JP4060153B2 - 滅菌装置、滅菌方法、及び培養方法 - Google Patents

滅菌装置、滅菌方法、及び培養方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、滅菌装置及び滅菌方法に関するものであり、特に純粋培養製麹を行うためのフィルム製密閉容器を用いる麹原料の滅菌装置及び滅菌方法に関する。また、本発明は、培養方法に関するものであり、特に純粋培養製麹を行うようにした培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、固体麹等の微生物の製造は、蓋麹法や通風製麹法といったいわゆる開放系の培養が行われることが多い。しかし、ニーズによって、純粋培養製麹を行う必要もある。
例えば、醤油原料である大豆・小麦は、原料中の窒素源も豊かであり、醤油麹中の汚染細菌数は1010個/g麹に達する。このことは麹の品質と食品安全性の点から好ましくない。
さらに、醤油麹の場合に純粋培養製麹ができれば、食塩を含まない滅菌水等での消化が可能となり、醤油とは異なる新規の調味液の開発や、醸造期間の短縮の可能性が出て来る。
また、タカジアスターゼから始まる医薬用酵素製剤の分野では純粋培養製麹の要請が強いが、技術的課題が解決されておらず、純粋培養製麹は実用化されていない。
【0003】
現在、純粋培養製麹を行う装置としては山崎鉄工所の種麹製造装置と、川田工業のトロンメル型原料一環処理製麹機と、フジワラテクノアートの回転式通気無菌固体培養装置がある。これらの装置は、圧力容器で原料処理・滅菌後、その圧力容器を製麹装置に用いている。製麹期間中に圧力容器を占有してしまうため、装置コストが高くなる。また装置は大型であり、通常の研究室に設置することはできない。
研究室規模の純粋培養製麹は三角フラスコ等を用いて少量の原料で製麹を行うことしかできなかった。
【0004】
一方、純粋培養製麹法には、上記のような圧力容器やガラスフラスコに代え、軽量のフィルム製密閉容器を用いることができれば好適である。従来も検討自体はされている。しかし、上記したように純粋培養製麹を行う場合、原料の滅菌が必須である。
ここで、フィルム製密閉容器の内容物を滅菌する方法としてはレトルト法が一般化している。しかし、このようなレトルト法を実施するための装置は、通常のオートクレーブに比較して高価である。すなわち、フィルム密閉容器が膨張拡大して破裂しないように、膨張を抑制する必要があり、このための付加的機構を備えねばならず、従来のレトルト装置は、このために大きなコスト負担が必要であった。したがって、従来の圧力容器を用いたと同様の問題があった。
【0005】
加えて、従来、フィルム製密閉容器を用いる場合、通気しないで培養する方法が一般的と考えられており、または、上面は空気フィルター、下面はラミネートフィルムを用いて通気をせずに製麹する方法がある。これらの方法は通気をしない又は十分には行わないことから製麹原料の量を多くはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に対してなされたものであり、フィルム製密閉容器を用いる純粋培養製麹等における原料の滅菌を、レトルト装置を用いず、通常のオートクレーブを使用して実施することができるようにした滅菌装置及び滅菌方法、さらに、純粋培養製麹等を好適に行うようにした培養方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、滅菌装置であって、フィルム製密閉容器にろ過フィルターを設け、該ろ過フィルターについて、上記フィルム製密閉容器の内圧を逃す側の口に逆止弁を設け、さらに上記フィルム製密閉容器に排気口を設け、上記排気口から上記フィルム製密閉容器の内部を排気できるように構成し、上記フィルム製密閉容器で加熱滅菌操作を行う際、上記フィルム製密閉容器の内圧が外圧より高くなったときに、上記ろ過フィルター及び上記逆止弁を通して上記フィルム製密閉容器の内圧を逃がすようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記滅菌装置内で滅菌する対象としては、微生物の培地を挙げることができ、特に、加湿した麹原料が好適である。ろ過フィルターとしては、気体用精密ろ過フィルターを挙げることができ、フィルム製密閉容器の一端の通気口に気体用精密ろ過フィルターを接続することが好適である。また、上記フィルム製密閉容器の他端に排気口を設けることが好適であり、上記排気口から上記フィルム製密閉容器内部の空気を真空ポンプで排気できるように構成することが好適である。上記フィルム製密閉容器で加熱滅菌操作を行う際、上記フィルム製密閉容器の内圧が外圧より高くなったときに、上記気体用精密ろ過フィルター及び逆止弁を通して上記フィルム製密閉容器の内圧を逃がすように構成することが好適である。
【0009】
本発明は、別の側面において、上記滅菌装置を用いた滅菌方法である。この滅菌方法は、特に麹原料の滅菌に好適である。
本発明は、さらに別の側面で培養方法であり、該培養方法は、上記滅菌方法で滅菌処理を行った後、上記フィルム製密閉容器を恒温水槽内に設置して微生物を培養するようにしている。
なお、本発明で、滅菌とは殺菌操作を含む。微生物とは、カビ、酵母、細菌等を含むが、本発明では、特に麹菌に好適に適用される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面に示した実施の形態を参照しながら、本発明に係る滅菌装置を説明する。
図1に、本発明に係る滅菌装置の一実施の形態を示す。以下にこの滅菌装置の製造手法を含めてその構成・作用を説明する。
【0011】
この滅菌装置100は、フィルム製密閉容器102(以下容器102ともいう)を本体とする。該フィルム製密閉容器102は、いわゆるレトルト用ラミネートフィルムでその本体部分を構成した袋状の形態を備える。通常、このようなフィルムを用いて長さ方向をまずヒートシールする。
【0012】
このフィルム製密閉容器102の上部に、一方の開放端104より内側に、給気口106と種麹接種口108をフィルム狭窄ネジ方式によりそれぞれ取り付け、容器102の開放端104をヒートシールする。
給気口106には接続チューブ110を介し、気体用精密ろ過フィルター112の出口側を接続する。気体用精密ろ過フィルター112の入口(フィルム製密閉容器102の内圧を逃す側の口)側には接続チューブ114を介して逆止弁116を接続する。
【0013】
接種口108には、接続チューブ118を介し、グーチロート120を接続し、シリコ栓122をする。接続チューブ118はネジ式ピンチコック124で閉じる。
容器102の上部に、もう一方の開放端126より内側に、排気口128と温度センサー取付口130をフィルム狭窄ネジ方式により取り付け、さらに温度センサ132を取り付ける。
排気口128には、排気チューブ134を接続する。排気チューブ134には、図示しない真空ポンプを接続する。容器102の開放端126から脱脂大豆と水を入れた後、開放端126をヒートシールする。脱脂大豆と水を良く混ぜて、脱脂大豆に吸水させる。脱脂大豆を平らにならす。なお、この実施の形態は、大豆麹用の滅菌操作を想定している。形態によって、米等他の原料を用いることも勿論可能である。
【0014】
上記構成の本実施の形態に係る滅菌装置を用いて、容器102の内部を滅菌する形態について次に説明する。
まず、排気チューブ出口136から内部の空気を真空ポンプで引き、容器102内を脱気する。逆止弁116は減圧により閉じる。脱気後、排気チューブ134をネジ式ピンチコック138で閉じる。
このように、フィルム容器102に固体又は粉体状の原料を入れて真空ポンプで排気すると、原料間の空気が取り除かれ、しかも容器102が外圧によりつぶされて原料が板状に押し固められるために熱伝導が良くなり、原料内部まで十分に加熱され、滅菌が完全に行われる。この効果は、後述する実施例、比較例で実証された。
【0015】
図示しない金網籠中に容器102の一式を、給気口106が上部になるようにして、収納する。容器102、精密ろ過フィルター112に使用しているポリプロピレン部はオートクレーブの内壁に直接触れると溶ける。しかし、このように金網籠に収納し内壁に直接触れないようにすることで、溶けることを防止できる。
次いで、通常のオートクレーブを用い、滅菌をする。滅菌後の蒸気抜きはゆっくり行う。オートクレーブ処理中及び処理後、容器102は膨らむが、逆止弁116が開放になり、外気に触れることで、容器102は収縮する。
【0016】
ここで、気体用精密ろ過フィルター112を装着しているので容器102内への細菌の汚染は発生しない。なお、通常この気体用精密ろ過フィルター112は、後にこの容器102をそのまま用いて、微生物を培養する際、外気を取り入れる際に本来の雑菌混入防止機能を発揮する。しかし、本発明では、このように滅菌操作において内圧を外へ逃がす際、外気とのやりとりによる雑菌混入防止の役割を果たしている。すなわち、逆止弁116による容器102の破裂防止と同時に、雑菌混入防止を行うことを可能としており、そのために従来のレトルト処理のためのような高価な装置を必要としていない。
【0017】
次に、上記のような滅菌装置を用いて、麹などを純粋培養する本発明に係る培養装置及び培養方法について説明する。
図2に、本発明に係る培養装置の一実施の形態を示す。
この培養装置200では、上記した滅菌装置で滅菌したフィルム製密閉容器102をそのまま用いている。図2で、図1と同じ符号で説明した要素は、図1と同じ要素である。
この培養装置200では、恒温水槽202に網棚204を設置し、該網棚204に容器102を載置している。
【0018】
上記した気体用精密ろ過フィルター112からは逆止弁116を外し、加湿器206から加湿された空気がこのフィルター112を通して、容器102内に供給することができるように構成している。この加湿器206には、送風ポンプ208から流量計210を介して、その撒気筒212から水中部分に空気が送り込まれる。さらに、恒温水槽202には、温調器214及び冷却コイル216が設置されている。排気チューブ134のネジ式ピンチコック138により容器102の内圧を調整し、網棚204の上下間隔まで容器102を膨らませる。また、排気チューブ134の先から排出される排気ガスの性状を測定容器220にある温湿度センサー222及び炭酸ガスセンサー224で測定できるように構成している。
【0019】
次に、この培養装置200を用いて、麹を純粋培養する方法について説明する。
滅菌の済んだ脱脂大豆226を容器102の外部から揉み解す。つぎに、無菌操作で種麹接種口108から種麹を接種する。
送風ポンプ208から流量計210で流量をコントロールしながら、撒気筒212を通して加湿器206に空気を吹き込み、気体用ろ過フィルター112を介して、通気口106から容器102内に空気を上部から吹き込む。空気は、容器102内を流れ、排気口128から排出される。
原料である脱脂大豆226は、適度の空気、湿り気を保つので、麹は、好適に培養される。また、フィルター112によって雑菌が混入することもない。
【0020】
麹の培養にあたって、温度センサー132、温湿度センサー222、炭酸ガスセンサー224によって容器102内の環境をモニターする。すなわち、温調器214によって、温度を保つと共に、麹の生育によって温度が上昇し過ぎた場合には、冷却コイル216によって冷却する。これによって、容器102内の培養環境を好適に保つ。
【0021】
【実施例】
実施例
滅菌処理
図1に示した実施の形態と同様の滅菌装置100を実施した。以下、実施例の説明でも、説明の便宜上図1で用いた参照番号を用いる。フィルム製密閉容器102に使用したレトルト用ラミネートフィルムは、幅90cm、長さ約85cmを用いた。
フィルム構成は、外層フィルムがPET(ポリエチレンテレフタレイト)層厚16μm、バリヤー層が透明蒸着PET層厚12μmで、シーラント(Sealant)層がレトルトCPP(無延伸ポリプロピレン)層厚50μmとした。このフィルムを縦方向に二つ折りにヒートシールし、幅45cm、長さ約85cmの袋とした。
このフィルムを用いて長さ方向をヒートシールして幅45cm、長さ85cmの両端を開放した容器102を作成した。
【0022】
このフィルム容器102の上部に、一方の開放端より約5cm内側に、内径8mmの給気口(スパウト)106と内径8mmの種麹接種口(スパウト)108をフィルム狭窄ネジ方式によりそれぞれ取り付けた後、容器102の開放端104をヒートシールした。
後述する外径3mmの温度センサー用のスパウトも同じくフィルム狭窄方式である。各スパウトはO‐リングで気密シールした。
【0023】
給気口106には接続チューブ110を介してポアサイズ0.2μm、膜面積1,000cm2の気体用精密ろ過フィルター112の出口側を接続した。接続チューブは、このチューブ110も含めてシリコンチューブを使用した。気体用精密ろ過フィルター112の入口側には接続チューブ114を介して逆止弁116を接続した。
【0024】
接種口108には接続チューブ118を介して口径40mmのグーチロート120を接続し、シリコ栓122をした。接続チューブ118はネジ式ピンチコック124で閉じた。
容器102の上部に、もう一方の開放端126より内側に内径8mmの排気口128と外径3mm長さ150mmの温度センサー取付口(スパウト)130をフィルム狭窄ネジ方式により取り付け、さらに温度センサ132を取り付けた。排気口128には内径8mm、長さ約1,500mmの排気チューブ134を接続した。排気口128に接続した排気チューブは、細菌汚染を防ぐため、このような長さが好適である。
【0025】
容器102の開放端126から脱脂大豆1.4kgと水1リットルを入れた後、開放端126をヒートシールした。脱脂大豆と水を良く混ぜて、脱脂大豆に吸水させた。脱脂大豆を幅約30cm、長さ約45cmに平らにならした。これは、オートクレーブ内に収納する際の大きさとし、かつ伝熱性を考慮して麹原料の厚さをできるだけ薄くするためである。
【0026】
排気チューブ出口136を真空ポンプに接続し、容器102内を脱気した。逆止弁116は減圧により閉じた。脱気後、排気チューブ134をネジ式ピンチコック138で閉じた。
【0027】
高さ56cm、外径35cmの金網籠中に容器102一式を、給気口106が上部になるようにして、収納した。容器102、精密ろ過フィルター112に使用しているポリプロピレン部はオートクレーブの内壁に直接触れると溶けた。金網籠に収納し内壁に直接触れないようにすることで、溶けることを防止できた。
【0028】
内径36.5cm、深さ60cmのオートクレーブを用いて121℃、30分間の滅菌をした。滅菌後の蒸気抜きはゆっくり行った。オートクレーブ処理後、容器102は膨らんでおり、逆止弁116は開放になっていた。外気に触れると容器102は収縮した。容器102内への細菌の汚染は発生しなかった。
【0029】
麹の培養
麹の培養は、図2について説明した形態の培養装置を用いて行った。オートクレーブ処理後放冷または通気冷却後、脱脂大豆226を容器102の外部から揉み解し、Aspergillus oryzae KBN650(200ミリリットルフラスコを用いて30℃で培養したもの)の種麹2グラムを接種口108から無菌操作で接種し、容器102を金網棚204で6.5cmの幅に挟んで、34℃の水浴上で4日間の培養を行った。
容器102の一端に設けた給気口106から給気された空気は麹層の上部を通過し、他端に設けた排気口128から排気した。通気量は5リットル/minとした。空気は34℃で飽和水蒸気に調和した。
【0030】
構成機器について、恒温水槽202は、特大型平バットで内寸法W852mm×D553mm×H198mmを用いた。温調器214には冷却機能はなかった。
冷却装置(冷却コイル)216で麹菌の生育にともなう発熱による水温上昇を抑制した。
【0031】
温度計・湿度計(温湿度センサー)222で測定した温度・湿度、炭酸ガス濃度計(炭酸ガスセンサー)224で測定した炭酸ガス濃度の記録には、データロガーを用いた。
【0032】
加湿器206としては、PP製強化瓶(容量5リットル)を用い、蓋の部分は追加工した。容器内に水を入れ、水中にセットした撒気筒(焼結ストンを用いた)を通して空気を吹き込み加湿した。加湿された空気は容器上部から送風され、精密フィルター112へ供給した。加湿器206は恒温水槽202中にセットした。
【0033】
流量計210は、面積式流量計で、最大流量10リットル/minを用いた。
網棚204は、45cm×55cm、支柱高さ30cmを使用した。網棚204を用いて、容器102を上下65mmに挟んだ。送風し、ネジ式ピンチコック138を調節して容器102を上下約65mm幅に膨ませた。
【0034】
麹の培養結果
以上のような培養条件のもと、麹は腐敗しなかった。さらに、でき上がった麹に滅菌水2リットルを接種口から無菌操作で添加し30℃で1週間保存したが腐敗しなかった。
本実施例では、通気量を5リットル/minとできた。従来の通風製麹法と比較すると風量は少なくてすんだ。本出願人の過去の例では、60リットル/minであった。
麹菌の生育に伴う発熱は、容器102下部を恒温水槽202中に浸して伝熱冷却した。空冷式よりよく冷却できた。扇風機を用いた空冷式であると麹品温は排気口付近のほうが給気口付近より高くなり、約2℃の温度差が生じた。この場合、麹の出来具合も容器102内の入口側と出口側で異なっていた。このように、水冷式のほうが空冷式より麹の品温調節能が優れていた。
【0035】
本実施例では、水冷式としたことにより、麹原料を多くすることもできた。上記説明した実施例では、脱脂大豆1.4kgにレジン水1リットルを加え、原料とすると麹層の厚みは約1.5cmとなった。ここでさらに、脱脂大豆2.8kgとレジン水2リットルを用いた場合麹層の厚さは約3cmとなった。これらの二つの場合とも製麹ができた。すなわち、恒温水槽202を用いた、上記した図2のような水冷式の装置では伝熱冷却が良いので、麹層の層厚も大きくできることが了解された。
【0036】
本実施例では、フィルム製密閉容器102を用いるので、排気中の炭酸ガス濃度測定が容易であった。このような規模の製麹においては、はじめて麹菌の代謝による炭酸ガスの発生を直接測定できた。炭酸ガス濃度測定により麹菌の生育状況が容易に把握できた。図3に示すように、0.05%から5.5%濃度に上昇し、胞子が付く頃には、1%に低下した。これに対し、通風製麹法では通風量が大きいために、排気中の炭酸ガス濃度測定による生育の把握は循環通風式としないと困難であった。
【0037】
製麹原料に脱脂大豆1.4kgを用いた本発明に係る培養装置における麹品温は、最高で36.2℃であり水浴伝熱方式により充分に温度制御されていた。
【0038】
比較例
滅菌につき比較実験を行った。1リットル三角フラスコに脱脂大豆65g、130g、260gとレジン水45g、90g、180gをそれぞれ入れ、121℃、30分間、オートクレーブ滅菌を行った。冷却後30℃のインキュベーター内に保存した。脱脂大豆260g入れたものは5日後に腐敗した。他のものは腐敗しなかった。すなわち、原料の量が多いとオートクレーブ時に伝熱が不充分であり、滅菌が不良となることが了解される。
【0039】
耐圧テスト等
上記実施例での、容器102の耐圧テストを行った。麹原料は入れずに、排気口128に圧力センサーを取付け、給気口106から徐々に給気し、室温で耐圧テストを行った。容器102は内圧19kPaで破裂した。この容器102の室温での耐圧は19kPaであった。オートクレーブ処理中の121℃での耐圧は、室温の1/3の6kPa位である。
よって、オートクレーブ処理中及び処理後に容器102から蒸気を逃がす時の気体用精密ろ過フィルター及び逆止弁の抵抗は3kPa以下になるように、フィルター膜面積及び逆止弁動作圧の部品を選定し、又オートクレーブ処理後の蒸気抜き速度を調節した。
【0040】
オートクレーブ処理の際に蒸気抜きを急激に行うと、容器102が破裂した。また、逆止弁116を用いず、気体用精密ろ過フィルター112の入口側には接続チューブを接続し、これをネジ式ピンチコックで閉じ、排気口から真空脱気した後、密閉し、オートクレーブ処理をすると、容器102は破裂した。
逆止弁116を装着しないで気体用精密ろ過フィルター112の入口は開放状態とし、真空脱気も行わない方式でオートクレーブ処理をした。処理後、入口側から5リットル/分で通気し34℃で保存テストを行ったところ、3日目に腐敗が認められた。すなわち、脱気しないと滅菌は不完全であった。
【0041】
上記したように、給気口106、排気口128、接種口108、温度センサー取付口130の容器102への取付はフィルム狭窄方式とした。フィルム部については一度培養等で使用後、廃棄した。給気口106、排気口128、接種口108、温度センサー取付口130は、再利用できた。
【0042】
【発明の効果】
上記したところから明らかなように、本発明によれば、フィルム製密閉容器を用いる純粋培養製麹等における原料の滅菌を、レトルト装置を用いず、通常のオートクレーブを使用して実施することができるようにした滅菌装置及び滅菌方法、さらに、純粋培養製麹等を好適に行うようにした培養方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る滅菌装置の一実施の形態を説明する概念的斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係る培養装置の一実施の形態を説明する概念的断面図である。
【図3】図3は、本発明に係る製麹時の炭酸ガス濃度の変化を説明するグラフである。
【符号の説明】
100 滅菌装置
102 フィルム製密閉容器
104 開放端
106 給気口
108 接種口
112 気体用精密ろ過フィルター
116 逆止弁
120 グーチロート
122 シリコ栓
124 ネジ式ピンチコック
126 開放端
128 排気口
130 温度センサー取付口
132 温度センサー
136 排気チューブ出口
138 ネジ式ピンチコック
200 培養装置
202 恒温水槽
204 網棚
206 加湿器
208 送風ポンプ
210 流量計
212 撒気筒
214 温調器
216 冷却コイル
220 測定容器
222 温湿度センサー
224 炭酸ガスセンサー
226 脱脂大豆
228 温度計

Claims (3)

  1. フィルム製密閉容器にろ過フィルターを設け、該ろ過フィルターについて、上記フィルム製密閉容器の内圧を逃す側の口に逆止弁を設け、さらに上記フィルム製密閉容器に排気口を設け、上記排気口から上記フィルム製密閉容器の内部を排気できるように構成し、上記フィルム製密閉容器で加熱滅菌操作を行う際、上記フィルム製密閉容器の内圧が外圧より高くなったときに、上記ろ過フィルター及び上記逆止弁を通して上記フィルム製密閉容器の内圧を逃がすようにしたことを特徴とする滅菌装置。
  2. フィルム製密閉容器にろ過フィルターを設け、該ろ過フィルターについて、上記フィルム製密閉容器の内圧を逃す側の口に逆止弁を設け、さらに上記フィルム製密閉容器に排気口を設け、上記排気口から上記フィルム製密閉容器の内部を排気できるように構成したフィルム製密閉容器を用いた滅菌方法であって、上記フィルム製密閉容器で加熱滅菌操作を行う際、上記フィルム製密閉容器の内圧が外圧より高くなったときに、上記ろ過フィルター及び上記逆止弁を通して上記フィルム製密閉容器の内圧を逃がすことを特徴とする滅菌方法。
  3. 請求項2の滅菌方法で滅菌処理を行った後、上記フィルム製密閉容器を恒温水槽内に設置して微生物を培養するようにしたことを特徴とする培養方法。
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