JP4055233B2 - ニコチアナミンアミノ基転移酵素、その遺伝子およびその利用 - Google Patents

ニコチアナミンアミノ基転移酵素、その遺伝子およびその利用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、ニコチアナミンアミノ基転移酵素、該遺伝子およびその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
乾燥地塩類集積土壌の1つである石灰質土壌は、中国、中近東諸国、アフリカ中北部、アメリカ中西部など、世界の土壌の約30%を占めている。この土壌はアルカリ性であるために土壌中の鉄が不溶化しており、この不溶態の鉄を何らかの形で可溶化し根から吸収利用することのできない植物は、鉄欠乏によるクロロシスを呈してこの土壌で生育できない。そこで、これらの地域での農業および環境緑化にとって、土壌中の可溶性鉄欠乏に対する対策が重要な課題となる。
土壌中の可溶性鉄欠乏に対する農業技術的な対策としては、(1)土壌にイオウを投与してアルカリ性土壌のpHを中性ないし微酸性に矯正する方法、(2)土壌にキレート性の鉄を含む有機物を投与して土壌微生物活性を高め、微生物のシデロフォア(鉄輸送体)生産量を増やし、土壌中の可溶性の鉄を増大させる方法、(3)キレート性の鉄を展着剤とともに葉面散布する方法、等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの方法において、例えば、土壌に投与するための大量の施用資材が必要となること、葉面散布においては生育時期、投与部位、濃度、展着剤の種類などの投与方法や気象条件によってその効果は極めて不安定であること等の問題点があり、必ずしも満足できるものではない。そこで新たな技術の開発が切望されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような状況下で、本発明者らは鋭意検討を行った結果、土壌中の不溶化鉄を吸収する植物の能力を増強し可溶性鉄欠乏に対する植物の耐性を向上させるのに適する新規な遺伝子を見い出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1)配列番号1もしくは2で示されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは修飾されたアミノ酸配列を有し、かつニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有することを特徴とするタンパク質(以下、本発明タンパク質と記す。)、
2)前項1記載のタンパク質をコードすることを特徴とする遺伝子(以下、本発明遺伝子と記す。)、
3)配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有することを特徴とする前項2記載の遺伝子、
4)配列番号3又は4で示される塩基配列を有することを特徴とする前項3記載の遺伝子、
5)前項2記載の遺伝子を含有することを特徴とするプラスミド(以下、本発明プラスミドと記す。)、
6)(1)宿主細胞内で機能可能なプロモーター、(2)前項2記載の遺伝子、及び(3)宿主細胞内で機能可能なターミネーターが機能可能な形で前記の順序に結合されてなることを特徴とする発現プラスミド(以下、本発明発現プラスミドと記す。)、
7)(1)宿主細胞内で機能可能なプロモーター、(2)前項2記載の遺伝子、及び(3)宿主細胞内で機能可能なターミネーターを機能可能な形で前記の順序に結合させることを特徴とする発現プラスミドの構築方法、
8)前項5〜6記載のプラスミドが宿主細胞内に導入されてなることを特徴とする形質転換体、
9)宿主細胞が微生物細胞であることを特徴とする前項8記載の形質転換体、
10)宿主細胞が植物細胞であることを特徴とする前項8記載の形質転換体、
11)(1)宿主細胞内で機能可能なプロモーター、(2)ニコチアナミンアミノ基転移酵素の遺伝子、及び(3)宿主細胞内で機能可能なターミネーターが機能可能な形で前記の順序に結合されてなる発現プラスミドを宿主細胞に導入し、該宿主細胞を形質転換させることを特徴とする宿主細胞の鉄吸収能力増強方法、
12)宿主細胞が植物細胞であることを特徴とする前項11記載の宿主細胞の鉄吸収能力増強方法、
13)ニコチアナミンアミノ基転移酵素の遺伝子が前項2記載の遺伝子であることを特徴とする前項12記載の宿主細胞の鉄吸収能力増強方法、
14)前項2〜4記載の遺伝子の部分塩基配列を有することを特徴とする遺伝子断片(以下、本発明遺伝子断片と記す。)、
15)塩基数が15以上50以下であることを特徴とする前項14記載の遺伝子断片、
16)配列番号5に示される塩基配列を有することを特徴とする前項14記載の遺伝子断片、
17)前項14〜16に記載の遺伝子断片を植物遺伝子断片にハイブリダイズさせるハイブリダイゼーション法によってニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子又はその遺伝子断片を特定することを特徴とするニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子の検出方法(以下、本発明検出方法と記す。)、
18)前項14〜16に記載の遺伝子断片をプライマーに用いて植物遺伝子断片に対してPCR(Polymerase chain reaction)を行うことによってニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子又はその遺伝子断片のDNAを増幅させることを特徴とするニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子の増幅方法(以下、本発明増幅方法と記す。)、
19)前項17又は18記載の方法によりニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子又はその遺伝子断片を特定し、特定した前記遺伝子又はその遺伝子断片を単離・精製することを特徴とするニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子の取得方法。
20)前項19記載の方法により取得されることを特徴とするニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、さらに詳細に本発明を説明する。
本発明タンパク質は、配列番号1もしくは2で示されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは修飾されたアミノ酸配列を有し、かつニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有するタンパク質である。本発明タンパク質としては、具体的には例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、配列番号1のアミノ酸番号33から始まるアミノ酸429個からなる分子量47KDaのタンパク質等をあげることができる。
ここで、ニコチアナミンアミノ基転移酵素活性とは、ニコチアナミンのアミノ基を2-オキソグルタール酸に転移する能力を意味する。ニコチアナミンアミノ基転移酵素活性は、例えば、Kanazawa K. et al., Journal of Experimental Botany, 45, 1903-1906 (1994)などに記載される方法で測定できる。具体的には、酵素溶液に基質であるニコチアナミンと2-オキソグルタール酸、ならびに補酵素であるピリドキサールリン酸を添加し25℃で30分間反応させる。反応後、NaBH3を添加して反応生成物を還元し、HPLCでデオキシムギネ酸を定量する。
【0006】
本発明タンパク質は、例えば、オオムギ(Hordeum vulgare)などのイネ科植物から調製することができる。具体的には例えば、鉄欠乏処理したオオムギなどのイネ科植物の全根を磨砕して得られる抽出液を、疎水性相互作用クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーの順に供することによって本発明タンパク質をその活性を指標に部分精製する。このアフィニティークロマトグラフィーの吸着画分を二次元電気泳動に供して、各画分のニコチアナミンアミノ基転移酵素活性の強度に比例して消長するタンパク質スポットを検出する。このようにして検出されたスポットに含まれるタンパク質を二次元電気泳動ゲルから分取することにより、本発明タンパク質を精製することができる。
【0007】
本発明タンパク質が触媒する反応と引き続いて起こる還元反応によって生成するデオキシムギネ酸、さらに水酸化反応を経て生成するムギネ酸や3'-ヒドロキシムギネ酸などのムギネ酸類縁化合物は、植物の根から根圏土壌に分泌され、土壌中の不溶化鉄とキレート錯体を形成することによって鉄を可溶化させる。そこで、ムギネ酸類縁化合物の生合成系を有するイネ科等の植物で本発明タンパク質を大量発現させることによって、前記植物のムギネ酸類縁化合物の生成量を増加させ、該植物の、根圏土壌中の不溶化鉄を可溶化する能力を向上させ、ひいては該植物の鉄の吸収量を増大させることが可能となる。
【0008】
本発明遺伝子は、配列番号1もしくは2で示されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは修飾されたアミノ酸配列を有し、かつニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であり、例えば、配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子(cDNAおよびゲノムDNA)、配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子にストリンジェントな条件でハイブリダイズすることによって特定される遺伝子等である。尚、ここで言うストリンジェントな条件とは、例えば、実施例4に記載したcDNAライブラリーのスクリーニングの際に用いる条件をいう。本発明遺伝子の具体的な塩基配列としては、例えば、配列番号3又は4で示される塩基配列(配列番号3のCDSの存在位置62〜1447、配列番号4のCDSの存在位置76〜1731)等をあげることができる。
【0009】
本発明遺伝子は、例えば、オオムギ(Hordeum vulgare)などのイネ科植物から調製することができる。本発明遺伝子を調製するには、例えば、本発明タンパク質を部分分解して得られるペプチド断片のアミノ酸配列および本発明タンパク質のN末端アミノ酸配列をアミノ酸分析機によって決定する。このアミノ酸配列から予想されるDNA配列からなるプライマーを2つ以上合成し、鉄欠乏処理をしたオオムギなどのイネ科植物の根から調製したmRNAから逆転写酵素によって合成したcDNAをテンプレートにしてPCRを行うと、本発明遺伝子のcDNA断片が増幅される。この増幅されたcDNA断片をプローブとして用いて、以下に述べるcDNAライブラリーのスクリーニングを行う。まず、鉄欠乏処理をしたオオムギなどのイネ科植物の根からmRNAを調製し逆転写酵素によってcDNAを合成し、これをラムダZAPIIなどのファージベクターまたはpUCなどのプラスミドベクターへ組み込んだcDNAライブラリーを作製する。このライブラリーを先に述べたプローブでスクリーニングして陽性クローンを選抜する。得られた陽性クローンの塩基配列を決定することによって、本発明遺伝子のcDNAクローンを確認することができる。
【0010】
このようにして選抜された本発明遺伝子のcDNAから本発明遺伝子のゲノムDNAを取得しその塩基配列を決定するには、例えば、まず、葉部、茎部、根部などの植物組織を液体窒素で瞬時に凍結した後、乳鉢と乳棒あるいはワーリングブレンダーなどを用いて十分に磨砕して得られた磨砕物から、例えば、渡辺格監修、杉浦昌弘編集:「クローニングとシークエンス(植物バイオテクノロジー実験マニュアル)」、農村文化社、東京(1989)などに記載の通常の方法に準じて、ゲノムDNAを抽出する。得られたゲノムDNAは適当な制限酵素で切断した後、ショ糖密度勾配遠心法や塩化セシウム平衡遠心法などの公知の方法でDNA断片を分画する。この分画されたDNA断片に対して、前述のようにして選抜された本発明遺伝子のcDNAをプローブとした通常のサザンブロットハイブリダイゼーション法(ゲノミックサザン)を行い、目的とする情報をコードする遺伝子領域を決定する。さらに、この遺伝子領域を、市販のプラスミド、ファージ、コスミドなどの適当なベクターにライゲーションすることによりゲノムDNAライブラリーを作製する。このライブラリーに対して、本発明遺伝子のcDNAをプローブとして、ハイブリダイゼーションによる通常のスクリーニングを行い、本発明タンパク質のアミノ酸配列をコードする領域を含むゲノムDNAクローンを取得する。得られたDNAクローンは遺伝子配列の解析に適当なベクター、例えば、プラスミドなどにサブクローニングした後、通常の方法に準じて塩基配列を解析することにより、本発明タンパク質のアミノ酸配列をコードする領域を含むゲノムDNA(本発明遺伝子のゲノムDNA)の塩基配列を決定することが出来る。
【0011】
さらに、Bina-Stem, Met et al. Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 76, 731(1979)やSollner-Webb and Reeder, R.H., Cell, 18, 485(1979)などに記載されるプライマーエクステンション法あるいはBerk, A.J. and Sharp, P.A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75, 1274(1978) などに記載されるS1マッピング法等により、本発明遺伝子のゲノムDNAの転写開始点を決定することができる。このようにして決定された転写開始点の上流には、転写開始に必要なTATA配列が存在する。通常この転写点の上流1kbから約10kbに遺伝子発現の制御を担うプロモーター配列がある。本発明遺伝子のプロモーター部位は、例えば、あらかじめ様々な長さのプロモーター領域を有する遺伝子断片をGUS等のレポーター遺伝子に接続し、これを導入したトランスジェニック植物を作製し、作製された植物の各組織におけるレポーター遺伝子の発現の有無を調べることによって最終的に決定することが出来る。一方、ターミネーター配列は、終始コドンの下流の3'末端非翻訳領域に存在するpoly(A)付加シグナル(AATAAAをコンセンサス配列とする)のさらに下流に通常存在するpolyA配列に相当するゲノムDNA領域に存在し、効率的な転写終結の機能を有している。
【0012】
本発明遺伝子を、ムギネ酸類を利用して鉄を吸収している植物に導入することにより、得られた形質転換植物のムギネ酸類の生合成能力を高めて根圏土壌中の不溶化鉄の吸収能力を増強し、該植物の鉄欠乏耐性を向上させることができる。
【0013】
本発明プラスミドは、配列番号1もしくは2で示されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは修飾されたアミノ酸配列を有し、かつニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を含有するプラスミドである。具体的には、例えば、配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するニコチアナミンアミノ基転移酵素の遺伝子をpSK-(Strategene)にクローニングし作製したプラスミドがあり、ベクター部分が小さく、大腸菌でコピー数が多いという特徴を有しており、DNA調製やDNA構造解析を行うのに適している。
【0014】
(1)宿主細胞内で機能可能なプロモーター、(2)配列番号1もしくは2で示されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは修飾されたアミノ酸配列を有し、かつニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有するタンパク質をコードすることを特徴とする遺伝子、及び(3)宿主細胞内で機能可能なターミネーターを機能可能な形で前記の順序に結合させることにより、本発明発現プラスミドを構築することが出来る。
ここで、「機能可能な形で」とは、構築されたプラスミドを宿主細胞内に導入し形質転換させた場合に、該宿主細胞内で本発明タンパク質を発現させる機能を有するように、プロモーターの制御下に目的とする遺伝子を組み込んだ状態になることを意味するものである。
宿主細胞内で機能可能なプロモーターとしては、例えば、大腸菌のラクトースオペロンのlacZ遺伝子プロモーター、酵母のアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(ADH)プロモーター、アデノウイルス・メジャーレート(Ad.ML)プロモーター、SV40の初期プロモーターおよびバキュロウイルスプロモーターなどがあげられる。植物細胞内で機能可能なプロモーターとしては、例えば、ノパリン合成酵素遺伝子(NOS)プロモーター、オクトピン合成酵素遺伝子(OCS))プロモーターなどのT-DNA由来の構成型プロモーター、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)由来の19Sおよび35Sプロモーターなどの植物ウイルス由来のプロモーター、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)遺伝子プロモーター、カルコンシンターゼ(CHS)遺伝子のプロモーター、Pathogenesis-related protein(PR)遺伝子のプロモーターなどの誘導プロモーターなどをあげることが出来る。さらに、これに限定されない公知の植物プロモーターも用いることができる。
また、宿主細胞内で機能可能なターミネーターとしては、例えば、酵母のHIS Terminator sequence、ADH1ターミネーター、SV40のearly splicing regionなどをあげることができる。宿主細胞が植物である場合、植物細胞内で機能可能なターミネーターとしては、例えば、ノパリン合成酵素遺伝子(NOS)ターミネーターなどのT-DNA由来の構成型ターミネーター、ニンニクウイルスGV1,GV2のターミネーターなどの植物ウイルス由来のターミネーターなどをあげることが出来る。さらに、これに限定されない公知の植物ターミネーターも用いることができる。
【0015】
上記のようなプラスミド(本発明(発現)プラスミド)を宿主細胞内に導入することにより該宿主細胞を形質転換する。例えば、宿主細胞が植物の場合、本発明(発現)プラスミドをアグロバクテリウム感染方法(特公平2-58917および特開昭60-70080)、プロトプラストへのエレクトロポーレーション方法(特開昭60-251887および特開平5-68575)、または、パーティクルガン方法(特開平5-508316および特開昭63-258525)などの公知の手段により植物細胞内に導入し、本発明遺伝子が導入された植物細胞を選抜することによって形質転換植物細胞を得ることができる。得られた形質転換植物細胞から、例えば、内宮博文著、植物遺伝子操作マニュアル(トランスジェニック植物の作り方)1990年、講談社サイエンティフィック((ISBN4-06-153515-7 C3045)、27-55頁などに記載の通常の植物細胞培養方法により植物体を再生することによって形質転換された植物体を得ることができる。
【0016】
本発明のプラスミドを、例えば大腸菌などの微生物である宿主細胞に導入することにより、本発明遺伝子を宿主細胞内で高発現させ、この宿主細胞から大量の本発明タンパク質を単離することができる。
この大量に調製された本発明タンパク質を利用して、ニコチアナミンアミノ基転移酵素の阻害剤のスクリーニングシステムを構築することができる。例えば前述のニコチアナミンアミノ基転移酵素の活性測定法に準じて、調製された酵素溶液に基質であるニコチアナミンと2-オキソグルタール酸、補酵素であるピリドキサールリン酸、及び供試化合物を添加し25℃で30分間反応させる。反応後、NaBH4を添加して反応生成物を還元しHPLCでデオキシムギネ酸を定量することによってニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を阻害する化合物を選抜することができる。
ニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子の発現は鉄欠乏状態で強く誘導される。通常の土壌(畑土壌)は酸化的条件下にあり、土壌溶液中の3価鉄濃度は植物が要求する10-4〜10-8Mをはるかに下回る濃度でしか存在しないため、ニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子およびムギネ酸生合成系の遺伝子が常に誘導されている。即ち、ムギネ酸類を恒常的に生合成し、根から根圏土壌に分泌することによって、積極的に土壌中の不溶化鉄を吸収している。従って、前記のようなスクリーニングシステムによって選抜されたニコチアナミンアミノ基転移酵素の阻害剤は、ムギネ酸類縁化合物を利用して鉄を吸収している植物に対する選択的な除草剤として有用な化合物となりうる。
【0017】
さらに本発明は、(1)宿主細胞内で機能可能なプロモーター(2)ニコチアナミンアミノ基転移酵素の遺伝子及び(3)宿主細胞内で機能可能なターミネーターが機能可能な形で前記の順序に結合されてなる発現プラスミドを宿主細胞に導入し、該宿主細胞を形質転換させることにより形質転換体の鉄吸収能力を増強する方法を提供する。
宿主細胞内で機能可能なプロモーターとしては、例えば、大腸菌のラクトースオペロンのlacZ遺伝子プロモーター、酵母のアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(ADH)プロモーター、アデノウイルス・メジャーレート(Ad.ML)プロモーター、SV40の初期プロモーターおよびバキュロウイルスプロモーターなどをあげられる。宿主細胞が植物である場合には、前述の様な植物細胞内で機能可能なプロモーターなどがあげられる。
また、宿主細胞内で機能可能なターミネーターとしては、例えば、酵母のHIS Terminator sequence、ADH1ターミネーター、SV40のearly splicing regionなどをあげることができる。宿主細胞が植物である場合には、前述の様な植物細胞内で機能可能なターミネーターなどがあげられる。
ニコチアナミンアミノ基転移酵素の遺伝子としては、例えば、植物由来のニコチアナミンアミノ基転移酵素の遺伝子があげられ、より具体的には本発明遺伝子をあげることができる。
【0018】
本発明遺伝子断片は、本発明遺伝子の部分塩基配列を有する遺伝子断片をいい、配列番号1もしくは2で示されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは修飾されたアミノ酸配列を有し、かつニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の部分塩基配列を有する遺伝子断片や、配列番号3又は4で示される塩基配列を有する遺伝子の部分塩基配列を有する遺伝子断片等であり、具体的には、例えば、配列番号5に示される遺伝子断片等を挙げることができる。
これら遺伝子断片はハイブリダイゼーション法におけるプローブやPCR法におけるプライマーとして有用である。PCR法におけるプライマーとしては、一般的に、アニーリングの特異性が確保される点からは塩基数が多い方がよいが、一方、塩基数が多くなるに従って、PCR反応時にプライマー自身が高次構造を取り易くアニーリング効率が悪くなる場合があり、合成後の精製時に煩雑な操作が必要となることを考慮すると、塩基数は多すぎない方がよい。通常、塩基数が15以上50以下の1本鎖DNAからなる遺伝子断片が好ましい。
【0019】
本発明検出方法は、本発明遺伝子断片を植物遺伝子断片にハイブリダイズさせるハイブリダイゼーション法によってニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子又はその遺伝子断片を特定する方法である。
具体的には、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Pressや「Current Protocols In Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons. Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載される方法に準じて行うことができる。尚、ここで用いられる遺伝子断片としては、例えば、目的の植物のcDNAライブラリーやゲノムDNAライブラリー等を挙げることができる。該植物遺伝子断片は、市販の植物由来のライブラリーをそのまま用いることもできるし、また、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Pressや「Current Protocols In Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons. Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載される通常のライブラリー作製法に準じて作製されたライブラリーも用いることができる。
尚、本発明検出法によりニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子又はその遺伝子断片を特定し、特定された前記遺伝子又はその遺伝子断片を単離・精製することによってニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子を取得することができる。
【0020】
さらに、本発明検出方法を植物の解析に利用してもよい。具体的には特定の植物種の異なる品種から植物ゲノムDNAを、例えば、渡辺格監修、杉浦昌弘編集:「クローニングとシークエンス(植物バイオテクノロジー実験マニュアル)」、農村文化社、東京(1989)などに記載の通常の方法に準じて調製し、適当な少なくとも数種類の制限酵素で切断し電気泳動した後、通常の方法に従ってブロッティングしたフィルターを作製する。このフィルターに通常の方法で調製されたプローブを用いてハイブリダイゼーションを行い、プローブがハイブリダイズするDNA断片の長さまたは濃さの違いから品種間のムギネ酸生合成に伴う表現形質の差を解析する。また、この方法により検出されるDNA断片を、被験植物とこれと同種の非遺伝子組換え植物とで比較したときに、被験植物において非遺伝子組換え植物よりもハイブリダイズするバンドの数が多く検出された場合、該植物が遺伝子組換え植物であると判別できる。この方法は、例えば、島本功、佐々木卓治監修:「植物のPCR実験プロトコール」、秀潤社、東京(1995)、ISBN4-87962-144-7、90-94頁に記載されるRFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)法に準じて行うとよい。
【0021】
本発明増幅方法は、本発明遺伝子断片をプライマーに用いて、植物遺伝子断片に対してPCR(Polymerase chain reaction)を行うことによってニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子又はその遺伝子断片のDNAを増幅させる方法である。具体的には、例えば、島本功、佐々木卓治監修:「植物のPCR実験プロトコール」、秀潤社、東京(1995)、ISBN4-87962-144-7等に記載される方法に準じて行うことができる。
尚、本発明増幅方法によりニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子又はその遺伝子断片のDNAを増幅して増幅されたDNAをアガロースゲル電気泳動等で特定し、特定された前記遺伝子又はその遺伝子断片のDNAを単離・精製することによりニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子を取得することもできる。
【0022】
さらに、本発明増幅方法を植物遺伝子の解析に利用してもよい。具体的には、例えば、特定の植物種から調製した植物ゲノムDNAを鋳型として、本発明遺伝子断片をプライマーとして用いるPCRを行い、本発明遺伝子の一部又は全体を増幅させる。得られたPCR産物をホルムアルデヒド溶液と混合し、85℃で5分間加熱変性処理を行った後氷上で急冷する。このサンプルをグリセロール濃度が0%または10%含む、例えば、6%アクリルアミドゲルで電気泳動を行う。この電気泳動には市販のSSCP(Single Strand Conformation Polymorphism)用の電気泳動装置を用い、例えば、5℃、25℃、37℃などにゲルの温度を一定に保って電気泳動を行う。電気泳動したゲルは、例えば、エチジウムブロマイドによる染色等の方法でDNAを検出する。検出されたDNA断片の電気泳動度の差から本発明遺伝子内の変異に基づく品種間のムギネ酸生合成に伴う表現形質の差を解析する。この方法は、例えば、島本功、佐々木卓治監修:「植物のPCR実験プロトコール」、秀潤社、東京(1995)、ISBN4-87962-144-7、141-146頁等に記載される方法に準じて行うとよい。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
(実施例1) (本発明タンパク質の単離方法)
鉄欠乏処理したオオムギの根150gを抽出緩衝液(0.2M Tris-HCl, 10mM EDTA, 0.1mM p-APMSF, 10mM DTT, 5% グリセロール, 5% ポリビニルピロリドン, pH8.0)中で磨砕し、この磨砕物を8,000 x gで30分遠心分離して上清を分離した。得られた上清に30%飽和になるように硫酸アンモニウム(以下、硫安と記す)を加え、該試料を30%飽和硫安緩衝液((50mM Tris-HCl(pH8.0), 5mM EDTA, 10mM DTT)で平衡化したButyl Toyopearl 650M(TOSO製)に供し、同緩衝液で洗浄後、15%飽和硫安緩衝液で溶出した。この溶出画分に終濃度で0.1mMのp-APMSFを加え、0.1M KCl, 50mM KH2PO4/K2HPO4(pH6.8), 10mM DTTで一晩透析した後、該試料を同緩衝液で平衡化したHydroxylapatite(100-350メッシュ、ナカライ製)に供した。同緩衝液で洗浄後、0.5M KH2PO4/K2HPO4(pH6.8), 10mM DTTで溶出した。この溶出画分をモルカット(MILLIPORE,分画分子量10,000)を用いて20mM Tris-HCl(pH8.0), 10mM KCl, 10mM DTTに緩衝液を交換し、同緩衝液で平衡化したDEAE Sephasel(ファルマシア製)に供した。同緩衝液で洗浄後、10mM〜500mM KClの濃度勾配溶出を行った。このDEAE Sephaselの素通り画分をモルカットを用いて20mM Tris-HCl(pH8.0), 10mM KCl, 5mM EDTA, 1mM DTTに緩衝液を交換し、EAH-Sepharose 4B(ファルマシア製)にニコチアナミン(NA)を結合したNA-Sepharose 4Bに供した。同緩衝液で洗浄後、1mM NA, 10mM KCl, 20mM Tris-HCl(pH6.0)で溶出した。この溶出画分を二次元電気泳動し、NA-Sepharose 4Bカラムに供する前に比べて非常に濃縮されているスポットを検出した。このスポットを分取することによって本発明タンパク質を単離した。
このようにして分取した本発明タンパク質のN末端アミノ配列をプロテインシークエンサー(Applied Biosystems製)で解析した。その結果、配列番号1のアミノ酸番号33から47に示されるアミノ酸配列が判明した。さらに、1%臭化シアンを含む70%ギ酸溶液で処理して生じたペプチド断片のうち3つについてもN末端アミノ配列を同様に解析した。
【0025】
(実施例2) (本発明タンパク質のcDNAクローニング用のプローブの作製)
鉄欠乏処理したオオムギの根6gより渡辺格監修、杉浦昌弘編集:「クローニングとシークエンス(植物バイオテクノロジー実験マニュアル)」、農村文化社、東京(1989) 34-40頁に記載のSDS-Phenol法で全RNA255μgを回収した。回収された全RNAのうち75μgを取り、DYNABEADS mRNA Purification Kit (DYNAL製)を用いてPoly(A)+RNAを調製した。調製されたPoly(A)+RNAを、dT17アダプタープライマー(5'-GACTCGAGTCGACATCGATTTTTTTTTTTTTTTTT-3')を用いて逆転写しcDNAを調製した。調製されたcDNAの一部を用いて、2段階のPCRによって本発明遺伝子のcDNA断片を増幅した。1回目の反応は、本発明タンパク質のN末端アミノ配列に基づいて合成したプライマー1(5'-GCIGTIGARTGGAAYTTYGCIMG-3')と前述のdT17アダプタープライマーを用いて、前記のようにして調製したcDNAをテンプレートにして、94℃(40秒間)、40℃(1分間)、72℃(2分間)の保温を25サイクル、94℃(40秒間)、45℃(1分間)、72℃(2分間)の保温を25サイクル繰り返すPCR反応を行った。このPCRの反応液をテンプレートにして、前述の1%臭化シアンを含む70%ギ酸溶液で処理して生じたペプチド断片のN末端アミノ酸配列を基に合成したプライマー2(5'-GCDATRTGICCRAAIACICC-3')とプライマー1を用いて94℃(40秒間)、45℃(1分間)、72℃(2分間)の保温を40サイクル繰り返すことにより2回目のPCR反応を行った。この2回目のPCRで増幅した約600bpのDNA断片を0.8%アガロース電気泳動のゲルから切り出して精製し、cDNAライブラリーをスクリーニングするためのプローブとした。
【0026】
(実施例3) (鉄欠乏処理したオオムギ根からのcDNAライブラリーの作製)
実施例2記載の鉄欠乏処理したオオムギの根から調製したPoly(A)+RNA5μgから市販のcDNA合成キット(SUPER SCRIPTTM Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning,GIBCO BRL製)を用いてcDNA合成を行い、SalIアダプターを結合させた後、NotIで切断しcDNAを回収した。
cDNAライブラリー用のベクター(以下、pYH23と記す。)は、R.Daniel Gietz and Akio Sugino, Gene.74 (1988) 527-534 に記載される酵母のマルチコピープラスミドYEplac181に修飾を加えて作製した。具体的には、YEplac181のマルチクローニング部位のHindIIIおよびBamHIからEcoRI切断部位までを削除した。さらに、SphI認識部位にpTV-100由来のアルコールデヒドロゲナーゼのプロモーターとターミネーター配列をサブクローニングし、この断片のBamHI認識部位にNotIリンカーを挿入した。
このようにして作製したpYH23をNotIとXhoIで消化し、先に調製したcDNAを挿入した後、これを大腸菌XL1-Blue株に形質転換し、30万個の独立したコロニーに由来するcDNAライブラリーを作製した。
【0027】
(実施例4) (本発明遺伝子のcDNAクローンのスクリーニング)
実施例3で作製されたプローブを市販の放射性標識キット(Random Primer DNA Labeling Kit Ver.2, TaKaRa)を用いて放射性標識し、本発明タンパク質のcDNAクローニング用プローブDNAを調製した。実施例3で調製された鉄欠乏処理したオオムギの根由来のcDNAライブラリーのプラスミドDNAを持つ大腸菌を、LB培地にまいて37℃で10時間培養市販のナイロンメンブレン(HybondTM-N+, Amersham Life Science)に移し取り、このメンブレンを10%SDSで3分間、アルカリ変性液(0.5M NaOH, 1.5M NaCl)を5分間、中和液(0.5M Tris/HCl (pH7.0), 1.5M NaCl)で3分間、2XSSPE(20mM リン酸緩衝液(pH7.4), 0.3M NaCl, 5mM EDTA)で3分間X2回処理し乾燥後、3分間紫外線を照射しDNAをメンブレン上に固定した。プレハイブリダイゼーション溶液(5XDenhart's溶液, 5XSSPE, 0.1% SDS, 100μg/ml 変性したサケ精巣DNA)を用いて65℃で1時間プレハイブリダイゼーションを行い、ハイブリダイゼーション溶液(5XDenhart's溶液, 5XSSPE, 0.1% SDS)に放射性標識したプローブを加えた溶液中で65℃にて12時間ハイブリダイゼーションを行った。その後、メンブレンを6XSSPを用いて65℃で10分1回、2XSSP, 0.1% SDSを用いて42℃で10分間X2回洗浄し、Fuji Medical Xray Filmに感光させて陽性コロニーを検出した。同様に2次および3次スクリーニングを行い、本発明遺伝子のcDNAクローンを複数個単離した。
【0028】
(実施例5) (本発明遺伝子のcDNAの塩基配列の決定)
実施例4で単離された本発明遺伝子のcDNAクローンは、J. Sambrook, E.F. Fritsch, T. Maniatis著:「Molecular Cloning Second Edition」、Cold Spring Harbor Press(1989)に記載されている通常の方法によってプラスミドベクターpBluescript SK(-)にサブクローニングし、プラスミドcDNAクローンを得た。そして該cDNAクローンのインサートの塩基配列を以下の3つの方法を用いて決定した。
(1)Taq Dye Primer Cycle Sequencing Kit (Applied Biosystems製)を用いて、Applied Biosystems製の373A DNA Sequencerによって塩基配列を決定した。(2)Thermo Sequence Fluorescent Labelled Primer Cycle Sequencing Kit (Amersham LIFE SCIENCE製)を用いて、DSQ-1000L DNA Sequencer (島津製)によって塩基配列を決定した。(3)BcaBESTTM Dideoxy Sequencing Kit (TaKaRa製)を用いてBAS-2000 (富士フィルム製)によって塩基配列を決定した(配列番号3および4)。その塩基配列から該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を決定した(配列番号1および2)。配列番号1の本発明タンパク質は461個のアミノ酸からなり、分子量は49564.15と計算された。また、配列番号2の本発明タンパク質は551個のアミノ酸配列からなり、分子量は58148.62と計算された。
【0029】
【発明の効果】
本発明により、新規のニコチアナミンアミノ基転移酵素およびその遺伝子等の提供を可能にした。
【0030】
【配列表】
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【0031】
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【0032】
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【0033】
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【0034】
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Claims (15)

  1. 配列番号1もしくは2で示されるアミノ酸配列または該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有することを特徴とするタンパク質。
  2. 配列番号3又は4で示される塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、ニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有するタンパク質をコードすることを特徴とする遺伝子。
  3. 配列番号1又は2で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有することを特徴とする請求項2記載の遺伝子。
  4. 配列番号3又は4で示される塩基配列を有することを特徴とする請求項3記載の遺伝子。
  5. 請求項2記載の遺伝子を含有することを特徴とするプラスミド。
  6. (1)宿主細胞内で機能可能なプロモーター、(2)請求項2記載の遺伝子、及び(3)宿主細胞内で機能可能なターミネーターが機能可能な形で前記の順序に結合されてなることを特徴とする発現プラスミド。
  7. (1)宿主細胞内で機能可能なプロモーター、(2)請求項2記載の遺伝子、及び(3)宿主細胞内で機能可能なターミネーターを機能可能な形で前記の順序に結合させることを特徴とする発現プラスミドの構築方法。
  8. 請求項5又は6記載のプラスミドが宿主細胞内に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
  9. 宿主細胞が微生物細胞であることを特徴とする請求項8記載の形質転換体。
  10. 宿主細胞が植物細胞であることを特徴とする請求項8記載の形質転換体。
  11. (1)宿主細胞内で機能可能なプロモーター、(2)請求項2記載のニコチアナミンアミノ基転移酵素の遺伝子、及び(3)宿主細胞内で機能可能なターミネーターが機能可能な形で前記の順序に結合されてなる発現プラスミドを宿主細胞に導入し、該宿主細胞を形質転換させることを特徴とする宿主細胞の鉄吸収能力増強方法。
  12. 宿主細胞が植物細胞であることを特徴とする請求項11記載の宿主細胞の鉄吸収能力増強方法。
  13. 配列番号5に示される塩基配列を有する1組のプライマー対であることを特徴とする遺伝子断片。
  14. 請求項13に記載の遺伝子断片をプライマーに用いて植物遺伝子断片に対して PCR(Polymerase chain reaction) を行うことによってニコチアナミンアミノ基転移酵素活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子又はその遺伝子断片の DNA を増幅させることを特徴とするニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子の増幅方法。
  15. 請求項14記載の方法によりニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子又はその遺伝子断 片を特定し、特定した前記遺伝子又はその遺伝子断片を単離・精製することを特徴とするニコチアナミンアミノ基転移酵素遺伝子の取得方法。
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