JP4045703B2 - 金属複合成形体の製造方法 - Google Patents

金属複合成形体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,金属粉末射出成形法により,同種又は異種材料よりなる2つの成形体を一体化してなる金属複合成形体を製造する場合の成形法に関する。
【0002】
【従来技術】
近年,金属粉末射出成形法(MIM法:Metal Powder Injection Molding)が金属部品の製造法として利用されている。この方法は,金属粉末をバインダと混合させて流動性を持たせて,これを射出成形し,得られた成形体から加熱等によりバインダの大部分を除去する脱脂工程と,更に高い温度で加熱して金属粉末を焼結させる焼結工程を行うことによって所望の製品を得る。
【0003】
この金属粉末射出成形法によれば,比較的複雑な形状のものを作製することができるが,異種材料を一体化する場合や,同種材料であっても形状的に複雑過ぎる場合などには,一度に射出成形できない場合が有る。この場合には,2つの成形体をそれぞれ射出成形し,製造過程のいずれかの工程でこれらを一体化する手法が取られる。
【0004】
【解決しようとする課題】
従来,金属粉末射出成形法を用いて同種材料,或は異種材料からなる複数の部品を一体化した焼結体を得る方法としては,例えば個別に形成した複数の焼結体を溶接等の適当な工法を用いて接合する方法がある。しかしながら,焼結後に溶接する工程を加えることは,工数の増加によるコストアップと,品質の不安定化を招いてしまう。
【0005】
また,他の手法として例えば特開平3−232906号公報に示されているように別に準備した第1成形体を金型内に配置しておき,第2成形体を射出成形するインサート成形法がある。
この場合には,第1成形体を別に事前に製造しなければならない為,工数が増加する。
また,第1成形体を金型内に配置する場合,これを挿入する凹部の寸法を成形体の寸法よりも大きくする必要があり,寸法精度が落ちる。両者の寸法を同じにした場合には,凹部に成形体をインサートしようとする際に成形体が削れたり,壊れたりして不良率が上がってしまうからである。
【0006】
また,特開平7−90312号公報には,金型に仕切りを設けてこの仕切りを動かしながら順次キャビティに射出成形して一体化させる方法が示されている。この場合には,金属粉末射出成形法が本来得意とする3次元の複雑形状を有する成形体の成形が非常に困難であり,実現するには金型構造が非常に複雑となりコストが高くなる。
また,形成したい成形体が小さい場合には,金型内に仕切りを設けるスペースが得られなかったり,スプルー,ランナ等を設けることができない。
【0007】
また,複数の成形体を同時に得る,所謂「多数個取り」を実現することが非常に困難であり,実現するには金型構造が非常に複雑となりコストが高くなる。
また,仕切りを動かすための摺動部が多数存在することで金型の寿命が短くなる。
更に,仕切りを設置することで成形体には多数の金型割面が転写され良好な表面状態を得られず,更に仕切り摺動部に必然的に存在するクリアランスの影響で高い寸法精度は望めないという問題がある。
【0008】
また,特開平4−346604号公報には,中子を挿入した状態で第1成形体を形成した後,中子を取り出して,それにより形成されたキャビティに第2成形体を射出成形することが示されている。また,第1成形体の第2成形体と接するべき部分を20〜70℃にした後,第2成形体を射出成形することが示されている。
【0009】
しかしながら,第1成形体の外表面の温度を20〜70℃にする為には,通常の射出成形機ならば射出成形後,温度が下がるのを待つ必要があり,極めて生産性が悪くなる。
また,中子を用いた成形は,その脱着に時間がかかり,かつ,一度取り出すことで中子が冷えてしまい,続けて射出成形する場合は,中子が所定温度まで上がるのを待たなければならない為生産性が悪い。
【0010】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,異種材料もしくは同種材料よりなる複数の成形体を一体化させた金属複合成形体を,優れた寸法精度で安価に安定して製造することができる製造方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,金属粉末射出成形法により,第1成形体を成形した後,該第1成形体の一部に密着した状態で第2成形体を成形して両者を一体化してなる金属複合成形体を製造する方法であって,
基準型と第1交換型にそれぞれ設けたキャビティ面を対面させて第1キャビティを形成し,該第1キャビティ内に第1成形体を射出成形し,
次いで,該第1成形体を上記基準型のキャビティ面内に残したまま,上記第1交換型のみを異なる形状のキャビティ面を有する第2交換型に入れ替えて該第2交換型のキャビティ面と上記第1成形体とにより第2キャビティを形成し,該第2キャビティに面する上記第1成形体の射出成形後に低下する温度が,該第1成形体に含有されているバインダの軟化点以上の温度であり,かつ上記第1成形体を構成するバインダの分解温度以下の温度範囲内にある間に,上記第2キャビティ内に第2成形体を射出成形することにより上記第1成形体と第2成形体とを一体化してなる金属複合成形体を得ることを特徴とする金属複合成形体の製造方法にある。
【0012】
次に,本発明の作用につき説明する。
本発明の製造方法においては,まず,上記一対の基準型及び第1交換型により第1キャビティを形成する。即ち,第1型部材を構成する2つの金型にそれぞれキャビティ面を設けておき,これらを対面させることにより所望の第1成形体に対応した形状を有する第1キャビティを形成する。そして,この第1キャビティ内に,第1成形体用の金属粉末を射出する。金属粉末は,従来例にも示したごとく,所定温度に加熱して流動性を持たせたバインダと混合した状態としておく。
【0013】
そして,第1キャビティ内において第1成形体を成形した後,これを離型させることなく,第1交換型のみを第2交換型に入れ替える。第2交換型は,第2成形体の所望形状に対応したキャビティ面を有しており,対面する第1成形体の表面と共に第2キャビティを形成する。そして,この第2キャビティ内に,第2成形体用の金属粉末を射出する。この金属粉末も,所定温度に加熱して流動性を持たせたバインダを混合させた状態で用いる。
【0014】
このように,本発明では,第1成形体を射出成形した後,これを型から取り出さずにその上に第2成形体を射出成形することができる。即ち,第1成形体を射出成形した後,上記第1交換型と第2交換型とを入れ替えるだけで,その後の第2成形体の射出成形を短時間で連続的に行うことができる。そのため,基準型のキャビティ面に残存させた第1成形体の温度をあまり低下させることなく,これに第2成形体を接触させることができる。
【0015】
この第1成形体の温度低下の抑制は,第1成形体と第2成形体の境界部の状態を非常に良好な状態にすることができる。
即ち,第1成形体及び第2成形体は,それぞれ,その主体となる金属粉末と共にバインダを含有している。このバインダと金属粉末の混合体を射出成形した場合,その流動性の特性から,表面部分におけるバインダの濃度が高くなる。また,このバインダは温度の低下によって凝固し,流動性を失う。そのため,単に第1成形体が冷えて凝固した後にその表面に第2成形体を射出成形した場合には,両者の間にバインダ濃度が高い境界層が形成される場合がある。このバインダ濃度が高い境界層が残存した状態でその後の脱脂及び焼結をした場合には,両者の金属粉末同士の間隔が広すぎて良好な焼結状態が得られない場合が生ずる。
【0016】
これに対し,上記のごとく,第1成形体の温度をある程度高く維持しておくことにより,第1成形体の表面をある程度流動性のある状態に維持することができる。あるいは,凝固していても,第2成形体から伝わる熱によって,容易に流動性を回復することができる。そのため,この場合には,第1成形体と第2成形体の境界部においてバインダ濃度が高い部分を流動させて両者の金属粉末間距離を縮めることができる。それ故,最終的に得られる焼結体の品質を向上させることができる。
【0017】
また,本発明では,上記のごとく,第1成形体を基準型のキャビティ面に残したままとすることにより,得られる金属複合成形体の寸法精度を向上させることができる。
更に,上記のごとく,第1交換型と第2交換型とを入れ替えるだけでほとんど連続的に2つの射出成形を行うことができる。そのため,非常に高効率で金属複合成形体を製造することができ,製造コストを低下させることができる。
【0018】
このように,本発明によれば,異種材料もしくは同種材料よりなる複数の成形体を一体化させた金属複合成形体を,優れた寸法精度で安価に安定して製造することができる製造方法を提供することができる。
【0019】
次に,請求項2の発明のように,上記第1交換型と上記第2交換型との入れ替えは,両者を上記基準型に対して相対的にスライドさせることにより行うことができる。この場合には,上記第1,第2の交換型の入れ替え機構をシンプルなものにすることができる。なお,上記スライドは,相対的になされればよく,実際に移動するものが基準型であっても,第1及び第2交換型であっても,あるいは両者であってもよい。
【0020】
また,請求項3の発明のように,上記第1交換型と上記第2交換型との入れ替えは,両者を上記基準型に対して相対的に回転させることにより行うこともできる。この場合にも,上記第1,第2の交換型の入れ替え機構をシンプルなものにすることができる。なお,上記回転は,相対的になされればよく,実際に回転するものが基準型であっても,第1及び第2交換型であっても,あるいは両者であってもよい。
【0021】
また,請求項4の発明のように,上記第1交換型と上記第2交換型とは,一体的に構成されていることが好ましい。この場合には,例えば上記スライドあるいは回転を一体的に行うことができ,効率よく型の交換作業を行うことができる。また,第1交換型と第2交換型が一体化することによりこれらの熱容量が大きくなり,連続的な射出成形を行うときの型の温度変化を抑制することができる。
【0022】
また上記第2成形体の射出成形は,上記第2キャビティに面する上記第1成形体の温度が,該第1成形体に含有されているバインダの軟化点以上の温度であり,かつ上記第1成形体を構成するバインダの分解温度以下の温度範囲内にある間に行う。これにより,第1成形体と第2成形体とが接触した際に,これらの境界部分のバインダの流動性を確保することができ,境界部におけるバインダ高濃度部の形成を確実に抑制することができる。
上記第1成形体の温度が軟化点未満の場合には上記効果が十分に発揮されないおそれがある。一方,第1成形体の温度が第1成形体に含まれるバインダの分解温度を超える場合には第1成形体を構成する金属粉末とバインダの混合物の物性が変化するという問題がある。
【0023】
また,請求項5の発明のように,上記第2成形体の射出成形は,上記第2キャビティに面する上記第1成形体の温度が,70℃以上の温度であり,かつ上記第2成形体の金属粉末の射出温度以下の温度範囲内にある間に行うことが好ましい。この場合には,通常用いられるバインダの流動性をほぼ確実に維持することができ,さらに,境界部におけるバインダ高濃度部の形成を確実に抑制することができる。
【0025】
また,請求項6の発明のように,上記第2成形体の射出温度は95〜230℃であることが好ましい。第2成形体の射出温度が95℃未満の場合には,第1成形体を構成するバインダを確実に再溶融することが困難であるという問題が生じるおそれがあり,一方,230℃を超える場合には,第2成形体の成形材料を構成するバインダが分解するという問題が生じるおそれがある。
【0026】
また,請求項7の発明のように,上記第1成形体及び第2成形体に含まれるバインダの少なくとも一種は相溶する成分であることが好ましい。この場合には,第1成形体と第2成形体の境界部分におけるバインダ同士の拡散をさらに容易にすることができ,境界部の健全性を更に高めることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかる金属複合成形体の製造方法につき,図1〜図4を用いて説明する。
本例においては,図1(a)(b)に示すごとく,金属粉末射出成形法により,第1成形体11を成形した後,該第1成形体11の一部に密着した状態で第2成形体12を成形して両者を一体化してなる金属複合成形体1(図2)を製造する方法である。
【0028】
本例において用いる金属粉末射出成形用の金型5は,図1(a)(b)に示すごとく,基準型50と,第1交換型51と,第2交換型52とを有してなる。各型50〜52には,それぞれキャビティ面60〜62を設けてある。そして,図1(a)に示すごとく,基準型50と第1交換型51にそれぞれ設けたキャビティ面60,61を対面させることにより,第1成形体11の所望形状に対応した第1キャビティ71を形成できるように構成してある。また,第2交換型52におけるキャビティ面62は第2成形型12の所望形状に対応して設けてあり,後述するごとく,第1成形体11と共に第2成形体の所望形状に対応した第2キャビティ72を形成できるよう構成してある。
また,上記第1交換型51と第2交換型52とは,入れ替え可能に設けてある。
【0029】
本例では,この金型5を用いて,金属粉末射出成形法により金属複合成形体を製造する。
まず,第1成形体11用の金属粉末として,平均粒径10μmのSUS630Lを,バインダとしてアクリル系,EVA系,WAX系,およびステアリン酸を準備する。第1成形体用のバインダの軟化温度は60℃である。
また,第2成形体12用の金属粉末として,平均粒径10μmのSUS410Lを,バインダとして第1成形体の場合と同じものを準備する。
【0030】
そして,各金属粉末とバインダとを,バインダの軟化温度以上で混練し,第1成形体用の射出原料と第2成形体用の射出原料とを作製する。
次に,図1(a)に示すごとく,上記基準型50と第1交換型51にそれぞれ設けたキャビティ面60,61を対面させて第1キャビティ71を形成する。そして,第1キャビティ71内に上記第1成形体用の射出原料を射出して第1成形体11を射出成形する。本例では,第1成形体の射出温度は,180℃とした。
【0031】
次に,図1(b)に示すごとく,第1成形体11を基準型50のキャビティ面60内に残したまま,第1交換型51のみを異なる形状のキャビティ面62を有する第2交換型52に入れ替えて,第2交換型52のキャビティ面62と第1成形体11とにより第2キャビティ72を形成する。そして,第2キャビティ72内に上記第2成形体用の射出原料を射出して第2成形体12を射出成形する。このときの第2成形体の射出温度は180℃とした。
【0032】
これにより,図2に示すごとく,第1成形体11と第2成形体12とを一体化してなる金属複合成形体1が得られた。
この金属複合成形体1における第1成形体11と第2成形体12との境界部分を観察したところ,バインダ高密度部がほとんどみられず,非常に良好に接合していた。
【0033】
これをN2中において加熱して上記バインダの大部分を分解除去し,その後,真空焼結炉において焼結を行った。これにより,2つの成形体を一体的に焼結してなる複合材料が得られた。
この最終的な複合材料においては,第1成形体と第2成形体の境界部分においても,非常に良好に焼結がなされていた。この結果からも,焼結前の上記金属複合成形体における第1成形体と第2成形体の境界部分が非常に健全に構成されていたことが分かる。
【0034】
この理由は,次のように考えられる。
即ち,本例においては,第1成形体11を射出成形した後,これを基準型50のキャビティ面60型から取り出さずに,第1交換型51と第2交換型52とを入れ替えるだけで,その後の第2成形体12の射出成形を短時間で連続的に行うことができる。そのため,基準型50のキャビティ面60に残存させた第1成形体11の温度をあまり低下させることなく,これに第2成形体12を接触させることができる。
【0035】
つまり,本例においては,第1成形体11の温度がそのバインダの軟化温度である60℃未満に低下する以前に上記第2成形体の射出を行うことができる。そのため,第2成形体12との接触時における第1成形体11の表面をある程度流動性のある状態に維持することができる。そのため,第1成形体11と第2成形体12の境界部においてバインダ濃度が高い部分を流動させることができる。それ故,得られた金属複合成形体における金属粉末間距離を縮めることができる。そして,得られた金属複合成形体を脱脂,焼成することにより,非常に優れた焼結体を得ることができる。
【0036】
なお,本例においては,上記のごとく,第1成形体の温度が,そのバインダの軟化温度以上に維持されている間に第2成形体の射出を行ったが,第1成形体の温度が若干バインダの軟化温度以下に低下している場合であっても,第2成形体の射出温度の設定を工夫して,伝熱により第1成形体の表面温度をバインダの軟化点以上にすることもできる。
【0037】
(比較例)
ここで,本例の金属複合成形体の製造方法の効果を更に明確にすべく,従来の方法により金属複合成形体を製造し,その品質を比較した。
第1の比較例(比較例1)では,図3(a)(b)に示すごとく,第1成形体成形用の一対の金型911,912と,第2成形体成形用の一対の金型921,922をそれぞれ準備した。そして,第1成形体11と第2成形体12とを別々に作製し,図1(c)に示すごとく,これらを後工程で一体化した。
【0038】
第2の比較例(比較例2)では,図4(a)(c)に示すごとく,第1成形体成形用の一対の金型931,932と,インサート成形用の一対の金型941,942をそれぞれ準備した。そして,図4(a)に示すごとく,第1成形体11を上記金型931,932により成形した後,図4(b)に示すごとく,これを金型941のキャビティ内にセットした。次いで,これに金型942を対面させて第2成形体を射出成形した。
【0039】
比較例1においては,2つの成形体11,12を成形後に組み合わせたが,これらの境界部においては密接していない部分も生じ,また,それぞれの表面にはバインダ高濃度部が形成されていた。これを脱脂,焼結した結果,境界部において十分に接合されていない不良部が観察された。
【0040】
比較例2においては,2つの成形体11,12の境界部分における密着度は問題なかったが,バインダ高濃度部が形成されていた。また,第1成形体11の金型941へのインサート時に,その形状の崩れが生じた。これを脱脂,焼結した結果,境界部において十分に接合されていない不良部と共に,外形状の不良が観察された。
【0041】
実施形態例2
本例は,図5に示すごとく,実施形態例1における第1交換型51,と第2交換型52との入れ替え方法をスライドにより行った具体例である。
即ち,本例の第1交換型51及び第2交換型52は,図5に示すごとく,上下に並べて一体化した構造の交換型53として設けてある。また,基準型50も大型化しており,第1交換型51の突起部511を挿入して待機させる凹部501を設けてある。
そして,本例では,基準型50を,前後方向に進退可能である共に上下方向にスライド可能に構成してある。
【0042】
実際に金属複合成形体1を成形するに当たっては,図5(a)に示すごとく,基準型50のキャビティ面60に第1交換型51のキャビティ面61を対面させて第1キャビティ71を形成し,これに第1成形体11を射出成形する。
次いで,図5(b)に示すごとく,基準型50を若干後退させた後,下方にスライドさせ,その後,前進させる。これにより,図5(c)に示すごとく,基準型50に残存している第1成形体11に第2交換型52のキャビティ面62を対面させて第2キャビティ72を形成する。そして,第2キャビティ72に第2成形体12を射出成形することにより,金属複合成形体1が得られる。
【0043】
この場合には,簡単な構成で効率よく第1交換型51と第2交換型52との入れ替えを行うことができる。また,交換型53及び基準型50の大型化により,型の熱容量が大きくなり,連続チャージにおける型温度の変化を低減することができる。その他は実施形態例1と同様の作用効果が得られる。
【0044】
実施形態例3
本例は,図6に示すごとく,実施形態例2における交換型53を移動可能とし,基準型50を固定した例である。
即ち,図6に示すごとく,第1交換型51及び第2交換型52とを一体化した交換型53は,前後方向に進退可能であると共に上下方向にスライド可能に設けてある。また,基準型50も実施形態例3と同様に大型化しているが,これは固定してある。
【0045】
実際に金属複合成形体1を成形するに当たっては,図6(a)に示すごとく,基準型50のキャビティ面60に第1交換型51のキャビティ面61を対面させて第1キャビティ71を形成し,これに第1成形体11を射出成形する。
次いで,図6(b)に示すごとく,交換型53を若干後退させた後,上方にスライドさせ,その後,前進させる。これにより,図6(c)に示すごとく,基準型50に残存している第1成形体11に第2交換型52のキャビティ面62を対面させて第2キャビティ72を形成する。そして,第2キャビティ72に第2成形体12を射出成形することにより,金属複合成形体1が得られる。
この場合も実施形態例2と同様の作用効果が得られる。
【0046】
実施形態例4
本例は,図7に示すごとく,実施形態例1における第1交換型51,と第2交換型52との入れ替え方法を回転により行った具体例である。
即ち,本例の第1交換型51及び第2交換型52は,図7に示すごとく,上下に並べて一体化した構造の交換型53として設けてある。また,基準型50も大型化しており,第1交換型51の突起部511を挿入して待機させる凹部501を設けてある。
そして,本例では,基準型50を,前後方向に進退可能であると共に回転可能に構成してある。
【0047】
実際に金属複合成形体1を成形するに当たっては,図7(a)に示すごとく,基準型50のキャビティ面60に第1交換型51のキャビティ面61を対面させて第1キャビティ71を形成し,これに第1成形体11を射出成形する。
次いで,図7(b)に示すごとく,基準型50を若干後退させた後,180度回転させ,その後,前進させる。これにより,図7(c)に示すごとく,基準型50に残存している第1成形体11に第2交換型52のキャビティ面62を対面させて第2キャビティ72を形成する。そして,第2キャビティ72に第2成形体12を射出成形することにより,金属複合成形体1が得られる。
【0048】
この場合にも,簡単な構成で効率よく第1交換型51と第2交換型52との入れ替えを行うことができる。また,交換型53及び基準型50の大型化により,型の熱容量が大きくなり,連続チャージにおける型温度の変化を低減することができる。その他は実施形態例1と同様の作用効果が得られる。
【0049】
実施形態例5
本例は,図8に示すごとく,実施形態例2における交換型53を回転可能とし,基準型50を固定した例である。
即ち,図8に示すごとく,第1交換型51及び第2交換型52とを一体化した交換型53は,前後方向に進退可能であると共に回転可能に設けてある。また,基準型50も実施形態例3と同様に大型化しているが,これは固定してある。
【0050】
実際に金属複合成形体1を成形するに当たっては,図8(a)に示すごとく,基準型50のキャビティ面60に第1交換型51のキャビティ面61を対面させて第1キャビティ71を形成し,これに第1成形体11を射出成形する。
次いで,図8(b)に示すごとく,交換型53を若干後退させた後,上方にスライドさせ,その後,前進させる。これにより,図8(c)に示すごとく,基準型50に残存している第1成形体11に第2交換型52のキャビティ面62を対面させて第2キャビティ72を形成する。そして,第2キャビティ72に第2成形体12を射出成形することにより,金属複合成形体1が得られる。
この場合も実施形態例4と同様の作用効果が得られる。
【0051】
実施形態例6
本例は,図9に示すごとく,第1交換型51と第2交換型52とを別体として設けると共に,これらを対面させ,さらにこれらの間に基準型50を回転可能に設けた例である。
基準型50には,180度対向する面にそれぞれキャビティ面60を設け,180度回転可能に設けてある。また,第1交換型51と第1交換型52は,それぞれ前後方向に進退可能に設けた。
【0052】
実際に金属複合成形体1を成形するに当たっては,図9(a)に示すごとく,基準型50の一方のキャビティ面60に第1交換型51のキャビティ面61を対面させて第1キャビティ71を形成し,他方のキャビティ面60に第2交換型52のキャビティ面62を対面させる。そして,ここでは,第1キャビティ71に第1成形体11を射出成形する。
【0053】
次いで,図9(b)に示すごとく,第1交換型51と第2交換型52を若干後退させた後,基準型50を180度回転させ,その後,第1交換型51と第2交換型52とを前進させる。これにより,図9(c)に示すごとく,基準型50に残存している第1成形体11に第2交換型52のキャビティ面62を対面させて第2キャビティ72を形成する。そして,第2キャビティ72に第2成形体12を射出成形することにより,金属複合成形体1が得られる。
【0054】
このとき,第1交換型51のキャビティ面61とこれに対面する基準型50のキャビティ面60の間には,再び第1キャビティ71が形成されている。そのため,この状態で第1成形体11を射出成形することにより,上記金属複合成形体1の成形と同時に第1成形体11の成形を行うこともできる。
そして,上記と同様に第1及び第2交換型51,52の進退と基準型50の回転動作を繰り返し,かつ,基準型50の回転途中での金属複合成形体1の離型を実行することにより,射出成形を非常に効率よく連続的に行うことができる。
【0055】
このように,本例においては,非常に効率よく生産することができ,製造コストの低減を図ることができる。
その他は実施形態例1と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,金属複合成形体の製造方法を示す説明図。
【図2】実施形態例1における,金属複合成形体の形状を示す一部切り欠き斜視図。
【図3】実施形態例1における,比較例1の金属複合成形体の製造方法を示す説明図。
【図4】実施形態例1における,比較例2の金属複合成形体の製造方法を示す説明図。
【図5】実施形態例2における,金属複合成形体の形状を示す一部切り欠き斜視図。
【図6】実施形態例3における,金属複合成形体の形状を示す一部切り欠き斜視図。
【図7】実施形態例4における,金属複合成形体の形状を示す一部切り欠き斜視図。
【図8】実施形態例5における,金属複合成形体の形状を示す一部切り欠き斜視図。
【図9】実施形態例6における,金属複合成形体の形状を示す一部切り欠き斜視図。
【符号の説明】
1...金属複合成形体,
11...第1成形体,
12...第2成形体,
50...基準型,
51...第1交換型,
52...第2交換型,
60,61,62...キャビティ面,
71...第1キャビティ,
72...第2キャビティ,

Claims (7)

  1. 金属粉末射出成形法により,第1成形体を成形した後,該第1成形体の一部に密着した状態で第2成形体を成形して両者を一体化してなる金属複合成形体を製造する方法であって,
    基準型と第1交換型にそれぞれ設けたキャビティ面を対面させて第1キャビティを形成し,該第1キャビティ内に第1成形体を射出成形し,
    次いで,該第1成形体を上記基準型のキャビティ面内に残したまま,上記第1交換型のみを異なる形状のキャビティ面を有する第2交換型に入れ替えて該第2交換型のキャビティ面と上記第1成形体とにより第2キャビティを形成し,該第2キャビティに面する上記第1成形体の射出成形後に低下する温度が,該第1成形体に含有されているバインダの軟化点以上の温度であり,かつ上記第1成形体を構成するバインダの分解温度以下の温度範囲内にある間に,上記第2キャビティ内に第2成形体を射出成形することにより上記第1成形体と第2成形体とを一体化してなる金属複合成形体を得ることを特徴とする金属複合成形体の製造方法。
  2. 請求項1において,上記第1交換型と上記第2交換型との入れ替えは,両者を上記基準型に対して相対的にスライドさせることにより行うことを特徴とする金属複合成形体の製造方法。
  3. 請求項1において,上記第1交換型と上記第2交換型との入れ替えは,両者を上記基準型に対して相対的に回転させることにより行うことを特徴とする金属複合成形体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において,上記第1交換型と上記第2交換型とは,一体的に構成されていることを特徴とする金属複合成形体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において,上記第2成形体の射出成形は,上記第2キャビティに面する上記第1成形体の温度が,70℃以上の温度であり,かつ上記第2成形体の金属粉末の射出温度以下の温度範囲内にある間に行うことを特徴とする金属複合成形体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において,上記第2成形体の射出温度は95〜230℃であることを特徴とする金属複合成形体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において,上記第1成形体及び第2成形体に含まれるバインダの少なくとも一種は相溶する成分であることを特徴とする金属複合成形体の製造方法。
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