JP4058397B2 - 光照射又は熱処理による蛍光特性の変化を利用する書き換え可能な光メモリー材料 - Google Patents

光照射又は熱処理による蛍光特性の変化を利用する書き換え可能な光メモリー材料 Download PDF

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本発明は、希土類元素、特にランタノイドに属する元素のイオンをカルボニル基を有するポリマー中に含有させた光メモリー材料、及び前記希土類元素のイオンおよび前記ポリマーの溶液を用いて製造した光メモリー特性を有する希土類イオン含有ポリマー膜、あるいは前記溶液を貧溶媒に注入して、再沈澱により製造した粒径が5nm〜10000nmの光メモリー特性を有する希土類イオン含有ポリマー微粒子又は前記ポリマー微粒子を含有する溶液から形成した前記希土類イオン含有ポリマー微粒子膜に関する。該ポリマー膜、微粒子または微粒子膜は、光照射エネルギー、換言すれば照射強度×照射時間の積の増加に伴い蛍光強度が増強し、熱処理温度の上昇に伴い蛍光強度が初期状態まで減少することから、前記蛍光の変化を利用した書き換え可能な光メモリー材料として利用できる。
近年の情報化社会の発達に伴い、情報の高密度・高速処理が可能な記録材料が求められており、記録に用いる光波長の短波長化が可能な記録媒体を開発することにより、前記短波長化によりピット幅を狭くして記録密度の向上を計ってきたが、さらなる高密度化の達成に際して、従来の1ピットにつき1ビットの記録ではなく、1ピットにつき数ビットの記録可能な多重記録材料が望まれている。また、環境に優しい技術の要求の観点から、前記記録特性に加えて書き換え可能な特性を持つ材料が望まれている。
Shinya MAENOSONO, Ceco Danov DUSHKIN, Soichiro SAITA and Yukio YAMAGUCHI, 「Optical Memory Media Based on Excitation-Time Dependent Luminescence from a Thin Film of Semiconductor Nanocrystals」Japanese Journal of Applied Physics 39, 4006-4012 (2000). Masayuki Nogami, 「Room temperature persistent spectral hole burning of Eu3+ ions doped in sol-gel derived glasses」Journal of Luminescence 98, 289-294 (2002). Nobuhiko Umezu, Tsunenori Asatsuma, Yoshihiro Takemoto, Masahiko kaneko 「Multi-wavelength recording at room temperature by gated persistent spectral hole burning in SrFCl0.5Br0.5:Sm2+」Journal of Luminescence 64, 195-199 (1995).
前記非特許文献1にはtri-octylphosphine oxideにdimethylcadmiumu, seleniumu-tri-butylphosphine溶液を添加し、得られた溶液を300℃に維持し、アルゴン雰囲気下で撹拌下に作製したtri-octylphosphine oxideで表面をキャッピングされたCdSe微粒子が波長430nm、15mWのレーザー光の照射時間の増加に伴い蛍光強度が増強して約500分で飽和して初期蛍光強度の7倍の強度を示すこと、増強した発光の強度は500時間以上ほぼ安定であることなどが記載されている。しかしながら蛍光の消去に関しては記載されていない。
前記非特許文献2はゾルゲル法で作製したEu3+イオンを含有したアルミノシリケイトガラスに−196℃(77K)で30分間300W、スポットサイズ1mmのローダミン6Gレーザーを幅照射することによりEu3+の励起スペクトルにホールが生成すること、また室温でX線を照射することで同様にホールが生成して温度を上昇させることでホールの深さが減少することが記載されており、ホールの深さを変化させることで数ビットの記録をすることを提案している。前記非特許文献3はSm2+イオンを含有したSrFCl0.5Br0.5の粉体に688nmから693nmの範囲の多波長の色素レーザーを照射してSm2+の励起スペクトルに多数のホールを生成させて波長多重記録することが記載されており、高密度記録を可能としている。しかしながら、いずれもホール深さは浅くブロードであり閾値があいまいとなる。
このことは、前記情報化社会において記録材料に要求される室温記録特性および高分解能特性において満足すべき記録材料とは言えない。また、記録材料の製造の容易性の観点からも充分とは言えない。
本発明は、記録が室温で安定で、1ピットに対して多ビットの多重記録が可能であり、かつ、記録の書き換え可能な、光照射による蛍光特性の変化を利用した光記録材料を提供することである。
本発明者らはカルボニル基、例えば、イミド基、カルボキシル基あるいはそのエステル基を持つポリマーに含有させた希土類、特にランタノイドに属する元素のイオンが光照射量、すなわち照射光強度×照射時間に依存して希土類イオンの蛍光強度が増強し、特にポリイミド系では最大400倍にも増強すること、また、光照射停止後の発光強度特性が室温で数ヶ月間安定であることを見いだし、多数照射量の閾値を設けることで高密度記録が可能である。また、ポリマーのフレキシブルな構造を利用して、熱処理により初期状態に戻すことで蛍光の強度の消去を実現した。更に、蛍光の消去後、光の再照射により再び蛍光強度の増強が光照射量に依存して増強することを見いだした。前記光記録は膜においてのみではなく5nmサイズの微粒子の形態でも可能であるため、高分解能の記録が可能であることを見出し前記課題を解決することが出来た。
本発明の第1は、(1)ポリマーの主鎖または側鎖にカルボニル基をもつポリマーと希土類元素イオンとから希土類イオン−ポリマー錯体を生成させた照射光量に対応して蛍光強度が増強し、熱処理により前記処理温度に対応する状態に回復する光メモリー材料である。好ましくは、(2)前記カルボニル基をもつポリマーがテトラカルボン酸またはその二無水物とジアミンとの反応で得られたポリイミドである前記(1)に記載の光メモリー材料または(3)前記カルボニル基をもつポリマーが側鎖にカルボキシル基またはそのエステル基を有するポリマーである前記(2)に記載の光メモリー材料であり、更に好ましくは、(4)側鎖にカルボキシル基またはそのエステル基を有するポリマーがエチレン系不飽和基の付加重合により得られたものである前記(3)に記載の光メモリー材料である。
より好ましくは、(5)希土類が元素番号58〜70までの元素から選択されるものである前記(1)、(2)、(3)または(4)に記載の光メモリー材料である。
本発明の第2は、光メモリー材料がポリマーの主鎖または側鎖にカルボニル基をもつポリマーと希土類元素のイオンを生成する前記希土類元素の化合物を、少なくとも前記2成分を溶解する溶媒に溶解させ、該溶液から形成した前記ポリマーと前記希土類イオンとから形成された希土類イオン−ポリマー錯体を含有させたポリマー膜、該溶液を少なくとも前記2成分の貧溶媒に注入することにより形成した前記ポリマーと前記希土類イオンとから形成された希土類イオン−ポリマー錯体を含有する粒径が5nm〜10000nmの微粒子、前記微粒子から形成した微粒子膜又は前記微粒子からのバルク成形体である光メモリー材料である。
発明の効果として、発光強度を複数の閾値域に分割して、それぞれの強度域で独立の情報記録が可能な、高密度記録(記憶)材料を、希土類イオンを利用した高密度記録材料としては、前記公知の希土類イオンをガラス材料に含有させたもと類似するが、加工性の容易なポリマーを用いて実現した点、及び記録などの特性が前記公知のものと異なる現象によるものと推測される点で全く新しい光メモリー材料を提供したものであることを挙げることができる。
A.希土類イオンを構成する材料は、カルボニル基を持ったポリマー材料中に存在して、光照射により異なった配位状態を形成し、室温において安定にその状態を維持していることが大切である。前記配位状態を生成する希土類元素としては、ランタノイドに属する元素、好ましくは、原子番号58〜70までの元素、より好ましくは、Eu、Tb、GdおよびCeから選択される。特定の蛍光ピーク波長を持ち、蛍光強度の増強が異なる多重遷移に対応する記録が可能である。
B.ポリマー材料は、前記配位状態の希土類イオンを室温において安定に保持することが重要であり、希土類元素イオンと酸素との配位結合状態、希土類元素イオン−Oが前記多重配位結合状態を維持するのに好ましいものと推測されるので、本発明において前記ポリマーの主鎖または側鎖にカルボニル基をもつポリマーを好ましいものとして用いた。
これを、配位結合状態と関連する電子論的な推測をすれば、ポリマーと希土類元素イオンとのエネルギー移動の実現のために、ポリマーのHOMO、LUMOのエネルギーギャップと希土類イオンの基底状態と励起状態のエネルギーギャップが前記条件に対応していることが重要である。
B−1.好ましいポリマーとしては、先ず、ポリイミドを挙げることができる。
テトラカルボン酸またはその二無水物としては、3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)、3,3’−4,4’−テトラカルボキシビフェニル、2,2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、およびこれらの二無水物を例示できる。
B−2.前記テトラカルボン酸またはその二無水物と反応してポリイミド前駆体のポリアミド酸を形成し、その後のイミド化などでポリイミドを形成するジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、4,4’−メチレンビス(メチルシクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(エチルシクロヘキシルアミン)などを挙げることができる。
B−3.他のポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の様な、側鎖にカルボキシル基またはエステル基をもつ、エチレン系不飽和結合を有するモノマーの付加重合体を挙げることができる。
C.粒径は記録光の有効利用の観点から重要である。前記ポリマーおよび希土類元素化合物を溶解して前記希土類元素がイオンとして存在する溶液を調製し、該溶液を前記2成分の貧溶媒中に注入して微粒子を製造する再沈法を利用することにより粒径5nmの前記希土類元素のイオンが均一に分散した粒子を得ることができる。
D.記録材料の製造法
前記光メモリー材料の製造には、ポリマーの主鎖または側鎖にカルボニル基をもつポリマーに対して1〜10重量%の希土類塩を配合し、前記ポリマーを0.1〜15重量%の濃度で溶媒、好ましくは、前記希土類塩を溶液中でイオンとして存在させるために極性溶媒、に溶解したポリマー溶液を、ポリマー膜の形成手段としては公知の、スピンコーティング、ディップコーティング、キャスティングなどを適用して、希土類塩含有ポリマー膜とするか、或いは、前記ポリマー溶液を、脂肪族系溶剤(デカリン、ヘキサン)脂環式系溶剤(シクロヘキサン)、芳香族系溶剤(ベンゼン、トルエン)、CS及びこれらの2種以上の混合物から選択され、温度を−20℃〜60℃に制御した貧溶媒に注入することにより粒径が5nm〜10000nmであるポリマー微粒子を生成させ、
得られたポリマー微粒子分散用液を、前記ポリマー膜の形成手段と同様の手段を適用して、あるいは電着により希土類塩含有ポリマー微粒子膜を作製する。
前記極性溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アルコール系(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)などを挙げることができる。
ポリイミドをポリマー材料とする光メモリー材料の製造には、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸(アミック酸ともいう。)を用いて、膜または微粒子を製造後物理的または化学的イミド化するのが好ましい。
E.前記製造方法により作成された希土類塩含有ポリマー膜あるいは希土類塩含有ポリマー微粒子膜には、前記B.に記載のカルボニル基を有するポリマーと希土類元素イオンと酸素との配位結合状態に対応する波長の光、例えば波長254nmまたは304nmの光を照射すことにより前記照射光量に依存した希土類イオンの蛍光強度が増強された室温で安定な光記録をすることができる。また、前記希土類塩含有ポリマーのガラス転移点以下で熱処理を施すことによる、前記処理温度に対応する状態に蛍光強度を減少乃至消去することができる。
F.好ましくは、前記光メモリー材料の製造に用いる希土類塩としては、Eu3+もしくはTb3+の塩化物塩、硝酸塩、シアン化合物などが好ましい。ポリマーがポリイミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)であることを特徴とする前記膜に前記蛍光特性の増強を利用した多ビット記録可能な材料を製造する方法である。
実施例1を説明する。
2,2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物と4,4−ジアミノジフェニルエーテルの重合により得られたポリアミド酸(平均分子量:122955)を、濃度0.7重量%になるようにアセトンに溶解させた。これに前記溶解させたポリアミド酸に対してEu3+の配合量が1重量%、5重量%、10重量%/ポリアミド酸となるようにEu(NOを添加して、ポリアミド酸−Eu(NOのアセトン溶液を調製した。次いで前記溶液0.01mlを20×10mmの石英板上にキャスティング、3000rpmでスピンコーティングまたはディップコーティングの後、乾燥することによりEu3+含有ポリアミド膜を作製した。これを350℃で2時間保持して熱イミド化を完了させEu3+含有ポリイミド膜を得た。前記作製したEu3+含有ポリイミド膜の光記録特性を調べるために、UVランプを用いて6Wの波長254nm光を照射すると、その照射時間の増加に伴いEu3+に帰属される蛍光強度が増強した。結果を図1に示す。飽和強度は5重量%のEu3+含有ポリイミド微粒子が最も大きく、UVランプ照射前と比べて約400倍となった。蛍光強度が飽和したEu3+含有ポリイミド微粒子膜に5分間の熱処理を施すと、熱処理温度の上昇に伴い蛍光強度は減少して、200℃で完全に消滅した。結果を図2に示す。蛍光の消去後さらにUV光を照射すると蛍光強度は増強した。結果を図3に示す。
このことから、前記Eu3+含有ポリイミド微粒子膜が、書き込み−再生可能な光メモリー材料として有用であることが分かった。
2,2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物と4,4−ジアミノジフェニルエーテルの重合により得られたポリアミド酸(平均分子量:122955)を、濃度0.7重量%になるようにNMPに溶解させた。これに前記溶解させたポリアミド酸に対するTb3+の配合量が5質量%/ポリアミド酸となるようにTb(NOを添加して、ポリアミド酸−Tb(NOのNMP溶液を調製した。次いで前記溶液0.01mlを20×10mmの石英板上にキャスティング、3000rpmでスピンコーティングまたはディップコーティングの後、乾燥することによりTb3+含有ポリアミド膜を作製した。これを350℃で2時間保持する熱イミド化を行った後、UVランプを用いて6Wの波長254nm光を照射すると、その照射時間の増加に伴いTb3+に帰属される蛍光強度が増強し、約15時間で飽和した。結果を図4に示す。蛍光強度が飽和したTb3+含有ポリイミド微粒子膜に5分間の熱処理を施すと、熱処理温度の上昇に伴い蛍光強度は減少して、200℃で完全に消滅した。蛍光の消去後さらにUV光を照射すると蛍光強度は増強した。
このことから、前記Tb3+含有ポリイミド微粒子膜が、書き込み−再生可能な光メモリー材料として有用であることが分かった。
2,2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物と4,4−ジアミノジフェニルエーテルの重合により得られたポリアミド酸(平均分子量:122955)を、濃度0.7重量%になるようにアセトンに溶解させた。これに前記溶解させたポリアミド酸に対するEu3+の配合量が5質量%/ポリアミド酸となるようにEu(NOを添加して、ポリアミド酸−Eu(NOのアセトン溶液を調製した。次いで前記溶液0.01mlを20×10mmの石英板上にキャスティング、3000rpmでスピンコーティングまたはディップコーティングの後、乾燥することによりEu3+含有ポリアミド膜を作製した。これを350℃で2時間保持して熱イミド化を完了させEu3+含有ポリイミド膜を得た。前記作製したEu3+含有ポリイミド膜の光記録特性を調べるために、UVランプを用いて6Wの波長304nm光を照射すると、その照射時間の増加に伴いEu3+に帰属される蛍光強度が増強し、約24時間で蛍光強度が飽和したEu3+含有ポリイミド膜に5分間の熱処理を施すと、熱処理温度の上昇に伴い蛍光強度は減少して、200℃で完全に消滅した。蛍光の消去後さらにUV光を照射すると蛍光強度は増強した。
このことから、前記Eu3+含有ポリイミド膜が、書き込み−再生可能な光メモリー材料として有用であることが分かった。
3,3’,4,4’−テトラカルボキシビフェニル二無水物と1,4−ジアミノベンゼンの重合により得られたポリアミド酸を、濃度1重量%になるようにNMPに溶解させた。これに前記溶解させたポリアミド酸に対するEu3+又はTb3+又はSm3+又はEr3+の配合量が5質量%/ポリアミド酸となるようにEu(NO又はTb(NO又はSm(NO又はEr(NOを添加して、ポリアミド酸−Eu(NO、ポリアミド酸−Tb(NO、ポリアミド酸−Sm(NO、及びポリアミド酸−Er(NOの溶液を調製した。前記溶液0.01mlを20×10mmの石英板上にキャスティング、3000rpmでスピンコーティングまたはディップコーティングの後、乾燥することによりEu3+含有ポリアミド酸膜を得た。前記作製したEu3+含有ポリアミド膜の光記録特性を調べるためにUVランプを用いて6Wの波長254nm光を照射すると、その照射時間の増加に伴いEu3+に帰属される蛍光強度が増強し、約3時間で蛍光強度が飽和した。Eu3+含有ポリアミド膜の結果を図5に示す。蛍光強度が飽和したEu3+含有ポリアミド酸膜に200℃で5分間の熱処理を施すと、完全に消滅した。蛍光の消去後さらにUV光を照射すると蛍光強度は増強した。Tb3+又はSm3+又はEr3+を含有ポリアミド膜においてもEu3+の場合と同様の特性が発現した。
ポリアクリル酸(分子量:450000)を、濃度1重量%になるようにNMPに溶解させた。これに前記溶解させたポリアクリル酸に対するEu3+の配合量が5重量%/ポリアクリル酸となるようにEu(NOを加えポリアクリル酸−Eu(NO溶液を調製した。前記溶液0.01mlを20×10mmの石英板上にキャスティング、3000rpmでスピンコーティングまたはディップコーティングの後、乾燥することによりEu3+含有ポリアクリル酸膜を作製した。前記作製したEu3+含有ポリアクリル酸膜の光記録特性を調べるためにUVランプを用いて6Wの波長254nm光を照射すると、その照射時間の増加に伴いEu3+に帰属される蛍光強度が増強し、約24時間で蛍光強度が飽和した。結果を図6に示す。蛍光強度が飽和したEu3+含有ポリイミド膜に5分間の熱処理を施すと、熱処理温度の上昇に伴い蛍光強度は減少して、140℃で完全に消滅した。蛍光の消去後さらにUV光を照射すると蛍光強度は増強した。
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(分子量:350000)を、濃度1重量%になるようにNMPに溶解させた。これに前記溶解させたポリメタクリル酸メチルに対してEu3+の配合量が5重量%/PMMAとなるように溶液を調製した。次いで前記溶液0.01mlを20×10mmの石英板上にキャスティング、3000rpmでスピンコーティングまたはディップコーティングの後、乾燥することによりEu3+含有PMMA膜を作製した。前記作製したEu3+含有PMMA膜の光記録特性を調べるためにUVランプを用いて6Wの波長254nm光を照射すると、その照射時間の増加に伴いEu3+に帰属される蛍光強度が増強し、約24時間で蛍光強度が飽和した。蛍光強度が飽和したEu3+含有PMMA膜に5分間の熱処理を施すと、熱処理温度の上昇に伴い蛍光強度は減少して、160℃で完全に消滅した。蛍光の消去後さらにUV光を照射すると蛍光強度は増強した。
ポリアクリル酸(平均分子量:450000)を、濃度1重量%になるようにNMPに溶解させた。これに前記溶解させたポリアクリル酸に対するEu3+の配合量が5重量%/ポリアクリル酸となるようにEu(NOを加えポリアクリル酸−Eu(NO溶液を調製した。前記溶液0.1mlを室温下、1500rpmの撹拌条件下で、マイクロシリンジを用いて、10mlのシクロヘキサン(アクリディック:0.1重量%含有)に注入することでEu3+含有ポリアクリル酸微粒子を得た。走査電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図7に示す。前記Eu3+含有ポリアクリル酸微粒子をキャスト法によりまたは電着(分散液の微粒子濃度:0.1〜1重量%、印加電圧:10〜1000V/cm−1)により膜をまた、乾燥した微粒子0.2gを直径3mmの成形器に入れプレスすることによりバルク成形体を作製した。次いで前記作製した膜の光記録特性を調べるために、前記Eu3+含有ポリアクリル酸膜にUVランプを用いて6Wの波長254nm光を照射すると、その照射時間の増加に伴いEu3+に帰属される蛍光強度が増強し、約24時間で蛍光強度が飽和した。蛍光強度が飽和したEu3+含有ポリイミド膜に5分間の熱処理を施すと、熱処理温度の上昇に伴い蛍光強度は減少して、140℃で完全に消滅した。蛍光の消去後さらにUV光を照射すると蛍光強度は増強した。
前記のように前記希土類元素イオン含有ポリマー材料は照射光量に対応して蛍光強度が増強し、その特性が室温条件において安定に保たれることから、光記録材料として利用できること、かつ、照射光量の閾値を区切って多重に記録できること、更に、前記光記録は、加熱などの手段により初期状態に回復可能であることから、書き換え可能な記録材料として利用可能である。
実施例1で得られたEu3+含有ポリイミド膜の種々の時間UVランプを照射した時の蛍光スペクトル 実施例1で得られたEu3+含有ポリイミド膜の種々の温度で熱処理を施した時の蛍光スペクトル 実施例1で得られたEu3+含有ポリイミド膜の200℃で熱処理後、種々の時間UVランプを照射した時の蛍光スペクトル 実施例2で得られたTb3+含有ポリイミド膜の種々の時間UVランプを照射した時の蛍光スペクトル 実施例5で得られたEu3+含有ポリアミド酸膜の種々の時間UVランプを照射した時の蛍光スペクトル 実施例6で得られたEu3+含有ポリアクリル酸膜の種々の時間UVランプを照射した時の蛍光スペクトル 実施例8で得られたEu3+含有ポリアクリル酸微粒子のSEM写真

Claims (6)

  1. ポリマーの主鎖または側鎖にカルボニル基をもつポリマーと希土類元素イオンとから希土類イオン−ポリマー錯体を生成させた照射光量に対応して蛍光強度が増強し、熱処理により前記処理温度に対応する状態に回復する光メモリー材料。
  2. 前記カルボニル基をもつポリマーがテトラカルボン酸またはその二無水物とジアミンとの反応で得られたポリイミドである請求項1に記載の光メモリー材料。
  3. 前記カルボニル基をもつポリマーが側鎖にカルボキシル基またはそのエステル基を有するポリマーである請求項1に記載の光メモリー材料。
  4. 側鎖にカルボキシル基またはそのエステル基を有するポリマーがエチレン系不飽和基の付加重合により得られたものである請求項3に記載の光メモリー材料。
  5. 希土類が原子番号58〜70までの元素から選択されるものである請求項1、2、3または4に記載の光メモリー材料。
  6. 光メモリー材料がポリマーの主鎖または側鎖にカルボニル基をもつポリマーと希土類元素のイオンを生成する前記希土類元素の化合物を、少なくとも前記2成分を溶解する溶媒に溶解させ、該溶液から形成した前記ポリマー前記希土類イオンとから形成された希土類イオン−ポリマー錯体を含有させたポリマー膜、該溶液を少なくとも前記2成分の貧溶媒に注入することにより形成した前記ポリマーと前記希土類イオンとから形成された希土類イオン−ポリマー錯体を含有する粒径が5nm〜10000nmの微粒子、前記微粒子から形成した微粒子膜又は前記微粒子からのバルク成形体である光メモリー材料。
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