JP4045159B2 - 加圧ゲル化用金型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂注型品を短時間で大量に製造する加圧ゲル化法に用いられる加圧ゲル化用金型に係り、特に、樹脂の流路部分に改良を加えた加圧ゲル化用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂注型品は固体絶縁物としての電気絶縁性や機械的特性に優れている。このため従来から、高電圧で使用される電気機器内の構造絶縁物をはじめ、様々な分野で利用されている。エポキシ樹脂注型品はエポキシ樹脂に硬化剤と充填剤を配合し、加熱硬化して製造するのが一般的である。その製造方法としては近年、加圧ゲル化法が適用されている。加圧ゲル化法とは、反応性の高いエポキシ樹脂を使用し、金型の温度を樹脂温度より数段高くした状態で金型に樹脂を注入し、硬化が完了するまで硬化時の収縮分に相当する樹脂を加圧補給し続ける製造方法である。このような加圧ゲル化法に採用することにより、高品質で信頼性の高いエポキシ樹脂注型品を短時間で大量生産することが可能となっている。
【0003】
ところで、加圧ゲル化法に用いられる金型は、通常、2分割でクランプ装置に取り付けられ、開閉が行われる。また、クランプ装置によって型締めされた金型には金型内の製品部への樹脂供給路として注入口が設けられている。なお、硬化時の収縮分の樹脂を補うための加圧補給流路も、この注入口を経由するようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−240051号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、加圧ゲル化用金型には次のような課題があった。すなわち、金型内の樹脂が硬化する際、樹脂の供給路である注入口においても、樹脂の硬化が進行する。この時、熱源となる金型と直に接する表面部と自己発熱によって温度上昇する中央部とは、他の部分よりも先に硬化する。そして、注入口において最も硬化の遅れる部分は、製品表面よりも数ミリ内部の一点に再現性良く絞られることになる。
【0006】
この結果、注入口の樹脂流路は硬化が進むにしたがって細くなっていき、最悪の場合、注入口が閉塞するおそれがある。注入口が細くなると、収縮補償のための樹脂が集中して流れるため、供給圧力が増大してこれに耐えられなくなり、クラックを発生する。また、注入口が閉塞して収縮分の樹脂補給ができなくなれば、製品内部に巣やボイドが生じることになる。このような巣やボイドといった内部欠陥はエポキシ樹脂注型品における絶縁性能・機械的強度を著しく低下させる要因となった。
【0007】
上述したクラック、巣あるいはボイドの発生を防ぐためには、注入口内の樹脂が金型内の製品部の樹脂よりも先に硬化しないことが不可欠である。そこで従来の加圧ゲル化用金型では、注入口周囲の金型温度が製品部より低くなるように温度勾配を付けたり、注入口周囲を冷やすために冷却機構を設ける改良がなされている。しかし、このような改良を施した従来例では、金型の複雑化が余儀なくされており、構成の簡略化が強く望まれていた。
【0008】
本発明は、このような点を鑑みて提案されたものであり、その目的は、極めて簡単な構成により樹脂の注入口が狭められることを抑えて樹脂をスムーズに流して、絶縁性能・機械的強度を低下させる欠陥の発生を回避し、高品質で信頼性の高いエポキシ樹脂注型品を製造可能な加圧ゲル化用金型を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、金型の温度を樹脂温度よりも高くした状態で樹脂を金型に注入し、樹脂の硬化が完了するまで硬化時の収縮分を補うべく樹脂を前記金型に加圧補給してエポキシ樹脂注型品を製造する加圧ゲル化法に用いられる加圧ゲル化用金型において、前記金型への樹脂の注入口の壁面に、円筒形状の突出した凸部をその軸方向が注入口の軸方向と交差する方向に突出するように設けたことを特徴としている。
このような請求項1の発明によれば、注入口に凸部を設けるという非常に簡単な構成で、注入口における樹脂の流れを分散させ、金型より温度の低い樹脂の供給路を広げることができる。したがって、樹脂供給路である注入口が狭められることがなくなり、注入口から金型内に樹脂をスムーズに流すことができる。このため、注型品にクラックや巣あるいはボイドなどの欠陥が発生することがなく、絶縁性能・機械的強度に優れたエポキシ樹脂注型品を製造することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の加圧ゲル化用金型において、前記凸部は金型の熱伝導率よりも低い低熱伝導率材料からなることを特徴としている。
このような請求項2の発明によれば、前記凸部を金型の熱伝導率よりも低い低熱伝導率材料から構成したことで、凸部の周辺部つまり自己発熱による中央部においてその硬化を遅らせることができ、硬化発熱を抑止することが可能である。したがって、製品部の硬化終了まで注入口が閉塞することがなく、巣やボイドといった内部欠陥の発生を回避することができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の加圧ゲル化用金型において、前記凸部は分子構造にフッ素を有する高分子材料からなることを特徴としている。このような請求項3の発明によれば、凸部をフッ素を有する高分子材料から構成したので、凸部の耐久性が高くなると同時に、金型から製品を取り出す時の離型性が良好であり、生産性の向上を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の代表的な実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。本実施の形態は請求項1〜3の発明を包含している。図1は本実施の形態の断面図であり、クランプ装置によって2分割の金型が合わさった状態を示している。また、図2は2分割の金型の一方である固定側金型の正面図を示している。
【0013】
[構成]
本実施の形態における金型は2分割された固定側金型1と可動側金型2とからなる。金型1,2はそれぞれ金型固定板3,4に固定されており、金型固定板4にはクランプ装置である油圧シリンダ11が取り付けられている。なお、符号5は金型内の製品部、8は埋め込み金物である。
【0014】
固定側金型1と可動側金型2とが型締めされた時、底部には製品部5へ樹脂を供給する注入口6が形成される。本実施の形態の特徴は、この注入口6に樹脂の流路を分散させる凸部7が設けられた点にある。より詳しくは、固定側金型1の底部に略円筒形状の凸部7が可動側金型2側に突出して設けられている。凸部7は金型1,2の熱伝導率よりも低い低熱伝導率を有するテトラフルオロエチレンから構成されている。また、注入口6の下方には注入口6に圧着可能な注入ノズル9が上下動自在に配置されている。注入ノズル9の内部には注入弁が設置されている。さらに、注入ノズル9には注入ホース10が接続されている。この注入ホース10は図示しない樹脂注入装置またはタンクから樹脂を注入ノズル9に圧送するものである。
【0015】
[作用効果]
以上のような構成を有する本実施の形態では、油圧シリンダ11によって金型固定板4が可動側金型2を固定側金型1に押し付けることによって金型1,2を型締めする。この後、注入ノズル9が上昇して注入口6に圧着し、注入ノズル9内部の注入弁が開いて樹脂の注入が可能な状態となる。そして、樹脂注入装置またはタンクから圧送される樹脂を、注入ホース10、注入ノズル9を経由して、注入口6から金型1,2内の製品部5へ注入する。この時、注入口6を流れる樹脂は、凸部7に当たることによって流路を分散させながら製品部5に入っていく。製品部5に樹脂が満たされた後も収縮分の樹脂補給を注入口6を通して硬化完了まで行う。
【0016】
このようにして樹脂を注入する本実施の形態によれば、注入口6に凸部7を設けるという非常に簡単な構成によって、注入口6における樹脂の流れを分散させることができ、金型1,2よりも温度の低い樹脂の供給路を広げることができる。したがって、樹脂の硬化により注入口6を狭めることがなく、補給路が一点に集中しない。このため、注入口6から製品部5内に樹脂をスムーズに流すことができ、樹脂供給の圧力を分散させてクラックを発生しない製品を製造することができる。また、収縮分の樹脂を注入口6から確実に補給できるので、注型品に巣やボイドなどの内部欠陥が発生することがなく、絶縁性能・機械的強度に優れたエポキシ樹脂注型品を製造することができる。
【0017】
さらに、凸部7及び金型1,2の熱伝導率は、前者の方が後者より低いため、凸部7の周辺部つまり自己発熱による中央部の硬化を遅らせることができる。したがって、硬化発熱を抑える効果を得ることができ、製品部5の硬化終了まで樹脂の補給路である注入口6を塞ぐおそれがない。これにより、製品部5が完全に硬化した後、最後に補給路である注入口6が塞がる状況を作り上げることが可能であり、内部欠陥の発生を抑えて高品質で信頼性の高いエポキシ樹脂注型品を得ることができる。また、本実施の形態では、凸部7にテトラフルオロエチレンを使用しているので、優れた耐久性を発揮することができる。しかも、テトラフルオロエチレンはエポキシ樹脂と接着しにくいため、金型1,2から製品を取り出し易く、生産性が向上する。
【0018】
【発明の効果】
以上の説明から明らかのように、本発明の加圧ゲル化用金型によれば、金型への樹脂注入口に樹脂の流路を分散させる凸部を設けるといった極めて簡単な構成により、注入口が狭められることを抑えて樹脂をスムーズに流し、絶縁性能・機械的強度を低下させる欠陥の発生を回避して、高品質で信頼性の高いエポキシ樹脂注型品を製造することがができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施の形態の断面図。
【図2】本実施の形態における固定側金型の正面図。
【符号の説明】
1…固定側金型
2…可動側金型
3,4…金型固定板
6…注入口
8…埋め込み金物
9…注入ノズル
10…樹脂注入ホース
11…金型開閉用油圧シリンダ
Claims (3)
- 金型の温度を樹脂温度よりも高くした状態で樹脂を金型に注入し、樹脂の硬化が完了するまで硬化時の収縮分を補うべく樹脂を前記金型に加圧補給してエポキシ樹脂注型品を製造する加圧ゲル化法に用いられる加圧ゲル化用金型において、
前記金型への樹脂の注入口の壁面に、円筒形状の突出した凸部をその軸方向が注入口の軸方向と交差する方向に突出するように設けたことを特徴とする加圧ゲル化用金型。 - 前記凸部は金型の熱伝導率よりも低い低熱伝導率材料からなることを特徴とする請求項1に記載の加圧ゲル化用金型。
- 前記凸部は分子構造にフッ素を有する高分子材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の加圧ゲル化用金型。
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2002
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