JP4060525B2 - 帯電防止性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電防止性能を有し、しかも着色可能で安価なフッ化ビニリデン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂の一つであるフッ素系樹脂は、非粘着性、非汚染性、耐薬品性、耐熱性等の特異な性質及び優れた絶縁性(1014〜1018Ω・cmのオーダーの体積低効率)を有しており、従来から電子機器等の部材として使用されている。しかしながら、近年OA機器等の部材として、特に帯電防止領域の絶縁性 を有する材料の必要性が高まっている。
【0003】
ゴムあるいはプラスチック成形品の帯電を防止するために、これらの成形品の電気抵抗を下げ、摩擦等によって生じた静電気を外部に逃がす方法が一般的に用いられている。
ゴムあるいはプラスチック成形品の電気抵抗を下げる方法としては、ゴムあるいはプラスチックに下記に示す導電性物質を添加する方法が良く知られている。
(1)導電性の高い銀・銅・ステンレス・ニッケル等の金属の粉末や繊維を添加する方法。
(2)カーボンブラックやカーボン繊維を添加する方法。
(3)導電性酸化チタン・導電性酸化スズ・導電性亜鉛華等の導電性を付与した金属酸化物を添加する方法。
(4)いわゆる帯電防止剤と呼ばれる界面活性剤やこれに類するものを添加する方法。
【0004】
しかし、(1)の方法は、成形品を自由に着色できず、メタリック色の着色にに制限される。又、金属粉を使用する場合には、成形品に導電性を付与するには多量に充填しなければならず、比重が大きくなる。一方、繊維状として使用する場合には、成形品の強度や電気特性に方向性が生じやすく、又、フィルムに成形する場合には表面平滑性が得られない等の問題がある。
更に、この方法では成形物の体積抵抗率は一般に104Ω・cm以下となり、帯電防止に必要な体積低効率の範囲を大きく下回り、低圧電気による感電の危険性がある。又、プラスチックとしてフッ素樹脂を用いると、成形時に発生する腐食性ガスによって金属粉や繊維の表面が腐食し、導電性の低下を起こすことがある。
【0005】
上記(2)の方法においては、特にカーボンブラックが安価な導電性賦与剤として広く使用されるが、成形品の色相が黒に制限されてしまう欠点がある。又、この方法で1010Ω・cm前後の体積抵抗率をもつ成形物を工業的に製造するには、コンパウンドの製造及び成形時に高度の品質管理が要求される。
【0006】
上記(3)の方法は、成形物の着色が可能で、体積抵抗率も低圧電気による感電の危険性の無い範囲の成形品の製造も可能であるが、前記の導電性が付与された金属酸化物は一般に高価であるため、最終製品の単価も高価となる。
【0007】
上記(4)の方法は、成形物を自由に着色できるという長所があるものの、この帯電防止の作用はゴムやプラスチックに練り込んだ界面活性剤を成形品の表面にブリードさせて表面抵抗率を下げ、静電気を表面から逃がすものであり、環境条件に左右されやすく、帯電防止性能の安定性に欠ける。特に、低湿度の環境では帯電防止効果が著しく低下する。又、効果の持続性も短い。又、表面ブリードは成形物の汚れの原因ともなっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来の技術の問題点が解消され、帯電防止効果を有し、着色が可能で、しかも安価なフッ素系樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、フッ化ビニリデン系樹脂に酸化亜鉛に加えて、更に脂肪酸の金属塩を添加することにより、これを用いた成形物の体積抵抗率は108〜1012Ω・cmのオーダーで、帯電防止効果を有し、又、脂肪酸の金属塩を添加しない場合と比べて折り曲げ性に優れていることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、フッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対し、酸化亜鉛を50〜150重量部、脂肪酸の金属塩を0.15〜4.0重量部の割合で添加してなることを特徴とする帯電防止性樹脂組成物が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を更に詳細に説明する。
本発明に用いられるフッ化ビニリデン系樹脂は、一般にポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)として流通している樹脂であり、フッ化ビニリデンのホモポリマー及びフッ化ビニリデンと他のフッ素系コモノマーを共重合して得られるコポリマーが含まれる。フッ化ビニリデンと共重合させるコモノマーとしては、例えば、6−フッ化ポリプロピレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等が挙げられ、これらのコモノマーの使用割合は、5〜15モル%程度である。
【0011】
本発明において用いられる酸化亜鉛は、通常亜鉛華と称されるものであり、特に、平均粒径が0.2〜0.7μm、純度が98.0〜99.9%の酸化亜鉛を使用することが好ましい。
本発明においては、酸化亜鉛とともに脂肪酸の金属塩を使用することが特徴であり、酸化亜鉛の使用のみでは本発明の目的は達せられない。
【0012】
本発明に用いられる脂肪酸金属塩としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸と、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、バリウム等のアルカリ金属との塩が挙げられるが、ステアリン酸リチウムが特に好ましい。
【0013】
フッ化ビニリデン系樹脂に添加される酸化亜鉛及び脂肪族金属塩の量は、フッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対して、酸化亜鉛は50〜150重量部、好ましくは60〜130重量部の割合であり、脂肪族金属塩は0.15〜4.0重量部、好ましくは0. 25〜1. 5重量部の割合である。上記の割合で酸化亜鉛及び脂肪族金属塩を併用することにより、得られる樹脂組成物の成形物の体積抵抗率を108〜1012Ω・cmのオーダーとすることができ、該成形物には帯電防止性が付与される。
【0014】
脂肪酸金属塩の添加量が0.15重量部未満の場合は、例えば、100重量部の酸化亜鉛を添加しても体積抵抗率は1013Ω・cm以上となり、帯電防止性は劣る。又、脂肪酸金属塩の添加量が4.0重量部を超えた場合、脂肪酸金属塩が成形物表面にブリードアウトし、外観不良となる。又、脂肪酸の金属塩を添加しない場合、酸化亜鉛を、例えば、100重量部以上添加した上記組成物をシート状に成形すると脆くなるが、脂肪酸金属塩を添加することによりそのシート状成形物は折り曲げが可能な程度に強度を高めることができる。
【0015】
尚、本発明の帯電防止性樹脂組成物には、その特性が損なわれない限り、必要に応じ、前記必須成分に加えて各種の補助成分を含有させることができる。このような補助成分としては、例えば、各種無機フィラー、酸化防止剤等の各種安定剤、難燃剤、滑剤、各種顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
【0016】
本発明の帯電防止性樹脂組成物は、前記フッ化ビニリデン系樹脂と酸化亜鉛、脂肪酸金属塩、必要により補助成分とを混錬することによって得られる。混錬機としては、例えば、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、2本ロール、あるいは単軸押出機、2軸押出機等の通常の熱可塑性樹脂に対して使用される混練機を使用することができ、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物は、押出成形、射出成形、カレンダー成形、圧縮成形等の通常の加工方法によってフィルム、シート、チューブ、成形品等種々の形状の製品に加工することができる。
【0017】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
尚、体積抵抗率は三菱化学社製ハイレスタIP(MCP−HT260)を使用して測定した。
【0018】
実施例1
ポリフッ化ビニリデン樹脂(elf atochem社製:KYNAR#720)100重量部、酸化亜鉛(界化学社製、亜鉛華1種)54重量部、ステアリン酸リチウム(日本油脂社製)0.45重量部の割合で配合し、2軸押出機を用い、220℃の設定温度で混練及び造粒してペレット状の組成物を得た。
次いで、これを240℃、150kg/cm の条件で5分間加熱・加圧して1mm厚のシートを得、これから測定用試験片を作製して体積抵抗率を測定した。
又、上記シートを30×100mmの短冊状試験片に切断し、その中央部に定規をあて、180度まで折り曲げ、折り曲げ性を評価した。曲がる場合を○、折れた場合を×で示す。これらの結果を表1に示す。
【0019】
実施例2
酸化亜鉛を67重量部、ステアリン酸リチウムを0.5重量部とする以外は実施例1と同様にしてシートを作製し、体積抵抗率の測定及びシートの折り曲げ性を評価した。結果を表1に示す。
【0020】
実施例3
実施例2と同じ配合処方の樹脂組成物を実施例1と同様にして作製し、得られたペレット状組成物を再度2軸押出機を用いて同じ条件で混練及び造粒してペレット状組成物を得た。
これを用いて実施例1と同様にしてシートを作製し、体積抵抗率の測定及びシートの折り曲げ性を評価した。結果を表1に示す。
【0021】
実施例4〜6、比較例1、2
表1に示す配合処方に従い、各成分を加圧ニーダーを用いて200℃、5分間混練して樹脂組成物を得、これを2本ロールでシート状に成形した。次いで、このシート状成形物を240℃、150kg/cm2の条件で5分間加熱・加圧して1mm厚のシートを作製し、実施例1と同様にして体積抵抗率の測定及びシートの折り曲げ性を評価した。結果を表1に示す。
【0022】
【0023】
表1から明らかなように、ステアリン酸リチウム又はステアリン酸カルシウムを添加した場合(実施例1〜6)、酸化亜鉛の添加量が54〜150重量部では体積抵抗率は108〜1012Ω・cmと帯電防止性を示す範囲にあり、更に、シートは折り曲げても折れなかった。又、実施例2、3のように、組成物製造時の押出混錬条件を一回通し、二回通しと大きく変更した場合でも、その成形品の体積抵抗率変化は少なく、安定した帯電防止効果を示している。一方、脂肪酸の金属塩を添加しない場合(比較例1)は、体積抵抗率は2×1013Ω・cmと高く、又、シートは脆くて折れてしまい、折り曲げることはできなかった。
又、酸化亜鉛添加量が45重量部の場合(比較例2)、体積抵抗率は1015Ω・cm以上と高くなり、帯電防止性を示さなかった。
【0024】
【発明の効果】
本発明の帯電防止性樹脂組成物は、安価な材料によって、帯電防止性を有し、着色可能で、しかも充分な折り曲げ性を持つので、帯電防止性フィルム、シート、チュ−ブ、その他成形品を工業的に製造するのに極めて有用である。
Claims (2)
- フッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対し、酸化亜鉛を50〜150重量部及び脂肪酸の金属塩を0.15〜4.0重量部の割合で添加してなることを特徴とする帯電防止性樹脂組成物。
- その成形物の体積抵抗率が108〜1012Ω・cmのオーダーである請求項1に記載の帯電防止性樹脂組成物。
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