JP4048851B2 - ターボ過給機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、容量調整手段として例えば可変ノズルを備えた容量可変型のターボ過給機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの排気エネルギにより駆動されて吸気の過給を行うターボ過給機として、可変ノズルを備えた容量可変型のものが知られているが、上記の可変ノズルは、一般に、流体圧、例えば負圧を駆動源として利用したアクチュエータによって、所望のノズル開度に制御されるようになっている。このように指令値に応じた制御圧力により可変ノズルを駆動するアクチュエータにおいては、その動作方向によって特性が異なるというヒステリシスが存在することが知られている。つまり、ノズル開度が小さくなる方向に可変ノズルを動かす(つまり可変ノズルを閉じていく)ときには、ノズルに作用する排気反力に抗して動かさなければならないので、ある所望のノズル開度を目標として駆動するときに、ノズル開度の小さな位置からノズル開度が大きくなる方向に可変ノズルを動かすときと同じ値の指令値を与えたのでは、目標ノズル開度まで可変ノズルを動かすことができず、実際のノズル開度が目標ノズル開度より大きくなってしまう。
【0003】
このように、ノズル開度が小さくなる方向に可変ノズルを動かすときと、逆にノズル開度が大きくなる方向に可変ノズルを動かすときとで、同じ目標ノズル開度を得るために必要な指令値が異なってしまうという現象が、このアクチュエータにおけるヒステリシスである。一般に、ヒステリシスは履歴現象ともいい、ある物の状態が現在置かれている条件だけで決まらず、過去にその物が経てきた状態の履歴によって左右される現象をいう。
【0004】
このような可変ノズルのアクチュエータにおけるヒステリシスを解消する方法として、特開2001−132463号公報に第3実施例として開示されているようなディザ制御の技術がある。上記公報は、本願の出願人が先に出願したものであって、目標ノズル開度から基本指令値を求め、所定の振幅および所定の周期を有する振動信号をこの基本指令値に重ね合わせることで、図12,13に示すように、基本指令値の変化を反映しつつ常に所定の振幅および周期で振動する信号を生成し、これを指令値としてアクチュエータを駆動するのである。なお、実際には、この指令値は、制御圧力(負圧)を生成する圧力制御弁を駆動するパルス信号のONデューティ比の形で与えられ、これに対応した圧力信号つまり制御圧力がアクチュエータへ出力されることになる。
【0005】
一般にヒステリシスは、対象となるアクチュエータ等にステップ入力を与えた場合に、入力されたエネルギが所定値以上に達しないと動作開始しないことに起因する。そのため、図12,13に示すように「常に動作方向を変化させた信号を与える」ようにすれば、ヒステリシスが緩和される。
【0006】
ここで、上記公報では、上記振動信号の振幅および周期を、例えばエンジンの負荷と回転数とから決定している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、容量調整手段の制御位置、具体的には可変ノズルのノズル開度によって、排気から受ける反力が大小異なり、また排気流量などにより排気から受ける熱量が異なっても、ヒステリシスの大きさが影響される、といったことが考慮されておらず、ヒステリシス解消の上で、なお改善の余地があった。
【0008】
具体的には、ターボ過給機の可変ノズルのノズル開度が小さい状態では、排気タービンに流入する排気を大きく絞ることになるため、可変ノズルが排気から受ける反力ならびに熱量が大であり、可変ノズルを作動させる際の摩擦力が大きくなることから、可変ノズルの開度を制御する際に発生するヒステリシスの影響は大きい。図12は、同排気流量の下でノズル開度を段階的に小さくしていったときのディザ制御によるアクチュエータへの指令値(VNDUTY)の変化と実際のノズル開度(VN開度)の変化とを示しているが、図示するように、可変ノズルの開度が小さいほどヒステリシスが大きくなり、目標ノズル開度から外れてしまう。
【0009】
また、可変ノズルの開度が同じであっても、排気流量が大きくなると、可変ノズルが排気から受ける熱量が大きくなり、可変ノズルの摩擦力が大きくなるので、可変ノズルの開度を制御する際に発生するヒステリシスの影響は大きい。図13は、同様にノズル開度をステップ的に変化させたときの指令値(VNDUTY)と実際のノズル開度(VN開度)の変化を示し、(a)は排気流量が小の場合、(b)は排気流量が大の場合の特性であって、図示するように、排気流量が大きいほど、ヒステリシスの影響が大きくなる。
【0010】
よって、基本指令値に重ね合わせる信号の周期と振幅の設定に際しては、可変ノズルが排気から受ける反力および熱量の大小を考慮することが望ましい。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明においては、吸気通路を介してエンジンが吸入する空気を過給するターボ過給機と、上記ターボ過給機の容量を可変調整する可変ノズルなどの容量調整手段と、指令値に応じて上記容量調整手段を駆動するアクチュエータと、を備えている。また、上記容量調整手段の作動目標値を設定する作動目標値設定手段と、この作動目標値を基本指令値に変換する変換手段と、所定の振幅および所定の周期を有する振動信号を上記基本指令値に重ね合わせて上記指令値を生成する信号重合手段と、を備えている。つまり、上記信号重合手段によっていわゆるディザ制御が行われ、上記アクチュエータは、所定の周期で2方向に交互にエネルギを受けるので、ヒステリシスが緩和される。
【0012】
そして、本発明では、上記信号重合手段は、上記容量調整手段により調整される上記容量が小さいほど、上記振動信号の振幅を大きく設定するようになっている。
【0013】
前述したように、可変ノズルなどの容量調整手段が排気から受ける反力が大きい条件下では、ヒステリシスが大きくなる。また、排気流量などに関連して排気から受ける熱量が大きい条件下でも、同様にヒステリシスが大きくなる。本発明では、これらの場合に、振動信号の振幅を大きく与えることで、より確実にヒステリシスが解消される。なお、振動信号の振幅が大きいと、ヒステリシスの抑制の上では有利であるが、排気脈動との共振が生じやすくなる。従って、このようにヒステリシスが大きくなる条件下では大きな振幅とし、ヒステリシスが小さい条件下では小さな振幅とすることが好ましい。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、容量調整手段が排気から受ける反力あるいは熱量に関連してヒステリシスの大小を考慮したディザ制御が行えるため、過渡運転時を含めた幅広い運転条件でアクチュエータのヒステリシスを抑制できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、この発明が適用されるディーゼルエンジン1の全体的構成を示している。このディーゼルエンジン1は、NOx低減のためにいわゆる低温予混合燃焼を行わせるものであって、EGRによる酸素濃度の低減で、低温燃焼を実現するため、排気通路2と吸気通路3のコレクタ部3aとを結ぶEGR通路4に、図外の圧力制御弁からの制御圧力に応動するダイヤフラム式のEGR弁6を備えている。上記EGR弁6は、上記圧力制御弁を介してコントロールユニット5によって制御され、運転条件に応じた所定のEGR率を得るようになっている。たとえば、低速低負荷域ではEGR率が最大となり、回転速度、負荷が高くなるに従い、EGR率が減少していく。
【0017】
上記吸気通路3の吸気ポート近傍には、運転条件に応じて燃焼室内にスワールを生成するスワールコントロールバルブ9が設けられている。このスワールコントロールバルブ9は、ダイヤフラム式のアクチュエータ7および圧力制御弁8を介して開閉駆動されるもので、例えば低速低負荷域で閉じられ、燃焼室内にスワールが生成される。
【0018】
ディーゼルエンジン1は、コモンレール式の燃料噴射装置10を備えている。このコモンレール式の燃料噴射装置10においては、サプライポンプ11により加圧された燃料が高圧燃料供給通路12を介して蓄圧室(コモンレール)13にいったん蓄えられたあと、この蓄圧室13から各気筒の燃料噴射ノズル14に分配され、各燃料噴射ノズル14の開閉に応じてそれぞれ噴射される。上記蓄圧室13内の燃料圧力は、図示せぬプレッシャレギュレータによって可変的に調整されるようになっており、蓄圧室13には、燃料圧力を検出するために燃料圧力センサ15が設けられている。
【0019】
また、このディーゼルエンジン1は、排気タービン22とコンプレッサ23とを同軸上に備えたターボ過給機21を有している。上記排気タービン22は、排気通路2のEGR通路4分岐点より下流側に位置し、かつこの排気タービン22のスクロール入口に、容量調整手段としての可変ノズル24を備えた容量可変型の構成となっている。すなわち、可変ノズル24の開度を小さくした状態では、低速域のような排気流量の少ない条件に適した小容量の特性となり、可変ノズル24の開度を大きくした状態では、高速域のような排気流量の多い条件に適した大容量の特性となる。上記可変ノズル24は、制御圧力(制御負圧)に応動するダイヤフラム式のアクチュエータ25によって駆動され、かつ上記制御圧力は、デューティ制御される圧力制御弁26を介して生成される。
【0020】
なお、上記排気タービン22の下流側の排気通路2には、排気微粒子をトラップするように、触媒付きの微粒子捕捉フィルタ27が設けられている。
【0021】
また、吸気通路3に介装された上記コンプレッサ23の上流側には、吸入空気量つまり新気量を検出するエアフロメータ31が配設され、さらにその上流に、エアクリーナ32が位置している。上記コンプレッサ23とコレクタ部3aとの間には、過給された高温の空気を冷却するインタークーラ33が設けられている。
【0022】
上記の圧力制御弁26などを制御するコントロールユニット5には、上述のセンサ類のほかに、過給圧を検出する過給圧センサ41、冷却水温を検出する水温センサ42、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセル開度センサ43、吸気温度を検出する吸気温度センサ44、機関回転数を検出する回転数センサ45、などのセンサ類の検出信号が入力されている。
【0023】
次に、図2は、上記コントロールユニット5によって実行されるターボ過給機21の制御をブロック図として示したものであり、以下、これを説明する。なお、これらの機能の多くは、ソフトウェア的に処理されるものである。
【0024】
S1では、エアフロメータ31の検出信号から実際の新気量つまり実新気量QACを演算する。S2では、過給圧センサ41の検出信号から過給圧PMを演算する。S3では、そのときのエンジン回転数NEと負荷に相当する燃料噴射量QFとから、必要な新気量つまり目標新気量TQACを演算する。なお、燃料噴射量QFに代えて、アクセル開度、エンジントルク、等、エンジン負荷を代表する他の変数を用いることもできる。これは、他の処理においても同様である。また、S4では、同じくエンジン回転数NEと燃料噴射量QFとから、目標EGR率MEGRを演算する。この目標EGR率MEGRに基づいて、S15として示すEGR制御部において、運転条件に応じた排気還流率の制御が実行される。
【0025】
S5では、目標新気量TQACを吸気系の応答遅れ分を相殺するように遅れ処理(たとえば1次遅れフィルタのようなものを用いる)し、これを目標新気量TQACDとする。S6では、上記目標新気量TQACDと実新気量QACとの差を演算し、偏差DQACを求める。S7では、この偏差DQACに基づき、PID制御等のフィードバック補償手段を用いて、VGT開度フィードバック補正値TRAVFB(請求項5の「フィードバック演算値」に相当)を演算する。なお、「VGT」とは、「容量可変型ターボ過給機」を略記したものである。
【0026】
一方、S8ではS3からの目標新気量TQACに燃料噴射量QFを加え、かつ単位を「mg/st」から「g/sec」に変換して、目標排気ガス流量TQEXHを求める。フィードフォワード演算手段からなるS9では、目標排気ガス流量TQEXH、目標EGR率MEGR、および実過給圧PMを主たる変数として、VGTフィードフォワード演算値TRAVFFを演算する。この値は、吸気系の応答を補償するように、S10で進み処理した上で、S11において、フィードバック補正値TRAVFBと加算する。さらに、S12で、可変ノズル24のアクチュエータ25の一般的な応答遅れを補償するように進み処理して目標ノズル開度TRAVとする。従って、以上の部分が請求項の「作動目標値設定手段」に相当し、目標ノズル開度TRAVが「作動目標値」に相当する。
【0027】
S13では、可変ノズル24のアクチュエータ25の非線形性をアクチュエータモデルの逆系を用いて補償し、最終的にアクチュエータ25を駆動する圧力制御弁26へデューティ比信号VNDUTYを出力する。このデューティ比信号VNDUTYが、請求項の「指令値」に相当し、S13が、「変換手段」および「信号重合手段」を構成する。また、S14では、アクチュエータ25による可変ノズル24の実開度を予測するために、S10から出力されたフィードフォワード演算値TRAVFFに対してフィルタ処理(1次遅れ処理)を施し、可変ノズル24の実開度相当値VGTACTを得る。このように実開度相当値VGTACTとして可変ノズル24のノズル開度を推定することにより、その実際の開度をセンサで検出する必要がない。
【0028】
図3は、本発明の要部である上記S13(VGTACT.MODEL)の詳細を示している。
【0029】
S1では、前述の目標ノズル開度TRAVと、nサイクル前の目標ノズル開度TRAVの値(図中ではZ-1と表記する。なおnは適合値である)と、を比較し、両者の関係から目標ノズル開度TRAVの増減方向つまりアクチュエータ25の動作方向を判別する。この動作方向を、F_VNDIRECとする。
【0030】
S2〜S4では、目標ノズル開度TRAVの値を圧力制御弁26の駆動信号のデューティ比に変換するが、まず、S2では、可変ノズル24のノズル開度と圧力制御弁26のデューティ比との間の非線形性を補償するために、両者の非線形の関係に沿った特性のテーブルTAVDTYを用いて、目標ノズル開度TRAVを補正し、これを演算値RVNDUTYとする。そしてS3では、開方向動作および閉方向動作で異なるヒステリシスの影響を考慮するために、4つのMDTY*マップから、運転条件(機関回転数NE、燃料噴射量QF)に基づき、ノズル開度上限・下限のデューティ比を、開方向・閉方向についてそれぞれ演算し、目標ノズル開度つまり非線形補償後のRVNDUTYに対応する開方向動作デューティ比VNDUTYPOSおよび閉方向動作デューティ比VNDUTYNEGをそれぞれ演算する。すなわち、第1のマップでは、開方向動作のときの上限値つまりノズル全開に対応する値MDTYHPを求め、第2のマップでは、開方向動作のときの下限値つまりノズル全閉に対応する値MDTYLPを求め、S4−1で、両者の差に上記目標値RVNDUTYを乗じるとともに、上記下限値MDTYLPを加えて、開方向動作デューティ比VNDUTYPOSとする。同様に、第3のマップでは、閉方向動作のときの上限値つまりノズル全開に対応する値MDTYHNを求め、第4のマップでは、閉方向動作のときの下限値つまりノズル全閉に対応する値MDTYLNを求め、S4−2で、両者の差に上記目標値RVNDUTYを乗じるとともに、上記下限値MDTYLNを加えて、閉方向動作デューティ比VNDUTYNEGとする。なお、上記のS2の線形化の処理およびS3,S4のヒステリシスに対する処理は、前述した特開2001−132463号公報の図32、図41〜図45に示す処理と基本的に同一であり、その方法はいずれも公知であるので、これ以上詳細には説明しない。S5では、S1から出力される動作方向F_VNDIRECに従って、開方向動作デューティ比VNDUTYPOSおよび閉方向動作デューティ比VNDUTYNEGのいずれかを選択し、目標デューティ比VNDUTYCとして出力する。以上の処理によって、開方向動作と閉方向動作で異なる基本的なヒステリシスは抑制される。なお、上記目標デューティ比VNDUTYCが、請求項における「基本指令値」に相当する。
【0031】
次に、S6以降において、本発明の要部であるディザ処理を行う。まず、S6では、エンジン回転数NEと負荷(燃料噴射量QF)とから、振動信号(ディザ信号)の周期の基本値として、ディザ周期基本値MDITHCYLを決定する。これは、図6に示すような特性で与えられる。つまり、排気脈動の影響で、大流量時に低周波のディザ処理を行うと、共振してしまうので、排気脈動の周波数を避けるように、大流量時ほど周期を短くしている。S7では、可変ノズル24が排気から受ける反力および熱量を考慮するために、図2のS14から出力された可変ノズル24の実開度相当値VGTACTと排気流量QEXHとから、ディザ周期補正係数KDITHCYLを求める。これは、ディザ処理の周期が図7に示すような特性となるように与えられる。つまり、一般に排気流量が大きいほど排気脈動の周期が短くなるので、この排気脈動との共振を避けるように、周期を短く補正する。そして、S8で、上記ディザ周期基本値MDITHCYLに上記ディザ周期補正係数KDITHCYLによる補正を加えてディザ周期DITHCYLを求める。S9は、スィッチングジェネレータに相当し、上記のディザ周期DITHCYLに従って、信号F_DITHERをON/OFF制御する。
【0032】
S10では、エンジン回転数NEと負荷(燃料噴射量QF)とから、振動信号(ディザ信号)の振幅の基本値として、ディザ振幅基本値MDITHHYSを決定する。これは、図8に示すような特性で与えられる。つまり、上述したように、高速高負荷側ではディザ周期が短くなり、それだけディザ処理によるヒステリシス抑制作用が弱まるので、これを相殺するように、高速高負荷側ほど、振幅が大きく設定される。S11では、可変ノズル24が排気から受ける反力および熱量を考慮するために、図2のS14から出力された可変ノズル24の実開度相当値VGTACTと排気流量QEXHとから、ディザ振幅補正係数KDITHHYSを求める。これは、振幅が図9に示す特性となるように与えられる。つまり、ノズル開度が小さいほど排気からの反力および受熱が大きくなり、また同一のノズル開度であれば排気流量が大きい方が排気温度が高くなって、ヒステリシスが大きくなるので、そのヒステリシスを十分に抑制すべく振幅を大きくする。そして、S13で、上記ディザ振幅基本値MDITHHYSに上記ディザ振幅補正係数KDITHHYSによる補正を加えてディザ振幅DITHHYSを求める。
【0033】
次に、このディザ振幅DITHHYSの値を、S5から出力された基本指令値に相当する目標デューティ比VNDUTYCに加算および減算して、上側および下側の2種の値を求めるとともに、S12で、上記の所定のディザ周期の信号F_DITHERにより、これらの値を交互に切り換えて、アクチュエータ25への指令値となる最終出力値VNDUTYを出力する。つまり、この最終出力値VNDUTYは、目標デューティ比VNDUTYCに所定の振幅および周期の振動信号を重ね合わせたものとなる。
【0034】
なお、上記排気流量QEXHは、次の式により求めることができる。
【0035】
QEXH=(QAC+QF)×NE÷KCON#(g/sec.)
ここで、QAC:新気流量(mg/st.cyl.)、QF:燃料噴射量相当値(mg/st.cyl.)、NE:エンジン回転数(rpm)、KCON#:単位変換定数(mg/st.cyl.→g/sec.)である。
【0036】
図4は、図7および図9の特性を、ノズル開度(VGTACT)に対する振幅および周期の特性として示したものである。ノズル開度が小さいときには、ヒステリシスが大きく、かつ共振を起こす可能性が低いので、効果的なヒステリシス抑制が行えるように、振幅を大とし、かつ周期も大とする。また、図5は、図7および図9の特性を、排気流量(QEXH)に対する特性として示したものである。前述したように、大流量時に低周波のディザ処理を行うと共振してしまうので、排気脈動の周波数を避けるように、大流量時ほど周期を短くする。但し、周期を短くすることでディザ処理による作用が弱くなるので、振幅をこれに呼応して大きくする。また、可変ノズル24が受ける熱量の点でも、排気流量が大であるほど熱量が大きくなり、ヒステリシスが大となるので、振幅を大とすることが好ましい。
【0037】
図10は、図12と同様に、同排気流量の下で可変ノズル24のノズル開度を段階的に小さくしていったときのディザ制御によるアクチュエータ25への最終出力値(VNDUTY)の変化と実際のノズル開度(VN開度)の変化とを示している。前述したように、可変ノズル24の開度が小さいほどヒステリシスが大きくなるが、本発明では、図示するように、ノズル開度が小さいほどディザ処理の振幅が大となるので、ヒステリシスが抑制され、目標ノズル開度により精度よく一致する。
【0038】
また図11は、図13と同様に、ノズル開度をステップ的に変化させたときの最終出力値(VNDUTY)と実際のノズル開度(VN開度)の変化を示し、(a)は排気流量が小の場合、(b)は排気流量が大の場合の特性を示しているが、本発明では、図示するように、排気流量が大きいほど、ディザ処理の振幅が大となる。そのため、排気流量が大であるときのヒステリシスの影響を効果的に抑制できる。
【0039】
なお、上記のS7やS11において、可変ノズル24の実開度相当値VGTACTの代わりに、図2のS10によるフィードフォワード演算値TRAVFFを用いて演算してもよい。但し、この場合、実際の可変ノズル24のノズル開度に対して早め早めに補正がかかるため、ヒステリシス補償の精度が若干悪化する。
【0040】
上記実施例では、可変ノズル24のノズル開度が小さいほど可変ノズル24が排気から受ける反力および熱量が大きいものとみなしているので、実際に反力や圧力を直接検出する必要がなくなり、制御系ロジックの構築が容易である。また、ノズル開度が小さいほど容量が小さいとみなすことで、ターボ過給機21の実際の容量を検出する必要もない。
【0041】
またターボ過給機21を通過する排気流量のほか、ターボ過給機21を通過する排気ガスの圧力、流速、ターボ過給機21の過給圧あるいは吸入空気量などに応じて、これらが大であるほど可変ノズル24が受ける熱量が大であるとみなして、ディザ処理の振幅や周期を補正するようにしてもよい。これにより、幅広い運転条件でアクチュエータ25のヒステリシスを補償できるとともに、排気脈動との共振を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る制御装置を備えたディーゼルエンジンの全体的構成を示す構成説明図。
【図2】ターボ過給機の制御の内容を示すブロック図。
【図3】図2のS13の詳細を示すブロック図。
【図4】ノズル開度に対するディザ処理の振幅(A)および周期(B)の特性を示す特性図。
【図5】排気流量に対するディザ処理の振幅(A)および周期(B)の特性を示す特性図。
【図6】運転条件に対するディザ処理の周期の特性を示す特性図。
【図7】ノズル開度および排気流量に対するディザ処理の周期の特性を示す特性図。
【図8】運転条件に対するディザ処理の振幅の特性を示す特性図。
【図9】ノズル開度および排気流量に対するディザ処理の振幅の特性を示す特性図。
【図10】ノズル開度を段階的に小さくしていったときの最終出力値(VNDUTY)の変化と実際のノズル開度(VN開度)の変化とを示す特性図。
【図11】ノズル開度をステップ的に変化させたときの最終出力値(VNDUTY)と実際のノズル開度(VN開度)の変化を示し、排気流量小(a)と排気流量大(b)とを対比して示す特性図。
【図12】従来における図10の同様の特性図。
【図13】従来における図11の同様の特性図。
【符号の説明】
1…ディーゼルエンジン
2…排気通路
5…コントロールユニット
21…ターボ過給機
24…可変ノズル
25…アクチュエータ
26…圧力制御弁
Claims (9)
- 吸気通路を介してエンジンが吸入する空気を過給するターボ過給機と、
上記ターボ過給機の容量を可変調整する容量調整手段と、
指令値に応じて上記容量調整手段を駆動するアクチュエータと、
上記容量調整手段の作動目標値を設定する作動目標値設定手段と、
この作動目標値を基本指令値に変換する変換手段と、
所定の振幅および所定の周期を有する振動信号を上記基本指令値に重ね合わせて上記指令値を生成する信号重合手段と、
を備えてなるターボ過給機の制御装置において、
上記信号重合手段は、上記容量調整手段により調整される上記容量が小さいほど、上記振動信号の振幅を大きく設定することを特徴とするターボ過給機の制御装置。 - 上記容量調整手段は、上記容量調整手段により調整される上記容量が小さいほど、上記振動信号の周期を大きく設定することを特徴とする請求項1に記載のターボ過給機の制御装置。
- 上記容量調整手段は、上記ターボ過給機の排気タービン入口側開口部に設けられた可変ノズルを含み、
上記アクチュエータは、上記指令値に応じて上記可変ノズルのノズル開度を調整するものであり、
上記信号重合手段は、上記ノズル開度が小さいほど、上記ターボ過給機の容量が小さいとみなすことを特徴とする請求項1あるいは2に記載のターボ過給機の制御装置。 - 上記作動目標値設定手段は、検出した実新気量と運転状態に基づく目標新気量との偏差から求められるフィードバック演算値と、運転状態から求められるフィードフォワード演算値と、を用いて上記作動目標値を設定し、
上記信号重合手段は、上記フィードフォワード演算値が小さいほど、上記ターボ過給機の容量が小さいとみなすことを特徴とする請求項1あるいは2に記載のターボ過給機の制御装置。 - 上記信号重合手段は、上記ターボ過給機の排気タービンに流入する排気の流量、流速、圧力、上記ターボ過給機の過給圧、または、吸入空気量が大きいほど、上記容量調整手段が排気から受ける熱量が大きいとみなすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のターボ過給機の制御装置。
- 上記信号重合手段は、上記ターボ過給機の排気タービンに流入する排気の流量、流速、圧力、上記ターボ過給機の過給圧、又は、吸入空気量が大きいほど、上記振動信号の周期を小さく補正することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のターボ過給機の制御装置。
- 上記信号重合手段は、上記振動信号の周期を排気脈動との共振周期と異なる周期に設定することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のターボ過給機の制御装置。
- 吸気通路を介してエンジンが吸入する空気を過給するターボ過給機と、
上記ターボ過給機の容量を可変調整する可変ノズルと、
指令値に応じて上記可変ノズルを駆動するアクチュエータと、
上記可変ノズルのノズル開度の目標値を設定する目標値設定手段と、
この目標値を基本指令値に変換する変換手段と、
所定の振幅および所定の周期を有する振動信号を上記基本指令値に重ね合わせて上記指令値を生成する信号重合手段と、
を備えてなるターボ過給機の制御装置において、
上記信号重合手段は、エンジンの負荷と回転数とに基づいて上記振動信号の振幅を設定するとともに、上記可変ノズルのノズル開度が小さいほど振幅が大となるように補正することを特徴とするターボ過給機の制御装置。 - 吸気通路を介してエンジンが吸入する空気を過給するターボ過給機と、
上記ターボ過給機の容量を可変調整する可変ノズルと、
指令値に応じて上記可変ノズルを駆動するアクチュエータと、
上記可変ノズルのノズル開度目標値を設定する目標値設定手段と、
このノズル開度目標値を基本指令値に変換する変換手段と、
所定の振幅および所定の周期を有する振動信号を上記基本指令値に重ね合わせて上記指令値を生成する信号重合手段と、
を備えてなるターボ過給機の制御装置において、
上記信号重合手段は、エンジンの負荷と回転数とに基づいて上記振動信号の振幅を設定するとともに、上記可変ノズルにより調整される上記容量が小さいほど振幅が大となるように補正することを特徴とするターボ過給機の制御装置。
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