JP4057358B2 - 椅子 - Google Patents

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JP4057358B2
JP4057358B2 JP2002194471A JP2002194471A JP4057358B2 JP 4057358 B2 JP4057358 B2 JP 4057358B2 JP 2002194471 A JP2002194471 A JP 2002194471A JP 2002194471 A JP2002194471 A JP 2002194471A JP 4057358 B2 JP4057358 B2 JP 4057358B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、座がその後部を前部に対して傾斜させた姿勢で座支持機構に支持されるとともに、その座を前記座支持機構に対して前後にスライドさせるスライド機構を有した椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、座の後部を前部に対して傾斜させ、着座者の臀部により沿うような形状とした椅子が知られている。具体的には、座を下方から支持する前座支持面及び後座支持面とを有し、前記前座支持面に対して前記後座支持面を傾斜させてなる座支持機構に座を支持させている。
【0003】
その一方で、座り心地や使い勝手を向上させる目的で、椅子の多機能化が進んでいる。例えば座を前後方向にスライドさせて、体格に合わせて座の奥行きを調整できるようにしたもの等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかして、前記座支持機構を有するような椅子において、座の奥行き調整を行えるようにすべく、座支持機構に対して座を前後スライドさせ得るようにスライド機構を付与した場合、座の後部と前部との境目の曲がっている部分において、座が浮き上がってしまったり、或いはスライド動作に円滑性を欠くようになったりする恐れがある。
【0005】
すなわち、このような構成のものにおいては、座の前後中間部の所定領域にスライド移動範囲に応じた奥行き幅を有する曲がりやすい曲げ領域を設定しておく必要がある。しかしながら、この曲げ領域における部材は可撓性に富むため、この領域に座側のスライド係合部を設けると、その曲げ領域における曲がりや可撓性の影響をうけ、スライド係合部の位置や姿勢が変動しやすい。そしてその結果座支持機構側のスライド被係合部とこぜたりして、スライド移動の円滑性が阻害される恐れが高くなる。その一方で、この領域になんらスライド係合部を設けないと、この領域を座支持機構に沿わせることができなくなり、座の後部と前部との境目において座が浮き上がってしまう恐れが生じる。
【0006】
本発明は上記問題を解決するために、座がその後部を前部に対して傾斜させた姿勢で座支持機構に支持されるとともに、その座を前記座支持機構に対して前後にスライドさせるスライド機構を有した椅子において、座のスライド円滑性を担保しつつ、座が前記座支持機構の前座支持面及び後座支持面に沿って確実にスライドできるようにすることをその所期の課題としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明に係る椅子は、他の領域よりも可撓性に富む曲がり部を少なくともその一部に形成してなる前後に所定幅を有した曲げ領域を有し、その曲げ領域を境にして後部を前部に対して傾斜させ得るようにした座と、前記座の前部お及び後部を下方からそれぞれ支持する前座支持面及び後座支持面を有し、前記前座支持面に対して前記後座支持面を傾斜させてなる座支持機構と、前記座を前記曲げ領域において屈曲又は湾曲させ、その前部を前記前座支持面に、かつその後部を前記後座支持面に略沿わせた状態で前後にスライド移動可能に保持するスライド機構とを備え、前記スライド機構が、座の下面側に設けられたスライド係合部と、座支持機構の座支持面側に設けられ前記スライド係合部にスライド可能に係り合うスライド被係合部とを具備するものであって、前記他の領域から前記曲げ領域内に一体的に突出し、なおかつ当該曲げ領域における他の座構成部材とは切り離されてなる突出片を設けるとともに、この突出片に前記スライド係合部を形成していることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、曲げ領域内にスライド係合部が位置するので、座の後部と前部との境目において座が浮き上がってしまうことを防止できる。また、このスライド係合部は、曲げ領域における座構成部材とは切り離されてなる突出片に設けられているため、曲げ領域における構成部材の曲がりや可撓性による影響を受けて位置がずれたり姿勢が変わったりすることを防止できる。したがってスライド係合部と座支持機構側のスライド被係合部との良好な係合状態を常に保持して座のスライド円滑性を担保できる。なお、前記曲げ領域の「所定幅」とは、座の前後スライド範囲と同じ又は大きいものである。また「一体的に」とは、一体成形等により同一部材で、という意味の他、ねじ止め等により別部材を固定するような態様も含む。
【0009】
スライド係合部の具体的な実施態様としては、前記スライド係合部が、座の下面から一体に下方に垂下する垂下部と、この垂下部から側方に延びる側方延伸部とを備えたものを挙げることができる。
【0010】
製作の簡単化を図るためには、前記座が、その下面を形成する座シェルを有したものであり、この座シェルに前記突出片及びスライド係合部を例えば型成形等により一体に設けているものが好ましい。
【0011】
このような突出片を簡単に設けるには、座シェルの厚み方向に貫通する貫通溝を設け、その貫通溝の一端部及び他端部を前記他の領域に位置させるとともに、その中間部を前記曲げ領域内に位置づけ、前記曲げ領域において貫通溝に囲まれた部分を突出片とすることが好ましい。
【0012】
前記曲がり部の具体的実施態様としては、左右に延びる有底溝を挙げることができる。
【0013】
座り心地の向上や、シンクロチルト機構を有したものに対応するために好適な態様としては、前記座支持機構が、前座支持面に対する後座支持面の傾斜角度を可変に構成したものがよい。
【0014】
具体的には、傾動可能な背フレーム構造体と座受とを具備するものであって、前記座受に前座支持面を設けるとともに、前記背フレーム構造体に後座支持面を設けているものが好ましい。
【0015】
スライド機構と協働して座の前後方向(奥行き方向)位置の調整を行うためには、前記スライド機構によりスライドさせた座の前後位置を所望の位置に固定する座位置固定機構が必要となる。具体的には、前記座位置固定機構が、前記座支持機構側に前後に並び設けられた複数の被係止部と、座側に設けられ前記係止部に係脱可能に係り合う係止部と、座側に設けられ前記係止部を係止位置と非係止位置との間で移動させるための操作手段と備えてなり、座をスライドさせて係止部を係止させるべき被係止部を選択的に変更可能に構成したものが好ましい。このようなものであれば、操作手段が座と連動して動くため、操作がしやすくなるからである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係る椅子Cは、図1、図2に示すように、構造体としての基盤をなす椅子本体1に、座6及び背もたれ5Aを取り付けてなるものである。この椅子本体1は、脚2及び脚2の上端側に取り付けた支持体3からなる脚構造体KKと、この脚構造体KKの上方に位置する座受4と、これら脚構造体KK及び座受4の外側方に位置し左右に離間して対をなす背フレーム5を有する背フレーム構造体BKとを備えてなる。
【0018】
そして、前記支持体3に、座受4の前端部を前後スライドかつ回転可能に連結するとともに、前記背フレーム5の基端部に設定した脚構造体結合部位5b及び中間部に設定した座受結合部位5aを、前記支持体3の上後端部及び前記座受4の後端部に、それぞれ第2の回転軸たる前背フレーム取付軸X2及び第1回転軸たる後背フレーム取付軸X1を介して回転可能に連結することによって、前記背フレーム5に支持させた背もたれ5A及び座受4に支持させた座6が、通常姿勢Pと後傾姿勢Qとの間で同期して傾動動作するようにしている。
【0019】
各部を詳述する。
【0020】
脚2は、5本の脚羽根21の中央から支柱22を立ち上げた構造をなし、支柱22は昇降可能であって内部に図示しないガススプリング機構を組み込んでいる。
【0021】
支持体3は、図2〜図4に示すように、前記支柱22の上端部に回転可能に取り付けた概略舟形をなすもので、前方に水平に延びその一部に支柱22を上下方向に貫通させてなる底壁31と、この底壁31の前端から斜め前方に傾斜して立ち上がる前傾斜壁32と、これら底壁31及び前傾斜壁32の周囲より起立して前記底壁31及び前傾斜壁32とともに内側に上方に開口する機構部収納空間を形成する側壁33とを具備する。そして前記側壁33の前部間に亘って、前座受取付軸X3を貫通させている。この前座受取付軸X3は、各側壁33に設けた前後に伸びる長孔Nにより前後にスライド可能に支持されている。各側壁33の後部には貫通孔がそれぞれ設けてあって、底壁31上方を横断する位置に、側壁33間に亘って前背フレーム取付軸X2を貫通させている。
【0022】
座受4は、図3、図5、図6に示すように、前記支持体3上に位置して座6を支持するものである。この座受4は、前後に延びる一対の縦フレーム41と、これら縦フレーム41の中間部間及び後端部間を連結する位置に横架した横フレーム42、43とを具備する金属製もので、概略井桁状をなす。縦フレーム41及び中央の横フレーム42はそれぞれチャネル状のなすものであって、図13に模式的に示すように、いずれか一方のフレーム41(42でもよい)の側壁411に上下に延びる溝411aを設け、その溝411aに他方のフレーム42(41でもよい)の側壁421を嵌め込んで、溶接、ねじ止め、接着等により側壁411、421同士を接合するようにしている。もちろん、双方の側壁411、421にそれぞれ中間高さまで溝を形成しても構わない。しかしてこのことにより、側壁411、421同士が互いを支持するリブ構造をなすようにして、各側壁411、421が荷重等により内側や外側へ変形することを効果的に防止し、座受4の剛性向上を無理なく図れるようにしている。詳述すると、本実施形態では、これら縦フレーム41及び横フレーム42を、例えば平板状の金属板を折り曲げることにより形成する。縦フレーム41は、平面視前端部間の離間距離を後端部間のそれよりも大きく設定したクランク状をなすものであることから、その底壁412をクランク状をなすものとし、その側縁から屈曲させて側壁411を立ち上げている。この側壁411には、横フレーム42の側壁421を嵌めるための溝411aが上下に延びるように貫通させてある。そして縦フレーム41と横フレーム42とを嵌め合わせることで、互いにリブ構造となり互いの変形を防止している。前記溝411aは、側壁411を折り曲げ前に予め打ち抜き等により形成しているが、もちろん折り曲げ後に形成するようにしてもよい。
【0023】
一方、前記横フレーム42、43のうち後側のもの43は、円筒状をなす中空パイプである。この横フレーム43は、縦フレーム41の側壁411に溶接等により接合されて、側壁411の変形をさらに防止する役割を果たすとともに、前記後背フレーム取付軸X1の軸受部としての役割も果たす。具体的には、その両端部に樹脂製スリーブSL1が嵌め込んであって、前記後背フレーム取付軸X1をこの樹脂製スリーブSL1を介して軸支する。又、各縦フレーム41の前端部には、左右に貫通する貫通孔を設けてあって、これら貫通孔に前座受取付軸X3の各端部を貫通させてある。なお、これら各フレーム41、42、43を強度的な問題さえクリアできるのであれば、樹脂等、金属以外の素材を用いてもよいし、折り曲げ加工によらないパイプ材を用いてもよいのは言うまでもない。また、本実施形態では、前記横フレーム42に肘掛を支持するための機能をも付加させうるように構成している。
【0024】
背フレーム5は、図6等に示すように、アルミダイキャスト製のもので、側面視概略くの字型に屈曲する形状をなす。具体的には通常姿勢Pにおいてその下半部51が後方に向かうに連れ徐々に上昇し、上半部52は、下端部51の後端から起立するように設定してある。そして、背フレーム5の基端部(下端部)5bには、内向き面に開口し外向き面には開口しない第2有底穴54が設けてあって、その有底穴54に前記前背フレーム取付軸X2の端部を嵌め込むことにより、この部位5bを前記前背フレーム取付軸X2に回転可能に支持させている。また前記基端部5bから後方に偏位させた部位5aには、内向き面に開口し外向き面には開口しない第1有底穴53が設けてあって、その有底穴53に前記後背フレーム取付軸X1の端部を嵌め込むことによりこの部位5aを後背フレーム取付軸X1に回転可能に支持させてある。
【0025】
一方、上述したように背フレーム5を外側方から嵌め込むだけの構成であると、前記背フレーム5が外側方に抜け落ちるため、本実施形態では、抜け止めのために、背フレーム5間に連結部材71を掛け渡し、前述した背フレーム構造体BKを形成することにより各背フレーム5の互いに離間する方向への動作を禁止するようにしている。
【0026】
この連結部材71は、図5、図6に示すように、前記各背フレーム5の下半部51における後側、具体的には前記後背フレーム取付軸X1よりも後側に架け渡され、当該背フレーム下半部51の傾斜方向に沿って傾斜するように構成した板状をなすものである。そしてその両側部を背フレーム5から内側方に突出させた支持板部57にねじ止めするようにしている。詳述すると、この連結部材71は、中央板部711と、この中央板部711の両側縁から一体に屈曲垂下させた起立板部712と、これら起立板部712の下端縁から外側方に一体に屈曲延伸させた取付板部713とを備えたものであり、これら取付板部713を前記支持板部57にねじ止め固定している。
【0027】
しかして本実施形態では、前記座受4に座6の前部を支持させるとともに、前記連結部材71に座6の後部を支持させ、前記座受4及び連結部材71により座支持機構ZSを構成するようにしている。また、この座支持機構ZSと座6との間にスライド機構9を設け、座6を座支持機構ZSに対し前後スライド可能に保持させている。
【0028】
各部を説明すると、座支持機構ZSは、図5に示すように、座受4における上面に前座支持面ZS1を設定し、連結部材71における中央板711の上面に後座支持面ZS2を設定するとともに、前記前座支持面ZS1に対し後座支持面ZS2が後ろに行くにつれ上昇するように傾斜させてなるものである。そしてこの前座支持面ZS1と後座支持面ZS2とのなす角度が、背フレーム5の傾動動作に応じて変化するように、具体的には後傾姿勢Q側に倒すに連れ増大するように構成してある。
【0029】
座6は、クッション62とこのクッション62を下方から支持して剛性を担保するための座シェル61とを備えるものである。この座シェル61は、樹脂製板状をなす型整形品であり、他の領域よりも可撓性に富む曲がり部61a1を少なくともその一部に形成してなる前後に所定幅を有した曲げ領域61aを有し、その曲げ領域61aを境にして後部を前部に対して湾曲又は屈曲させ得るようにしてある。曲げ領域61aには、曲がり部たる左右に延伸する有底溝61a1を複数設け、その曲がり部61a1における可撓性を他の部分よりも高めるようにしてある。
【0030】
スライド機構9は、前記座6を前記曲げ領域61aにおいて屈曲又は湾曲させ、その前部を前記前座支持面ZS1に、かつその後部を前記後座支持面ZS2に略沿わせた状態で、座6を座支持機構ZSに対し前後にスライド移動可能に保持するものである。具体的にこのスライド機構9は、図8に示すように、座6の下面側に設けられたスライド係合部93、94、96と、座支持機構ZSの座支持面ZS1、ZS2側に設けられ前記スライド係合部93、94、96にスライド可能に係り合うスライド被係合部91、92、95とを具備するものである。
【0031】
スライド係合部93、94、96は、座シェル61の下面から一体に下方に垂下する垂下部93a、94a、96aと、この垂下部93a、94a、96aから内側方に延びる側方延伸部93b、94b、96bとを備えた内向き鉤状をなすもので、左右に対をなすようにして前後3箇所に設けてある。しかしてこのうちの前後中間に位置する左右一対のスライド係合部94に関しては、図7、図9に示すように、前記曲げ領域61aよりも前方の他領域61bから当該曲げ領域61a内に突出させた左右一対の突出片611にそれぞれ一体に設けるようにしている。具体的に説明すると、座シェルる61の厚み方向に貫通する貫通溝612を設け、その貫通溝612の一端部及び他端部を前記他領域61b又は曲げ領域61aとの境界に位置付けるとともに、その中間部を平面視コの字型にして前記曲げ領域61a内に位置づけ、その曲げ領域61aにおいて貫通溝612に囲まれた部分を突出片611としている。この突出片611には曲がり部61a1は形成されておらず、その下面からスライド係合部94を下方に一体に突出させている。
【0032】
一方、スライド被係合部91、92、95は、前座支持面ZS1の前端部及び後端部に2箇所(91、92)、及び後座支持面ZS2に1箇所(95)において、それぞれ左右に対をなして設けられたものである。より具体的には、前記縦フレーム41の前端部及び後端部においてその上端外側面に沿って前後に延びるように一体に設けた鍔状をなすもの91、92と、中央板部711の各側縁から前記起立板部712を一部切り起こすようにして左右に延伸させた鍔状をなすもの95とを設けている。なおこれらスライド被係合部91、92、95の前後延伸寸法は、少なくとも座6の前後スライド範囲よりも大きくなるように設定してある。そしてこれら左右に対をなす各スライド被係合部91、92、95に、座シェル61の下面から突出する左右一対のスライド係合部93、94、96を外側方から抱くように係合させ、座6を座支持機構ZSに前後にスライド可能に支持させている。
【0033】
さらに本実施形態では、前記スライド機構9によりスライドさせた座6の前後位置を所望の位置に固定する座位置固定機構1を設け、このスライド機構9と座位置固定機構1により、座6の前後位置(奥行き位置)調整を行えるようにしている。
【0034】
座位置固定機構1は、図3、図5、図11等に示すように、前記座支持機構ZS側に前後に並び設けられた複数の被係止部11と、座6側に設けられ前記被係止部11に係脱可能に係り合う係止部12と、座6側に設けられ前記係止部12を係止位置と非係止位置との間で移動させるための操作手段13と備えてなり、座6をスライドさせて係止部12を係止させるべき被係止部11を選択的に変更可能に構成したものである。詳述すると被係止部11は、前記一方の縦フレーム41の前端部に内向きに突出する鍔部Tを設け、この鍔部Tに前後に複数の形成した凹部である。係止部12は後述する操作手段13の後端部に設けられて前記被係止部11のいずれかに選択的に内側方から嵌まり込む下向きの爪状のものである。操作手段13は、座シェル61にその中央部を垂直軸周りに旋回可能に取り付けられた棒状体131と、この棒状体131の前端に取り付けられた操作レバーとを備えたもので、この棒状体131の後端部に前記係止部12を一体に垂下するように取り付けている。前記操作レバー132は座6の下方前側に位置づけてあって、この操作レバー132を回転操作することにより、前記係止部12が前記被係止部11に係合して座6のスライド動作を禁止し、座6の前後位置を固定する係止位置と、前記被係止部12から離脱して座6のスライド移動を許容する非係止位置との間で移動させ得るように構成してある。なお、前記棒状体131はバネ等の付勢手段14によって常に係止位置方向に弾性付勢してある。また、図中符号15は、座の前方への移動範囲を規制するストッパである。このストッパ15は、図12に示すように、座シェル61と一体成形した下方に突出するもので、その前向き面を前記横フレーム42の後端面に当てることにより、座6のそれ以上前方への移動を規制する。
【0035】
したがって、本実施形態によれば、曲げ領域61a内にスライド係合部94が位置するので、座6の後部と前部との境目の曲がる部分において座6が確実に座支持機構ZSに保持され、座6が浮き上がってしまうことを防止できる。また、このスライド係合部94は、曲げ領域61aにおける他の座構成部材とは切り離されてなる突出片611に設けられているため、図10に示すように、曲げ領域61aにおける構成部材の曲がりや可撓性による影響を受けて位置がずれたり姿勢が変わったりすることを防止できる。したがってスライド係合部94と座支持機構ZS側のスライド被係合部92との良好な係合状態を常に保持して座6のスライド円滑性を担保できる。
【0036】
また、本実施形態では、座シェル61の厚み方向に貫通する貫通溝612を設け、貫通溝に囲まれた部分を突出片611としているので、構造簡単化を図れる。
【0037】
さらに、前記連結部材71を利用して、前座支持面ZS1に対し傾斜する後座支持面ZS2を形成しているため、部品点数の削減を図ることができる。
【0038】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0039】
例えば、椅子の構成はシンクロチルト機能を有するものに限られず、座の後部を前部に傾斜させた状態で、座をスライド移動させるものであれば、前記実施形態と同様の作用効果を奏し得る。また、スライド機構の構成も前記実施形態に限られるものではないし、曲がり部も、溝以外に例えば可撓性に富む別素材を用いるなどしてもよい。
【0040】
その他本発明は上記各図示例に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能であるのは言うまでもない。
【0041】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明によれば、曲げ領域内にスライド係合部が位置するので、座の後部と前部との境目において座が浮き上がってしまうことを防止できる。また、このスライド係合部は、曲げ領域における座構成部材とは切り離されてなる突出片に設けられているため、曲げ領域における構成部材の曲がりや可撓性による影響を受けて位置がずれたり姿勢が変わったりすることを防止できる。したがってスライド係合部と座支持機構側のスライド被係合部との良好な係合状態を常に保持して座のスライド円滑性を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る椅子の正面図。
【図2】同実施形態に係る椅子の側面図。
【図3】同実施形態に係る椅子の支持体及び背フレームを主として示す平面図。
【図4】同実施形態に係る椅子の支持体付近を示す縦断面図。
【図5】同実施形態に係る椅子の座受及び背フレームを主として示す斜視図。
【図6】同実施形態に係る椅子の座受及び背フレームを主として示す分解斜視図。
【図7】同実施形態に係る椅子の座シェルを示す部分平面図。
【図8】同実施形態に係る椅子のスライド機構を示す部分横断面図。
【図9】図7におけるA−A線部分断面図。
【図10】図9において、座シェルを湾曲させた状態を示す状態説明図。
【図11】同実施形態に係る椅子の操作手段を示す斜視図。
【図12】同実施形態に係る椅子のストッパを示す部分縦断面図。
【図13】同実施形態に係る椅子の縦フレーム及び横フレームの製造過程を示す模式図。
【符号の説明】
C・・・椅子
4・・・座受
5・・・背フレーム
6・・・座
61a・・・曲げ領域
61a1・・・曲がり部
61・・・座シェル
611・・・突出片
612・・・貫通溝
71・・・連結部材
9・・・スライド機構
92・・・スライド被係合部
94・・・スライド係合部
ZS・・・座支持機構
ZS1・・・前座支持面
ZS2・・・後座支持面
94a・・・垂下部
94b・・・側方延伸部
BK・・・背フレーム構造体
1・・・座位置固定機構
11・・・被係止部
12・・・被係止部
13・・・操作手段

Claims (9)

  1. 他の領域よりも可撓性に富む曲がり部を少なくともその一部に形成してなる前後に所定幅を有した曲げ領域を有し、その曲げ領域を境にして後部を前部に対して傾斜させ得るようにした座と、
    前記座を下方から支持する前座支持面及び後座支持面を有し、前記前座支持面に対して前記後座支持面を傾斜させてなる座支持機構と、
    前記座を前記曲げ領域において屈曲又は湾曲させ、その前部を前記前座支持面に、かつその後部を前記後座支持面に略沿わせた状態で前後にスライド移動可能に保持するスライド機構とを備え、
    前記スライド機構が、座の下面側に設けられたスライド係合部と、座支持機構の座支持面側に設けられ前記スライド係合部にスライド可能に係り合うスライド被係合部とを具備するものであって、
    前記他の領域から前記曲げ領域内に一体的に突出しなおかつ当該曲げ領域における他の座構成部材とは切り離されてなる突出片を設けるとともに、この突出片に前記スライド係合部を形成していることを特徴とする椅子。
  2. 前記スライド係合部が、座の下面から一体に下方に垂下する垂下部と、この垂下部から側方に延びる側方延伸部とを備えたものである請求項1記載の椅子。
  3. 前記座が座シェルを備えたものであり、この座シェルに前記突出片を一体的に設けている請求項1又は2記載の椅子。
  4. 前記座シェルの厚み方向に貫通する貫通溝を設け、その貫通溝の一端部及び他端部を前記他の領域に位置させるとともに、その中間部を前記曲げ領域内に位置づけ、前記曲げ領域において貫通溝に囲まれた部分を突出片としている請求項3記載の椅子。
  5. 前記曲がり部が、左右に延びる有底溝である請求項1、2、3又は4記載の椅子。
  6. 前記座支持機構が、その前座支持面に対する後座支持面の傾斜角度を可変に構成したものである請求項1、2、3、4又は5記載の椅子。
  7. 傾動可能な背フレーム構造体と座受とを具備するものであって、前記座受に前座支持面を設けるとともに、前記背フレーム構造体に後座支持面を設けている請求項6記載の椅子。
  8. 前記スライド機構によりスライドさせた座の前後位置を所望の位置に固定する座位置固定機構を備えたものである請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の椅子。
  9. 前記座位置固定機構が、前記座支持機構側に前後に並び設けられた複数の被係止部と、座側に設けられ前記被係止部に係脱可能に係り合う係止部と、座側に設けられ前記係止部を係止位置と非係止位置との間で移動させるための操作手段と備えてなり、座をスライドさせて係止部を係止させるべき被係止部を選択的に変更可能に構成したものである請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の椅子。
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