JP4043739B2 - 冷却塔循環水の電磁気処理方法及び装置 - Google Patents

冷却塔循環水の電磁気処理方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却塔循環水の電磁気処理方法及び装置に関し、詳しくは、冷却塔と熱交換器とを循環する冷却塔循環水を電磁気処理することにより、循環水への金属イオンの供給を積極的に促進し、循環水の循環経路におけるスケールやアルジーの発生及び付着を防止するとともに、循環水の固形成分濃縮率を高めることができる冷却塔循環水の電磁気処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
冷却塔で大気と熱交換させて冷却した冷却水をポンプで熱交換器へ送り、該熱交換器での熱交換で昇温した冷却水を冷却塔に循環させる冷却水循環系では、冷却塔等での水の蒸発によってイオン物質が冷却水中に濃縮され、冷却水を送るパイプの内壁や熱交換器、冷却塔の内部にスケールや錆が発生し、これらのスケールや錆が、冷却効率の低下や設備の短寿命化等の一因となっている。また、水の濃縮は、微生物や藻類の発生と増殖とを加速し、環境衛生面からも問題となっている。
【0003】
これらの問題を軽減するため、従来から、有機りん酸系あるいは塩素系の薬剤を定期的に冷却水に添加することが行われていたが、維持コストが高いというだけでなく、冷却塔から薬剤が飛散することによる環境汚染を防止する対策も必要なことから、薬剤使用を代換えする新しい水処理方法が望まれている。
【0004】
薬剤を使用しない水処理方法として、電磁気処理方法が海外で考案され、各種の処理装置が導入されるととともに、国内においても多くの電磁気処理方法及び装置が提唱されている。この電磁気による水処理の基本的な考え方は、カルシウムイオン、ケイ酸イオンあるいは鉄イオン等の電解質イオンを含有する循環水が磁束に直交して流動するときに生じる磁場と電場とによる物理的な作用により、スケール形成あるいは金属材料腐食及び錆こぶ発生が抑制されるというものである。しかしながら、水処理装置に導入される磁場及び電場の強さは、分子やイオンの構造を変えるレベルには数オーダ不足しているため、水の電磁気処理に期待できる効果があるとすれば、含まれるコロイド粒子に及ぼす穏和なものであるとの報告もある(例えば、東谷公等、表面科学、20、764(1999))。
【0005】
冷却水循環系の循環水を電磁気処理することによってスケール成長が抑制された経験的な事実は多数報告されており、薬剤を用いることなく系内のスケール成長とアルジー生成を抑制できたとの報告はあるものの、従来の電磁気処理方法においては、効果発現の再現性は絶対的なものではなく、また、その効果の程度にもバラツキが大きく、十分な信頼性を得る水処理方法を提供するものではなかった。加えて、この従来の方法では、非常に高い磁束密度を持つ磁気処理装置を必要とするため、装置の製造コストも高価となってしまう。
【0006】
また、全く効果がないとする報告も多く、スケール成長に電磁気処理効果が確認された場合は、スケール結晶構造に変化を伴っており、その効果は長期間の電磁気処理を継続することにより発現している。すなわち、循環水の電磁気処理に期待される物理的な効果は穏和なものであるため、循環水の組成あるいは冷却システムの構造により、電磁気処理効果の発現の程度が異なっている。
【0007】
循環水の電磁気処理によるスケール成長の抑制に加え、循環水系に設置された金属銅電極から電気化学的に銅イオンを溶解させ、藻類の繁殖を抑制する電磁処理方法及び装置が、特許第2728840号公報で提唱されている。この発明における金属イオンの導入は銅イオンに限定するものであり、かつ、その導入の方法は、直流電源を用いた金属銅のアノード溶解によるものであるから、電磁処理のための磁石に加えて直流電源装置が必要であること、循環水量が大きい冷却システムにおいては大面積の銅電極が必要となることから、装置が複雑になるとともに装置コスト、維持コスト共に増大してしまうという問題を抱えていた。
【0008】
そこで本発明は、冷却水系におけるスケール成長と微生物あるいは藻類の繁殖によるアルジー形成とを、小さな磁力で冷却水を電磁気処理することによって抑制でき、冷却効率を高めるとともに、安価な装置で冷却設備の維持コストを低減できる冷却塔循環水の電磁気処理方法及び電磁気処理装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の冷却塔循環水の電磁気処理方法は、冷却塔と熱交換器との間を循環する循環水を電磁気処理する方法であって、前記循環水のイオン伝導率を10μS/cm〜10mS/cmの範囲とし、該循環水中に分散している電気化学的及び化学的に安定な非磁性担体及び該担体に保持される金属微粒子で構成される電子伝導性の固体粒子を循環水の流れに対して同一方向及び/又は逆方向に流動させるとともに、前記循環水及び固体粒子の流れに直交するように磁場を印加し、該磁場を通過する循環水の流速を5〜15cm/secの範囲としたことを特徴としている。
【0010】
また、本発明では、前記非磁性担体が、アルミニウム、シリコン又はチタンの酸化物、あるいは、ナイロン等の合成樹脂であることを特徴とし、前記金属微粒子が、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、コバルトのいずれか一種、あるいは、これらの2種以上の混合物、あるいは、これらの2種以上の合金であることを特徴としている。
【0011】
さらに、前記循環水の電磁気処理を、循環水循環系から独立した系で、あるいは、循環水循環系から分岐した系で行うことを特徴としている。
【0012】
上述のような構成を有する本発明の循環水の電磁気処理方法は、▲1▼電子伝導性粒子を、その速度ベクトルと直交する磁場ベクトルを持つ電磁場内を流動させることによって循環水中への金属イオンの溶解を加速促進させ、▲2▼溶存イオンが溶解した金属イオンを核として取込むことにより ▲3▼循環水中の溶存物質が析出する際の構造を、通常は3次元ランダムに成長するところを、1次元直線方向のみに成長を促進させることができ、冷却水循環系内の付着性スケール成長の抑制や、微生物及び藻類の繁殖によるアルジー形成を安価な装置で、かつ、低ランニングコストで抑制することができる。
【0013】
また、本発明の循環水の電磁気処理装置は、冷却塔と熱交換器との間を循環する循環水を電磁気処理するための装置であって、イオン伝導率を10μS/cm〜10mS/cmの範囲とした循環水を5〜15cm/secのの流速で流通させる処理槽と、該処理槽内を流通する循環水中に分散させた電気化学的及び化学的に安定な非磁性担体及び該担体に保持される金属微粒子で構成される電子伝導性の固体粒子を循環水の流れに対して同一方向及び/又は逆方向に流動させる手段と、前記循環水及び固体粒子の流れに直交するように磁場を印可する手段とを備えていることを特徴としている。
【0014】
さらに、本発明の冷却塔循環水の電磁気処理装置は、前記磁場を印可する手段が、処理槽の周壁内面に永久磁石のN極とS極とを対向配置したものであること、あるいは、処理槽の周壁内面に沿うように配置したリング状の強磁性体金属製磁気シールド材の内周面に永久磁石のN極とS極とを対向配置したものであることを特徴としている。また、前記処理槽は、循環水が循環する配管系統とは別の独立した配管で接続してもよく、循環水が循環する配管系統から分岐した配管に接続してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、図1は、水に対する一般的な電磁気処理効果を説明する原理図である。すなわち、1対の固定された磁石により発生する磁場ベクトルBに対して、直交する方向に速度(流速)ベクトルVを持つ電子伝導性の固体粒子が通過したとき、磁場ベクトルBと速度ベクトルVとのいずれにも直交する方向に電場ベクトルEが発生する。
【0016】
一種の電解質水溶液である循環水中に電子伝導性の固体粒子を分散させて流動させると、図2に模式的に示すように、分散された個々の電子伝導性の固体粒子内に電場Eによる電位差が誘起され、外部電源を用いることなしに粒子内でカソードとアノードとに分極させることができ、固体粒子表面での電気化学反応を加速できる。ここで、固体粒子表面での電気化学反応の速度は、循環水のイオン伝導率、即ち抵抗と磁場内を通過する粒子の速度とに依存する。本発明では、循環水のイオン伝導率を10μS/cm〜10mS/cmの範囲とし、磁場を通過する循環水の流速を5〜15cm/secの範囲としている。
【0017】
上記イオン伝導率が10μS/cmより小さい場合又は循環水の流速が5cm/secより小さい場合は、電気化学反応の抵抗が大きく、循環水の電磁気処理に必要な大きさの電気化学反応速度を得るのは難しい。一方、イオン伝導率が10mS/cmより大きい場合又は磁場を通過する循環水の流速が15cm/secより大きい場合は、固体粒子表面での電気化学反応速度が大き過ぎるため、循環水の溶存成分の組成制御が難しくなり、すなわち、総イオン量バランス、チャージバランスが崩れて溶存成分の析出を促進してしまう。また、イオン伝導率が大きいということは、循環水自身が塩化物イオン等の金属腐食を加速する電解質イオンの含有量が大きいことでもあり、冷却用循環水としても好ましくない。
【0018】
分散する電子伝導性の固体粒子の大きさ、形状あるいは比重は特に限定されることはなく、循環水の流動する方向(例えば垂直又は水平)、処理槽(パイプ)の内径、流速等の循環水電磁気処理装置の構造によって適宜選択される。また、分散させる電子伝導性の固体粒子の数密度を変えることにより、電気化学反応の起こる反応面積を調整できるので、循環水の電磁気処理の目標に応じて数密度を選択できる。
【0019】
本発明の循環水の電磁気処理方法は、図2で模式的に示した電子伝導性の固体粒子表面でのカソード反応とアノード反応とにより、冷却水循環系におけるスケール成長とアルジー発生とを同時に抑制するものである。循環水は、冷却塔を経由する過程で大気中の酸素を溶解する。すなわち、溶解した酸素の還元反応が電子伝導性の固体粒子表面における主たるカソード反応である。
+2HO+4e → 4OH (式1)
アノード反応は、電子伝導性の固体粒子が含有する金属の溶解反応である。
M → Mm++me (式2)
本発明の循環水の電磁気処理方法は、循環水中に含まれスケール形成及び成長の原因となるカルシウムイオン、シリケートイオン、あるいはこれらのポリマーイオンと、式2のアノード反応によって循環水中に溶解した金属イオンとのコロイド科学的な相互作用により、スケール成長を抑制するものである。
【0020】
本発明の電子伝導性の固体粒子に含有されてアノード反応で溶解する金属は、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、コバルトが最適である。このような金属は、金属の微粒子として電気化学的及び化学的に安定な非磁性担体の表面や内部に保持される。なお、金属微粒子は、上記金属のいずれか単独の微粒子、あるいは複数金属種の混合微粒子、あるいは合金の微粒子であってもよい。
【0021】
循環水中に溶解した金属イオンがスケール成長を抑制する機構は明確ではないが、スケール成長の原因となるカルシウムイオンとシリケ−トイオンとが循環水中でコロイド粒子として凝集成長することを促進し、その結果、熱交換器、循環水配管あるいは冷却塔の器壁表面でのスケール成長を抑制すると考えられる。例えば、シリカ微粒子表面の中性pH領域における荷電密度は、微量の金属イオンの存在で小さくなり、液相でのコロイド凝集速度が加速されることはコロイド科学的に知られている(Journal of Colloid and Interface Science,40巻、53ページ、1972年)。カルシウムイオンが炭酸カルシウムとして、あるいはシリケートイオンがシリカとして循環水中でのコロイド粒子凝集速度が加速された場合、熱交換器、循環水配管あるいは冷却塔の器壁表面には、粒子径の大きいコロイド粒子が衝突することになり、粒子径の小さいコロイド粒子に比較して結合力が弱いため、スケール成長が抑制され、また、形成されたスケールも剥離しやすい。
【0022】
本発明の循環水の電磁気処理方法においては、スケール成長の抑制により、浮遊するコロイド粒子、即ち固形成分は循環水中に濃縮されるが、従来方法と同様にして冷却塔から系外へ冷却水と共に放出することができる。換言すると、本発明の循環水の電磁気処理方法により、高い濃縮度での冷却システムの運転が可能となる。
【0023】
循環水系内のスケール成長の抑制に加え、アルジー発生の原因となる微生物あるいは藻類の繁殖を抑制するには、循環水中に銀、銅、ニッケルイオン等の特定金属イオンを共存させることが有効である。これらのアルジー抑制効果が期待できる金属イオンのうち、比較的安価な金属であること、及び、前記式2によりアノード溶解できることの条件から、銅やニッケルが好ましく、比較的環境に優しく、特に、1ppm以下の低濃度においても効果が高い銅が、アルジー抑制金属として好適である。すなわち、本発明の循環水の電磁気処理において、循環水に分散する電子伝導性の固体粒子に含まれる金属の少なくとも1種は銅であることが好ましい。
【0024】
前記式2のアノード反応によって金属イオンを循環水中に溶解させる金属微粒子を保持するための非磁性担体には、化学的及び電気化学的に安定であり、磁性を持たないアルミナ、チタニア、あるいはシリカが好適である。これらの担体に金属微粒子を担持(保持)させる方法は特に限定しないが、担体物質あるいはその前駆体微粉に金属微粉末を混合して所定の形状に成形した後、不活性ガス雰囲気で焼結させる方法や、焼結した担体物質の成形体に金属イオンを含ませ、乾燥後に水素環境で加熱還元させる方法を採用できる。その他の担体として、粒子の流動を良くするために金属よりも比重の小さいナイロン等の合成樹脂を用いることができる。
【0025】
本発明の循環水の電磁気処理方法においては、循環水中に分散した電子伝導性の固体粒子が磁束を横切るときに電場が誘起され、これが電極として作用することを原理としているので、粒子の数を増やすことで電極面積を大きくすることが可能であり、全循環水の一部分に電子伝導性固体を分散させて電磁気処理することにより、スケール成長とアルジー発生とを抑制するのに十分な金属イオンを供給することが可能である。冷却塔と熱交換器との間を循環する循環水の主配管系から分岐して電磁気処理する方法は、電磁気処理装置の小型化、処理水と固体粒子との固液分離、メンテナンスの容易さからも好ましい。
【0026】
次に、本発明の循環水の電磁気処理装置について詳細に説明する。既に述べたように、本発明方法は、純化水中に分散した電子電導性固体粒子が磁場を横切るときに生じる電場を駆動力とし、固体粒子に含まれる金属が電気化学的に溶解することを利用している。したがって、誘起される電場を強めて電気化学反応を効率よく進めるためには、磁場が固体粒子の流動方向に直交するように磁石を配置することが好ましい。磁石には永久磁石を用いることができ、磁石の強さ、即ち残留磁束密度は大きいことが好ましい。また、磁石を循環水の配管内に封じ、電磁気処理装置の外部への漏れを小さくする磁気シールド機能が備わっていることが望ましい。
【0027】
図3及び図4は、本発明の電磁気処理装置の一形態例を示すもので、図3は縦断面図、図4は横断面図である。この電磁気処理装置は、循環水1が流れる配管(処理槽)2の内周壁に沿うように配置した強磁性体金属からなる断面八角形筒状の磁気シールド材3の内側面に8個の永久磁石4a,4bを対向配置したものである。また、処理槽2内には、電子伝導性の固体粒子5が流動可能な状態で充填されており、図3に矢印Aで示すように、処理槽2の下方中央部から導入される循環水1の流れによって固体粒子5が上方に向かって流動し、自重によって下方に向かって流動する上下方向の対流循環が生じるように、処理槽2の内径、循環水1の流速、磁気シールド材3の大きさが設定されている。
【0028】
前記永久磁石4a,4bは、図4に示すように、N極とS極とが対峙するように設けられており、これらの永久磁石4a,4bによって生じる磁場(磁力線)7の方向と、前述のように流動する固体粒子5の流動方向とが直交するようになっている。さらに、磁気シールド材3によって装置外への磁気漏れを抑制するようにしている。
【0029】
電磁気処理装置に収納される永久磁石4a,4bの残留磁束密度は、大きいほど好ましいが、特に、1万ガウス以上の高価な永久磁石である必要はなく、1000〜7000ガウス程度の比較的に安価なネオジウム−鉄−ホウ素系のボンド磁石で十分な効果が得られる。
【0030】
銅等の金属微粒子を含む電子電導性固体粒子5は、前述のような磁気シールド材3内での対流循環を形成しており、その流動方向は、上昇時及び下降時のいずれにおいても、固体粒子5の流動方向は磁場7と直交することになる。循環水1は、処理槽2で電磁気処理された後、処理槽2の上部から、例えば冷却塔に向かって流れていくことになる。
【0031】
前記磁気シールド材3に使用する強磁性体金属は、汎用の普通鋼板を使用できるが、磁気シールド効果を高めるためには、厚さが5mm以上、好ましくは6mm以上のものが適当である。また、処理槽2内に収納される磁気シールド材3や永久磁石4a,4bは、循環水1による腐食や、固体粒子5との衝突による摩耗を防止するため、合成樹脂で被覆しておくことが好ましい。
【0032】
磁気シールド材3の内側に対峙して設置する永久磁石4a,4bの配置は、固体粒子5の流動方向に直交する磁場7が強くなる構造であれば特に限定されるものではない。永久磁石4a,4bの好ましい配置方法として、図4の横断面図に示すように、磁気シールド材3の水平断面が正八角形で、各辺に1個の永久磁石をそれぞれ配置する場合は、連続する4辺に内側にS極を向けた永久磁石4aをそれぞれ配置し、残りの連続する4辺に内側にN極を向けた永久磁石4bをそれぞれ配置することにより、S極とN極とを対峙させた状態にできる。さらに、図5の要部縦断面図に示すように、循環水1の流れ方向に複数の永久磁石4a,4bを多段に配置することにより、固体粒子5の流動方向に対して直行する方向の磁場7の領域を大きくすることができる。
【0033】
図3乃至図5に示すように永久磁石4a,4bを配置したとき、図6のxyz直交座標軸に示すように、循環水1の流れ方向、すなわち、固体粒子5の流動方向を垂直方向のz軸とし、これに直交する水平方向の2本の軸をx軸、y軸とすると、固体粒子5の流動方向に平行な磁束密度(Bz1/2に対して、水平方向の磁束密度(Bx+By1/2が十分に大きい領域を形成することができる。
【0034】
本発明では、冷却塔と熱交換器とを循環する循環水循環系から独立させた系あるいは分岐した系に循環水の一部を引き込み、この循環水に電子伝導性の固体粒子を分散させて電磁気処理することが好ましい。電磁気処理での磁場と水及び体粒子の流れとで誘起される電場により、固体粒子に保持された金属微粒子のアノード反応で金属イオンが溶解し、この金属イオンのコロイド科学的効果により、析出する溶存成分の構造を変化させて冷却水系に付着するスケールの成長を抑制する。また、溶解した金属イオンは、微生物、藻類の繁殖抑制効果も持つので、アルジー発生も同時に抑制することができる。
【0035】
図7及び図8は、それぞれ電磁気処理槽の設置例を示す概略系統図である。図7は、冷却塔11と熱交換器12とをポンプ13によって循環する循環水循環系14から独立させた状態で電磁気処理槽15を設置し、その導入管16と導出管17とを冷却塔11の水槽部分11aにそれぞれ接続し、ポンプ18で循環水の一部を水槽部分11aから抜出し、所定流量、所定流速で電磁気処理槽15に導入し、電磁気処理後の循環水を水槽部分11aに戻すように独立した系を形成したものである。電磁気処理槽15は、従来から用いられているものと同様のものを使用でき、水の流れに直行する方向に磁場が形成されるように永久磁石19を配置し、その内部に電子伝導性の固体粒子20を分散させて流動可能な状態としている。なお、導入管16及び導出管17部分には固液分離器を設けるとともに、導出管17部分で捕捉した粒子を導入管16部分に戻せるようにしておくこともできる。図8は、循環水循環系14に電磁気処理槽15の導入管16と導出管17とをそれぞれ接続し、循環水循環系14を流れる循環水の一部を分岐させ、電磁気処理槽15に導いて電磁気処理を行うように分岐した系を形成したものである。このように、独立した系あるいは分岐した系で電磁気処理を行うことにより、電磁気処理槽15における処理対象循環水の流量や流速を最適な状態に調節することができる。
【0036】
【実施例】
実施例1
市販の球状α−アルミナ粒子(直径4mm)に硫酸銅濃厚水溶液を含侵させ、苛性ソーダ水溶液による加水分解を繰り返してアルミナ粒子表面と細孔内とに酸化銅を保持させた後、水素気流中で加熱還元して金属銅微粒子を担持したアルミナ粒子を得た。イオン伝導率が1mS/cmの硫酸ナトリウム水溶液を模擬循環水とし、前記金属銅担持アルミナ粒子3kgを投入した。非磁性体からなる槽内に粒子の流動方向に直交する方向に磁場を形成するように永久磁石を配置した。この永久磁石により形成される磁場は、中心部が約1キロガウスである。そして、この磁場内に、金属銅担持アルミナ粒子を含む模擬循環水1mを毎秒10cmの速度で循環させ、循環水中の銅イオン濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
比較例1
磁場を印加しなかった以外は実施例1と同じ条件で操作を行い、循環水中の銅イオン濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004043739
【0039】
表1に示した電磁気処理の有無による銅イオンの溶解速度を比較すると、電磁気処理によって銅イオンの溶解速度を約1.3〜2.1倍に加速できることがわかる。
【0040】
実施例2
銅、亜鉛、錫、鉄、ステンレス及びコバルトの各金属粉末とγ−アルミナ粉末とをそれぞれ窒素ガス中で混合し、加熱成形により円柱状(直径2mm、長さ4mm)の電子伝導性固体粒子を作成した。イオン伝導率が0.2mS/cmの地下水1m3を循環水とし、約5リットルの固液分離機能をもつ電磁気処理部に容積率10%の固体粒子を分散させ、永久磁石で形成した中心部が約1キロガウスの磁場に直交して循環水を毎秒10cmの速度、毎時4mで5時間循環させ、各金属イオンの濃度を測定した。電磁気処理したときと、電磁気処理をしなかったときとにおける24時間後の金属イオンの濃度をそれぞれ測定した。その結果を表2に示す。この結果から、いずれの金属の場合も、循環水を電磁気処理することによって溶解が促進され、溶解の促進効果は、電気化学的に貴な銅、錫で高いことがわかる。
【0041】
【表2】
Figure 0004043739
【0042】
実施例3
実施例2と同じ循環水の電磁気処理系を、毎時400mの冷却水が循環する冷却水循環系冷却塔に、図8に示したようにして分岐状態で設置し、冷却塔内に付着量測定用のPVC板とステンレス鋼板とを固定し、夏期の3カ月間の日中に運転する長期の電磁気処理試験を行った。その結果、同一の地下水を循環水とする類似の冷却水循環系に比較し、電磁気処理したときのPVC板上の付着物の乾燥重量は、電磁気処理を行わないときの約3分の1、ステンレス鋼板上では約2分の1となった。
【0043】
実施例4
厚さ5mm、幅85mmの鋼板を使用し、一辺の長さが40mmの断面正八角形の筒状磁気シールド材を作成し、図4及び図5に示したように、各辺の内面に、直径25mm、高さ13mmの円柱状永久磁石を循環水流れ方向にそれぞれ等間隔で3段、合計24個取り付けた。そして、図6に示したように、循環水流れ方向の磁束密度(Bz1/2に対する水平方向の磁束密度(Bx+By1/2の比、即ち磁束密度の比(Bx+By1/2/(Bz1/2を、永久磁石から5mm離れた位置と、装置中央(軸線部分)とで測定した。表3に、磁気シールド材一端からの距離に対する磁束密度の比を示す。この測定結果から、両端部を除き、流れに直交する磁束密度が十分に大きいことがわかる。また、処理槽外側の磁場は小さく、内側の磁場の千分の一以下であり、十分に磁気シールドされていることが確認できた。
【0044】
【表3】
Figure 0004043739
【0045】
実施例5
実施例2と同じ循環水の電磁気処理系を、地下水(Ca硬度200ppm,電気伝導度800μS/cm)を循環水とし、循環量が毎時5mの冷却水循環系冷却塔に、図7に示すように、冷却水循環系から独立させて設置し、3ヶ月間連続して運転した。その結果、電磁気処理を行った循環水中からは、針状形状のCaの「アラゴナイト結晶」が多量に検出されたのに対し、電磁気処理しない系では、ランダム形状のCaの「カルサイト結晶」のみが検出された。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、冷却水循環系の循環水に電磁気処理することにより、冷却塔、配管系及び熱交換器の器壁への付着物量を少なくでき、熱交換器の効率低下を抑制し、冷却システム全体の冷却効率低下も抑えることができる。さらに、微生物や藻類の繁殖による環境悪化を軽減することもできる。しかも、安価な装置で、かつ、低ランニングコストで実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 水に対する一般的な電磁気処理効果を説明するものであって、電磁気処理により印加する磁場の方向と、電子伝導性粒子の流動方向と、発生する電場との関係をす原理図である。
【図2】 電場により誘起される電子伝導性固体粒子表面の電気化学反応を示す模式図である。
【図3】 本発明の電磁気処理装置の一形態例を示す縦断面図である。
【図4】 同じく電磁気処理装置の横断面図である。
【図5】 永久磁石の多段配置状態を示す要部の縦断面図である。
【図6】 磁束密度を説明するためのxyz直交座標軸を示す図である。
【図7】 電磁気処理槽を循環水循環系から独立させて設置した例を示す概略系統図である。
【図8】 電磁気処理槽を循環水循環系から分岐させて設置した例を示す概略系統図である。
【符号の説明】
1…循環水、2…処理槽、3…磁気シールド材、4a,4b…永久磁石、5…固体粒子、7…磁場、11…冷却塔、12…熱交換器、13…ポンプ、14…循環水循環系、15…電磁気処理槽、16…導入管、17…導出管、18…ポンプ、19…永久磁石

Claims (8)

  1. 冷却塔と熱交換器との間を循環する循環水を電磁気処理する方法であって、前記循環水のイオン伝導率を10μS/cm〜10mS/cmの範囲とし、該循環水中に分散している電気化学的及び化学的に安定な非磁性担体及び該担体に保持される金属微粒子で構成される電子伝導性の固体粒子を循環水の流れに対して同一方向及び/又は逆方向に流動させるとともに、前記循環水及び固体粒子の流れに直交するように磁場を印加し、該磁場を通過する循環水の流速を5〜15cm/secの範囲としたことを特徴とする冷却塔循環水の電磁気処理方法。
  2. 前記非磁性担体が、アルミニウム、シリコン又はチタンの酸化物であることを特徴とする請求項1記載の冷却塔循環水の電磁気処理方法。
  3. 前記非磁性担体が、ナイロン等の合成樹脂であることを特徴とする請求項1記載の冷却塔循環水の電磁気処理方法。
  4. 前記金属微粒子が、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、コバルトのいずれか一種、あるいは、これらの2種以上の混合物、あるいは、これらの2種以上の合金であることを特徴とする請求項記載の冷却塔循環水の電磁気処理方法。
  5. 前記循環水の電磁気処理を、循環水循環系から独立した系、あるいは、循環水循環系から分岐した系で行うことを特徴とする請求項記載の冷却塔循環水の電磁気処理方法。
  6. 冷却塔と熱交換器との間を循環する循環水を電磁気処理するための装置であって、イオン伝導率を10μS/cm〜10mS/cmの範囲とした循環水を5〜15cm/secのの流速で流通させる処理槽と、該処理槽内を流通する循環水中に分散させた電気化学的及び化学的に安定な非磁性担体及び該担体に保持される金属微粒子で構成される電子伝導性の固体粒子を循環水の流れに対して同一方向及び/又は逆方向に流動させる手段と、前記循環水及び固体粒子の流れに直交するように磁場を印可する手段とを備えていることを特徴とする冷却塔循環水の電磁気処理装置
  7. 前記磁場を印可する手段は、処理槽の周壁内面に永久磁石のN極とS極とを対向配置したものであることを特徴とする請求項記載の冷却塔循環水の電磁気処理装置
  8. 前記磁場を印可する手段は、処理槽の周壁内面に沿うように配置したリング状の強磁性体金属製磁気シールド材の内周面に永久磁石のN極とS極とを対向配置したものであることを特徴とする請求項6記載の冷却塔循環水の電磁気処理装置
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