024】
(I)通電による発熱量の大きな黒鉛電極を使用しなくても、通常の銅製等の電極を使用してカーボン粉末を良好に高温加熱することができるので、黒鉛電極の損耗の問題を考慮する必要がなくなり、しかも、炉本体や電極に対する焼損を緩和して該炉本体や電極の耐久性を向上することができるので、連続的にカーボン粉末を加熱処理して黒鉛粉末を製造し得る黒鉛化電気炉の実用化を図ることができる。
【0025】
(II)黒鉛粉末回収口から回収される黒鉛粉末に不純物が紛れ込む余地をなくして純粋な黒鉛粉末のみを良好に回収することができるので、製造される黒鉛粉末の品質を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す断面図である。
【図2】図1のII−II方向の矢視図である。
【符号の説明】
1 炉本体
4 カーボン粉末投入口
7 黒鉛粉末回収口
8 黒鉛化領域
9a 電極
9b 電極
10 電流制御装置
11 電源

Claims (2)

  1. 水冷構造とした炉本体の胴部を円筒状に形成すると共に、該炉本体の上部中央にカーボン粉末投入口を設け且つ前記炉本体の下部中央に黒鉛粉末回収口を設けてカーボン粉末投入口と黒鉛粉末回収口とを上下方向に対向配置し、前記炉本体内におけるカーボン粉末投入口と黒鉛粉末回収口との間の適宜な中途位置を黒鉛化領域として該黒鉛化領域を挟んで前記炉本体の胴部の直径方向に対峙するよう該胴部の内側壁に複数組の電極を環状に配設し、各組の電極に対し順次タイミングをずらして通電し得るよう構成したことを特徴とする黒鉛化電気炉。
  2. 各組の電極を順次タイミングをずらして電源と接続する電流制御装置を備えたことを特徴とする請求項に記載の黒鉛化電気炉。
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