JP4058295B2 - 現像器、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナーと磁性粒子とを含有する現像剤を用いる現像器、これを用いる複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置、及び、これに用いられるプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像器として、感光体ドラム等の潜像担持体上に形成された潜像を、トナーと磁性粒子と含有する二成分現像剤を用いて現像してトナー像を得るものが広く知られている。この種の現像器は、内部に現像剤を収容する現像剤収容室と、これに設けられた開口と、この開口から表面の一部を露出させるように配設された現像スリーブ等の現像剤担持体とを備えている。現像剤担持体は、内部の磁界発生手段の発する磁力の影響によって現像剤収容室内の現像剤をその表面に担持する。そして、表面移動に伴って現像剤を潜像担持体に対向する現像領域に搬送する。現像領域においては、磁界発生手段の主磁極の発する磁力によって現像剤担持体上の現像剤が穂立ちしていわゆる磁気ブラシを形成する。この磁気ブラシは、潜像担持体の表面に摺擦しながら、トナーを潜像に付着させることで、潜像を現像する。このように、トナーと磁性粒子とを含有する現像剤によって潜像を現像する方式は二成分現像方式と言われている。
【0003】
かかる二成分現像方式の現像器においては、現像剤担持体の表面の開口露出部分から磁性キャリアがこぼれ落ちて、その下の紙搬送ガイド板や転写紙などに付着して、白ポチ画像などといった画質劣化を引き起こすことがあった。そこで、こぼれ落ちた磁性キャリアを上記開口付近に設けた磁性体の発する磁力によって拘束することで、こぼれ落ちキャリアによる画質劣化を抑えるようにした二成分現像方式の現像器が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる現像器を備える画像形成装置においては、潜像担持体の特定領域が非画像部であるにもかかわらずトナーを付着させて画質劣化を引き起こすことがあった。そこで、本発明者は、この画質劣化の原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことを見出した。即ち、上記磁性体を設けた現像器を画像形成装置に組み付ける際に、現像器本体のガタツキや現像器筺体の撓みなどによって上記磁性体を誤って一時的に潜像担持体に接触させる場合がある。この接触による潜像担持体の傷付きを抑えたり、上記磁性体の取り付けの容易性を図ったりといった観点から、磁性体としてはゴムを主成分とするラバーマグネットシートが一般に用いられる。弾性や可撓性に富むラバーマグネットシートであれば、接触の際の衝撃を吸収させ、且つ現像器本体に貼り付けるだけで取り付けが可能だからである。しかしながら、ゴム製磁性体たるラバーマグネットシートは、その主成分のゴムから添加剤等の物質を滲ませ易い。この滲出物を、現像器の組付の際にラバーマグネットシートと潜像担持体との接触によって潜像担持体に付着させると、その付着領域にトナーを付着させ易くなって画質劣化を引き起こしていたのである。特に、ラバーマグネットシートのエッジ部を潜像担持体に接触させた場合には、画質劣化が顕著に現れる。エッジ部は潜像担持体と線接触するため、面接触する場合比べて潜像担持体に強く押し付けられて線状の接触跡が強く残る。このため、シャープな線画像となって現れて非常に目立ってしまうのである。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような現像器、並びにこれを備えるプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。即ち、現像剤に含まれる磁性粒子のこぼれ落ちに起因する画質劣化を抑えながら、ゴム製磁性体からの滲出物を潜像担持体に付着させることによる画質劣化をも抑えることができる現像器等である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーと磁性粒子とを含有する現像剤を収容する現像剤収容室と、磁界発生手段の発する磁力の影響によって該現像剤収容室内の現像剤を担持した表面を、画像形成装置の潜像担持体に対面させ得るように該現像剤収容室の開口から露出させる現像剤担持体と、該現像剤担持体の表面の開口露出部分から落下した該磁性粒子を自らの発する磁力の影響によって拘束し得る位置に配設されたゴム製磁性体とを備える現像器において、上記ゴム性磁性体を現像器の筺体における上記開口よりも外側箇所に固定し、且つ、該ゴム製磁性体からの滲出物を塞き止める塞止部材で、該ゴム製磁性体における上記潜像担持体との対向面の少なくとも一部を覆ったことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像器であって、上記塞止部材が、上記開口からのトナーの漏洩を抑えるべく、上記現像剤収容室の内壁と上記現像剤担持体の表面との間隙の少なくとも一部を覆うように配設されたシート状部材であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の現像器であって、上記塞止部材が、上記現像剤収容室の筐体の一部であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の現像器であって、上記磁界発生手段が、上記現像剤担持体と上記潜像担持体との対面領域において上記現像剤担持体の表面に現像剤を上記潜像担持体に接触させ得る厚みで担持させるための主磁極と、自らの形成する磁界の少なくとも一部を上記開口よりも潜像担持体側に位置させる程度に該主磁極に対して近接配設され且つ該主磁極とは反対極性の補助磁極とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の現像器であって、上記補助磁極が、上記主磁極よりも上記現像剤担持体の表面移動方向の下流側に配設されるものであり、且つ、上記ゴム製磁性体が該補助磁極と同極性の磁極面を上記潜像担持体に対面させるものであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体を一様帯電せしめる帯電手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像器と、該現像器での現像によって得られたトナー像を該潜像担持体から転写体に転写せしめる転写手段と、転写後の該潜像担持体を除電する除電手段と、転写後の該潜像担持体に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段とを備える画像形成装置に用いられ、該潜像担持体と、該帯電手段と、該除電手段と、該クリーニング手段との中より選ばれる少なくとも1つと、該現像器とが一体になって画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジにおいて、上記現像器として、請求項1、2、3、4又は5のものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像器とを備える画像形成装置において、上記現像器として、請求項1、2、3、4又は5のものを用いたことを特徴とするものである。
これらの発明においては、現像器に設けられたゴム製磁性体が、現像剤担持体の開口露出部分から落下した磁性粒子を自らの発する磁力の影響によって拘束することで、該現像器よりも下方への磁性粒子落下を抑える。そして、このことにより、磁性粒子のこぼれ落ちに起因する画質劣化を抑える。
また、現像器に設けたゴム製磁性体における潜像担持体との対向面の少なくとも一部を塞止部材で覆うことで、該現像器の組付の際にガタツキや撓みなどが生じた際に、該塞止部材を介して該潜像担持体にゴム製磁性体を接触させる。そして、このことにより、ゴム製磁性体から潜像担持体への滲出物の付着を抑える。よって、ゴム製磁性体からの滲出物を潜像担持体に付着させることによる画質劣化をも抑えることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を電子写真式の画像形成装置であるレーザプリンタ(以下、「プリンタ」という)に適用した実施形態について説明する。
まず、図1を用いて本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1において、潜像担持体としての感光体ドラム1は、図中矢印A方向に回転駆動される。この感光体ドラム1には、図示しない電源から帯電バイアスの供給を受ける帯電ローラ50が接触しながらドラムとはカウンター方向に回転する。このような帯電ローラ50の接触回転によって一様に帯電せしめられた感光体ドラム1の表面には、光書き込みユニット51によって画像情報に基づいた走査露光がなされる。この走査露光により、感光体ドラム1には静電潜像が形成される。
【0008】
感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、現像器によってトナー像に現像された後、感光体ドラム1と転写手段である転写ローラ53との当接によって形成される転写ニップに送られる。転写ローラ53には、図示しない電源によって転写バイアスが印加されている。この転写バイアスの影響によって転写ニップには転写電界が形成される。一方、プリンタ筐体の下部には、転写体たる転写紙52を複数重ねた状態で収容する給紙カセット54が配設されている。給紙カセット54に収容された転写紙52の束のうち、一番上のものは給紙ローラ55に圧接せしめられており、これの回転駆動によってプリンタ内の紙搬送経路に送られる。そして、レジストローラ対56のローラ間に挟まれる。レジストローラ対56は、転写紙52を感光体ドラム1上に形成された上記トナー像に重ね合わせ得るタイミングを見計らって転写ニップに向けて送り出す。転写ニップで転写紙52と重ね合わされたトナー像は、上記転写電界やニップ圧などの影響を受けて感光体ドラム1表面から転写紙52上に転写される。そして、転写紙52とともに定着装置57内に送られ、ここで加熱ローラと加圧ローラとの間に挟まれながら、転写紙52に定着せしめられた後、機外へと排出される。
【0009】
上記転写ニップよりも回転方向下流側の感光体ドラム1表面には、ドラムクリーニングユニット58が当接している。クリーニング手段としてのドラムクリーニングユニット58は、上記転写ニップを通過した後の感光体ドラム1表面に残留している転写残トナーを除去する。転写残トナーがクリーニングされた感光体ドラム1表面は、除電ランプ59からの除電光の照射を受けて残留電荷が除電された後、上記帯電ローラ50によって一様帯電せしめられて次の画像形成に備えられる。
【0010】
以上の構成の本プリンタにおいては、上記帯電ローラ50、光書き込みユニット51、除電ランプ59などにより、潜像担持体たる感光体ドラム1に静電潜像を形成する潜像形成手段が構成されている。なお、接触回転によって感光体ドラム1を一様帯電せしめる方式の帯電ローラ50や、除電光の照射によって感光体ドラム1を除電する方式の除電ランプ59に代えて、他の方式の帯電手段や除電手段を設けてもよい。また、レーザー光の照射によって静電潜像を書き込む光書き込みユニット51の代わりに、他の方式によって静電潜像を書き込むものを設けてもよい。
【0011】
図2は上記現像器2の概略構成図である。この現像器2の筺体たるケーシング6は、現像剤収容室5と、磁性トナー3aを収容するトナーホッパ8とを形成している。現像剤収容室5内には、磁性トナー3aと、磁性粒子たる磁性キャリア3bとを含む二成分現像剤(以下「現像剤」という。)3が収容されている。また、現像剤を表面に担持する現像剤担持体としての現像スリーブ4が配設されている。この現像スリーブ4は、非磁性材料から構成されるパイプ部4aと、これの内部に配設された磁界発生手段としてのマグネットローラ4bとを有しており、現像剤収容室5に設けられた開口から一部を露出させるように配設されている。パイプ部4aは、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられる。マグネットローラ4bは、このように回転するパイプ部4aに連れ回らないようにパイプ部内に固定されており、その周方向に配設された複数の磁極(P1、P1a、P1b、P2、P3、P4)を有している。なお、以下、パイプ部4aの回転を現像スリーブ4表面の回転ともいう。
【0012】
上記現像剤収容室5とトナーホッパ8とは、仕切壁6aによって仕切られている。この仕切壁6aにはトナーホッパ8内の磁性トナー3aを現像剤収容室5内に補給するための補給口が設けられている。また、トナーホッパ8内には、図中矢印Cで示す時計方向に回転しながら磁性トナー3aを上記補給口に向けて撹拌搬送するアジテータ9が配設されている。このアジテータ9は、例えば厚さ0.05[mm]程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)によって構成されている。
【0013】
上記仕切壁6aの先端付近は、現像スリーブ4に向けて突出してこれと所定の間隙を保持するプレドクタ6bとなっている。現像剤収容室5内において、このプレドクタ6bよりも現像スリーブ4表面の回転方向下流側に存在する現像剤3は、上記マグネットローラ4bの第1搬送磁極P3(S極)の発する磁力の影響を受けてパイプ部4aに担持される。そして、パイプ部4aの回転に伴って搬送されながら、パイプ部4aとプレドクタ6bとの間隙を通過する。
【0014】
上記ケーシング6の外壁の一部は、現像スリーブ4と所定の間隙を保持するドクタブレード6cになっている。このドクタブレード6cは、プレドクタ6bよりもパイプ部4aの回転方向下流側に配設されている。パイプ部4aとプレドクタ6bとの間隙を通過した現像剤3は、今度は上記マグネットローラ4bの第2搬送磁極P4(N極)の発する磁力の影響を受けながらパイプ部4aと連れ回ろうとする。そして、パイプ部4aとドクタブレード6cとの間隙を通過する際に層厚が規制された後、上記マグネットローラ4bの現像磁極の影響によってパイプ部4a表面上に拘束されながら感光体ドラム1に対向する現像領域Dに搬送される。そして、現像領域Dにおいて感光体ドラム1と接触する。一方、現像剤収容室5内において、ドクタブレード6cに規制された現像剤3は、ドクタブレード6cとプレドクタ6bとの間の循環領域内を循環する。なお、現像領域Dとは、具体的には、パイプ部4a上に担持された現像剤3と、感光体ドラム1とが接触する領域である。
【0015】
上記パイプ部4aには、現像バイアス電源10によって現像バイアスが印加されている。現像領域Dでは、この現像バイアスの影響により、パイプ部4aと感光体ドラム1に形成された静電潜像との間に、現像剤3中の磁性トナー3aをパイプ部4a側から静電潜像側に静電的に移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、パイプ部4aと感光体ドラム1の非画像部(非潜像部分)との間に、現像剤3中の磁性トナー3aを非画像部側からパイプ部4a側に静電的に移動させる非現像ポテンシャルが作用する。現像領域Dに搬送された現像剤3は、上記現像ポテンシャルの影響によって磁性トナー3aを磁性キャリア3b表面から離脱させて感光体ドラム1上の静電潜像に付着させる。これにより、静電潜像がトナー像に現像される。
【0016】
現像領域Dを通過したパイプ部4a表面上の現像剤3はパイプ回転に伴って更に搬送されて現像剤収容室5内に戻り、上記補給口と対向する位置に到達する。この補給口の付近には、トナーホッパ8内の磁性トナー3aがアジテータ9で送り出されパイプ部4a上の現像剤3と接触可能に滞留しており、戻ってきた現像剤3に取り込まれる。補給口の付近で新しい磁性トナー3aを取り込んだ現像剤3は、更に搬送されてプレドクタ6bによって層厚が規制された後、上記循環領域内に再び進入する。そして、新しい磁性トナー3aを含んでいるため、ドクタブレード6cによる規制部での内圧が前よりも高くなる。このように内圧が高くなった現像剤3中では、磁性キャリア3bとの摩擦帯電によってトナー帯電が助長される。
【0017】
本プリンタの現像器2は、自己トナー濃度制御を実施するように構成されている。この自己トナー濃度制御について詳述してみる。
まず、現像剤収容室5内に初期剤として所定のトナー濃度に調整された現像剤3がセットされてパイプ部4aが回転を開始すると、現像剤3には、搬送現像剤と循環現像剤とが発生する。搬送現像剤とは、パイプ部4aの表面上に拘束されてこれと連れ回る現像剤である。また、循環現像剤とは、上記循環領域内に収容されパイプ部4aに連れ回る上記搬送現像剤の移動に伴って循環領域内を循環移動する現像剤である。循環領域内で循環現像剤が循環し得る状態でトナーホッパ8に磁性トナー3aがセットされると、上記補給口の付近でパイプ部4a上に担持された搬送現像剤に磁性トナー3aが供給され始める。
【0018】
供給によって磁性トナー3aを取り込んだ搬送現像剤は、プレドクタ76bによる規制位置を通過した後、上記循環領域内に進入する。そして、その一部は循環現像剤との間で混合される。この混合により、搬送現像剤と循環現像剤との部分的な入れ替え、トナーの分散撹拌による均一化、磁性トナー3aと磁性キャリア3bとの摩擦帯電によるトナー帯電等が行われる。上記補給口の付近でのトナー補給が継続して行われると搬送現像剤のトナー濃度が次第に上昇していく。そして、その嵩が増大していくことにより、上記補給口に対向する位置からドクタブレード6cによる規制位置に至るまでの区間でパイプ部4a上の搬送現像剤の層厚が厚くなっていく。これとともに、搬送現像剤内の磁性キャリア3bの比率が低下することにより、搬送現像剤に対する磁力が弱くなっていく。このため、搬送現像剤の移動速度が徐々に低下していき、上記区間におけるパイプ部4a上の搬送現像剤の層厚がますます厚くなっていく。
【0019】
層厚が厚くなった搬送現像剤は、ドクタブレード6cから受ける搬送を阻止する向きの力(ブレーキ力)を強く受けるようになり、そのの移動速度がますます低下していく。そして、上記補給口に対向する位置で層厚が厚くなった搬送現像剤の上層部は、プレドクタ6bで掻き取られる。この掻き取りにより、プレドクタ6bよりも現像剤搬送方向上流側に、パイプ部4aとの連れ回りを阻止されてそこに滞留する滞留現像剤が徐々に増えてくる。この滞留現像剤は、それに接する搬送現像剤の移動に伴って循環運動を行っている。補給口から送り込まれる磁性トナー3aは、搬送現像剤の露出している部分に引き付けられるとともに、搬送現像剤と滞留現像剤との合流点から引き込まれるようにして、両現像剤中に取り込まれる。
【0020】
搬送現像剤のトナー濃度が更に上昇していくと、上記補給口の付近における滞留現像剤の量が更に増え、磁性トナー3aに接している搬送現像剤3−1の露出面が滞留現像剤によって塞がれ、両現像剤の合流点も補給口よりも現像剤搬送方向上流に移動する。これとともに、上記補給口の付近に滞留する滞留現像剤の循環移動速度も低下する。この時点で、搬送現像剤への磁性トナー3aの取り込みがほぼ終了し、トナー濃度がそれ以上、上昇しなくなる。
【0021】
上記磁性トナー3aを取り込んで上記循環領域内に進入した搬送現像剤の上層部は、循環現像剤と混合撹拌され、その一部は再びパイプ部4a上に担持される。パイプ部4aとドクタブレード6cとの間隙を通過して循環領域外へ出た搬送現像剤剤は、感光体ドラム1と対向する現像領域Dに搬送される。そして、ここで感光体ドラム1上に形成されている静電潜像に磁性トナー3aを供給し、静電潜像を現像する。
【0022】
静電潜像の現像に伴って搬送現像剤中の磁性トナー3aが消費されると、この部分のトナー濃度が減少し、パイプ部4aの回転によって搬送現像剤に作用する搬送力が増加するとともに、この部分の搬送現像剤の嵩が減少する。そして、プレドクタ6bの先端部によって規制される搬送現像剤の量が低下するため、上記補給口付近に溜まっていた滞留現像剤の量が減少する。また、この減少より、滞留現像剤の循環移動速度が上昇してくる。そして、上記補給口付近において、パイプ部4aによって搬送される搬送現像剤と、トナーホッパ8内からの磁性トナー3aとが接触することとなり、磁性トナー3aの取り込みが再開される。この再開により、今度は搬送現像剤のトナー濃度が上昇し始める。
【0023】
以上のように、自己トナー濃度制御では、パイプ部4aの回転に伴って搬送される搬送現像剤のトナー濃度の変化に応じて、搬送現像剤のプレドクタ6bによる規制状態が変化する。そして、現像に伴って磁性トナー3aが消費された部分の搬送現像剤のトナー濃度が所定の濃度範囲になるように自己制御される。これにより、搬送現像剤のトナー濃度が常にほぼ一定範囲の濃度に保たれる。このため、現像器内の現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度センサ、これによる検知結果に基づいて現像剤にトナーを定量的に補給する定量補給手段などが不要になり、装置構成の簡略化が図られている。
【0024】
なお、パイプ部4a上の搬送現像剤の一部を剥離して上記循環領域内の循環現像剤と混合するための剥離部材を、循環領域内で且つパイプ部4aとの対向位置に設けてもよい。かかる剥離部材を設けた場合は、搬送現像剤と循環現像剤との入れ替えが促進されるので、トナー帯電能力低下による磁性キャリア3bの早期劣化を防止することができる。また、搬送現像剤と循環現像剤との混合により、磁性トナー3aが分散撹拌され現像剤搬送方向と直交する画像幅方向に関してトナー濃度が均一化されるので、現像濃度ムラのない良好な現像を行うことができる。
【0025】
本プリンタのように、二成分現像方式を用いるものにおいては、現像領域Dにてパイプ部4aの表面を感光体ドラム1の表面と同じ方向で且つこれよりも速く移動させることで、品質の高い現像を安定して行い得ることが知られている。とりわけ、自己トナー濃度制御を実施する現像器2を用いる場合には顕著である。そこで、本プリンタにおいても、パイプ部4aの回転速度を感光体ドラム1の回転速度よりも速く設定している。具体的には、パイプ部4aと感光体ドラム1との線速比を1.5〜3.0程度にしている。
【0026】
本プリンタでは、トナー飛散を抑える対策が講じられている。トナー飛散とは、パイプ部4aの回転に伴って搬送される現像剤3から遠心力によってトナーが離脱して飛散したり、現像剤収容室5内のトナーがケーシング6とパイプ部4aとの間隙をすり抜けて飛散したりすることである。
【0027】
ここで、前者のトナー飛散は、パイプ部4aの線速を感光体ドラム1の線速よりも速くする場合に生じ易い。これは次の理由による。即ち、感光体ドラム1の線速の線速を変化させると、通紙速度、転写速度、定着速度などといったプロセス全体の速度に影響してしまう。パイプ部4aの線速を感光体ドラム1の線速よりも速くするのは、上述のように現像性の安定化のためであるが、このためだけに感光体ドラム1の線速を遅くするのはプロセス全体に対する影響を鑑みると好ましくない。そこで、感光体ドラム1の線速についてはプロセス全体の状況に応じて設定し、パイプ部4aの線速をこれよりも速めることで対応することになる。そうすると、高速プリントモードなどでは、パイプ部4aの線速がかなり速くなる。そして、パイプ部4a上の現像剤中のトナーに作用する遠心力も非常に大きくなるため、トナー飛散が生じ易くなるのである。
【0028】
また、後者のトナー飛散は、比較的小径のトナーを用いる場合に生じ易い。これは次の理由による。即ち、画像のより一層の微細化、高解像度化という近年の要望に応えるためには、より小径のトナーを用いる必要がある。しかしながら、トナーは小径になるほど、流動性が高まるとともに、重量が小さくなる傾向にあるため、浮遊し易くなる。特に、現像剤3の初期セットアップ時において、現像剤3をパイプ部4aの全周に回り込ませるまでの間に、パイプ回転などによって発生した気流に帯電不足のトナーを載せ易くなる。そして、ケーシング6とパイプ部4aとの間隙から現像器2の外に多量に飛散させてしまうのである。また、トナーホッパ8内から現像剤収容室5内の多用のトナーが補給された場合にも、パイプ部4aとともに連れ回る搬送現像剤中に帯電不足によって磁性キャリア3bへの付着力を十分に発揮できないトナーが急激に増加する。よって、この場合にも、トナーを浮遊させ、ひいては飛散させ易い。
【0029】
そこで、本プリンタにおいては、次のような複数の対策を講じている。
即ち、まず前者のトナー飛散を抑える対策として、磁性トナー3aを用いるようにしているのである。磁性トナー3aを用いれば、マグネットローラ4bの発する磁力の影響によってそれをパイプ部4a側に引き寄せることができる。よって、パイプ部4aの回転に伴って発生する遠心力に起因するトナー飛散を抑えることができる。
【0030】
また、後者のトナー飛散を抑える対策として、図3に示すように、現像器2のケーシング6の下顎部に、現像剤収容室5の底面とパイプ部4aとの間隙を部分的に覆う間隙覆いシート13を設けている。この間隙覆いシート13は、現像剤収容室5の開口からのトナーの漏洩を抑えるべく、現像剤収容室5の内壁と現像スリーブ4の表面との間隙の少なくとも一部を覆うように配設されたシート状部材として機能する。具体的には、この間隙覆いシート13の一端側はケーシング6の下顎部に固定され、自由端側はパイプ部4aに向けて延びている。現像器3の初期状態(工場出荷直後)では、上記補給口がヒートシール11によって塞がれており、磁性トナー3aがトナーホッパ8内に封入されている。また、プレドクタ6bとドクタブレード6cとの間に形成される上記循環領域がパイプ部4aに向けて開口しないようにヒートシール12によって塞がれており、磁性キャリア3bがこの循環領域内に封入されている。初期セッティングにおいては、まず、アジテータ9を少しだけ回転させて、図3に示すような姿勢で止める。仕切壁6aとの圧接によって上記補給口を塞ぐ姿勢である。次に、ヒートシール12を引き抜いて、上記循環領域内の磁性キャリア3bを自重によってパイプ部4aに向けて落とし込む。但し、初期に落ち込んだ磁性キャリア3bがマグネットローラ4bの第2搬送磁極P4の発する磁力によって次々にパイプ部4a表面上に拘束されてやがて循環領域の開口を塞いでしまう。よって、ヒートシール12を引き抜いただけでは、磁性キャリア3bを現像剤収容室5の底面まで落とし込ませることはできず、上記補給口の付近は磁性キャリア3bの存在しない空の状態になっている。次に、ヒートシール11を引き抜いてから、磁性キャリア3bをパイプ部4aの全周に回り込ませるべく、パイプ部4aを回転させる。このとき、ヒートシール11を引き抜いても、上記補給口は基本的にはアジテータ9によって塞がれている。しかしながら、磁性トナー3aとして小径のものを用いていると、その流動性の高さに起因して、アジテータ9と仕切壁6aとの僅かな隙間から、上記補給口を経て現像剤収容室5内に進入させてしまう。更に、パイプ部4aの回転、駆動系の振動、何らかの衝撃などによってこの進入を助長してしまう。これらのことから、磁性トナー3aが塞がれている補給口の僅かな隙間から現像剤収容室5内に流れ出し、補給口の付近に溜まり始める。ここには、上述のような理由により、磁性キャリア3bが存在しないので、磁性トナー3aだけが溜まる。このように磁性トナー3aだけが溜まっても、その多くはマグネットローラ4bの第1搬送磁極P3や第2搬送磁極P2の磁力の影響によってパイプ部4aに引き寄せられる。しかしながら、一部は、パイプ4aの回転によって発生する気流にのる。このとき、上記循環領域内からパイプ部4a上に移った磁性キャリア3bがパイプ部4aの回転に伴って現像剤収容室5の底面との対向位置まで十分量回り込んでいない。十分量の磁性キャリア3bが回り込むためには、パイプ4aの回転開始から数十秒を要するからである。よって、回転開始から数十秒の間は、底面とパイプ部4aとの間隙が大きく露出する。そして、気流にのって磁性トナー3aが現像器2の外部に飛散するおそれがある。しかしながら、本プリンタの現像器2においては、現像剤収容室5の底面と、パイプ部4aとの間隙を部分的に覆う間隙覆いシート13を設けている。気流にのって浮遊した磁性トナー3aは、この間隙覆いシート13によって外部への飛散が抑えられる。また、現像剤収容室5内で発生する気流は、一端は現像剤収容室5内から間隙に向かう方向に流れるが、間隙覆いシート13にぶつかることで今度は逆方向に流れ始める。このため、間隙を通過する気流量が低減される。このことによっても、外部へのトナー飛散が抑えられる。
【0031】
間隙覆いシート13の材料としては、例えば厚さ0.05[mm]のPETなどを用いることができる。また、ケーシング6の一部をシート状に形成して間隙覆いシート13としてもよい。本プリンタにおいては、ケーシング6下顎部からの突き出し量を4[mm]とし、且つ、シート先端とパイプ部4aとの間に1〜2.5[mm]のギャップが形成されるように、間隙覆いシート13を形成している。かかるギャップを設けているので、現像剤収容室5の底面と、パイプ部4aとの間隙を「部分的に覆う」と説明したのである。ギャップを設けるのは次の理由による。即ち、ギャップを設けないと、パイプ部4a表面に担持された現像剤3を間隙覆いシート13の先端付近で擦ってしまうことになる。そして、この摺擦により、トナー飛散を招くおそれがある。また、間隙覆いシート13に磁性トナーを吸着させ、そこからプリンタ本体内の搬送ガイドや転写紙などに落下させて汚染を招くおそれもある。そこで、間隙覆いシート13の先端と、パイプ部4aとの間にある程度のギャップを設けるのである。本プリンタでは、パイプ部4aと現像剤収容室5の底面との間においては、現像剤3がこのギャップよりも小さい厚みでパイプ部4aに担持される。よって、間隙覆いシート13の先端と、パイプ4a上の現像剤3との摺擦は、基本的には起こらないようになっている。
【0032】
以上のようにトナー飛散を抑えるための対策を講じたことで、小径トナーの使用を可能にして高画質化を図っている。具体的には、本プリンタでは、磁性トナー3aとして、重量平均粒径が6.0〜8.0[μm]で、5μm以下の粒子個数が40〜80個数%とするものを用いている。また、磁性トナー3aに添加する流動性付与剤を、0.1〜2重量%で使用している。流動性付与剤が0.1重量%未満になると、トナ−凝集を改善する効果が乏しくなることが本発明者の実験によってわかっている。また、2重量%を超える場合は、細線間のトナ−飛び散り、機内の汚染、感光体の傷や摩耗等の問題が生じ易い傾向がある。
【0033】
現像剤3に含有させる磁性キャリア3bとしては、従来より公知のものでよく例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物;前記強磁性体微粒子と樹脂との複合体等が挙げられる。これらの磁性キャリア3bについては、より耐久性を長くする目的で、表面を樹脂で被覆することが好ましい。また、その平均粒径は20〜80[μm]程度が好ましい。
【0034】
間隙覆いシート13については、図3に示した位置よりも上記補給口に近づけて配設してもよい。但し、図示した位置に配設すると、次のような効果を得ることができる。即ち、現像器2のケーシング6の下顎部は、図中水平方向においてパイプ部4a表面よりも感光体ドラム1側に突き出ている。このように突き出ている下顎部に設けられた間隙覆いシート13は、パイプ部4aと感光体ドラム1との間の現像ギャップの直下に位置している。二成分現像方式では、パイプ部4aに担持された現像剤3の磁性キャリア3bの一部が、何らかの反動でパイプ部4a表面から離脱して落下することがある。落下した磁性キャリア3bは、現像器2下方の搬送ガイド板や搬送中の転写紙に付着して、白ポチ発生画像などの原因となって画像品質を劣化させてしまう。しかしながら、間隙覆いシート13が現像ギャップの直下に位置すると、落下した磁性キャリア3bを受け止めることができるので、落下キャリアによる画質劣化を抑えることができる。
【0035】
上述のように、本プリンタでは、感光体ドラム1とパイプ部4aとに線速差を設けている。この線速差に起因して、トナー飛散が生じ易くなることは既に述べた通りであるが、これに加えて別の不具合が発生し易くなる。黒ベタ画像やハーフトーンのベタ画像の後端部が白く抜ける、いわゆる「後端白抜け」と呼ばれる画質劣化が発生し易くなるという不具合である。この「後端白抜け」は、次のようにして生ずるものと考えられている。即ち、パイプ部4aとドクタブレード6cとの間隙を通過して外部に出た搬送現像剤は、マグネットローラ4bの現像磁極の発する磁力によって穂立ちして磁気ブラシを形成する。そして、現像領域Dにて、この磁気ブラシの先端部分のみを感光体ドラム1に接触させる。このとき、パイプ部4aの線速が感光体ドラム1の線速よりも速く設定されているため、現像領域Dにおいて、磁気ブラシの先端部分は感光体ドラム1のベタ静電潜像の後端部分に接触する前に、感光体ドラム1の非画像部に摺擦する。このように非画像部に摺擦している間に、磁性キャリア3b表面に付着していた磁性トナー3bが上記非現像ポテンシャルの影響によってパイプ部4a側に移動する現象(以下、この現象を「トナードリフト」という。)が生じる。この結果、磁気ブラシの先端部分は、感光体ドラム1上におけるベタ静電潜像の後端部分との接触位置まで到達したときには、磁性トナー3aを含んでおらず、磁性キャリア3bを剥き出した状態になる。磁気ブラシの先端部分がベタ静電潜像の後端部分を現像するための磁性トナー3aを含んでいないために、「後端白抜け」が発生するのである。なお、本プリンタでは、トナーとして磁性トナー3aを用いる二成分現像方式を採用しているが、非磁性トナーを用いる二成分現像方式でも、同様の理由によって「後端白抜け」が発生し易くなる。また、本プリンタでは、トナー飛散を抑えるためにトナーとして磁性トナー3aを用いているため、非磁性トナーを用いる場合に比べて、トナーがパイプ部4a上から感光体ドラム1上に転移し難くなる。このことが、「後端白抜け」の発生を更に助長する結果となっている。
【0036】
磁気ブラシの先端部分がベタ静電潜像の後端部分との摺擦位置を通り過ぎ、更にパイプ4aの回転方向に進む過程で、磁気ブラシ中の磁性トナー3aは上記現像ポテンシャルの影響を受けて徐々にブラシ先端側に移動してくる。このため、ベタ静電潜像の中央付近から先端にかけては、白抜けすることなく現像される。
【0037】
本プリンタの現像器2においては、「後端白抜け」を抑えるために、上記マグネットローラ4bとして特殊なものを用いている。具体的には、現像磁極として、主磁極P1と、上流側補助磁極P1aと、下流側補助磁極P1bとを有するマグネットローラ4bである。主磁極P1(N極)と補助磁極(P1a,P1b)との角度は30°〜45°とした。かかるマグネットローラ4bを有する現像器2によれば、「後端白抜け」を効果的に抑えることができる。
【0038】
かかる現像器2によって「後端白抜け」を抑え得る理由を理解し易くするために、現像磁極に補助磁極を設けない例について説明してみる。図10(a)は、現像磁極として、補助磁極を有しておらず1つの単体現像磁極Pxだけを有するマグネットローラ4bにおける現像領域近傍の磁力分布を示す模式図である。また、同図(b)は、その単体現像磁極Pxによってパイプ部4aの表面上に拘束される現像剤3をパイプ軸線方向から見たときの形状を示す模式図である。現像磁極に補助磁極を有していないマグネットローラ4bでは、現像磁極たるN極の単体現像磁極Pxに隣り合うS極の磁極として、次のものを有している。即ち、現像領域よりもパイプ部4aの表面移動方向下流側に位置する領域で現像剤3を搬送するための磁界を形成する下流側搬送磁極Pyと、現像領域よりも上流側で現像剤を現像領域まで搬送するための磁界を形成する上流側搬送磁極Pzである。単体現像磁極Pxからは複数の磁力線が延びている。これらのうち、現像剤3を穂立ちさせて磁気ブラシの形成に寄与するものは、下流側搬送磁極Pyや上流側搬送磁極Pxまで回り込まずに、パイプ部4a表面から離れる方向に向けて延びるものだけである。現像磁極として単体現像磁極Pxだけを有するマグネットローラ4bでは、下流側搬送磁極Py、上流側搬送磁極Pzが、それぞれ単体現像磁極Pxから比較的離れた位置に配置される。このような配置では、磁気ブラシの形成に寄与する磁力線が、下流側搬送磁極Pyや上流側搬送磁極Pxまで回り込まないものの、これらの磁極の影響を受けて大きく拡散しながらパイプ部4aの表面から離れていく。かかる構成のマグネットローラ4bでは、単体現像磁極Pxの発する磁力の影響によってパイプ部4a表面上に拘束した現像剤3のうち、図10(b)中のDで示した現像領域内のものだけを穂立ちさせて磁気ブラシにする。この磁気ブラシは、個々の線状ブラシの先端側を大きく拡散させながら穂立ちしている。
【0039】
これに対し、現像磁極として主磁極と、2つの補助磁極とを設けた例について説明してみる。図4(a)は、本プリンタの現像器2のマグネットローラ4bにおける現像領域近傍の磁力分布を示す模式図である。また、同図(b)は、これらの現像磁極によって形成される磁界の影響を受けてパイプ部4a表面上に拘束される現像剤3をパイプ軸線方向から見たときの形状を示す模式図である。これらの図において、マグネットローラ4bは、N極の主磁極P1bに隣り合うS極の磁極として、上流側補助磁極P1aと、下流側補助磁極P1bとを有している。かかるマグネットローラ4bでは、感光体ドラム1との近接領域内に磁界を形成する磁極に隣り合う磁極(P1a、P1b)が、先に図10(a)及び(b)に示したもの(Pz、Py)に比べて、近接領域に近づいて配設されている。このような配設では、現像領域D近傍における磁界の磁力分布が図4(a)に示すようになる。ここで、主磁極P1bから出る磁力線の多くは、近接する2つの補助磁極(P1a,P1b)に向かうことになる。このため、磁気ブラシの形成に関与するパイプ法線方向に延びる磁力線が、図10(a)及び(b)に示したものよりも少なくなる。但し、トータルの磁力線本数は両者で同じである。かかる構成では、図4(b)に示すように、磁気ブラシの先端を感光体ドラム1に接触させ得る現像領域Dの幅(ドラム回転方向の長さ)が狭くなる。このため、磁気ブラシの先端がベタ静電潜像の後端に続く非画像部と接触する時間が大幅に短縮されて、トナードリフトが抑えられる。よって、「後端白抜け」が抑えられる。主磁極P1の磁力の影響によって形成される現像領域Dの幅の低減を補助するために設ける磁極であることが、上流側補助磁極P1a、下流側補助磁極P1bをそれぞれ「補助磁極」とネーミングした所以である。
【0040】
なお、マグネットローラ4bとして、6極の磁極を設けた例について説明したが、下流側補助磁極P1bから上流側補助磁極P1aに至る間の磁極数を更に増やし、8極や10極を設けてもよい。また、補助磁極として、下流側補助磁極P1bと上流側補助磁極P1aとを設けた例について説明したが、何れか一方だけを設けてもよい。また、本プリンタにおいては、主磁極P1を、回転中心軸に垂直な横断面における面積(以下「横断面積」という。)を小さくした磁石で構成している。この横断面積を小さくすると一般に磁力を弱めてしまう。弱め過ぎると、磁性キャリア3bをパイプ部4a表面に拘束させる力が充分ではなくなるために、感光体ドラム1へのキャリア付着を生じることがある。そこで、この主磁極P1用の磁石については、磁力の強い希土類金属合金磁石を用いて作製した。希土類金属合金磁石のうち代表的な鉄ネオジウムボロン合金磁石では最大エネルギー積で358kJ/m3であり、鉄ネオジウムボロン合金ボンド磁石では最大エネルギー積で80kJ/m3前後である。これにより、従来通常用いられていた、最大エネルギー積が36kJ/m3前後、20kJ/m3前後であるフェライト磁石、フェライトボンド磁石等と比べ強い磁力を確保することが可能となった。よって、横断面積の小さい磁石を用いても、パイプ部4a表面に磁性キャリア3bを十分な力で拘束することが可能となった。磁力を確保するためには、この他にサマリュウムコバルト金属合金磁石等を用いることもできる。
【0041】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
マグネットローラ4bの現像磁極として、主磁極P1に加えて、上流側補助磁極P1aや下流側補助磁極P1bを設けると、「後端白抜け」の発生を有効に抑える代わりに、キャリア落下を生じ易くなることがわかった。これは次に説明する理由による。即ち、補助磁極によって現像領域Dの幅を狭めると、図4(a)に示したように、補助磁極まで回り込む磁力線の回り込み半径が小さくなる。この一方で、パイプ法線方向に延びて磁気ブラシ形成に寄与する磁力線の先端側の拡散が小さくなる。これらの結果、図4(b)に示したように、穂立ちした磁気ブラシと、穂立ちしないで主磁極P1から補助磁極(P1a,P1b)側に向けて倒れ込む現像剤3との境界がはっきりする。このように境界がはっきりした状態では、パイプ4aの回転に伴って穂倒れした状態から穂立ちするまでの現像剤3の動きや、穂立ちした状態から穂倒れするまでの現像剤3の動きがより活発になる。そして、磁性キャリア3bが、活発な動きの反動によって弾き出されたり、磁極の磁力の影響を受けにくい領域に追いやられたりして、パイプ部4a上から落下し易くなるのである。
【0042】
本プリンタにおいては、間隙覆いシート13をケーシング6の下顎部に固定して上記現像ギャップの直下に位置させることで、これに落下キャリアを受け止めさせ得ることは既に述べた通りである。しかしながら、落下キャリアが多くなると、図11に示すように、それらが間隙覆いシート13上に多量に堆積する。堆積した磁性キャリア3bの一部は、パイプ部4aとともに連れ回る搬送現像剤と接触して取り込まれ、現像剤収容室5内に回収される。ところが、回収されずに振動等によって現像器2下方に更に落下するものも現れる。
【0043】
そこで、本プリンタにおいては、図5に示すように、間隙覆いシート13の固定端側部分に、ゴム製磁性体としてのラバーマグネットシート12を貼り付けている。間隙覆いシート13の固定端側部分は、現像スリーブ4の開口露出部分から落下した磁性キャリア3bをラバーマグネットシート12の発する磁力の影響によって拘束し得る位置である。よって、ラバーマグネットシート12が、現像スリーブ4から落下した磁性キャリア3bを自らの発する磁力の影響によって拘束して、現像器2よりも下方へのキャリア落下を抑える。そして、このことにより、磁性キャリア3bの現像スリーブ4からのこぼれ落ちに起因する画質劣化を抑えることができる。
【0044】
ところが、ラバーマグネットシート12を設けたことにより、新たな問題が発生してしまった。感光体ドラム1の特定領域が、非画像部であるか画像部であるかにかかわらず磁性トナーが汚れ状に付着して、画質劣化を引き起こすようになったのである。本発明者の鋭意研究により、この特定領域は、ラバーマグネットシート12から滲み出る添加剤等の滲出物を付着させていることにより、磁性トナーを付着させ易くなっていることがわかった。また、特定領域への滲出物付着は、次のようにして起こっていることもわかった。即ち、現像器2をプリンタ本体にセットする際に、現像器2自体のガタツキや、押圧によるケーシング6の下顎部6dの撓みなどによってラバーマグネットシート12を感光体ドラム1に直接接触させることがある。この直接接触により、上記特定領域に滲出物を付着させていたのである。
【0045】
そこで、本プリンタにおいては、ラバーマグネットシート12における感光体ドラム1との対向面の少なくとも一部を塞止部材で覆うようにした。かかる構成では、現像器2をプリンタ本体に組み付ける際に現像器2のガタツキや撓みが生じても、ラバーマグネットシート12を感光体ドラム1に直接接触させることがなく、滲出物を塞き止める塞止部材を介して間接接触させる。よって、現像器2を組み付ける際にラバーマグネットシート12からの滲出物を感光体ドラム1に付着させることによる画質劣化を抑えることができる。
【0046】
なお、上記塞止部材で覆う部分について、ラバーマグネットシート12における感光体ドラム1との対向面の「全て」ではなく、「少なくとも一部」としたのは次に説明する理由による。即ち、組付の際に、現像器2本体を最大限にガタつかせたり、ケーシング6の下顎部を最大限に撓ませたりしても、ラバーマグネットシート12において感光体ドラム1に決して接触することのない部分が発生する場合がある。このような部分については、感光体ドラム1との直接接触を確実に回避することができるため、上記塞止部材による覆いを省略することができるからである。また、例えば5[mm]以上などといった比較的厚めの塞止部材では、ラバーマグネットシート12の上記対向面から大きく突出する。このため、上記対向面から比較的離れた位置で感光体ドラム1に突き当たることで、上記塞止部材が設けられていない対向面部分の感光体ドラム1との直接接触を回避し得ることもある。このような塞止部材では、たとえ上記対向面のほんの一部分だけに設けられたとしても、ラバーマグネットシート12と感光体ドラム1との直接接触を回避することができる。以上のような理由により、ラバーマグネットシート12における感光体ドラム1との対向面の全てを塞止部材で覆う必要はないのである。但し、ラバーマグネットシート12のエッジ部分については、塞止部材で覆うことが望ましい。感光体ドラム1と線接触するエッジ部分は、線状の接触跡が強く残すため、シャープな線画像を顕著に生じてしまうからである。
【0047】
ラバーマグネットシート12の材料としては、30〜50[mT]に着磁された住友3M社製:N−1400などを用いることができる。本プリンタでは、長さ310[mm]、厚み1[mm]のラバーマグネットシートを使用し、感光体ドラム1との間に0.5〜2.0[mm]の間隙を保持させるようにした。
【0048】
間隙覆いシート13については、その長手方向の面を、現像スリーブ4の法線方向と略平行にする姿勢で固定することが望ましい。かかる姿勢では、間隙覆いシート13の上面と、下流側補助磁極P1bによってパイプ表面から突出するように形成される磁界の突出方向とを平行にして、シート上に堆積した落下キャリアをできるだけ磁界の近くにとどめる。そして、このことにより、堆積した落下キャリアをパイプ部4aと連れ回る搬送現像剤に戻し易くすることができるからである。本プリンタでは、現像器2のケーシング6底面から40〜50[°]傾けた姿勢で間隙覆いシート13を固定している。
【0049】
また、ラバーマグネットシート12については、図5に示したように、間隙覆いシート13の固定端側に固定することが望ましい。このような固定では、間隙覆いシートの固定端側に落下した磁性キャリア3bをラバーマグネットシート12に向けて案内することができるからである。また、ラバーマグネットシート12の貼り付け方向については、図6に示すように、下流側補助磁極P1bと同極性(S極)側の面を、感光体ドラム1に対面させる方向にすることが望ましい。これは、本発明者が、コンピュータシミュレーションによって次のようなことを確認したからである。即ち、上述の貼り付け方向では、間隙覆いシート13上に堆積した落下キャリアに対して、ラバーマグネットシート12から現像スリーブ4に向けて移動させる磁力を発揮し得る磁界を形成し得ることを確認したのである。よって、上述の貼り付け方向を採用すれば、落下キャリアの回収を助長することができる。具体的には、通紙等によって現像器2に振動を加えて間隙覆いシート13上に磁性キャリア3bを落下させても、ラバーマグネットシート12の発する磁力の影響によってパイプ部4aに引き戻すことが可能になるのである。
【0050】
なお、ラバーマグネットシート12からの滲出物を塞き止める塞止部材の材質としては、次のようなものが挙げられる。即ち、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PUR(ポリウレタン)、PS(ポリスチレン)、ABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネイト)等である。また、ラバーマグネットシート12からの滲出物としては、酸化亜鉛、ステアリン酸(加硫促進剤)、硫黄(加硫剤)、パインタール(軟化剤)などが挙げられる。
【0051】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した実施例のプリンタについて説明する。
[実施例1]
図7は、本実施例1に係るプリンタの間隙覆いシート13とラバーマグネットシート12とを示す側面図である。図において、ラバーマグネットシート12は、基本的には間隙覆いシート13のおもて面(感光体ドラムと対面する方の面)側に固定されている。但し、間隙覆いシート13の固定端側は、ラバーマグネットシート12の裏面(感光体ドラムとの対向面とは反対面)側からおもて面側に回り込んでいる。そして、ラバーマグネットシート12のおもて面の全域を覆っている。間隙覆いシート13の固定端側が、ラバーマグネットシート12のおもて面を覆う塞止部材として機能しているのである。かかる構成では、塞止部材たる間隙覆いシート13の固定端側でラバーマグネットシート12のおもて面の全域を覆っているので、必ず間隙覆いシート13を介してラバーマグネットシート12を図示しない感光体ドラムに接触させる。よって、現像器の組付時におけるラバーマグネットシート12と感光体ドラムとの直接接触を回避することができる。また、1つの間隙覆いシート13を設けることにより、現像剤収容室からのトナー飛散と、こぼれ落ちキャリアによる画質劣化との両方を抑えることができる。
【0052】
なお、ラバーマグネットシート12のおもて面を覆う塞止部材として間隙覆いシート13を機能させる態様については、種々のものが挙げられる。例えば間隙覆いシート13の裏面にラバーマグネットシート12のおもて面を貼り付けてもよい。しかしながら、かかる態様では、ラバーマグネットシート12を間隙覆いシート13のおもて面から突出させることができない。一方、図7に示した態様では、間隙覆いシート13のおもて面からラバーマグネットシート12を突出させることができる。間隙覆いシート13が落下キャリアを受け止める部分は、そのおもて面である。よって、ラバーマグネットシート12を間隙覆いシート13のおもて面から突出させていると、間隙覆いシート13の上に落下した磁性キャリア3bをラバーマグネットシール12の上面に引っ掛けることが可能になる。そして、このことにより、現像器2の下方へのキャリア落下をより確実に抑えることができる。然るに、図7に示したように、間隙覆いシート13のおもて面にラバーマグネットシート12の裏面を貼り付けるとともに、間隙覆いシート13の固定端側をラバーマグネットシート12の裏面側からおもて面に回り込ませた態様の方が望ましい。
【0053】
[実施例2]
図8は、本実施例2に係るプリンタの現像器のケーシング6における下顎部6d周辺を示す拡大構成図である。図において、ラバーマグネットシート12は、その下端を間隙覆いシート13の固定端に揃えた状態で、間隙覆いシート13のおもて面に貼り付けられている。よって、間隙覆いシート13の固定端側は、ラバーマグネットシート13のおもて面を覆う塞止部材として機能していない。代わりに、ケーシング6の下顎部6dの先端部分(図中の円で囲まれた部分)が、ラバーマグネットシート12のおもて面に向けて回り込んで、そのおもて面を覆う塞止部材として機能している。現像器の筺体たるケーシング6の一部を、ラバーマグネットシート12を覆う塞止部材として機能させているのである。下顎部6dの先端部分は、ラバーマグネットシート12のおもて面の全域に回り込んでいるわけではなく、下端付近部分にだけ回り込んでいる。よって、おもて面の全域を覆っているわけではない。しかしながら、回り込んでいる部分が比較的厚い。このため、ラバーマグネットシート12のおもて面から大きく突出している。そして、現像器の組付時に、下顎部6d全体の撓みや、現像器本体のガタツキなどが発生すると、下顎部6dの回り込み部分がラバーマグネットシート12のおもて面から比較的離れた位置で感光体ドラムに突き当たる。このような突き当たりにより、現像器本体のそれ以上のガタツキや、下顎部6d全体のそれ以上の撓みが阻止され、ラバーマグネットシート12と感光体ドラムとの直接接触が回避される。
【0054】
かかる構成では、現像器の筺体の一部たる下顎部6dを、ラバーマグネットシート12の固定手段として機能させるとともに、ラバーマグネットシート12のおもて面の一部を覆う塞止部材としても機能させることができる。
【0055】
これまで、実施形態や各実施例において、上記現像器2を単独でプリンタ本体に着脱させる構成のプリンタについて説明した。しかしながら、現像器2を、上記感光体ドラム1、帯電ローラ50、除電ランプ59、ドラムクリーニングユニット58の中より選ばれる少なくとも1つと一体にし、プロセスカートリッジとして着脱するようにしてもよい。図9は、かかるプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。この図では、現像器2、感光体ドラム1、帯電ローラ50、ドラムクリーニングユニット58を一体にしたプロセスカートリッジの例を示している。なお、同図に示した現像器2では、現像剤収容室5の上部に着脱可能なキャリアカートリッジ14を設け、これの装着によってキャリアの補充を行えるようにしている。
【0056】
また、実施形態や各実施例において、感光体ドラム1に形成したトナー像を転写紙に直接転写するプリンタについて説明したが、中間転写体を介して間接的に転写させるようにしてもよい。また、1つの現像器2を用いて単色の画像を形成するプリンタについて説明したが、複数の現像器2を用いて多色画像を形成するプリンタにも本発明の適用が可能である。かかる多色画像を形成し得るプリンタとしては、潜像担持体としてシングル方式のものを備えるものや、タンデム方式のものを備えるものがある。シングル方式のものでは、感光体ドラム1等の潜像担持体を1つだけ備え、その周囲にそれぞれ異なる色のトナーを用いる複数の現像器が配設されている。そして、潜像担持体に異なる色用の静電潜像を順次形成してそれ専用の色の現像器で現像し、得られたトナー像を中間転写体に重ね合わせて中間転写していく。このような重ね合わせの中間転写により、多色画像の形成を可能にしている。また、タンデム方式のものでは、それぞれ異なる色のために用意された複数の潜像担持体と、各潜像担持体にそれぞれ個別に複数の現像器とを備えている。
【0057】
また、プリンタではなく、複写機やファクシミリ等の他の画像形成装置や、現像器にも本発明の適用が可能であることは言うまでもない。
【0058】
以上に説明したように、実施例1に係るプリンタの現像器2においては、現像剤収容室5の開口からのトナー漏洩を抑えるためのシート状部材である間隙覆いシート13を、ラバーマグネットシート12のおもて面を覆う塞止部材として機能させている。かかる構成では、また、1つの間隙覆いシート13を設けることにより、現像剤収容室からのトナー飛散と、こぼれ落ちキャリアによる画質劣化との両方を抑えることができる。
また、実施例2に係るプリンタの現像器2においては、現像剤収容室5の筐体の一部である下顎部6dを、ラバーマグネットシート12のおもて面を覆う塞止部材として機能させている。かかる構成では、下顎部6dを、ラバーマグネットシート12の固定手段として機能させるとともに、ラバーマグネットシート12のおもて面の一部を覆う塞止部材としても機能させることができる。
また、実施形態や各実施例に係る現像器2においては、磁界発生手段たるマグネットローラ4bとして、現像磁極が主磁極P1と、上流側補助磁極P1aと、下流側補助磁極P2bとから構成されるものを用いている。かかる構成では、現像領域Dの幅を狭めて、「後端白抜け」の発生を有効に抑えることができる。しかも、現像領域Dの幅を狭めたことに起因して落下キャリアが生じ易くなっているにもかかわらず、ラバーマグネットシート12を設けたことにより、落下キャリアに起因する画質劣化を有効に抑えることもできる。
また、図9に示したプロセスカートリッジにおいては、図示のようにおもて面が非磁性材料たる間隙覆いシート13によって覆われたラバーマグネットシート12を有する現像器2を備えている。かかる構成では、落下キャリアに起因する画質劣化をマグネットシート12によって抑えることができる。また、プロセスカートリッジをプリンタ本体に組み付ける際に、現像器2をガタつかせたり、その下顎部を押圧によって撓ませたりしてラバーマグネットシート12を感光体ドラム1に直接接触させることに起因する画質劣化をも抑えることができる。
また、実施形態や各実施例に係るプリンタにおいては、おもて面の少なくとも一部が非磁性材料によって覆われたラバーマグネットシート12を有する現像器2を備えている。かかる構成では、落下キャリアに起因する画質劣化と、現像器2を組み付ける際にそのラバーマグネットシート12からの滲出物を感光体ドラム1に付着させることに起因する画質劣化との両方を抑えた高品質の画像を形成することができる。
【0059】
【発明の効果】
請求項1乃至7の発明によれば、磁性粒子のこぼれ落ちに起因する画質劣化と、現像器のゴム製磁性体からの滲出物を潜像担持体に付着させることに起因する画質劣化との両方を抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】同プリンタの現像器を示す概略構成図。
【図3】初期状態の同現像器を示す概略構成図。
【図4】(a)は、同現像器のマグネットローラにおける現像領域近傍の磁力分布を示す模式図。
(b)は、同マグネットローラの現像磁極によって形成される磁界の影響を受けて現像スリーブ表面上に拘束される現像剤をスリーブ軸線方向から見たときの形状を示す模式図。
【図5】同現像器の一部と、感光体ドラムとを示す拡大構成図。
【図6】同現像器の現像領域の周辺を示す拡大模式図。
【図7】実施例1に係るプリンタの現像器の間隙覆いシートとマグネットシートとを示す側面図。
【図8】実施例2に係るプリンタの現像器のケーシングにおける下顎部周辺を示す拡大構成図。
【図9】変形例装置のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図。
【図10】(a)は、現像磁極として、補助磁極を有しておらず1つの単体現像磁極だけを有するマグネットローラにおける現像領域近傍の磁力分布を示す模式図。
(b)は、同単体現像磁極によって現像スリーブの表面上に拘束される現像剤をスリーブ軸線方向から見たときの形状を示す模式図。
【図11】マグネットシートを設けていない従来の現像器と、これに対向する感光体ドラムとの現像領域周辺を示す拡大構成図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(潜像担持体)
2 現像器
3 現像剤
3a 磁性トナー(トナー)
3b 磁性キャリア(磁性粒子)
4 現像スリーブ
4a パイプ部
4b マグネットローラ(磁界発生手段)
5 現像剤収容室
6 ケーシング(筺体)
6a 仕切壁
6b プレドクタ
6c ドクタブレード
6d 下顎部(筺体の一部)
8 トナーホッパ
9 アジテータ
10 現像バイアス電源
12 ラバーマグネットシート(ゴム製磁性体)
13 間隙覆いシート(シート状部材)
50 帯電ローラ(帯電手段)
51 光書き込みユニット
52 転写紙
53 転写ローラ(転写手段)
58 ドラムクリーニングユニット(クリーニング手段)
59 除電ランプ(除電手段)
Claims (7)
- トナーと磁性粒子とを含有する現像剤を収容する現像剤収容室と、磁界発生手段の発する磁力の影響によって該現像剤収容室内の現像剤を担持した表面を、潜像担持体に対面させ得るように該現像剤収容室の開口から露出させる現像剤担持体と、該現像剤担持体の表面の開口露出部分から落下した該磁性粒子を自らの発する磁力の影響によって拘束し得る位置に配設されたゴム製磁性体とを備える現像器において、
上記ゴム性磁性体を現像器の筺体における上記開口よりも外側箇所に固定し、且つ、該ゴム製磁性体からの滲出物を塞き止める塞止部材で、該ゴム製磁性体における上記潜像担持体との対向面の少なくとも一部を覆ったことを特徴とする現像器。 - 請求項1の現像器であって、
上記塞止部材が、上記開口からのトナーの漏洩を抑えるべく、上記現像剤収容室の内壁と上記現像剤担持体の表面との間隙の少なくとも一部を覆うように配設されたシート状部材であることを特徴とする現像器。 - 請求項1の現像器であって、
上記塞止部材が、上記現像剤収容室の筐体の一部であることを特徴とする現像器。 - 請求項1、2又は3の現像器であって、
上記磁界発生手段が、上記現像剤担持体と上記潜像担持体との対面領域において上記現像剤担持体の表面に現像剤を上記潜像担持体に接触させ得る厚みで担持させるための主磁極と、自らの形成する磁界の少なくとも一部を上記開口よりも潜像担持体側に位置させる程度に該主磁極に対して近接配設され且つ該主磁極とは反対極性の補助磁極とを備えることを特徴とする現像器。 - 請求項4の現像器であって、
上記補助磁極が、上記主磁極よりも上記現像剤担持体の表面移動方向の下流側に配設されるものであり、且つ、上記ゴム製磁性体が該補助磁極と同極性の磁極面を上記潜像担持体に対面させるものであることを特徴とする現像器。 - 潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体を一様帯電せしめる帯電手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像器と、該現像器での現像によって得られたトナー像を該潜像担持体から転写体に転写せしめる転写手段と、転写後の該潜像担持体を除電する除電手段と、転写後の該潜像担持体に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段とを備える画像形成装置に用いられ、
該潜像担持体と、該帯電手段と、該除電手段と、該クリーニング手段との中より選ばれる少なくとも1つと、該現像器とが一体になって画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジにおいて、
上記現像器として、請求項1、2、3、4又は5のものを用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像器とを備える画像形成装置において、
上記現像器として、請求項1、2、3、4又は5のものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
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